第1款 目 標
望ましい集団活動を通して豊かな充実した学校生活を経験させ,自律的,自主的な生活態度を養うとともに,民主的な社会および国家の形成者として必要な資質の基礎を育てる。
このため,
2 広く考え,公正に判断し,誠実に実践する態度を養うとともに,公民としての資質,特に社会連帯の精神と自治的な能力の伸長を図る。
3 心身の健康を増進し,個性を伸長するとともに,人間としての望ましい生き方を自覚させ,将来の生活において自己を実現する能力を育てる。
4 健全な趣味や豊かな情操を育て,余暇を活用する態度を養うとともに,勤労を尊重する精神の確立を図る。
第2款 内 容
第1 ホームルーム
1 内 容
ホームルームは,学校における基礎的な生活の場であって,そこでは,主として次のことがらを取り扱う。
(2) 個人としての生き方に関する問題
(3) 集団の一員としての生き方に関する問題
(4) 学業生活および進路の選択決定に関する問題
(2) 内容の取り扱いに当たっては,たとえば,次のような項目を取り上げるようにする。
イ 個人としての生き方に関する問題としては,青年期の特質や自己の個性の理解,望ましい生活態度の確立,自他の生命の安全と健康の増進,男女の特性と相互のあり方についての理解など。
ウ 集団の一員としての生き方に関する問題としては,家族をはじめ身近な集団の一員としてのあり方,社会人としてのあり方,国民としての生き方など。
エ 学業生活および進路の選択決定に関する問題としては,各教科・科目等の選択,学業生活への適応,進路の吟味と選択,将来の職業生活等への適応など。
なお,進路の選択決定に関連する内容については,特に各学年にわたり取り扱うようにすること。
イ 平素から,個々の生徒についての理解に必要な資料(たとえば,個人記録,家庭環境,地域環境などの資料。)を豊富に収集するようにし,適切な指導となるようにすること。
なお,個々の生徒に対する指導の徹底を図るためには,生徒の家庭との連絡を密にし,教育相談(進路相談を含む。)などを,計画的に実施することが望ましいこと。
ウ 内容の(2),(3)などの取り扱いに当たっては,特に社会の「倫理・社会」との関連を図ること。
第2 生徒会活動
1 内 容
生徒会は,全校の生徒を会員とし,主として次の活動を行なう。
(2) ホームルームおよびクラブ活動における生徒の活動の連絡調整に関する活動
(3) 学校行事への協力に関する活動
(2) 内容の取り扱いについては,次のとおりとする。
イ 生徒会活動においては,生徒総会(たとえば,年間の活動計画の決定,各種の役員の承認,生徒会規約の改正などを行なう。),各種の委員会(たとえば,生徒会の運営,各種の活動の企画立案,生徒の諸活動間の連絡調整などを行なう。)などにおける諸活動が有機的に関連をもつようにすること。
イ 全校または学年の集会活動を計画し,実施する場合には,特に学校行事との関連をじゅうぶんに図ること。
第3 クラブ活動
1 内 容
クラブは,学年やホームルームの所属を離れて共通の興味や関心をもつ生徒をもって組織することをたてまえとし,次のいずれかに属する活動を行なう。
(2) 体育的な活動
(3) 生産的な活動
(2) 内容の取り扱いについては,次のとおりとする。
イ クラブの種別や数は,生徒の希望,男女の構成,学校の伝統,施設設備の実態,指導に当たる教師の有無などを考慮し,適切に定めること。
イ クラブ活動においては,個々の生徒の趣味や特技を育てるように努めるとともに,相互に協力して友情を深める活動となるようにすること。
第4 学 校 行 事
1 内 容
学校行事は,主として全校または学年,あるいはそれらに準ずる集団による活動とし,次のことがらを適宜行なう。
(2) 学芸的行事
(3) 体育的行事
(4) 旅行的行事
(5) 保健・安全的行事
(6) 勤労・生産的行事
(2) 内容の取り扱いについては,次のとおりとする。
イ 学芸的行事においては,平素の学習活動の成果を総合的に生かすようにし,さらにその後の向上への意欲をつちかうような活動にすること。
ウ 体育的行事においては,心身の健全な発達に資し,公正に行動し,進んで規則を守り,互いに協力して責任を果たすような活動にすること。
