第3章 養護・訓練
第1款 目 標
生徒の心身の障害の状態を改善し,また克服するために必要な知識,技能,態度および習慣を養い,もって心身の調和的発達の基盤をつちかう。
第2款 内 容
A 心身の適応
2 心身の障書や環境に基づく心理的不適応の改善に関すること。
3 障書を克服する意欲の向上に関すること。
B 感覚機能の向上
2 感覚の補助的手段の活用に関すること。
3 認知能力の向上に関すること。
C 運動機能の向上
2 生活の基本動作の習得および改善に関すること。
3 作業の基本動作の習得および改善に関すること。
D 意思の伝達
2 言語の形成能力の向上に関すること。
3 言語の表出技能の習得および改善に関すること。
第3款 指導計画の作成と内容の取り扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項について配慮するものとする。
(2) 各教科ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動における指導と密接な関連を保つようにし,組織的,計画的,具体的に指導できるようにすること。
(3) 生徒の心身の障害の状態とその適応の状態により,専門の医師およびその他の専門家と密接な連絡をとり,適切な指導ができるようにすること。
2 第2款の内容に示す事項の取り扱いに当たっては,下記(1)および(2)に示す内容ならびに肢体に機能の障害を有する生徒に対しては(3)に示す内容のまとまりに組織して指導計画を作成し指導を行なうことが望ましい。
イ 健康状態の回復,改善を図るために必要な生活様式の理解
ウ 健康状態の回復,改善を図るために必要な諸活動
(2) 内容のAの2および3を中心として,次の内容のまとまり(以下「心理適応」という。)を組織し,計画すること。
イ 健康状態の回復,改善の意欲を高め,障害を克服しようとする習慣,態度の育成
(3) 内容のCの1,2および3を中心として,次の内容のまとまり(以下「肢体機能の訓練」という。)を組織し,計画すること。
イ 残存機能の維持向上
ウ 代償機能の開発
工 生活の基本動作の確立
オ 作業の基本動作の確立
3 上記2に示す養護,心理適応および肢体機能の訓練の指導計画の作成に当たっては,特に次の事項について配慮するものとする。
(2) 養護,心理適応および肢体機能の訓練には,生徒の心身の障害の状態とその適応の状態ならびに能力・適性等に応じて,第2款の内容に示すBおよびDのそれぞれから必要とする具体的事項を加えること。
4 内容の事項の到達目標は,個々の生徒の心身の障害の状態および能力等をふまえて設定するが,究極的には社会生活に参加できるようにすることをねらいとすることが必要である。
5 指導に当たっては,次の事項について配慮するものとする。
(2) 個々の生徒の心身の障害の状態および能力・適性等に応じた具体的な目標を明確にし,生徒みずからの意志による意欲的な活動を促すようにすること。
(3) 各種の教材・教具を活用するとともに指導法をくふうして指導の効果を高め,常にその効果を確かめ,指導の計画や方法の改善に努めること。
(4) 日常の健康観察や検査等に基づき,常に心身の状態を把握のうえ適切な指導を行なうこと。
6 養護・訓練の時間における指導は,専門的な知識,技能を有する教師が中心となって担当し,全教師の協力のもとに,効果的な指導を行なうようにすることが必要である。