第7節 保健体育

第1 目 標

 心身の健康についての理解と合理的な運動の実践を通して,健康の保持増進と体力の向上を図り,心身ともに健康な生活を営む態度を養う。

このため,

1 心身の発達や運動の特性について理解させるとともに,各種の運動を適切に行わせることによって強健な心身を養い,体力の向上を図る。

2 生活における運動の意味を理解させるとともに,運動の合理的な実践を通して,各種の運動技能を習得させ,公正,責任,協力などの態度を養い,生活を健全にし豊かにする能力や態度を養う。

3 個人生活における健康・安全について理解させるとともに,国民の健康についての基礎的知識を習得させ,健康で安全な生活を営むための能力や態度を養う。

 

第2 各分野の目標および内容 [体育分野]  1 目 標 (1) 各種の運動を適切に行わせることによって,強健な身体を養うとともに,旺盛(おうせい)な気力を育て,体力の向上を図る。

(2) スポーツやダンスの技能を習得させ,積極的に運動を実践する習慣を育て,生活を健全にし明るくする能力や態度を養う。

(3) 運動における競争や協同の経験を通して,公正な態度を養い,進んで規則を守り,互いに協力して責任を果たすなどの能力や態度を養う。

(4) 運動の特性や運動の実践に関する基礎的知識を習得させ,生活における体操,スポーツおよびダンスの意味を理解させるとともに,運動を合理的に行なう能力や態度を養う。

 2 内 容

  A 体 操

(1) 次の運動によって,身体を部分的,全身的に動かし,基礎的な動きを身につけさせ,柔軟性や調整力を養うとともに,筋力・瞬発力,持久力を養う。 ア 身体の各部位の挙振,屈伸,捻転(ねんてん),回旋などの運動および歩,走,跳,投捕などの全身的運動による柔軟性や調整力を養う運動。

イ 腕立て伏臥(ふくが)腕の屈伸,仰臥(ぎょうが)上体起こし,脚の屈伸,片足連続とびなどの筋力・瞬発力および筋持久力を養う運動。

ウ かけ足,連続跳躍などの全身持久力を養う運動。

(2) 目標に応じて体操を活用することができるようにする。 ア 準備,整理,きょう正などのための体操。

イ 体力を高めるための体操。

(3) 集団行動に必要な集合,列の増減,方向変換などができるようにする。

(4) 互いに協力して,自己の体力に応じた体操を行なうことができるようにする。

  B 器械運動 (1) 次の運動によって,器械運動の技能を養う。 ア 鉄棒運動 (ア) さか上がり−腕立て後転・振りとび,さか上がリ−腕立て前転・後ろおり。

(イ) 足かけ上がり−足かけ後転・踏み越しおり,足かけ上がり−足かけ前転・転向前おり。

(ウ) け上がり−腕立て後転・振りとび(男子)。

イ とび箱運動 (ア) 腕立て開脚とび,腕立て斜め開脚とび(男子)。

(イ) 腕立て閉脚とび,腕立て水平とび(男子)。

(ウ) 台上前転,腕立て前転(男子)。

ウ マット運動 (ア) 前転−後転,前転−開脚前転,伸膝(しんしつ)前転−前転,とび込み前転−前転。

(イ) 後転−開脚後転,後転−伸膝後転。

(ウ) 腕立て側転。

(エ) 倒立(男子),倒立歩行(男子)。

(オ) 腕立て前転−前転(男子),腕立て前転−とび込み前転(男子)。

エ 平均台運動(女子) (ア) 歩・走。

(イ) 片足とび,両足とび。

(ウ) 1/2回転,1回転。

(エ) 片足の平均,腕立ての平均,腰立ての平均。

(2) 自己の技能の程度を知り,目標をもって,互いに協力して計画的に練習や発表を行なうことができるようにする。

(3) 器械・器具の安全や清潔に留意して運動を行なうことができるようにする。

  C 陸上競技 (1) 次の運動によって,陸上競技の技能を養う。 ア 短距離走(50〜100m),リレー,スタートと疾走法,バトンパス。

イ 長距離走(2,000m程度,男子),持久走(1,000m程度,女子),走法とペースのとり方。

ウ 障害走

ハードリングとインターバルの走り方。 エ 走り高とび はさみとびの助走,踏み切り,空間動作および着地。 オ 走り幅とび そりとびの助走,踏み切り,空間動作および着地。 カ ソフトボール投げ 距離投げの投げ方。
(2) 自己の走,跳および投の能力の程度を知り,目標をもって,互いに協力して計画的に練習や競技を行ない,また,競争における勝敗に対して公正な態度をとることができるようにする。

