第1款 目 標
1 商事活動,事務および経営管理に関する知識と技術を習得させ,これらの活動を合理的,能率的に行なう能力と態度を養う。
2 経済社会における商業の機能や産業における経営の重要性を理解させ,国民経済の発展に寄与する態度を養う。
3 商事活動,事務および経営管理について常に研究を重ね,創意を働かせて,進歩向上を図る態度を養う。
4 日常の経済生活を合理的,能率的に営む能力と態度を養う。
第2款 各 科 目
第1 商 業 一 般
1 目 標
(2) 売買取引および商業諸機関の利用を合理的に行なう基礎的な能力を養う。
(3) 商業の機能を理解させ,経済生活の向上に寄与する態度を養う。
ウ 手 形
ウ 売買契約の締結と履行 エ 特殊な売買
オ 組織的市場
ウ 特殊な金融機関の業務 エ 証券の発行と売買
ウ 海上運送 エ 航空運送
オ 通 信
ウ 生命保険
ウ 貿易の業務
(2) この科目においては,つとめて具体的な事例を用い,商業の実態とその背景を理解させる必要がある。
(3) 商業に関する国の政策,地域の実情などについては,それぞれ関連する項目において随時取り扱うように留意する。
(4) この科目の内容については,日常の経済生活を合理的に営む観点も適宜含めて取り扱うように留意する。
(5) この科目のほかに,特に内容上関連の深い商業に関する科目を履修させる場合には,それぞれ関連する内容について相互の調整を図り,無用の重複を生じないように留意する。
第2 経 済
1 目 標
(2) わが国経済の特質や課題に即して,経済事象とその動向を論理的,客観的に把握する能力と態度を養う。
(3) 国民経済における流通の機能および国際経済におけるわが国の役割を理解させ,わが国経済の発展に寄与する態度を養う。
ウ 国民経済の構造 エ 経済循環と貨幣
ウ 経済の成長と発展 エ 経済の変動
オ 就業構造
ウ 財政・金融政策による経済の成長と安定
ウ 国際経済の動向と課題
ウ 経済体制と福祉国家
ウ 都市問題と地域開発 エ 新しい経済社会と人間
(2) この科目においては,わが国を中心とした経済の実態を考察させながら具体的に内容を取り扱い,経済事象の有機的な関連を理解させる必要がある。
(3) 内容の(1)のアについては,経済史に深入りすることを避け,経済発達の概略を取り扱う程度にとどめるものとする。
(4) 経済政策については,それぞれ関連する項目において随時取り扱うことを原則とする。
第3 経 営
1 目 標
(2) 企業における各種の管理活動を合理的,創造的に行なう能力と態度を養う。
(3) 企業の社会性および経営管理の重要性を理解させ,企業の一員としての望ましい態度を養う。
ウ 意思決定
ウ 部門管理組織
ウ 経営分析
ウ 事務の環境管理 エ 情報のシステム
ウ 研究開発 エ 経営の協力関係
(2) この科目においては,つとめて具体的な事例を用い,経営管理の実態とあり方を理解させる必要がある。
(3) この科目においては,中小企業の問題も適宜含めて取り扱うように留意する。
(4) この科目のほかに「簿記会計Ⅲ」,「事務管理」,「商事」などを履修させる場合には,それぞれ関連する内容について相互の調整を図り,無用の重複を生じないように留意する。
第4 商 業 法 規
1 目 標
(2) 社会生活の規範である法の本質を理解させ,商業活動を合理的に行なう能力と態度を養う。
(3) 法律的に思考する能力,特に商業事象を法律的に判断する能力を養う。
ウ 法の適用と解釈 エ 経済生活と商業法規
ウ 商 人
ウ 物 権 エ 債 権
オ 特別な財産権
ウ 貸借型の契約 エ 労務型の契約
オ 債権の消滅 カ 契約によらない財産権の変動
ウ 不法行為・不当利得に対する救済
ウ 商業使用人 エ 各種の営業
ウ 株 式 エ 株式会社の機関
オ 株式会社の資金調達と会計 カ 株式会社の定款の変更と消滅
ウ 小 切 手
ウ 強制執行
(2) この科目において取り扱う法の範囲は,商業経済に関するものとし,その学習を通して法の本質を理解させるように留意する。
(3) この科目においては,法の理論に深入りすることを避けるとともに,つとめて具体的な事例を用い,平易に内容を取り扱うものとする。
(4) 権利の変動については,主として内容の(4)において取り扱い,商行為に関する通則については,主として内容の(4)および(5)において関連して取り扱うことを原則とする。
