○文部科学省告示第六十四号

 学校教育法施行規則(昭和二十二年文部省令第十一号)第七十四条の規定に基づき,中学校学習指導要領(平成二十年文部科学省告示第二十八号)の全部を次のように改正し,平成三十三年四月一日から施行する。平成三十年四月一日から平成三十三年三月三十一日までの間における中学校学習指導要領の必要な特例については,別に定める。

  平成二十九年三月三十一日

文部科学大臣 松野 博一

 

   中学校学習指導要領

目次

前 文

第1章 総   則

第2章 各 教 科

 第1節 国  語

 第2節 社  会

 第3節 数  学

 第4節 理  科

 5節 音  楽

 第6節 美  術

 第7節 保健体育

 第8節 技術・家庭

 第9節 外

第3章 特別の教科 道徳

第4章 総合的な学習の時間

第5章 特別活動

 

付録(教育基本法他)

 

 

 教育は,教育基本法第1条に定めるとおり,人格の完成を目指し,平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期すという目的のもと,同法第2条に掲げる次の目標を達成するよう行われなければならない。

1 幅広い知識と教養を身に付け,真理を求める態度を養い,豊かな情操と道徳心を培うとともに,健やかな身体を養うこと。

2 個人の価値を尊重して,その能力を伸ばし,創造性を培い,自主及び自律の精神を養うとともに,職業及び生活との関連を重視し,勤労を重んずる態度を養うこと。

3 正義と責任,男女の平等,自他の敬愛と協力を重んずるとともに,公共の精神に基づき,主体的に社会の形成に参画し,その発展に寄与する態度を養うこと。

4 生命を尊び,自然を大切にし,環境の保全に寄与する態度を養うこと。

5 伝統と文化を尊重し,それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに,他国を尊重し,国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。

  これからの学校には,こうした教育の目的及び目標の達成を目指しつつ,一人一人の生徒が,自分のよさや可能性を認識するとともに,あらゆる他者を価値のある存在として尊重し,多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え,豊かな人生を切り拓(ひら)き,持続可能な社会の創り手となることができるようにすることが求められる。このために必要な教育の在り方を具体化するのが,各学校において教育の内容等を組織的かつ計画的に組み立てた教育課程である。

  教育課程を通して,これからの時代に求められる教育を実現していくためには,よりよい学校教育を通してよりよい社会を創るという理念を学校と社会とが共有し,それぞれの学校において,必要な学習内容をどのように学び,どのような資質・能力を身に付けられるようにするのかを教育課程において明確にしながら,社会との連携及び協働によりその実現を図っていくという,社会に開かれた教育課程の実現が重要となる。

  学習指導要領とは,こうした理念の実現に向けて必要となる教育課程の基準を大綱的に定めるものである。学習指導要領が果たす役割の一つは,公の性質を有する学校における教育水準を全国的に確保することである。また,各学校がその特色を生かして創意工夫を重ね,長年にわたり積み重ねられてきた教育実践や学術研究の蓄積を生かしながら,生徒や地域の現状や課題を捉え,家庭や地域社会と協力して,学習指導要領を踏まえた教育活動の更なる充実を図っていくことも重要である。

  生徒が学ぶことの意義を実感できる環境を整え,一人一人の資質・能力を伸ばせるようにしていくことは,教職員をはじめとする学校関係者はもとより,家庭や地域の人々も含め,様々な立場から生徒や学校に関わる全ての大人に期待される役割である。幼児期の教育及び小学校教育の基礎の上に,高等学校以降の教育や生涯にわたる学習とのつながりを見通しながら,生徒の学習の在り方を展望していくために広く活用されるものとなることを期待して,ここに中学校学習指導要領を定める。