第1節 各教科の目標および各教科・科目の目標と内容
各教科の目標および各教科・科目の目標と内容については,この章の第3節から第6節までに示すもののほか,高等学校学習指導要領第2章第1節から第10節まで,および第16節に示すところに準ずるものとする。
第2節 各教科・科目に関する指導計画の作成と内容の取り扱い
各教科・科目に関する指導計画の作成と内容の取り扱いについては,この章の第3節から第6節までに示すものならびに高等学校学習指導要領第2章第1節から第10節まで,および第16節に示すところに準ずるもののほか,次に示すところによるものとする。
第1 国 語
2 「現代国語」の内容Aの聞くこと,話すことの指導においては,特に養護・訓練における指導との関連を図るとともに,目的や場に応じて聞き取ること,語句を豊かにし,ことばづかいや正しい発音に留意して話すことなどの適切な活動を選定し,聞く,話すことの技能の習熟を図るようにすることがたいせつである。
3 「現代国語」の内容Bの読むこと,およびCの書くことの指導に当たっては,生徒の障害の実態に応じて適切な授業時数を配当するようにし,文章の読解および構文の能力に重点をおくように配慮することが必要である。
4 指導計両の作成に当たっては,国語科全体としての調和を図り,「現代国語」の指導と「古典」の指導を密接に関連させて取り扱うようにすることが必要である。
古典の教材は,古典として基本的で価値が高く,生徒の実態に即応した親しみやすい作品を精選し,適切な内容を取りあげるようにすることがたいせつである。
第2 社 会
また,指導に当たっては,難解な思想や論理については,これを平易に解説したりして,理解を容易にさせるようにくふうすることがたいせつである。
2 「政治・経済」については.職業に関する教科・科目との関連に留意することが必要である。
また,指導に当たっては,単に政治・経済に関する知識の習得だけに終わることなく,社会生活に対する望ましい態度や健全な判断力が養われるように留意することが必要である。
3 「世界史」については,「日本史」との関連を密にし,重複を省くとともに,細かな内容や時代区分にとらわれて,大きな時代の流れや,それぞれの時代の社会の特色を見失なわせないように留意することが必要である。
4 「地理A」,「地理B」については,中学部の「社会」,特に地理的分野の学習の成果を活用するとともに,高等部の理科の「地学」や職業に関する教科・科目との関連を図ることが必要である。
5 社会科の各科目の内容の指導に当たっては,生徒の障害の状態を考慮し,特に各科目の内容相互の関連を図るとともに,基本的事項に重点をおくようにすることが必要である。
また,各種の視聴覚教材や資料を活用し,見学,調査などを行なって,生活経験を豊かにし,理解を深めるようにすることがたいせつである。
第3 数 学
また,指導内容の選択や配列については,生徒の個人差に留意し,実情に即して適切な事項を選定することが必要である。
2 数学の各科目における概念,原理・法則の理解や処理のしかたの指導に当たっては,具体的な事象との関連を明らかにして理解を深めさせるようにすることがたいせつである。特に集合,確率および統計については,単なる形式的な取り扱いにかたよらないように留意することが必要である。
3 数学の各科目の指導計画の作成に当たっては,普通科あるいは職業教育を主とする学科のねらいに応じた内容を重点的に取り上げることが必要である。特に職業教育を主とする学科においては,職業に関する教科・科目と関連させ,できるかぎり具体的経験を通して取り扱うように配慮することがたいせつである。
第4 理 科
2 観察,実験および野外調査の指導に当たっては,特に聴覚の障害に起因する事故の防止について,じゅうぶん指導するとともに,危険予防の能力と習慣を身につけさせることが必要である。
3 機械・器具の取り扱いについては,指導する事項との関連を図り,操作の意味を考えさせるように指導することがたいせつである。
4 理科の各科目の指導に当たっての数的処理については,特に,数学科との関連を考慮し,事象に即して平易な数式を用いることができるように指導することが必要である。
第5 保健体育
また,試合中における一時中止の合図を用意するなど,危険防止にじゅうぶん配慮することが必要である。
2 各科目の指導に当たっては,視聴覚教材等をじゅうぶん活用し,実習・調査・見学なども加え,学習の効果があがるようにすることが必要である。
3 「保健」における健康・安全の学習においては,生徒の日常の生活経験をもとにして,学習の効果があがるようにすることがたいせつである。