(5) 個々の内容に関連する特別法のうち必要なものは,適宜これを取り扱うものとする。
(6) この科目の内容は,広範囲にわたっているので,学科の目標,単位数,他の商業に関する科目との関連などを考慮し,必要に応じて適宜取捨選択するものとする。
第5 簿記会計Ⅰ
1 目 標
(2) 商取引を正確,めいりょうに記帳する技術を習得させる。
(3) 経理を明確に処理する基礎的能力と態度を養う。
ウ 仕 訳 エ 仕訳帳・元帳と試算表
オ 貸借対照表と損益計算書
ウ 債権・債務に関する取引 エ 有価証券に関する取引
オ 固定資産に関する取引 カ 営業費に関する取引
キ 個人企業の資本に関する取引
ウ 財務諸表の作成
(2) この科目は,記帳練習を重視して指導する必要がある。
(3) この科目において取り扱う勘定科目,帳簿,伝票などは,基礎的なものにとどめ,さらに進んだ段階の学習は,「簿記会計Ⅱ」,「簿記会計Ⅲ」などに譲るものとする。
(4) 内容の(3)のエの仕訳帳については,帳簿に替えて伝票を取り扱うことができる。
(5) この科目のほかに「簿記会計Ⅱ」を履修させる場合には,内容の(7)および(8)のイを省略することが適当である。
(6) この科目と「商業一般」を同一学年において履修させる場合には,両科目の間で関連する内容の取り扱いを調整し,学習を効果的に進めるように留意する。
第6 簿記会計Ⅱ
1 目 標
(2) 取引を正確,めいりょう,合理的に記帳する技術を習得させる。
(3) 経理を明確に処理する能力と態度を養う。
ウ 伝票会計 エ 事務機械の利用
ウ 社 債 エ 財務諸表
オ 税 務
ウ 財務諸表の合併と内部利益の控除
(2) この科目は,「簿記会計Ⅰ」の内容を発展させ,記帳練習を重視して指導する必要がある。
(3)「簿記会計Ⅲ」や「税務会計」と関連の深い内容については,平易に取り扱うようにし,さらに進んだ段階の学習は,これらの科目に譲るものとする。
(4) 内容の(1)のウについては,複写によって作成された伝票を諸帳簿として用いる方法を中心として取り扱い,分課制度における伝票の流れについても指導する必要がある。
(5) 内容の(2)のアとウについては,関連する繰延資産についても指導する必要がある。
(6) 内容の(4)のアについては手形の書換えと不渡りを,また,イについては割賦販売を,それぞれ中心として取り扱うものとする。
(7) 内容の(5)については,原価計算と工業簿記の基礎を学習させるものとする。ただし,この科目のほかに「工業簿記」を履修させる場合には,この項目を省略することが適当である。
(8) この科目のほかに「機械簿記」を履修させる場合には,内容の(1)のエを省略することが適当である。
第7 簿記会計Ⅲ
1 目 標
(2) 簿記の進んだ段階における諸問題を処理する技術を習得させる。
(3) 経理を明確に処理する能力と態度を養う。
ウ 固定資産と減価償却 エ 繰延資産
ウ 引 当 金 エ 偶発債務
ウ 営業費用 エ 営業外損益
オ 特別損益
ウ 損益計算書
ウ 原価管理 エ 資金会計
オ 財務諸表の分析
(2) この科目においては,「簿記会計Ⅱ」より進んだ内容を取り扱うものとするか,理論的に深入りすることを避け,企業会計の実務的な処理を中心として学習させる必要がある。
(3) 内容の(1)のイの詳細については,(2)以下の関連する項目において取り扱うものとする。
(4) 上記の内容のほかに,連結財務諸表の基礎について指導することができる。
(5) この科目のほかに「経営」を履修させる場合には,内容の(7)について相互の調整を図り,無用の重複を生じないように留意する。
第8 工 業 簿 記
1 目 標
(2) 工企業の取引,特に内部取引を正確,めいりょうに記帳する技術を習得させる。
(3) 経理を明確に処理する能力と態度を養う。
ウ 工業簿記の構造
ウ 経 費
ウ 決算の手続き エ 財務諸表の作成
(2) この科目は,記帳練習を重視して指導する必要がある。
(3) 内容の(5)のエについては,製造原価報告書を中心として取り扱うように留意する。
(4) 多くの企業においては,帳簿様式や帳簿組織の改善,記帳の機械化など著しい進歩がみられるので,これらの点にも留意して内容を取り扱う必要がある。
