第4節 理科

 

第1 目 標

 自然の事物・現象に関わり,理科の見方・考え方を働かせ,見通しをもって観察,実験を行うことなどを通して,自然の事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

 (1)自然の事物・現象についての理解を深め,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする。

 (2)観察,実験などを行い,科学的に探究する力を養う。

 (3)自然の事物・現象に進んで関わり,科学的に探究しようとする態度を養う。

 

第2 各分野の目標及び内容

 

 〔第1分野〕

1 目 標

  物質やエネルギーに関する事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

 (1)物質やエネルギーに関する事物・現象についての観察,実験などを行い,身近な物理現象,電流とその利用,運動とエネルギー,身の回りの物質,化学変化と原子・分子,化学変化とイオンなどについて理解するとともに,科学技術の発展と人間生活との関わりについて認識を深めるようにする。また,それらを科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする。

 (2)物質やエネルギーに関する事物・現象に関わり,それらの中に問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,その結果を分析して解釈し表現するなど,科学的に探究する活動を通して,規則性を見いだしたり課題を解決したりする力を養う。

 (3)物質やエネルギーに関する事物・現象に進んで関わり,科学的に探究しようとする態度を養うとともに,自然を総合的に見ることができるようにする。

 

2 内 容

 (1)身近な物理現象

    身近な物理現象についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

  ア 身近な物理現象を日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。

   (ア)光と音

        ㋐ 光の反射・屈折

          光の反射や屈折の実験を行い,光が水やガラスなどの物質の境界面で反射,屈折するときの規則性を見いだして理解すること。

        ㋑ 凸レンズの働き

         凸レンズの働きについての実験を行い,物体の位置と像のでき方との関係を見いだして理解すること。

       ㋒ 音の性質

         音についての実験を行い,音はものが振動することによって生じ空気中などを伝わること及び音の高さや大きさは発音体の振動の仕方に関係することを見いだして理解すること。

   (イ)力の働き

        ㋐ 力の働き

          物体に力を働かせる実験を行い,物体に力が働くとその物体が変形したり動き始めたり,運動の様子が変わったりすることを見いだして理解するとともに,力は大きさと向きによって表されることを知ること。また,物体に働く2力についての実験を行い,力がつり合うときの条件を見いだして理解すること。

  イ 身近な物理現象について,問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,光の反射や屈折,凸レンズの働き,音の性質,力の働きの規則性や関係性を見いだして表現すること。

 (2)身の回りの物質

    身の回りの物質についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

  ア 身の回りの物質の性質や変化に着目しながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。

   (ア)物質のすがた

        ㋐ 身の回りの物質とその性質

          身の回りの物質の性質を様々な方法で調べる実験を行い,物質には密度や加熱したときの変化など固有の性質と共通の性質があることを見いだして理解するとともに,実験器具の操作,記録の仕方などの技能を身に付けること。

        ㋑ 気体の発生と性質

         気体を発生させてその性質を調べる実験を行い,気体の種類による特性を理解するとともに,気体を発生させる方法や捕集法などの技能を身に付けること。

   (イ)水溶液

        ㋐ 水溶液

          水溶液から溶質を取り出す実験を行い,その結果を溶解度と関連付けて理解すること。

   (ウ)状態変化

        ㋐ 状態変化と熱

          物質の状態変化についての観察,実験を行い,状態変化によって物質の体積は変化するが質量は変化しないことを見いだして理解すること。

        ㋑ 物質の融点と沸点

          物質は融点や沸点を境に状態が変化することを知るとともに,混合物を加熱する実験を行い,沸点の違いによって物質の分離ができることを見いだして理解すること。

  イ 身の回りの物質について,問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,物質の性質や状態変化における規則性を見いだして表現すること。

