第Ⅶ章 高等学校生物の単元とその展開例
は じ め の 学 習
要 旨
ここでは生物で学習する内容を概観し,科学的に物を考えたり研究したりする方法や,生物に関する研究と人生との関係や他の諸科学との関係などについて学習し,あわせてそれに必要な基礎的な技能や態度を養う。
目 標
2.生物や生物現象に関する問題を発見し,これを科学的方法で解決しようとする能力や態度を養う。
3.生物や生物現象に対する関心を高める。
4.標本や資料を整理し,これを有効に利用する能力や態度を養う。
5.野外観察・採集・飼育・栽培の基礎的技能を養う。
6.観察・実験・記録などを正確に行う能力や態度を養う。
7.実験器具・測定器具・顕微鏡・ルーペ・解剖器などの取扱方の基礎的な技能を養う。
8.細胞を観察する技能を養い,細胞の一般的な性質や増殖について理解する。
9.生物学と自然科学の他の部門および人生との関係を理解する。
学習の内容と順序
(2) 生物学にはどんな部門があるか。また,各部門ではどんなことを研究の対象にしているか
(3) 高等学校の生物ではどんなことを学ぶか
ここでは教師がもっている単元の案を提示してその概要を説明し,生徒はこれに対して質問や意見をのべ,生徒と教師の協力のもとに学習の範囲や順序の大綱を決定する。
2.野外の生物をどのように観察したらよいか
教師は,校庭に見られる動植物を対象にして,観察の方法や態度について指導し,身のまわりの生物への関心を高め,その中から問題を発見させ,それを解決するいと口や方法について問答する。
(2) 野外にはどのような生物が生活しているか
野外の動植物を採集し,これらを飼育・栽培する。また,採集物の整理や標本の作製をし,このような学習を通して基礎的な技能を養う。
3.生物の実験はどのように行うか
グループ別に次のような簡単な実験を行い,結果を発表する。この学習を通して実験の基礎的な技能や態度を養う。
b.イトミミズの運動数と水温との関係を調べてグラフをかく。
c.おたまじゃくしの成長速度と水温との関係を調べてグラフをかく。
d.カタバミ・クローバの葉やタンポポの花の開閉運動と明るさとの関係を調べる。
4.生物の形態はどのように調べるか
いくつかの動植物を例にして,その外形をくわしく観察し,報告書や正確な写生図をかく。
(2) 生物のからだはどのような単位からできているか
ネギ・ムラサキツユクサ・花粉・アオミドロ・カエルの脱皮した表皮・ゾウリムシなどのプレパラートを作り,顕微鏡で細胞を観察する。また,細胞の一般的構造や細胞分裂について教師が説明する。
5.生物学の進歩は他の科学の進歩とどのような関連をもっているか。また,生物学は人生にどのような貢献をしているか
生物学は古代から現在までにどのような道すじを経て発達してきたか。それに大きな貢献をした人にはどんな人がいるか。また,光学機械や技術の進歩が生物学の発達にどのように関係しているかなどの大要について教師が説明したり,生徒が参考書をよんで話し合ったりし,あわせて生物学と他の科学との関連についても考える。
(2) 生物学は人生にどのような貢献をしているか
品種改良,生物資源の利用の拡大,医学の発達など,生物学が直接間接に人生に大きな貢献をしていることについて,生徒の話合い・問答・教師の説明などによって学習する。
単元Ⅰ 緑色植物は,われわれが生きていくのにどんなにたいせつなはたらきをしているか
要 旨
われわれが生活上当面している重要な問題の一つに食糧問題がある。われわれが生きていくのに,エネルギー源として食物を必要とすること,その食物がどのようにして生産されるか,そうした問題は生徒のもつ問題の中で最も生活につながりの多いものであろう。緑色植物が光合成によって炭水化物を合成することが,有機物合成の第一歩であり,われわれの生活エネルギーの源泉はそこに帰着している。その意味においてこの単元では,「はじめの学習」に関連して,われわれの栄養の問題から出発する。そしてその食物が,植物体内でどのようにして同化されるか,また,動物体内でどのようにして消化吸収されるか,動植物が食物の点でどのように関連し合っているか,などの問題に発展していく。
この単元の学習活動には実験を計画し実施することが必要であり,また,科学書を読んだり表を利用したりする必要もある。また,問題解決の過程を経験する良い機会が多く得られるように準備されている。さらに,中学校で得た知識・体験をより深め,拡充するために,4月から5月にかけての好季節を利用して,多くの実験的研究を経験させたい。
目 標
2.人や動物の消化器のはたらきに関する知識を得る。
3.食物の種類と調和のとれた食事のとりかたについての知識を得る。
4.食事に注意し,栄養的に見て合理的なものを食べることが,健康を維持する上にどんなにたいせつかということを感得する。
5.食品を選択して,調和のとれた献立をつくる能力と,正しい食事の習慣を養う。
6.生物はすべて光合成に依存して生活していることを理解する。
7.自然現象を関係づけてみて,それを正しく説明する能力を高める。
8.いろいろな種類の食物や,植物のはたらきについて,実験を計画し,実施する能力を高める。
9.科学書を読みこなす能力を高める。
学習の範囲と順序,学習活動
方 法 |
学 習 活 動 |
話合い |
a.日常の食品がどのような種類の栄養素からなり立っているかを話し合う。 b.不完全な食事や栄養の欠陥による病気にはどんなものがあるかについて話し合う。 |
実験(グループまたは教師や生徒の代表による) |
a.ヨードでんぷん試法やフェーリング試法を用いて,日常の食品から,でんぷんや糖分の存在を検出する。 b.エーテルを用いて日常の食品中の油脂を抽出する。 |
観 察 |
牛乳の一滴を顕微鏡で調べて,小さな脂肪の粒が浮んでいるようすを観察する。 |
測 定 |
食物材料の新鮮なときと,その乾燥したときの重さを比較して,水分の割合を測定する。 |
分 類 |
上の学習の結果を整理し,食品のおもな要素は何であるかを分類してまとめる。 |
教師の説明 |
ビタミンの重要性と調和のとれた食事とはどういうものであるかを説明する。 |
(2) どのようなたんぱく質を,一日にどれくらい食べなければならないか
問 答 |
日本人の食事にはたんぱく質が不足しているかどうかについて問答し,過去に得た知識・理解の復習をする。 |
討 議 |
たんぱく質の種類について討議する。 |
教師または生徒の代表による実験 |
ビウレット反応,キサントプロテイン反応,ミロンの反応などによって,日常の食事にたんぱく質が含まれているかどうかを検出する。 |
講 義 |
次のことについて講義する。 a.いろいろなたんぱく質の栄養価とそれを構成するアミノ酸の種類について b.不可欠アミノ酸について(アミノ酸桶(おけ)の模式図を用いる) |
研究と報告 |
どんな種類のたんぱく質を1日にどのくらいとり入れたらよいかについて調べて報告する。 |
(3) 1日に何カロリーの食物が必要か
話合い |
飢餓について過去の経験を話し合う。 |
資料による研究 |
教科書や参考書によって,いろいろの程度の労働によってどれくらいのカロリーが消費されるかを調べる。 |
計算と報告 |
各人が1日に消費するカロリーを表や掛図をもとにして計算し,その結果をノートにまとめて提出する。 |
教師の説明 |
男女各年齢の身体の大きさに応じた標準消費カロリーについて図表などを用いて説明する。 |
(4) ビタミンはからだのなかでどのようなはたらきをしているか。また,ビタミンはどんな食物に含まれているか
問 答 |
緑色の野菜はなぜ長く煮てはいけないか,また,牛乳はなぜ低温殺菌されているか,などについて問答し,知識や理解の復習をする。 |
研究と発表 |
ビタミンのはたらきについて調べて発表する。 |
図表の作製 |
ビタミンの種類とそれを含む食品の表や,ビタミン不足によって起る病気の表を作る。 |
見学と報告 |
栄養剤の研究所や工場を訪問して,ビタミン製剤の製造工程を見学し,結果を報告する。 |
講 義 |
ビタミンはからだのはたらきのうちでどんな役割を果しているかについて講義する。 |
劇 化 |
ビタミンの重要性をいっそうよく理解するために,劇や紙しばいなどを作って,実演する。 |
(5) 塩類はからだのなかでどのようなはたらきをしているか。また,それはどんな食物に含まれているか
教師の説明 |
なぜ歯がわるくなったり,貧血したりするかを説明する。 |
教師または生徒の代表による実験 |
動物の骨や歯がどんな化学成分からできているかを確かめる実験を演示する。 |
資料の収集と発表 |
われわれのからだにとって塩類がたいせつであることを示すいろいろの資料を収集し,結果を発表する。 |
講 義 |
アチドージスとアルカロージスについて説明し,塩類が血液中でどんなはたらきをしているかを明らかにする。 |
問 答 |
上で述べたことがらについて問答し,理解を深める。 |
討 議 |
塩類はどんな食物から,どのようにしてとり入れられるかについて討議する。 |
(6) 調和のとれた献立はどのようにして作るか
話合い |
われわれの毎日の食事はよく調和がとれているか,また,どんな栄養素が欠けているかについて話し合う。 |
計 画 |
たいせつな栄養素を適量含んでいる理想的な献立を作る。 また,実際毎日の献立として用いることのできる合理的な計画を立てる。 |
発表と討議 |
上で立てた献立について発表し全体で批判検討する。 |
話合い |
ビタミンやその他の栄養素を失わないように正しく調理するにはどうしたらよいかについて話し合う。 |
(7) わが国の食糧やビタミンについて,どのような問題が解決されていないか
研究と話合い |
いろいろな統計表などによって,日本人がじゅうぶんの食糧やビタミンを得ているかどうかを調べて話し合う。 |
調査と発表 |
グループで郷土のいろいろな職業の家庭について,毎日の実際の献立について調査し,結果を報告する。 |
報告と討議 |
上の結果に基いて,調和のとれた食事にするためには,どのように改善する必要があるかについて報告を書き,全体で討議をする。 |
図表の作製と展示 |
日本の食糧問題やビタミンの問題について,その対策をまとめて,グラフ・掛図・模式図などを作り,展示する。 |
2.緑色植物はどのようにして養分をつくり出すか
話合い |
土が植物の成長にどのように役だっているかについて,過去の知識や経験を話し合う。 |
実 験 |
いろいろ違った土に同じ植物を植えて,その成長のしかたを比較する。あるいは,水栽培の実験をする。 |
話合い |
上の実験を整理し,植物の成長にはどのような元素が必要かについて話し合う。 |
野外観察 |
いろいろな場所で植物の成長のようすを比較観察し,その差異の原因について話し合う。 |
教師の説明 |
植物の成分分析表を用いて,各元素が植物の成長にどんな役割を果しているかについて説明する。 |
見学と報告 |
農事試験場や肥料工場を見学し,報告書を提出する。 |
観 察 |
カビ・藻類・地衣類のように根のない植物の標本を見る。 また,ヤドリギやネナシカズラの寄生根を顕微鏡で調べる。 |
討 議 |
根のない植物がどのようにして栄養分を得ているかについて討議する。 |
(2) 根は養分をつくるのにどのように役だっているか
話合い |
過去の知識や経験に基いて,植物の成長に根がどのように役だっているかについて話し合う。 |
観 察 |
根の構造を顕微鏡で観察する。また,野外で,根がどのように張っているかについて観察する。 |
実 験 |
白い花を赤インキにさして,赤インキが上っていくようすを観察する。 |
教師の説明 |
次のことを説明する。 a.原形質膜の浸透作用について b.根の選択吸収について |
(3) 葉は養分をつくるのにどのように役だっているか
話合い |
過去の知識や経験に基いて,葉が養分をつくるのにどのような役割を果しているかについて話し合う。 |
実験と発表 |
グループで次のような葉の一つをとって,ヨードでんぷん反応で,でんぷんを検出し,その結果を発表する。また,アルコールで葉緑を抽出する。 a.夜明けにとった葉と夕方にとった葉 b.一部分をすずはくでおおっておいた葉 c.ふ入りの葉 |
観 察 |
a.葉緑体の中にできたでんぷん粒を顕微鏡で観察する。 b.葉の構造(気孔の構造も)を顕微鏡で観察する。なお,構造を示す掛図を展示する。 |
教師の説明 |
でんぷんの生産に葉がどんなに役だっているか,また,光の強さ・光の波長・空気の組成などが生産量にどのように影響しているかを説明する。 |
話合い |
呼吸と炭酸同化の関係について話し合う。 |
(4) 養分はどのようにして葉以外の部分に送られるか
教師の説明 |
養分がどのようなしくみで他の部分に送られるかについて説明する。 |
実 験 |
でんぷんがアミラーゼによって,どのようにして糖分に変化するかをためしてみる。 |
観 察 |
茎の構造とくにふるい管を顕微鏡で観察する。 |
研究と話合い |
次のような問題について調べて話し合う。 a.いつどのように植物に水を与えたらよいか b.移植はどんな際に行うか。また,移植する際,葉を切りとるのはなぜか |
(5) 植物では養分はどこにたくわえられるか
話合い |
毎日の食事の材料には,植物のどの部分が利用されるかについて話し合う。 |
観 察 |
ジャガイモ・ユリ・サトイモなどの地下茎,サツマイモの根,コムギやコメの粒の中のでんぷんを,顕微鏡で観察する。 |
実 験 |
a.ゴマ・クルミ・ツバキの種子をあたためて紙にこすりつけ,油脂があることを確かめる。 b.ゴマやナタネの種子から油をしぼってみる。 |
観 察 |
a.コムギのでんぷんが,発芽の際とけて糖分に変化することを観察する。 b.サクラやクワの木の髄に含まれているでんぷん粒が,季節によって変化するようすを調べる。 |
話合い |
栄養貯蔵の意義について話合い,作物はいつ収穫したらよいかについて考察する。 |
(6) 非緑色植物はどのようにして養分を取り入れるか
実 験 |
コウジカビ・アオカビを培養する。または,シイタケなどを栽培する。 |
観察と話合い |
ネナシカズラ・ナンバンギセル・ギンリョウソウなどの寄生植物や,作物の病害菌を観察し,話し合う。 |
研究と話合い |
光合成をしない植物はどのようにして栄養分をつくり出すかについて調べて話し合う。 |
観 察 |
モウセンゴケ・イシモチソウなどの食虫植物に卵白を与え,そのようすを観察する。 |
討 議 |
作物の病害菌を防ぐにはどうしたらよいかについて討議する。 |
3.動物はどのようにしてからだを養うか
話合い |
過去の知識や経験に基いて,動物はどのようにして食物をとるかについて話し合う。 |
観 察 |
a.微生物が食物をとり入れるようすを顕微鏡で観察する。 b.こん虫の口器を比較観察し,食性との関連を調べる。 |
発表と話合い |
上の学習の結果を発表し,全体で話し合う。 |
作図と展示 |
食物をとり入れる器官の構造と機能を示す掛図・摸式図・写生図などを描き,展示する。 |
研究と発表 |
こん虫・鳥などの食性と人生との関連について調べ,結果を発表する。 |
(2) 消化器官はどのようにできているか
観 察 |
a.ウサギ,ネズミなどの液浸標本について,消化系の構造を観察する。 b.胃・腸・肝臓などの構造を顕微鏡で観察する。(あるいは顕微鏡投影をする。) c.人体模型で消化系を観察する。 |
作 図 |
消化系の絵や模式図を描く。 |
報 告 |
上の学習の結果について,消化器官がどのようにできているかを話合い,報告書を提出する。 |
(3) 消化はどのように行われるか
話合い |
過去の知識に基いて,消化がどのように進行するかについて話し合う。 |
研究と話合い |
参考書を読んで,消化器の各部分とその酵素のはたらきについて調べて話し合う。 |
実 験 |
a.小さな肉のきれを試験管に入れ,ペプシンと塩酸の溶液を入れて37℃に保ち,数時間後に調べてみる。 b.試験管にでんぷんと,アミラーゼ(つばき)を入れ,ふらん器に入れて数時間後に,フェーリング試法によって糖分の存在を検出する。 |
発表と話合い |
上の実験の結果について発表や話合いをし,整理する。 |
(4) 消化された栄養分はどのようにして吸収されるか
観 察 |
教師の準備しておいた標本で,絨(じゅう)毛の構造を顕微鏡で観察する。 |
教師または生徒の代表による実験 |
中に塩水を入れて両はしを糸でくくった,ハツカネズミの腸を水の中に入れ,中から塩水が吸収されて外に出てくるようすを演示し,結果について話し合う。 |
教師の説明 |
吸収作用のしくみと,吸収された物質がどこへ送られ,どこにたくわえられるかについて掛図・摸式図などを用いて説明する。 |
(5) 栄養分やビタミンは,健康や成長にどんな影響を与えるか
話合い |
家畜などについて,与えた飼料の種類によって,その健康や成長などに影響を与えた経験について話し合う。 |
実 験 |
グループまたはクラブ活動でハツカネズミを数群に分け,質・量ともに異なる配合飼料で飼って比較し,その原因を考える。 |