(5) 上記の内容のほかに,直接原価計算の考え方について指導することができる。
第9 銀 行 簿 記
1 目 標
(2) 銀行の取引を正確,めいりょうに記帳する技術を習得させる。
(3) 経理を明確に処理する能力と態度を養う。
ウ 為替に関する取引 エ 現金出納と手形交換に関する取引
オ その他の取引
ウ 本支店財務諸表の合併
(2) この科目は,記帳練習を重視して指導する必要がある。
(3) 内容の(3)のウについては,内国為替を取り扱うものとするが,このほかに外国為替について指導することができる。
(4) 内容の(3)のオについては,有価証券に関する取引,固定資産に関する取引,借入に関する取引,資本に関する取引および諸経費に関する取引を取り扱うものとする。
(5) 内容の(5)については,(1)から(4)までの関連する項目において取り扱うことができる。
第10 機 械 簿 記
1 目 標
(2) 事務機械によって取引を合理的に記帳する技術を習得させる。
(3) 経理事務の機械化を図り,また,機械化の進んだ会計組織に適応する能力と態度を養う。
ウ 機械処理の準備
ウ 加算機・計算機の利用 エ 会計機の利用
オ パンチカードシステム機械の利用 カ 電子計算機の利用
ウ 記 帳 エ 作 表
ウ 販売業務 エ 購買業務
オ 手形受払業務 カ その他の業務
キ 決 算
(2) この科目においては,事務機械を用いた経理事務の体系的な把握を主眼として,実務的に内容を取り扱い,必要に応じて事務機械の操作練習を行なわせるものとする。
(3) この科目の指導に当たっては,単位数,設備の実情などに応じて,機械処理の内容を考慮する必要がある。
(4) 内容の(3)については,仕訳,元帳の転記および試算表・財務諸表の作成に関する一連の機械処理を取り扱うものとする。
(5) 内容の(4)のカについては,固定資産,給与などに関する業務を取り扱うものとする。
第11 税 務 会 計
1 目 標
(2) 経理に必要な税法の知識およびこれに基づいて取引を記帳する技術を習得させる。
(3) 税を正しく申告する能力と態度を養う。
ウ 青色申告制度
ウ 損益通算と繰越控除 エ 所得税額の計算
オ 所得税の申告と納付
ウ 損 金 エ 法人税額の計算
オ 法人税の申告と納付
ウ 固定資産税
(2) この科目においては,税法の理論に深入りすることを避け,記帳や申告書の作成の練習を重視して指導する必要がある。
第12 経 理 実 践
1 目 標
(2) 企業における経理事務の有機的な関連を実践的に理解させ,その中で自己が分担する職務について自覚させる。
(3) 経理事務について実践的な経験を得させ,これに従事する者としての望ましい態度を養う。
ウ 総務部門の経理事務 エ 支店・工場の経理事務
(2) この科目においては,他の経理関係の科目をはじめとする商業に関する科目において習得した個々の知識・技術を総合的に用いるように特に留意して,学習させる必要がある。
(3) この科目においては,生徒にそれぞれの職務を分担させ,取引活動に伴って発生する経理事務を生徒自身が組織的に処理していくように指導計画を作成する必要がある。この場合,管理会計的な内容を取り入れることにも留意する。
(4) この科目の指導に当たっては,学習活動を円滑に運営するために必要な売買業務,銀行業務などを行なう機関を設けることが適当である。
(5) 適当な時期に,会計組織を変更したり,生徒の分担職務を交替させたりすることにより,なるべく多くの経験を得させるように留意する。
第13 事 務
1 目 標
(2) 事務を合理的に処理する能力を養う。
(3) 事務の重要性を理解させ,これに従事する者としての望ましい態度を養う。
ウ 取引文書以外の文書の作成 エ 文書の発受信
ウ 総務部門の事務
(2) この科目においては,事務についての実務的な学習をさせるように特に留意して,内容を取り扱う必要がある。
(3) この科目のほかに「事務管理」,「秘書実務」などを履修させる場合には,それぞれ関連する内容について相互の調整を図り,無用の重複を生じないように留意する。
(4) 文書事務用機器については,それぞれ関連する項目において随時取り扱うことを原則とし,また,「事務機械」が履修されない場合には,その内容をこの科目に含めて取り扱うことができる。