4 「保健」における遺伝や聾(ろう)の取り扱いについては,生徒の心身の障害の状態および能力をじゅうぶん考慮して,慎重に取り扱うようする誰が必要である。
第6 芸 術
旋律や和声については,生徒の聴覚障害の状態に応じて,無理のないよう取り扱うこと。また,生徒の能力に応じて得意な領域をいっそう伸ばすように配慮することが必要である。
2 「美術」および「工芸」の指導に当たっては,美術・工芸に関する施設,工場,展覧会および美術館の見学などの機会を多くするようにすることが必要である。
また,工芸に関する各種の造形品,図版,スライドなどの資料を精選し,これらを効果的に活用するように配慮することがたいせつである。
3 「書道」の指導に当たっては.臨書と創作,現代の書と古名跡,芸術作品と実用文書などの指導の比重を,目的に応じて適切に配慮することが必要である。
臨書の教材は,現代の書ならびに古名跡の代表的な楷書,行書,草書およびかなとし,平易な隷書を加えるなど,生徒の実態に応じて適切に行なうことが必要である。
第7 外 国 語
2 音声の指導に当たっては,補聴器その他の教育機器の活用を図るとともに,その補助的手段として国際音声記号のうち必要なものを提示するなどして,発音に関する理解を深めるようにすることが望ましい。なお発音の正確さについて過度の要求をしないように配慮することが必要である。
3 読むことの領域においては,国語の指導と関連させ,特に英和辞書の引き方等について指導の徹底を図るようにすることが必要である。
4 言語材料は,既習のもののうち,運用度の高いものについて,反復練習してじゅうぶん習熟させながら,少しずつ新しいものを加えていくように配慮することがたいせつである。
第8 家 庭
2 「被服製作」の内容の(1)および(2)における実験・実習に関する指導に当たっては,これらに関する材料,用具,機械などの取り扱い方および調整,保全などについての基礎的な事項を理解させ,実際の作業における事故の予防に留意させることが必要である。
3 「被服材料」の内容ならびに「被服製作」の内容の(1)および(2)における実験・実習に関する指導に当たっては,新しく開発された材料,用具,機械などに関する知識およびそれらの取り扱い方と技術に関する事項も適宜加えて,指導するように配慮することがたいせつである。
4 家庭生活または職業生活における技術,態度および習慣を養うために,生徒の実態に応じ,必要な科目を重点的に選定し,中心となる内容を多く履修させるようにすることがたいせつである。
第3節 工 業
第1款 目 標
2 工業技術の科学的根拠を理解させ,その改善進歩を図る能力と態度を養う。
3 工業の社会的・経済的意義を理解させ,共同して責任ある行動をする態度と勤労に対する正しい信念とをつちかい,工業の発展を図る態度を養う。
第2款 各 科 目
第1 工芸実習
産業工芸に関する各科目との有機的な関連のもとに,実際の作業を通して,木材工芸,金属工芸のそれぞれに関する技術の基礎を総合的に習得させ,応用と創造の能力,および望ましい態度を養う。
2 内 容
木材工芸
(5) 金属・ガラス・プラスチック加工 (6) 総合製作 (7) 材料試験
(8) 生産管理 (9) 塗装 (10) その他
(6) 機械加工 (7) 総合製作 (8) 溶接 (9) 生産管理 (10) その他
(2) 木材工芸,金属工芸のいずれかを選択させ,その内容を履修させるものとする。
(3) 「工芸製図」,「工芸材料」,「工芸工作」,「工芸計画」および「塗装実習・材料」との関連に特に留意し,また地域の実態や生徒の進路等を考慮して,指導内容を定めることが必要である。
(4) 内容の木材工芸(6)については,小工芸品,家具,建具など,金属工芸(7)については,日用生活器具,機器,模型,装身具等の製作を取り扱うものとする。
第2 工芸製図
製図通則および産業工芸関係の規格を理解させ,工業意匠および家具,工芸品などに関する図面を正しく読み,これらを適正に表現する能力を養う。
2 内 容
(5) 生活機器製図 (6) 工業機器製図 (7) 家具製図 (8) 室内製図
(9) 建築製図 (10) 窯炉製図 (11) その他
(2) 「工芸材料」,「工芸工作」および「工芸計画」との関連に留意し,地域の実態や生徒の進路等を考慮して,指導内容を定めることが必要である。
(3) トレース,現寸図,構造図,工作図などの図示は機会あるごとに練習させることがたいせつである。
(4) デザインについては,常に関心をもたせ,スケッチ,透視図,実測,摸写などのほか,材料の取り扱い方および構造についても研究させることが必要である。
第3 工芸材料
