第2章 教科の目標

 

第1節 水 産 一 般

 

目  標

1.水産業とはどのようなものであるかを理解する。

2.水産資源が人類にどのように役立っているかを理解する。

3.水産資源の特質について理解する。

4.水産業の発達,分布,種類の大要を理解する。

5.水産業のそれぞれの分野について,およそひととおりの技術を理解する。

6.水産資源を愛護し,水産業にまじめに従事する態度を養う。

 

具体目標 1.水産資源はどのように利用されて,人類に役立っているかを理解する。

2.水産業はどのようにして発達してきたかを理解する。

3.地球上にはどのような水域があり,それぞれどのような性質,状態であるかを理解する。

4.わが国および世界の水産業がどのようであるかを,統計的に比較し理解する。

5.利用される水産生物にはどのような種類があり,それらがどのような生活をしているかを理解する。

6.どのような水域が漁場となり,どのような時季に漁業が行われるか,そしてどのようなところで水産業が盛んであるかを理解する。

7.漁業の対象となる生物はどのように繁殖し,成長し,また漁獲されたり死亡したりしているかを理解する。

8.漁業することが水産資源にどのような影響を与えるか,これを知るためにはどのような調査方法があるかを理解する。

9.濫獲を防ぎ,最大の漁獲を得るにはどのような方法があるか,現在どのような施設,申合せ,法規等があるかを理解する。

10.水産物を漁獲するにはどのような方法があるか,それぞれの漁具,漁船および漁法について理解する。

11.その土地で便宜の得られる漁業の一,二の種類について,漁具,漁船および漁法をしらべ,漁業を見学し,あるいは実習し,これによって他の方法を類推する。

12.水産物を養殖するにはどのような方法があるか,それに必要な水の性質,給餌または天然餌料,必要な施設,管理の方法について理解する。

13.その土地で便宜の得られる養殖業を見学し,あるいは実習し,他のものについて類推する。

14.水産物はどのようにして貯蔵・保存されるか,どのような方法で,どのような加工食品に作られるか,食品以外にどのように加工されるかを理解する。

15.その土地で便宜の得られる水産製造業を見学し,または実習し,その技術を理解し,簡単な製造を行う能力を得る。

16.水産物がどのような方法で販売されているか,国内の需要と貿易はどのようであるかを理解する。

17.その土地の水産業はどのように経営されているか,他の土地のものと比較して理解する。

 

備  考 1〜9は一般的な水産業の理解について必要である。

10〜11は漁業。

12〜13は水産増殖。

14〜15は水産製造。

16〜17は水産経営についての目標であって,その課程を選ぶものには重複せぬよう指導する。

 

第2節 水 産 生 物

 

目  標

1.一般生物分類の大要とあわせて,水産生物の分類の位置を理解する。

2.一般生物と比較して,水産生物の特徴,生活環境を理解する。

3.水産生物の社会的,経済的意義を理解する。

4.水産生物の各部門について,発生,生理,生態,形態の大要を各種水産技術との関連において理解する。

5.プランクトンの分類,性状およびその水産上における役割りを理解する。

6.水産生物の採集,観察,検鏡,解剖,記載および標本作成の技能を養う。

7.水産生物の知識およびその取扱い技術を水産上に応用する態度を養う。

 