(3) 走路,砂場などの安全を確かめるなど健康・安全に留意して運動ができるようにする。

  D 水 泳 (1) 次の運動によって,泳ぎや飛び込みの技能を養い,長く速く泳ぐことができるようにする。 ア 泳ぎ クロール,平泳ぎ,横泳ぎ,背泳ぎ,立ち泳ぎ,潜水。 イ 飛び込み 立ち飛び込み,さか飛び込み。 (2) 自己の水泳能力の程度を知り,目標をもって,互いに協力して計画的に練習や競泳を行なうことができるようにする。

(3) 水泳の事故防止に関する心得を守り,安全に水泳を行なうことができるようにする。

  E 格技(男子) (1) 次の運動によって,格技の技能を養い,技能の程度に応じた試合ができるようにする。 (すもう)

ア 基本動作

構え,しきり,運び足。 イ 対人的技能 (ア) 前さばき。

(イ) 押し,突き,寄り。

ウ 試合

既習の技能を利用した試合。

(柔 道)

ア 基本動作

受け身,姿勢と組み方,くずしと体さばき。

イ 対人的技能

(ア) 体落とし。

(イ) 大腰,つり込み腰,払い腰,はね腰。

(ウ) ひざ車,ささえつり込み足,大内刈り,大外刈り,小内刈り,出足払い,送り足払い。

(エ) けさ固め,横四方固め,上四方固め。

(オ) 相手に応ずるわざ

大内刈り−体落とし,大外刈り返し,小内刈り−横四方固め。
ウ 試合 既習の技能を利用した試合。 (剣 道)

ア 基本動作

構えと体さばき,正面,左右面,小手および胴の打ち方と受け方。 イ 対人的技能 (ア) 2段のわざ 小手一面,小手一胴,面一胴。 (イ) 払いわざ 払い面,払い胴,払い小手。 (ウ) 出ばなわざ 出ばな面。 (エ) ひきわざ ひき面,ひき胴。 (オ) すり上げわざ 面すり上げ面,小手すり上げ面。 (カ) 打ち落としわざ 胴打ち落とし面。 (キ) 抜きわざ 面抜き胴,小手抜き面。 ウ 試合 既習の技能を利用した試合。
(2) 自己の技能の程度を知り,目標をもって,互いに協力して計画的に練習や試合を行い,また,試合における勝敗に対して公正な態度をとるとともに,勝敗の原因を考え,練習のくふうをすることができるようにする。

(3) 用具や練習場の安全を確かめ,禁じわざを用いないなど健康・安全に留意して運動を行うことができるようにする。

  F 球 技 (1) 次の運動によって,球技の技能を養い,規則を守り,攻防のしかたを考えてゲームができるようにする。 (バスケットボール)

ア 個人的技能

パス,ドリブル,シュート,フットワーク。 イ 集団的技能 (ア) 速攻。

(イ) カットインプレー。

(ウ) ポストプレー。

(エ) 対人防御。

(オ) 地域防御。

ウ ゲーム 既習の技能を利用したゲーム。 (ハンドボール)

ア 個人的技能

パス,ドリブル,シュート,フットワーク。 イ 集団的技能 (ア) 速攻。

(イ) カットインプレー。

(ウ) ポストプレー。

(エ) 対人防御。

(オ) 地域防御。

ウ ゲーム 既習の技能を利用したゲーム。 (バレーボール)

ア 個人的技能

パスとレシーブ,サーブ,トス,スパイク。 イ 集団的技能 (ア) パス攻撃とレシーブ。

(イ) サーブに対するレシーブ。

(ウ) 2段攻撃,3段攻撃とその防御。

ウ ゲーム 既習の技能を利用したゲーム。 (サッカー)(男子)

ア 個人的技能

キック,ドリブル,シュート,ヘッディング,トラッピング,タックル,スローイン。 イ 集団的技能 (ア) キックアンドラッシュ攻撃とその防御。

(イ) ロングパスやシュートパスによる攻撃とその防御。

ウ ゲーム 既習の技能を利用したゲーム。
(2) チームにおける自己の役割を自覚して,その責任を果たし,互いに協力して計画的に練習を行ない,また ゲームにおける勝敗に対して公正な態度をとるとともに,勝敗の原因を考え,練習の方法をくふうすることができるようにする。

