中学校学習指導要領等の改定の要点

(現行学習指導要領との対比)

(学校教育法施行規則)
改正の概要
現行
1 教育課程の編成

(1)教育課程は,必修教科,選択教科,道徳および特別活動によって編成することとしている。

(2)選択教科は,外国語,農業,工業,商業,水産および家庭の各教科ならびに中学校学習指導要領で定めるその他特に必要な教科としている。

2 授業時数

(1)各学年における必修教科道徳および特別活動のそれぞれの年間授業時数(特別活動の授業時数については,学級指導(学校給食を除く。),クラブ活動および学級会活動にあてる授業時数とする。),選択教科等にあてる年間授業時数ならびにこれらの年間総授業時数を標準として示している。

 

(2)選択教科等にあてる授業時数は,1以上の選択教科の履修にあてるほか,特別活動の授業時数等の増加にあてることができることとしている。

(3)次の各教科等について年間授業時数の増加を行なっている。

 国  語 第2学年 175時間

          (35時間増)

 数  学 第3学年 140時間

          (35時間増)

 美  術 第2学年 70時間

          (35時間増)

 保健体育  各学年 125時間

         (計60時間増)

 特別活動  各学年 50時間

         (計45時間増)

 

○教育課程は,必修教科,選択教科,道徳,特別教育活動および学校行事等で編成することとしている。

○選択教科は,外国語,農業,工業,商業,水産,家庭,数学,音楽および美術の各教科ならびに中学校学習指導要領で定めるその他の教科としている。 

 

○各学年における必修教科,選択教科,道徳および特別教育活動(特別教育活動の授業時数については学級活動にあてる授業時数とする。)のそれぞれの年間授業時数を最低授業時数として示し,さらにこれらの授業時数の計を示し,これを下ってはならないとしている。なお,これらの週当たりの授業時数を参考として示している。

 

○規定がない。

 

 

 

 国  語   第2学年 140時間

 

 数  学   第3学年 105時間

 

 美  術   第2学年 35時間

 

 保健体育    各学年 105時間

 

 特別教育活動  各学年 35時間

(総 則)
新学習指導要領
現行学習指導要領
1 授業時数の運用

(1)授業は年間240日以上行なうように計画し,各教科,道徳および特別活動の授業時数が適切に確保されるようにするとともに週当たりの授業時数が生徒の負担過重とならないようにすることとしている。

(2)授業の1単位時間は50分を常例とするが,45分とすることも考慮し,学校や生徒の実態に即して適切に定めることとしている。

 

2 学業不振児に対する配慮

 学校において特に必要がある場合には,学業不振のため通常の教育課程による学習が困難な生徒について各数料の目標の趣旨をそこなわない範囲内で,各教科の各学年または各分野の目標および内容に関する事項の一部を欠くことができることとしている。

3 選択教科の履修方法

(1)生徒に各学年1以上の選択教科を履修させることとし,「選択教科等にあてる授業時数」(各学年140時間としている。)を定めて,その範囲内で選択履修させることとしている。

 

(2)農業,工業,商業,水産,家庭およびその他特に必要な教科は主として第3学年において履修させ,域や学校の実態および生徒の必要によっては第1学年から履修させてもよいとしている。
 
 

4 体育の充実 体育に閃する指導については,学校の教育活動全体を通じて適切に行なうものとし,特に,体力の向上については,保健体育科の時間はもちろん,特別活動においても,じゅうぶん配慮することとしている。

5 進路の指導の重視

 個々の生徒の能力・適性等の的確な把握に努め,その伸長を図るように指導するとともに,適切な進路の指導を行なうようにすることとしている。

6 生徒指導の充実

 教師と生徒および生徒相互の好ましい人間関係を育て,生徒指導の充実を図ることとしている。

○規定がない。

 

 

○授業の1単位時間は,50分とすることが望ましい。季節およびその他の事情により,授業の1単位時間を50分未満として授業を行なう場合においても,当該学年において,表に示す授業時数を下ってはならないとしている。