具体目標 A 次の各項について理解する。 1.水産生物が分類上どんな位置にあるか。

2.水産生物が人類の生活上どんな役割を果しているか。

3.水棲と陸の哺乳動物の形態や生態にはどのような違いがあるか。

4.水棲哺乳動物が人類にどのように利用されているか。

5.水棲の鳥類と水産との利害関係について。

6.カメ類およびカエル類の生態,ならびにその利用について。

7.魚類の内臓器管,その他の形態を解剖により理解する。

8.各種魚類の特徴と分類について。

9.魚類の発生,生理,生態について。

10.軟体動物,甲殼類,棘皮動物の体制を解剖により理解する。

11.被のう動物の発生,生態ならびにその利用について。

12.腔腸動物,海綿動物の体制について。

13.水産動物の相互関係および水産業に対する利害関係について。

14.水産動物の利用方法について。

15.藻類の形態と栄養方法が陸上の植物とどのような達いがあるか。

16.藻類の生殖方法および発育状況と増殖技術との関連について。

17.藻類の生育と光線,温度,地盤,塩分等との関係について。

18.海藻類の分類と分布について。

19.海藻類と水産動物の産卵場,棲息場との関係について。

20.緑藻類,褐藻類,紅藻類のそれぞれについて形態,性状および利用について。

21.プランクトンにはどのようなものがあるか。

22.植物性プランクトンの分類について。

23.動物性プランクトンの分類について。

24.各種水産物の幼体,魚卵および稚魚について。

25.プランクトンの餌料としての価値ならびに物質転換の現象について。

26.プランクトンの適応現象と地理的分布について。

27.プランクトンの量分布と数量の大小と漁場との関係について。

28.魚群の回游とプランクトンとの関係について。

29.赤潮の現象と水産生物におよぼす障害について。

30.底棲生物の意義およびその大要について。

31.水産生物相互における食餌関係について。

B 次の各項について技能を養う。 32.水産生物の採集,標本作成について。

33.水産生物の検鏡,解剖,観察について。

34.水産産物の測定,記載について。

 

第3節 海 洋 気 象

 

目  標

1.水産業の科学的運営に重要な海洋と気象の関連について理解する。

2.漁業の完全な運営,漁船の安全な運行のために必要な海洋気象の諸性質を理解する。

3.海洋気象の観測の技能を養う。

4.自然現象の観察を科学的に行う態度を養う。

5.海洋気象の知識および技能を各種水産技術に応用する態度を養う。

 

具体目標 A 次の各項について理解する。 1.海洋学とはどのようなものであるか。

2.海洋学が水産にどのような関係があるか。

3.海陸の起源について。

4.海洋はどのように分類されているか。

5.海陸の形状にはどのような特徴があるか。

6.ビオイドはどのようなものであるか。

7.海の広さ,深さ,形状等について。

8.海底の底質および沈澱物について。

9.海水の物理的および化学的性質について。

10.塩分,比重,水温の分布状況について。

11.海水中に含まれている気体および微量物質について。

12.水深と圧力との関係について。

13.海水中の塩類はどのようにして生じたものであるか。

14.光線の透射について。

15.海面の色の異る原因について。

16.塩分の検定法について。

17.海水の水温,比重,水色,透明度,塩分は相互にどのような関係があるか。

18.波はどのようにして起るものであるか。

19.うねり,津波,その他特殊の波について。

20.潮せきの生ずる原因について。

21.わが国沿岸の潮せきはどのようであるか。

22.海流はどのような原因で生ずるのであるか。

23.日本近海の海流の分布およびその特徴について。

24.海水の性質および海底の状況が水族とどのような関係があるか。

25.海況の変化と水族の消長との関係について。

26.各種観測器具の構造および使用法について。

27.海洋と気象の相互におよぼす影響について。

28.低気圧,高気圧の成因および性質について。

29.気温の変化,気圧差および風雨等の相互関係について。

30.天気図の見方と画きかたについて。

31.漁業気象について。

B 次の各項について技能を養う。 32.海洋観測。

33.気象観測。

34.気象を予知する。

C 次の各項について態度を養う。 35.観測を正確に行う。

36.各処における気象を察知して船舶の安全を期する。

 

第4節 漁     業

 

目  標

1.日本および世界に行われている各種の漁業の大要を理解する。

2.漁場と漁期の条件および性質を理解する。

3.漁具の材料,構造,操作等を理解する。

4.漁具の製作,修理,保存の技能を養う。

5.船上の作業になれ,且つ漁具,漁法の操作,運用の技能を養う。

6.水族を有効に漁獲し,その完全な処理,保蔵の技能を養う。

7.果敢に海上に進出し,且つ工夫改良する態度を養う。

8.水産資源量を考察し,適正に漁業を行う態度を養う。

 