第14 事 務 機 械
1 目 標
(2) 事務機械の操作を通して,事務能率を増進する能力と態度を養う。
ウ 計 算 機 エ 会 計 機
オ その他の事務機械 カ 単能的事務機械の利用
(2) 内容の(2)のオについては,計算タイプライタ,せん孔タイプライタなどを取り扱うものとする。
(3) 内容の(3)のイについては,簡単なプログラミングを中心として学習させるように留意する。ただし,この科目のほかに「電子計算機一般」を履修させる場合には,これを省略することが適当である。
第15 事 務 管 理
1 目 標
(2) 事務を合理的に管理する能力を養う。
(3) 事務管理の重要性を理解させ,事務に従事する者としての望ましい態度を養う。
ウ 事務室の配置
ウ 情報システムの運営管理
(2) この科目においては,事務の管理技法についての実務的な学習をさせるように特に留意して,内容を取り扱う必要がある。
(3) 情報処理科においては,内容の(7)に重点をおいて取り扱うものとする。
第16 計 算 実 務
1 目 標
(2) 計算事務を処理するのに必要な商業上の法規,慣習,制度などの知識を習得させる。
(3) 商業事象を計数的に把握し,合理的に判断する能力と態度を養う。
ウ 暗 算 エ 簡 便 算
ウ 計算機の操作
ウ 仕入原価と売価の計算 エ 売買諸費用の計算
ウ 複利による利息の計算 エ 年金の計算
ウ 証券投資信託の計算
ウ 事業税の計算
(2) この科目の内容は,他の商業に関する科目や数学の内容と関連するところが多いが,計算の習熟と実務的な処理を主眼として取り扱うものとする。
(3) 内容の(1)のエについては,主として加乗法および減乗法を取り扱うものとする。
(4) 内容の(3)以下については,適宜そろばんや計算機械を用い,反復して計算の練習をさせる必要がある。
(5) この科目のほかに「事務機械」,「機械簿記」などを履修させる場合には,内容の(2)を省略することが適当である。
(6) 学科の目標,単位数,他の商業に関する科目との関連などを考慮し,必要に応じて内容の(3)以下を適宜取拾選択するものとする。
第17 統 計 実 務
1 目 標
(2) 商業事象や経済事象を統計的に把握し,統計を経営管理に役だてる能力と態度を養う。
ウ 代表値と散布度 エ 相関分析
オ 時系列の分析
(2) この科目においては,統計の理論に深入りすることを避け,実務的な面を主眼として,平易に内容を取り扱うものとする。
(3) 数学的な取り扱いについては,「数学一般」や「数学Ⅰ」の学習を基礎として理解できる程度とし,特に内容の(4)については,その考え方を取り扱う程度にとどめるものとする。
(4) この科目の学習には,各種の計算機器を適宜利用させるように留意する。
第18 経 営 数 学
1 目 標
(2) 計数管理の重要性を理解させ,経営管理における計画の立案を科学的に行なう態度を養う。
ウ 検 定
(2) この科目においては,数学の理論に深入りすることを避け,実務的な面を主眼として,平易に内容を取り扱うものとする。
(3) この科目の学習には,計算機や電子計算機を適宜利用させるように留意する。
(4) この科目を少ない単位数で履修させる場合には,内容の(5)以下を適宜省略することが適当である。
第19 電子計算機一般
1 目 標
(2) 電子計算機によって情報を処理する基礎的能力と態度を養う。
ウ コーディング エ プログラムのせん孔
オ テストラン
ウ 補助記憶装置 エ データ伝送装置
オ システムの構成
ウ ユーティリティプログラム
ウ 技術計算
(2) この科目においては,せん孔用機械を操作させるとともに,電子計算機を用いてデータ処理を行なわせる必要がある。
(3) 内容の(3)については,簡単な教材を取り扱い,流れ図の作成に重点をおいて学習させるものとする。
(4) 「プログラミングⅠ」が履修されない場合には,内容の(3)に重点をおいて取り扱うものとする。
第20 プログラミングⅠ
1 目 標
(2) プログラミングを通して, 情報を合理的に処理する能力と態度を養う。
ウ 判 定 エ サブルーチン
ウ 照 合 エ ファイルの修正
(2) この科目においては,つとめて各生徒にプログラムを作らせ,各自のプログラムを用いて電子計算機を操作させる必要がある。