 

○規定がない

 

 

 

 

○学校は,毎学年1以上の選択教科について105単位時間以上を履修させなければならないこと。このうち少なくともいずれか1の教科の授業時数は70単位時間(外国語は105単位時間)以上でなければならないなどと規定している。

 

○履修すべき学年については,明確な規定がない。

 

 

○規定がない。

 

 

 

 

○規定がない。

 

 

○生徒指導については規定がない。

(国 語)
新学習指導要領
現行学習指導要領
1 目標について

 総括的な目標に国語教育の本質を明確にし,「生活に必要な国語教育の能力を高め,国語を尊重する態度を育てる。」と示している。特に具体的な目標に,言語文化に関する目標を示している。

2 内容について

(1)内容の再構成と内容の精選 領域A(聞くこと,話すこと),B(読むこと),C(書くこと),D(ことばに関する事項)の四つに再構成し,全般にわたって内容の精選集約を図っている。

(2)読むことの指導の強化

 ア 読むことの教材については,適切にして価値のあるものを用いるようにし,選定の観点を示している。

 イ 教材の中に古典を含めることとし,古典に対する関心を深め,古典として価値のある古文と漢文とを理解するための基礎を養うようにしている。

 ウ 読解指導と密接に関連を図り,読書の態度を養うようにしている。

(3)作文指導の強化 作文の基礎的な能力と態度を身につけさせるために,指導事項および学習活動を明確にしている。また,授業時数は各学年とも年間標準授業時数の10分の2程度を充てている。

(4)書写指導の充実

 文字を書くことの指導について,各学年における内容を明確に示している。特に,下学年の指導を重視し,授業時数は,第1学年は現行どおり10分の2程度,第2学年は10分の1程度と定め,第3学年は適宜計画的に指導するようにしている。

(5)漢字指導の強化

 漢字については,当用漢字の全部を学習させ,特に書くことにおいては,そのうち1,000字程度を使いこなすように習熱させることとしている。

(6)ことばに関する事項の指導の重視

 Dという領域を設けて,ことばに関する事項の指導の充実を図り,国語の知識の理解とその応用を,具体的な活動を通して指導するとともに,知識を整理しまとめさせることも指導できるようにしている。

1 目標について

○4項目のうち,第1の目標は総括であるが,重点がどこにあるかわかりにくい。言語文化に関しては,明確には示していない。

 

2 内容について

○A(聞くこと,話すこと,読むこと,書くこと)とB(ことばに関する事項)とで構成している。

 

 

○教材選定の観点は,明確には示していない。

○古典については,基本的なものに適宜触れさせ,古典に対する関心をもたせるように留意することとしている。

 

○読書の態度などの指導については,特に示していない。

○指導事項については,やや明確でない。また,授業時数については,各学年とも年間最低授業時数の10分の1以上を充てるようにしている。 

 

○内容は作文と合わせて示しており,授業時数は第1学年において,年間最低授業時数の10分の2程度を充てるようにし,第2学年,第3学年は時宜に応じて計画的に指導することになっている。

 

○漢字を読むことについては,当用漢字の全部を読めるように努めることになっており,書くことについては,当用漢字別表の漢字(881字)を使いこなすことになっている。

 

○聞くこと,話すこと,読むこと,書くことの学習を通して指導するようになっており,まとまった知識の指導については,明確に示していない。

 

(社 会)
新学習指導要領
現行学習指導要領
1 目標について

 総括的な目標を,「社会生活についての理解と認識を養い,民主的,平和的な国家・社会の形成者として必要な資質の基礎をつちかう。」とし,3項目にわたって,具体的な目標を示している。その中で,各分野の中核的な目標として,「わが国土に対する認識」(地理的分野),「わが国の歴史対する正しい理解」(歴史的分野),「わが国の公民としての基礎的教養」(公民的分野)を示し,さらに,急速に変化発展している日本や世界の現状に目を開かせること,さまざまな情報に対処すること,確実な資料に基づいて公正に判断しようとする態度とそれに必要な能力の基礎をつちかうことなどを強調している。

