第8節 技術・家庭

 

第1 目 標

 生活の営みに係る見方・考え方や技術の見方・考え方を働かせ,生活や技術に関する実践的・体験的な活動を通して,よりよい生活の実現や持続可能な社会の構築に向けて,生活を工夫し創造する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

 (1)生活と技術についての基礎的な理解を図るとともに,それらに係る技能を身に付けるようにする。

 (2)生活や社会の中から問題を見いだして課題を設定し,解決策を構想し,実践を評価・改善し,表現するなど,課題を解決する力を養う。

 (3)よりよい生活の実現や持続可能な社会の構築に向けて,生活を工夫し創造しようとする実践的な態度を養う。

 

第2 各分野の目標及び内容

 

 〔技術分野〕

1 目 標

  技術の見方・考え方を働かせ,ものづくりなどの技術に関する実践的・体験的な活動を通して,技術によってよりよい生活や持続可能な社会を構築する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

 (1)生活や社会で利用されている材料,加工,生物育成,エネルギー変換及び情報の技術についての基礎的な理解を図るとともに,それらに係る技能を身に付け,技術と生活や社会,環境との関わりについて理解を深める。

 (2)生活や社会の中から技術に関わる問題を見いだして課題を設定し,解決策を構想し,製作図等に表現し,試作等を通じて具体化し,実践を評価・改善するなど,課題を解決する力を養う。

 (3)よりよい生活の実現や持続可能な社会の構築に向けて,適切かつ誠実に技術を工夫し創造しようとする実践的な態度を養う。

 

2 内 容

A 材料と加工の技術

 (1)生活や社会を支える材料と加工の技術について調べる活動などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

  ア 材料や加工の特性等の原理・法則と,材料の製造・加工方法等の基礎的な技術の仕組みについて理解すること。

  イ 技術に込められた問題解決の工夫について考えること。

 (2)生活や社会における問題を,材料と加工の技術によって解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

  ア 製作に必要な図をかき,安全・適切な製作や検査・点検等ができること。

  イ 問題を見いだして課題を設定し,材料の選択や成形の方法等を構想して設計を具体化するとともに,製作の過程や結果の評価,改善及び修正について考えること。

 (3)これからの社会の発展と材料と加工の技術の在り方を考える活動などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

  ア 生活や社会,環境との関わりを踏まえて,技術の概念を理解すること。

  イ 技術を評価し,適切な選択と管理・運用の在り方や,新たな発想に基づく改良と応用について考えること。

B 生物育成の技術

 (1)生活や社会を支える生物育成の技術について調べる活動などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

  ア 育成する生物の成長,生態の特性等の原理・法則と,育成環境の調節方法等の基礎的な技術の仕組みについて理解すること。

  イ 技術に込められた問題解決の工夫について考えること。

 (2)生活や社会における問題を,生物育成の技術によって解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

  ア 安全・適切な栽培又は飼育,検査等ができること。

  イ 問題を見いだして課題を設定し,育成環境の調節方法を構想して育成計画を立てるとともに,栽培又は飼育の過程や結果の評価,改善及び修正について考えること。

 (3)これからの社会の発展と生物育成の技術の在り方を考える活動などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

  ア 生活や社会,環境との関わりを踏まえて,技術の概念を理解すること。

  イ 技術を評価し,適切な選択と管理・運用の在り方や,新たな発想に基づく改良と応用について考えること。

C エネルギー変換の技術

 (1)生活や社会を支えるエネルギー変換の技術について調べる活動などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

  ア 電気,運動,熱の特性等の原理・法則と,エネルギーの変換や伝達等に関わる基礎的な技術の仕組み及び保守点検の必要性について理解すること。

  イ 技術に込められた問題解決の工夫について考えること。

 (2)生活や社会における問題を,エネルギー変換の技術によって解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

  ア 安全・適切な製作,実装,点検及び調整等ができること。

  イ 問題を見いだして課題を設定し,電気回路又は力学的な機構等を構想して設計を具体化するとともに,製作の過程や結果の評価,改善及び修正について考えること。

 (3)これからの社会の発展とエネルギー変換の技術の在り方を考える活動などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

  ア 生活や社会,環境との関わりを踏まえて,技術の概念を理解すること。

  イ 技術を評価し,適切な選択と管理・運用の在り方や,新たな発想に基づく改良と応用について考えること。

D 情報の技術

 (1)生活や社会を支える情報の技術について調べる活動などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