教師の説明 |
家畜の飼料にはどんなことに注意しなければならないか,またそれはなぜかについて説明する。 |
研究と発表 |
家畜の健康を保ち生産量を増大するために,現在飼料にどのような改善・くふうが加えられているかを調べて発表する。 |
4.植物や動物は栄養について,互にどのように関係し合っているか
話合い |
植物と動物がおたがいに食物として依存し合っている様子について話合いをする。 |
野外観察 |
こん虫・鳥・魚・カエルが何をどのように食べているかについて野外で観察し,その結果を表にしてまとめる。 |
教師の説明 |
a.食物の種類に適応した消化器について説明する。 b.寄生と共生について説明する。 |
研究と発表 |
グループで次の問題の一つを選んで研究し発表する。 a.食物・衣服・住居などに与えるこん虫の害とその子防法 b.農場や森林における害虫の駆除と予防 |
訪問または見学と報告 |
篤農家や農事試験場を訪問して,農場では害虫をどのようにして防いでいるか話を聞き,結果を報告する。 |
計 画 |
家庭菜園の害虫駆除の計画をたてる。 |
(2) 炭素と窒素とは自然界をどのように循環するか
実 験 |
a.生物の呼吸によって生じた炭酸ガスを検出する。 b.炭素を含まない液で水栽培をしても,炭素化合物が植物体内にたくわえられることを確かめる。 |
講義と実験 |
アルコール発酵について説明し,演示する。 |
討 議 |
空気の組成が変化しない理由について討議する。 |
図表を描く |
自然界における炭素と窒素の循環を示す掛図を描く。 |
(3) 自然界で生物の数はどのようにつりあいがとれているか
研究と発表 |
グループで生物は子孫をどのように数多く繁殖させていくか(繁殖率)を調べて発表する。 |
話合い |
卵や種子の数がひじょうに多くつくられるにもかかわらず,成長した親の数があまりふえないのはなぜかについて話し合う。 |
図の作製 |
いろいろな動植物の食物の循環を示す図を描いて展示する。 たとえば, 人—カツオ—イワシ—幼魚—ミジンコ—ケイソウ—無機分(光合成) |
教師の説明 |
自然界で生物の数が平衡を保っているようすと,ときに動物の大発生の起る理由について,いろいろの視覚教材を用いて説明する。 |
話合い |
鳥が農業や林業にどのように有益であるかについて話し合う。 |
劇や紙しばいの作製と発表 |
鳥が害虫の駆除に役だつことを示す劇や紙しばいを作って発表する。 |
単元Ⅱ 生物はどのようにして生活活動の力を得るか
要 旨
単元Ⅰで学習した同化の過程において疑問として残される問題は,生物の体内にとり入れられた養分がどうなるかということであろう。われわれの消化器官によって消化吸収された養分は,血液中に取り入れられ全身に分配される。そして,組織細胞における異化作用によって放出されたエネルギーは,運動・熱発生・発光・発電など生活活動の諸相となって現われ,その結果不用となった物質を体外に排出する。この単元ではこれらに関する問題を追求していき,最後に,日常生活で経験する,疲労の問題について取り上げる。これは保健科でも取り上げるべき重要な問題であるが,ここでは,それの基礎的な理解を主眼としている。
この単元の学習には,動物材料による実験の機会が多く,生徒が興味を持って実験を計画し実施することが予想される。それだけに学習の効果も大きいが,動物材料による生理実験は,教師の慎重な注意と配慮がないと,生徒に生命軽視の観念を与えるおそれがある。したがって,生徒が直接手を下して動物の生命を奪うような機会はできるだけ避けたい。
さらに,この単元の学習を通じて得られた知識・理解が,ただそれだけにとどまらず,直ちに日常生活の上に反映し,正しい生活設計として現われてこなければならない。その意味において,保健科との関連をよく考えて指導する必要があろう。
目 標
2.呼吸が生活活動の力を生じる上にたいせつなことを理解する。
3.食物から得られた力はどんな生活活動として現われるかを理解する。
4.皮膚とじん臓のはたらきに関する知識を得る。
5.老廃物の排出をよくすることが,健康を保つ上にたいせつであることを認識する。
6.輸血が生命を救うためにたいせつであることを理解する。
7.生物学の法則を日常生活に応用し,仕事の能率を増進する能力を高める。
8.からだのいろいろなはたらきを正確に測定し,実験用具を正しく取り扱う技能を高める。
9.資料をさがし,これを有効適切に利用する能力を高める。
学習の範囲と順序,学習活動
方 法 |
学 習 活 動 |
話合い |
輸血や血液銀行のことについて話合い,中学校で学習した知識をもとにして,血液やリンパの役めについて復習する。 |
学習計画 |
血液について興味をもっている問題について,学習の計画をたてる。 |
教師の説明 |
血液とリンパのはたらきの概要を説明する。 |
(2) 血液とリンパはどのように循環するか
観 察 |
グループで次のことについて計画をたてて観察し,結果の発表や話合いをする。 a.小さな淡水魚やおたまじゃくしの尾,カエルのみずかきなどの毛細血管の中を血液が循環するようすを顕微鏡で観察する。 b.淡水魚の幼魚の心臓の搏(はく)動を顕微鏡で観察する。 c.ミミズ(ゴカイ)の背血管の血液循環を肉眼で観察する。 d.カエル・ネズミ・ザリガニなどの小動物の心臓や血管系の液浸標本を観察する。 |
測定と話合い |
次の測定をし結果について話し合う。 a.1分間の脈搏を数える b.聴診器を用いて心臓の搏(はく)動を数える c.血圧計を用いて上腕部の血圧を測定する |
研究と発表,教師の説明 |
参考書・解剖図・人体模型などによって,人やその他の動物の心臓と循環系の構造・機能を調べ,その結果を発表し,教師の説明を加える。 |
掛図・模型などの作製と展示 |
血液の循環を示す掛図・模式図・模型などを作って展示する。 |
(3) 血液はどんなものからなりたっているか
観 察 |
人やその他の動物の血液の染色プレパラートで,血液の細胞成分を顕微鏡で観察する。 |
教師による実験と説明 |
ウサギかネズミの血液をとり,試験管に入れて数時間静置した後,血清が血餅から分離したところを示し,説明する。 |
計算と図表の作製 |
血球計算装置を用いて,1立方ミリメートル中の赤血球の数を算定し,表やグラフにまとめる。 |
教師の説明 |
血液の組成・構造・物理化学的性状及びその機能について説明する。 |
(4) 血液にはどんな性質があるか
クイズコンテスト |
血液型・血液沈降速度・血液の凝固などについて,クイズコンテストをする。 |
教師の説明 |
標準血清A,Bによって赤血球の凝集の状態を調べ,血液型を決定することを図や写真を使って説明する。 |
実験の演示または見学 |
学校医などが血沈測定の演示をするか,生徒が病院などを訪問して見学する。 |
教師の説明 |
血液凝固学説,血液型とその遺伝などについて説明する。 |
報 告 |
血液のはたらきや性質を表・模式図等にまとめて報告する。 |
2.生活活動の力は呼吸によってどのように出されるか
観 察 |
人・カエル・カメ・フナ・トンボなどの呼吸運動のしかたを観察して,1分間に何回するか数える。 |
実 験 |
a.石灰水や水酸化バリウム水の中にいきを吹きこんで,白濁の生じるようすをためし,その理由を話し合う。 b.発芽しかけているマメ・花などを数時間,ガラス円筒に密閉しておいた後,ろうそくの火を入れて消えるかどうかためし,結果について話し合う。 |
発 表 |
生物がどのようにして酸素を取り入れCO2を排出するかについて発表する。 |
実験と発表 |
グループ別に次のどれかを実験し,その結果について発表や話合いをする。 a.淡水産のカイの水管のところへ,染色液の1滴を滴下して,外とうこう内を水がどのように循環するかを調べる。 b.キンギョのような小さな淡水魚を試験管内に入れて,いろいろの温度の水槽につけ,1分間のえらぶたの開閉数を数える。 c.いろいろな運動をしたあとと静かにしているときとの呼吸数をはかって比べてみる。 |
(2) 呼吸器官はどんなつくりになっているか
観 察 |
a.掛図や人体模型を用いて肺・気管・こう頭・声帯の構造を調べる。 b.肺の組織のプレパラートを顕微鏡で観察する。 |
教師の説明 |
次のことについて模型や図を用いて説明する。 a.動物の呼吸運動のしくみ b.人間の呼吸運動のしくみとその神経支配について c.人間の呼吸器系の各部分のやくわり |
測定と話合い |
各自の肺活量を測定し,肺活量の意義について話し合う。 |
問 答 |
次のことについて問答する。 a.不自然な姿勢や帯をかたく結んでいることはどんな害があるか b.日本の衣服はどのような点を改めたらよいか c.正しい呼吸のしかたをするにはどうすればよいか |
教師の説明 |
植物はどのようにして呼吸しているかについて説明する。 |
(3) 酸素はからだの中でどのように使われるか
問 答 |
次の問答をする。 a.長い間呼吸を止めていることができないのはなぜか,また,どういう場合に窒息するか b.生物はなぜ酸素を必要とするか |
講 義 |
生物がどのようにして生活エネルギーを得ているか,その化学的なしくみについて説明する。また,炭酸同化と呼吸との関係について説明を加える。 |
問 答 |
次の問題をする。 a.きれいな空気とはどのようなものか,また,人の多く集合するような室の空気はどのように変化するか b.炭酸ガスや一酸化炭素の中毒には,どんな場合にかかりやすいか |
実験と話合い |
煙を利用して,教室の通風を調べる。また,窓をいろいろの広さに開いておいて,その開きの程度と換気速度との関係を調べる。 |
報 告 |
次のことについて報告書を提出する。 a.室の空気を健康的にしておくにはどうしたらよいか b.マスクはどんな場合に使用すべきか |
実 習 |
教師の説明によって人工呼吸法の実習をする。 |
(4) 微生物が生活活動の力を得る方法は,大きな生物とはどのように異なるか
問 答 |
次の問答をする。 a.空気のないところで生活できる生物にはどんなものがあるか b.酒やビールはどのようにして醸造するか c.イーストを用いてパンをふくらませることのできるわけ |
講 義 |
無気呼吸や腐敗について講義する。 |
実験と観察 |
a.イーストを用いてパンを焼いてみる。 b.ブドウをつぶしてびんに密閉しておき,どう変化するかを調べる。 c.いろいろな酵母の野生種を顕微鏡で観察する。 |
見学と報告 |
ビール工場を見学し,専門家の説明を聞く。また,その結果について報告を書く。 |
紙しばいの作製 |
パストールの業績について紙しばいを作って発表する。 |
3.食物から得られた力はどんな形で外に現われるか
話合い |
動物や植物はどのようにからだを動かすかを話し合う。 |
観察と話合い |
a.上腕や足の筋肉とそのはたらきを外から観察する。 b.液浸標本についてカエルの筋肉を調べる。 c.カエル・ザリガニ・こん虫などの有紋筋や平滑筋の組織プレパラートを顕微鏡で観察する。 |
実 験 |
教師の演示またはグループで教師の準備したカエルのほうしょう筋やひちょう筋あるいはザリガニのはさみの筋の収縮の実験をする。 |
観 察 |
a.ハマグリのえらの片に人工海水を注ぎ,その縁のところの繊毛運動を顕微鏡で観察する。 b.原生動物のアメーバ状運動や繊毛運動を顕微鏡で観察する。 c.カタツムリ・ミミズ・サカナ・ヒトデ・イカ・ヘビ・カナヘビ・こん虫・鳥・コウモリなどのいろいろな型の筋運動を観察する。 |
討議と報告 |
上で観察した事がらについて討議し,報告書を出す。 |
(2) 生物はどのようにして熱を生じるか
問 答 |
激しい労働の後,熱発生の激しくなることなどについて問答する。 |
測定と作図 |
1日中の体温を時間をきめて測定し,グラフにまとめる。 |
研究と話合い |
いろいろな熱発生器官や発熱反応などについて参考書などで調べて話し合う。 |
講 義 |
次のことについて講義する。 a.発熱反応と吸熱反応 b.病気と体温との関係 c.体温の調節 |
(3) 人や動物はどのようにして音を出すか
話合い |
過去の経験に基いて人や他の動物がどのようにして音を出すか話し合う。 |
観察と話合い |
こん虫・鳥・けものなどの発音器の構造と機能などについて標本や模型について観察し,話し合う。 |
実験と発表 |
グループで声帯の模型を調べ,さらにいろいろな強ではった弦をはじいてその音を比べ,結果を発表する。 |
討 議 |
発音器の構造と,発音の生態的意義について討議する。 |
(4) 生物はどのようにして光を出すか
話合い |
過去の経験からいろいろな生体発光の例(ホタル・夜光虫・発光バクテリアなど)について話し合う。 |
培養と観察 |
イカや,くち木から取った発光菌を培養し,発光のようすを観察する。 |
教師または代表の生徒の実験 |
ウミホタルの冷水抽出液と温水抽出液を用いて,ルシフェリンとルシフェラーゼによってどのようにして光を出すかを実験して示す。 |
教師の説明 |
培養した発光バクテリアのいろいろな発光動植物の写真などを利用し,発光のしくみについて説明する。 |
討 議 |
発光の生態的意義について討議する。 |
(5) 生物はどのようにして電気を出すか
観 察 |
液浸解剖標本でシビレエイの発電器官を観察する。 |
講義(模式図・グラフなどを利用) |
次のことについて講義をする。 a.筋や神経の働作電流 b.心電図とその用途 c.脳波について |
見 学 |
特別に興味を持つ生徒は病院を訪問して心電図について見学する。 |
4.老廃物はなぜ排出しなくてはならないか
問 答 |
尿はどのようなものか,またそれはどのようにして排出されるかについて問答する。 |
観 察 |
a.ネコやブタのじん臓の液浸解剖標本を観察する。 b.じん臓の染色プレパラートを顕微鏡で観察する。 |
研究と話合い |
尿をつくりそれを体外に排出する器官の構造・機能を調べて話し合う。 |
測 定 |
1日に排出される尿の量をはかり,気候との関係を考える。 |
実験または研究 |
尿の色と身体の状態や病気との関係を調べる。 |
講 義 |
じん臓から尿が排出されるしくみについて講義する。 |
図表の作製 |
尿がどのようにしてじん臓からぼうこうを経て排出されるかを模式図にまとめる。 |
(2) 汗せんにはどんなはたらきがあるか。汗はどのようにして皮膚から排出されるか
話合い |
汗はどんなときに,どこからどのように出るかについて話し合う。 |
観察と話合い |
皮膚の断面プレパラートを顕微鏡で観察し,皮膚のしくみについて話し合う。 |
研究と発表 |
水と塩分の代謝について,また,汗の体温調節に対する役めについて調べて発表する。 |
教師の説明(図・写真・スライドなどを利用) |
人が驚いたり怒ったり,その他感情が安定しないとき,汗が心理的に排出されることについて説明する。 |
(3) 腸からはどのような老廃物が排出されるか。便通をよくすることは,健康にとってどんなにたいせつか
研 究 |
教科書や参考書を読んで,次のことを調べる。 a.大腸に送られた食物は,それからどのようになるか b.食べた食物が排出されるまでに,どれくらいの時間がかかるか c.食物中のセルロースはどんな役割を果すか |
研究と発表,教師の説明 |
消化器疾患や伝染病のときには便がどのように変るかを医師の話や本によって調べて発表し,教師が説明を加える。 |
報 告 |
正しい便通がなぜ健康にたいせつかを報告書にして出す。 |
5.われわれはどんなときに疲れるか。また,疲労をなおすにはどうすればよいか
話合い |
日常の経験に基いて,どんなときに疲労するかを話し合う。 |
研究と話合い |
疲労の原因について調べて話し合う。 |
実験と発表 |
カエルの神経筋標本を連続刺激して疲労曲線を描く。次にその結果を発表し,話し合う。 |
研究と記録 |
暗算を連続実施するなど,精神作業の能率の統計的記録を作り,結果について討議する。 |
講 義 |
筋肉性,精神性の疲労について説明する。 |
(2) どうすれば疲労をなおすことができるか
話合い |
疲労を回復するにはどうすればよいかについて話し合う。 |
研究と話合い |
グループで次の問題を選んで研究し,結果を話し合う。 a.どうすれば筋性疲労をなおすことができるか b.睡眠はどれだけとればよいか c.リクリエーションは疲労回復に役だつか d.アルコール・コーヒー・たばこ・その他の刺激興奮剤や麻酔剤は疲労をなおすのに役だつか |
(3) 疲労を防ぐことは,健康や安全を保つためにどんなにたいせつか
話合いと教師の説明 |
結核などのような病気は過労が原因で発病することについて話合い,教師が補足説明する。 |
研究と話合い |
疲労が,労働能率や災害発生率にどのように影響しているかを本や専門家の話で調べて話し合う。 |
計画 |
労働時間に休憩時間を入れることを合理的に計画する。 |
話合い |