 (3)電流とその利用

    電流とその利用についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

  ア 電流,磁界に関する事物・現象を日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。

   (ア)電流

        ㋐ 回路と電流・電圧

          回路をつくり,回路の電流や電圧を測定する実験を行い,回路の各点を流れる電流や各部に加わる電圧についての規則性を見いだして理解すること。

        ㋑ 電流・電圧と抵抗

          金属線に加わる電圧と電流を測定する実験を行い,電圧と電流の関係を見いだして理解するとともに,金属線には電気抵抗があることを理解すること。

        ㋒ 電気とそのエネルギー

          電流によって熱や光などを発生させる実験を行い,熱や光などが取り出せること及び電力の違いによって発生する熱や光などの量に違いがあることを見いだして理解すること。

        ㋓ 静電気と電流

          異なる物質同士をこすり合わせると静電気が起こり,帯電した物体間では空間を隔てて力が働くこと及び静電気と電流には関係があることを見いだして理解すること。

   (イ)電流と磁界

        ㋐ 電流がつくる磁界

          磁石や電流による磁界の観察を行い,磁界を磁力線で表すことを理解するとともに,コイルの回りに磁界ができることを知ること。

        ㋑ 磁界中の電流が受ける力

          磁石とコイルを用いた実験を行い,磁界中のコイルに電流を流すと力が働くことを見いだして理解すること。

        ㋒ 電磁誘導と発電

          磁石とコイルを用いた実験を行い,コイルや磁石を動かすことにより電流が得られることを見いだして理解するとともに,直流と交流の違いを理解すること。

  イ 電流,磁界に関する現象について,見通しをもって解決する方法を立案して観察,実験などを行い,その結果を分析して解釈し,電流と電圧,電流の働き,静電気,電流と磁界の規則性や関係性を見いだして表現すること。

 (4)化学変化と原子・分子

    化学変化についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

  ア 化学変化を原子や分子のモデルと関連付けながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。

   (ア)物質の成り立ち

        ㋐ 物質の分解

          物質を分解する実験を行い,分解して生成した物質は元の物質とは異なることを見いだして理解すること。

        ㋑ 原子・分子

          物質は原子や分子からできていることを理解するとともに,物質を構成する原子の種類は記号で表されることを知ること。

   (イ)化学変化

        ㋐ 化学変化

          2種類の物質を反応させる実験を行い,反応前とは異なる物質が生成することを見いだして理解するとともに,化学変化は原子や分子のモデルで説明できること,化合物の組成は化学式で表されること及び化学変化は化学反応式で表されることを理解すること。

        ㋑ 化学変化における酸化と還元

          酸化や還元の実験を行い,酸化や還元は酸素が関係する反応であることを見いだして理解すること。

        ㋒ 化学変化と熱

          化学変化によって熱を取り出す実験を行い,化学変化には熱の出入りが伴うことを見いだして理解すること。

   (ウ)化学変化と物質の質量

        ㋐ 化学変化と質量の保存

          化学変化の前後における物質の質量を測定する実験を行い,反応物の質量の総和と生成物の質量の総和が等しいことを見いだして理解すること。

        ㋑ 質量変化の規則性

          化学変化に関係する物質の質量を測定する実験を行い,反応する物質の質量の間には一定の関係があることを見いだして理解すること。

  イ 化学変化について,見通しをもって解決する方法を立案して観察,実験などを行い,原子や分子と関連付けてその結果を分析して解釈し,化学変化における物質の変化やその量的な関係を見いだして表現すること。

 (5)運動とエネルギー

    物体の運動とエネルギーについての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

  ア 物体の運動とエネルギーを日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。

   (ア)力のつり合いと合成・分解

        ㋐ 水中の物体に働く力

          水圧についての実験を行い,その結果を水の重さと関連付けて理解すること。また,水中にある物体には浮力が働くことを知ること。

        ㋑ 力の合成・分解

          力の合成と分解についての実験を行い,合力や分力の規則性を理解すること。

   (イ)運動の規則性

        ㋐ 運動の速さと向き

          物体の運動についての観察,実験を行い,運動には速さと向きがあることを知ること。

        ㋑ 力と運動

          物体に力が働く運動及び力が働かない運動についての観察,実験を行い,力が働く運動では運動の向きや時間の経過に伴って物体の速さが変わること及び力が働かない運動では物体は等速直線運動することを見いだして理解すること。

   (ウ)力学的エネルギー

        ㋐ 仕事とエネルギー

          仕事に関する実験を行い,仕事と仕事率について理解すること。また,衝突の実験を行い,物体のもつ力学的エネルギーは物体が他の物体になしうる仕事で測れることを理解すること。

        ㋑ 力学的エネルギーの保存

          力学的エネルギーに関する実験を行い,運動エネルギーと位置エネルギーが相互に移り変わることを見いだして理解するとともに,力学的エネルギーの総量が保存されることを理解すること。

  イ 運動とエネルギーについて,見通しをもって観察,実験などを行い,その結果を分析して解釈し,力のつり合い,合成や分解,物体の運動,力学的エネルギーの規則性や関係性を見いだして表現すること。また,探究の過程を振り返ること。

 (6)化学変化とイオン

    化学変化についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

  ア 化学変化をイオンのモデルと関連付けながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。

   (ア)水溶液とイオン

        ㋐ 原子の成り立ちとイオン

          水溶液に電圧をかけ電流を流す実験を行い,水溶液には電流が流れるものと流れないものとがあることを見いだして理解すること。また,電解質水溶液に電圧をかけ電流を流す実験を行い,電極に物質が生成することからイオンの存在を知るとともに,イオンの生成が原子の成り立ちに関係することを知ること。