木材工芸および金属工芸に使用される諸材料の性質,製法,規格,試験法などを理解させ,目的に応じて材料を適切に選択し,合理的,経済的に活用する能力を養う。
2 内 容
木工材料
(5) 繊維類 (6) 付帯材料 (7) 材料試験 (8) その他
(6) 特殊金属 (7) 材料試験 (8) その他
(2) 材料の物理的,化学的な諸性質およびそれぞれの材料の審美的な特質について理解させ,適切に材料を利用する能力を養う事がたいせつである。
(3) 実験,実習,調査,見学などにより,材料に関する知識を深めるようにすることが必要である。
(4) 新しい材料については,適宜その性質や取り扱いを理解させるようにすることが必要である。
第4 工芸工作
工芸材料に関する基礎的な加工技術について理解させ,これをそれぞれの生産に総合的に応用する能力を養う。
2 内 容
木材工芸
(5) 金属・ガラス・プラスチック加工 (6) 家具構造 (7) 建具構造
(8) 室内構造 (9) その他
(6) 機械加工 (7) 表面処理 (8) プレス加工 (9) その他
(2) 「工芸実習」,「工芸材料」,「工芸計画」などの科目との有機的な関連のもとに指導することがたいせつである。
(3) 新しい加工技術について適宜理解させることが必要である。
(4) 加工技術および生産管理についても理解させ,「工芸実習」との関連をもたせて指導することが必要である。
第5 工 芸 史
各国各時代における工芸についてその推移を知らせ,おのおのの特色を理解させるとともに,現代工芸と将来の工芸の正しいあり方の考察に資する能力を養うことがたいせつである。
2 内 容
(5) その他
(2) 単位数により,内容を適切に選択して指導計画を立てることが必要である。
(3) 内容の指導に当たっては,できるだけ資料を活用し,指導の効果を高めるようにすることがたいせつである。
第6 工 芸 計 画
産業工芸に関する工芸品,家具,室内装飾などについて,基礎的な要素を理解させ,これらを合理的,意匠的に計画し,設計できる能力を養う。
2 内 容
(5) 生活機器計画 (6) 家具計画 (7) 室内計画 (8) 展示計画
(9) その他
(2) 「工芸実習」,「工芸製図」,「工芸材料」,「工芸工作」および「陶芸実習」との密接な関連のもとに指導することがたいせつである。
(3) 実験,演習,見学,模型製作などを加えて,総合的に指導することがたいせつである。
第7 絵 画
美術の理解を深めるとともに,形と色に対する感覚を養い,描画の技法を設計製図に応用できる能力を養う。
2 内 容
(6) 版画
(2) デザインの学習においては,コンテ・パステル・水彩画など,必要な内容を含めて指導するほか,抽象絵画なども取り扱うことが必要である。
(3) 版画の内容としては,木版・石版・銅版などを取り扱うことが必要である。
第8 彫 塑
彫塑に関する美的感受性をみがき,客観的・現実的表現や主観的・抽象的表現の技術を体得させて,造形意匠技術者に必要な創造の能力,態度および習慣を養う。
2 内 容
(3) 抽象彫塑その他
モチーフ・テーマおよび各種表現材料・技法を的確に選択し,特に関係科目との関連を密にし,できる限り鑑賞および模写・模造を課すことが必要である。
第9 塗装実習・材料
各種塗装の技術を習得させるとともに,塗料の組成・性質・用途・塗装法を理解させ,これらを科学的,技術的に考察して,適切に選択し応用する能力を養う。
2 内 容
(5) 塗装用具・機器 (6) 木材塗装 (7) 金属塗装 (8) その他
(2) 塗装技術中心に偏することなく,各種塗料の塗膜の物理的・化学的性質の考察をも加えることが必要である。
第10 陶 芸 実 習
陶磁器の製造に関する知識と技術を実際の作業を通して習得させ,応用と創造の能力,態度および習慣を養う。
2 内 容
(4) 絵付け(筆画・型紙印刷・銅版印刷・石版印刷) (5) 施釉(せゆう)
(6) 焼成〔素焼き・締め焼き・本焼き・釉焼き(くすりやき)・楽焼き・上絵焼付け〕
(7) 上絵付け (8) その他
(2) 各科目との関連に留意し,発展応用の能力を養うように指導することが必要である。
第11 陶芸原料
各種陶磁器原料の組成・性質および処理方法を理解させ,陶磁器製造の各工程における原料の選定・利用改善などに関する応用能力を養う。
2 内 容
(4) 窯の(かま)の構築材 (5) 焼成燃料 (6) その他の原料
(2) それぞれの原料の採掘および精製その他の処理について基礎的な知識を得させることが必要である。
(3) 各原料について鑑別,品質判断の能力を養い,その用途を理解させることが必要である。
