第11節 商 業
第1款 目 標
商業の各分野に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ,国民経済における商業の意義や役割を理解させるとともに,商業の諸活動を合理的,実践的に行う能力と態度を育て,経済社会の形成者として望ましい資質を養う.
第2款 各 科 目
第1 商業経済Ⅰ
1 目 標
国民経済における流通の働きを理解させるとともに,売買を中心とした商業活動についての基礎的な知識を習得させる.
2 内 容
(1) 国民経済と商業活動 (2) 売買
(3) 金融 (4) 物的流通と保険
(5) 企業
第2 簿記会計Ⅰ
1 目 標
簿記の基本原理を理解させ,商品売買業における取引を正確,明瞭(めいりょう)に記録し,計算し,整理する基本的な能力を養う.
2 内 容
(1) 企業の簿記 (2) 簿記の基礎
(3) 取引の記帳 (4) 決算
(5) 帳簿と伝票
第3 計算事務
1 目 標
珠算や計算機の操作に習熱させるとともに,商業活動に必要な計算事務を正確,迅速に処理する能力を養う.
2 内 容
(1) 珠算,計算機による計算の基礎 (2) 売買に関する計算
(3) 金利に関する計算 (4) 証券投資に関する計算
(5) 営業費用等に関する計算
第4 情報処理Ⅰ
1 目 標
電子計算機とその利用について理解させるとともに,電子計算機の実習を通して,情報を処理する基礎的な能力を養う.
2 内 容
(1) 現代社会と電子計算機 (2) 電子計算機の機能と構成
(3) データの処理 (4) プログラミングの基礎
第5 総合実践
1 目 標
実践を通して,商業活動に関する知識と技術を総合的に習得させ,商業経営に必要な業務を合理的,能率的に処理する能力と態度を育てる.
2 内 容
各学科の必要に応じて適切な内容を設定するものとする.
第6 マーケティング
1 目 標
マーケティングについて一般的な知識を習得させるとともに,マーケティング活動を合理的,能率的に行うための基礎的な能力を養う.
2 内 容
(1) 現代市場とマーケティング (2) マーケティング 計画と市場調査
(3) 商品計画 (4) 販売価格と販売経路
(5) 販売促進 (6) マーケティング 実習
第7 商 品
1 目 標
国民生活に即して,主要な商品に関する一般的な知識を習得させ,個々の商品の特性を把握(はあく)させるとともに,我が国の産業経済の立場から外国との商品流通について理解を深めさせる.
2 内 容
(1) 産業経済の発展と商品流通 (2) 食生活関連商品
(3) 衣生活関連商品 (4) 住生活関連商品
(5) 輸出入商品 (6) 事例研究
第8 簿記会計Ⅱ
1 目 標
取引についての記帳能力を高めるとともに,企業会計に関する理論的基礎を理解させ,株式会社の財務諸表を作成し,利用する能力を養う.
2 内 容
(1) 特殊な取引の記帳 (2) 帳簿組織
(3) 株式会社の記帳 (4) 企業会計の基礎
(5) 貸借対照表 (6) 損益計算書
(7) 財務諸表の分析
第9 工業簿記
1 目 標
製造業における簿記の特色を理解させるとともに,原価計算に関する基礎的な知識を習得させ,これに基づいて取引を正確,明瞭に記帳する能力を養う.
2 内 容
(1) 工業簿記と原価計算 (2) 原価要素と費目別計算書
(3) 部門別計算と製品別計算 (4) 取引の記帳
(5) 決算
第10 文書事務
1 目 標
企業における事務文書の作成,取扱いについての知識と技術を実践的に習得させ,文書を合理的,能率的に処理する基礎的な能力を養う.
2 内 容
(1) 企業の文書事務 (2) 文書の作成
(3) 文書の取扱い (4) 文書事務の改善
(5) 事例研究
第11 情報処理Ⅱ
1 目 標
電子計算機の実習を通して,プログラミングとシステム設計についての技術を習得させるとともに,企業の経営情報を処理する基礎的な能力を養う.
2 内容
(1) 企業経営と情報処理 (2) データ処理のプログラミング
(3) データ処理のシステム設計 (4) 経営情報の処理
第12 商業経済Ⅱ
1 目 標
国民所得を中心に,我が国の国民経済について理解させるとともに,経済の主要な動向を分析し,把握するための基礎的な能力を養う.
2 内 容
(1) 我が国の戦後経済の概観 (2) 国民所得と経済成長
(3) 経済の変動 (4) 国際経済の動向
(5) 企業の組織 (6) 企業の経営
(7) 我が国の企業経営の特質
第13 商業法規
1 目 標
売買取引を中心に,商業活動を行うために必要な法規の基礎的な知識を習得させるとともに,商業事象を法律的に考え,判断する能力を養う.
2 内 容
(1) 経済生活と法 (2) 権利・義務と財産権
(3) 契約 (4) 財産権の保護
(5) 手形,小切手 (6) 株式会社
第14 貿易英語
1 目 標
我が国の貿易事情に関する理解の上に立って,貿易取引に必要な英文の文書を読解し,作成する能力を養う.また,応接及び商品販売に必要な英会話の基礎的な能力を養う.
2 内 容
(1) 英文貿易文書 (2) 商業英会話
第15 商業デザイン
1 目 標
作品の製作実習を通して,商業デザインについての基礎的な知識及び技法を習得させ,商業デザインをマーケティング活動に役立てる能力を養う.
2 内 容
(1) デザインの基礎 (2) グラフイックデザイン実習
(3) パッケージデザイン実習 (4) ディスプレーデザイン実習
第16 税務会計
1 目 標
企業の経理に必要な税法についての基礎的な知識を習得させ,これに基づいて取引を正確に記帳するとともに,税を正しく計算し,申告する能力を養う.
2 内 容
(1) 税務会計の基礎 (2) 所得税
(3) 法人税
第17 タイプライティング
1 目 標
タイプライタの操作に習熟させるとともに,タイプライタによって文書を正確,明瞭に作成する基礎的な能力を養う.
2 内 容
(1) タイプライタの種類と構造 (2) タイプライタの操作
(3) 文書の作成
第18 経営数学
1 目 標
企業における経営資料を統計的,数学的に処理し,これを経営に役立てる基礎的な能力を養う.
2 内 容
(1) 経営数学と統計 (2) 統計の分析と利用
(3) 需要予測 (4) 在庫管理
(5) 線型計画法
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 商業に関する学科においては,原則として,各学科に共通して「総合実践」を履修させるものとする.この場合,全日制の課程においては,第2学年から履修させることが望ましい.
2 各科目においては,必要に応じて,各種の事務機械等を利用させるとともに,実践的な学習を重視して,指導の効果を高めるように配慮するものとする.
3 各科目の指導に当たっては,必要に応じ,関連する内容において我が国の商業経済政策,国際経済環境,消費者志向の観点等についても.適宜生徒に関心をもたせ,理解を得させるよう配慮するものとする.
4 実験・実習を行うに当たっては,特に安全と保健に関する指導について十分配慮するものとする.
5 普通科において商業に関する科目を履修させる場合は,地域や学校の実態,生徒の進路・適性や興味・関心等を考慮し,「商業経済Ⅰ」,「簿記会計Ⅰ」,「計算事務」,「情報処理Ⅰ」,「文書事務」等の科目のうちから適切なものを履修させることが望ましい.