次のことについて話し合う。 a.疲労とその回復の点から見て,現在の各自の生活にはどんな欠点があるか,またそれをどのように改めたらよいか b.健康を保持し,安全を守るために休暇をどのように送ればよいか |
単元Ⅲ 生物は外界の変化にどのように反応するか
要 旨
外界の変化に刺激されて,これに反応するのは生物のもつ重要な特徴の一つである。この単元では,単元Ⅱで学習した生活活動の諸相が,無意味になされるのではなく,環境との関連において,それに適応するようにはたらくことを理解しようとするのである。人類も他の動植物とひとしく,環境から刺激を受け,それに反応している。しかし,われわれは受動的に反応するばかりではなく,能動的に環境を改良する能力をもっている。さらに,適応のための機能に欠陥があるような場合にも,これを補う方法を知っている。
この単元の学習にあたっては,自己の感覚や反応を対象とする機会が多いので,生徒は非常に興味をもち,進んで創意をはたらかせくふうすることが予想される。また,環境条件などについて数量的取扱が行われやすい点でも多くの価値ある経験が期侍できる。この単元の学習を通じて,生徒の環境に対する考え方が進歩し,しかもこの学習が,そのままで終らないで,その理解がもとになって,日常生活における行動が環境に最も適応した形に改められなければならない。
この単元の指導にあたっては,単元Ⅱで述べたように,動物を材料とする実験の場合,動物に苦痛を与えるようなことはできるだけ避けたい。したがって,実験の価値と生命尊重の観念育成の基本的問題については,じゅうぶんに検討し,適切な準備と指導が望まれる。
目 標
2.動物と植物との刺激に対する反応についての知識を得る。
3.特殊感覚器官のはたらきとその保護に関する知識を得て,感覚器の健康を保つ能力を得る。
4.刺激が神経によって,どのように伝えられるかを理解する。
5.習慣はどのようにして形づくられるかを理解する。
6.自然を正確に,継続的に観察する能力を高める。
7.光・熱など環境条件が生物に及ぼす影響を理解する。
8.生物学上の法則を応用して環境を改良する能力と意欲を高める。
9.習慣を形成することの意味を理解する。
10.いろいろな器具を使って野外の研究を行う技能を高める。
11.科学的方法と態度を日常生活に応用する習慣をつくる。
学習の範囲と順序,学習活動
方 法 |
学 習 活 動 |
問 答 |
人に対するいろいろな刺激とその感じ方について問答し,既習の知識や理解を復習する。 |
実験と話合い |
次のような実験をし,味覚・きゅう覚・聴覚について話し合う。 a.食塩・砂糖・さく酸・塩酸キニーネなどの溶液を舌につけて味覚の分布状態を調べる b.きゅう覚の順応をためしてみる |
教師の実験 |
ザリガニ・カエルなどの平衡感覚の実験を示す。 |
測定と実験 |
a.視力と聴力を学級全員について測定し,その結果をまとめて統計表を作る。 b.一定の時間に,目をつぶっていて聞える音の種類を数えてみる。 c.皮膚における圧点・冷点・温点の分布状態を調べる。 d.体のいろいろな部分で両脚器を用いて,圧覚の鋭敏さをためす。 |
教師の説明 |
内部感覚(筋の緊張・飢餓・かわきの感覚)について説明し,感覚全体についてまとめる。 |
(2) 人や動物はどんな感覚器官をもっているか
話合い |
過去の経験に基いて感覚器について話し合う。 |
観 察 |
次のような観察をし,人や動物の目の構造について話し合う。 a.人・ネコ・イヌ・カエルなどの目の外部構造を傷けないように注意しながら観察する。 b.教師が準備した標本図で,カエルの目の断面を調べる。また,こん虫の目を鏡検する。 c.ミドリムシの眼点やプラナリアの目を鏡検する。 |
実 験 |
カメラと目の構造を比較研究する。 |
観 察 |
グループで次の一つを選んで観察し,結果を発表し合う。また全体で話し合う。 a.カエル・バッタ・コオロギの聴覚器を観察する。 b.サメの頭を買ってきてその内耳の構造を調べる。 |
教師の説明 |
次のことについて説明する。 a.目の構造と,その調節作用 b.耳の内部構造と耳管の機能 |
観 察 |
a.人体模型によって鼻の内部の構造を観察する。 b.標本や図によって舌や皮膚感覚器の断面を調べる。 |
報告と討議 |
上で研究した各感覚器の構造について報告討議し,掛図等を展示する。 |
研究と話合いまたは教師の説明 |
特殊感覚器の保護について調べて話し合うか教師が説明する。 |
(3) 感覚器が受け入れた刺激はどのようにして伝えられるか
研究と話合い |
感覚器によって受け入れられた刺激がどのように伝えられるかについて調べて話し合う。 |
教師の実験 |
カエルの筋神経標本を準備し,ピンセットなどを使っで刺激し,筋の収縮を演示し,それによって神経の伝導作用を示す。 |
教師の説明 |
神経の伝導作用について説明する。 |
観察と話合い |
次の観察をし,動物の神経系について話し合う。 a.カエルの解剖標本によって神経系全体の観察をする。 b.せき髄の断面をプレパラートや図によって調べる。 |
話合いと報告 |
上で研究した結果を話合い,掛図・図表等にまとめる。また,安全をはかるために反射がどんな意味をもっているかについて論文を書く。 |
(4) 感覚器の異常はどのようにして補うことができるか
統計調査 |
a.学級または全校の聴視覚上の異常を調査する。 b.全校でめがねをかけている人の数を調査する。 |
研究と発表,教師の説明 |
グループで次の問題について研究して発表し,教師が説明を加える。 a.目を安全に保護するにはどうしたらよいか b.視覚上の欠陥を補正するにはどうしたらよいか c.聴覚上の欠陥を補うにはどんな方法があるか d.その他の感覚器の異常と補正について |
読 書 |
聴視覚上の欠陥を克服した人の伝記を読む。 |
2.生物は刺激に対してどのように反応するか
話合い |
特別な感覚器を持っていない動物は外部からの刺激に反応するかどうかを話し合う。 |
実験と話合い |
ミドリムシの光に対する反応やゾウリムシの光・温度・電気および化学的刺激に対する反応を調べ,結果について発表や話合いをする。 |
討 議 |
植物に感覚があるかどうかについて討議する。 |
実験と発表 |
グループで次の問題を選んで実験によって調べ,結果について発表し,話し合う。 a.ソラマメやコマツナの芽や根が光・重力に対してどのように反応するか b.オジギソウの葉がどのように動くか c.ネムノキ・クローバー・カタバミなどの葉が明暗によって開閉することについて d.アサガオの茎やカボチャのつるがものに巻きつく運動や,サギゴケのめしべの触覚について e.チューリップやタンポポの就眠運動の原因や,モウセンゴケに食物を与えたときの反応について |
研究と話合い |
植物の運動のしくみと成長ホルモンのはたらきについて調べて話し合う。 |
討 議 |
上で学習したことをもとにして,生物の刺激反応性が生活にどのような意義をもつかについて討議する。 |
(2) 人や動物はどのようなしくみで運動するか
観察と話合い |
人・馬・鳥・魚などがどのように運動するかについて話合い,また実地に観察する。 |
観 察 |
a.人体模型によって,筋肉と骨格とがどのように関連して動くか調べる。 b.顕微鏡によって筋繊維のプレパラートを観察する。 |
研究と発表 |
次のことについて研究発表し,教師が説明を加える。 a.こん虫の外骨格と筋肉との関係について b.胃や腸の運動について |
観察または投影 |
貝のえらやカエルの上あごの粘膜で繊毛運動を顕微鏡で観察するか教師が投影によって示す。 |
映画またはスライドの観察 |
上で学習した事がらに関する映画やスライドを見る。 |
(3) どんな場合に反射が起るか
話合い |
無意識でする運動について経験を話し合う。 |
教師の説明(神経系の掛図・模型・標本などを利用) |
刺激はどのようにして伝えられるか(反射弓)を説明する。 |
実 験 |
a.膝関節のすぐ下のところを軽くたたいて,足がどのように動くかためしてみる。 b.懐中電燈で瞳孔(どうこう)を照らして,瞳孔が狭くなるようすを調べる。 |
討 議 |
人やいろいろな動物の反射運動は,生命を維持するのにどのように役だっているかについて討議する。 |
専門家の説明または見学 |
学校医などから,反射を診断にどのように応用しているかについて説明を聞く。 |
話合い |
生れたあとで(先天的ではなく)形成された反射について,経験を話し合う。 |
講 義 |
条件反射について講義する。 |
話合い |
どんな条件反射が形成されているか話し合う。 |
(4) 習慣はどのようにして形づくられるか
話合い |
人はどんなくせをもっているか。みんなに共通なくせや個人個人で違うくせについて話合いをする。 |
観 察 |
イヌ・ネコ・ニワトリなどのような家畜がどんなくせをもっているか観察する。 |
問 答 |
本能的な行動と,後天的に形づくられた習慣にはどんなものがあるかについて問答する。 |
実 験 |
動物が迷路をどのように記憶することができるかを実験する。 |
話合い |
スポーツなどで,どのようにして技術に上達することができるかを話し合う。 |
見 学 |
動物園などへ行って,動物がどのようにして訓練されるかを尋ねる。 |
講 義 |
条件反射はどのようにして形成されるかについて講義する。 |
研究と報告 |
良い習慣の意義と悪習慣をなおすための実際的の方法について報告書を提出する。 |
3.環境の変化は生物の生活にどのように影響するか
話合い |
次のことについて話し合う。 a.昼間よく活動する動物,夜間よく活動する動物にはどんなものがあるか b.環境とよく似せて身体の様子を変える動物にはどんなものがあるか c.同じ植物でも日なたと日かげではその成長の様子がどのように違うか |
問 答 |
上で話し合ったような変化の原因について問答する。 |
実 験 |
グループで次の問題のどれかを選んで実験する。 a.メダカ・フナ・ドジョウなどが,水の澄んだところと濁ったところでどのように体色を変化させるか b.ヤモリがいろいろの背景の色に対してどのように体色を変化させるか c.タンポポの花や,ネムノキ・オジギソウなどの葉が,昼と夜とでどのように運動するか d.コマツナやソバの成長のようすが,日なたと日かげでどのように変化するか e.エンドウやダイズをおがくずを湿らせた中にまき,そのとき与える水の量によって成長のしかたはどのように変化するか f.カタツムリやナメクジは湿度の多少によってどのように行動するか |
報 告 |
上の実験の報告書を書く。 |
発表と討論 |
上の研究結果を発表し,生徒と教師はこれを批評して,なにかむずかしい点があれば教師が説明する。 |
映画またはスライド |
高山植物や海浜植物が普通の植物とどう違うかについて,映画やスライドを見る。 |
講 義 |
長日植物・短日植物について講義する。 |
研究と話合い |
いろいろな植物群落の形成される様子やその理由について研究し話し合う。また,教師が補足説明する。 |
教師の説明 |
陸封魚類やライチョウなどの分布が限定されている理由について説明する。 |
野外観察と発表 |
グループで野外の植物の生活を観察し,環境との関係について調べて発表する。 |
見 学 |
a.養鶏場・養狐場・養魚池・養蚕所を訪問して,どのようにして飼養し,繁殖させているか調べる。 b.温室を訪問して,季節はずれの野菜がどのようにして栽培されているか調べる。 |
(2) 生物の生活様式は季節によってどのように変化するか
研究と話合い |
次のことについて調べて話し合う。 a.動物の冬眠や,鳥の渡りや,魚の回遊について b.上のような現象がどのように,またどんな理由で起るか |
資料の展示と映画 |
渡り鳥の標本・写真・映画などを見る。 |
観察または資料研究と発表 |
グループで次のどれかについて研究し,結果を発表する。 a.渡り鳥,たとえばガン・ツグミ・ツバメ・チドリなどがいつやってきて,いつ帰るかを調べる b.カエル・ヘビ・トカゲなどのはじめて目についた日と,最後に見かけた日を調べる c.いろいろのこん虫についても同じことを調べる d.植物の越冬の様子(生活形,落葉樹と常緑樹,多年草と一年草)と,それらの割合を調べる e.リス・ヤマネ・コウモリなどの冬眠について調べる |
図表の作製 |
a.鳥の渡りや魚の回遊の径路を示す図表を描く。 b.年間気温変化・雨量・日照時間などのグラフを描く。 c.花や野菜の種まきや移植の適期を示す生物暦を描く。 |
教師の説明 |
生物は悪い季節にどのように環境に適応して安全に生活することができるかを説明する。 |
作文または紙しばいの作製 |
「わが郷土の四季」その他の題目で作文をしたり,紙しばいを作ったりして発表する。 |
(3) 生物は不利な環境にどこまで耐えることができるか
話合い |
生物は,どのような条件のもとでは生存することができないかについて話合いをする。 |
研究と発表 |
a.作物の栽培限界温度・栽培限界・鉱毒や煙害などについて調べて発表する。 b.日射病・凍傷・凍死の原因について調べて発表する。 |
図表の作製 |
健康を保持するための,環境条件の許しうる限度を表わす図表を描く。 |
4.環境にいっそうよく適応するために,人はどのように環境を管理すべきか
話合い |
われわれの体温と気候との関係について話合いをする。 |
測 定 |
a.30分ごとに体温を測定して1日中の体温の変化を調べ,グラフにまとめる。 b.カエルを暖めたびんに入れたときと,冷やしたびんに入れた場合とで体温がどのように違うか比べる。 |
研究と話合い |
皮膚のはたらき,特に汗せんのはたらきについて調べて話し合う。 |
実 験 |
グループで次の問題のどれか一つを調べる。 a.激しい労働やスポーツをした後,からだの状態(たとえば,脈はく・呼吸・体温・発汗など)がどのように変化するか b.暑いときと寒いときとで,からだの状態(たとえば,とりはだ・青い顔色など)がどのように変化するか c.一定の温度の湯をびんに入れて,いろいろな布片で包んだり,はだかのままにしておいたり,またはぬらしたガーゼで包んだりした場合,そのびんの中の水の温度がどのように変化するか |
発表と討議 |
上の実験の結果をまとめて発表し,全体で討議する。 |
問答と説明 |
体温の調節について問答しながらいくつかの項目にまとめて説明する。 |
(2) 健康を維持するために家や着物をどのように管理すればよいか
話合い |
日常生活の経験に基いて,わが国の住居や衣服の長所や短所について話合いをする。 |
調査と測定 |
a.煙を用いて室の通風を調べたり,各室の日あたりについて調べる。 b.室の温度や湿度を測定する。 c.気温と風速を測定し,体感温度との関係を調べる。 d.いろいろな衣服を着て気温と発汗の状態との関係などを調べる。 e.ある季節にどのような衣服を着ている人が多いかを調べ,その当否を批判する。 |
報 告 |
各自の住居の日あたりや換気をどのように改善したらよいかについて図を入れた報告書を書く。 |
教師の説明 |
日射病・凍傷・凍死などの原因と処置について説明する。 |
話合い |
季節の変化に適応するには,住居や衣服をどのように改善したらよいかを話し合う。 |
(3) 人は環境を支配することによって,その住む領域をどのように広げることができるか
問 答 |
いろいろな動植物はどこまで悪環境に耐えられるか,(2)で学習したところを復習するために問答する。 |
研究と発表,教師の説明 |
次のことについて研究し発表する。また,教師が説明を加える。 a.人が温度・気圧・湿度・酸素・一酸化炭素などについて,特に悪い環境でどのようにして生活していけるか(たとえば,成層圏飛行・さばく・極地・熱帯・海底・炭坑など) b.さばくや密林の悪条件をどのうに改良することができるか(たとえば,さばくの灌漑(かんがい)・熱帯病の予防の研究など) |
説明と展示 |
人類が自然の猛威といかに戦っているかについてスライド・写真・映画によって教師が説明し,この問題研究のまとめをする。 |
単元Ⅳ 生物の種族はどのように保たれているか
要 旨
単元Ⅰ〜Ⅲでは生物の個体保存のはたらきについて学習してきたのであるが,個体の生命は永遠ではない。ここに種族保存のためのはたらきが問題となるのは自然である。種族の特徴を保ちながら,親から子へと生命が受け継がれていくことは,高等学校生徒の年齢層のもつ共通的な疑問と興味であろう。この単元では,生物の生殖・発生・遺伝に関する現象を取り上げ,その間に見られる法則性を理解するとともに,生物の保護・増殖・品種改良などの原理と方法について理解するのである。
この単元の学習には,長期にわたる継続観察や,種々の実験・調査および,その結果の統計的処理が含まれるであろう。こうした経験は,科学的方法を身につけるために大きな効果をもっている。そして,学習の全過程を通じて,科学がいかに人類の福祉と発展のために寄与してきたかを認識し,みずからも貢献するところあろうとする意欲を高めることが期侍されなければならない。