第12 陶芸特論
陶磁器に関する基礎的な知識を理解させ,これに必要な能力と態度を養う。
2 内 容
(5) 土もみ (6) 成形 (7) 乾燥 (8) 絵付け (9) 釉(うわぐすり)
(10) 焼成 (11) 装飾 (12) 陶磁器の各種とその鑑賞
(2) 原土の選定,成形と乾燥の方法を理解させ,製品に適したものを選定できるようにすることがたいせつである。
(3) 土もみ(素地土の調製)と紬(うわぐすり)の調製や装飾(上絵付け)を理解させ,これを応用できるようにすることがたいせつである。
(4) 各種陶磁器の特徴についても学ばせることが必要である。
(5) 実習科目との関連をじゅうぶんに考慮し,発展応用の能力を養うように指導することがたいせつである。
第13 印 刷 実 習
印刷技術に関する各科目の学習を基礎として,各種版式および特殊印刷等の製版・印刷の基本を体験し,将来,現場での作業の実務,研究,計画,管理・改善などの印刷技術者としての資質をつちかう。
2 内 容
(4) 特殊印刷における製版印刷実習 (5) 写真製版実習
(2) 機械・器具などの取り扱いについて,じゅうぶんな管理方法を習得させるとともに,安全作業について指導を行なうことが必要である。
(3) 協調的な作業態度,作業計画と研究心を高める習慣を身につけさせることが必要である。
(4) 将来の進路に応じて車門的な技術訓練を行なう場合は,初め基礎的な広い分野の実習を行ない,高学年になるに従い,漸次,専門分野の技術にはいり,これに習熟するように配慮することがたいせつである。
(5) すべての版式および特殊印刷等のすべてを実習できない場合は,主たる実習をその一つ,または二つにとどめ,他は実験的な指導によって,その印刷の実地生産を体験させるようにすることが必要である。
(6) 学科の類型によっては,内容に写真植字実習,タイプ印刷実習などを加え,また置き替えることができる。
第14 製 版 印 刷
印刷様式の発生,印刷の文化的価値を認識させ,印刷技術の各基礎方法とその応用とを理解させ,印刷技術者としての能力を養う。
2 内 容
(2) とっ版・平版・おう版およびその他の版式による技術
(3) 特殊印刷および仕上加工の技術
(4) 印刷原稿と編集および製本・出版・刊行
(5) 印刷応用と企業経営その他
(2) 内容の(1)に関しては,印刷方式の分類と成立および特徴を理解させることがたいせつである。
(3) 内容の(2)に関しては,とっ版製版法のうち特に活版法,平版印刷法のうち特にオフセット印刷法について,その製版工程と方法およびこれに使われる製版用諸材料・諸器具などの知識・理解を得させるように指導することがたいせつである。
(4) 製版印刷用機械・器具・材料の保守,整備の習慣を身につけさせ,工程の手順の計画,着実な作業の進行,作業の合理化を図る能力を養成するように指導することがたいせつである。
第15 写 真 製 版
写真の発達の歴史を知るとともに写真応用製版印刷の技術と応用能力を養成する。
2 内 容
(4) 原色版製版法 (5) 写真おう版製版法 (6) 写真植字 (7) その他の製版法
この科目は写真応用の製版技術者を養成するものであるから,写真の基礎技能と知識を身につけさせるとともに,「製版印刷」との関連をじゅうぶん理解させるように指導することが望ましい。
第16 印刷機械・材料
製版印刷に使われる機械・器具・材料等の基礎的理解を得させ,その適切な選択と使用・保守・管理の知識・技能を養う。
2 内 容
A 印刷機械
(3) その他の印刷機械 (4) 製本・紙器加工機械およびその他の製版印刷機器類
(4) その他の製版印刷用材料
(2) 印刷材料については,その製造工程,種類,特性および検査に関する知識を理解させ,その適切な選択と使用についての基礎知識と能力を得させるように指導することが必要である。
第17 図 案・製 図
印刷に関する基礎的製図などの学習を基盤にして,印刷図案・レイアウトの知識を理解させるとともに,その技能に習熟させ,印刷技術者としての美的感覚を養い,図案・製図の能力をつちかう。
2 内 容
(5) その他
(2) 原稿の模写能力,図案文字の描画力,配色表現能力,配色の効果的技法または印刷効果への利用技能を体得させることがたいせつである。
第18 写真化学・光学
写真および写真製版に使用される材料・薬品の化学変化ならびに,これに使用される光学機械・器具の機能・性質を理論的にまた実験的に理解・体得させて,これらの適切な選択と使用の能力を養う。
2 内 容
A 写真化学
(4) その他
(3) その他