2 内容について

(1)分野の性格の明瞭化

 各分野の中核目標を中心に,現行の目標を整理し,各分野固有の性格やねらいを具体的かつ簡潔に表現している。

(2)内容の精選

 三分野とも,内容の系統化,構造化をいっそう図るとともに,内容の精選に努め,その結果,大・中・小の各項目数は次のようになっている。

[注]( )内は現行。

3 各分野の学年配当について

 指導計画の作成に当たっては,地理的分野および歴史的分野の基礎の上に公民的分野の学習指導を展開するこの教科の基本的な構造にじゅうぶん留意すること,各分野の学年配当については,第1,第2学年を通じて地理的分野と歴史的分野を並行して学習させ,第3学年において歴史的分野および公民的分野を学習せることを原則とするが,歴史的分野の学習を第2学年で終了する,あるいは,第1学年地理的分野,第2学年歴史的分野,第3学年公民的分野とするなど,学校の実態に即して適切に定めることができること,の2点を示している。

[地理的分野]

(1)目標について

 五つの項目にまとめて示しているが,現行の目標と比べて強調している事項は,次のとおりである。

 ①地理的な見方や考え方の基礎をつちかうこと。

 ②わが国土に対する広い視野に立った認識を養うこと。

 ③国土を高度かつ合理的に利用することがたいせつであることを理解させること。

 ④日本や世界には大小さまざまな地域的まとまりがあることを理解させること。

 ⑤地域は絶えず変貌していることを理解させること。

(2)内容について

 四つの大項目(身近な地域,日本とその諸地域,世界とその諸地域,世界の中の日本)に再構成した。各大項目において特に重視したのは,次の諸点である。

ア 身近な地域

 現行の「郷土」を受け継いだものであるが,内容を簡素化するとともに,地理学習に対する興味や関心を高めること,地理的な見方や考え方の基礎をつちかうことに重点をおいている。

イ 日本とその諸地域

 各地域を日本の一部として把握すること,日本には,それぞれ特色をもったさまざまな地域があることを理解させること,各地域の急速な変化発展に着目させること,地理的に考察する力を養うことなどに重点をおいている。

ウ 世界とその諸地域

 人間の生活舞台としての地球に関する基礎的な理解を養うこと,諸地域の変化発展に着目すること,諸地域の結びつきがますます密接になってきたことの意義について考察させることなどに重点をおいている。

エ 世界の中の日本

 日本や世界の諸地域の学習によって養われた目で日本を全体的に見直し,わが国土に対する認識を深めさせることに重点をおいている。

[歴史的分野]

(1)目標について

 五つの項目にまとめて示し,その(1)において,歴史的分野の基本目標として「世界の歴史を背景に,広い視野に立って日本の歴史を理解させ,それを通してわが国の伝統と文化の特色を考えさせるとともに,国民としての心情と現在および未来に生きる日本人としての自覚を育てる。」を示し,またその(4)において,「歴史にみられる国際関係や文化交流のあらましを理解させるとともに,歴史上のわが国の位置を考えさせ,他民族の文化,伝統などについても関心をもたせて国際協調の精神を養う。」ことを示している。

(2)内容について

ア 内容の再構成と精選

 内容を再構成して項目数を大幅に減ずるとともに,中項目,小項目のねらい・程度・範囲を明確に示して内容の精選を図っている。それによって,基礎的なことがらの正確な理解,基本的な事項について歴史的に考察しようとする態度,それに必要な思考力の基礎をつちかうとともに,歴史年表,歴史地図,その他の諸資料をいっそう適切に利用する能力などの基礎を養うことができるようになっている。