この単元は,実際の飼育・栽培などによる実験を含んでいるから,学年の初めに導入することもよい。また,生物班のようなクラブ活動と連携して行うことが便利の場合もあろう。さらに,前年度から継続の資料を利用することも必要であろう。
また,性に関する知識と理解は,生徒の発達の段階に即応して,材料の選択と,説明の程度の考慮が必要であり,さらに,人類の遺伝に関しては生徒に不当な劣等感を与えないためのじゅうぶんな考慮が払われなければならない。
目 標
2.植物や動物の発生のいろいろな段階を理解する。
3.植物や動物の特徴がどのように子孫に伝えられるかについての知識を得る。
4.栽培植物や飼育動物の品種を改良したり,その数をふやしたりする方法を理解する。
5.生命を尊重する態度を養う。
6.生命現象を要素や,構成因子に分析する能力を高める。
7.生物学上の法則を日常生活に応用する能力とその習慣を養う。
8.統計表,とくに遺伝に関するものを理解したり利用したりする能力を高める。
9.人類の福祉のために生物学者の行った研究の価値を認識し,人類の福祉のために寄与しようとする意欲をもつ。
学習の範囲と順序,学習活動
方 法 |
学 習 活 動 |
問 答 |
いろいろの動物の寿命と,親が子の世話をすることの関係について問答する。 |
話合い |
鳥や獣がどのようにして子を育てるかについて話合いをし,教師は映画やスライドを用いて説明を加える。 |
研究と発表 |
次のことについて調べて発表する。 a.魚・カエルなどの産卵やふ化について b.産卵数と親が子に対する世話のしかたとの間にどんな関係があるか |
計 画 |
鳥がひなを育てるようすを観察する計画を立て,実施する。 |
訪 問 |
動物園・研究所・鳥獣店などを訪問して,動物の親が子の世話をどのようにするか話を聞く。 |
(2) 植物はその種族をふやすためにどんな準備をしているか。種子はどのようにしてできるか。こん虫・風などは種子を結ばせるのに,どんなに役だっているか
話合い |
動物で得た知識に基いて,植物の繁殖のしかたについて話合いをする。 |
実 習 |
a.いくつかの植物について一株の種子の数を数える。 b.カキ・ソラマメ・コムギなどの種子を解剖してその構造を調べる。 |
問 答 |
上の実習で得た結果について問答する。 |
観 察 |
カボチャ・ユリ・アサガオなどの花粉やはいしゅを顕微鏡で観察する。 |
教師の説明 |
掛図や顕微鏡投影によって,花粉や卵細胞がどのようにして形成されるか,また,花粉が発芽してどのように卵細胞と合体するかを説明する。 |
問 答 |
花の咲かない植物はどのようにして繁殖するかについて問答する。 |
観察と話合い |
シダ・コケ・キノコ・カビなどの胞子を顕微鏡で観察し,それがどのように発育するかを話し合う。 |
教師の説明 |
シダ・コケ・接合藻類の生活環境について説明する。 |
訪問と報告 |
醸造工場やシイタケ栽培場を訪問して,どのようにして微生物やキノコが栽培されるか見学し,報告書を提出する。 |
(3) 細菌やかびなどが急激にふえるのはなぜか
話合い |
食物が腐ったり,かびがはえたりするような日常の経験について話合いをする。 |
実 験 |
a.寒天培養基で,いろいろな温度の違いのもとで,細菌を培養し,はえ方を比べてみる。 b.パンをいろいろな程度に湿らせて,その上でかびを培養し,そのはえ方を比較する。 |
観 察 |
上の培養で得られたかびや細菌を顕微鏡で観察する。 |
教師の説明 |
かびや細菌はどのようにして繁殖するかについて説明する。 |
討 議 |
かびや細菌を防いで,食品を保存するにはどうしたらよいかについて討議する。 |
(4) 園芸植物をふやすにはどのような方法があるか
話合い |
ダリア・キク・ジャガイモ・イチゴなどをどのようにしてふやすかを話し合う。 |
教師の説明 |
さし木・つぎ木・とり木の方法について説明する。 |
実 習 |
グループで次のどれかについて実習し,結果について発表する。 a.ヤナギの小枝から,芽や根がどのように出てくるか調べる b.キク・サツマイモ・クワ・イチジク・ツツジなどのさし木をする c.ダリア・ユリ・オモトの球根を植える d.アサガオやサツマイモのつぎ木をする e.クワ・カキ・フジなどについて,できれば成長ホルモンを用いてつぎ木をする |
展 示 |
上の方法でふやした植物を展示する。 |
問 答 |
種子によらない繁殖の方法が,どのように園芸で利用されているかについて問答する。 |
見 学 |
農事試験場や林業試験場を訪問して話を聞く。 |
(5) サケ・マスなどの有用な淡水魚をどのようにしてふやすか
問 答 |
サケ・マス・コイその他有用な魚の減少を防ぐにはどうしたらよいかについて問答する。 |
研究と発表 |
人工受精・人工ふ化・幼魚の養殖について調べて発表する。 |
映画・スライド |
上の内容の映画やスライドを見る。 |
見 学 |
養魚場・水産試験所などを訪問して,どのようにして魚を増殖しているかについて調べる。 |
2.卵はどのようにして親になるか
話合い |
ニワトリの卵をあたためたり,おたまじゃくしを飼った経験について話合いをする |
観 察 |
グループで次のような動物の卵の発生を観察し,記録をとる。 a.カエルの卵の分割を継続的に観察して記録をとる b.メダカの卵の発生を継続的に観察する |
実 験 |
ニワトリの卵の一端に窓をあけて雲母でおおい,ふ卵器の中であたためて,その発生を観察・記録する |
展 示 |
a.ウニ・ナメクジウオ・イモリ・ニワトリの発生段階図を展示する。 b.上の動物の発生標本を顕微鏡投影によって見せる。 c.鳥・魚・けものの発生段階を示す液浸標本を展示する。 |
教師の実験と説明 |
ウニの受精を演示し,顕微鏡投影などによって説明する。 |
報告・討議 |
上の学習の結果を発表し,討議する。 |
教師の説明 |
発生のしくみについて説明する。 |
(2) ある種の動物はどのように変態するか
話合い |
こん虫やカエルの変態について知っていることを話し合う。 |
飼育と観察 |
こん虫・プランクトン・その他の節足動物を採集し,これを飼って変態のしかたを観察・記録する。 |
映画・スライド |
カ・セミ・チョウの変態を示す映画やスライドを見る。 |
実 験 |
こん虫やカエルの幼生を飼って,環境条件が変態にどんな関係があるか調べて記録をとる。 |
教師の説明 |
節足動物・軟体動物・環形動物の幼生を比較して,その系統上のつながりについて図を用いて説明する。 |
整理と発表 |
前に行った飼育や観察の結果を,機会を見て発表し,話し合う。 |
(3) 種子はどんな条件のとき,どのように発芽するか
話合い |
植物の種子の役めや,種子の発芽についての経験について話し合う。 |
実 験 |
いろいろな種類の植物の種子をまいて,いろいろな温度のもとに発芽率を算定し,最高・最低・最適温度を定めるなど,温度や水分などについて発芽の最適条件を調べる。 |
研究と話合い |
主要作物の発芽の最適条件について調べて話し合う。 |
野外観察 |
雑草の種子がいつ生じて,いつ発芽するか野外で観察する。 |
実 験 |
グループで次の実験をし,結果の発表や全体の話合いをする。 a.麦芽によってでんぷんが糖化することを調べる b.植物の呼吸熱について調べる c.発芽しかけているコムギの種子からでんぷんをとって顕微鏡で観察し,しだいに欠けていくところを見る |
(4) 動物や植物の成長や変態を支配する物質は何か。また,その物質はどのように農業に利用されるか
話合い |
動物や植物の成長や変態を支配する物質について,いままでに知っていることを話し合う。 |
教師の説明(写真・図・標本などを利用) |
植物の成長ホルモンやこん虫の変態ホルモンについて説明する。 |
実 験 |
植物を成長ホルモンで処理した後,さし木をする。 |
研究と発表 |
成長ホルモンが農業にどのように応用されているかを研究し発表する。 |
3.生物の種族の特性はどのようにして保たれるか
問 答 |
遺伝とはどういうことか,生殖細胞はどのようにしてつくられるか,核分裂の際,核はどのような行動をとるかなどについて問答する。 |
討 議 |
親から子に伝えられて遺伝にあずかる物質は,どこに存在するかについて討議する。 |
教師の説明 |
減数分裂と受精によって,染色体・遺伝子が組み合わされたり分離したりする様子を説明する。 |
観 察 |
ショウジョウバイその他の双し類の幼虫のだせん染色体のプレパラートを顕微鏡で観察する。 |
討 議 |
遺伝の研究材料にはどんな生物が適当かについて討議する。 |
教師の実験または説明 |
アサガオやトウモロコシの交配の方法を演示または説明する。 |
実 習 |
アサガオ・トウモロコシ・メダカなどについて交配の実習をする。 |
(2) 遺伝の様式は性によってどのように影響されるか
話合いと教師の説明 |
動物または植物の性比や性がいつ決定されるかについて話合い,教師が補足説明する。 |
教師の説明 |
次のことについて説明する。 a.性はどのようにしてきまるか b.ショウジョウバイの目の色の遺伝のしかた |
資料の調査と問答 |
a.学校の身体検査の結果に基いて,色盲が男子には比較的多くて女子にはまれであることを知る。 b.上の理由について研究し,問答や発表をする。 |
話合い |
色盲の人は職業を選択する際,どういう点を考慮したらよいかについて話し合う。 |
(3) 個体の表わす特徴は環境の影響で変化するか
観察・測定と話合い |
限られた場所にはえた植物の高さや重さを測ったり,同じ両親から生れた個体の身長・体重,1本のマツの枝についている葉の長さなどを測って,このような個体変異の起る理由について討議する。 |
実 習 |
ソラマメの長さ,シオンの花弁の数,同じ畑からとれたジャガイモの重さなどをはかってグラフを作る。 |
発表と話合い |
上の学習で得られた結果を,グラフや標本を展示しつつ発表し,個体変異がどんなふうに起るか話し合う。 |
講 義 |
純系と個体変異について講義する。 |
問答と研究発表 |
遺伝子は人為的に変化するかどうか問答し,物理・化学的刺激によって起る人工突然変異について研究し,発表する。 |
教師の説明 |
天然に起る突然変異の例について説明する。 |
(4) 遺伝のしかたには,どんな法則があるか
問 答 |
次のことについて問答する。 a.植物はどのような方法で交配されるか b.遺伝の研究に貢献した生物学者にはどんな人がいるか |
教師の説明(掛図・表・模式図・標本等を利用) |
メンデルの遺伝法則について説明する。 |
演 習 |
遺伝の法則に関する問題の演習をする。 |
問 答 |
分離の法則の例外的な例と,その理由について問答する。 |
教師の説明 |
連関と染色体地図について説明する。 |
問答(復習) |
色盲の遺伝,ショウジョウバイの眼色の遺伝,血液型の遺伝について問答する。 |
講 義 |
血液型の遺伝の法則について講義する。 |
4.遺伝の法則は人生にどのように応用されるか
話合い |
過去の経験に基いて,人の育てた生物と野生のものとの違いについて話し合う。 |
収集と展示 |
ニワトリ・ハト・ブタ・キンギョその他いろいろな花などの家畜や園芸植物が,どのような原種からつくられたものであるかを示す絵を集めて展示する。 |
研究と発表 |
次のことを調べて発表する。 a.飼育・栽培されている動植物にはどんな性質があるか b.飼育・栽培されている動植物はどんなに役にたつか |
スライド・映画 |
ここでの学習に関連のあるスライドや映画などを見る。 |
(2) 役にたつ動物や植物は,どのようにして改良されるか
問 答 |
有用な生物の品種改良について問答する。 |
研究と発表 |
グループで選択・交配・人為突然変異・倍数性などについて選択研究し,発表や話合いをする。 |
専門家の説明と見学 |
専門家を訪問するか招待して,つぎ木やさし木が有用な植物をふやすのにどのように役だっているか尋ねる。また実地に見学する。 |
読 書 |
バーバンクのような有用生物の品種改良に大きな貢献をした人の伝記を読む。 |
講義(掛図・写真・スライド等を用いる) |
品種改良の原理と方法について講義する。 |
(3) 精神的にも肉体的にもわれわれの健康を増進するために,遺伝の法則はどのように応用されるか
話合い |
指紋・色盲・血液型・近視など,人の遺伝形質について話合いをする。 |
研究と発表 |
次のことを調べて発表する。 a.人の形質(病的でないもの)の遺伝の様子 b.色盲・血液型・血友病・精神病など人の病気や奇形の遺伝について c.優良家系について |
調査と話合い |
優生学と純潔,遺伝に関する迷信などについて調べて話し合う。 |
教師の説明または報告 |
国民の健康と遺伝との関係について教師が説明するか,生徒が研究して報告書を提出する。 |
単元Ⅴ 日本人はどのような病気にかかることが多いか。また,このような病気はどうしたら避けられるか
要 旨
これまでの単元では,栄養,生活活動のエネルギー,環境の変化に対する反応,種族保存のしくみなど,おもに正常の状態について学習を進めてきた。しかし,われわれの身辺には日常いろいろな病気が起って生命の安全を脅かしている。そして,だれもが何とかして病気からのがれたいと願っている。したがって,病気はなぜ起るか,どのようにすれば病気から避けられるか,また,どのようにすれば病気をなくすることができるか,などの問題は生徒の重大関心事でなければならない。
学習にあたってはまず生徒の経験から出発して,日本人のかかりやすい病気をひととおり見わたし,わが国の結核の特殊性を認識し,また,広く病気が人の成長や活動に密接な関係のあることを理解し,次いで,伝染病の病原体や寄生虫がどのようにして人体を害するかについて理解し,伝染病の予防や治療のための免疫の原理,寄生虫病や伝染病などの防除・撲滅対策の基礎を理解する。
この単元の学習が身につけば,保健上無意味な習慣や迷信が正しく批判され,健康保持のための日常の生活態度が科学的に改められ,また,健康的な社会をつくるための協力の意欲がわいてくることが予想される。
学習活動の中で病気に関する科学書を読みこなし,統計資料を集めて正しい解釈を下し,自由に使いこなす能力を高める練習が望ましい。また,内容の性質上,保健科・社会科との関連を密接にして指導する必要がある。
目 標
2.伝染病や寄生虫病の原因と,その伝染の道筋についての知識を得る。
3.病気の予防と治療とについての知識を得る。
4.伝染病を防ぐためにワクチン・トキソイド・血清がどのように役だつかを理解する。
5.健康的な習慣の重要性について認識する。
6.伝染病を防ぐために,社会人としての責任の重要性を認識する。
7.日常生活を科学的に,健康的におくろうとする態度を養う。
8.科学的な事実を尊重し,これによって迷信を正す態度を養う。
9.病気に関する科学書や統計表を理解し,納得するまで読みこなす能力や態度を養う。
学習の範囲と順序,学習活動
方 法 |
学 習 活 動 |
話合い |
これまでの経験に基いて日本人のおもな死因について話し合う。 |
研究と話合い |
a.日本人および外国人のおもな死因についての統計表を集める。 b.集めた統計表に基いて,日本人のおもな死因および季節と死因との関係を調べる。 c.日本人と外国人の死因を比較する。 |
研究と発表 |
おもな死因について,それが伝染性のものであるかどうか,また,どんなときにかかりやすいかをグループごとに研究し,発表した結果について全級生徒で話し合う。 |
(2) 青年はどんな病気にかかりやすいか
話合い |
経験や知識をもとにして,青年のかかりやすい病気について話し合う。 |
研究と話合い |
学校の身体検査の統計表やその他の資料をもとにして,青年の病気の傾向を調べて話し合う。 |
教師の説明 |
次のことについて説明する。 a.青年に多い疾病について b.結核・神経衰弱などが青年に多い理由について |
(3) 結核は健康をどのようにむしばむか
話合い |
a.前に調べた資料に基いて青年の結核の実態について話し合う。 b.自分たちが結核の予防や診断のためにどんなことをしてもらったか話し合う。 |
教師の説明(スライド・掛図・写真・その他の資料を利用) |
次のことについて説明する。 a.結核の病原体・感染・発病・症状などについて b.ツベルクリン反応・赤血球沈降速度・レントゲン検査・たんの検査・BCG接種などの意義について c.正しい結核の治療法について |
見学と報告 |
保健所・病院などを訪問して結核の予防や治療の実際を見学し,専門家の説明を聞き,報告書を提出する。 |
計 画 |
結核を予防するためにどんなことをしたらよいか計画を立て,できるだけ実行に移す。 |
展示または演出 |
結核予防週間その他の結核の行事と関連して,結核予防のポスターや写真・模型・標語などを作製し,作品を展示する。また,紙しばいなどを作って実演する。 |
(4) 歯はどのような場合に悪くなるか。また,どうしたらそれを予防できるか
話合い |
むし歯がどのように欠けていくか,どんな治療を受けたかについてこれまでの経験に基いて話し合う。 |