(3) この科目を情報処理科において履修させる場合には,原則として複数のプログラム言語を学習させることが適当である。
(4) 「プログラミングⅡ」が履修されない場合には,その内容の一部をこの科目に含めて取り扱うことが適当である。
第21 プログラミシグⅡ
1 目 標
(2) プログラミングを通して,情報を合理的に処理する能力と態度を養う。
ウ 代金の回収 エ 販売統計
ウ 代金の支払い エ 購買と在庫の統計
ウ 手形の受払い エ 諸勘定の集計
オ 給与計算
(2) この科目においては,「プログラミングⅠ」において習得した基礎的な技術を応用して学習させるものとする。
(3) この科目においては,つとめて各生徒にプログラムを作らせ,各自のプログラムを用いて電子計算機を操作させる必要がある。
第22 和文タイプライティング
1 目 標
(2) 和文タイプライティングによって文書を作成し,事務能率を増進する能力と態度を養う。
ウ 機械の手入れ
ウ 複 写 エ 謄写原紙の作成
ウ 業務用書類の作成
(2) この科目においては,当用漢字,現代かなづかいなどについて,「現代国語」と密接な関連を図って指導する必要がある。また,タイプライタは,文字が五十音順に配列されているものを使用することが適当である。
(3) 内容の(3)のウについては,契約書,委任状,財務諸表などの作成を取り扱うものとする。
第23 英文タイプライティング
1 目 標
(2) 英文タイプライティングによって文書を作成し,事務能率を増進する能力と態度を養う。
ウ 複 写 エ 謄写原紙の作成
ウ 業務用書類の作成
(2) 内容の(3)のウについては,売約書,送り状,船荷証券などの作成を取り扱うものとする。
第24 速 記
1 目 標
(2) 速記によって迅速,正確に記録をとり,事務能率を増進する能力と態度を養う。
ウ 単 語 エ 文
オ 反 訳
ウ 成語・成句と常用語 エ 文 末
ウ 講演・会議の記緑
(2) 反訳の練習は,この科目の全般にわたって,常に行なわせるように留意する。この場合,生徒の文章を書く能力をじゅうぶんに生かすようにする必要がある。
(3) 練習の教材は,なるべく生徒に興味の多いものや商業に関する科目の内容に関連のあるものを取り上げることが適当であるが,同時に,語句を豊かにすることにも留意する。
第25 秘 書 実 務
1 目 標
(2) 秘書の職務を正確,敏速に遂行する能力を養う。
(3) 秘書としての望ましい態度を養う。
ウ 環境の整備 エ 慶弔と贈答
ウ 出張の事務
ウ ファイリング エ 文書事務用機器の利用
(2) この科目においては,秘書の職務についての実務的な学習をさせるように特に留意して,個々の内容を取り扱う必要がある。
(3) 適当な時期に,生徒に秘書および関係者の役割を分担させ,秘書の職務を実践的に行なわせるように指導計画を作成することが適当である。
(4) この科目においては,他の商業に関する科目,特に「和文タイプライティング」,「英文タイプライティング」,「速記」および「商業英会話」の学習の成果をつとめて活用させるように留意する。
第26 事 務 実 践
1 目 標
(2) 企業における事務の有機的な関連を実践的に理解させ,その中で自己が分担する職務について自覚させる。
(3) 事務について実践的な経験を得させ,これに従事する者としての望ましい態度を養う。
ウ 倉庫事務
(2) この科目においては,他の事務関係の科目をはじめとする商業に関する科目において習得した個々の知識・技術を総合的に用いるように特に留意して,学習させる必要がある。
(3) この科目においては,生徒にそれぞれの職務を分担させ,事務を生徒自身が組織的に処理していくように指導計画を作成する必要がある。
(4) この科目の指導に当たっては,学習活動を円滑に運営するために必要な売買業務,銀行業務,運送業務,通信業務などを行なう機関を設けることが適当である。
(5) 適当な時期に,事務処理の方式を変更したり,生徒の分担職務を交替させたりすることにより,なるべく多くの経験を得させるように留意する。
(6) この科目を情報処理科において履修させる場合には,「プログラミングⅡ」の学習において作成されたプログラムをなるべく活用させるように留意する。
第27 商 事
1 目 標
(2) 商事活動を合理的,創造的に行なう能力を養う。