写真法ならびに写真製版法に用いられる感光物質の光化学反応ならびに,光学機械・器具の性能を原理的に理解して,これらを選択・使用する場合にじゅうぶん役だつように配慮することがたいせつである。
第19 レタッチング
各種レタッチング形式,技法を理解し,これらに関する材料,用具の使用方法を習得させ,レタッチング技能の習熟を図る。
2 内 容
(2) 基礎的技法の理解を得させるとともに,実際的な実技に習熟させるようにすることがたいせつである。
第20 タイプ印刷
1 目 標
文字および文章を知り,読書力,作文力を身につけ,正しい文書の作成とタイプライタによる各種印字法により,タイプ印書および各種製版の技術を習得させるとともに,軽印刷全般にわたる印刷・製本の技術と能力を養う。
2 内 容
(4) 文書の作成とレイアウト (5) ページものその他の印字製版法 (6) けい引き・手がき・特殊製版法
(7) 各種印刷・製本 (8) タイプライタによる製版印刷の企業経営その他
(2) 文字の配列をじゅうぶんに把握させるようにし,印字練習に重点をおくと同時に文字や文章を理解させることが必要である。
(3) 内容の(2),(4)については「現代国語」と,また内容の(3),(7)については,「製版印刷」とそれぞれ関連を図って指導することが望ましい。また,学科の必要に応じて内容のいくつかに重点をおいて指導することができる。
第21 機械・電気
機械および電気の基礎的技術を習得させ,それぞれの学科の技術に応用できる能力を養う。
2 内 容
A 機 械
(5) 原動機 (6) その他
(2) 学科の必要に応じて,機械と電気を有機的に関連させて指導するように配慮することが必要である。
第22 写真・印刷
最近の科学および工業技術を応用する写真と製版,印刷の原理および技術一般について学習させ,グラフィックないし,各種生産デザインへの活用性に視野を広めて,それぞれに関する専門的技術および能力を養う。
2 内 容
A 写 真
(3) カラー写真 (4) 特殊写真・修整・調色 (5) 写真作画と編集・構成技法
(6) 特殊感光技法と特殊操作技法 (7) 写真応用と企画業務その他 (8) その他の付帯技法
(3) とっ版・平版その他の版式による製版印刷技術 (4) 原色版印刷およびその他の特殊印刷
(5) 印刷原稿と編集および製本・出版・刊行 (6) 印刷応用と企画経営その他
(2) 実験・実習を重んじ,操作・管理・応用の技術,態度および習慣を身につけるように指導することがたいせつである。
(3) 教育目標によっては,内容のAまたはBのいずれか一を学習させることができる。
第4節 理容・美容
第1款 目 標
2 理容師・美容師に必要な人体生理,衛生,消毒などに関する知識,態度を習得させる。
3 理容師・美容師に関する基礎的技術を習得させ,研究的態度と創意くふうの習慣を養う。
4 経営・管理に関する基礎的知識を習得させ,物事を合理的,能率的に処理する能力と態度を養う。
第2款 各 科 目
第1 衛生法規
理容師・美容師として必要な衛生法規の概要を理解させる。
2 内 容
法制の意義,法令の種類,衛生法規の特殊性
(2) 衛生行政
行政の意義,衛生行政,衛生行政機構
(3) 理容師法,美容師法
この法律の目的,用語の定義,免許,登録,行政監督,罰則,業務およびその他の事項
(4) 関係法規
保健所法,伝染病予防法,結核子防法,その他の衛生法規および労働基準法
(2) 理容所,美容所を見学させ,実際の業務内容,理容師法または美容師法との関連を理解させることがたいせつである。
(3) 罰則については行政,司法の両処分を知らせ,法の精神を具体的に明らかにすることがたいせつである。
第2 生理解剖・消毒法
A 生理解剖
人体についての基本的,総合的な知識の習得として解剖学と生理学の学問的区分にとらわれることなく人体の構造,機能の両面を学ばせ,生理解剖学への関心を高める。
2 内 容
(2) 骨格,筋
骨格と筋の関係,骨格の構造とその機能,筋肉の種類とその機能
(3) 消化,排泄(はいせつ),生殖
消化器の構造とその機能,泌尿,生殖器の構造とその機能
(4) 呼吸,循環
呼吸器の構造とその機能,循環器の構造とその機能
(5) 人体の調節
神経系の種類とその機能,感覚器の種類とその機能,内分泌器官の種類とその機能,ホルモンの概念
(2) 解剖学と生理学とは本来密接な関係にあるものであるから,これを特に分離することなく総合的に理解させるよう配慮することが必要である。
衛生措置の基準を守ることによって,公衆衛生の維持と増進に寄与することは,この業務に従事する者に課せられた責務であり,消毒が衛生措置のうえできわめて重要であることを理解させ,消毒の方法とその技術に習熟させる。