イ 指導内容の改善

 広い視野に立ってわが国の歴史に対する正しい理解を得させ,それに基づく国民としての自覚と誇りをもたせるようにするため,次の事項に関する指導内容の改善を図っている。

(ア)日本史と世界史の関連

(イ)日本の歴史の正しい理解

  ・国際情勢との関連

  ・日本の歴史の特色

  ・政治史を用心とする日本歴史の再構成

  ・江戸時代から昭和にかけての過程

 

(ウ)人物の取り扱いと文化遺産の愛護尊重

(エ)風土(環境)と歴史的景観

(オ)第二次世界大戦後の歴史の取り扱い

 

[公民的分野]

(1)目標について

 政治・経済・社会的分野が公民的分野と改称されることと関連して,この分野の性格やねらいが的確に把握されるように五つの項目に分けて示している。項目の(1)では,「個人の尊厳と人権の尊重の意義,特に自由・権利と責任・義務の関係を正しく認識させて,民主主義に関する理解を深めるとともに,国民主権をになう公民として必要な基礎的教養をつちかう。」というこの分野の基本目標を明示するとともに,(2)では,個人と社会や国家との関係,個人の役割,社会や国家の発展に尽くす態度の育成を強調し,(3)では,社会の変化発展や問題に対処し進んで改善していこうとする態度や能力の基礎の育成を示している。さらに,(4)では,国際理解を深め,国際協調の精神を養う観点を明らかにし,(5)では,この分野で育成すべき能力について明示している。

(2)内容について

ア 内容の再構成と精選

  内容を精選し,(1)家族生活,(2)社会生活,(3)経済生活,(4)国民生活と政治の四つの大項目に整理,統合している。学習もこの項目の順に行なわれることを期待して内容が構成されている。

  また,内容の取り扱いの観点を示して,深入りすることのないように配慮している。

イ 自由・権利と責任・義務の関係などの正しい認識の強調

  自由・権利と責任・義務の関係を正しく認識させること,自分たちが社会や国家のにない手であるとの自覚を育成することなどについての学習が行なわれるように全搬にわたって配慮している。

ウ 「家族生活」の充実

  大項目として「家族生活」を設けて,公民的分野の学習の基盤を養うとともに,導入の役割をも果たすよう配慮している。

エ 「職業と生活」の重視

  「社会生活」の中項目として「職業と生活」を設け,職業に関する理解を深めるように配慮している。また,特別活動の学級における進路に関する指導との関連についても配慮している。

オ 第二次世界大戦後におけるおもな内容

  歴史的分野の学習の基礎の上に,日本経済の復興とその後の急速な成長,国際政治の推移と現状およびわが国をめぐる国際関係などのあらましを取り扱うこととしている。

カ 国際的視野に立った取り扱い

  全般にわたって配慮しているが,特に,「日本経済と世界経済」,「国際政治と平和」の中項目を設けている。

1 目標について

○5項目に分けて示されており,項目の1では,「自他の人格や個性を尊重することが,社会生活の基本であることについての理解をいっそう深め,また,民主主義の諸原則を理解させ,これを日常の生活に生かしていく態度や能力を育てる。」ことがうたわれ,それがすべての指導の根底に考慮されなければならないことになっている。項目の2は主として地理的分野に,3は歴史的分野に,4は政治・経済・社会的分野に,5は三つの分野に共通にかかわる目標となっている。

 

2 内容について

 

○各分野の目標においては,それぞれの固有の性格やねらいがやや不明確である。

 

○三分野とも,「3 指導上の留意事項」に,指導事項を精選することを簡単に示している。

 

 

 

 

 

 

 

3 各分野の学年配当について

○第1学年では地理的分野,第2学年では歴史的分野,第3学年では政治・経済・社会的分野についてそれぞれ学習することを原則とするが,じゅうぶんな準備がある場合には,たとえば,第1学年および第2学年を通じて地理的分野および歴史的分野の内容を学習させるなどの指導計画を作成し,実施することもできる旨を示している。

 

 

[地理的分野]

(1)目標について

○六つの項目に分けて示されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

(2)内容について

○五つの大項目(郷土,日本の諸地域,全体としての日本,世界の諸地域,全体としての世界)によって構成されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[歴史的分野]

