小学校保健計画実施要領

 

(試案)

 

昭和二十五年度

 

文 部 省

 

 

目  次

ま え が  き

第一章  序   論

第一節 健康の意義

第二節 学校保健指導および協力機関の編成と管理

第三節 学校保健に関する法令

第二章  健康に適した学校環境 第一節 健康に適した学校環境整備の目的

第二節 学校設備に関し考慮すべき事項

第三節 学校施設—般管理

第三章  健康に適した学校生活 第一節 健康に適した授業日

第二節 学習指導時における衛生的考慮事項

第三節 情緒的に健康に適したふんい気

第四節 合理的な学校給食

第五節 特殊児童に対する取扱

第六節 学校行事としての体育およびレクリェーション

第四章  学校保健事業 第一節 学校保健事業の意義

第二節 学校身体検査

第三節 学校健康相談

第四節 学校歯科衛生

第五節 学校給食施設

第六節 特殊児童に対する養護施設

第七節 予防接種

第八節 伝染病の隔離

第九節 安全と救急

第五章  健 康 教 育 第一節 小学校における健康教育の定義と必要性

第二節 小学校における健康教育の目標

第三節 小学校における健康教育の方法

第四節 小学校健康教育教材

第五節 小学校における健康教育の内容

1. 身体の成長および発達

2. 食物と健康

3. 日光と新鮮な室気

4. 清潔

5. 休養,唾眠

6. 運動

7. 歯,目,耳の衛生

8. 姿勢

9. 安全と救急処置

10. 病気の予防

11. 肺臓,心臓,胃腸の機能

12. 社会の健康

13. 精神の衛生

第六節 小学校健康教育教材の教育計画
第六章  小学校における保健計画の評価 第一節 評価の必要

第二節 評価の対象

第三節 評価の方法

 

附 録

 

Ⅰ.学校保健に関する法令(抜粋)

(1)教育基本法

(2)学校教育法

(3)教育委員会法

(4)教育委員会法施行令

(5)高等学校設置基準

(6)学校清潔方法

(7)伝染病予防法

(8)結核予防法施行規則

(9)寄生虫病予防法

(10)トラホーム予防法

(11)性病予防法

(12)予防接種法

(13)保健所法

Ⅱ.厚生省案改良便所

Ⅲ.参考文献

Ⅳ.小学校保健計画実施要領編集委員名

 

ま え が き

 

 心身ともに健康であることは,教育を実行するための基礎的条件であり,また心身の健康をよりいっそう高めることは,教育実賎の一目標でなければならない。教育基本法に,心身ともに健康な国民を育成すべきことを,教育目的の一つとして取り上げているのは,これがためである。

 また民主的教育では,個人の価値向上に教育活動の一重点を置き,しかも個人の価値の重要素として,心身の健康が高く評価されているのである。このことは,今後のわが国の学校教育において,学校保健問題が新しい反省と自覚とを要求し,その反省と自覚とに基いて,新しい意味を持つ学校保健問題が,力強く推進されなければならないことを意味するものと思う。

 なおまた,わが国民ことに将来に富む在学少青年たちの発育健康の状態が文化社会の水準を隔たること遠く,また健康生活に対する習憤・知識・態度を養うことが,今後の改善向上に期待されている現状を思えば,学校保健問題の具体的推進は,切実な緊急実施事項に数えられるべきことであろう。

 このような数多くの必要性は,新たに発足した学校教育が多かれ少なかれ学校保健問題に,新たな関心と配意とを促さずにはおかないのである。そのため,有力な参考的指針の出現を要望し,それに基いて明確な方針をたて,かつその具体的展開に進もうとしているのが,多くの学校の実情である。本書は実にこのような要望にこたえるために企画されたものの一部であって,その道の多くの権威者を煩わして,もっぱら小学校における学校保建問題の全般的計画に関する基準の審議を求め,その成案に基いて作成したものである。内容は,序論,健康に適した学校環境,健康に適した学校生活,学校保健事業,健康教育を主要項目としているが,これらは言うまでもなく,一つの参考指針であるから,各地・各学校では,その趣旨に基いてこれを活用しさらに各地・各学校の実情を考慮して,真に各自の学校に適した学校保健計画をたて,その合理的実行によって,所期の目的を達成するよう万全の努力を払われることを期待してやまない。