第1章 総  則

第1節 教育目標

 高等部における教育については,学校教育法第71条に定める目的を実現するために,生徒の心身の障害の状態および能力・適性・進路等をじゅうぶん考慮して,次に掲げる目標の達成に努めなければならない。

 

第2節 教育課程の編成

第1款 一般方針

 学校においては,法令およびこの章以下に示すところに従い,生徒の人間として調和のとれた育成を目ざし,その肢体不自由の状態および能力・適性・進路等ならびに学校や地域の実態をじゅうぶん考慮し,学科の特色を生かした教育ができるように配慮して,適切な教育課程を編成するものとする。

 

第2款 各教科・科目の標準単位数

 学校教育法施行規則別表第6に定める各教科に属する科目(以下「各教科・科目」という。)の標準単位数は,次の表のとおりとする。

 この表の単位については,1単位時間は50分を標準とし,35単位時間の授業を1単位として計算するものとする。
 
各  教  科
各教科に属する科目
標 準

単位数
各  教  科
各教科に属する科目
標 準
単位数
国   語
現 代 国 語
芸   術
書  道  Ⅱ
古 典 Ⅰ 甲
書  道  Ⅲ
古 典 Ⅰ 乙
外 国 語
初 級 英 語
古  典  Ⅱ
英  語  A
社   会
倫 理・社 会
英  語  B
15
政 治・経 済
英 語 会 話
日  本  史
ド イ ツ 語
15
世  界  史
フ ラ ン ス 語
15
地  理  A
外国語に関するその他の科目  
地  理  B
家   庭
家 庭 一 般
数   学
数 学 一 般
被  服  Ⅰ
2〜6
数  学  Ⅰ
被  服  Ⅱ
2〜6
数 学 Ⅱ A
食  物  Ⅰ
2〜6
数 学 Ⅱ B
食  物  Ⅱ
2〜6
数  学  Ⅲ
保   育
2〜6
応 用 数 学
家 庭 経 営
2〜6
理   科
基 礎 理 科
被 服 材 料
2〜6
物  理  Ⅰ
被 服 管 理
2〜6
物  理  Ⅱ
服飾 デザイン
2〜16
化  学  Ⅰ
服  飾  史
2〜6
化  学  Ⅱ
被 服 製 作
6〜20
生  物  Ⅰ
手   芸
2〜10
生  物  Ⅱ
栄   養
2〜6
地  学  Ⅰ
食   品
2〜6
地  学  Ⅱ
食 品 衛 生
2〜6
保健体育
体   育
7〜9
食 物 管 理
2〜6
保   健
献 立・調 理
6〜20
芸   術
音  楽  Ⅰ
集 団 給 食
2〜6
音  楽  Ⅱ
公 衆 衛 生
2〜6
音  楽  Ⅲ
小 児 保 健
4〜12
美  術  Ⅰ
児 童 心 理
2〜6
美  術  Ⅱ
児 童 福 祉
2〜4
美  術  Ⅲ
保 育 原 理
2〜6
工  芸  Ⅰ
保 育 技 術
8〜20
工  芸  Ⅱ
家庭に関するその他の科目  
工  芸  Ⅲ
その他特に必要な教科

当該教科に関する科目

当該教科に関する科目  
書  道  Ⅰ

備  考

 

第3款 各教科・科目の履修

1 次の各教科・科目を第4節に示す重複障害者等を除くすべての生徒に履修させるものとする。

2 家庭のうち「家庭一般」は,第4節に示す重複障害者等を除くすべての女子に履修させるものとする。

3 職業教育を主とする学科およびその他専門教育を主とする学科を置く場合は,専門教育に関する各教科・科目について,すべての生徒に履修させる単位数は,35単位を下らないようにするものとする。

 

第4款 養護・訓練の履修

1 養護・訓練は,心身の適応,感覚機能の向上,運動機能の向上および意思の伝達から成るものとする。

2 養護・訓練に充てる授業時数は,週当たり3単位時間(1単位時間は,50分を標準とする。)を標準とするが,生徒の心身の障害の状態に応じて適切に定めるものとする。

 

第5款 各教科および養護・訓練以外の教育活動の履修

1 各教科および養護・訓練以外の教育活動は,ホームルーム,生徒会活動,クラブ活動および学校行事から成るものとする。

2 各教科および養護・訓練以外の教育活動に充てる授業時数は,次のとおりとする。

 

第6款 単位の修得および卒業の認定

1 学校は,生徒が学校の定める指導計画に従って各教科・科目を履修し,その成果が教科および科目の目標からみて満足できると認められる場合には,その各教科・科目について履修した単位を修得したことを認定しなければならない。この場合,1科目を2以上の学年にわたって分割履修したときは,学年ごとにその各教科・科目について履修した単位を修得したことを認定するものとする。

2 療養中の生徒について通信による教育を一部行なった場合の単位の修得の認定に当たっては,第2節および第3節(第1款の1を除く。)の定めるところによるほか,通信による添削指導1回を5単位時間と換算し,面接による指導を1単位当たり1回行なうことを標準とする。なお,試験は,原則として,1単位当たり1回以上行なうことが望ましい。

3 学校においては,卒業までに履修させる各教科・科目およびその単位数ならびに養護・訓練,各教科および養護・訓練以外の教育活動とそれらの授業時数に関する事項を定めるものとする。この場合,各教科・科目の単位数の計は,第2節第3款に掲げる各教科・科目の単位数を含めて85単位以上とする。

4 学校においては,卒業までに修得させる各教科・科目およびその単位数を定め,校長は,それらの各教科・科目およびその単位を修得した者で,養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動の成果がそれらの目標からみて満足できると認められるものについて,高等部の全課程の修了を認定するものとする。この場合,各教科・科目について修得させる単位数の計は,85単位以上とする。