2 内 容
消毒の原理,消毒の意義,理容・美容の業務と消毒との関係,消毒法の種類と適用
(2) 消毒法各論
理学的消毒法,化学的消毒法
(3) 消毒法実習
理学的消毒法,化学的消毒法,消毒薬の調製,理容所・美容所においての消毒方法
(2) もよりの保健所で,理容所・美容所における消毒の実施の現状について聴取し,その問題点等を把握させ,さらにその是正の方法について考えさせることがたいせつである。
第3 伝染病・公衆衛生
A 伝染病
伝染病の予防についての責務を果たすために心得ておかなければならない知識を習得させ,これを実践する態度を養う。
2 内 容
人と伝染病,病原微生物,伝染病の成り立ちとその予防
(2) 伝染病学各論
理容・美容と伝染病,理容所・美容所における伝染病子防の実際
(2) 地域における伝染病発生の状況について調べさせ,各種伝染病発生の自然的,社会的条件について考察させることがたいせつである。
(3) 学習全般を通じて,新聞その他の資料を利用したり保健所,病院などを見学して,具体的事例に即して指導することが必要である。
理容業・美容業と公衆衛生との関係がきわめて密接なものであり,公衆衛生の維持と増進について責務があることを理解させ,特に環境衛生についての知識を得させる。
2 内 容
公衆衛生の意義,公衆衛生の歴史,保健所の機能
(2) 環境衛生
環境衛生の意義,空気,日光,水,衣食住などの衛生,上下水道,公害
(3) 予防衛生
栄養,疾病予防,適正医療,リハビリテーション,応急措置,精神衛生,優生保護
(2) 各種の統計資料,掛け図などの視覚教材を用いたり,あるいは保健所等の見学を行なったりして,学習効果を高めることがたいせつである。
第4 皮膚科学
皮膚とその付属器官の構造,機能,衛生および疾病について学ばせ,傷害,疾病などにより,皮膚および毛髪などの付属器官に衛生上好ましくない結果を招くおそれのあることを認識させ,その疾病の防止のために必要な能力と態度を身につけさせる。
2 内 容
皮膚の構造,皮膚付属器官・神経・血管の構造
(2) 皮膚と皮膚付属器官の機能
皮膚の各作用,皮膚付属器官の生理的意義
(3) 皮膚と皮膚付属器官の保健と衛生
皮膚と環境,皮膚の老化現象,理容・美容の施術と皮膚
(4) 皮膚の疾患
皮膚病の病理と手当て,皮膚病の種類,伝染する皮膚病の予防,香粧品によるかぶれの現象
(2) 皮膚や毛髪の生理と衛生的処理については,特に公衆衛生学と消毒法と関連させて学習効果を高めることがたいせつである。
第5 理美容物理・化学
(2) 香粧品の化学的性質を理解させ,皮膚科学の学習と密接な関連を保ち,正しく使用するために必要な事項を身につけさせる。
熱の性質とその作用,光の性質とその作用,電気の基本概念,電気機器の構造・機能,刃物・はさみ等の力学的事項,金属の物理的性質
(2) 化 学
溶液,濃度,酸,塩基,中和および電離.コロイド,金属の化学的性質,合成樹脂,水
(3) 香粧品化学総論
香粧品の定義,種類,用途,香粧品の原料
(4) 香粧品化学各論
洗剤,基礎化粧料,化粧料,シャンプーとリンス,整髪料,染毛剤,漂白剤,脱毛剤,パーマネントウエーブの原理と取り扱い
(2) 電気クリッパー,バイプレーター,ヘア・ドライヤーなどの理容・美容技術に応用する電気器具について,それを分解して構造を学ばせることがたいせつである。
(3) 化学薬品の取り扱い方を学ばせ,所定の濃度の溶液の調整に習熟させるように指導することがたいせつである。
(4) クリーム,化粧水およびポマードの調製実験を行なって理解を深めることがたいせつである。
第6 理容理論・実習
(2) 理容器具の正しい取り扱い方法と理容の基礎的技術を作業の実際について指導し,これに習熟させる。
(3) すぐれた理容技術は,経験によってのみ得られるものではなく,合理的な方法によって把握されなければならないことを理解させる。
理容技術の意義,理容技術と人体各部の名称.理容技術の基礎知識
(2) 理容器具
器具の種類と特徴,器具の操作法と手入れ,器具の機能と使用目的
(3) 頭部技術
カッティング,シャンプー技術,頭部処置技術
(4) 顔面技術
シェービング,顔面処理技術
(5) 特殊技術
美顔術,染毛技術,その他の理容技術
(2) すぐれた理容室を見学して知識を広めるとともに接客については,具体的に接客用語や接客態度について指導することが必要である。
(3) 理容の理論は実習に即して指導すべき部面が広範囲を占めているので,理論と実習を関連させて指導計画を作成し,効果をあげることがたいせつである。