        ㋑ 酸・アルカリ

          酸とアルカリの性質を調べる実験を行い,酸とアルカリのそれぞれの特性が水素イオンと水酸化物イオンによることを知ること。

        ㋒ 中和と塩

          中和反応の実験を行い,酸とアルカリを混ぜると水と塩が生成することを理解すること。

   (イ)化学変化と電池

        ㋐ 金属イオン

          金属を電解質水溶液に入れる実験を行い,金属によってイオンへのなりやすさが異なることを見いだして理解すること。

        ㋑ 化学変化と電池

          電解質水溶液と2種類の金属などを用いた実験を行い,電池の基本的な仕組みを理解するとともに,化学エネルギーが電気エネルギーに変換されていることを知ること。

  イ 化学変化について,見通しをもって観察,実験などを行い,イオンと関連付けてその結果を分析して解釈し,化学変化における規則性や関係性を見いだして表現すること。また,探究の過程を振り返ること。

 (7)科学技術と人間

    科学技術と人間との関わりについての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

  ア 日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。

   (ア)エネルギーと物質

        ㋐ エネルギーとエネルギー資源

          様々なエネルギーとその変換に関する観察,実験などを通して,日常生活や社会では様々なエネルギーの変換を利用していることを見いだして理解すること。また,人間は,水力,火力,原子力,太陽光などからエネルギーを得ていることを知るとともに,エネルギー資源の有効な利用が大切であることを認識すること。

        ㋑ 様々な物質とその利用

          物質に関する観察,実験などを通して,日常生活や社会では,様々な物質が幅広く利用されていることを理解するとともに,物質の有効な利用が大切であることを認識すること。

        ㋒ 科学技術の発展

          科学技術の発展の過程を知るとともに,科学技術が人間の生活を豊かで便利にしていることを認識すること。

   (イ)自然環境の保全と科学技術の利用

        ㋐ 自然環境の保全と科学技術の利用

          自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について科学的に考察することを通して,持続可能な社会をつくることが重要であることを認識すること。

  イ 日常生活や社会で使われているエネルギーや物質について,見通しをもって観察,実験などを行い,その結果を分析して解釈するとともに,自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について,科学的に考察して判断すること。

 

3 内容の取扱い

 (1)内容の(1)から(7)までについては,それぞれのアに示す知識及び技能とイに示す思考力,判断力,表現力等とを相互に関連させながら,3年間を通じて科学的に探究するために必要な資質・能力の育成を目指すものとする。

 (2)内容の(1)から(7)までのうち,(1)及び (2)は第1学年,(3)及び (4)は第2学年,(5) から (7)までは第3学年で取り扱うものとする。

 (3)内容の (1)については,次のとおり取り扱うものとする。

  ア アの(ア)の㋐については,全反射も扱い,光の屈折では入射角と屈折角の定性的な関係にも触れること。また,白色光はプリズムなどによっていろいろな色の光に分かれることにも触れること。

  イ アの(ア)の㋑については,物体の位置に対する像の位置や像の大きさの定性的な関係を調べること。その際,実像と虚像を扱うこと。

  ウ アの(ア)の㋒については,音の伝わる速さについて,空気中を伝わるおよその速さにも触れること。

  エ アの(イ)の㋐については,ばねに加える力の大きさとばねの伸びとの関係も扱うこと。また,重さと質量との違いにも触れること。力の単位としては「ニュートン」を用いること。

 (4)内容の(2)については,次のとおり取り扱うものとする。

  ア アの(ア)の㋐については,有機物と無機物との違いや金属と非金属との違いを扱うこと。

  イ アの(ア)の㋑については,異なる方法を用いても同一の気体が得られることにも触れること。

  ウ アの(イ)の㋐については,粒子のモデルと関連付けて扱い,質量パーセント濃度にも触れること。また,「溶解度」については,溶解度曲線にも触れること。

  エ アの(ウ)の㋐については,粒子のモデルと関連付けて扱うこと。その際,粒子の運動にも触れること。

 (5)内容の(3) については,次のとおり取り扱うものとする。

  ア アの(ア)の㋐の「回路」については,直列及び並列の回路を取り上げ,それぞれについて二つの抵抗のつなぎ方を中心に扱うこと。

  イ アの(ア)の㋑の「電気抵抗」については,物質の種類によって抵抗の値が異なることを扱うこと。また,二つの抵抗をつなぐ場合の合成抵抗にも触れること。

  ウ アの(ア)の㋒については,電力量も扱うこと。その際,熱量にも触れること。

  エ アの(ア)の㋓については,電流が電子の流れに関係していることを扱うこと。また,真空放電と関連付けながら放射線の性質と利用にも触れること。

  オ アの(イ)の㋑については,電流の向きや磁界の向きを変えたときに力の向きが変わることを扱うこと。

  カ アの(イ)の㋒については,コイルや磁石を動かす向きを変えたときに電流の向きが変わることを扱うこと。

 (6)内容の(4) については,次のとおり取り扱うものとする。

  ア アの(ア)の㋑の「物質を構成する原子の種類」を元素ということにも触れること。また,「記号」については,元素記号で表されることにも触れ,基礎的なものを取り上げること。その際,周期表を用いて多くの種類が存在することにも触れること。

