第1章 総  則

第1 教育課程一般

1 学校においては,法令およびこの章以下に示すところに従い,地域や学校の実態および生徒の心身の発達段階と特性をじゅうぶん考慮して,適切な教育課程を編成するものとする。

2 第2章以下に示す国語,社会,数学,理科,音楽,美術,保健体育,技術・家庭,外国語,農業,工業,商業,水産および家庭の各教科(以下「各教科」という。),道徳ならびに特別活動の内容に関する事項は,特に示す場合を除き,いずれの学においても取り扱わなければならない。

学校において特に必要がある場合には,第2章以下に示していない内容を加えてもさしつかえないが,その場合には,第2章以下に示している各教科の各学年もしくは各分野の目標または道徳もしくは特別活動の目標やこれらの内容の趣旨を逸脱したり,生徒の負担過重となることのないようにしなければならない。

3 学校において特に必要がある場合には,2以上の学年の生徒で編制する学級について,各教科の目標の達成に支障のない範囲内で,各教科についての学年別の順序によらないことができる。

4 学校において特に必要がある場合には,学業不振のため通常の教育課程による学習が困難な生徒について,各教科の目標の趣旨をそこなわない範囲内で,各教科の各学年または各分野目標および内容に関する事項の一部を欠くことができる。

5 学校においては,各教科(学校教育法施行規則第53条)に定めるその他特に必要な教科を含む。以下8において同じ。)道徳および特別活動について,相互の関連を図り,全体として調和のとれた具体的な指導計画を作成し,発展的,系統的な指導を行なうものとする。

なお,指導計画の作成に当たっては,この章ならびに第2章以下に示す各教科,道徳および特別活動の指導計画の作成に関する事項にじゅうぶん留意するものとする。

6 第2章に示す各教科の各学年または各分野の内容に示す事項の順序は,特に示す場合を除き,指導の序を示すものではないので,学校に

おいては,各事項のまとめ方や順序にくふうを加え,効果的な指導を行なうものとする。

7 選択教科については,次の事項について配慮するものとする。

(1) 生徒に各学年1以上の選択教科を履修させるものとするが,その際,生徒の進路,特性等をじゅうぶん考慮し,それぞれの生徒に適した選択教科を履修させること。

(2) 外国語については,英語,ドイツ語,フランス語その他の外国語のうちいずれか1か国語を履修させることを原則とし,第1学年から履修させるようにすること。

(3) 農業,工業,商業,水産,家庭およびその他特に必要な教科については,主として第3学年において履修させるものとするが,地域や学校の実態および生徒の必要に応じて第1学年から履修させることができること。
 

 授業時数については,次の事項について配慮するものとする。 (1) 授業は年間240日以上行なうように計画し,各教科,道徳および特別活動の授業時数が適切に確保されるようにするとともに週当たりの授業時数が生徒の負担過重とならないようにすること。

(2) 各教科および道徳の授業は,年間35週以上にわたって行なうように計画すること。

(3) 特別活動(学級指導(学校給食を除く。),クラブ活動および学級会活動に限る。以下(4)において同じ。)の授業は,年間35週以上にわたって行なうように計画し,その他の特別活動の授業についてほ,その内容に応じ,年間,学期または月ごとなどに適切な授業時数を配当するようにすること。

(4) 各教科,道徳および特別活動のそれぞれの授業の1単位時間は50分を常例とするが,45分とすることも考慮し,学校や生徒の実態に即して適切に定めること。
 

9 以上のほか,次の事項について配慮するものとする。 (1) 生徒の興味や関心を重んじ,自主的,自発的な学習をするように指導すること。

(2) 個々の生徒の能力・適性等の的確な抱握に努め,その伸長を図るように指導するとともに,適切な進路の指導を行なうようにすること。

(3) 教師と生徒および生徒相互の好ましい人間関係を育て,生徒指導の充実を図ること。

(4) 学校生活全体における言語環境を整え,生徒の言語活動が適正に行なわれるように努めること。

(5) 教科書その他の教材・教具を活用し,学校図書館を計画的に利用すること。

なお,学校の実態に即して視聴覚教材を適切に選択し,活用して,指導の効果を高めること。

(6) 指導の効率を高めるため,教師の特性を生かすとともに,教師の協力的な指導がなされるようにくふうすること。

(7) 指導の成果を絶えず評価し,指導の改善に努めること。

(8) 心身に障害のある生徒については,生徒の実態に即した適切な指導を行なうこと。

 

第2 道徳教育

 学校における道徳教育は,学校の教育活動全体を通じて行なうことを基本とする。したがって,道徳の時間はもちろん,各教科および特別活動においても,それぞれの特質に応ずる適切な指導を行なわなければならない。

 道徳教育の目標は,教育基本法および学校教育法に定められた教育の根本精に基づく。すなわち,道徳教育は,人間尊重の精神を家庭,学,その他社会における具体的な生活の中に生かし,個性豊かな文化の創造と民主的な社会および国家の発展に努め,進んで平和的な国際社会に貢献できる日本人を育成するため,その基盤としての道徳性を養うことを目標とする。

 

第3 体  育

 健康で安全な生活を営むのに必要な習慣や態度を養い,心身の調和的発達を図るため,体育に関する指導については,学校の教育活動全体を通じて適切に行なうものとする。特に,体力の向上については,保健体育科の時間はもちろん,特別活動においても,じゅうぶん指導するよう配慮しなければならない。