(試 案)
昭和二十二年度
文 部 省
序
義務教育の年限が延長されて,中学校の教育も義務教育の一環として行われることとなった。義務教育における教科目は社会の要求と生徒の興味とにもとづいて編成されるべきであって,必修科目は社会から求められ受けいれられる公民となるのに必要にして基本的な知識と技能とを与える科目のみに限るべきである。英語については,これを非常に必要とする地方もあるであろうが,またいなかの生徒などで,英語を学ぶことを望まない者もあるかもしれない。それで,英語は選択科目となったのである。
英語を学びたいと思う者にとっては,英語はきわめてひきつけられる科目であろう。発音や文字や意味が国語と全く異なるばかりでなく,英語を通して外国の事情を知ることができ,すべてのことが目新しく興味深いからである。つまり,英語は世界を知る窓といってもよいであろう。
英語の教授と学習とを効果あらしめるためには,なんのために,何をどんな方法で,いつどんなところで教授し学習するというような問題が多い。この「学習指導要領」は,言語教授の理論と実際とにもとづいて,こうした問題を解く助けとなるように作られたものである。けれども,学校によっていろいろ事情が違うことであろうから,教師も生徒も,おのおのその個性を発揮して,この「学習指導要領」を十分に活用してもらいたい。
もちろん,この「学習指導要領」は完全なものではないから,実際の経験にもとづいた意見を,どしどし本省に送ってもらい,それによって,年々書き改めて行って,いゝものにしたいのである。
文 部 省
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