第1 目 標
観察,実験などを通して,自然を調べる能力と態度を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を深め,自然と人間とのかかわりについて認識させる。
第2 各分野の目標及び内容
(2) 観察や実験を通して,物質は元素と化合物に分けられることや,物質は原子,分子,イオンなどの粒子から成り立っていることなどを理解させ,物質についての見方や考え方を養う。
(3) 観察や実験を通して,力及び電流の性質とはたらき,物体の運動並びに光・熱・電流のする仕事について理解させ,自然現象についてのエネルギーと関連した見方や考え方を養う。
(4) 身近な物質やエネルギーのはたらきを理解させ,人間生活との関連において,物質やエネルギーを効率的に活用する態度を育てる。
ア 物質の様子
(イ) 物質の量には,体積や重さがあり,これらはいろいろな方法で測れること。
(ウ) 物質の単位体積当たりの重さは,物質の種類によって決まっていること。
(イ) 物質が燃焼するときには,激しい発熱を伴い,燃焼前とは異なる物質ができること。
(ウ) 燃焼は,物質が酸素と結び付く化学変化であること。
(イ) 加熱すると二つ以上の物質が化合することがあること。
(イ) 気体は,その種類によって,重さや化学的性質がそれぞれ異なること。
(ウ) 同じ気体は,発生の方法が異なっても同じ性質を示すこと。
ア 力のはたらき
(イ) 帯電体どうし及び磁石どうしは,空間を隔てて互いに力を作用し合うこと。
(ウ) 物体にはたらく重力は,地球が物体に作用する力であり,物体の質量に比例すること。
(エ) 力の大きさは,重力の大きさなどを基準にして表されること。
(オ) 力は,矢印の長さと向きとによって図示できること。
(イ) 1点にはたらく3力がつり合うには,条件が必要であること。
(ウ) 力は,合成することや分解することができること。
(イ) 閉じ込められた液体の一部に加えた圧力は,各部分に等しい強さで伝わること。
(ウ) 水の圧力は,水面からの深さに比例すること。
(エ) 水中の物体には,浮力がはたらくこと。
ア 純物質と混合物
(イ) 蒸留,再結晶などを利用して,物質を分離することができること。
(イ) 化学反応に関係する物質の質量の比は,一定であること。
(イ) 元素は,元素記号で表されること。
(ウ) 化合物の組成は,化学式で表すことができること。
(エ) 化学反応は,原子や分子のモデルで説明でき,化学反応式で表されること。
ア 電流と電圧
(イ) 回路の各部分の電圧の和は,その回路内の電源の両端の電圧に等しいこと。
(ウ) 金属を流れる電流の強さは,その両端の電圧に比例すること。
(エ) 金属の電気抵抗は,金属の種類,その長さや太さ及び接続の仕方によって変わること。
(イ) 電流による発熱量は,電流,電気抵抗及び時間に関係すること。
(ウ) 電力は,電圧と電流の積で表されること。
(エ) 電流には,直流と交流があり,それぞれ日常生活に利用されていること。
(イ) 陰極線は,負の電気を帯びた粒子(電子)の流れであること。
(ウ) 金属中の電流は,電子の流れであること。
ア 水溶液
(イ) 濃度は,重量パーセントで表すことができること。
(ウ) 水溶液の反応によって生じる生成物の量は,水溶液の濃度と液量に関係すること。
(イ) 電解質の水溶液は,電流によって電解質が分解されること。
(ウ) 電気分解は,イオンのモデルで説明できること。
(エ) イオンは,原子又は原子団が電子を失うか又は得たものであること。
(イ) 酸とアルカリとの中和によって,塩と水が得られること。
(イ) 化学反応には,熱の出入りが伴うこと。
ア 運 動
(イ) 物体の運動の表し方は,その運動を観察する基準のとり方によって違うこと。
(ウ) 物体に力がはたらかないときは,物体の運動の様子は変わらないこと。
(エ) 等速直線運動における移動距離は,時間に比例すること。
(オ) 落下運動は,時間とともに速さが変わること。
(イ) 摩擦力に抗して物体を動かすには,仕事をしなければならないこと。
(ウ) 道具を用いても,道具に与えた仕事以上の仕事をさせることはできないこと。