(3) 用具や練習場の安全を確かめ,健康・安全に留意して練習やゲームができるようにする。

  G ダンス(女子) (1) 次の運動によって,ダンスの技能を基い,フォークダンスを踊ることや短い作品を創作することができるようにする。 (フォークダンス)

ア 外国の民踊

オクラホマミクサー,コロブチカ,トトウール,ドードレブスカポルカ,マイムマイム,ネリーブライ。 イ 日本の民踊

(創作ダンス)

ア 題材の選び方

自然,生活事象,生活感情などから個人や集団の動きにふさわしい題材や内容を選ぶこと。 イ 表わし方 個人や集団で表わしたい感じにふさわしく,リズム,強度,身体の動きおよび場所の使い方を変化・発展させて表現すること。 ウ まとめ方 表わしたい感じの中心を決め,それにふさわしいまとめ方をすること。 エ 鑑賞 美しい表現を感じとり,内容にふさわしい表現を見分けること。
(2) グループで役割を分担し,互いに協力して,計画的に練習や発表を行なうことができるようにする。
  H 体育に関する知識 (1) 中学校生徒の特性と運動

中学校期における男女の体力の発達の特徴を知らせ,生活全体を通して運動を実践することの必要性を理解させる。

(2) 運動の特性と練習

体操,スポーツ,ダンスの特性に基づく練習の原則について理解させるとともに,運動練習の諸条件についても知らせる。

ア 体操の構成のしかたと行ない方 体操の特性を知り,それに基づいた体力を高める体操や準備,整理,きょう正などのための体操の構成のしかたの原則と,生活における行ない方について理解すること。 イ スポーツとダンスの練習のしかた スポーツにおける個人的種目,対人的種目,集団的種目の特性およびフォークダンスや創作ダンスの特性を知り,それに基づいた練習計画や練習方法の原則について理解すること。

また,登山,キャンプなどの野外活動においては,安全に行なうために気象や地形などについて知り計画の立て方やその行ない方についても理解すること。

ウ 運動練習の諸条件 合理的な運動の練習には,上達しようとする意欲や他人との協力が必要であることを知るとともに,栄養,休養および傷害の予防が重要であることを理解すること。
(3) 運動の効果

身体の形態や機能の発達および精神の発達に及ぼす運動の効果について理解させる。

ア 運動と身体の発育 身長,体重,胸囲などの発育や体型に及ぼす運動の効果を理解すること。 イ 運動と体力や運動技能の向上 筋力・瞬発力,持久力,調整力および運動技能に及ぼす運動の効果について理解すること。 ウ 運動の精神的効果 運動が情緒の安定や社会性の発達に役だつことについて理解すること。 (4) 体力の測定方法と結果の活用 体力の測定方法を理解し,各自の体力の現状を知って運動することの必要性を理解させる。 (5) 現代の生活と運動 都市や産業の発達による社会生活の変化によって,人間の生活において,体育やレクリエーションとしての運動が必要になってきたことを理解させる。 (6) 運動によるレクリエーションの現状 地域社会や職場などの生活において,運動によるレクリエーションが行なわれている現状について理解させるとともに,おもな国内競技会や国際競技会の大要や特色についても知らせる。
 3 内容の取り扱い (1) 内容のAからGまでに示された事項については,次の(2)から(8)までに示す各運動の内容の取り扱いを考慮して,各学年に適切に配当して指導するものとする。

(2) 内容のAについては,次の事項について配慮するものとする。

ア (1)の運動は徒手だけでなく,手具や器具を用いたり,組みになったりする運動も適宜加えて扱うこと。

イ (2)については,行なう場所,人数,個人差などに応じて行ないうるようにすること。

ウ (3)については,内容のB,C,D,E,FおよびGの指導においても適切に取り扱うこと。

(3) 内容のBについては,次の事項について配慮するものとする。 ア 初歩的段階では,各運動の基礎的な技能を身につけ,進んだ段階では,各運動の技能を高めて確実にできるようにし,さらに進んだ段階では,各運動の技能をいっそう高めて円滑にできるようにすることに重点をおいて取り扱うこと。