  ア 情報の表現,記録,計算,通信の特性等の原理・法則と,情報のデジタル化や処理の自動化,システム化,情報セキュリティ等に関わる基礎的な技術の仕組み及び情報モラルの必要性について理解すること。

  イ 技術に込められた問題解決の工夫について考えること。

 (2)生活や社会における問題を,ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによって解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

  ア 情報通信ネットワークの構成と,情報を利用するための基本的な仕組みを理解し,安全・適切なプログラムの制作,動作の確認及びデバッグ等ができること。

  イ 問題を見いだして課題を設定し,使用するメディアを複合する方法とその効果的な利用方法等を構想して情報処理の手順を具体化するとともに,制作の過程や結果の評価,改善及び修正について考えること。

 (3)生活や社会における問題を,計測・制御のプログラミングによって解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

  ア 計測・制御システムの仕組みを理解し,安全・適切なプログラムの制作,動作の確認及びデバッグ等ができること。

  イ 問題を見いだして課題を設定し,入出力されるデータの流れを元に計測・制御システムを構想して情報処理の手順を具体化するとともに,制作の過程や結果の評価,改善及び修正について考えること。

 (4)これからの社会の発展と情報の技術の在り方を考える活動などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

  ア 生活や社会,環境との関わりを踏まえて,技術の概念を理解すること。

  イ 技術を評価し,適切な選択と管理・運用の在り方や,新たな発想に基づく改良と応用について考えること。

 

3 内容の取扱い

 (1)内容の「A材料と加工の技術」については,次のとおり取り扱うものとする。

  ア (1)については,我が国の伝統的な技術についても扱い,緻密なものづくりの技などが我が国の伝統や文化を支えてきたことに気付かせること。

  イ (2)の製作に必要な図については,主として等角図及び第三角法による図法を扱うこと。

 (2)内容の「B生物育成の技術」については,次のとおり取り扱うものとする。

  ア (1)については,作物の栽培,動物の飼育及び水産生物の栽培のいずれも扱うこと。

  イ (2)については,地域固有の生態系に影響を及ぼすことのないよう留意するとともに,薬品を使用する場合には,使用上の基準及び注意事項を遵守させること。

 (3)内容の「Cエネルギー変換の技術」の (1)については,電気機器や屋内配線等の生活の中で使用する製品やシステムの安全な使用についても扱うものとする。

 (4)内容の「D情報の技術」については,次のとおり取り扱うものとする。

  ア (1)については,情報のデジタル化の方法と情報の量,著作権を含めた知的財産権,発信した情報に対する責任,及び社会におけるサイバーセキュリティが重要であることについても扱うこと。

  イ (2)については,コンテンツに用いる各種メディアの基本的な特徴や,個人情報の保護の必要性についても扱うこと。

 (5)各内容における (1)については,次のとおり取り扱うものとする。

  ア アで取り上げる原理や法則に関しては,関係する教科との連携を図ること。

  イ イでは,社会からの要求,安全性,環境負荷や経済性などに着目し,技術が最適化されてきたことに気付かせること。

  ウ 第1学年の最初に扱う内容では,3年間の技術分野の学習の見通しを立てさせるために,内容の「A材料と加工の技術」から「D情報の技術」までに示す技術について触れること。

 (6)各内容における(2)及び内容の「D情報の技術」の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。

  ア イでは,各内容の(1)のイで気付かせた見方・考え方により問題を見いだして課題を設定し,自分なりの解決策を構想させること。

  イ 知的財産を創造,保護及び活用しようとする態度,技術に関わる倫理観,並びに他者と協働して粘り強く物事を前に進める態度を養うことを目指すこと。

  ウ 第3学年で取り上げる内容では,これまでの学習を踏まえた統合的な問題について扱うこと。

  エ 製作・制作・育成場面で使用する工具・機器や材料等については,図画工作科等の学習経験を踏まえるとともに,安全や健康に十分に配慮して選択すること。

 (7)内容の「A材料と加工の技術」,「B生物育成の技術」,「Cエネルギー変換の技術」の(3) 及び内容の「D情報の技術」の (4)については,技術が生活の向上や産業の継承と発展,資源やエネルギーの有効利用,自然環境の保全等に貢献していることについても扱うものとする。

 

