高等学校学習指導要領

水 産 科 編

(試 案)

昭和28年(1953)版

文 部 省

 

ま え が き

 この学習指導要領は、高等学校において水産科の教育を進めるにあたり,基準あるいは例として参考になるよう作成されたものである。水産教育は各地域により,おのおの特徴があるので,これに対して共通の教育内容や指導法をまとめることは甚だ困難であるが,ここではできるだけ一般的な事柄について述べることにした。水産教育がむずかしいといわれる一つの大きな原因は,水産業の地域的な特色の濃い点にあるが,その原因を分祈し,追究することがなかったので,これまでは教育が地方的に孤立しすぎていたきらいがある。現在水産課程のある学校の数は戦前の3倍余に達し,業界の実態も新しい経済機構や科学技術のもとで一段と飛躍している。したがって各学校では一応本書をよりどころとし,広く新しい視野に立って,水産教育を正しい軌道に乗せる心ぐみで,その地方の事情や必要に応じるとともに,生徒の素質や将来の希望,学校の設備等に適合するものを,創意とくふうを働かせて生み出されることを望んでやまない。

 本書の編集にあたっては,草案を全国の関係教育委員会や水産課程をおく高等学校に送り,教育の実際にあたっておられる多くの先生方から有益な意見をお寄せいただき,それに基いて必要な修正を加えたのであるが,さらに今後の研究にまたなければならない点も少なくないので,この案を実施した結果に基く率直な批判と建設的な意見を期待するものである。

 なお,本書の編集にあたられた委員は次のかたがたである。委員および本書の編集に協力して下さったかたがたには,本務の多忙のうちにあって多大の援助をしてくださったことに深い謝意を表する。

 
 
東京大学教授 檜 山 義 夫
東京水産大学教授 殖 田 三 郎
兵庫県立農業大学教授 金 子 平 一
鹿児島大学教授 今 田 清 二
千葉県立安房水産高等学校長 佐々木   衛
東海区水産研究所技官 高 山 高 嶺
千葉県公立学校長 田 中 利 夫
文部省研究員 草 下 孝 也
文部事務官 坪 田 元 雄

 

目   次

ま え が き

第1章 高等学校における水産教育

 

第1節 水産教育の一般目標

第2節 生徒の発達と水産教育

第3節 水産に関する教科とその運営

第2章 教科の目標 第1節 水 産 一 般

第2節 水 産 生 物

第3節 海 洋 気 象

第4節 漁     業

第5節 航 海 運 用

第6節 漁     船

第7節 水 産 製 造

第8節 水 産 化 学

第9節 微  生  物

第10節 水 族 病 理

第11節 水 産 増 殖

第12節 水 産 経 営

第13節 水 産 簿 記

第14節 水 産 法 規

第3章 水産に関する課程の編成 第1節 水産に関する課程の編成

第2節 漁業課程の編成

第3節 水産製造課程の編成

第4節 水産増殖課程の編成

第5節 水産経営課程の編成

第6節 水産課程の編成

第7節 水産に関する課程の教育計画

水産関係参考書