イ (1)のアについては,女子の場合は懸垂力を高めることに重点をおいた取り扱いも考慮すること。

ウ (1)のアの(ア)の「さか上がり−腕立て前転・後ろおり」については,男子においては,おり方を横とび越しおりに代えて取り扱ってもよいこと。

エ (1)のエについては,各種の上がり方,おり方も含めて取り扱うようにすること。

(4) 内容のCについては,次の事項について配慮するものとする。 ア 初歩的段階では,走,跳および投の基礎的な技能を身につけ,進んだ段階では,生徒の走,跳および投の能力に応じて技能をいっそう高めることに重点をおいて取り扱うこと。

イ (1)のウからカまでについては,いずれかに重点をおいて取り扱うこと。

ウ (1)のエおよびカについては,エの「はさみとび」をベリーロールに,カをハンドボール投げまたは砲丸投げに代えて取り扱ってもよいこと。

(5) 内容のDについては,次の事項について配慮するものとする。 ア 初歩的段階では,各種の泳ぎや飛び込みの基礎的な技能を身につけ,安全に泳げる能力を養い,進んだ段階では,各種の泳ぎに慣れ,競泳の基礎的な技能を身につけ,さらに進んだ段階では,各種の泳ぎや競泳の技能を高めることに重点をおいて取り扱うこと。

イ (1)のアの「クロール」,「平泳ぎ」,「背泳ぎ」については,第2学年からスタート,夕ーンの方法も加えて取り扱うこと。

ウ 泳ぎの未熟な生徒については,初歩的な泳ぎから取り扱うようにすること。

エ 適切な水泳場がない場合は欠くことができるが,その場合でも水泳の事故防止に関する心得については必ず取り扱うこと。

(6) 内容のEについては,次の事項について配慮するものとする。 ア すもう,柔道,剣道のうちいずれか一つを選んで指導すること。

イ 基本動作,対人的技能および試合の内容は,相互に密接な関連をもって取り扱うこと。

ウ 初歩的段階では,基本動作や対人的技能を正しく身につけ,進んだ段階では,相手の変化に応じた攻防の技能を養い,さらに進んだ段階では,相手の変化に応じた攻防の技能をいっそう高めることに重点をおいて取り扱うこと。

エ 試合についてほ,生徒の技能の程度に応じて,規則や審判のしかたについても取り扱うこと。

オ すもうについては,土俵が整備されている場合は投げわざを取り扱うことができること。

(7) 内容のFについては,次の事項について配慮するものとする。 ア バスケットボールとハンドボールについては,いずれか一つを選んで指導すること。

イ サッカーについては,運動場が狭く,じゅうぶんな指導ができない場合は,他の球技種目に代えることができること。

ウ 第3学年においては,示された球技種目に代えて,ソフトボール,テニス,卓球,バドミントンを指導することができること。

エ 個人的技能,集団的技能およびゲームの内容は,密接な関連をもって取り扱うこと。

オ 初歩的段階では,個人的技能や集団的技能を身につけ,進んだ段階では,個人的技能や集団的技能を高めて攻防の基礎を養い,さらに進んだ段階では,相手の攻防に応じた集団的技能を高めることに重点をおいて取り扱うこと。

カ ゲームについては,生徒の技能の程度に応じて,規則や審判のしかたについても取り扱うこと。

(8) 内容のGについては,次の事項について配慮するものとする。 ア フォークダンスのイについては,各地方の民踊のうちから,学校や生徒の実情を考慮して適切なものを選択して指導すること。

イ 創作ダンスについては,初歩的段階では,表わしたい感じの特徴をとらえて素描し,進んだ段階では,表わしたい感じにふさわしくフレーズをつくり,反復,連続して変化・発展させ,さらに進んだ段階では,表わしたい感じが強められるように,中心を決め,変化とまとまりのある作品をつくることに重点をおいて取り扱うこと。

(9) 内容のBからGまでの中で(男子)あるいは(女子)と示されている事項については,それぞれ主として男子と女子に対して指導するものとする。

(10) 内容のB,C,D,E,FおよびGの指導においても,筋力・瞬発力,持久力,調整力を養うことを考慮するようにする。

(11) 内容のHについては,主として(1),(2)は第1学年において,(3),(4),は第2学年において,(5),(6)は第3学年において取り扱い,また,できるだけ各運動の学習や保健分野の内容との関連を図って取り扱うものとする。

(12) 視覚障害者,聴覚障害者,肢体不自由者,病弱者および身体虚弱者については,その状態に応じて指導するよう配慮するものとする。

(13) 積雪地,寒冷地等においては,スキー,スケートを加えて指導することができる。

 

[保健分野]

