第1 目 標
社会生活についての基礎的理解を図り,我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を育て,民主的,平和的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う。
第2 各学年の目標及び内容
(1) 自分たちの生活を支えている人々の仕事や施設などのはたらきに気付かせ,社会の一員としての意識をもつようにさせる。
(2) 日常生活で経験する社会的事象を具体的に観察させ,効果的に表現させる。
2 内 容
(1) 学校生活を支えている先生やその他の人々の仕事の様子に気付かせる。
(2) 学校や公園にある道具や施設を人々が共用していることに気付かせる。
(3) 学校やその周りにある通学路の位置を確認し,道路の安全施設のはたらきや安全を守る人々の仕事の様子に気付かせる。
(4) 家庭生活を支えている家族の仕事の様子に気付かせるとともに,日常生活で使われている水,電気,ガスなどの大切なはたらきに気付かせる。
(5) 自分たちの成長に伴って家庭生活の様子が変わってきたことや,季節の移り変わりに適応した生活の工夫があることに気付かせる。
(1) 職業としての仕事に携わっている人々はそれぞれ工夫していることや,それらの仕事は自分たちの生活にとって必要なものであることに気付かせる。
(2) 職業としての仕事を具体的に観察させ,効果的に表現させる。
2 内 容
(1) 日常生活に見られる職業としての仕事を整理するとともに,小売店の人々は客が品物を買いやすいように販売の上でいろいろ工夫していることに気付かせる。
(2) 農作物を栽培する人々や水産物を育成したり採取したりする人々は自然の条件を生かす工夫や災害を防ぐ努力をしていることに気付かせる。
(3) 工場で働く人々は原料を加工して製品を作るために仕事を分担しながら協力していることに気付かせる。
(4) 乗り物で働く人々は乗り物の出発や到着の時刻を守りながら乗客の安全な輸送に努めていることに気付かせる。
(5) 郵便物の集配に携わる人々は郵便物を確実に早く届けるように努めていることに気付かせる。
(1) 地域に見られる人々の生活は自然環境と密接な結び付きの上に営まれ,地域によって生産活動や消費生活に特色があることや,人々の生活の様子は歴史的に変化してきたことを理解させ,地域社会の成員としての自覚を育てる。
(2) 地域社会における社会的事象を具体的に観察させるとともに,地図その他の具体的資料を効果的に活用させる。
2 内 容
(1) 自分たちの市(町,村)を中心にした地域における特徴のある地形,土地利用及び集落の分布を取り上げ,人々の生活と自然環境との関係を理解させるとともに,県(都,道,府)内における自分たちの市(町,村)の地理的位置を確認させ,県(都,道,府)全体としての地形の特徴などに気付かせる。
(2) 自分たちの市(町,村)の重要な生産活動を,自然環境との関係,原料や資源の利用及び生産品の販売や輸送の面から理解させ,生産活動を通しての他地域との結び付きについて考えさせる。
(3) 自分たちの市(町,村)の商店街のはたらきを,商店街としての販売の工夫や協力,客の利用の様子及び交通の条件の面から理解させ,消費生活を通しての他地域との結び付きについて考えさせる。
(4) 自分たちの市(町,村)と比べて自然条件が異なる地域を県(都,道,府)内から選び,その地域における生活の様子を理解させるとともに,自分たちの市(町,村)の特色について考えさせる。
(5) 自分たちの市(町,村)の生活が変わってきた様子を具体的事例を通して理解させるとともに,地域社会の文化財や行事に関心をもたせる。
(1) 地域社会では,人々の生活の安全や向上を図るための協力的活動や計画的活動が行われていること及び過去においても先人によるこのような働きがみられたことを理解させ,地域社会の発展を願う態度を育てる。
(2) 自然条件からみて国内の特色ある地域について,人々が自然環境に適応しながら生活していることを理解させ,広い視野から地域社会の生活を考えようとする態度を育てる。
(3) 地域社会における社会的事象を具体的に観察させるとともに,具体的資料の特徴を考えながら効果的に活用させる。
2 内 容
(1) 人々の健康で安全な生活を維持していくためには,地域の人々や地域社会相互の協力体制か必要であることを理解させる。
イ 火災,風水害などの災害から人々の安全を守るために関係の機関が相互に連絡を取り合いながら対策を立て,災害の場合には緊急に対処していることを理解すること。
イ 先人による地域の開発や保全の具体的事例を取り上げ,先人の働きを当時の人々の生活や用いた技術及び土地の条件の面から理解すること。
(1) 我が国の食料生産及び工業生産の特色並びにそれらの生産活動と国民生活との関連について理解させる。
(2) 地理的環境としての国土の特色について理解させるとともに,環境の保全や資源の有効な利用についての関心を深めさせる。