 〔家庭分野〕

1 目 標

  生活の営みに係る見方・考え方を働かせ,衣食住などに関する実践的・体験的な活動を通して,よりよい生活の実現に向けて,生活を工夫し創造する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

 (1)家族・家庭の機能について理解を深め,家族・家庭,衣食住,消費や環境などについて,生活の自立に必要な基礎的な理解を図るとともに,それらに係る技能を身に付けるようにする。

 (2)家族・家庭や地域における生活の中から問題を見いだして課題を設定し,解決策を構想し,実践を評価・改善し,考察したことを論理的に表現するなど,これからの生活を展望して課題を解決する力を養う。

 (3)自分と家族,家庭生活と地域との関わりを考え,家族や地域の人々と協働し,よりよい生活の実現に向けて,生活を工夫し創造しようとする実践的な態度を養う。

 

2 内 容

A 家族・家庭生活

  次の(1)から(4)までの項目について,課題をもって,家族や地域の人々と協力・協働し,よりよい家庭生活に向けて考え,工夫する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

 (1)自分の成長と家族・家庭生活

  ア 自分の成長と家族や家庭生活との関わりが分かり,家族・家庭の基本的な機能について理解するとともに,家族や地域の人々と協力・協働して家庭生活を営む必要があることに気付くこと。

 (2)幼児の生活と家族

  ア 次のような知識を身に付けること。

   (ア)幼児の発達と生活の特徴が分かり,子供が育つ環境としての家族の役割について理解すること。

   (イ)幼児にとっての遊びの意義や幼児との関わり方について理解すること。

  イ 幼児とのよりよい関わり方について考え,工夫すること。

 (3)家族・家庭や地域との関わり

  ア 次のような知識を身に付けること。

   (ア)家族の互いの立場や役割が分かり,協力することによって家族関係をよりよくできることについて理解すること。

   (イ)家庭生活は地域との相互の関わりで成り立っていることが分かり,高齢者など地域の人々と協働する必要があることや介護など高齢者との関わり方について理解すること。

  イ 家族関係をよりよくする方法及び高齢者など地域の人々と関わり,協働する方法について考え,工夫すること。

 (4)家族・家庭生活についての課題と実践

  ア 家族,幼児の生活又は地域の生活の中から問題を見いだして課題を設定し,その解決に向けてよりよい生活を考え,計画を立てて実践できること。

B 衣食住の生活

  次の(1)から(7)までの項目について,課題をもって,健康・快適・安全で豊かな食生活,衣生活,住生活に向けて考え,工夫する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