(エ) 仕事率は,単位時間にする仕事で表されること。
(イ) 熱によって仕事をさせることができ,仕事をすることによって熱を発生させることができること。
(イ) 磁界中の電流は,その磁界から力を受けること。
(ウ) 電流によって,物体に仕事をすることができること。
(エ) 仕事によって,電流を取り出すことができること。
(イ) 重力による位置エネルギーは,物体の置かれた高さと質量とに関係すること。
(ウ) 運動エネルギーは,物体の質量と速さとに関係すること。
(エ) 位置エネルギーと運動エネルギーは,互いに移り変わること。
(オ) 日常生活では,資源やエネルギーが有効に利用されていること。
(2) 内容の(2)のうち,イの(ウ)については,図によって求める方法で指導し,数式で表すことはしない。また,日常生活で経験する力の分解・合成の具体的事例についても触れるようにする。ウの(エ)については,水中では物体の質量は変わらないが重さは変わることを理解させ,観察や実験を通して浮力の考えを理解させる程度にとどめる。
(3) 内容の(3)のうち,アの(ア)については,実験を中心として取り扱う。アの(イ)の「蒸留」については,簡単に扱う。ウの(イ)で扱う「元素記号(又は原子記号)」は,内容を取り扱う上で必要最小限のものにとどめるようにする。ウの(ウ)の「化学式」は,物質を表す記号として理解させる程度にし,その種類は,必要最小限にとどめる。ウの(エ)の「化学反応式」は,狭義の酸化還元程度の化学反応式が書ける程度とする。
(4) 内容の(5)のうち,アの(イ)は,濃度計算に深入りしない。イの(エ)の「イオン」については,原子の構造的な説明は取り扱わない。
(5) 内容の(6)のうち,アの(ア)については,いろいろな運動の観察や実験の程度にとどめる。アの(オ)については,実験を通して規則性を見いだす程度にとどめ,数式で表すことはしない。オの(ウ)の「運動エネルギー」は,定性的に取り扱い,数式には触れない。オの(ウ)では,エネルギー保存については取り扱わないが,いろいろなエネルギーの移り変わりについては触れる。オの(オ)では,物質やエネルギーに関する学習のまとめとして,人間生活における資源やエネルギーの重要性について触れる。
〔第2分野〕
(2) 観察や実験を通して,生物とそれを取り巻く自然の事物・現象にみられる多様性と共通性を認識させ,事象の生じる要因や仕組みを分析するとともに,自然界に対する総合的な見方や考え方を養う。
(3) 観察や実験を通して,自然界の事物・現象を動的にとらえ,現在見られる事実に基づいて過去の様子を考察させ,それらを時間の長さや空間の広がりと関係付ける見方や考え方を養う。
(4) 自然界の事物・現象の間の関連性や調和を考察させ,それらと人間の生存とのかかわりを認識させて,環境保全に対する関心を高める。また,生物現象の理解を深めて,生命を尊重する態度を育てる。
ア 自然と生物
(イ) 生物の生活は,場所,天気,時刻などによる環境条件の変化に関係があること。
(イ) 植物は,体のつくり,殖え方などの特徴によって幾つかのなかまに分けられること。
(イ) 動物は,体のつくり,殖え方,育ち方などの特徴によって幾つかのなかまに分けられること。
ア 地球の運動
(イ) 四季の星座の移り変わりなどから,地球の公転が推論でき,また,季節による太陽高度の変化から,地軸の傾いていることが推論できること。
(イ) 太陽系は,太陽を中心に公転している惑星などから構成され,惑星の位置,大きさなどにはそれぞれ特徴があること。
(イ) 銀河系は,太陽系をはじめ,多くの恒星が集まって構成されていること。
ア 生物と細胞
(イ) 生物は,細胞の分裂によってなかまを殖やしたり,成長したりすること。
(イ) 生物の体には,細胞に必要な物質や不用な物質を輸送するつくりが発達しているものがあり,高等動物では,血液やその循環が重要なはたらきをしていること。
(ウ) 生物は,有機養分をもとにして呼吸しており,高等動物では,外界とガス交換をするつくりが発達していること。
(エ) 高等動物では,不用物を外界に排出するつくりが発達していること。