掛図・模型などによる研究 |
むし歯の標本・模型・掛図などを見て,むし歯の進んでいく順序について話し合う。 |
研究と発表 |
グループでむし歯の原因・予防・食物との関係・手当などについて調べて発表し,全体で話し合う。 |
専門家の説明 |
歯科医から歯の病気とその予防や治療について説明を聞く。 |
計 画 |
歯をじょうぶに保つための具体的な計画を立ててその実行にとりかかる。 |
(5) 社会にはどんな病気(通常死因とはならない)が多いか。また,それは1年を通じていつごろに多いか
話合い |
次のことについて話し合う。 a.かぜ・下痢・胃腸カタルなどのような直接死因にならないが社会によく起る病気の種類や病状などについて b.職業や地域などによって病気の種類にどのような特徴がみられるか |
研究と発表,教師の説明 |
グループで上で調べたような病気について次のことを調べ,結果を発表する。また,教師は説明を加える。 a.病気の原因と症状 b.かかりやすい季節 c.予防と治療 |
話合いと計画 |
郷土ではいつごろどんな病気が多いか調べ,その原因や予防について話合い,それらを改善するための計画を立てる。 |
2.病気は人体のつくりやはたらきにどのような影響を与えるか
話合い |
次のことについて話し合う。 a.病気をしたために発育が遅れた経験について b.人体の成長を妨げるような病気にはどんなものがあるか c.不完全な食事は人体の成長・発育にどんな影響を与えるか |
教師または専門家の説明 |
a.小児まひ・脳膜炎・その他あとまで異常の残る病気の原因・症状・予防・治療などについて説明する。 b.内分泌障害による発育の不完全について説明する。 |
研究と話合い |
次のことについて調べて話し合う。 a.自分たちの発育をいっそうよくするために,どんな注意や生活の改善が必要か b.乳幼児の円満な発育のための保護はどのようにすればよいか |
(2) 病気は人体の栄養や活動や感情などにどんな影響を与えるか
話合い |
自分の病気や,家族の病気を看病した経験に基いて,病名や体温・脈はく・呼吸・気分・その他の症状を話し合う。 |
教師の説明 |
次のことについて説明する。 a.病気にかかると器官のはたらきがどのように変るか b.消化器の健康でない人は栄養にどんな障害があるか。また,このような人はどんな注意をしなければならないか |
話合い |
次のことについて話し合う。 a.病気は仕事や勉強の能率にどんな影響を及ぼすか b.災害はどのような健康状態のときに多く起るか |
訪問または専門家の説明 |
健康と仕事の能率や災害との関係について,工場・作業場などを訪問して健康管理者や医師の話を聞く。 |
話合い |
a.健康のすぐれないときや病気のときには感情の動きがどのように違うか経験を話し合う。 b.病気のためにしばしば勤務を休まなければならないような人は,社会にどのような迷惑をかけているかを話し合う。 |
3.病気の原因となる微生物や寄生虫は,どんな性質をもっているか
問 答 |
有益な細菌や有害な細菌にはどんなものがあるか問答する。 |
教師の説明 |
いろいろな有益な細菌や有害な細菌のプレパラート・掛図・写真などを見せて説明する。 |
研究と発表,話合い |
グループでいろいろな病原体について,その形や性質などを調べて発表し,全体で話し合う。 |
問 答 |
単元Ⅳで学習した細菌やカビのふえ方,培養法,食物の貯蔵法などを思い起して問答する。 |
研究と発表 |
次のことについて調べて発表する。 a.いろいろな消毒の方法について b.各種の消毒器・消毒薬のつくり方や使い方について c.微生物の利用法(たとえば,酒類・みそ・しょう油などの醸造,ペニシリンやストレプトマイシンの製造など) |
実 習 |
自分で消毒薬をつくって不潔になりやすい所の消毒を実施する。 |
見 学 |
醸造工場や製薬工場を訪問し,前に調べたことについての実際を見学し,専門家の話を聞く。(場合によっては映画・スライド・写真などを見る。) |
報 告 |
見学の結果について話合い,報告書を提出する。 |
(2) 細菌はどのようにして人から人へ伝わるか。また,それはどのようにして病気の原因となるか
問 答 |
伝染病の病原体が人体に達するにはどんな径路があるかについて問答する。 |
研 究 |
グループでいろいろな伝染病について,病原体が人体に達する道筋・発病・症状・致死率などについて研究する。 |
発表と話合い,教師の説明 |
上の研究結果を発表し,全体で話し合う。また,教師は足りない点を補説し,全体をまとめる。 |
ポスターの作製,映画とスライド |
伝染病予防の知識や理解を深めるためのポスターや標語を作製して展示したり,あるいは映画やスライドなどをみる。 |
話合いと計画 |
伝染病から身を守るために,社会生活や家庭生活で今後どんな点を改善したらよいかを話合い,計画を立てて実行に移す。 |
(3) 寄生虫にはどのような種類があり,また,それは人体にどんな害を与えるか
話合い |
寄生虫に寄生された経験や,人体の寄生虫にはどんなものがあるかなどについて話し合う。 |
教師の説明(標本・写真・絵・スライドなどを利用) |
次のことについて説明する。 a.寄生虫の種類・感染径路・症状などについて b.寄生虫の生活状態,特殊な生活に対する適応などについて |
資料の収集と話合い |
いろいろな寄生虫病について,特に多い地域や国民の罹患率などの統計を集める。また,自分の学校の寄生虫病の統計表と比較し,統計からわかった事がらについて話し合う。 |
研究と見学 |
地方病のある地域ではグループでそれの病因・感染径路・症状・予防や治療の方法などを調べる。あるいは保健所・病院・研究所などを訪問し,地方病について上の事がらに関する資料を見せてもらったり,話を聞いたりする。 |
発表と報告 |
上の研究結果をグループごとに発表し,また報告書を書く。 |
(4) 寄生虫はどのような道筋を経て人から人へ伝わるか。また,寄生虫がからだの中にいることを検査するにはどうすればよいか
問 答 |
カイチュウその他の寄生虫の寄生していることを検査するにはどうするかについて問答する。 |
教師の説明と実験 |
検便によって寄生虫卵を見つけだす方法を説明する。場合によっては教師あるいは生徒がその方法を行ってみる。 |
統計の作製と話合い |
a.保健所などと連絡して生徒の検便を行い,その結果を統計的に整理する。 b.統計の結果について,どのような原因でこのような結果が出たか,日常生活を反省して話し合う。 |
研究と話合い |
前に学習した感染径路から寄生虫の予防について調べて話し合う。 |
教師の説明 |
寄生虫の駆除の方法および薬品の正しい使い方について説明する。 |
計 画 |
生徒各自の寄生虫の駆除と予防について計画を立てて実行する。 |
4.病気はどのようにして予防し,治療することができるか
話合い |
予防注射の経験や,ペニシリン・ストレプトマイシンなどについて知っていることを話し合う。 |
講 義 |
次のことについて講義する。 a.伝染病の予防と治療の方法はどのように進歩し,現在どのように研究されているか b.予防や治療がほとんど不可能な病気にはどんなものがあるか |
資料の収集と話合い |
各種の薬の広告を集め,これを適応症・用い方その他によって分類し,それについて話し合う。 |
話合い |
最近になって予防や治療が急に進歩した病気にはどんなものがあるかについて話し合う。 |
(2) 病気はどうすればなおるか。また,薬は病気をなおすのにどのような役にたつか
話合い |
これまでの経験に基いて,病気はどうすればなおるか,病気の種類や治療法の大要について話し合う。 |
教師の説明 |
a.伝染病や炎症などの病理を説明し,その治療のために薬はどんなはたらきをするかを説明する。 b.病気の治療,伝染病の予防,病原体の撲滅などについて,薬のはたらきを説明する。 |
話合いと報告 |
薬の果す役割やその正しい使用法について話合い,また報告書を書く。 |
(3) 免疫とは何か。ワクチン,トキソイド・血清をどのように利用すれば病気の予防や治療ができるか
話合い |
ワクチン・トキソイド・血清などの注射をうけた経験について話し合う。 |
教師の説明(掛図・図表・写真などを利用) |
次のことについて説明する。 a.免疫・抗元・抗体の原理 b.ワクチン・トキソイド・免疫血清などの製法 (場合によってはワッセルマン反応・ウィダール反応などについても説明する) |
読 書 |
パストゥール・ジェンナー・北里などの細菌学者の伝記を読む。 |
見 学 |
伝染病研究所・保健所などを見学し,病気の予防・治療について専門家の話を聞く。 |
(4) 健康をおびやかす寄生虫やこん虫を絶滅するにはどうすればよいか
話合い |
次のことについ話し合う。 a.寄生虫や伝染病を媒介するような有害なこん虫にはどんなものがあるか b.これらを絶滅して地域社会の衛生状態をいっそうよくするためにはどんな協力が必要か |
野外調査と計画 |
グループで近所のハイ・カ・シラミ・ノミ・ネズミなどの繁殖する場所を調査し,これを駆除する計画を立てて実行に移す。 |
研究と討議 |
a.害虫駆除のためにその天敵の保護・繁殖をはかることの必要について話合い,その方法を討議する。 b.寄生虫の撲滅をはかるために,便所の改良や下肥の使い方について討議する。 |
(5) 健康的な社会をつくり上げるためには,われわれはどのように協力したらよいか
見学と話合い |
保健所・病院・サナトリウム・浄水場・汚水処分場などを見学し,これらの諸施設が公衆の保健衛生のために果す役割について調べて話し合う。 |
討 議 |
a.衛生法規に定められている規程の意味について科学的見地に立って討議する。 b.将来の職業を通して,健康的な社会をつくるためにどんな協力ができるかについて討議する。 c.保健衛生に関するいろいろな迷信を集めて,これを科学的に批判する。 |
論 文 |
健康的な社会をつくるために個人としてどのように尽したらよいかについて論文を書いて提出する。 |
単元Ⅵ 生物の体内や,いろいろな種類の間にはどのような統一と類似とが見られるか
要 旨
生物を個体について見れば,各部分は類似の組織や細胞からなりたっており,しかもいろいろな器官が統制されて調和した機能を営み,個体としての全体性が保たれている。また,生物を集団として見るときには,その間には多くの共通点や類似点があって,これを過去の地質年代から現代にわたって通観するとき,生物界が一つの系統をなしていることに気づく。さらに,生物の集団的,社会的生活に眼を向けるとき,そこにもまた,自然界の調和と統一があることに気づくであろう。
生物に関する知識はややもすれば,個々ばらばらなものになりやすく,高等学校程度の生徒はそれでは満足しない。この単元では,そのような生徒の要求に答えて,生物の形態的,機構的,生態的,系統的な統一性の理解に基いて,生徒のそれぞれの自然観の形成に役だたせることにも大きな意味をもっている。さらにこの単元で,統一と類似性という観点から生物を総合的に,関連的に見る能力や態度を養い,あわせて自然界の調和と統一を感得することなどを目ざしている。
目 標
2.動植物の比較観察により,種類相互間の体制上の一致点を理解する。
3.動物や植物の構造の一体性はどのようにして保たれているかを理解する。
4.人体が,脳・神経・ホルモンによって,どのように統一されているかを理解する。
5.植物にも動物にも,多種多様のよく発達した社会のあることを理解する。
6.比較観察により,動植物の現存種と化石との間には系統的な関係のあることを理解する。
7.生物の構造と機能との間には有機的な関係のあることを理解する。
8.標本を比較観察し,正しい結論を導く能力を高める。
9.自然がいかに規則正しく系統立っているかを感得する。
10.簡単なプレパラートを作ってそれを顕微鏡で見る能力を高める。
学習の範囲と順序,学習活動
方 法 |
学 習 活 動 |
話合い |
日常生活の経験から,動物や植物が,失った部分をどのようにして回復するかについて話合いをする。 |
実験と観察 |
グループで次の実験観察をし,結果を発表し話し合う。 a.ヤナギの小枝やタンポポの茎の小片から,芽や根がどのようにはえていくか観察する b.オタマジャクシ・トカゲ・プラナリアなどでいろいろのところで切れた片が,どのように再生するか観察する |
討 議 |
上の実験・観察の結果などをもとにして,再生が身体の統一を保つためにどんな意義をもっているかについて討議する。 |
教師の説明 |
再生はどんな法則に支配されるか,たとえば,創傷面と再生の方向,再生の場,環境条作の影響,自切作用などについて説明する。 |
調査と発表 |
グループで動物や植物の天然に得られた標本を調査し,いろいろな再生のしかたを観察して発表する。 |
(2) 器官は統一のとれたはたらきをするために,どのように組み立てられているか
教師の説明 |
植物や動物の体制(たとえば,器官系・組織系・対称など)について説明する。 |
観察と話合い |
身のまわりの動植物や,保存標本を観察してその体制を調べて話し合う。 |
問 答 |
生物のからだはどんな器官や組織でできているか問答する。 |
絵図の作製と展示 |
上で調べた器官系の構造を示す掛図を描いて,展示する。 |
教師の説明(掛図・模式図・映画・スライドなどを用いる) |
いろいろな器官はどのように統一あるはたらきを営んでいるかについて説明する。 |
(3) 細胞や組織には共通の構造が認められるか
教師の説明(掛図・写真・スライドを利用) |
次のことについて説明する。 a.細胞の発見と細胞学説の歴史について b.細胞の構造について |
観察と話合い |
a.動物や植物の普通の組織を顕微鏡,またはその投影によって観察する b.いろいろな植物の茎・葉・根の断面を顕微鏡観察する |
収集と展示 |
細胞や組織の構造を示す図を集めたり描いたりして展示する。 |
(4) 原形質はどんな物質でできているか。また,それは生命を維持するためにどのようにたいせつなはたらきをしているか
教師または生徒の説明 |
原形質が生活現象の基礎物質であることを教師または生徒が説明する。 |
研究と話合い |
原形質の物理・化学的性質について調べて話し合う。 |
実験・観察と話合い |
グループで次の実験・観察を計画実行し,結果の発表や話合いをする。 a.半透膜,たとえば卵膜・ぼうこう膜などで浸透作用の実験をする。 b.ムラサキツユクサやクロモで原形質流動の様子を顕微鏡で観察する。 |
2.からだの各部分の相関を保つために,脳・神経・ホルモンなどはどんなにたいせつなはたらきをしているか
問 答 |
植物の各部分は互にどのように関係しているか。たとえば,ジャガイモの花を摘むと,その後のいもの成長がどんなに変るかなどについて問答する。 |
教師の講義 |
写真や標本によって,対になっている器官の片方が失われた場合,もう一方がそれを補うために発達することについて説明する。 |
訪 問 |
農家や試験場などを訪問して,次の問題について話を聞く。 a.トマトやサツマイモの芽を摘むのはなぜか b.果樹の枝を剪(せん)定する理由について |
討 議 |
生物のからだの部分がどのように関連し合って全体としてまとまっているかについて討議する。 |
(2) 脳やせき髄は人や動物の器官のはたらきをどのように調節するか
問答と教師の説明 |
われわれのからだの各部分のはたらきがいかによく調和がとれているかについて問答し,導入のための説明をする。 |
研究と講 義発表 |
グループで次の問題の一つを選んで研究発表し,討議する。 a.脳はどんな部分からなりたっているか。また,それらの部分はどんなはたらきをするか b.われわれがものを感じて,それに反応するとき,刺激はどのように伝えられるか |
講 義 |
次のことについて講義する。 a.腸の運動のように自律的に調和のとれた運動は何に支配されているか b.感情の変化が,神経系と関連してどのように身体の生理的変化を招来するか |
(3) 人類が他の生物に比べてすぐれているのはどのように説明できるか
話合い |
人類が他の生物に比べてどのような点ですぐれているかを話し合う。 |
研究と発表 |
こん虫・鳥,哺(ほ)乳類・チンパンジーなどの本能行動と知能行動について調べて発表する。 |
観 察 |
人やその他のせきつい動物の脳の標本や模型などを比較観察し,脳とからだ全体の割合を調べる。 |
専門家の説明 |
幼稚園の先生や児童心理学者を招いて,幼児の心理的発達について話を聞く。 |
討 論 |
人類が他の生物に対して優越していることを,いかに説明することができるか討論する。 |
表の作製とまとめ |
人と他の動物とのちがいを整理して表にまとめる。 |
(4) ホルモン・ビタミン・酵素はからだの形やはたらきを調節する上にどんなはたらきをしているか
問 答 |
過去の経験や知識をもとにして,ホルモン・ビタミン・酵素のはたらきについて問答する。 |
研究と話合い |