  イ アの(イ)の㋐の「化学式」及び「化学反応式」については,簡単なものを扱うこと。

  ウ アの(イ)の㋑の「酸化や還元」については,簡単なものを扱うこと。

 (7)内容の(5) については,次のとおり取り扱うものとする。

  ア アの(ア)の㋐については,水中にある物体には,あらゆる向きから圧力が働くことにも触れること。また,物体に働く水圧と浮力との定性的な関係にも触れること。

  イ アの(イ)の㋐については,物体に力が働くとき反対向きにも力が働くことにも触れること。

  ウ アの(イ)の㋑の「力が働く運動」のうち,落下運動については斜面に沿った運動を中心に扱うこと。その際,斜面の角度が90度になったときに自由落下になることにも触れること。「物体の速さが変わること」については,定性的に扱うこと。

  エ アの(ウ)の㋐については,仕事の原理にも触れること。

  オ アの(ウ)の㋑については,摩擦にも触れること。

 (8)内容の(6)については,次のとおり取り扱うものとする。

  ア アの(ア)の㋐の「原子の成り立ち」については,原子が電子と原子核からできていることを扱うこと。その際,原子核が陽子と中性子でできていることや,同じ元素でも中性子の数が異なる原子があることにも触れること。また,「イオン」については,化学式で表されることにも触れること。

  イ アの(ア)の㋑については,pHにも触れること。

  ウ アの(ア)の㋒については,水に溶ける塩と水に溶けない塩があることにも触れること。

  エ アの(イ)の㋐の「金属イオン」については,基礎的なものを扱うこと。

  オ アの(イ)の㋑の「電池」については,電極で起こる反応をイオンのモデルと関連付けて扱うこと。その際,「電池の基本的な仕組み」については,ダニエル電池を取り上げること。また,日常生活や社会で利用されている代表的な電池にも触れること。

 (9)内容の(7) については,次のとおり取り扱うものとする。

  ア アの(ア)の㋐については,熱の伝わり方,放射線にも触れること。また,「エネルギーの変換」については,その総量が保存されること及びエネルギーを利用する際の効率も扱うこと。

  イ アの(ア)の㋑の「様々な物質」については,天然の物質や人工的につくられた物質のうち代表的なものを扱うこと。その際,プラスチックの性質にも触れること。

  ウ アの(イ)の㋐については,これまでの第1分野と第2分野の学習を生かし,第2分野の内容の(7)のアの(イ)の㋐及びイと関連付けて総合的に扱うこと。

 

 〔第2分野〕

1 目 標

  生命や地球に関する事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

 (1)生命や地球に関する事物・現象についての観察,実験などを行い,生物の体のつくりと働き,生命の連続性,大地の成り立ちと変化,気象とその変化,地球と宇宙などについて理解するとともに,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする。

 (2)生命や地球に関する事物・現象に関わり,それらの中に問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,その結果を分析して解釈し表現するなど,科学的に探究する活動を通して,多様性に気付くとともに規則性を見いだしたり課題を解決したりする力を養う。

 (3)生命や地球に関する事物・現象に進んで関わり,科学的に探究しようとする態度と,生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度を養うとともに,自然を総合的に見ることができるようにする。

 

2 内 容

 (1)いろいろな生物とその共通点

    身近な生物についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

  ア いろいろな生物の共通点と相違点に着目しながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。

   (ア)生物の観察と分類の仕方

        ㋐ 生物の観察

          校庭や学校周辺の生物の観察を行い,いろいろな生物が様々な場所で生活していることを見いだして理解するとともに,観察器具の操作,観察記録の仕方などの技能を身に付けること。

        ㋑ 生物の特徴と分類の仕方

          いろいろな生物を比較して見いだした共通点や相違点を基にして分類できることを理解するとともに,分類の仕方の基礎を身に付けること。

   (イ)生物の体の共通点と相違点

        ㋐ 植物の体の共通点と相違点

          身近な植物の外部形態の観察を行い,その観察記録などに基づいて,共通点や相違点があることを見いだして,植物の体の基本的なつくりを理解すること。また,その共通点や相違点に基づいて植物が分類できることを見いだして理解すること。