 (1)食事の役割と中学生の栄養の特徴

  ア 次のような知識を身に付けること。

   (ア)生活の中で食事が果たす役割について理解すること。

   (イ)中学生に必要な栄養の特徴が分かり,健康によい食習慣について理解すること。

  イ 健康によい食習慣について考え,工夫すること。

 (2)中学生に必要な栄養を満たす食事

  ア 次のような知識を身に付けること。

   (ア)栄養素の種類と働きが分かり,食品の栄養的な特質について理解すること。

   (イ)中学生の1日に必要な食品の種類と概量が分かり,1日分の献立作成の方法について理解すること。

  イ 中学生の1日分の献立について考え,工夫すること。

 (3)日常食の調理と地域の食文化

  ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

   (ア)日常生活と関連付け,用途に応じた食品の選択について理解し,適切にできること。

   (イ)食品や調理用具等の安全と衛生に留意した管理について理解し,適切にできること。

   (ウ)材料に適した加熱調理の仕方について理解し,基礎的な日常食の調理が適切にできること。

   (エ)地域の食文化について理解し,地域の食材を用いた和食の調理が適切にできること。

  イ 日常の1食分の調理について,食品の選択や調理の仕方,調理計画を考え,工夫すること。

 (4)衣服の選択と手入れ

  ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

   (ア)衣服と社会生活との関わりが分かり,目的に応じた着用,個性を生かす着用及び衣服の適切な選択について理解すること。

   (イ)衣服の計画的な活用の必要性,衣服の材料や状態に応じた日常着の手入れについて理解し,適切にできること。

  イ 衣服の選択,材料や状態に応じた日常着の手入れの仕方を考え,工夫すること。

 (5)生活を豊かにするための布を用いた製作

  ア 製作する物に適した材料や縫い方について理解し,用具を安全に取り扱い,製作が適切にできること。

  イ 資源や環境に配慮し,生活を豊かにするために布を用いた物の製作計画を考え,製作を工夫すること。

 (6)住居の機能と安全な住まい方

  ア 次のような知識を身に付けること。

   (ア)家族の生活と住空間との関わりが分かり,住居の基本的な機能について理解すること。

   (イ)家庭内の事故の防ぎ方など家族の安全を考えた住空間の整え方について理解すること。

  イ 家族の安全を考えた住空間の整え方について考え,工夫すること。

 (7)衣食住の生活についての課題と実践

  ア 食生活,衣生活,住生活の中から問題を見いだして課題を設定し,その解決に向けてよりよい生活を考え,計画を立てて実践できること。

C 消費生活・環境

  次の(1)から(3)までの項目について,課題をもって,持続可能な社会の構築に向けて考え,工夫する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

 (1)金銭の管理と購入

  ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

   (ア)購入方法や支払い方法の特徴が分かり,計画的な金銭管理の必要性について理解すること。

   (イ)売買契約の仕組み,消費者被害の背景とその対応について理解し,物資・サービスの選択に必要な情報の収集・整理が適切にできること。

  イ 物資・サービスの選択に必要な情報を活用して購入について考え,工夫すること。

 (2)消費者の権利と責任

  ア 消費者の基本的な権利と責任,自分や家族の消費生活が環境や社会に及ぼす影響について理解すること。

  イ 身近な消費生活について,自立した消費者としての責任ある消費行動を考え,工夫すること。

 (3)消費生活・環境についての課題と実践

  ア 自分や家族の消費生活の中から問題を見いだして課題を設定し,その解決に向けて環境に配慮した消費生活を考え,計画を立てて実践できること。

 

3 内容の取扱い

 (1)各内容については,生活の科学的な理解を深めるための実践的・体験的な活動を充実すること。

 (2)内容の「A家族・家庭生活」については,次のとおり取り扱うものとする。

  ア (1)のアについては,家族・家庭の基本的な機能がAからCまでの各内容に関わっていることや,家族・家庭や地域における様々な問題について,協力・協働,健康・快適・安全,生活文化の継承,持続可能な社会の構築等を視点として考え,解決に向けて工夫することが大切であることに気付かせるようにすること。

  イ (1),(2)及び(3)については,相互に関連を図り,実習や観察,ロールプレイングなどの学習活動を中心とするよう留意すること。

  ウ (2)については,幼稚園,保育所,認定こども園などの幼児の観察や幼児との触れ合いができるよう留意すること。アの(ア)については,幼児期における周囲との基本的な信頼関係や生活習慣の形成の重要性についても扱うこと。

  エ (3)のアの(イ)については,高齢者の身体の特徴についても触れること。また,高齢者の介護の基礎に関する体験的な活動ができるよう留意すること。イについては,地域の活動や行事などを取り上げたり,他教科等における学習との関連を図ったりするよう配慮すること。

 (3)内容の「B衣食住の生活」については,次のとおり取り扱うものとする。

  ア 日本の伝統的な生活についても扱い,生活文化を継承する大切さに気付くことができるよう配慮すること。

  イ (1)のアの(ア)については,食事を共にする意義や食文化を継承することについても扱うこと。

  ウ (2)のアの(ア)については,水の働きや食物繊維についても触れること。

  エ (3)のアの(ア)については,主として調理実習で用いる生鮮食品と加工食品の表示を扱うこと。(ウ)については,煮る,焼く,蒸す等を扱うこと。また,魚,肉,野菜を中心として扱い,基礎的な題材を取り上げること。(エ)については,だしを用いた煮物又は汁物を取り上げること。また,地域の伝統的な行事食や郷土料理を扱うこともできること。

  オ 食に関する指導については,技術・家庭科の特質に応じて,食育の充実に資するよう配慮すること。

  カ (4)のアの(ア)については,日本の伝統的な衣服である和服について触れること。また,和服の基本的な着装を扱うこともできること。さらに,既製服の表示と選択に当たっての留意事項を扱うこと。(イ)については,日常着の手入れは主として洗濯と補修を扱うこと。

  キ (5)のアについては,衣服等の再利用の方法についても触れること。

  ク (6)のアについては,簡単な図などによる住空間の構想を扱うこと。また,ア及びイについては,内容の「A家族・家庭生活」の(2)及び(3)との関連を図ること。さらに,アの(イ)及びイについては,自然災害に備えた住空間の整え方についても扱うこと。

