高 等 学 校

学 習 指 導 要 領

社 会 科 編

 

昭和31年度改訂版

文  部  省

 

ま え が き

 この高等学校学習指導要領社会科編は,高等学校の教育課程の改訂に伴って,「中学校・高等学校学習指導要領社会科編(昭和26年改訂版)」のうち,高等学校に関するものを改訂したものである。

 これは,高等学校の社会科の指導を計画し実施する際の基準を示すものであって、昭和31年度の第1学年から学年を追って実施れるものである。

 このたびの改訂された社会科は,従来の社会科の基本的なねらいと変りはないが,従来のものと比較して改訂の要旨をあると,次のようになる。

1.従来の高等学校社会科の目標は,中学校のものと比較したときの特色や,中学校のそれとの一貫した関連について明確を欠く点があったので,これらの点について明確にするように努めた。

2.社会科の目標を達成するために,従来は,「一般社会」・「日本史」・「世界史」・「人文地理」・「時事問題」の5科目が設けられていたが,その内容を再組織して今後は,「社会」・「日本史」・「世界史」・「人文地理」の4科目を置くことにした。

 「一般社会」は,政治・経済・社会・地理・歴史の諸分野をそれぞれ核としながらも,総合的な内容の組織をもち第2学年以降において「日本史」・「世界史」・「人文地理」・「時事問題(政治・経済・社会)」に分化する各科目の基礎となるものであった。しかしその取扱はむずかしく,また政治・経済・社会の分野において,「時事問題」と内容が重複していた。さらに社会科の学習で,人生観や行為の基準となる道徳や思想について深く考えさせる機会をもたせることの必要を認めた。そこで,政治・経済・社会・倫理の問題を中心として「社会」という新科目を設け,社会・日本史・世界史・人文地理の4科目をもって,社会科を構成した。

3.従来の社会科では,第1学年で「一般社会」を必修させ,第2学年以降において,「日本史」・「世界史」・「人文地理」・「時事問題」の科目のうち,少なくともいずれか1科目を選択必修させることになっていたが,「社会」を含めた3科目をすべての生徒に履修させることにした。この際,各科目の履修学年は指定しない。

4.従来の社会科の各科目の単位数は,それぞれ5単位となっていたが,各科目の単位数をそれぞれ,3〜5単位とした。

 

 改訂にあたっては,文部省に設けられた教材等調査研究会中学校高等学社会科小委員会高等学校部会にはかり,その審議を経た。委員の協力を得たことを,ここにしるして感謝の意を表する。

 

目    次

ま え が き

第1章 社会科の目標

第2章 社会科の組識 第3章 社会科社会 第4章 社会科日本史 第5章 社会科世界史 第6章 社会科人文地理