        ㋑ 動物の体の共通点と相違点

          身近な動物の外部形態の観察を行い,その観察記録などに基づいて,共通点や相違点があることを見いだして,動物の体の基本的なつくりを理解すること。また,その共通点や相違点に基づいて動物が分類できることを見いだして理解すること。

  イ 身近な生物についての観察,実験などを通して,いろいろな生物の共通点や相違点を見いだすとともに,生物を分類するための観点や基準を見いだして表現すること。

 (2)大地の成り立ちと変化

    大地の成り立ちと変化についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

  ア 大地の成り立ちと変化を地表に見られる様々な事物・現象と関連付けながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。

   (ア)身近な地形や地層,岩石の観察

        ㋐ 身近な地形や地層,岩石の観察

          身近な地形や地層,岩石などの観察を通して,土地の成り立ちや広がり,構成物などについて理解するとともに,観察器具の操作,記録の仕方などの技能を身に付けること。

   (イ)地層の重なりと過去の様子

        ㋐ 地層の重なりと過去の様子

          地層の様子やその構成物などから地層のでき方を考察し,重なり方や広がり方についての規則性を見いだして理解するとともに,地層とその中の化石を手掛かりとして過去の環境と地質年代を推定できることを理解すること。

   (ウ)火山と地震

        ㋐ 火山活動と火成岩

          火山の形,活動の様子及びその噴出物を調べ,それらを地下のマグマの性質と関連付けて理解するとともに,火山岩と深成岩の観察を行い,それらの組織の違いを成因と関連付けて理解すること。

        ㋑ 地震の伝わり方と地球内部の働き

          地震の体験や記録を基に,その揺れの大きさや伝わり方の規則性に気付くとともに,地震の原因を地球内部の働きと関連付けて理解し,地震に伴う土地の変化の様子を理解すること。

   (エ)自然の恵みと火山災害・地震災害

        ㋐ 自然の恵みと火山災害・地震災害

          自然がもたらす恵み及び火山災害と地震災害について調べ,これらを火山活動や地震発生の仕組みと関連付けて理解すること。

  イ 大地の成り立ちと変化について,問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,地層の重なり方や広がり方の規則性,地下のマグマの性質と火山の形との関係性などを見いだして表現すること。

 (3)生物の体のつくりと働き

    生物の体のつくりと働きについての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

  ア 生物の体のつくりと働きとの関係に着目しながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。

   (ア)生物と細胞

        ㋐ 生物と細胞

          生物の組織などの観察を行い,生物の体が細胞からできていること及び植物と動物の細胞のつくりの特徴を見いだして理解するとともに,観察器具の操作,観察記録の仕方などの技能を身に付けること。

   (イ)植物の体のつくりと働き

        ㋐ 葉・茎・根のつくりと働き

          植物の葉,茎,根のつくりについての観察を行い,それらのつくりと,光合成,呼吸,蒸散の働きに関する実験の結果とを関連付けて理解すること。

   (ウ)動物の体のつくりと働き

        ㋐ 生命を維持する働き

          消化や呼吸についての観察,実験などを行い,動物の体が必要な物質を取り入れ運搬している仕組みを観察,実験の結果などと関連付けて理解すること。また,不要となった物質を排出する仕組みがあることについて理解すること。

        ㋑ 刺激と反応

          動物が外界の刺激に適切に反応している様子の観察を行い,その仕組みを感覚器官,神経系及び運動器官のつくりと関連付けて理解すること。

  イ 身近な植物や動物の体のつくりと働きについて,見通しをもって解決する方法を立案して観察,実験などを行い,その結果を分析して解釈し,生物の体のつくりと働きについての規則性や関係性を見いだして表現すること。

 (4)気象とその変化

    身近な気象の観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

  ア 気象要素と天気の変化との関係に着目しながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。

   (ア)気象観測

        ㋐ 気象要素

          気象要素として,気温,湿度,気圧,風向などを理解すること。また,気圧を取り上げ,圧力についての実験を行い,圧力は力の大きさと面積に関係があることを見いだして理解するとともに,大気圧の実験を行い,その結果を空気の重さと関連付けて理解すること。

        ㋑ 気象観測

          校庭などで気象観測を継続的に行い,その観測記録などに基づいて,気温,湿度,気圧,風向などの変化と天気との関係を見いだして理解するとともに,観測方法や記録の仕方を身に付けること。

