第1 教 育 目 標
小学部及び中学部における教育については,学校教育法第71条に定める目的を実現するために,児童及び生徒の心身の障害の状態及び能力・適性等を十分考慮して,次に掲げる目標の達成に努めなければならない。
1 小学部においては,学校教育法第18条各号に掲げる教育目標
2 中学部においては,学校教育法第36条各号に掲げる教育目標
3 小学部及び中学部を通じ,児童及び生徒の心身の障害に基づく種々の困難を克服するために必要な知識,技能,態度及び習慣を養うこと。
第2 教育課程一般
1 学校においては,法令及びこの章以下に示すところに従い,児童又は生徒の人間として調和のとれた育成を目指し,その心身の障害の状態及び発達段階と特性並びに地域や学校の実態を十分考慮して,適切な教育課程を編成するものとする。
2 学校における道徳教育は,学校の教育活動全体を通じて行うことを基本とする。したがって,道徳の時間はもちろん,各教科,特別活動及び養護・訓練においても,それぞれの特質に応ずる適切な指導を行わなければならない。
学校において道徳教育を進めるに当たっては,教師と児童生徒及び児童生徒相互の人間関係を深めるとともに,家庭や地域社会との連携を図りながら,日常生活の基本的行動様式をはじめとする道徳的実践の指導を徹底するよう配慮しなければならない。
3 学校における体育に関する指導は,学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとする。特に,体力の向上及び健康・安全の保持増進については,小学部の体育科及び中学部の保健体育科の時間はもちろん,特別活動,養護・訓練などにおいても十分指導するように努めるとともに,それらの指導を通して,日常生活における適切な体育的活動の実践が促されるよう配慮しなければならない。
4 養護・訓練に関する指導は,心身の障害に基づく種々の困難を克服させ,社会によりよく適応していく資質を養うため,学校の教育活動全体を通して適切に行うものとする。特に,養護・訓練の時間における指導は,各教科,道徳及び特別活動と密接な関連を保ち,個々の児童又は生徒の心身の障害の状態や発達段階に即して行うよう配慮しなければならない。
5 第2章以下に示す各教科,道徳,特別活動及び養護・訓練の内容に関する事項は,特に示す場合を除き,いずれの学校においても取り扱わなければならない。
学校において特に必要がある場合には,第2章以下に示していない内容を加えても差し支えないが,その場合には,第2章以下に示す各教科の各学年,各分野若しくは各領域(精神薄弱者を教育する養護学校においては各教科)の目標又は道徳,特別活動若しくは養護・訓練の目標やこれらの内容の趣旨を逸脱したり,児童又は生徒の負担過重となることのないようにしなければならない。
6 盲学校,聾(ろう)学校及び肢(し)体不自由者又は病弱者を教育する養護学校の中学部における選択教科については,生徒に各学年1以上の選択教科を履修させるものとするが,その際,生徒の心身の障害の状態,進路,特性等を十分考慮し,それぞれの生徒に適した選択教科を履修させるものとする。
7 心身の障害の状態により学習が困難な児童又は生徒について特に必要がある場合には,各教科の目標及び内容に関する事項の一部を欠き,又は各教科の各学年の目標及び内容の全部若しくは一部を当該学年の前各学年の目標及び内容(中学部においては,中学部の各教科に相当する小学部の各教科の目標及び内容を含む。)の全部若しくは一部によって替えることができる。
8 当該学校に就学することとなった心身の障害以外に他の心身の障害を併せ有する児童又は生徒(以下「重複障害者」という。)については,次に示すところによることができる。
(2) 重複障害者のうち,学習が著しく困難な児童又は生徒については,各教科,道徳若しくは特別活動の目標及び内容に関する事項の一部又は各教科に替えて養護・訓練を主として指導を行うこと。
10 授業時数については,次のとおり取り扱うものとする。
(2) 盲学校プ聾(ろう)学校及び肢(し)体不自由者又は病弱者を教育する養護学校における小学部又は中学部の各学年の養護・訓練に充てる授業時数は,年間105を標準とするが,児童又は生徒の心身の障害の状態に応じて適切に定めること。
また,精神薄弱者を教育する養護学校における小学部又は中学部の各学年の養護・訓練に充てる授業時数は,児童又は生徒の心身の障害の状態に応じて適切に定めること。
(3) 重複障害者,療養中の児童若しくは生徒又は教員を派遣して教育を行う場合について,特に必要がある場合には,実情に応じた授業時数を適切に定めること。
(4) 小学部又は中学部の各教科,道徳,特別活動及び養護・訓練の授業は,年間35週(小学部第1学年については,34週)以上にわたって行うように計画すること。この場合,児童又は生徒の心身の障害の状態を十分考慮し,週当たりの授業時数が負担過重とならないようにすること。なお,その際,給食,休憩などの時間については,学校において工夫を加え,適切に定めること。
(5) 小学部又は中学部の各教科,道徳,特別活動及び養護・訓練のそれぞれの授業の1単位時間は,小学部においては45分,中学部においては50分を標準とするが,学校や児童又は生徒の実態に即して適切に定めること。
(6) 特別活動のうち,小学部の児童会活動又は中学部の生徒会活動及び学校行事の授業については,それらの内容に応じ,年間,学期ごと,月ごとなどに適切な授業時数を配当するようにすること。
なお,小学部の低学年においては,合科的な指導が十分できるようにすること。
(2) 第2章に示す各教科の内容に関する事項の指導に当たっては,各事項のまとめ方,順序及び重点の置き方に適切な工夫を加えて,効果的な指導ができるようにすること。
(3) 児童又は生徒の経験を広め,社会性を養い,好ましい人間関係を育てるため,学校の教育活動全体を通じて,小学校の児童又は中学校の生徒及び地域社会の人々と活動を共にする機会を積極的に設けるようにすること。
(2) 学校生活全体における言語環境を整え,児童又は生徒の言語活動が適正に行われるように努めること。
(3) 視聴覚教材などの教材・教具や学校図書館を計画的に利用すること。なお,児童又は生徒の心身の障害の状態及び能力・適性等に即した教材・教具を創意工夫し,それらを活用して指導の効果を高めるようにすること。
(4) 指導の効率を高めるため,教師の特性を生かすとともに,教師の協力的な指導がなされるように工夫すること。
(5) 指導の成果を絶えず評価し,指導の改善に努めること。
(6) 学校医等との連絡を密にし,児童又は生徒の心身の障害の状態に応じた保健及び安全に十分留意すること。
(7) 家庭,児童福祉施設及び医療機関との連携を密にし,指導の効果を上げるように努めること。