(4) 理容器具にについては,各種の製品を実際に比較検討させ,すぐれた品を見分ける能力を養うことがたいせつである。
(5) 実習の成果を生徒相互に評価させて,技術の向上に役だたせることが必要である。
第7 美容理論・実習
(2) 美容器具の正しい取り扱い力法と美容の基礎的技術を作業の実際について指導し,これに習熟させる。
(3) すぐれた美容技術は,経験によってのみ得られるのではなく,合理的な方法によって把握されなければならないことを理解させる。
美容技術の意義,美容技術と人体各部の名称,美容技術の基礎知識
(2) 美容用具
美容用具の概念と取り扱い,美容技術と用具
(3) 頭部技術
スキャルプ・トリートメント,ヘア・トリートメント,ヘア・シャンプーイング,ヘア・シンジング,ヘア・カッティング,パーマネント・ウエービング,ヘア・セッティング,マーセル・ウエーブ
(4) 美容技術
ヘアカラーリング,美顔術,化粧,マニキュアとペティキェア,全身美容,日本髪,かつらおよび着付
(2) すぐれた美容室を見学して知識を広めるとともに,接客については,具体的に,接客用語や接客態度について指導することが必要である。
(3) 美容の理論は,実習に即して指導すべき部面が広範囲を占めているので理論と実習を関連させて,指導計画を作成し,効果をあげることがたいせつである。
(4) 美容器具については,各種の製品を実際に比較検討させ,すぐれた品を見分ける能力を養うことがたいせつである。
(5) 実習の成果を生徒相互に評価させて,技術の向上に役だたせることが必要である。
第5節 クリーニング
第1款 目 標
2 クリーニングに関する科学的な知識を理解させ,その改善進歩を図ろうとする能力を養う。
3 クリーニングの社会的意義を理解させ,共同して責任ある行動と態度と勤労に対する正しい信念をつちかう。
第2款 各 科 目
第1 クリーニング法規
クリーニング師としての必要な衛生法規を理解させる。
2 内 容
(4) クリーニング業法施行規則 (5) クリーニング業法施行細則 (6) その他
法の一般概念および衛生行政概説等をじゅうぶん理解させた上で,クリーニング業法規などを理解させ,同時に関係法規も指導することが必要である。
第2 公衆衛生
公衆衛生に関する事項について科学的な理解を深め,クリーニングの作業がより衛生的に行なえる能力と態度を養う。
2 内 容
クリーニング業は公衆衛生と関係がきわめて密接なものであり,公衆衛生の維持,増進についての責務があることを理解させるとともに関係法規に基づいて規制されていることも理解させることが必要である。
第3 クリーニング理論
クリーニングを科学的に処理する知識を理解させ,実際に応用する能力を養う。
2 内 容
(5) ランドリー (6) 乾燥 (7) 仕上げ (8) しみ抜き (9) ドライクリーニング
(10) 特殊加工 (11)その他
(2) 新合成繊維の発達にはいちじるしいものがあるので,絶えず研究を重ねて指導しなければならない。
第4 クリーニング機器・装置
クリーニング機器や装置の構造,操作などについて理解させ,故障の発見,修理その他の管理ができる能力を養う。
2 内 容
(4) 各種プレス機 (5) ボイラー (6) その他
(2) クリーニング作業は能率ばかりでなく,災害予防のために機器・装置などの操作,点検に対する理解を怠らないように指導することがたいせつである。
第5 クリーニング実習
クリーニングに関する他の科目との有機的関連のもとに,洗たく,乾燥,仕上などのクリーニング技術を習得させるとともに,作業に対する責任や態度を養う。
2 内 容
(6) ドライクリーニング (7) その他
(2) 近年特に各種化学繊維と仕上機械等の発達が著しいので,手先の技巧的技術よりも科学的知識の理解と技能の習得をさせることが必要である。
第6節 歯 科 技 工
第1款 目 標
2 歯科技工の科学的根拠を理解させ,基本的技術を習得させ,応用能力を伸長させる。
3 一般的な巧緻(こうち)性を高め,研究態度と創意くふうの習慣を養う。
4 経営管理に関する基礎的知識を習得させ,合理的,能率的に処理する能力を養う。
第2款 各 科 目
第1 歯科技工概論
歯科技工業務の社会的意義とその業務内容の概要を理解させ,歯科技工士としての使命を認識させる。
2 内 容
(2) 歯科医療業務と歯科医療協力業務との関係
(3) 歯科技工業務の特殊性
(4) 歯科疾患のあらまし
(5) 歯科技工の歴史
(6) 歯科技工の倫理
(2) 歯科技工は歯科医療において,口こう内に装着させる人工装置を作成する業務であり,歯科医師と歯科技工士との接触領域のあることを歯科技工法との関連において指導することが必要である。