   (イ)天気の変化

        ㋐ 霧や雲の発生

          霧や雲の発生についての観察,実験を行い,そのでき方を気圧,気温及び湿度の変化と関連付けて理解すること。

        ㋑ 前線の通過と天気の変化

          前線の通過に伴う天気の変化の観測結果などに基づいて,その変化を暖気,寒気と関連付けて理解すること。

   (ウ)日本の気象

        ㋐ 日本の天気の特徴

          天気図や気象衛星画像などから,日本の天気の特徴を気団と関連付けて理解すること。

        ㋑ 大気の動きと海洋の影響

          気象衛星画像や調査記録などから,日本の気象を日本付近の大気の動きや海洋の影響に関連付けて理解すること。

   (エ)自然の恵みと気象災害

        ㋐ 自然の恵みと気象災害

          気象現象がもたらす恵みと気象災害について調べ,これらを天気の変化や日本の気象と関連付けて理解すること。

  イ 気象とその変化について,見通しをもって解決する方法を立案して観察,実験などを行い,その結果を分析して解釈し,天気の変化や日本の気象についての規則性や関係性を見いだして表現すること。

 (5)生命の連続性

    生命の連続性についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

  ア 生命の連続性に関する事物・現象の特徴に着目しながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。

   (ア)生物の成長と殖え方

        ㋐ 細胞分裂と生物の成長

          体細胞分裂の観察を行い,その順序性を見いだして理解するとともに,細胞の分裂と生物の成長とを関連付けて理解すること。

        ㋑ 生物の殖え方

          生物の殖え方を観察し,有性生殖と無性生殖の特徴を見いだして理解するとともに,生物が殖えていくときに親の形質が子に伝わることを見いだして理解すること。

   (イ)遺伝の規則性と遺伝子

        ㋐ 遺伝の規則性と遺伝子

          交配実験の結果などに基づいて,親の形質が子に伝わるときの規則性を見いだして理解すること。

   (ウ)生物の種類の多様性と進化

        ㋐ 生物の種類の多様性と進化

          現存の生物及び化石の比較などを通して,現存の多様な生物は過去の生物が長い時間の経過の中で変化して生じてきたものであることを体のつくりと関連付けて理解すること。

  イ 生命の連続性について,観察,実験などを行い,その結果や資料を分析して解釈し,生物の成長と殖え方,遺伝現象,生物の種類の多様性と進化についての特徴や規則性を見いだして表現すること。また,探究の過程を振り返ること。

 (6)地球と宇宙

    身近な天体の観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

  ア 身近な天体とその運動に関する特徴に着目しながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。

   (ア)天体の動きと地球の自転・公転

        ㋐ 日周運動と自転

          天体の日周運動の観察を行い,その観察記録を地球の自転と関連付けて理解すること。

        ㋑ 年周運動と公転

          星座の年周運動や太陽の南中高度の変化などの観察を行い,その観察記録を地球の公転や地軸の傾きと関連付けて理解すること。

   (イ)太陽系と恒星

        ㋐ 太陽の様子

          太陽の観察を行い,その観察記録や資料に基づいて,太陽の特徴を見いだして理解すること。

        ㋑ 惑星と恒星

          観測資料などを基に,惑星と恒星などの特徴を見いだして理解するとともに,太陽系の構造について理解すること。

        ㋒ 月や金星の運動と見え方

          月の観察を行い,その観察記録や資料に基づいて,月の公転と見え方を関連付けて理解すること。また,金星の観測資料などを基に,金星の公転と見え方を関連付けて理解すること。

  イ 地球と宇宙について,天体の観察,実験などを行い,その結果や資料を分析して解釈し,天体の運動と見え方についての特徴や規則性を見いだして表現すること。また,探究の過程を振り返ること。

 (7)自然と人間

    自然環境を調べる観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

  ア 日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解するとともに,自然環境を調べる観察,実験などに関する技能を身に付けること。

   (ア)生物と環境

        ㋐ 自然界のつり合い

          微生物の働きを調べ,植物,動物及び微生物を栄養の面から相互に関連付けて理解するとともに,自然界では,これらの生物がつり合いを保って生活していることを見いだして理解すること。

        ㋑ 自然環境の調査と環境保全

          身近な自然環境について調べ,様々な要因が自然界のつり合いに影響していることを理解するとともに,自然環境を保全することの重要性を認識すること。

        ㋒ 地域の自然災害

          地域の自然災害について,総合的に調べ,自然と人間との関わり方について認識すること。

   (イ)自然環境の保全と科学技術の利用

        ㋐ 自然環境の保全と科学技術の利用

          自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について科学的に考察することを通して,持続可能な社会をつくることが重要であることを認識すること。

  イ 身近な自然環境や地域の自然災害などを調べる観察,実験などを行い,自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について,科学的に考察して判断すること。