 (4)内容の「C消費生活・環境」については,次のとおり取り扱うものとする。

  ア (1)及び(2)については,内容の「A家族・家庭生活」又は「B衣食住の生活」の学習との関連を図り,実践的に学習できるようにすること。

  イ (1)については,中学生の身近な消費行動と関連を図った物資・サービスや消費者被害を扱うこと。アの(ア)については,クレジットなどの三者間契約についても扱うこと。

 

第3 指導計画の作成と内容の取扱い

1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。

 (1)題材など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,生活の営みに係る見方・考え方や技術の見方・考え方を働かせ,知識を相互に関連付けてより深く理解するとともに,生活や社会の中から問題を見いだして解決策を構想し,実践を評価・改善して,新たな課題の解決に向かう過程を重視した学習の充実を図ること。

 (2)技術分野及び家庭分野の授業時数については,3学年間を見通した全体的な指導計画に基づき,いずれかの分野に偏ることなく配当して履修させること。その際,各学年において,技術分野及び家庭分野のいずれも履修させること。

    家庭分野の内容の「A家族・家庭生活」の(4),「B衣食住の生活」の(7)及び「C消費生活・環境」の(3)については,これら三項目のうち,一以上を選択し履修させること。その際,他の内容と関連を図り,実践的な活動を家庭や地域などで行うことができるよう配慮すること。

 (3)技術分野の内容の「A材料と加工の技術」から「D情報の技術」まで,及び家庭分野の内容の「A家族・家庭生活」から「C消費生活・環境」までの各項目に配当する授業時数及び各項目の履修学年については,生徒や学校,地域の実態等に応じて,各学校において適切に定めること。その際,家庭分野の内容の「A家族・家庭生活」の(1) については,小学校家庭科の学習を踏まえ,中学校における学習の見通しを立てさせるために,第1学年の最初に履修させること。

 (4)各項目及び各項目に示す事項については,相互に有機的な関連を図り,総合的に展開されるよう適切な題材を設定して計画を作成すること。その際,生徒や学校,地域の実態を的確に捉え,指導の効果を高めるようにすること。また,小学校における学習を踏まえるとともに,高等学校における学習を見据え,他教科等との関連を明確にして系統的・発展的に指導ができるようにすること。さらに,持続可能な開発のための教育を推進する視点から他教科等との連携も図ること。

 (5)障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。

 (6)第1章総則の第1の2の (2)に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,技術・家庭科の特質に応じて適切な指導をすること。

2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。

 (1)指導に当たっては,衣食住やものづくりなどに関する実習等の結果を整理し考察する学習活動や,生活や社会における課題を解決するために言葉や図表,概念などを用いて考えたり,説明したりするなどの学習活動の充実を図ること。

 (2)指導に当たっては,コンピュータや情報通信ネットワークを積極的に活用して,実習等における情報の収集・整理や,実践結果の発表などを行うことができるように工夫すること。

 (3)基礎的・基本的な知識及び技能を習得し,基本的な概念などの理解を深めるとともに,仕事の楽しさや完成の喜びを体得させるよう,実践的・体験的な活動を充実すること。また,生徒のキャリア発達を踏まえて学習内容と将来の職業の選択や生き方との関わりについても扱うこと。

 (4)資質・能力の育成を図り,一人一人の個性を生かし伸ばすよう,生徒の興味・関心を踏まえた学習課題の設定,技能の習得状況に応じた少人数指導や教材・教具の工夫など個に応じた指導の充実に努めること。

 (5)生徒が,学習した知識及び技能を生活に活用したり,生活や社会の変化に対応したりすることができるよう,生活や社会の中から問題を見いだして課題を設定し解決する学習活動を充実するとともに,家庭や地域社会,企業などとの連携を図るよう配慮すること。

3 実習の指導に当たっては,施設・設備の安全管理に配慮し,学習環境を整備するとともに,火気,用具,材料などの取扱いに注意して事故防止の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。

  その際,技術分野においては,正しい機器の操作や作業環境の整備等について指導するとともに,適切な服装や防護眼鏡・防塵(じん)マスクの着用,作業後の手洗いの実施等による安全の確保に努めることとする。

  家庭分野においては,幼児や高齢者と関わるなど校外での学習について,事故の防止策及び事故発生時の対応策等を綿密に計画するとともに,相手に対する配慮にも十分留意するものとする。また,調理実習については,食物アレルギーにも配慮するものとする。