エ 旅行的行事においては,平素と異なる生活環境の中にあって,見聞を広めるとともに,楽しく豊かな集団行動を行なうことにより,集団生活のきまり,公衆道徳などについての望ましい体験をつむような活動にすること。
オ 保健・安全的行事においては,生徒が自己の心身の発達,健康の保持などについての理解を深めるとともに,安全な行動が体得できるような活動にすること。
カ 勤労・生産的行事においては,勤労の尊さや意義,創造することの喜びなどが体得できるとともに,職業についての啓発的な経験が得られるような活動にすること。
イ 生徒の健康・安全などを考慮し,特に負担過重にならないようにすること。また,事前および事後の指導を適切に行ない,実施する行事のねらいを明確にし,その意義を理解させ,積極的な参加意欲を育成するようにすること。
ウ 地域社会の要請と関連する学校行事については,学校全体の教育計画の観点から,その教育的な価値についてじゅうぶん検討するようにすること。
エ 国民の祝日などにおいて儀式などを行なう場合には,生徒に対してこれらの祝日などの意義を理解させるとともに,国旗を掲揚し,「君が代」を齊唱させることが望ましいこと。なお,儀式の内容については,従来の慣習だけにたよったり,単に形式的なものになったりすることのないよう配慮すること。
第3款 指導計画の作成と内容全体にわたる取り扱い
1 ホームルーム,生徒会活動および学校行事に充てる授業時数については,次の事項に配慮するものとする。
(2) 生徒会活動および学校行事については,それぞれの内容の特質に応して,年間,学期または月ごとなどに,適切な時間を充てるものとすること。また,その実施の時期,回数,方法などについても,地域や学校の実態に応じて,適切に定めること。
(2) 生徒会活動,クラブ活動および学校行事については,教師相互の共通理解を深めるとともに,学校の指導体制を確立して,できるだけ全教師がそれぞれ適切な指導を行なうこと。
4 指導計画の作成に当たっては,ホームルーム,生徒会活動,クラブ活動および学校行事のそれぞれについて,相互に密接な関連を図るとともに,次の事項に配慮するものとする。
(2) 地域や学校の実態,青年期の特性,生徒の個人差などをじゅうぶん考慮すること。
6 各教科以外の教育活動の評価は,関係する教師の協力により,ホームルームの担任の教師を中心として,平素から個々の生徒の活動の状況,発達の状況などの把握に努め,適正に行なうものとする。
(付録)
学校教育法施行規則(抄)
第57条 高等学校の教育課程は,別表第3に定める各教科に属する科目及び各教科以外の教育活動によって編成するものとする。
第57条の2 高等学校の教育課程については,この章に定めるもののほか,教育課程の基準として文部大臣が別に公示する高等学校学習指導要領によるものとする。
第57条の3 高等学校の教育課程に関し,その改善に資する研究を行なうため特に必要があり,かつ,生徒の教育上適切な配慮がなされていると文部大臣が認める場合においては,文部大臣が別に定めるところにより,前2条の規定によらないことができる。
第63条の2 校長は,生徒の高等学校の全課程の修了を認めるに当っては,高等学校学習指導要領の定めるところにより,85単位以上を習得した者について,これを行なわなければならない。ただし,第57条の3の規定により,高等学校の教育課程に関し第57条又は第57条の2の規定によらない場合においては,文部大臣が別に定めるところにより,これを行なうものとする。
別 表 第3
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附 則(昭和45年10月15日文部省令第23号)
1 この省令は,昭和48年4月1日から施行する。ただし,改正後の学校教育法施行規則第57条及び別表第3の規定は,同日以降高等学校の第1学年に入学した生徒に係る教育課程から適用する。
2 前項の規定により改正後の学校教育法施行規則第57条及び別表第3の規定が適用されるまでの高等学校の教育課程については,なお従前の例による。
高等学校学習指導要領
昭和45年11月1日 定価300円
編集発行 大 蔵 省 印 刷 局
東京都港区赤坂葵町2番地
郵便番号 107
(582)4411
(販売所裏面) 落丁,乱丁はおとりかえします。