中等学校保健計画実施要領

（試　案）

昭和二十四年度

文　部　省

目　　次

緒　　言

緒　　言

　心身ともに健康であることは，教育を実行するための基礎的条件であり，また心身の健康をよりいっそう高めることは，教育実践の一目標でなければならない。教育基本法は心身ともに健康な国民を育成すべきことを，教育目的の一つとして取り上げているのは，これがためである。

　また，民主的教育では，個人の価値向上に教育活動の一重点を置き，しかも個人の価値の重要素として，心身の健康が高く評価されているのであるが，このことは，今後のわが国の学校教育において，学校保健問題が新しい反省と自覚とを要求し，その反省と自覚とにもとづいて，新しい意味をもつ学校保健問題が，力強く推進されなければならないことを意味するものと思う。

　なおまた，わが国民，ことに将来に富む在学少青年達の発育健康の状態が，文化社会の水準を隔たること遠く，また健康生活に対する習慣・知識・態度を養うことが，今後の改善向上に期待されている現状を思えば，学校保健問題の具体的推進は，切実な緊急実施事項に数えらるべきことであろう。

　このような数多くの必要性は，新たに発足した学校教育が多かれ少なかれ学校保健問題に，新たな関心と配意とを促さずにはおかないのであるが，しかし，実際問題としては，有力な参考的指針の出現を要望し，それにもとづいて，明確な方針を立て，かつその具体的展開に進もうとしていることは，多くの学校に見られるところである。本書は実にこのような要望にこたえるために企画されたものの一部であって，その道の多くの権威者を煩わして，もっぱら中等学校における学校保健問題についての全般的計画に関する基準の審議を求め，その成案にもとづいて作成したものである。そして，その内容は序論，健康に適した学校環境，健康に適した学校生活，学校保健事業，健康教育を主要項目としているが，これらはいうまでもなく，一つの参考指針であるから，各地，各学校では，その趣旨においてこれを活用し，さらに各地学校の実情を考慮し，真に各学校に適した学校保健計画を立て，その合理的な実行によって，所期の目的を達成するよう万全の努力を払われるよう期待してやまない。

中等学校保健計画実施要領編集委員名

財団法人学校衛生会理事長　　　　　　　　　　　　　　　医学博士　岩原　拓

東京都愛宕中学校長　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　野口　彰

東京都高輪台小学校長　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　稻葉　一郎

東京都第三中学校教諭　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松本　しづ子

東京都好道小学校教諭　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　下田　巧

東京都高輪台小学校　養護教諭　　　　　　　　　　　　　　　　　　千葉　たつ

東京都神田女子中学校・東京都神田女子高等学校　学校医　　　　　　鈴木　又七郎

東京都京華小学校　学校医　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　廣瀬　勇

東京都臨川小学校　学校歯科医　　　　　　　　　　　　　　　　　　原　一学

東京都教育局体育課　東京都技師　　　　　　　　　　　　　　　　　長松　二郎

千葉県教育部教学課　千葉県技師　　　　　　　　　　　　　　　　　内田　早苗

厚生省児童局母子衛生課　厚生技官　　　　　　　　　　　　　　　　田波　幸男

厚生省予防局防疫課　厚生技官　　　　　　　　　　　　　医学博士　川畑　愛義

文部省教科書局第二編修課　文部事務官　　　　　　　　　　　　　　永田　義夫

文部省教科書局第一編修課　文部事務官　　　　　　　　　　　　　　勝田　守一

文部省教科書局第二編修課　文部事務官　　　　　　　　　　　　　　重松　伊八郎

文部省学校教育局初等教育課　文部事務官　　　　　　　　　　　　　坂本　彦太郎

文部省学校教育局中等教育課　文部事務官　　　　　　　　　　　　　森田　孝

文部省教育施設局第二資材課　文部事務官　　　　　　　　　　　　　宮川　孝夫

文部省教育施設局施設課　文部事務官　　　　　　　　　　　　　　　地引　友次

文部省体育局保健課　文部事務官　　　　　　　　　　　　　　　　　荷見　秋次郎

文部省体育局保健課　文部事務官　　　　　　　　　　　　　　　　　中村　鎭

文部省体育局保健課　文部省研究員　　　　　　　　　　　医学博士　湯浅　謹而

文部省体育局保健課　文部省事務補佐員　　　　　　　　　　　　　　浜田　正好