 

3 内容の取扱い

 (1)内容の(1) から(7) までについては,それぞれのアに示す知識及び技能とイに示す思考力,判断力,表現力等とを相互に関連させながら,3年間を通じて科学的に探究するために必要な資質・能力の育成を目指すものとする。

 (2)内容の(1) から (7)までのうち, (1)及び (2)は第1学年,(3) 及び (4)は第2学年,(5) から(7) までは第3学年で取り扱うものとする。

 (3)内容の(1) については,次のとおり取り扱うものとする。

  ア アの(ア)の㋐については,身近な生物の観察を扱うが,ルーペや双眼実体顕微鏡などを用いて,外見から観察できる体のつくりを中心に扱うこと。

  イ アの(イ)の㋐については,花のつくりを中心に扱い,種子植物が被子植物と裸子植物に分類できることを扱うこと。その際,胚(はい)珠が種子になることにも触れること。また,被子植物が単子葉類と双子葉類に分類できることについては,葉のつくりを中心に扱うこと。なお,種子をつくらない植物が胞子をつくることにも触れること。

  ウ アの(イ)の㋑については,脊椎動物と無脊椎動物の違いを中心に扱うこと。脊椎動物については,ヒトや魚を例に,体のつくりの共通点としての背骨の存在について扱うこと。また,体の表面の様子や呼吸の仕方などの特徴を基準として分類できることを扱うこと。無脊椎動物については,節足動物や軟体動物の観察を行い,それらの動物と脊椎動物の体のつくりの特徴を比較し,その共通点と相違点を扱うこと。

 (4)内容の (2)については,次のとおり取り扱うものとする。

  ア アの(ア)の㋐の「身近な地形や地層,岩石などの観察」については,学校内外の地形や地層,岩石などを観察する活動とすること。

  イ アの(イ)の㋐については,地層を形成している代表的な堆積岩も取り上げること。「地層」については,断層,褶(しゅう)曲にも触れること。「化石」については,示相化石及び示準化石を取り上げること。「地質年代」の区分は,古生代,中生代,新生代を取り上げること。

  ウ アの(ウ)の㋐の「火山」については,粘性と関係付けながら代表的な火山を扱うこと。「マグマの性質」については,粘性を扱うこと。「火山岩」及び「深成岩」については,代表的な岩石を扱うこと。また,代表的な造岩鉱物も扱うこと。

  エ アの(ウ)の㋑については,地震の現象面を中心に扱い,初期微動継続時間と震源までの距離との定性的な関係にも触れること。また,「地球内部の働き」については,日本付近のプレートの動きを中心に扱い,地球規模でのプレートの動きにも触れること。その際,津波発生の仕組みについても触れること。

  オ アの(エ)の㋐の「火山災害と地震災害」については,記録や資料などを用いて調べること。

 (5)内容の (3)については,次のとおり取り扱うものとする。

  ア アの(ア)の㋐については,植物と動物の細胞のつくりの共通点と相違点について触れること。また,細胞の呼吸及び単細胞生物の存在にも触れること。

  イ アの(イ)の㋐については,光合成における葉緑体の働きにも触れること。また,葉,茎,根の働きを相互に関連付けて扱うこと。

  ウ アの(ウ)の㋐については,各器官の働きを中心に扱うこと。「消化」については,代表的な消化酵素の働きを扱うこと。また,摂取された食物が消化によって小腸の壁から吸収される物質になることにも触れること。血液の循環に関連して,血液成分の働き,腎臓や肝臓の働きにも触れること。

  エ アの(ウ)の㋑については,各器官の働きを中心に扱うこと。

 (6)内容の(4) については,次のとおり取り扱うものとする。

  ア アの(ア)の㋐の「大気圧」については,空気中にある物体にはあらゆる向きから圧力が働くことにも触れること。

  イ アの(イ)の㋐については,気温による飽和水蒸気量の変化が湿度の変化や凝結に関わりがあることを扱うこと。また,水の循環にも触れること。

  ウ アの(イ)の㋑については,風の吹き方にも触れること。

  エ アの(ウ)の㋑については,地球を取り巻く大気の動きにも触れること。また,地球の大きさや大気の厚さにも触れること。

  オ アの(エ)の㋐の「気象災害」については,記録や資料などを用いて調べること。

 (7)内容の(5) については,次のとおり取り扱うものとする。

  ア アの(ア)の㋐については,染色体が複製されることにも触れること。

  イ アの(ア)の㋑については,有性生殖の仕組みを減数分裂と関連付けて扱うこと。「無性生殖」については,単細胞生物の分裂や栄養生殖にも触れること。

  ウ アの(イ)の㋐については,分離の法則を扱うこと。また,遺伝子の本体がDNAであることにも触れること。

  エ アの(ウ)の㋐については,進化の証拠とされる事柄や進化の具体例について扱うこと。その際,生物にはその生息環境での生活に都合のよい特徴が見られることにも触れること。また,遺伝子に変化が起きて形質が変化することがあることにも触れること。