ホルモン・ビタミン・酵素を含む薬の種類や効能に関する広告・雑誌・新聞などを集める。また,参考書によって同様のことを調べて話し合う。 |
教師の説明 |
次のことについて説明する。 a.ホルモンのはたらきとその欠乏症や亢進症について b.ビタミンや酵素の種類とはたらき c.ホルモン・ビタミン・酵素は成長や調節作用にどのような関係をもっているか |
クイズコンテスト |
上で学習した項目について生徒が問題を作り,互に質問し合う。 |
(5) ホルモンや神経の異常によって起る病気は,どのようにして予防し,治療すればよいか
調査と話合い |
発売されているホルモン製剤にはどんなものがあるが。また,それはどんなはたらきをもっているかについて調べて話し合う。 |
専門家の説明 |
医師その他の専門家を招いて精神異常の原因や療法について話を聞く。 |
教師の説明 |
神経障害や精神衛生について説明する。 |
話合い |
ホルモンや神経の異常から起る病気を予防するために,毎日の生活をどのように計画したらよいかを話し合う。 |
3.いろいろな生物の構造やはたらきには,どんな類似が認められるか
観察と発表 |
グループで次のものの標本や絵を見てその類似点をあげ,またその起原を調べて発表し話し合う。 a.こん虫・鳥・コウモリの飛ぶための器官 b.魚・水せいこん虫・ペンギンの泳ぐための器官 c.ジャガイモ・サツマイモ・ユリの養分を貯蔵するための器官 d.ブドウ・カボチャ・エンドウのまきひげ,シャボテン・カラタチのとげ |
教師の説明 |
相似と相同の意味について説明する。 |
観 察 |
いろいろなせきつい動物の骨格標本や絵を見るか,いろいろなこん虫の口器を観察して,相同の部分を見つけて話合い,写生をする。 |
(2) いろいろな動物が,その発生の初期には互に似ているのはどう説明したらよいか
観察と話合い |
魚・カエル・トカゲ・ニワトリ・ブタなどのせきつい動物の発生の初期を示す液浸標本や絵を見て,その類似について話し合う。 |
収集展示 |
せきつい動物の発生段階を示す図・写真などを集めて展示する。 |
観 察 |
せきつい動物発生初期の胚(はい)の全体標本または切片標本を顕微鏡で観察する。 |
教師の説明 |
a.肺・心臓・じん臓などの発生を相互に比較しながら説明する。 b.カニやエビのような無せきつい動物の幼生の形態と,その変態の様子を説明する。 |
討 議 |
違う動物の幼生がよく似ているという事実が何を示しているかについて討議する。 |
(3) 種類の違う動物や植物でも,同じ環境にすんでいるものでは,その形やはたらきに似たところが見られるか
話合い |
海岸,洞(どう)穴,砂丘,水中など特定の環境にすんでいる動植物には共通の特徴が見られるかどうかについて話し合う。 |
野外調査と発表 |
グループで上にあげたような場所で,そこに生育している動植物の形やはたらきの共通点について調査し,発表や話合いをする。 |
教師の説明(標本・写真・絵などを利用) |
生物の形態や習性と環境との関係について説明する。 |
4.どんな生物が集って一つの集団をつくるか
資料の収集 |
海岸・高山・湿地・草原・森林などの植物群落の様子を示す絵や写真を集める。 |
展示と話合い |
上で集めた資料を展示し,過去の旅行や遠足の経験からいろいろな植物群落の景観について話合いをする。 |
講 義 |
植物群落の種類・特徴・形成の原因などについて講義する。 |
野外観察と発表 |
グループで草原・池・湿地・森林などの群落を調査し,結果について発表や話合いをする。 |
(2) 集団をつくる動物では,各個体がどんな密接な関係をもっているか
話合い |
集団生活をする動物,たとえば,シカ・アリマキ・渡り島の大群,冬ごしをするトカゲなどがどのように集って集団をつくっているか話合いをする。 |
野外観察 |
上であげたような動物を野外で観察し発表や話合いをする。 |
観 察 |
ボルボックスを顕微鏡で観察する。 |
資料の収集と話合い |
海鳥・オットセイ・海の魚などが集団生活している様子を示す写真を集め,その群集の生態的意義について話し合う。 |
教師の説明 |
群せいホヤ・クダクラゲ・サンゴなどの写真や標本を示し,群体をつくる動物では,形態的に,また,機能的にどのような分業が行われているか説明する。 |
(3) アリ・ミツバチ・シロアリなどはどのように社会生活を営んでいるか
話合い |
社会性こん虫について見たり聞いたりしたことを話し合う。 |
観 察 |
アリの人工巣をつくって,アリの行動を観察・記録する。 |
見学と報告 |
養蜂(ほう)家を訪問して,ミツバチがどんな社会生活を営んでいるか話を聞き,巣箱を見学する。また,結果について報告書を提出する。 |
研究と発表または読書 |
グループでアリ・ミツバチ・シロアリの社会生活について調べて発表する。または本を読む。 |
映画・スライド・劇化 |
上で学習した内容をスライドや映画で見たり,劇や紙しばいにして発表する。 |
討 議 |
こん虫と人間の社会生活の類似について討議する。 |
5.現存種と化石との間にはどんな関係が見られるか
問 答 |
化石の標本や写真を示しながら,それをどのようにして研究したらよいか問答する。 |
野外採集 |
学校の近くで化石のよく出るところへ行って(または遠足して)化石を採集する。 |
教師の説明 |
地層の成因やその地質時代はどのようにして調べられるかについて説明する。 |
展 示 |
化石の標本・写真・復元図などを集めたり,作製したりして展示する。 |
見 学 |
科学博物館・研究所などを訪問して化石について調べて話し合う。 |
討 議 |
化石を調べてわかった事がらについて報告・討議する。 |
(2) 地質時代の各時期の化石を比較することによって,われわれはどのような結論に一応到達できるか
教師の説明(絵・図表・写真などを利用) |
地質時代の区分と各時代の生物の概要について説明する。 |
収集と展示 |
化石の標本・模型・写真・絵などを集め,これを地質時代別に整理して展示する。 |
スライド・映画 |
地質時代の生物についてスライドや映画を見て話し合う。 |
教師の説明 |
a.アンモナイト・馬・象などの発達の順序とその根拠について説明する。 b.始祖鳥・カブトガニ・オウムガイ・ソテツ・イチョウ・セコイアなどの絵や写真を見せて,生物の形がどのように移り変ってきたかを説明する。 |
話合い |
化石の価値について話し合う。 |
(3) 過去の人類について,どんなことが明らかにされているか
話合い |
いままでの知識をもとにして,地質時代の人類について知っていることを話し合う。 |
研究と話合い |
地質時代の人類の化石やその遺物について調べて話し合う。 |
展 示 |
人類の化石の写真や復元図などを集めて展示する。 |
教師の説明(写貞・スライド・絵等を用いる) |
地質時代の人類がどのように移り変って現存に至ったかについて説明する。 |
(4) 生物の変化の原因を生物学者はどのように説明しているか
研究,資料の収集 |
グループごとに生物の発達の機構に関する学説の一つを分担して,その学説の証拠となるような資料を収集して研究する。 |
発表と話合い |
グループごとに分担した学説を説明し,生物の変遷の原因について全体で話し合う。 |
教師の説明 |
上の各学説について補足的な説明をする。 |
報 告 |
生物変遷の原因について各自の意見を報告書にして出す。 |
単元Ⅶ 地球上にはどんな生物がすんでいるか
要 旨
中学校の学習以来,生徒はすでに多くの動植物の種類を知っている。また,高等学校の生物でも「はじめの学習」で普通の動植物の採集や飼育・栽培・研究法などの一般を学習した。しかし,これらの種類に関する知識はばらばらのものであって,まとまった系統づけが欠けている。単元Ⅳでは生物体の構造・体制・発生や生物間の統一・類似性を理解した。これらの点に基礎をおいて既習の動植物を系統づけて排列し,それぞれに分類上の位置を与えることは,この年ごろの青年の心理に適合する。この単元ではこれらの学習のほかに地球上にすむいろいろの動植物の種類と人生との関係や,有用な生物資源の保護・増殖や有害生物の防除などについても学習する。
この単元の学習にあたっては「はじめの学習」と関連して郷土の動植物から出発し,日本および世界の著名な動植物について理解し,それらを形態・構造・生殖・発生などを基準として系統立てた分類体系を立てさせる。さらにこれらの動植物がどのようにして現在の分布を生じたかについて,過去の生物や環境要素と関連して考察を進めたい。種類についてはいたずらに多くの名を暗記するよりは分類体系や分布を理解することに重点をおきたい。また,観察力・比較考察の能力を高め,物事を分類し,整理・整とんする能力や態度・習慣などはこの単元で大いに養われなければならない。また,動植物に対する興味を深め,これを愛育し,あるいは未利用資源をさがして有効に利用する方法をくふうする態度を身につけることが望ましい。
目 標
2.地球上の各地域における生物の分布について理解する。
3.発生や構造をもとにした動植物の分類法を理解する。
4.植物と動物との相互関係を理解する。
5.人と生物との相互関係を理解し,生物を有効に利用する能力を高める。
6.植物や動物に対する興味を深める。
7.未利用資源をさがし,これの利用法をくふうする態度を養う。
8.植物や動物を愛育する態度や習慣を養う。
9.植物や動物を採集したり,飼育・栽培したりする技能を高める。
10.生物を分類し,整理する能力を高める。
学習の範囲と順序,学習活動
方 法 |
学 習 活 動 |
問 答 |
これまでに得た知識をもとにして,人生に有益な生物や有害な生物の種類について問答する。 |
研究と発表 |
グループで次のことについて調べ,結果を報告する。 a.食物,衣服の材料,家屋や家具の材料,工業や工芸の材料,薬用となる動植物,有害生物の天敵などについて b.家屋・衣服・食物・衛生・産業などに有害な動植物について |
収集と展示 |
有用な資源となる動植物の実物・標本・写真やその製品,有害な動植物の標本や被害状態を示す資料などを集めて展示する。 |
表の作製 |
有益な生物や有害な生物の種類や利害の様子を示す一覧表を作る。 |
(2) 有用な生物の利用価値を増し,有害な生物の害を防ぐにはどうすればよいか
資料の収集と展示 |
コムギその他の重要産物が毎年どのように増産されてきているか,グループで統計や資料を集めて図表を作り,展示する。 |
研究と発表,教師の説明 |
グループで次の事項の一つを選んで研究し,発表する。または教師が説明を加える。 a.飼育・栽培されている動植物が原種と比べて利用価値がどんなに高められたか。またそれはどのようにしてつくりだされたか b.これまで利用されていなかったものが研究によって有用な資源となった例(たとえば,ハリバ・オリザニンなど)について c.未利用資源,あるいは従来捨てていた部分の利用について |
話合い |
有害な動植物の種類やその害についてこれまでの経験や知識をもとにして話し合う。 |
研究と発表,教師の説明 |
グループで次の事項について研究し,発表する。また,教師が説明を加える。 a.有害な動植物にはどんなものがあるか。また,それを除くにはどうしたらよいか b.有害な動物の天敵にはどんなものがあるか。また,天敵によってその害を除いた実例にはどんなものがあるか |
(3) 生物資源を保護したりふやしたりするにはどうすればよいか
話合い |
有用な資源となる生物が減少しつつある例(たとえば魚類・鳥類)について話し合う。 |
問 答 |
有用な資源となる生物の減少の原因とその保護・増殖の方法について問答する。 |
研究と発表 |
グループで次の一つを調べて発表する。 a.漁業法・狩猟法その他の生物保護に関する規則について b.人工孵(ふ)化の方法とその実例について c.マス・ウナギ・コイ・アコヤガイ・カキなどの養殖法や産額などについて |
見学と報告 |
上の学習に関係のある研究所や試験所などを見学し,結果について報告書を提出する。 |
教師の説明 |
改良された優良な果樹や家畜などの品種の保存・増殖はどのようにして行わわるかを説明する。 |
2.動物はどのように分類されるか
話合い |
自分の郷土にはどんな生物がすんでいるか,これまでの知識をもとにして話し合う。 |
収集と展示 |
郷土の動物標本を集めて展示する。 |
野外調査と採集・飼育 |
郷土の動物調査の計画を立て,グループごとに研究課題を分担して野外で観察調査し,また,採集した動物を飼育して形や習性を調べる。 |
研究の発表 |
採集した動物の名を調べ,飼育の結果についてグループで発表し,全体でまとめる。 |
教師の説明 |
郷土の動物の特色について説明する。 |
図表の作製 |
郷土のおもな動物の一覧表を作って教室に掲げる。 |
(2) 背骨のある動物はどのように分類されるか
話合い |
動物は背骨のあるものとないものに大別できることを話し合う。 |
収集と展示 |
せきつい動物のいろいろな種類の標本・絵・写真などを集めて展示する。 |
研究と話合い |
グループで哺乳類・鳥類・は虫類・両せい類・魚類・円口類の異同について調べ,せきつい動物の分類の基礎について話し合う。 |
見 学 |
動物園・科学博物館・大学・研究所などを見学し,いろいろなせきつい動物の標本を見る。 |
講 義 |
せきつい動物の分類の方法について講義する。 |
図表の作製 |
せきつい動物を分類し,それぞれの種類の異同や特徴を示した図表を作って展示する。 |
(3) 背骨のない動物はどのように分類されるか
話合い |
無せきつい動物にはどんな種類があるか,今までの知識をもとにして話し合う。 |
収集を展示 |
無せきつい動物の標本・模型・写真・絵などを集めて展示する。 |
研究と発表 |
グループで無せきつい動物の異同を調べて種類分けし,結果を発表して全体で話し合う。 |
図表の作製 |
無せきつい動物の分類表を作り,それぞれの特徴を記入する。 |
見 学 |
科学博物館その他参考資料のある研究機関を見学していろいろな無せきつい動物の標本を見る。 |
講 義 |
無せきつい動物の分類の方法について講義する。 |
映画・スライド |
いろいろの無せきつい動物の生活のありさまを示す映画やスライドを見る。 |
(4) 動物は何を基準として分類されるか。また,動物の各群はどのように系統だてて整理されるか
問 答 |
動物の種類はどのくらいあるか。また,これらの動物は何を基準として分類されるかについて問答する。 |
教師の説明(標本・模型・写真・図表などを利用) |
次のことについて説明する。 a.人為分類と自然分類の意味について b.動物の分類の基準としての体制・相同器官・発生・生活史について c.門・綱・目・科・属・種などの分類段階について d.動物の名まえのつけ方について(学名・和名など) |
研究と話合い |
動物分類表や系統樹を見て動物の系統関係を調べて話し合う。 |
3.植物はどのように分類されるか
観察と話合い |
郷土の植物の標本を見て,植物の種類について話し合う。 |
教師の説明 |
いろいろな植物の標本の作り方を演示しながら説明する。 |
野外調査と採集 |
グループで研究部門を分担し野外で観察や調査をし,あるいは研究材料を採集する。 |
栽培と標本の作製 |
採集した植物を学校園に植え,また,標本を作る。次に参考書や教師の助力によって採集した植物の名を調べて,分類する。 |
発表と話合い |
研究の結果をグループ別に発表し,全級生徒で話し合う。 |
教師の説明 |
郷土の植物の特色について説明する。 |
展 示 |
採集品や作製した標本・図表などを展示する。 |
計 画 |
郷土の植物をさらに詳しく研究調査して植物誌をつくる計画を立て,実行する。 |
(2) 花の咲く植物はどのように分類されるか
問 答 |
単元Ⅵで学習した受粉法や種子の構造について問答して復習する。 |
教師の説明 |
いろいろな花の基本構造について説明する。 |
実 習 |
グループでアブラナ・サクラ・エンドウ・ツツジ・アサガオ・カボチャ,タンポポ・ユリ・アヤメ・イネ・マツなどの仲間についてその季節の花を解剖し,その構造を比較し,花式図や解剖図をかく。 |
発表と話合い |
模型や自分の作った図を使って研究結果を発表し,全体で話し合う。 |
講 義 |
種子植物の種類について生きた材料・標本・模型・図表などを使ってまとめの説明をする。 |
図表の作製と展示 |
種子植物の分類やその特徴などを示す一覧表を作り,これを展示する。 |
(3) 花の咲かない植物はどのように分類されるか
話合い |
これまでに学習した知識をもとにして花の咲かないいろいろな植物について話し合う。 |
収集と展示 |
シダ類・コケ類・菌類・地衣類・海そう類などの標本・写真・絵などを集めて展示する。 |
観察と実験 |
グループで次の観察・実験をし,その結果を発表し,話し合う。 a.イヌシダ・スギゴケ・ゼニゴケ・ウメノキゴケなどの構造を観察する b.アオカビ・ミズカビ・バクテリアなどを培養し,顕微鏡でその形態を調べる c.アオミドロ・ケイソウ・アサクサノリなどのプレパラートをつくり,顕微鏡でその構造を観察する |
