第1 目 標
観察,実験などを通して,自然を調べる能力と態度を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を図り,自然を愛する豊かな心情を培う。
第2 各学年の目標及び内容
(1) 身近に見られる生物を探したり世話をしたりさせて,生物の著しい特徴に気付かせるようにするとともに,生物に親しむ楽しさを味わわせる。
(2) 身近な自然の事物・現象に親しませ,それらを見たり試したりさせて,事物・現象の著しい特徴に気付かせるようにするとともに,自然に接する楽しさを味わわせる。
2 内 容
(1) いろいろな植物を探したり,葉,花,実などを使った活動をしたりさせながら,それらの色,形,汁(しる)などの特徴に気付かせる。
(2) 植物の種子を蒔(ま)いたり,球根を植えたりして育てさせながら,植物が育つには水が必要なこと及び植物が育つときの著しい変化に気付かせる。
(3) いろいろな動物を探したり飼ったりさせながら,動物の食べ物,体の形,動きなどの特徴に気付かせる。
(4) 動くおもちゃを工夫して作ったり動かしたりさせながら,風,ゴムなどのはたらきに気付かせる。
(5) 磁石を使った活動を工夫させながら,磁石に付く物と付かない物とがあること及び磁石のはたらきに気付かせる。
(6) 物の影を利用した活動を工夫させながら,日なたにできる物の影は同じ向きになっていること及び物によってできる影の形,濃さなどに違いがあることに気付かせる。
(7) 晴れた日や雨の降る日に,空や地面の様子を見たり,雨水,氷などを使った活動を工夫したりさせながら,天気によって地面の様子に違いがあることに気付かせる。
(8) いろいろな石を集めたり,石を使った活動を工夫したりさせなから,石には,色,形,手触りなどに特徴があることに気付かせる。
(1) 身近に見られる生物を探したり育てたりさせて,生物の生活の仕方及び育ち方に気付かせるようにするとともに,生物に親しむ楽しさを味わわせる。
(2) 身近な自然の事物・現象に親しませ,それらを見たり確かめたりさせて,事物の特徴及び変化の様子に気付かせるようにするとともに,自然に接していく楽しさを味わわせる。
2 内 容
(1) 植物の種子を蒔(ま)いて育てさせながら,植物は芽を出して育ち,花が咲いて多くの種子ができること及び日なたと日蔭とでは育ち方に違いがあることに気付かせる。
(2) 草むら,水中などの動物を探したり工夫して飼ったりさせながら,それらの食べ物,住んでいる場所,動きなどに違いがあることに気付かせる。
(3) 物を水に溶かし,溶ける様子を見たり,溶かし方を工夫したりさせながら,物と水の変わる様子及び水の温かさによって溶ける速さに違いがあることに気付かせる。
(4) 空気を入れ物の中に閉じ込めたり,水の中に入れたりさせながら,身の回りには空気があることに気付かせる。
(5) おもりで勤くおもちゃを工夫して作ったり動かしたりさせながら,おもりの重さ,付け方などによって,動きに違いがあることに気付かせる。
(6) 乾電池に豆電球,導線などをつないで点燈したり,それらを使った活動を工夫したりさせながら,豆電球が点燈するつなぎ方及び電気を通す物と通さない物とがあることに気付かせる。
(7) いろいろな物を使って音を出したり伝えたりさせながら,音が出ている物は震えていること及び糸などは音を伝えることに気付かせる。
(8) 日なたと日陰の地面の様子を比べて,地面の暖かさ,乾き方,水の温まり方などに違いがあること及び日陰の位置は太陽の動きによって変わることを気付かせる。
(9) 砂や士と水とを使った活動を工夫させながら,砂や土の手触り,固まり方,水の滲(し)み込み方,水の中に入れたときの沈む様子などに違いがあることに気付かせる。
(1) 身近に見られる生物を探したり育てたりしながら,生物の成長及び活動の様子を調べ,それらが季節に関係があることを理解させるとともに,生物を愛護する態度を育てる。
(2) 空気,日光,磁石などによる現象を調べ,それらの性質及びはたらきを理解させるとともに,変化のきまりを見いだすことに興味をもたせる。
(3) 土,水及び空気の温度の変化の様子並びに天気の様子を調べ,それらの特徴及び変化を理解させるとともに,それらの身近な自然現象についての関心を深める。
2 内 容
A 生物とその環境
ア 暖かい季節には,植物は茎が伸び,葉も茂り,寒い季節には,葉が落ちたり,地上部が枯れたりなどして冬芽,地下部などで過ごすものがあること。