(3) 商事活動の重要性を理解させ,これに従事する者としての望ましい態度を養う。
ウ 販売予測と販売計画
ウ 商品管理
ウ 販売サービス エ 店 舗
ウ 信用販売の資金繰り
(2) この科目においては,つとめて具体的な事例を用い,商事活動の実態とあり方を理解させる必要がある。
(3) この科目の指導に当たっては,商事活動において,常に消費者の欲求を尊重し,公正な競争を心がけることの重要性をじゅうぶんに理解させる必要がある。
(4) 商事活動と関連のある国の政策や法規については,それぞれ関連する項目において随時取り扱うことを原則とする。
(5) この科目のほかに「売買実務」,「市場調査」,「広告」などを履修させる場合には,それぞれ関連する内容について相互の調整を図り,無用の重複を生じないように留意する。
第28 売 買 実 務
1 目 標
(2) 販売の技術を習得させる。
(3) 売買業務に従事する者として必要な能力と態度を養う。
ウ 売買の方法
ウ 顧客の接遇 エ 商品の陳列
ウ 訪問販売の実施
ウ 代金の回収 エ 事故処理
ウ 代金の支払い
ウ 回転不良品の処分
(2) この科目においては,売買についての実務的な学習をさせるように特に留意して,内容を取り扱う必要がある。
第29 商 品
1 目 標
(2) 商品の市場における特性を明らかにし,流通の立場から商品を鑑定する能力と態度を養う。
(3) 商品の標準化,品質表示などについて考察し,商品流通の円滑化に寄与する態度を養う。
ウ 商品の標準化と品質表示 エ 商品の鑑定
オ 商品の包装 カ 商品の市場適性
ウ 畜産品と水産品 エ 加工食品
ウ 糸と織物・編物 エ 縫 製 品
ウ 電 力
ウ ゴ ム エ パルプと紙
オ 油脂と洗剤 カ 肥 料
キ 窯業製品
ウ アルミニウム
(2) 上記の内容は,市場に流通する生産財と消費財の中から主要な商品を例示したものである。したがって,学科の目標,単位数などに応じて,内容の(2)以下を適宜取捨選択し,また,必要に応じて他の内容を加えるように留意する。
(3) 多種多様な品目を含む商品については,その中の代表的なものを選んで学習させることが適当である。
(4) この科目においては,つとめて具体的,実証的に内容を取り扱い,実験・実習を重視する必要がある。
(5) 内容の(1)については,適宜(2)以下の項目において取り扱うことができる。
第30 市 場 調 査
1 目 標
(2) 市場の現状と動向を科学的に把握し,これを商事活動に役だてる能力と態度を養う。
ウ 結果の分析と利用
ウ 実験調査法
ウ 相関関係 エ 時 系 列
ウ 推 測
ウ 店舗立地調査
(2) この科目においては,市場調査の技法についての実務的な学習をさせるように特に留意して,内容を取り扱う必要がある。
(3) 内容の(7)については,(1)から(6)までにおいて習得した個々の技術を総合的に用いて,市場調査の経験を得させるように留意する。
(4) この科目の学習には,各種の計算機器を適宜利用させるように留意する。
第31 広 告
1 目 標
(2) 広告を効果的に行なう能力および広告の倫理性を尊重する態度を養う。
ウ あて名広告 エ 屋外広告
オ 交通広告 カ 店頭広告
ウ 広告調査 エ 広告の規制
オ パブリックリレーションズとパブリシティ
(2) この科目においては,つとめて豊富な事例を用い,広告を創造的に行なう学習をさせるように留意する。
(3) 内容の(2)については,媒体別にそれぞれの広告の特質,内容,方法などを取り扱うものとする。
(4) 「商業美術」が履修されない場合には,この科目においていくつかの広告作品を製作させることができる。
第32 商 業 美 術
1 目 標
(2) 商業美術についての感覚と鑑賞力を養う。
(3) 商業美術の機能を理解させ,商事活動に商業美術を役だてる態度を養う。
ウ イラストレーション エ レタリング
オ 構 成
ウ 新聞・雑誌広告 エ パンフレット
オ リーフレット
ウ 商品容器 エ 商品化粧箱
オ 紙 袋
ウ 店舗装飾 エ 陳列と照明
オ 看板と広告塔
(2) 指導に当たっては,現代における美術の動向を考えながら,商業美術の理解を深めさせるように留意する。
(3) この科目に先だって,「広告」,「商事」,「商品」などを履修させている場合には,それらの学習によって得られた知識・理解を活用させるように留意する。