具体目標 A 次の各項について理解する。 1.世界に行われている漁業について。

2.わが国の漁業の現状,ならびに産業上の地位とその特殊性および発展策について。

3.水族の索餌回游,産卵回游等の相互関係について。

4.各水域の海況,漁場,漁期はどのようであるか。

5.漁況の予想はどのようにして行うか。

6.水産生物の繁殖力と漁獲との関係について。

7.資源の枯渇を防止し,且つ最大の漁獲を得る方法について。

8.各水域にはどのような漁業が行われているか。

9.漁具の材料はどのようであるか。

10.綱,網糸のより方,編網法はどのようであるか。

11.網,綱の腐敗とその防止について。

12.各種の漁網染料および染網法について。

13.漁具の構成について。

14.水族の生態と漁法との関係について。

15.網具を用いる漁業について下記のものはどのようであるか。

(1) 定置性網漁業

(2) 網漁業

(3) 敷網漁業

(4) 引網漁業

(5) 巻網漁業

(6) その他網漁業

16.釣具を用いる漁業はどのようであるか。 (1) 1本づり漁業

(2) はえなわ漁業

17.その他の漁具による漁業はどのようであるか。

18.母船式漁業について。

19.捕鯨漁業について。

20.トロール漁業について。

21.機船底曳網漁業について。

22.イワシ漁業について。

23.ニシン漁業につて。

24.イカ漁業について。

25.タラ漁業について。

26.カツオ・マグロ漁業について。

27.アジ・サバ漁業について。

28.サンマ漁業について。

29.サケ・マス漁業について。

30.その他,その地域で重要な漁業について。

B 次の各項について技能を養う。 31.漁具の設計・工作について。

32.漁具の修理・保存について。

33.漁具の操作について。

34.漁船の運用について。

35.釣餌の取扱いについて。

C 次の各項について態度を養う。 36.漁獲物の処理を完全に,且つ衛生的に行う。

37.水産資源の調査・研究を進んで行い,且つ調査機関に協力する。

38.資源の枯渇を防止し,且つ最大の漁獲を得るための施設,申合せ,法規を進んで設定し,また協力する。

 

第5節 航 海 運 用

 

目  標

1.船舶の安全な運航に必要な理論および知識を理解する。

2.漁船の完全な揮航に必要な技能を養う。

3.船内職務を責任をもって実行し,且つ乗組員と協同する態度を養う。

 