講 義 |
花の咲かない植物の分類について,教師がまとめて講義をする。 |
図表の作製と展示 |
花の咲かない植物の分類やその特徴などを示す一覧表を作り,展示する。 |
(4) 植物はなにを基準として分類されるか。また,植物の各群はどのように系統だてて整理されるか
問 答 |
次のことについて問答する。 a.植物の分類の基準について b.動物の分類の基準と植物の分類の基準の比較について |
研究と話合い |
植物の分類表や系統樹を見て,植物の系統関係を調べて話し合う。 |
教師の説明 |
上で調べた事がらについて教師が説明を補足し,理解を深める。 |
研究と話合い |
動物と植物の区別や,その中間の性質をもった生物について調べて話し合う。 |
観察と教師の説明 |
ミドリムシ・ボルボックス・ムラサキホコリカビなどを顕微鏡で観察し,教師が説明する。 |
見 学 |
科学博物館その他適当な資料のある研究所などを見学し,生物の種類や分類のしかたについて調べる。 |
計 画 |
校庭の植物に名札をつける計画をたてて実行する。 |
4.生物は地球上にどのように分布しているか
話合い |
a.日本や郷土の特有な生物について知っていることを話し合う。 b.日本では地域によって生物にどんな違いが見られるかについて話し合う。 |
収集と展示 |
日本の動物(たとえば,日本ザル・ツキノワグマ・ヒグマ・キジ・ヤマドリ・サンショウウオ・カイロウドウケツなど)の標本・写真・絵などを集めて展示する。 |
映画・スライド |
日本の動物の生態や分布を示す映画,またはスライドを見る。 |
教師の説明 |
次のことについて説明する。 a.日本の動物の分布と境界線について b.日本特有の動物について |
図表の作製 |
日本の動物分布図をかいて展示する。 |
問 答 |
次のことについて問答する。 a.日本や郷土の特有な植物について b.日本の地域による植物の違いについて |
スライドまたは写真 |
九州・本州・北海道などの植物景観を示すスライドまたは写真などを見て話し合う。 |
収集と展示 |
日本の代表的植物の標本・写真・絵などを集めて展示する。 |
研究と図表の作製 |
グループで日本の植物の水平分布や垂直分布について調べる。また,その分布図を作る説明をする。 |
発表と話合い |
上の研究結果について発表し,それについて全級生徒で話し合う。 |
教師の説明 |
日本の植物の特色や分布について説明する。 |
研究と報告 |
郷土の生物の特色や分布上の位置について調べて論文を提出する。 |
(2) 世界の各地域にはどんな動物や植物が分布しているか
話合い |
これまでに得た知識をもとにして,世界各地の著名な動物の種類について話し合う |
収集と展示 |
世界各地の動物の標本・写真・絵などを集めて展示する。 |
映画・スライド |
世界各地の動物の生態や分布を示す映画またはスライドなどを見る。 |
研究と図表の作製 |
a.世界各地の動物の種類やその分布について調べる。 b.世界の動物分布図をかいて,おもな動物の名を書き入れる。 c.動物分布図を地形図と対照しながら,分布の境界線がどのような所にひかれているかを研究する。 |
発表と話合い |
上で研究した事がらについて発表し,全体で話し合う。また,日本は世界の動物分布区域のどの部分に属するかについて話し合う。 |
教師の説明 |
現在の動物分布の状態は地質時代の動物の変遷の結果に由来していることについて説明する。 |
問 答 |
ゴム・コーヒー・ココア・コルク・マニラアサなどを製する植物の原産地や栽培地について問答する。 |
講 義 |
世界のおもな植物区系や植物帯につい写真・絵・標本,あるいは映画・スライドなどを使って講義する。 |
研究と話合い |
世界の植物帯の図と地形図や気候図を比較して,その関係を調べ,その結果について話し合う。 |
(3) 生物は種類によって,それぞれ一定の分布区域があるのはなぜか
問 答 |
世界の動植物の分布図をもとにして,このような分布がどうして生じたか,これまでに学習した知識をもとにして問答する。 |
教師の説明 |
動植物の種族の分布区域を制限する要素として海狭・山脈・さばくのような地理的要素や温度・雨量のような気象要素など,いろいろな要素のあることについて説明する。 |
単元Ⅷ 生物学上の発見は人類にどのような貢献をしているか
要 旨
これまでの単元では,それぞれ,まとまった一つの問題を中心として学習してきたが,ここでは生物に関するあらゆる分野の研究が,人類の福祉にどのように貢献しているかを理解させたい。それには生物学の発達を歴史的に見る必要もあろう。たとえばわれわれの先輩がどのように研究し,人類の福祉に貢献したか,また,現在の研究がどこまで進んでいるか,さらに最近の生物学の進歩を知り,未解決の問題がどのように解決されてわれわれの生活に福祉を与えるかなどについて考えたい。
また,医学,薬学・農業・林業・水産そのほか生物学上の知識を必要とする職業は多い。将来職業人として必要な基礎的知識や理解を身につけることもきわめて重要である。この意味で,これまでの学習を,見方をかえてもう一度見なおし,これらをまとめて一つの単元として取りあげる。
問題の取りあげ方にはいろいろあろうが,ここでは医薬・産業・職業・能率・環境・将来の課題などに要約して扱い,内容としては,生物学上の各種の発見と健康増進,伝染病の防除,中枢神経の研究と精神衛生,新薬の発見と治療法の改善などを取りあげる。天然資源の増産については遺伝学や発生学の進歩と品種改良・養殖など,生態的な研究の立場からは漁業・林業・園芸上の促成栽培など,能率の問題については疲労の本質と休養の合理化,環境衛生については都市や田園の計画などが取りあげられる。未解決の問題は上にあげた各方面について考え,これらの解決には他の科学の分野の協力が必要であることを理解させたい。
この単元の学習では,生物学の恩恵を感じるだけでなく,みずから才能に応じた研究によって人類の福祉に貢献しようとする意欲を起させることが重要である。学習にあたっては物理・化学・地学・社会科などと連絡を密にして指導することが必要である。
目 標
2.生物の繁殖・成長・遺伝・生態などに関する研究が生物資源の利用を増してきたことを理解する。
3.生物学上の研究が職業や家事にどのように利用されているかの知識を得る。
4.人体に関する研究が,仕事の能率を高め安全を確保するための法律や規則をつくる基礎として,どのように利用されているかを理解する。
5.生物学の研究は,研究方法・技術の進歩・科学の他の領域の進歩と相まって発展することを理解する。
6.未解決の問題を解決するために貢献したいと願う意欲をもつ。
7.生物の研究が人間生活の改善にいかに貢献したかを認識し,みずからも人類の福祉のために貢献しようと願う意欲をもつ。
8.生物学上の法則を日常生活に応用しようとする態度を養う。
9.問題解決のために資料を集め,これを利用する能力を高める。
10.公衆の保健を維持するために他人と協同する態度と習慣を養う。
11.生物学上の事実と法則とを基礎にして,ものごとを正しく判断する能力を高める。
12.未解決の問題を発見する能力を高める。
13.問題を解決するために,科学書を読んでよく理解する能力を高める。
学習の範囲と順序,学習活動
方 法 |
学 習 活 動 |
問 答 |
どんな微生物が伝染病の原因となるか(単元Ⅴの復習)を問答する。 |
研究と発表 |
グループで次のことについて調べて発表する。 a.微生物に関する研究はどのように発展してきたか。 b.パストゥール・コッホ・エールリッヒ・野口・北里・秦・志賀等の伝記とその業績について |
研究と図表の作製 |
病原体の発見や予防・治療に関する研究の歴史を調べ,年表を作る。 |
見 学 |
保健所・伝染病研究所・その他の公衆衛生施設を見学して,最近どのような研究が行われているか,それが完成したらどのような福祉がもたらされるかなどについて話を聞く。 |
作 文 |
微生物の研究が人類の福祉に貢献したことについての感想を作文して提出する。 |
(2) 空気・水・栄養などの環境の科学的研究によって,われわれの健康はどんなに増進したか
話合い |
単元Ⅰ,Ⅲで学習した知識や経験をもとにして,環境条件が健康にどのように影響するかについて話し合う。 |
研究と発表 |
グループでビタミン・たんぱく質・塩類などについて,その発見者,研究者などの業績を調べて発表する。 |
見学または映画・スライド |
上水道の浄水場や汚水処分場などを見学して,その公衆衛生上果たしている役割を調べる。あるいはそれに関する映画やスライドを見る。 |
討 議 |
近代的な生活様式(栄養・飲料水その他)の長所について考え,われわれの現在の生活をいっそう改善する方法について討議する。 |
(3) 中枢神経の構造と機能の研究は,精神的健康の維持増進にどのように役だっているか
話合い |
精神的,神経的健康はどのようにして維持増進されるかについて,過去の知識や経験をもとにして話し合う。 |
教師の説明 |
大脳生理と,情緒の生理がどのようにして研究され,どのような結果を得ているかについて説明する。 |
医師または教師の説明 |
a.精神科の専門医や校医から神経障害・神経症について最近の研究がどこまで進んでいるかについて説明する。 b.感情と自律神経などの関係について,最近の研究が内科的疾患を神経的に処置することを可能にしたことについて説明する。 |
(4) ペニシリン・ストレプトマイシンなど,最近発見された薬品は病気の治療法の改善にどんなに役だっているか
話合い |
ペニシリン・ストレプトマイシンその他の医薬について知っていることを話し合う。 |
研究と発表 |
グループで次のことを調べて発表し,全体で話し合う。 a.ペニシリン・ストレプトマイシンがどのようにして発見されたか b.サルバルサン・スルファミン・抗ヒスタミン剤などの効果について |
教師の説明 |
ペニシリン・ストレプトマイシンなどはなぜ治療に役だつかについて説明する。 |
収 集 |
ペニシリンその他の最近つくられた薬品の広告を集め,効能によって分類してみる。 |
見 学 |
できれば近くの製薬工場を見学し,話合いや発表をする。 |
2.生物学上の大発見によって天然資源の利用はどのように増したか
話合い |
品種の改良によって,いままで栽培できなかった土地で,また気候上の悪条件を克服して,イネが栽培できるようになったことについて話し合う。 |
研究と発表 |
次の問題をグループで研究し,発表する。 a.陸羽132号やその他の農林品種がどのようにしてつくりだされたか b.ムギの広幅薄播法というのはどんな方法か |
見 学 |
篤農家または農事試験場を訪問して上の事がらについて尋ね,また栽培の実況を見学する。 |
教師の説明 |
穀物の品種や耕作法はどのように改良されてきたかについて説明する。 |
(2) 季節はずれの野菜や果物はどのようにして作られるか。また,それはどんな原理に基いているか
話合い |
季節はずれの野菜や果物にはどんなものがあるかについて話し合う。 |
調査と発表 |
青果市場・果物屋・花屋などへ行って,季節はずれのものやそのつくり方などを調べて発表する。 |
研究と発表 |
季節はずれの作物はどんな方法によって作られるか,(温度・光周期の調節・春化処理などについて)調べて話し合う。 |
見学と話合い |
温室を見学してメロンや草花の栽培のようす,キクの短日処理のようすなどを調べて話し合う。 |
教師の説明(スライド,写真・絵などを利用) |
次のことを説明する。 a.イチゴの石垣作り,温泉の利用による促成栽培などのようすについて b.季節はずれの作物の種類とその栽培の原理について |
(3) 魚の習性の研究によって,漁獲高はどのように増加したか
話合い |
これまでの知識や経験をもとにして,魚の習性がどのように研究され,漁獲高を増しているかについて話し合う。 |
研究と発表 |
グループで次の問題を選択して調べ,発表や話合いをする。 a.魚の回遊・産卵習性,適温範囲・光に対する反応・食餌(プランクトン)などについて b.サケ・マス・アユ・ワカサギなどの人工受精・人工孵(ふ)化などについて |
教師の説明 |
魚梯・魚付林・魚の産卵場所として廃船を沈めることなどによる魚の保護について説明する。 |
見 学 |
水産試験場・水産関係の学校などを見学し,魚に関する研究や保護,集魚燈,超音波の利用による魚群の発見法などについて話を聞く。 |
討 議 |
魚類の保護に関する法律や規則について,その立法の科学的根拠について討議する。 |
(4) 生物学の研究は森林の効用について何を教えているか。また,それに基いて森林をどのように保護し,利用しているか
話合い |
これまでの知識や経験に基いて,森林の効用とその保護について話し合う。 |
研究と発表,話合い |
グループごとに森林のいろいろな用途について調べ,発表や話合いをする(たとえば,土砂防止林・水源涵(かん)養林,水害防備林・防風林・飛砂防止林・潮害防備林・防雪林・航行目標林・魚付林・風致林・衛生林など)。 |
収集と展示 |
森林の効用についての写真や絵画を集めて展示する。 |
野外調査 |
a.グループで学校付近の森林について,その位置や気候・気象との関係を調査し,その効用を調べる。また,その虫害や山火事などの対策についても調べて発表する。 b.小鳥の巣箱を工作して付近の森林にかけ,ときどき観察する |
見学と話合い |
林業試験場・営林署などを見学し,森林の受ける被害とそれに対する保護対策について専門家の話を聞く。 |
教師の説明 |
次のことについて説明する。 a.植林および天然更新のたいせつなことやその方法について b.狩猟法規と森林保護の関係について |
(5) 養殖真珠はどのようにしてつくられるか。真珠の養殖はどのような原理に基いているか
話合い |
真珠の養殖が輸出産業として占める位置について話し合う。 |
観 察 |
シンジュガイ(アコヤガイ),チョウガイと,貝の中に真珠のできている液浸標本を観察して話し合う。 |
研究発表または教師の説明 |
次のことについて調べて発表するか教師が説明する。 a.天然真珠のできるわけについて b.真珠の養殖の過程について |
スライド・映画 |
養殖真珠の実際のようすをスライドや映画で観察する。 |
(6) その他,動植物に関する研究はどのように生物資源の利用を増したか
話合い |
パストゥリゼイションがアルコール工業にどのように役だっているか,ビールス病の研究が作物の病害を防ぐのにどのように役だっているかについて話し合う。 |
研究発表と話合い |
グループで次の問題の一つを選んで研究・発表し,全体で話し合う。 a.微気候の研究から作物の栽培方法はどのように改良されたか b.化学肥料の研究は収穫をどのように増加させたか c.ホルモン・ビタミン・酵素などに関する研究は,いままで捨ててかえりみられなかった資源をどのように利用させているか |
見学と報告 |
ビール工場(その他のアルコール工場),農事試験場,肥料工場,臓器製薬工場などをできれば見学し,報告書を提出する。 |
3.生物学の知識はどんな職業に必要か
話合い |
医師・薬剤師・看護婦などは日常どのような仕事をしているか,それにはどんな知識を必要とするかを話し合う。 |
専門家の説明 |
これらの職業人またはその知識をもった人を訪問し,あるいは来校を求めて,実地にどのような知識が必要であるか,また聴診器・打腱鎚その他の医療具の取扱やその意義などについて聞く。 |
復習・まとめ |
これまでに学習したことをもとにして,人体のつくり,環境と生物の生活(環境の改善),病原体とその媒介動物の生活史,寄生虫の生活史,ホルモン・ビタミン・酵素・抗生物質・免疫,薬物の生体に対する影響(薬理),薬として利用されている動植物とその加工品,病気とそれに応じた食物などについて復習し,一覧表などにしてまとめる。 |
(2) 農業・漁業・林業に従事するには生物学のどんな知識が必要か
話合い |
a.農業・漁業・林業など,それぞれの職業について必要と思われる事がらを,これまでに学習した単元のうちから摘出して話合い,まとめる b.農業や漁業に用いる器械・器具や用法などについて話し合う |
教師の説明 |
上の職業に最も必要な知識,また,いま欠けている知識について補説する(たとえば,漁業と海流,林業と害虫およびその天敵,農業と耕作法の改良など)。 |
(3) 工業に従事するには生物に関するどんな知識が必要か
話合い |
次のことについて話し合う。 a.これまでに学んだ有用な微生物が発酵工業にどのように使われているか b.繊維工業には生物学上のどんな知識が必要か |
資料による研究または訪問 |
いろいろな職業病についてその原因や予防法,法規(たとえば,労働基準法・労働安全規則)などを資料によって調べ,あるいは実際に工場・鉱山などを訪問して,その経営者・従業員・健康管理者から話を聞く。 |
