第2章 社会科の組織

1.科   目

 高等学校の社会科は,「社会」・日本史」・「世界史」・「人文地理」の4科目をもって構成する。各科目とも3ないし5単位とし,「社会」を含めて3科目を,すべての生徒に履修させなければならない。

 科目の履修学年の指定は行わない。

 

2.一般的留意事項

(1)履修単位の幅 

 社会科の教養がある分野だけのものに偏することを防ぎ,また生徒の個性と進路に応じて種々の課程や教育課程の類型の教育目標を達成しやすくし,高等学校教育の目標がじゅうぶんに果されるように,各科目の単位に,一定の幅をもたせてある。

 社会科の学習領域はきわめて広範囲にわたるから,4単位または3単位履修の場合には,指導計画の作成と運営において,いっそうの周到な計画と効果的な指導が伴わなければならない。

 

(2)履修科目の数 

 社会科の履修が3科目にとどまる場合には,生徒の個性と進路に応ずるとともに,社会科の教養がなるべく全分野にわたり,社会科の目標が達成できるように,すべての面に慎重な考慮を払わなければならない。

 

(3)科目の学年配当

 社会科の科目の履修の順序については,いろいろ考えられる。しかし各学校では,それぞれの教育目標にしだがって,教育課程を編成し実施する必要があるから,各学年の特性を考慮し,各科目間の連絡をじゅうんにとって,社会科全体として,能率的,効果的な運営をすることが必要である。

 一般に,できるだけ大きな単位で,まとめて履修させることが望ましいが,事情によっては,連続する2個学年による分割履修もやむをえない。しかし,その場合は,それぞれの学年における履修が,2単位または2単位よりも多い単位数でなされなければならない。

 

(4)内容の構成  

 一般原則としては,単位数の少ない場合は,重点的に素材の配列をくふうし,要約的な取扱をすることがたいせつである。学習内容全般については,単位数の相違によって相違するであろうが,この場合も,単位数の多い場合と同様に,「内容の素材」で示した範囲の全体をおおうことが適切である。しかしながら,そのために講義一点ばりの詰込みにならないように,特に留意する必要がある。

 単位数の多い場合に,少ない場合よりも「内容の素材」をいたずらに広げることは望ましくない。社会科の目標をいっそうよく達成できるように,学習方法・学習活動の変化と深化にくふうを加え,生徒の理解をいっそう深めるように考慮しなければならない。

 また,普通課程,職業に関する課程,全日制の課程,定時制の課程,それぞれの特殊事情を考慮するとともに,他教科との連関について,内容の重複,履修の前後関係,時間数の多少などをじゅうんに研究し考慮した上,学校全体の教育計画の一環としての社会科の指導計画を作成する必要がある。

 さらに,社会科の各科目間では,「内容の素材」について,重複し共通に考えられているものがある。たとえば,国際関係や時事問題などは,すべて各科目に重複しているが,これは,社会科という教科の性格および目標から見て,当然の重複である。しかしながらその取扱の観点は各科目によってそれぞれ異っているから,この点に関しても各科目間で,ゅうぶんな連絡と考慮が払われて,社会科として一貫した全体計画がもたれるよう,特に配慮することが肝要である。