具体目標 A 次の各項について理解し,技能を養う。 1.漁船の運航,操業に安全且つ科学的,経済的な航海運用の大要について理解する。

2.地文航法とはどのようなことであるか,その用語を理解し,基礎となる計算に習熱する。

3.航程線航法とはどのようなことであるか,中分緯度航法,流潮航法,日誌算法について理解し,計算に習熱する。

4.水路図誌にはどのようなものがあるか,海図および水路書誌の使用法および取扱いについて理解し,船舶の運航に正しく使用できる技能を養う。

5.航路標識にはどのようなものがあるか,実地見学を行い,さらに理解を深めて,船舶の運航に正しく応用できる技能を養う。

6.どのようにして沿岸航行中の船位決定を行うか,誤りなく測定できる技能を養う。

7.天文航法とはどのようなことであるか,その用語を理解する。

8.天体の種類を理解し,星座を研究し,索星法に習熱する。

9.時および時法について理解し,計算に習熟する。

10.天体諸元の求めかたはどのようにして行うか,天測暦および航海暦について理解し,正しく使用ができ,計算に習熟する。

11.航海計器の原理および構造を理解し,正しく使用ができ,取扱いおよび保存について技能を養う。

12.六分儀を使用し,天体を正確に解測して,読取りが早くできること。

13.天体観側による船位側定はどのようにして行うか。計算に習熟して,海図に正しい位置が記入できる技能を養う。

14.地物と天体による自差測定について理解し,正しい観測と計算ができる技能を養う。

15.電波による船位測定はどのようにして行うか,レーダー,ロラン等無線航法用器械の原理および構造大要と,使用法を理解すること。

16.視界が不良で,陸標および天体観測の不能の際の船位測定はどのようにして行うか,正しく船位が測定できる技能を養う。

17.日および月の出沒時と薄明について理解し,暦表を正しく使用し,計算ができること。

18.潮せきを理解し,潮せき表を使用して高低潮時および潮高の正しい計算ができ、漁船の運航に応用できる技能を養う。

19.船体要部の構造,設備および測度について理解する。

20.推進器および舵の作用と,その関係および効率を理解し,操舵による漁船運用に応用できる技能を養う。

21.いかり,鎖,索具および属具について理解し,正しく使用ができ,その取扱いと保存について能を養う。

22.円材,索具および滑車,テークルの種類および強度または倍力について理解し,実際に応用できる技能を養う。

23.船体の抵抗と船脚のつり合いについて理解し,漁船運航に応用できる技能を養う。

24.漁船の操縦法について理解し,海況,漁況に応じ適切に運用できる技能を養う。

25.海難の場合における人命および船舶の救護について理解し,適切な処置がとれる技能を養う。

26.載貨法の大要を理解し,漁獲物を正しく保蔵し積載する技能を養う。

27.漁船の検査,修理および保存について理解し,適切な処置がとれる技能を養う。

28.海上衝突予防法について理解し,海上において適切な処置がとれる技能を養う。

29.船員法,船舶職員法,船舶安全法,船舶法,港則法等船舶に関する諸法規の概要を理解する。

30.船内当直ができ,日誌に正しく記入できるてと。

B 次の各項について態度を養う。 31.規律を重んじ,船内職務を責任をもって遂行する。

32.敏速且つ正確な行動をとる。

33.協同精神にてっし,乗組員に協力する。

 

第6節 漁     船

 

目  標

1.各種船舶の船体,推進機構,漁ろう機械の大要を理解する。

2.各種漁船に必要な船舶のそれぞれの特性を理解する。

3.漁船の機械,器具類を取り扱う技能を養う。

4.漁船の管理および簡単な手入れ,修理の技能を養う。

5.漁業に船舶が必要なことを念頭におき,常に大切に管理する態度を養う。

 

具体目標 A 次の各項について理解する。 1.漁船の一般について。

2.業種別漁船の種類,形質および特性について。

3.わが国の漁船の現状について。

4.漁船法,船舶安全法等の漁船に関する諸法規の大要について。

5.漁船の船体構造,材料等について。

6.漁船の測度について。

7.漁船の推進機構について。

8.漁船の動力機関,燃料について。

9.漁船に装備する機械,器具および漁ろう機械(電気機械を含む)について。

10.漁獲物保存に関する船内処理機構の大要について。

11.機関の故障個所発見と応急処置について。

B 次の各項について技能を養う。 12.漁船の機械,器具および漁ろう機械を取り扱う技術について。

13.漁船の塗装および簡単な木工修理について。

C 次の各項について態度を養う。 14.漁船の機械を能率的に使用する。

15.漁船を大切に管理し,常に清潔に保つ。

 

第7節 水 産 製 造

 

目  標

1.水産製造の社会経済的意義を理解する。

2.水産物の加工,製造,貯蔵の大要を理解する。

3.水産製造の機械,器具および設備を理解する。

4.水産物の加工,製造、貯蔵に関する機械取扱いの技能を養う。

5.水産製品検査およびの鑑識の技能を養う。

6.水産物を衛生的,科学的,且つ経済的に処理する能度を養う。

 

具体目標 A 次の各項について理解する。 1.わが国における水産製造の現況ならびに産業上の地位について。

2.わが国における水産物の漁獲高,製品高を統計的に理解する。

3.水産製品の種類と数量,仕向地(国内および外国)を統計的に理解する。

4.水産製品の成分およびその利用価値について。

5.魚介類の死後における変化(硬直,自己消化,腐敗)および毒性について。

6.水産食用品の種類とその製法の大要について。

(1)乾製品

(2)塩蔵品

(3)くん製品

(4)煉製品

(5)節類

(6)調味加工品

(7)確詰,瓶詰

(8)冷凍食品

(9)その他加工食品

7.水産農用品について (1)肥   料

(2)飼 餌 料

8.水産工用品について。 (1)油  脂

(2)皮  革

(3)塩  類

(4)糊  料

(5)工芸品

(6)寒天およびアルギン酸その他の海藻製品

9.水産薬用品。 (1)ビタミン

(2)ホルモン

(3)ヨード等

10.水産製造の機械,器具の種類と構造の大要について。

11.水産物に関する取締法規について。

12.製品の保蔵の方法について。

13.冷蔵,冷凍の大要について。

B 次の各項について技能を養う。 14.水産品製造に関する機械,器具および設備の取扱いについて。

15.一般製造,加工に必要な技能を養う。

16.水産製造業の経営の基礎能力について。

17.水産製品検査,鑑識をする。

18.防腐剤,着色剤の使用法および検出をする。

19.魚介の鮮度を見分ける能力について。

20.原料水産物の選択,分類の能力について。

21.簡単な工場設計について。

C 次の各項について態度を養う。 22.水産物を高度に利用する。

23.工場管理,食品衛生に留意する。

24.科学的知識を応用し,進取的に創意工夫する。

 

第8節 水 産 化 学

 