(1)目標について

○八つの項目に分けて示されている。

 

 

 

 

 

 

(2)内容について

 

○中項目のねらい・程度・範囲は示されているが,小項目のそれらは示されていない。

 

○歴史年表,歴史地図,その他の諸資料をいっそう適切に利用する能力などについて,示し方がふじゅうぶんである。

 

 

 

 

○ヨーロッパ世界,欧米諸国のアジア進出などの内容と日本史上の内容との関連の扱い方に適切でない点がある。

 

○日本の歴史の特色については示されていない。

 

○特に江戸時代の内容構成などに適切でない点がある。

 

○人物の扱いがふじゅうぶんである。

○風土(環境)と歴史的景観の内容は示されていない。

 

 

[政治・経済・社会的分野]

(1)目標について

○七つの項目に分けて示されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(2)内容について

 

○六つの大項目,すなわち,近代社会と民主主義,民主政治の組織と運営,産業・経済の構造と機能,現代の社会性活と文化,世界と日本,現代の諸問題が示されている。学習の順序は示していない。

 

 

○ 左のような配慮が乏しい。

 

 

 

○左のような配慮が乏しい。

 

 

○中項目は存在するが,取り扱いがふじゅうぶんである。

 

 

 

○内容的に不明確で,観点が示されていない。

 

 

○「世界と日本」という大項目は存在するが,取り扱いがふじゅうぶんである。

(数 学)
新学習指導要領
現行学習指導要領
1 目標について

 総括的な目標を,「事象を数理的にとらえ,論理的に考え,統合的,発展的に考察し,処理する能力と態度を育成する。」とし,4項目の具体的な目標を定めている。

2 内容について

(1)内容の再構成

 内容を再構成し,A数・式,B関数,C図形,D確率・統計,E集合・論理の五つの領域としている。

(2)新しい概念の導入

 集合,不等式,確率,標本調査などを新しく取り入れ,また,関数の概念を明確にしている。

(3)内容の精選

 尺貫法,ヤードポンド法,三角比,投影図,分数式などを削除し,式の計算,二次関数などを軽減している。

(4)能力差に応ずる指導

 能力差に応ずる指導については次の三つの方法を示している。

ア 地域や学校の実態および生徒の能力,適性等に応じて,内容の程度や進度を考慮することとしている。

イ 学習の遅れがちな生徒には,内容の一部を取り扱わなくてもよい内容を,また学習の進んでいる生徒にはさらに深めた内容を示している。

ウ 学習の特に遅れがちな生徒については,内容の一部を次の学年で指導してよいこととし,学習の特に進んでいる生徒には,次の学年の内容の一部を加えて指導してよいこととしている。

1 目標について

○目標のねらいはほぼ同様であるが,目標が5項目にわたっているため,その重点がつかみにくいきらいがある。

 

2 内容について

 

○A数,B式,C数量関係,D計量,E図形の五つの領域となっている。

 

○集合,不等式,確率,標本調査は示されていない。関数については,その内容はあるが,関数の概念は明確でない面がある。

 

 

 

 

○現行においては内容の取り扱い上そのような配慮を行っていない。

(理 科)
新学習指導要領 現行学習指導要領
1 目標について

 総括的な目標として,「自然の事物・現象への関心を高め,それを科学的に探究させることによって,科学的に考察し処理する能力と態度を養うとともに,自然と人間生活との関係を認識させる。」とし,具体的な目標においては,

(1)科学の方法の習得と創造的な能力の育成

(2)基本的な科学概念の理解と自然に対する総合的,統一的な考察力の養成

(3)科学的な見方や考え方と科学的な自然観の育成を示して,さらにこれらを各分野の目標において具体化するように努めている。

2 内容について

(1)分野の性格の明確化

 ア 各分野に目標を示して,科学の方法,基本的な科学概念,科学的な見方や考え方などを明らかにし,内容の系統的な組織や生徒の系統的な理解を徹底するようにしている。

 イ 分野の内容の分け方をくふうし,たとえば現行の第1分野の気圧,湿度などを第2分野に移して,まとまりのある学習ができるようにしたり,第2分野の天然資源と化学工業は解体し,必要な事項はそれに関連したところに移したりなどして,分け方について改善を行なっている。