 1 目 標 (1) 心身の発達や環境の衛生および健康な生活の設計について理解させ,健康な生活を営むための能力や態度を養う。

(2) 事故災害の防止や病気の予防について理解させるとともに,救急処置の技能を習得させ,これらを実践する能力や態度を養う。

(3) 国民生活における健康についての基礎的知識を習得させ,国民の健康を高めるために協力しようとする態度を育てる。

 2 内 容 (1) 健康と身体の発達 健康のなりたちと身体の発達について理解させる。

ア 健康のなりたち

健康の考え方,健康な状態および健康成立の条件について理解し,日常生活において健康を保持増進することの必要性について知ること。 イ 身体の発育 身体の発育とその男女差・個人差および均整のとれた発育について理解すること。また,胸囲,座高の測定法を知ること。 ウ 身体の機能的発達 呼吸機能,循環機能の発達ならびに内分泌機能の発達とその男女差について理解すること。また,肺活量の測定法を知ること。
(2) 環境の衛生 環境の衛生的基準や衛生的な処理のしかたについて理解させるとともに,公害の大要を知らせる。

ア 空気条件と照明

室内における温度・湿度・気流の衛生的基準と調節,感覚温度,一酸化炭・二酸化炭の恕限度(じょげん)と換気の方法および照度の衛生的基準と採光・照明の方法について理解すること。また,一酸化炭素,二酸化炭素および照度の検査法を知ること。 イ 飲料水と水の浄化法 飲料水の基準,井戸の衛生的条件および水の浄化法について理解すること。また,飲料水の検査法を知ること。 ウ 汚物・有害昆虫(こんちゅう)などとその処理 屎尿(しにょう)・廃棄物とその処理,ねずみ・有害昆虫とその駆除について理解すること。 エ 公害と健康 公害の現状を知り,大気汚染,騒音および水質汚濁が心身の健康に及ぼす影響について理解すること。
(3) 生活の安全 日常生活における事故災害の現状,原因および防止について理解させ,救急処置ができるようにする。

ア 事故災害とその防止

学校や家庭における事故災害の現状,原因および防止ならびに労働災害の現状について理解すること。また,自然災害や火災の現状と発生時における適切な行動のしかたを知ること。 イ 交通事故とその防止 交通事故発生状況の推移を知り,特に,道路交通の事故の原因,被害状況を分析し,防止のしかたについて理解するとともに,積極的に事故防止に努めることができるようになること。 ウ 外傷や急病とその防止 創傷,挫傷(ざしょう),凍傷,火傷,骨や関節の損傷ならびに日射病,脳貧血,ショックの症状,処置および防止について理解すること。 エ 救急処置 救急処置の目的や限界,救急用品とその利用法について理解し,包帯法,止血法,人工呼吸法および運搬法ができること。
(4) 健康な生活の設計と栄養 栄養,薬品・嗜好(しこう)品,疲労・休養などと健康との関係を理解させ,健康な生活の設計ができるようにする。

ア 栄養の基準と食品の栄養価

栄養素のはたらき,栄養の所要量と基準量,食品の栄養価と選択のしかたおよび国民の栄養摂取量の推移を理解し,食生活の改善の重要性について知ること。 イ 栄養障害と食中毒 栄養障害と食中毒の現状,原因,症状および防止について理解すること。 ウ 薬品・嗜好品と健康 薬品・嗜好品の種類の大要を知り,特に,麻薬,覚せい剤,催眠剤,抗生物質ならびに酒,たばこなどと健康の関係について理解すること。また,代表的な農薬,毒物および劇物と健康の関係についても知ること。 エ 疲労と休養 疲労とその徴候,疲労の回復に必要な休息・睡眠の適切なとり方について理解すること。また,学習や作業の能率を高める方法について知ること。 オ 健康な生活の設計 食事,学習,作業,運動,休息,睡眠などに要する生活時間について調和を保つことの必要性を理解し,健康な生活の設計ができること。
(5) 病気とその予防 おもな病気の種類と予防について理解させ,家庭における看護のしかたについて知らせる。