目  標

1.栄養とは何であるか,またそれと人体との関係について理解する。

2.食品の化学について理解する。

3.水産物について化学的に理解する。

4.化学分祈の技能を養う。

5.水産化学の技能を斯界に応用する態度を養う。

 

具体目標 A 次の各項について理解する。 1.水産化学の一般について。

2.栄養とはどのようなことであるか。

3.われわれはどうして成育するか。

4.体温や運動力はどうして生ずるか。

5.骨格は何から作られるか。

6.ビタミン,ホルモン等について。

7.養分の消化や吸収について。

8.保健食糧および食物の選択,配合等の必要なことについて。

9.食物とはどのような性質を帯びたものであるか。

10.水産食品とはどのようなものであるか。

11.調味料,香辛料,嗜好品等について。

12.水産食品の腐敗中毒と,その防止について。

13.食品衛生の大切なことについて。

14.物の清浄法について。

15.化学分析の一般について。

16.水産食品の分析について。

17.物の成分や組成を調べ,これを分析することについて。

18.食物の燃焼価の計算について。

B 次の各項について技能を養う。 19.保健食糧の選択に役立つ能力が得られる。

20.食品製造や調理法に色々な工夫を案出する能力が得られる。

21.食品衛生上に必要な能力が得られる。

22.化学分析の基礎的な色々の操作ができる。

23.試薬の調製ができる。

24.イオンの性質を調べたり,またそれらの分離倹出をすることができる。

25.水の簡単な分析をすることができる。

26.水産製品の成分や組成を検する技能が得られる。

C 次の各項について態度を養う。 27.物を清浄にし,日常生活の向上に役立てる。

28.自然現象の実際を正視し判断する。

 

第9節 微  生  物

 

目  標

1.微生物とはどのようなものであるかを理解する。

2.微生物の生物界における役割を理解する。

3.微生物の簡単な実験の技能を養う。

4.微生物の知識を水産業の進歩,改良に応用する態度を養う。

 

具体目標 A 次の各項について理解する。 1.細菌の種類およびその性状の大要について。

2.水産に関する細菌,原生動物およびカビ類について。

3.微生物の形態,生理,生態について。

4.微生物に対する温度,光線,湿度,化学薬品の影響について。

5.伝染性病原菌について。

6.水中に生存する細菌について。

7.水族に寄生する細菌について。

8.水産物における醗酵作用に微生物との関係について。

9.水産物における微生物の作用およびその利用性について。

10.水産物の腐敗および毒物生成と微生物との関係について。

11.水産物の処理過程における微生物の附着ならびに繁殖について。

B 次の各項について技能を養う。 12.微生物の検鏡を行う。

13.細菌の簡単な培養を行う。

C 次の各項について態度を養う。 14.微生物の実験により正確な観察をする。

15.常に清潔を保ち,食品衛生に留意する。

 

第10節 水族病理

 

目  標

1.重要水族の疾病の種類,起因、病理解剖の大要を理解する。

2.重要病原生物の大要を理解する。

3.疾病の診断,予防,駆除の技能を養う。

4.水産増殖業の経営に水族病理の知識,技能を有効に応用する態度を養う。

 

具体目標 A 次の各項について理解する 1.水族病理の知識,技能は水産増殖事業上どのように重要であるか。

2.水族の疾病の種類,起因について。

3.疾病の徴候,症状,経過について。

4.微生物および各種寄生虫による疾病について。

5.環境の変化と疾病との関係について。

6.人工餌料と疾病との関係について。

7.腫傷性疾病について。

8.畸形について。

9.水族の疾病の駆除ならびに予防法について。

B 次の各項について技能を養う。 10.疾病および病原体の見分け方,被害状況の判断をする。

11.疾病の駆除,予防を行う。

C 次の各項について態度を養う。 12.常に増殖生物の健康状態およびその環境に注意する。

 

第11節 水産増殖

 

目  標

1.養殖業および増殖事業の一般を理解する。

2.養殖業および増殖事業の社会経済的意義を理解する。

3.採苗,採卵,ふ化,給餌,放養等の技能を養う。

4.養殖および増殖に関する施設の設計,設置の技能を養う。

5.魚病,その他障害の鑑定,治療と対策,処置の技能を養う。

6.水産生物を愛護し,その生理,生態を科学的に観察する態度を養う。

7.水産資源の維持,培養に関する研究能力を養う。

8.事業の管理を常におこたらない態度を養う。

9.養殖業を有利に経営する態度を養う。

10.技術の進歩,改良を計る態度を養う。

 