 (8)内容の (6)については,次のとおり取り扱うものとする。

  ア アの(ア)の㋑の「太陽の南中高度の変化」については,季節による昼夜の長さや気温の変化にも触れること。

  イ アの(イ)の㋐の「太陽の特徴」については,形,大きさ,表面の様子などを扱うこと。その際,太陽から放出された多量の光などのエネルギーによる地表への影響にも触れること。

  ウ アの(イ)の㋑の「惑星」については,大きさ,大気組成,表面温度,衛星の存在などを取り上げること。その際,地球には生命を支える条件が備わっていることにも触れること。「恒星」については,自ら光を放つことや太陽もその一つであることも扱うこと。その際,恒星の集団としての銀河系の存在にも触れること。「太陽系の構造」については,惑星以外の天体が存在することにも触れること。

  エ アの(イ)の㋒の「月の公転と見え方」については,月の運動と満ち欠けを扱うこと。その際,日食や月食にも触れること。また,「金星の公転と見え方」については,金星の運動と満ち欠けや見かけの大きさを扱うこと。

 (9)内容の(7) については,次のとおり取り扱うものとする。

  ア アの(ア)の㋐については,生態系における生産者と消費者との関係を扱うこと。また,分解者の働きについても扱うこと。その際,土壌動物にも触れること。

  イ アの(ア)の㋑については,生物や大気,水などの自然環境を直接調べたり,記録や資料を基に調べたりするなどの活動を行うこと。また,気候変動や外来生物にも触れること。

  ウ アの(ア)の㋒については,地域の自然災害を調べたり,記録や資料を基に調べたりするなどの活動を行うこと。

  エ アの(イ)の㋐については,これまでの第1分野と第2分野の学習を生かし,第1分野の内容の(7)のアの(イ)の㋐及びイと関連付けて総合的に扱うこと。 

 

第3 指導計画の作成と内容の取扱い

1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。

 (1)単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,理科の学習過程の特質を踏まえ,理科の見方・考え方を働かせ,見通しをもって観察,実験を行うことなどの科学的に探究する学習活動の充実を図ること。

 (2)各学年においては,年間を通じて,各分野におよそ同程度の授業時数を配当すること。その際,各分野間及び各項目間の関連を十分考慮して,各分野の特徴的な見方・考え方を総合的に働かせ,自然の事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を養うことができるようにすること。

 (3)学校や生徒の実態に応じ,十分な観察や実験の時間,課題解決のために探究する時間などを設けるようにすること。その際,問題を見いだし観察,実験を計画する学習活動,観察,実験の結果を分析し解釈する学習活動,科学的な概念を使用して考えたり説明したりする学習活動などが充実するようにすること。

 (4)日常生活や他教科等との関連を図ること。

 (5)障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。

 (6)第1章総則の第1の2の(2) に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,理科の特質に応じて適切な指導をすること。

2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。

 (1)観察,実験,野外観察を重視するとともに,地域の環境や学校の実態を生かし,自然の事物・現象についての基本的な概念の形成及び科学的に探究する力と態度の育成が段階的に無理なく行えるようにすること。

 (2)生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度を養うようにすること。

 (3)1の (3)の学習活動を通して,言語活動が充実するようにすること。

 (4)各分野の指導に当たっては,観察,実験の過程での情報の検索,実験,データの処理,実験の計測などにおいて,コンピュータや情報通信ネットワークなどを積極的かつ適切に活用するようにすること。

 (5)指導に当たっては,生徒が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を計画的に取り入れるよう工夫すること。

 (6)原理や法則の理解を深めるためのものづくりを,各内容の特質に応じて適宜行うようにすること。

 (7)継続的な観察や季節を変えての定点観測を,各内容の特質に応じて適宜行うようにすること。

 (8)観察,実験,野外観察などの体験的な学習活動の充実に配慮すること。また,環境整備に十分配慮すること。

 (9)博物館や科学学習センターなどと積極的に連携,協力を図るようにすること。

 (10)科学技術が日常生活や社会を豊かにしていることや安全性の向上に役立っていることに触れること。また,理科で学習することが様々な職業などと関係していることにも触れること。

3 観察,実験,野外観察の指導に当たっては,特に事故防止に十分留意するとともに,使用薬品の管理及び廃棄についても適切な措置をとるよう配慮するものとする。