(3) 職業とは,人がその生活の経済的基礎を得るために従事する仕事であるが,すべての仕事が専門職ではない。その職業を意義あるものとする目的をもったものが専門的な仕事すなわち専門職であることを理解させることがたいせつである。
したがって,専門職は学問的教養が要求され,社会的には,その任務を自己のつごうで放棄することを許されないとする使命感を伴うものである。
歯科技工の倫理とは,こうした専門職という意味を含むものであることをじゅうぶん理解させることが必要である。
第2 歯が解剖
歯牙(が)の形態を肉眼解剖的な見地から,正しく理解させるために,歯牙の一般的知識を習得させるとともに,個々の歯牙について,天然歯の観察を行なってその形態を学ばせ,さらに歯群として歯牙(が),口こうの総合的機能に参与する重要性を認識させる。
2 内 容
(5) 小きゅう歯 (6) 大きゅう歯 (7) 乳歯 (8) 歯群(歯列弓)
(9) 歯形彫刻実習 (10) その他
(2) 理論的な両を習得させるだけにとどまらず,歯形彫刻実習を行なわせることにより,歯牙の形態を実感をとおして理解させることが必要である。
第3 有床義歯学
歯科技工士として必要な有床義歯の理論と応用について,適正な知識と基礎的な技術を習得させる。
2 内 容
A 全部床義歯
(5) 咬(こう)合採得 (6) 佼合器 (7) 人工歯 (8) 歯肉形成
(9) 歯型採得,埋没,重合 (10) 研摩 (11) 義歯の修理 (12) 金属床による全部床義歯
(13) 基礎実習 (14) その他
(6) 金属床による部分床義歯 (7) 基礎実習 (8) その他
(2) 部分床義歯では,この種の義歯の技工室内における取り扱い上の理論とその実技についてじゅうぶんに理解させ,その専門的技術を適用でぎる能力を養うことが必要である。
(3) 基礎実習では,実習を行なわせることを通じて,基礎的な技術,態度および能力を身につけるよう指導することがたいせつである。
第4 継続架工学
歯冠補綴(てつ)と橋義歯について,その意義と目的,その種類と構成などについて理解させ,個々の補綴物の作成に当たっての理論的な裏付けを行なうとともに,基礎的な技術を習得させる。
2 内 容
(5) 橋義歯 (6) 基礎実習 (7) その他
(2) この科目は,実習によって技術的な能力を身につけることが必要であるから,基礎的な技術についての実習を重点的に行なうことがたいせつである。
第5 充てん学
充てんの意義ならびに目的および分類について理解させ,インレー体調整法とその理論を習得させる。
2 内 容
(5) ワックス原型調整 (6) 埋没,鋳造,研摩 (7) 基礎実習 (8) その他
(2) 基木的な手技についての基礎実習を行なわせることが必要である。
第6 きょう正学
きょう正治療の基礎的概念およびその実績について理解させ,一般に使用されているきょう正装置の製作法について習得させる。
2 内 容
(4) きょう正装置の製作と機器 (5) 基礎実習 (6) その他
(2) 基本的な手技についての基礎実習を行なわせることが必要である。
第7 歯科理工学
歯科技工士として必要な歯科材料,機械・器具についての基礎的知識を理解させ,その取り扱いと応用について習得させる。
2 内 容
(5) 歯科用機械 (6) 技工用器具 (7) 基礎実習 (8) その他
(2) 単に各種材料や機械の記述的な講義に終わることなく,実験,実習,調査,見学などにより,正しく材料や機械・器具を選択し,新しい材料や機械・器具を取り上げて指導することが必要である。
(3) 技術の進歩に応じて,新しい材料や機械・器具を取り上げて指導することがたいせつである。
(4) 内容に応じて,理科(物理・化学)として指導することができる。
第8 歯科技工関係法規
(2) 法を守る態度を養う。
(5) 歯科医師法概要 (6) 歯科衛生士法概要 (7) 歯科医療の概況 (8) その他
(2) 内容に応じて,関連の深い社会科学の科目において指導することができる。
第9 歯科技工実習
歯科技工士として必要な歯科技工に関するすべての科目の学習を基礎として,歯科技工の技術について実験的,体験的かつ総合的に習得させる。
2 内 容
(6) 橋義歯 (7) メタルインレー (8) きょう正装置 (9) その他
(2) 原価計算や安全管理についてじゅうぶん理解させることが必要である。
(3) 実習は原則として校内の施設で行なうが,特殊な機械・器具を使用するものなどについては,校外における実習や見学等によって操作法を習得させることが必要である。