ポスターの作製と展示 |
職業病予防,安全保持の思想を普及するためのポスターを描いて展示する。 |
(4) 家庭の仕事を科学的に,また,経済的に行うためには生物に関するどんな知識が必要か
話合い |
a.家庭の仕事の中で生物学の知識が特に必要なものについて話し合う。 b.家庭の仕事をもっと能率的に,もっと豊かにするにはどんな知識が活用されなければならないか(たとえば,栄養・環境衛生・育児・児童心理・家事労働・生活設計など)について話し合う。 |
計 画 |
家庭生活の欠陥を反省し,その改善の具体的計画を立てる。 |
(5) 文科方面の職業につくのには生物に関するどんな知識が必要か
話合い |
文科方面に進むのにはどのような生物学上の知識を必要とするか話し合う。 |
研究と話合い |
次のことについて調べて話し合う。 a.厚生法・衛生法規・労働関係法規などの立法の基礎がどんな生物学上の根拠に基いているか b.新聞・雑誌・会話などの中から生物学的な誤謬や迷信などを調査する。 |
(6) われわれは将来の職業の準備として生物学をどのように学んだらよいか
話合い |
自分が選ぼうとする職業には生物学上のどんな知識が要求されるかについて話し合う。 |
調査と発表 |
グループまたは個人でいろいろな職業の人に面接し,実社会ではどのような生物上の知識が要求されるかについて調べて発表する。 |
図表の作製 |
上で調べたことをグラフにまとめる。 |
論 文 |
自分が将来選ぼうとする職業と生物学との関係について論文をかく。 |
4.生物学の知識を使って仕事の能率を高め,安全を確保するにはどうすればよいか
話合い |
郷土(都市・または田園)の計画で不合理な点があれば指摘して話し合う。 |
研究と話合い |
環境としての都市・田園の特質について調べ,またその欠点を補うためにどうすればよいかを話し合う。 |
訪 問 |
地方自治団体の建設計画担当者を訪問して,新しい都市(田園)計画とその意義について話を聞く。 |
計画と図の作製 |
上の研究に基いて,郷土の理想的な計画を図に描く。 |
討 論 |
上の研究の結果を発表し合い,郷土建設計画をどのように改善すべきかについて討議する。 |
(2) 疲労とその回復に関する知識や,環境の人体に及ぼす影響の研究などは労働条件の改善にどれだけ役だっているか
問 答 |
次のことについて問答する。 a.どんなときに疲労したか,どのような感じがしたかなどについて b.疲労の原因と,その回復の方法について |
教師の説明 |
次のことについて説明する。 a.環境の影響,特に照明・騒音・室温・空気・放射線・有毒ガスなどと健康との関係について b.労働条件の改善が何を基準としているかについて |
討 議 |
家事労働による疲労とその回復について反省し,これをどのように改善しなければならないかについて討議をする。 |
(3) 救急法の知識や実習は身の安全を守るのにどんなに役だっているか
話合い |
これまでの経験の中から救急処置によって人命の救助された例,処置を誤ったために失敗した例について話し合う。 |
実 習 |
止血法・ほう帯法・骨折の処置・人工呼吸法などについて教師の演示によって実習する。 |
教師の説明 |
交通事故・溺(でき)水・火傷・日射病・脳貧血・その他しばしば起りやすい事故と,その救急処置を説明する。 |
訪 問 |
病院・警察署・消防署を訪問して救急処置の話を聞き,救急車を見学する。 |
5.生物学上どんな点が未解決で残されているか。また,未解決の問題を解決するためどのように努力し,くふうすればよいか
話合い |
病原や治療法のわかっていない病気にはどんなものがあるか,また,完全な治療法のわかっていないものにはどんなものがあるかについて話し合う。 |
教師または医師の講義 |
a.癌・心臓病・慢性結核症についてどんな点が未解決であるか。その解決によってそれらの病気がどのように予防し,治療されるかを講義する。 b.多くのビールス性疾患・神経性疾患について,どこまで研究が進んでいるか。どんな問題が残されているかを講義する。 |
訪 問 |
癌研究所・病院などを訪問して,研究がどこまで進んでいるか,どんな問題が残されているかを聞く。 |
討 議 |
次のことにつて討議する。 a.健康を増進するにはどのようにすればよいか b.健康や病気に関するどんな問題について研究してみたいか |
(2) 未解決の問題を解決することによって家庭生活をどんなに科学的に,また,合理的にできるか
話合い |
家庭生活で起るいろいな困難な問題のうちから,科学的にはっきりした根拠のないもの(たとえば,昔からの言い伝えやしきたり)をとりあげてその改善について話し合う。 |
資料による研究 |
労働関係資料などで家事労働に関する資料を捜し,どんな調査が欠けているかを調べ,その資料が得られたら家事労働についてどのような改善の可能性が考えられるかを考察する。 |
討 議 |
住居・衣服・食物・育児などについて未解決の問題(たとえば新しい材料・未利用資源の利用・乳幼児の心理)を調べて討議する。 |
(3) 未解決の問題を解決することによって社会・経済・職業生活をどんなに改善できるか
教師の説明 |
食糧問題・人口問題・天然資源の調査と計画的増産対策・民族衛生・労働衛生などでわれわれが当面している問題について説明する。 |
研究と話合い |
森林の伐採と植林や魚類の繁殖率と漁獲高などの調査研究がよく行われているかどうか,またそれに基いて経営が合理的に行われているかどうかを調べて話し合う。 |
論 文 |
社会改良に関する特定の問題についての自分の考えをまとめて論文をかく。 |
(4) 自然科学の他の分野の発達に伴って,生物学上の未解決の問題をどのように解決することができるか
問 答 |
生物学の歴史をふりかえって,新しい進歩は自然科学の他の分野のどんな発展に伴って起ったかを問答する。 |
研究発表または教師の説明 |
最近の物理学・化学・その他の分野の科学の発展が生物学に応用されてめざましい進歩の基礎となっている例について(たとえば,電子顕微鏡・化学療法・アイソトープ・人工放射能物質による癌治療・人為突然変異・生物の原発生など)調べて発表するか教師が説明する。 |
討 議 |
前の各項で論じられた未解決の問題は,自然科学のどの分野の発展と関係が深いかについて討議する。 |
論 文 |
生物学の将来に関する問題を選んで論文をかく。 |
6.生物の研究を通じて,どのように国際間の理解を深めることができるか
問 答 |
生物学研究における国際的な理解が,われわれの日常生活を改善する上にいかにたいせつであるかについて過去の経験から,例を引いて問答する。 |
研究と発表,教師の説明 |
生物学上の国際的理解は,食物・住宅の設計・伝染病を防ぐなどの点で日常生活を改善するのにどのように役だっているかについて調べて発表し,教師は説明を加える。 |
(2) 世界の人々は生物学の研究を通じて,どのように人類の福祉を増進することに貢献しているか
教師の説明 |
世界中の生物学者は生物学の研究を進歩させるためにいかに協力しているかについて次のようなことを説明する。 a.生物の命名についての国際的の規則を定めている b.研究業績を交換している c.外国の学者に研究所を利用する便宜を与えている d.国際間の協力によって外国からの伝染病の移入を防いでいる |
討 議 |
日本人は生物学の進歩にどのように貢献しているかについて討議する。 |
作 文 |
人類の福祉を増進するために,生物学研究において,国際的協力がいかに重要であるかについて論文を書く。 |
(付 録)参 考 書
著 者 |
書 名 |
発 行 所 |
著 者 |
書 名 |
発 行 所 |
総 記 |
単元Ⅳ |
||||
総 記 |
田 中 義 麿 |
遺 伝 学 |
裳 華 房 |
||
弥 永 他 |
科学の事典 |
岩 波 書 店 |
篠 遠 喜 人 |
遺伝学史講 |
力 書 房 |
柘 植 秀 臣 |
最新生物学辞典 |
岩 崎 書 店 |
吉 川 秀 男 |
遺 伝 |
日本科学社 |
八 杉 竜 一 |
生物学辞典 |
霞 書 房 |
駒 井 卓 |
日本人を主とした 人間の遺伝 |
創 元 社 |
矢野佐,他三 |
生物学辞典 |
科学評論社 |
ウオレンH レナード 篠遠 喜人 訳 |
遺伝の実習 |
北 隆 院 |
武 谷 三 男 |
自然科学辞典 |
霞 書 房 |
今 井 喜 孝 |
遺伝学問答 |
力 書 房 |
中 村 浩 |
実 験 生 物 |
金 子 書 房 |
野 口 弥 吉 |
非メンデル式作物育種法 |
養 賢 堂 |
湯 淺 明 |
学生の生物学 |
清 水 書 院 |
長 尾 正 人 |
育種学大要 |
〃 |
入 来 重 盛 |
生 物 学 |
昇 竜 堂 |
木 原 均 |
実験遺伝学 |
岩 波 書 店 |
井 上 清 恒 |
生物学通論 |
大 昭 堂 |
ネオメンデル会 |
現代遺伝学説 |
北 隆 館 |
〃 |
模範生物学 |
寧 楽 書 房 |
篠 遠 喜 人 |
生物の遺伝 |
大日本図書 |
池 田 嘉 平 |
生 物 実 験 |
日本出版社 |
石 川 光 春 |
花 |
内田老鶴圃 |
岡田 弥一郎 |
生物学提要 |
文憲堂七星社 |
館 脇 操 |
花 |
創 元 社 |
牧野 富太郎 |
日本植物図鑑 |
北 隆 館 |
丘 英 通 |
生物の変異と進化 |
大日本図書 |
〃 |
図説普通植物検索表Ⅰ |
千代田出版社 |
単元Ⅴ |
||
内田清之助 他 |
日本動物図鑑 |
北 隆 館 |
緒 方 富 雄 |
病気をめぐつて |
羽 田 書 店 |
石井 悌 外 |
日本昆虫図鑑 |
〃 |
松 田 道 雄 |
結 核 |
弘 文 堂 |
岡田 弥一郎 |
動物の採集と飼育 |
星 書 房 |
隈 部 英 雄 |
結 核 読 本 |
中央公論社 |
〃 |
学生動物図鑑 |
南 条 書 店 |
牛 場 大 蔵 |
細菌学の一般知識 |
牧 書 房 |
三省堂編集部 |
原色昆虫図譜 |
三 省 堂 |
福 見 秀 雄 |
微生物の世界 |
高 山 書 院 |
中 路 正 義 矢 野 佐 |
動植物の採集と研究 |
研 進 社 |
小 泉 丹 |
人体寄生虫通説 |
岩 波 書 店 |
原 秀 雄 |
実験材料植物の 採集と培養 |
養 賢 堂 |
戸 田 正 三 |
公衆衛生学 |
東 洋 書 館 |
三輪,久米 |
生物実験法 |
共 立 出 版 |
田 波 幸 男 |
寄生虫の知識駆除法 |
二 宮 書 店 |
湯 淺 明 |
細胞と実験 |
力 書 房 |
小林 晴次郎 |
寄生虫と衛生昆虫 |
臼 井 書 房 |
久 米 道 民 |
植物顕微鏡実習 |
目 黒 書 店 |
小 泉 丹 |
常識の科学性 |
岩 波 書 店 |
杉 崎 浪 江 |
海の動物の観察 |
綜合科学出版社 |
柴 山 知 雄 |
伝染病の知識と手当 |
二 宮 書 店 |
湯 淺 明 |
生物の細胞と器官 |
大日本図書 |
大 村 清 二 |
病理学知識 |
春 日 書 房 |
単元Ⅰ |
宮 崎 三 郎 |
薬 効 分 析 |
万有科学社 |
||
中 村 浩 |
植物の生活 |
高 山 書 院 |
斎 藤 十 六 |
われわれの健康 |
大日本図書 |
〃 |
葉緑の科学 |
〃 |
単元Ⅵ |
||
鈴木 梅太郎 |
ビ タ ミ ン |
日本評論社 |
山 羽 儀 兵 |
一般細胞学 |
裳 華 房 |
桜 井 芳 人 |
食物と栄養 |
朝 倉 書 店 |
小 倉 謙 |
植物解剖及形態学 |
養 賢 堂 |
服 部 静 夫 |
生活の中の植物 |
河 出 書 房 |
小 野 豊 樹 |
ビタミンとホルモン |
経営評論社 |
田 宮 博 |
光合成の機作 |
裳 華 房 |
鈴木 梅太郎 |
ホ ル モ ン |
日本評論社 |
江上 不二夫 |
生体の化学 |
大日本出版社 |
竹 脇 潔 木 下 治 雄 |
生物のからだの 調節と統一 |
大日本図書 |
坂 村 徹 |
植物生理学 |
裳 華 房 |
正 宗 巌 敬 |
植物地理学 |
養 賢 堂 |
東大栄養化学 研 究 室 |
マツカラム栄養新説 |
朝 倉 書 店 |
駒 井 卓 |
日本の資料を主とした 生物進化学 |
培 風 館 |
柳 金 太 郎 |
栄 養 生 理 |
光 生 館 |
八 杉 竜 一 |
進化と創造 |
岩 波 書 店 |
井 上 清 恒 |
生体の科学 |
青 山 書 院 |
山田 坂仁 訳 |
オパーリン生命の起源 |
岩 崎 書 店 |
秋 田 康 一 田 中 潔 |
生物のいきかた |
大日本図書 |
駒 井 卓 |
ダーウイン伝 |
改 造 社 |
単元Ⅱ |
竹 脇 潔 |
ホルモンの問題 |
寧 楽 書 房 |
||
田 中 潔 |
呼吸・発酵・腐敗 |
日本出版社 |
井 尻 正 二 |
古生物学論 |
平 凡 社 |
沼野井 春雄 |
血液の科学 |
青 山 書 院 |
中 野 治 房 |
植物生理及生態学実験法 |
裳 華 房 |
名 取 礼 二 |
運動の生理学 |
青 山 書 院 |
単元Ⅶ |
||
山 本 時 男 |
動物生理の実験 |
河 出 書 房 |
館 脇 操 |
植物の分布 |
河 出 書 房 |
古 沢 一 夫 |
疲労と休養 |
東 洋 図 書 |
中井 猛之進 |
東 亜 植 物 |
岩 波 書 店 |
鈴 木 正 夫 |
生 物 電 気 |
創 元 社 |
駒 井 卓 |
日本産動物 |
甲 文 社 |
石 川 知 福 |
環境衛生学 |
吐 風 堂 |
中 路 正 義 |
生物の種類とからだ |
大日本図書 |
久 野 寧 |
気候と人生 |
創 元 社 |
広島大学生物学会 |
日本動物解剖図説 |
日本出版社 |
奥 貫 一 男 |
発 酵 |
河 出 書 房 |
上 野 益 三 |
陸水生物学概論 |
養 賢 堂 |
秋 田 康 一 田 中 潔 |
生物のいきかた |
大日本図書 |
松 江 吉 行 |
海は生物の世界 |
目 黒 書 店 |
単元Ⅲ |
朝日奈泰彦 外 |
隠花植物図鑑 |
三 省 堂 |
||
井 上 清 恒 |
生物の反応性 |
大日本図書 |
牧野 富太郎 |
日本植物図鑑 |
北 隆 館 |
石 原 忍 |
日本人の眼 |
創 元 社 |
内田清之助 外 |
日本動物図鑑 |
〃 |
内 田 亨 |
魚 の 感 覚 |
〃 |
石井 悌 外 |
日本昆虫図鑑 |
〃 |
ブツテンブ ロツク 懸田 克躬 訳 |
感覚の世界 |
〃 |
三省堂編集部 |
原色昆虫図譜 |
三 省 堂 |
桑原 万寿太郎 |
蜜蜂の帰巣 |
北方出版社 |
単元Ⅷ |
||
本城 市次郎 |
動物の趨性 |
〃 |
篠 遠 喜 人 |
十五人の生物学者 |
河 出 書 房 |
古川,碓井, 稲葉 |
動 物 の 心 |
清 水 書 院 |
梅 沢 浜 夫 |
ペニシリンと ストレプトマイシン |
中央公論社 |
川村 多実二 |
動物生態学 |
岩 波 書 店 |
湯 淺 光 朝 |
科学文化史年表 |
〃 |
菊 地 健 三 |
動物の行動 |
河 出 書 房 |
隈 部 英 雄 |
結核新薬の実際知識 |
保健同人社 |
宝 目 欣 二 北 沢 右 三 |
生物と環境 |
大日本図書 |
笠 島 和 介 |
植物の進歩 |
ジ ー プ 社 |
大 後 美 保 |
植物生理気象学 |
共 立 出 版 |
木 原 均 |
小麦の祖先 |
創 元 社 |
滝 庸 |
環境と動物 |
青 也 書 店 |
私たちの 森林刊行会 |
私たちの森林 |
私たちの 森林刊行会 |
吉 井 義 次 |
植物群落の観察 |
同 氏 出 版 |
石 川 知 福 |
労働の衛生学 |
三 省 堂 |
単元Ⅳ |
永 井 威 三 |
農 業 綜 典 |
朝 倉 書 店 |
||
田 原 正 人 |
配偶体と胚の発生 |
力 書 房 |
職業教育研究会 |
漁業で働く人たち |
第 一 出 版 |
久 米 又 三 |
発生の機構 |
高 山 書 館 |
湯 淺 謹 而 |
都市の医学 |
山 雅 房 |
安 田 貞 雄 |
植物生殖生理学 |
養 賢 堂 |
井 上 清 恒 |
生物学の歴史 |
高 山 書 院 |
市 川 衛 |
発生の原理 |
京都印書館 |
佐 藤 重 平 |
有用植物の育種 |
河 出 書 房 |
犬 飼 哲 夫 |
動物発生学 |
岩 波 書 店 |
上 野 益 三 |
日本博物学史 |
星 野 書 店 |
岡 田 要 木 原 均 |
発 生 |
共 立 出 版 |
高橋 日出彦 |
医学の歴史 |
ジ ー プ 社 |
藤 井 隆 |
生物の生殖と発生 |
大日本図書 |
岡田 弥一郎 |
生物の研究と人生 |
大日本図書 |
小清水 卓二 |
植物の生長ホルモン |
績 文 堂 |
鈴 木 重 夫 |
電子顕微鏡 |
河 出 書 房 |
竹 脇 潔 |
ホ ル モ ン |
春 陽 堂 |
田 沢 康 夫 |
生物学の進歩と学者たち |
大日本図書 |
木 下 三 郎 |
生長ホルモン |
内田老鶴圃 |