イ 植物には,成長するのに適した時期があること。
(2) つぼみから花が咲いて実ができるまでの様子を調べ,花のつくりを理解させる。
ア 花には,がく,花びら,おしべ,めしべなどがあり,めしべのもとが膨らんで実になること。
イ 花には,形やつくりの似ているものがあること。
(3) 動物の様子を調べ,動物の活動は季節によって違いがあることを理解させる。
ア 暖かい季節になると,植物の花,葉などに,虫が多く集まること。
イ 暖かい季節になると,活動したり産卵したりする動物が多くなり,寒い季節になると,活動する動物が少なくなること。
ア 空気を圧(お)し縮めると,かさが小さくなるが,手ごたえは大きくなり,元にもどろうとすること。また,この性質を利用して物を動かすことができること。
イ 空気は圧し縮められるが,水は圧し縮められないこと。
(2) 風車の回っている様子を調べ,風の強さによって物を動かすはたらきに違いがあることを理解させる。
ア 風の強さによって,風車の回り方に違いがあること。
イ 風車が物を動かすはたらきの違いは,ゴム又ははねの伸びやおもりの重さで比べられること。
(3) 鏡や虫めがねに日光を当てたときの様子を調べ,日光は集められることを理解させる。
ア 鏡の向きを変えると,跳ね返る光の向きが変わること。
イ 幾つかの鏡を使って,同じ場所に光を当てたり,虫めがねで日光を集めたりすると,明るさや暖かさが増すこと。
ウ 虫めがねの大きさにより,集められた光の明るさや暖かさに違いがあること。
(4) 磁石の極を調べたり,磁石を作ったりして,磁石の性質及びはたらきを理解させる。
ア 異極は引き合い,同極は退け合うこと。
イ 自由に動くようにした磁石は,南北を指して止まること。
ウ 磁石で鉄をこすったり,鉄を付けたりすると,鉄は磁石になることがあること。
ア 雲及び風の様子は、1日のうちでも,また日によっても変わること。
(2) 土,水及び空気の温度を調べ,温度は日光の当たり方などによって違い,また季節によっても違いがあることを理解させる。
ア 土及び水の温度は,日なたと日陰とで違いがあること。
イ 土及び空気の温度は,晴れの日と曇りの日とで違いがあること。
ウ 土,水及び空気の温度は、夏と冬とで違いがあること。
(1) 生物を育てながら成長の様子を継続して調べ,成長には段階があること,生命は連続していること及び成長は養分や日光と関係があることを理解させるとともに,生物を愛護する態度を育てる。
(2) 物の溶け方,物の重さ,熱による状態の変化,電流による現象などを調べ,それらの性質及びはたらきを理解させるとともに,変化のきまりを見いだすことに興味をもたせる。
(3) 川の水などの流れる様子及び太陽や月の動きなどを調べ,流水のはたらき並びに太陽や月の形及び動きを理解させるとともに,それらの自然現象についての関心を深める。
2 内 容
A 生物とその環境
ア いもには,でんぷんが含まれていて,成長するための養分として使われること。
イ 新しいいもの出来方は,日光の当たり方によって違いがあること。
ウ 植物の葉に日光が当たると,でんぷんができるものがあること。
(2) 昆虫(こんちゆう)の成長する過程及び活動の様子を調べ,昆虫の体のつくり及び一生の変化を理解させる。
ア 昆虫には,卵・幼虫・さなぎ・成虫の順に変化して育つものがあること。
イ 昆虫には,成長する過程で,食べ物や活動の様子が変わるものがあること。
ウ 昆虫は,卵を産み殖えること。
エ 昆虫は,体のつくりが似ていること。
ア 物が水に溶けると,物は水の中に広がっていくこと。
イ 水の温度を上げると,溶ける量が増し,その水溶液の温度を下げると,溶けていた物が水と分かれて出てくることがあること。
(2) 空気及び水を熱したり冷やしたりしたときの様子を調べ,温度によってそれらの体積が変わること及び水の状態が変わることを理解させる。
ア 空気及び水は,温度が変わると体積が変わるが,その程度に違いがあること。
イ 水は,温度によって水蒸気や氷に変わること。
(3) てんびんを作って,そのはたらきを調べ,物の重さはてんびんなどで測れることを理解させる。
ア 水平になってつり合っている棒の左右に,同じ重さのおもりを支点から等距離の位置につるすと,棒は水平になってつり合うこと。
イ てんびんのつり合いは,おもりをつるす糸の長さや皿(さら)に置くおもりの位置,形などを変えても変わらないこと。
ウ 上皿てんびんでつり合ったとき,物の重さと分銅の重さとは等しいこと。
エ 物の重さは,ばねの伸びによっても測れること。
