なお,各学年の指導に当っては,第六章から第十四章までを参考にされたい。
2.小学校でも中学校でも,経験の欄が設けてある。これは教材の内容やそれを取り扱う程度の基準を示すためのものである。これを参考にして,教材を取り扱ってもらいたい。
3.教材の学年配当の中に,次のような新しい用語が使ってある。これを具体的に説明する。
1から9までの二つの数を加え合わせる計算は,四則計算の基礎になるものである。したがって,計算についての理法がわかったら,その計算が反射的にできるようにしなければならない。このような意味から,この種の計算を,加法九々ということにした。減法九々は,減数差が,ともに,1から9までの数になる計算である。しかし,加法九々,減法九々は,決レて乗法九々のように,呼び声としてのものではない。
b)単位分数
5/6は,1/6 単位として数えて,5に当たるものである。すなわち,5/6は1/6の5倍である。このように考えると,1/6は6を分母とするあらゆる分数の単位であるとみられる。そこで,分母が整数で,分子が1である分数を,特に,単位分数ということにした。
c)正方形グラフ・帯グラフ
これは,ともにグラフの一種である。
正方形グラフ(第1図参照)は,正方形を100個の小さな正方形に等分し,全体に対する各部の割合を,その小さな正方形の個数で示すことにして作られたものである。
帯グラフ(第2図参照)は,矩形グラフともいわれたものである。矩形の矩は当用漢字にはないため,矩形グラフを帯グラフということにした。帯グラフは,全体に対する各部の割合を,帯の長さで示すことにして作られたものである。
第1図
わが国における塩の生産能力
(昭和二十一年四月統計)
総量 500,000㎏
第2図
わが国における塩の生産能力
(昭和二十一年四月統計)
総量 500,000㎏
d)台形
梯形の梯は,当用漠字にないために,梯形を台形ということに一応定め,一般からの意見を求めることにした。
e)一段階の問題・二段階の問題
一段階の問題の例;えんぴつを2本もっています。きょう,おかあさんから3本いただきました。みんなで,なん本になったでしょう。
二段階の問題の例;ひろしくんの家で,大工さんをたのみました。おとうさんが6日間の賃金として,900円支払われました。この割合で,あと30日間の賃金を支払うのだそうです。いくら支払うことになりますか。
四則のどれか一つの計算で,すぐに解決できる問題を,一段階の問題ということにした。四則計算の二つを組み合わせて解決できる問題を,二段階の問題ということにした。但し,加法と加法というように,同じ種類のものを組み合わした問題も含まれる。
f)一次元の表・二次元の表
一次元の表(第3図参照)は数が縦,あるいは横の一方にだけ並んでいる表のことである。二次元の表(第4図参照)は,数が,縦にも横にも,並んでいる表のことである。
第3図
昭和22年度の東京都内における小学生交通事故の表(警視庁交通課調査)
生徒側
原因 |
右側通行又は信号無視 | 横断上の不注意 | 車道歩行 | 小道路より跳出す | 路上遊戯 | その他 | 計 |
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生徒側
原因 |
右側通行又は信号無視 | 横断上の不注意 | 車道歩行 | 小道路より跳出す | 路上遊戯 | その他 | 計 |
昭和21年 |
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226 |
22年 |
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260 |
直角三角形で,鋭角の一つが定まっていると,大きさは違っていても,形は同じである。このような三角形では,一組の辺の長さの比は,定まっている。いいかえると,正弦,余弦,正接の大きさが定まる。角の大きさの変化に応じて正弦などの値が変るということよりも,ある定まった角に対する二辺の比として考える場合に,正弦,余弦,正接などをまとめて,三角比ということにした。