ア 伝染病の予防

伝染病の種類とその現状,予防の原則および予防接種について知ること。特に,赤痢や結核の原因,感染経路,症状および予防について理解すること。 イ 青少年のかかりやすい病気 近視,う歯,歯肉炎,副鼻腔(ふくびくう)炎および腎臓病(じんぞうびょう)の原因,症状および予防について理解すること。 ウ 成人に多い病気 脳卒中,がん,心臓病および胃潰瘍(いかいよう)についての大要を知り,健康診断の必要性について理解すること。 エ 職業病と地方病 職業病の現状と地方病の発生地帯,発生原因とその現状について知ること。 オ 病人の看護 病室環境の整え方,食事と薬の与え方,罨法(あんぽう)のしかた,身体の清潔方法および排泄物(はいせつぶつ)の処理法について知ること。また,病人の症状などの諸記録のしかたについても知ること。
(6) 精神の健康 精神の発達と生活における適応障害や精神障害の概要について知らせ,健康な精神生活について理解させる。

ア 精神の発達

知能の発達と個人差,情緒や社会性の発達と男女差・個人差についての大要を知ること。 イ 精神の障害 悪い習癖や非行などの適応障害ならびに精神病,神経症などの精神障害についての大要を知ること。また,精神薄弱についても知ること。 ウ 健康な精神生活と心身相関 中学校生徒の欲求と行動の特性を知り,自分や他人をよく理解し,悩みや不安の解消を適切にし,生活に目標をもち,よい生活態度や習慣を身につけることの重要性について理解するとともに,精神の健康が身体の健康に深い関係があることを知り,健康な生活を送ることができるようになること。
(7) 国民の健康 国民の寿命と健康状態および保健・医療に関する制度や現状について理解させ,国民の健康を高めるために協力することの必要性を知らせる。

ア 国民の寿命

国民の平均寿命の推移,平均余命の男女別の現状ならびに出生率,粗死亡率,死因の推移を知ること。 イ 国民の傷病 国民の傷病の概況,特に,児童生徒や勤労者の傷病の現状について知ること。 ウ 国民の保健制度 保健所,医療施設および保健・医療従事者の現状について理解し,国民の保健に関するおもな制度の大要を知ること。 エ 保健・医療に関する社会保障 わが国における医療保険,医療扶助,社会福祉における保健面の大要について知ること。 オ 公衆衛生の進歩 公衆衛生の進歩が国民の健康に寄与したことについて知り,今後の問題について考えること。
 3 内容の取り扱い (1) 内容については,主として(1),(2)は第1学年において,(3),(4)は第2学年において,(5),(6),(7)は第3学年において取り扱うものとする。

(2) 内容の(1)のイについては,出生から義務教育終了時までの身長,体重,胸囲および座高の推移について取り扱うものとする。

(3) 内容の(2)のイの「飲料水の基準」については,水道法に定める基準のうち,色,味,におい,濁り,アンモニア性窒素,有機物,塩素イオン,水素イオン濃度および細菌を取り扱い「飲料水の検査法」については,上記のうち細菌以外のものを取り扱うものとする。また,「水の浄化法」については,簡便な濾過(ろか)や消毒法から上水道の浄化法まで取り扱うものとする。

(4) 内容の(3)のエにおいては,血液型や輸血についても取り扱うものとする。

(5) 内容の(5)のアについては,癩(らい),痘そうの推移にも触れるとともに,性病の概要についても取り扱うものとする。また,結核の健康診断の方法についても取り扱うものとする。

(6) 内容の(6)のイの「精神薄弱」については,精神薄弱者を正しく理解することができるように取り扱うものとする。

(7) 内容の(1)のイ,ウの測定法,(2)のア,イの検査法および(3)のエの救急処置については,実践・実習を行ない効果的に取り扱うものとする。

(8) 性に関する内容については,心身の発達における男女差を正しく理解することを中心に,効果的に取り扱うものとする。

(9) 内容の指導に当たっては,理科,社会科との関連を図り,効果的に取り扱うものとする。

 

第3 指導計画の作成 1 各分野に充てる授業時数は,3年間を通して,体育分野305単位時間,保健分野70単位時間を標準とし,それぞれ各学年におよそ等しく配当するものとする。

2 体育分野の内容のAからHまでのそれぞれに割り当てる各学年の年間授業時数は,次の表に示す割合を標準とし,学校や生徒の実態に即して適切に定めるものとする。

 

3 指導計画の作成に当たっては,次の事項について配慮するものとする。

(1) 各運動の特性,生徒の体力や健康状態,運動経験,男女の特性を考慮すること。

(2) 地域の実態,季節との関連を考慮するとともに施設設備をじゅうぶん活用すること。

(3) 道徳,特別活動と密接な関連を図り,効果的な指導ができるようにすること。