(オ) 生物には,外界からの刺激を受け取り,これに応じて反応する仕組みがあり,高等動物では,神経系が発達していて,運動その他の反応を起こすこと。
ア 大気中の水
(イ) 地表の水は,太陽放射のはたらきで蒸発し,冷やされて雲などを生じることがあり,雨などになって地表に戻ること。
(イ) 大気の圧力の強さの分布は,等圧線で表され,地表における風の吹き方は,高気圧,低気圧,等圧線の様子などに関係があること。
(イ) 前線では,冷気と暖気とが接しており,その移動に伴って,気温,湿度,風、雲などの天気の様子が変わること。
(ウ) 天気の移り変わりは,気圧配置,前線の様子などから予想ができること。
ア 生物界における生産と消費
(イ) 光合成によってつくられた物質は,植物の成長や生活に使われるほか,他の物質に変えられて蓄積され,また,それらは動物によっても消費されること。
(イ) 生物の死がいや排出物は,微生物により分解されて無機物に変えられ,植物の成長に再び利用されること。
(イ) 一定区域内の生物の種類や数には限りがあり,つり合いが保たれていること。
ア 地層の様子と堆積岩
(イ) 地層の成因は,地層の重なり方,構成物質などの特徴から推定できること。
(ウ) 堆積岩は,岩石を構成している物質,粒度などによって分類できること。
(イ) 火成岩は,造岩鉱物,組織の違いなどによって分類できること。
(イ) 地震は,特定の地域に起こりやすく,土地の変化や災害を生じることがあること。
(イ) 地層に見られる断層,しゅう曲,不整合などは,過去の地かく変動を知る手がかりになること。
(ウ) 地層に含まれている化石,構成物質とその重なり方などから,地層が堆積した当時の環境が推定できること。
ア 人間の生存を支える物質とエネルギー
(イ) 人間が利用している物質には,植物などによって生産されるものと地下資源のように採り出すものとがあること。
(ウ) 人間が利用しているエネルギー源には,過去及び現在の太陽放射によるもののほか,原子力などがあること。
(イ) 自然の開発や利用が,自然界のつり合いを変えたり破壊したりすることがあるので,自然の保存や調整により環境保全をすることが重要であること。
(2) 内容の(1)のうち,イの(ア)の「植物」については,種子植物を中心に取り上げ,シダ類,コケ類及びソウ類についても扱う。ウの(ア)の「動物」については,セキツイ動物を中心に取り上げ,コン虫などについても扱う。また,イの(イ)及びウの(イ)の分類の指導に当たっては,生物の類縁関係を手がかりに,生物が変わってきたことについても触れる。
(3) 内容の(2)のうち,アについては,生徒の観測できる事実を中心に扱う。イの(イ)の「惑星」は,主なものを取り上げ,その概略を扱う。ウの(ア)の「星の明るさ」は,見かけの明るさを中心に扱う。
(4) 内容の(3)のうち,アの(イ)については,染色体に遺伝のもとになるものがあることに触れるが,遺伝の仕組みは扱わない。イの中で扱う動物については,ヒトを中心に扱う。イの(ア)の「酵素」については,一又は二を取り上げるにとどめ,温度条件によるはたらきの変化を主に扱う。
(5) 内容の(4)のうち,イの(イ)の等圧線と風向との関係は,観測資料を中心に扱う。ウで扱う天気図については,読み方を中心に扱う。
(6) 内容の(6)のうち,ウの(ア)の「地震の大きさ」については,地震の規模の定義は扱わない。エの(ウ)の「化石」については,示相化石を中心に扱い,示準化石や地質時代には触れない。
1 指導計画の作成に当たっては,年間,各分野にそれぞれおよそ等しい授業時数を充てるものとする。その際,各分野間及び各項目間の関連を十分考慮して,各分野の特徴的な見方や考え方が,互いに補い合って育成されるようにする。
2 内容の指導に当たっては,地域の環境や学校の実態を生かし,自然の事物・現象についての直接経験を重視し,自然を調べる能力の育成及び基本的な概念の形成が段階的に無理なく行われるように配慮する。
3 観察,実験,野外調査などの指導に当たっては,特に事故防止について十分留意するとともに,使用薬品等の管理及び廃棄についても適切な措置をするように配慮する。