高等学校 学 習 指 導 要 領
保 健 体 育 科 体 育 編
(試 案)
昭和26年(1951)
文 部 省
ま え が き
1.この学習指導要領は,中学校・高等学校の保健体育科の教師が体育の学習を指導する場合に,具体的な計画を作成するための有力な参考となるように書かれたものである。したがって本書に示された内容は決して規定的なものではなく,わが国における一般的・共通的な考え方を概説したものである。すなわち,中心教材と選択教材およびそれらの指導週数・指導内容や指導計画,あるいは学習活動など,ここに示されているものは,一応の共通的・一般的な手がかりとして例示されたものに過ぎない。各学佼の生徒たちが望ましい発達を遂げるために,具体的な目標をどのように設定し,いかなる教材を用い,いかなる計画を立て,学習をいかに指導することが最も適当であるかは,その生徒や学校を地域社会の実情に詳しいその学校の教師が最もよく決定することができよう。
2.目標の掲げ方については,いろいろな形式があろう。本書では,具体的目標を身体的・知的・情緒的・社会的・安全・レクリエーションの五つの側面から考え,中学校および高等学校でそれぞれ特に強調すべき目標を掲げた。
3.教材については,従来の考え方を捨て,問題単元的な意味を教材に持たせることにした。指導にあたっては,できるだけ生徒の生活経験から導入し,その学習過程において,次々と問題を解決してゆくところの自発的な学習活動の展開が望ましいことを明らかにしようとしたものである。教材選定にあたっては,いわゆる教材評価を試みたが,わが国として始めてのものであり,目標分析による学習内容・学習活動の構成や展開とあわせて,今後の研究にまたねばならぬ点も少なくないので,その結果については参考資料として末尾に付録として掲げるにとどめた。
4.評価については,その大要のみを掲げたか,真の教育成果をあげるために,この評価の意義をよく認識し,実際の取扱によく熟練するよう努めるべきであろう。なお本書の編修にあたって,その基礎資料をうるために実施した生徒の運動能力の発達についての調査結果を末尾の付録に参考として掲げることとした。
5.本書は体育のみを扱ったので,保健ならびにそれとの関連を記述することができなかったことは遺憾であるが,これについては今後の重要な課題として解決を期するものである。
6.本書の編修にあたったのは,次のかたがたである。(五十音順)
東京教育大学助教授 阿 部 三 亥
東京都立桜町高等学校教諭 池 田 光 政
労働科学研究所技師 石 井 雄 二
東京教育大学教授 今 村 嘉 雄
東京教育大学助教授 梅 田 利兵衛
東京教育大学附属中学校教諭 江 尻 容
神奈川県立厚木高等学校教諭 金 村 多美子
東京都港区立港中学校教諭 関 芳 枝
東京都板橋区厚生課長 妻 川 実
お茶の水女子大学所助教授 戸 倉 ハ ル
東京学芸大学附属中学校教諭 中 村 久 二
東京都立大泉高等学校教諭 野 沢 要 助
神奈川県立横浜第一高等学校教諭 保 坂 周 助
東京教育大学教授 本 間 茂 雄
東京教育大学教授 松 井 三 雄
東京都立三田高等学校教諭 村 上 繁
東京都隅田区立荒川第五中学校長 吉 永 光 雄
文 部 省 事 務 官 竹之下 休 蔵
〃 湯 浅 謹 而
〃 佐々木 吉 蔵
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