(4) 豆電球,乾電池などでいろいろな回路を作って,豆電球の明るさを調べ,それらの数とつなぎ方により,豆電球の明るさなどに違いがあることを理解させる。
ア 2個の豆電球を1個の乾電池につないだり,1個の豆電球を2個の乾電池につないだりすると,つなぎ方によって明るさに違いがあること。
イ 導線に電流が流れていることは,方位磁針の振れで確かめられること。
ウ 1個の乾電池に,1個の豆電球をつないだ場合と,2個の豆電球を並列につないだ場合とでは,続けて点燈させると,明るさの変化に違いがあること。
ア 太陽及び月は丸い形をしているが,月は,日によって形が変わって見えること。
イ 太陽及び月は,絶えず動いていて,東の方から出て南の空を通り,西の方に入ること。
(2) 雨水が地面を流れる様子及び川原や川岸の様子を調べ,流れる水のはたらきを理解させる。
ア 雨水及び川の水の流れは,土地を削ったり,石,土などを流したり横もらせたりすること。
イ 川原や川岸の様子は,川の水の流れの速さや水量によって変わること。
(1) 生物の成長の様子及び体の仕組みを調べ,生物は環境の影響を受けて成長していることを理解させるとともに,生命を尊重する態度を育てる。
(2) 物の溶け方,燃え方,光の進み方,音の伝わり方などを調べ,物の性質及び変化の規則性を理解させるとともに,進んでそれらを発見しようとする態度を育てる。
(3) 星の動きを調べ,動きのきまりを理解させるとともに,天体の現象を時間の経過及び空間の広がりで見ようとする態度を育てる。
2 内 容
A 生物とその環境
ア 種子の中には,胚(はい)があり,また胚が育つのに必要な養分が蓄えられていること。
イ 種子の発芽には,水,空気,温度などが関係していること。
ウ 植物の成長は,日光,肥料などによって影響を受けること。
エ 植物が育っている土には,水,空気などが含まれていること。
(2) 植物体の中に入った水などの行方を調べ,それらが行きわたる仕組みを理解させる。
ア 根から取り入れた水などは,茎,葉などまで行きわたること。
イ 水分は主に葉から蒸散していること。
(3) 魚などの活動及び卵のかえる様子を調べ,魚は水中の小さな生物を食べていること及び魚などの卵の変化は水温の影響を受けることを理解させる。
ア 卵は,日がたつにつれて中の様手が変化してかえること。
イ 卵の変化は,水温の影響を受けること。
ウ 水中には,小さな生物がいて,魚の食べ物になっていること。
ア 物は,水に溶けてもその重さは変わらないこと。
イ 濃さの違う同体積の水溶液は,重さに違いがあること。
ウ 物が水に溶ける量には,限度があること。
エ 水溶液の水が蒸発すると溶けていた物が水と分かれて出てくること。
(2) 物が燃えるときの空気の変化を調べたり,酸素や二酸化炭素をつくってその性質を調べたりして,物が燃えるときの空気のはたらきを理解させる。
ア 物が燃えるには,空気が必要であること。
イ 酸素の中では,空気中よりも物が激しく燃えること。
ウ 空気中には,酸素が含まれていること。
エ 植物体が燃えるときには,酸素が使われ,二酸化炭素ができること。
オ 二酸化炭素は,空気よりも重く,石灰水を白く濁らせること。
(3) 光が物に当たったときの様子を調べ,光の進み方を理解させる。
ア 質の同じ物の中では,光は直進すること。
イ 質の違う物の中へ光が進むとき,その境で反射したり屈折したりすること。
ウ とつレンズの軸に平行な光の集まる位置は,レンズによってきまっていること。
エ 日光を通しやすい物は,日光に当たっても温まりにくいこと。
(4) 音が伝わる様子を調べ,音の出方及び伝わり方を理解させる。
ア 音は,空気,水などを伝わり,広がっていくこと。
イ 音は,物に当たると反射し,反射の仕方は物によって違いがあること。
ウ 音の強さは,物の震える幅によって変わること。
ア 星には,明るさや色の違うものがあること。
イ 星の集まりは,時間がたつと位置及び向きが変わるが,並び方は変わらないこと。
ウ 太陽の通り道の近くに見える星は,太陽と似た動きをすること。
エ 北極星の周りの星は,北極星を中心にして回っているように見えること。
オ 星は,同じ方向に動き,1日たつとほぼ元の位置に見えること。
(1) 植物の成長や繁殖及び人体について調べ,生物は互いに影響し合って成長したり繁殖したりしていること及び人体のつくりやはたらきを理解させるとともに,生物と環境の相互関係について関心を深め,生命を尊重する態度を育てる。