(3) 国土の自然環境や社会的事象についての基礎的資料を効果的に活用させる。
2 内 容
(1) 我が国の農業や水産業の現状にふれさせ,それらの産業に従事している人々が自然環境との関係の上に生産を高める工夫をしていることを理解させるとともに,国民生活を支える食料生産の意味について考えさせる。
イ 我が国の水産業について,漁場の特色を理解するとともに,漁業の盛んな地域の具体的事例を取り上げ,人々が漁場の保全,漁業技術の改善などに努めてしることや,国民の食生活の上で水産資源の保護及び育成が大切であることを理解すること。
イ 伝統的な技術を生かした工業について,人々が原料や土地の条件を生かしながら生産していることを理解し,生産する人々の技術や製品のもつ意味について考えること。
(1) 国家・社会の発展に貢献した先人の業績や優れた文化遺産についての関心と理解を深め,我が国の歴史や伝統を大切にしようとする態度を育てる。
(2) 現在の国民生活の安定及び向上にとって重要な政治のはたらきを理解させるとともに,我が国が国際社会の中で占めている役割に気付き,世界の中の日本人としての自覚をもつようにさせる。
(3) 我が国の歴史や国民生活に関する基礎的資料を効果的に活用させる。
2 内 容
(1) 身近な地域や国土には,歴史的な遺跡その他の文化財が残っていることに気付かせ,自分たちの生活の歴史的背景に関心をもたせるようにする。
(2) 大和朝廷が国土を統一してから近代に至るまでの千数百年の歴史は,政治の中心地によって飛烏(あすか),奈良(なら),平安,鎌倉(かまくら),室町,江戸などに分けられていることや,世の中の様子によっても幾つかの時期に分けられることに気付かせるとともに,歴史上の主な事象について,人物の働きや代表的な文化遺産を中心に理解させる。
イ 大陸文化の摂取,大化の改新による政治の組織の確立及び奈良や平安の都における政治や文化の様子について,人物の働きや文化遺産を中心に理解すること。
ウ 源平の戦い,鎌倉幕府の政治,元との戦いなどを通して武土が勢力をもつに至ったころの様子及び鉄砲やキリスト教の伝来,織田(おだ)・豊臣(とよとみ)の全国の統一などの様子について,人物の働きや文化遺産を中心に理解すること。
エ 江戸幕府の成立,鎖国,学問や文化の興隆,政治の改革,産業や交通の発達などの様子について,人物の働きや文化遺産を中心に理解すること。
オ 開国以後,廃藩置県,四民平等などの明治維新の諸改革,国会の開設,日清(につしん)・日露の戦争,条約改正などを経て次第に国力が充実し,第一次世界大戦,第二次世界大戦などを経て民主的な国家として今日に至っていることについて,我が国の近代化に尽くした人物の働きを中心に理解すること。
イ 国民が選挙によって選んだ代表者による議会政治の意味を国民主権と関連付けて理解するとともに,日本国憲法では,国家の理想,天皇の地位,国民としての権利及び義務などの重要な事柄が定められていること,並びにそれらはいずれも国家や国民生活の基本であることを理解すること。
ウ 我が国が世界の国々と貿易の上で深いつながりをもっていることを具体的事例を通して理解し,地球儀を用いて,その主な国々の位置を確認するとともに,他国との協調を図るためには正しい国際理解が必要であることに気付くこと。
エ 平和な国際社会の実現のために努力している国際連合のはたらきや,我が国が世界において重要な役割を果たしていることに気付くこと。
(1) 内容の(2)については,歴史的事項を網羅(もうら)的に取り扱うことのないように留意するとともに,イ,ウ,エ及びオにおいて取り上げる歴史上の人物や文化遺産については,児童の興味や関心を重視し,その人物の働きや文化遺産を通じて,内容が具体的に理解できるようなものに精選する必要がある。
(2) 内容の(3)については,児童に理解しやすい国民生活の中の具体例を中心にして取り扱うようにする。その際,イに示す国民としての権利及び義務については,参政権,納税の義務などを取り上げる必要がある。
(3) 内容の(3)のウ及びエについては,観念的,抽象的な指導に流れることのないように留意するとともに,これらの内容の取扱いにおいては,我が国や諸外国の国旗に対する関心やこれを尊重する態度を育てるように配慮する必要がある。
第3 指導計画の作成と各学年にわたる内容の取扱い
1 低学年の指導に当たっては,学校,家庭など身近な社会生活に関心をもち,人々の働きや環境を具体的に観察し,効果的に表現する学習活動を行い社会生活についての理解を深めるための基礎を養うとともに特に言語,自然,造形などに関する諸活動との関連を図り,指導の効果を高めるように配慮する必要がある。
2 第4学年及び第5学年の指導計画の作成に当たっては,前学年までの学習を発展させ,当該学年の目標を効果的に達成させるために,それぞれの学年について内容の(1)及び(2)を取り扱った後に内容の(3)を取り扱うことが望ましい。