具体目標 A 次の各項について理解する。 1.養殖業および増殖事業の意義について。

2.水産生物の繁殖力と漁獲との関係について。

3.現行の養殖業および増殖事業の種類について。

4.温水性魚類の養殖について。

(1)造 池 法

(2)養殖魚類の習性.発生,生理

(3)親魚の選択,産卵,ふ化,養成の方法

(4)天然餌料の繁殖法

(5)人工餌料の種類および調理法

(6)成魚の収納および運搬

(7)外敵の予防および病魚の治療法

(8)河川,湖沼,溜池,稲田等における養殖

5.冷水性魚類の養殖について。 (1)冷水性魚類の種類,習性,発生

(2)人工採卵,人工ふ化法,魚卵の運搬,移殖養成

(3)地勢および底質

(4)塩分(比重)および潮せき

(5)活洲畜養の方法

(6)畜養水族の種類および習性 

6.外洋性および内海性水族の増殖事業について。 (1)水族の種類,習性

(2)畜養および繁殖保護

(3)畜養の種類と方法 

7.ノリ養殖について。 (1)アマノリの種類および繁殖法

(2)ひびの種類,構造

(3)養殖場および柵

(4)ひびの立込期

(5)移殖,転換

(6)ノリの被害とひびの管理

(7)摘採と製造

8.有用藻類の養殖について。

9.カキの養殖について。

(1)カキの種類および繁殖法

(2)採苗器と採苗法について

(3)養殖法の種類およびその方法

(4)いかだ棚(固定),ひびの構造

(5)カキの害敵とその予防

(6)収納と販売

10.有用具類の養殖について。

11.養殖保護の目的およびその重要性について。

12.いそそうじの方法について。

13.移殖の種類と方法について。

14.沿岸の害敵駆除について。

15.築磯と投石について。

16.漁業の制限,禁止(禁漁期,禁漁場)について。

17.遡河魚類の保護(魚梯,河水の汚濁化)について。

18.海獣類の保護について。

19.繁殖保護の効果について。

20.増殖と水質,水温,天候等との関係について。

21.水産資源について。

(1)種類と分布

(2)変   動

(3)人為的影響

(4)涵養方法

(5)量の推定と適正漁獲

B 次の各項について技能を養う。 22.採卵,ふ化について。

23.適正に給餌を行う。

(1)餌料の入手,保存法

(2)給 餌 法

(3)餌料分析表による餌料の配合

24.収納および運搬について。

25.養殖生物の外敵防除,病魚の処置について。

26.いそそうじについて。

27.稚貝の播付について。

28.カキ,シンジュガイの採苗について。

29.水質の検定(PHの測定)について。

30.各種池,ふ化室,ふ化器等の設計製図。

C 次の各項について態度を養う。 31.池面を経済的に使用する。

32.増殖事業の計画および経営を行う。

33.副業として溜池,稲田等を利用する。

34.水産業の大勢および今後の増殖事業を予想する。

35.濫獲による水族減少を防止する。

36.増殖事業の工夫改善を行う。

 

第12節 水産経営

 

目  標

1.水産経営の条件となる自然的,経済的および社会的事情を理解する。

2.水産経営に必要な統計を理解する。

3.水産経営の規模,能率および企業形態を理解する。

4.簡単な水産経営の計画と管理の能力を養う。

5.水産経営を良心的にまた科学的に行う態度を養う。

 

具体目標 1.地域社会の主要な水産業は何々で,それはまた他の地域でどのような状態であるかを統計的に理解する。

2.地方によって水産業の種類や状態が違うのはどのような自然的,経済的また社会的事情によるかを理解する。

3.地域杜会の水産業には,おもにどのような規模の生産手段が使われているかを,統計的に理解する。

4.地域社会の水産業には,どのような規模の生産手段がもっとも能率的なのか,またおもにその規模で行われているのは,どのような自然的,経済的,または社会的事情によるかを理解する。