(2) 水溶液の性質,物の温まり方,燃え方,てこのはたらき,電磁石のはたらきなどを調べ,物の性質及び変化の規則性を理解させるとともに,それを自然現象に適用し,進んで未知のものを探ろうとする態度を育てる。
(3) 地層の様子及び太陽の動きや地表の温度の変化を調べ,水及び日光が地表に及ぼすはたらきを理解させるとともに,自然現象を時間の経過及び空間の広がりで見ようとする態度を育てる。
2 内 容
A 生物とその環境
ア 密生している植物の一部が取り除かれると,日当たりなどが変わり,植物の成長の様子が変わってくること。
イ 植物が繁茂しているところでは,内側と外側とで,日当たり,温度などが違い,植物の様子にも違いがあること。
(2) 花から実ができるときの様子を調べ,受粉と結実との関係を理解させる。
ア 花粉が柱頭につくと,結実し種子ができること。
イ 受粉には,虫,風などが関係していること。
(3) 人の呼吸,消化などを調べ,体のおよそのつくりやはたらきを理解させる。
ア 人体は,骨によって支えられ,それについた筋肉のはたらきで体を動かすことができること。
イ 運動によって,呼吸,脈拍などの様手が変化すること。
ウ 人は,肺で酸素を取り入れ二酸化炭素を出すこと。
エ 食べた物は,歯でかみ砕かれ,だ液などのはたらきで変化し,消化管の中を通り,養分として吸収されたり排出されたりすること。
オ 血液は,心臓のはたらきで体内を巡り,養分,酸素,二酸化炭素などを運んでいること。
ア 水溶液には,気体が溶けているものがあること。
イ 水溶液には,酸性,アルカリ性及び中性のものがあること。
ウ 水溶液には,金属を溶かすものがあること。
(2) 物が炎を上げて燃える様子を調べ,炎は気体が燃えるときにできることなどを理解させる。
ア 炎は,部分によって色,明るさ及び温度に違いがあること。
イ 炎は,気体が燃えるときにできること。
ウ 木片を空気の入れ替わらないところで熱すると,燃える気体などが出て,後に木炭が残ること。
(3) 物を温めたときの変化を調べ,物の温まり方を理解させる。
ア 金属を熱すると,熱は,熱したところから順に伝わっていくこと。
イ 熱の伝わりやすい物と伝わりにくい物とがあること。
ウ 空気や水が温まるのは,体積の変化によって起こる空気や水の移動によること。
エ 物は,温度によって体積は変わるが,全体の重さは変わらないこと。
(4) てこを使って,力の加わる位置及び大きさを調べ,てこの原理及びそれを利用した道具について理解させる。
ア てこを使うと小さい力で重い物を動かすことができること。
イ 力の大きさは,物の重さやばねの伸びで測れること。
ウ おもりの位置を変えてもその重さほ変わらないが,てこを傾けるはたらきは変わること。
エ てこを傾ける左右のほたらきが等しいときに,てこはつり合うこと。
オ 力の方向や大きさを変える道具には,てこの原理を利用しているものがあること。
(5) 電磁石を作り,磁力及び極について調べ,電磁石のはたらきを理解させる。
ア 電流の流れている巻き線は,鉄心を磁化するはたらきがあること。
イ 電流の流れる方向が変わると,電磁石の極が変わること。
ウ 電磁石の強さは,雷流の強さ,導線の巻き数などによって違うこと。
エ 電流の強さは,電流計で測れること。
ア 気温は,日光によって温められる地面の温度に関係があり,それらの変化の様子は似ていること。
イ 季節によって気温が違うのは,太陽の高さや昼間の時間の長さに関係があること。
(2) 地層の重なり方及び地層をつくる物の様子を調べ,地層のでき方は,水のはたらきなどに関係があることを理解させる。
ア 土地には,層状になっているところがあること。
イ 地層は,その重なり方や厚さ及び含まれている物に特徴があること。
ウ 地層には,広がりがあること。
エ 地下水は,地層のつくりと関係があること。
オ 地層は,水のはたらきなどによってできること。
第3 指導計画の作成と各学年にわたる内容の取扱い
1 低学年の指導に当たっては,児童が見たり探したり育てたり作ったりするなどの活動を通して自然の特徴をとらえるようにするとともに,特に言語,数量,造形などに関する諸活動との関連を図り,指導の効果を高めるように配慮する必要がある。
2 観察,実験,栽培,飼育及び製作についての指導に当たっては,事故の防止に留意する必要がある。
3 生物,天気,川,地層などについての指導に当たっては,野外に出かけ,地域の自然に触れさせることを重視するとともに,自然の保護に関心をもたせる必要がある。