小学校学習指導要領

社 会 科 編

(試 案)

昭和26年(1951)

文 部 省

ま え が き

 今度の学習指導要領の改訂は,前の学習指導要領や,学習指導要領補説に示された教育内容をできるだけ動かさないという方針のもとに行なわれた。というのは,わが国の社会科はなにぶん実施の日が浅いので,根本的な改訂をする根拠となる資料が,実際の教育の経験からは,まだじゅうぶんに得られないし,また現在全国的にその指導計画のおもな手がかりとされている学習指導要領補説が刊行されてから,わずか二年ほどしか経ていないので,ここで大きな改訂をすることは,まだじゅうぶん固まらない社会科の地盤をゆり動かし,混乱を起すことになりはしないかという懸念があるからである。

 今次の改訂では,学習指導要領補説の線を大きく動かすことなく,それをいっそう有効な指導の手がかりになるように作り直したにすぎない。

 その改訂の要点としては,次のようなものかあげられる。

 第一に,社会科の目標を以前のものよりいっそう明確にしたことである。

 第二に,各学年の単元の基底例を検討して,その学年の児童の発達にいっそうふさわしいものにするために,若干の加除と配置換えを行なったことである。

 第三に,各単元の基底例の主眼を明確に示唆し,その主眼に基いて,さらに具体的な指導の観点を示したことである。

 第四に,社会科における評価の観点を示したことである。

 次に右のような改正の要点を,章を追っていっそう具体的に述べてみよう。

 第1章 社会科の意義

 第2章 社会科の目標

 第3章 社会科の学習内容

 第4章 単元のつくリ方

 第5章 社会科における評価

 付  録

 

    終りに臨み,それぞれにいそがしい職務をもちながら,本書の編修に絶大な努力を傾注された委員各位に対して,心から謝意を表したい。

    また委員以外の多数の教師・学者・有識者からいくた貴重な資料や意見を寄せていただいたことに対しても,深く感謝する次第である。

 

委 員 氏 名(五十音順)

神奈川県足柄上郡福沢小学校長 井 上 喜 一 郎
文部省初等中等教育局初等教育課 上 田   薫
東京学芸大学教授 小 沢 栄 一
東京都港区白金小学校長 大 石   譲
東京都千代田区錦華小学校教諭 大 原 祥 子
信州大学松本附属小学校教諭 上 条 為 人
奈良女子高等師範学校附属小学校教諭 倉 富 崇 人
東京学芸大学大泉附属小学校教諭 木 暮   強
東京学芸大学豊島附属小学校教諭 小 山 昌 一
静岡県駿東郡小泉小学校長 芹 沢 茂 一
東京都目黒区教育課主事 丹 治 守 雄
文部省初等中等教育局初等教育課 長 坂 端 午
東京都港区桜田小学校教諭 樋 口 澄 雄
新潟県教育研究所員 日 浦 儀 一 郎
国立教育研究所員 馬 場 四 郎
東京学芸大学追分附属小学校教諭 松 村   謙
東京都中央区築地小学校長 向 山 嘉 章
埼玉県川口市元郷小学校長 村 田 孝 之

                 

目     次

ま え が き

第1章 社会科の意義

第2章 社会科の目標

第3章 社会科の学習内容

第4章 単元のつくりかた

一 単元とは何か

二 単元は,だれがどうしてつくるか

三 望ましい単元の備えるべき条件

第5章 社会科における評価

一 学習指導計画の評価

二 学習指導法の評価

三 児童の学習成果の評価

付 録  単元の基底の主眼

単 元 例