(4) この科目を少ない単位数で履修させる場合には,作品製作について内容の(2)以下を適宜取捨選択するものとする。
第33 商 業 英 語
1 目 標
(2) 英文の商業経済記事,広告などを読解する能力を養う。
(3) 商業英語を通して,外国の人々の商慣習を理解させるとともに,すすんで英文と取り組む態度を養う。
ウ 売買契約に関する文書 エ 運送と保険に関する文書
オ 代金決済に関する文書 カ 国際電報文
ウ 財務諸表 エ 就職に関する文書
(2) この科目においては,英文商業文書の読み方と書き方を中心とし,普通の英語と比較して特に実務的な面を主眼として,内容を取り扱うものとする。
(3) この科目の学習には,英文タイプライタを利用させるように留意する。
(4) この科目を少ない単位数で履修させる場合には,内容の(3)を適宜省略することが適当である。
第34 商業英会話
1 目 標
(2) 商業に関する英会話を通して,外国の人々の生活や商慣習について理解させるとともに,すすんで英会話を行なう態度を養う。
ウ 接遇と案内 エ 会議と会合
ウ 銀行取引
(2) 内容の(2)については,つとめて多くの商品名や取引用語を学習させるように留意する。
第35 貿 易 実 務
1 目 標
(2) 貿易取引に関する実務の知識と技術を総合的に習得させ,貿易業務を能率的に処理する能力と態度を養う。
(3) 貿易取引を行なう上で特に必要な,信用を重んじ,公正を尊ぶ態度を養う。
ウ 海外市場の特性
ウ 取引先の選定 エ 取引先の信用調査
オ 取引条件の協定
ウ 船 積 み エ 保険契約
オ 代金の回収
ウ 通関と荷受け エ 代金の支払い
(2) この科目においては,貿易取引についての実務的な学習をさせるように特に留意して,個々の内容を取り扱う必要がある。
(3) 適当な時期に,生徒に輸出業者,輸入業者および関係諸機関の職務を分担させ,生徒相互間で実践的に取引活動を行なわせて,その進行に伴い必要な事務をみずから処理していくように指導計画を作成することが適当である。
(4) この科目においては,他の商業に関する科目,特に「商業英語」,「商業英会話」,「英文タイプライティング」および「計算実務」の学習の成果をつとめて活用させるように留意する。
第36 商 業 実 践
1 目 標
(2) 商業社会の有機的な関連を実践的に理解させ,その中で自己が分担する職務について自覚させる。
(3) 各種の商業活動について実践的な経験を得させ,各自の個性に適した職業を選んで社会に役だつようにする態度を養う。
ウ 販 売 エ 決 算
ウ 銀行業務 エ 保険業務
(2) この科目においては,他の商業に関する科目において習得した個々の知識・技術を総合的に用いるように特に留意して,学習させる必要がある。
(3) この科目においては,生徒にそれぞれの職務を分担させ,全体の商業組織の中で,生徒自身が経営の主体となり,自主的,計画的に他の生徒との間に取引関係を発生させ,その進行に伴い必要な事務をみずから処理していくように指導計画を作成する必要がある。
(4) この科目の指導に当たっては,内容の(2)の諸機関のほか,学習活動を円滑に運営するために必要な通信業務,中央銀行業務,証券業務などを行なう機関を設けることが適当である。
(5) 適当な時期に,生徒の分担職務を交替させて,なるべく多くの経験を得させるように留意する。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取り扱い
1 学科の目標や類型のねらいを達成するため,必要な科目を重点的に選択し,科目相互の関連を考慮して,指導計画を作成するものとする。
2 商業に関する学科においては,学科の目標や類型のねらいに応じて,「商業実践」,「経理実践」,「事務実践」,「秘書実務」および「貿易実務」のうち,いずれか1の科目を履修させ,実践的な活動を通して必要な知識と技術を総合的に習得させることが適当である。
3 各科目の内容については,必要に応じて,その一部に重点をおき,また,その一部を省略して履修させることができる。
4 商品,事務機械などの実験・実習を行なうに当たっては,事故の防止に努めるとともに,安全および衛生に留意して作業を進める態度を養うようにする。