5.水産労働の形態,雇入方法,賃金の形態および金額,労働時間および就労日数,災害の種類と件数などにつき統計的に理解する。

6.水産労働者は自由であるか,能率的に働いているか,健康で文化的に生活しているかを理解する。

7.水産業は,おもにどのような企業形態の下に営まれているかを,統計的に理解する。

8.各種の企業形態は,それぞれどのような特性をもっているか,また企業形態の種類により経営状態がちがうのは,なぜであるかを理解する。

9.水産金融は,どのような機関から,どのような条件と方法で行われているかを統計的に理解する。

10.各種の金融機関は,それぞれどのような特性をもっているか,また水産業の進歩と水産金融とは,どのような関係があるかを理解する。

11.中小漁業に対する融資保証制度はどうなっているかを理解する。

12.地域社会の水産物はどのような方法で,どの方面に輸送されどのような価格で売られているかを統計的に理解する。

13.水産物の市場施設は衛生的であるか,取引方法は合理的であるかを理解する。

14.簡単な水産経営の計画をする能力を養う。

15.簡単な水産経営における計算と管理およびその他運営の能力を養う。

 

第13節 水産簿記

 

目  標

1.簿記の目的を理解する。

2.水産簿記の特質を理解する。

3.水産簿記の方法と帳簿組織について理解する。

4.水産業に用いる複式簿記の記帳および決算の技能を養う。

5.水産業に関する財務諸表をつくり,またこれを分析する技能を養う。

6.水産簿記の知識を用いて,水産業の経営を合理化しようとする態度を養う。

 

具体目標 1.水産関係取引例題の記帳および決算方法を実習して,次の事項を理解する。 (1)取引の仕訳

(2)仕訳日記帳および元帳の記入

(3)試算表の作成

(4)棚卸表の作成

(5)元帳の締切

(6)決算諸表の作成と,これに基く経営分析の方法

2.簿記に関する現行制度(青色申告,その他)につき,次の事項を理解する。 (1)制度の趣旨および関係法規の大要

(2)法定記載事項および法定決算書類

(3)水産業に用いる資産および資材の法定耐用年数および償却率

3.家事および兼業に関する経費の区分整理方法を次の事項について理解する。 (1)家事および兼業に用いる水産用不動産等の経費

(2)雇傭関係以外の労働力についての経費

(3)漁獲物,製品が直接経費の支払に当てられる場合

(4)現金の使用区分をする必要がある場合

4.帳簿組織について次の事項を理解する。 (1)単式簿記と複式簿記

(2)多桁仕訳帳と仕訳日記帳の分割

(3)総勘定元帳と補助元帳

(4)水産業の業種,業態および規模に応ずる帳簿組織

5.水産物の原価計算の方法を次の事項について理解する。 (1)漁獲物(養殖によるものを含む)

(2)水産製品

 

第14節 水産法規

 

目  標

1.法とはどのようなものであるかを理解する。

2.水産法規にはどのようなものがあるかを理解する。

3.水産行政に関する法規の内容を理解する。

4.水産協同組合に関する法規の内容を理解する。

5.漁業権に関する法規の内容を理解する。

6.法規に親しみ,法に従う態度を養う。

 

具体目標 A 次の各項について理解する。 1.法と慣習,道徳および思想との関係,ならびに法を定める形式について。

2.わが国の水産業は,法制上どのように組織されているかについて。

3.水産資源の保護,開発,漁業取締,漁業権,水産業従業者の保護,水産食品,その他水産業に関する諸法規について。

4.中央および地方の水産行政機関の組織と機能について。

5.漁業調整の意義ならびに中央および地方の漁業調整機関の組織と機能について。

6.法人としての水産業協同組合の性質およびその種類について。

7.水産業協同組合の事業および出資制度について。

8.水産業協同組合の組合員(または会員)としての資格および加入,脱退について。

9.水産業協同組合の設立および管理について。

10.水産業協同組合に関する登記および監督の大要について。

11.水産業協同組合の発展策について。

12.漁業の自由の法的性質,漁業許可の性質および許可を要する漁業の種類について。

13.漁業権および入漁権の性質ならびにその種類について。

14.漁業権を目的とする担保物権について。

15.漁業免許の適格性および優先順位について

16.漁業権の設定,移転,変更,消滅,その他の変動について。

17.入漁権の設定,移転,変更,消滅,その他の変動について。

18.漁業登録の目的および手続の大要について。

19.漁業に関する重要な国際条約について。

B 次の項目について能力を養う。 20.水産業に関する法規上の諸手続を処理する。