 

第3節 教育課程編成に当たって配慮すべき事項等

第1款 教育課程編成に当たって配慮すべき事項

 教育課程を編成するに当たっては,次の事項に配慮するものとする。

1 一般的事項

2 普通科において職業に関する各教科・科目を履修させる場合に配慮すべき事項  

第2款 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項

1 学校においては,各教科・科目,養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動について相互の関連を図り,全体として調和のとれた具体的な指導計画を作成し,発展的,系統的な指導を行なうものとする。

 なお,指導計画の作成に当たっては,この章および第2章以下に示す各教科・科目,養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動の指導計画の作成に関する事項にじゅうぶん留意するものとする。

2 第2章に示す各教科・科目の内容は,特に示す場合を除き標準単位数に基づいて示したものであるが,学校において標準単位数をこえて単位数を配当する場合には,第2章に示した事項にいっそう習熟させることをたてまえとする。

3 学校においては,第2章以下に示していない事項を加えて指導することもさしつかえないが,その場合には,第2章以下に示している教科および科目,養護・訓練または各教科および養護・訓練以外の教育活動の目標や内容の趣旨を逸脱したり,生徒の負担過重となることのないようにするものとする。

4 第2章に示す各教科・科目の内容に掲げる事項の順序は,特に示す場合を除き,指導の順序を示すものではないので,学校においては各事項のまとめ方や順序にくふうを加え,効果的な指導を行なうものとする。

5 第2章以下に示す各教科・科目,養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動の内容に関する事項の指導に当たっては,特に示す場合のほか,それぞれの目標および内容の趣旨を逸脱しない範囲内で,生徒の実態を考慮して,重点のおき方に適切なくふうを加え,指導の効果を高めるように努めるものとする。

6 以上のほか,次の事項について配慮するものとする。

 

第3款 道徳教育

 学校における道徳教育は,学校の教育活動全体を通じて行なうことを基本とする。したがって,各教科・科目,養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動においてそれぞれの特質に応ずる適切な指導を行なわなければならない。

 道徳教育の目標は,教育基本法および学校教育法に定められた教育の根本精神に基づく。すなわち,道徳教育は,人間尊重の精神を家庭,学校,その他社会における具体的な生活の中に生かし,個性豊かな文化の創造と民主的な社会および国家の発展に努め,進んで平和的な国際社会に貢献できる日本人を育成するため,その基盤としての道徳性を養うことを目標とする。

 その際,生徒の心身の発達に即応して,特に,自律の精神や社会連帯の精神および責任を重んずる態度や差別のないよりよい社会を実現しようとする態度を養うための指導が適切に行なわれるようにしなければならない。

 

第4款 養護・訓練

 心身の障害に基づく種々の困難を克服させ,社会によりよく適応していく資質を養うため,養護・訓練に関する指導は,養護・訓練の時間はもちろん,学校の教育活動全体を涌じて適切に行なうものとする。

 特に,養護・訓練の時間における指導は,各教科・科目ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動と密接な関連を保ち,個々の生徒の心身の障害の状態や発達段階に即して行なうよう配慮しなければならない。

 

第5款 体  育

 健康で安全な生活を営むのに必要な習慣や態度を養い,心身の調和的発達を図るため,体育に関する指導については,生徒の心身の障害の状態や発達段階に即して,学校の教育活動全体を通じて適切に行なうものとする。

 特に,体力の向上については,体育および保健の科目の時間はもちろん養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動においても,じゅうぶん指導するよう配慮しなければならない。

 

第4節 重複障害者等に関する特例

1 肢体不自由と他の心身の障害をあわせ有する生徒(以下「重複障害者」という。)については,各教科・科目,養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動の目標および内容に関する事項の一部を,あわせ有する障害の種類に対応する養護学校(精神薄弱教育)高等部学習指導要領,養護学校(病弱教育)高等部学習指導要領,盲学校高等部学習指導要領または聾(ろう)学校高等部学習指導要領に示す各教科・科目,養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動の目標および内容に関する事項の一部によって代えることができる。

 この場合,卒業の認定に当たって,校長は,あわせ有する障害の種類に対応するそれぞれの学習指導要領に示してある教育活動の履修の成果がその目標からみて満足できると認められるものについて高等部の全課程の修了を認定するものとする。

2 重複障害者のうち,脳性まひ等の生徒に係る各教科について,特に必要がある場合は,第2節第1款および第2款に示すところにかかわらず,第2章第3節に示すところによるものとする。

 この場合,卒業の認定に当たって,校長は,各教科について35単位時間を1単位として計算して85単位以上履修した者で,養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動の成果がそれらの目標からみて満足できると認められるものについて,高等部の全課程の修了を認定するものとする。

3 重複障害者のうち,学習が著しく困難な生徒については,各教科・科目ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動の目標および内容に関する事項の一部を欠き,または各教科・科目に代えて,養護・訓練を主として指導を行なうことができる。

 この場合,卒業の認定に当たっては,校長は,各教科・科目およびそれに代えて履修した養護・訓練について,35単位時間を1単位として計算して85単位以上履修した者で,全体の履修の成果がその目標からみて満足できると認められるものについて,高等部の全課程の修了を認定するものとする。

4 学校において特に必要がある場合には,心身の障害の状態により学習が困難な重複障害者以外の生徒について,各教科・科目の目標および内容に関する事項の一部を欠き,またはその一部を,各教科・科目に相当する養護学校(肢体不自由教育)中学部の各教科の目標および内容に関する事項の一部によって代えることができる。

 この場合,卒業の認定に当たって,校長は,各教科・科目,養護・訓練ならびに各教科および養護・訓練以外の教育活動の履修の成果がそれらの目標からみて満足できると認められるものについて,高等部の全課程の修了を認定するものとする。