中学校・高等学校

学 習 指 導 要 領

理 科 編

(試 案)

昭和26年(1951)改訂版

文  部  省

ま え が き

 中学校の学習指導要領理科編が昭和22年5月に,また,高等学校理科の学習指導要項が昭和23年1月に発行されて以来,実践を通してこれらについての研究が広く行われ,また各方面から批判が加えられてきた。本書はこれらの研究や批判を参考にし,これまでに行われた調査や研究の結果をとり入れて改訂ならびに新編修したものである。

 

 学習指導要領は,中学校・高等学校の理科の教育課程・教科内容およびその取扱の基準を示すものであるが,その意図は,教育を画一的に統一しようとするものではなく,教師が生徒・地域に即した教育計画をたてる際に最もよい手がかりを提供し,また,指導にあたってはよい方法を示唆しようとするところにある。

 

 本書では,まず第Ⅰ章で理科教育の目標を示し,次に理科の指導計画と評価に触れ,第Ⅳ章以下で単元とその展開例を具体的に述べた。指導計画と評価についてきわめて簡単に取り扱ったのは,理科の指導法に,くわしく述べられるからである。また,単元とその展開例をこのように具体的な形で述べ,これに多くの紙数を費したのは,これがそのまま学校の指導計画となり,あるいは教科書の内容となることを期待したからではなく,理科教育の考え方と方法の結びつきを密にしようと考えたからである。教育においては,何を学習させるかということと同時に,いかに学習させるかということが重大な問題であるが,これらを抽象的な記述で一般的に述べることは,たとえ概念的な理解を与えるのに役だつとしても,そのような理解はとかく教育の実践との間にみぞを残しがちである。このみぞを取り除こうとするのが,ここに具体的な例をあげ,多くの紙数を費した理由である。すなわち,第Ⅳ章—第Ⅷ章の意図していることは,これらの具体的な記述の底を流れる理科教育についての考え方がくみとられ,生徒の特性,地域や学校の実情に適した教育が行われることなのである。

 

 付録として掲載した生徒用参考書の目録は,全国各都道府県の教育委員会,全国各地の理科教育研究委員会によって昭和25年に作成されたものを,機械的にまとめたものである。まとめたためにかえって図書選択の基準が統一せず,程度や適否の点でふつごうが生じ,また入手の不可能なものや,適当な図書でもれているものも多いと思われる。これを参考にして加除を行い,よりよい目録とするきっかけとして使用していただきたい。

 教育委員会および理科の教師が,この参考書目録の作成についてもこのように協力され,また本書に掲載することについての便宜を与えられたことに対して謝意を表する。

目  次

まえがき

第Ⅰ章 中学校・高等学校理科の目標

中学校・高等学校理科の性格

中学校理科の目標

高等学校物理の目標

高等学校化学の目標

高等学校生物の目標

高等学校地学の目標

第Ⅱ章 中学校・高等学校理科の指導計画

目標の設定と教育内容

学習経験の組織

理科の単元

第Ⅲ章 中学校・高等学校理科の評価

知識と理解の評価

能力と技能の評価

態度の評価

習慣の評価

自然や自然科学に対する感得,よりよい生活への理想についての評価

第Ⅳ章 中学校理科の単元とその展開例

第1学年

第2学年

第3学年

(付録)参考書

第Ⅴ章 高等学校物理の単元とその展開例

(付録)参考書

第Ⅵ章 高等学校化学の単元とその展開例

(付録)参考書

第Ⅶ章 高等学校生物の単元とその展開例

(付録)参考書

第Ⅷ章 高等学校地学の単元とその展開例

(付録)参考書

あとがき

索  引