 ウ 各分野の内容を学年別に明示することをやめ,また両分野の並行履修を原則としているが,例外も認めて,弾力的な運営ができるように示している。

 

(2)基本的な科学概念を中心とする内容の再構成

 第1分野では,物質に関する事物・現象についての理解,第2分野では,生物とそれを取り巻く自然の事物・現象についての理解をそれぞれ深めるように,基本的な科学概念を中心として両分野を構成した。また,科学的な見方や考え方を各分野の目標および大項目のねらいで,具体的に示している。

(3)科学の方法の習得の重視

 教科目標や各分野の目標において,探究の過程を重視して,これを通して科学の方法を習得すべきであることを強調し,さらに第3の指導計画の作成において,いっそう具体的な形で示している。

 また,内容についても,測定,分類,モデルの形成などの科学の力法に関する事項を具体的にあげて,その徹底を期している。

(4)内容の精選

 現行の内容から水の表面,水の精製,熱の移り方,力のモーメント,動力の伝達,音波とその伝わり方,音の性質,光の反射,電波とラジオ,生物資源,天然資源と化学工業などを削除し,水の重さと圧力,燃焼,酸・アルカリ・塩,光の進み方,光の屈折,気体の発生,交流,電子と真空管,風化作用と土,天気の変化,発生,遺伝,生物の進化,地表の歴史,地球,月などを軽減または集約化するなどしてきびしい精選を行ない,その結果,内容の項目数は次のようになっている。

   注( )内は現行

(5)能力に応ずる指導

 ア 第3の内容の取り扱いにおいて,能力に応じた指導の必要性およびその方法を示している。

 イ 従来よりもいっそう探究の過程を重視し,観察や実験に時間をかけて指導し,具体物に接する機会を多くするようにしている。

 ウ 観察や実験は,個人別,グループ別に行われることが多いので,その指導を生かして,生徒の能力にに応じるようなくふうをするようにしている。

1 目標について

○五つの項目に分けて示してあり,その相互の関連および全体の目標が必ずしも明確でない。

○表現がやや抽象的で,目標と内容との関係およびねらいが明確でない。

○基本的な科学慨念の理解の重要性が強調されていないため,理科の構造的な理解をやや困難にしている。

 

 

 

 

2 内容について

 

○各学年ごとに目標が示されているが,分野の目標が示されていないため,大項目相互の関連がつきにくく,3か年間を通して各分野ごとに筋を通して理解させることがやや困難である。

○現行の両分野については,分析的,解析的なものは第1分野に,記載的,総合的なものは第2分野に分かれているため,第2分野に無機化学工業,有機化学工業,エネルギー資源などがはいり,内容的にすっきりした分けかたではない。

○各学年の二つずつのわくに分けられているので,内容構成上のくふうの余地がない。

 並行履修については,例外の適応が明示されていないため,小規模学校などでは,運営にかなりのむりがある。

 

○生活や産業の基礎となる自然科学的な事実や原理の理解を深めることを目標としているため,水と空気,燃焼と熱,天然資源と化学工業などのような生活単元的なまとまりが一部においてなされている。

 科学的な見方や考え方の重要性は指摘しているが,抽象的な表現にとどまって,具体的に示されていない。

 

○実験・観察を通して,科学的な方法を習得することの重要性は強調れているが,実験・観察と理論との関連をどのように図るかについては,具体的に示されていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○ 内容の取り扱い上特にそのような配慮を行っていない。

 

(音 楽)
新学習指導要領
現行学習指導要領
1 目標について

(1)総括的な目標として,「鋭敏な直感力や豊かな感受性を育て,創造的で情操豊かな人間性を養う。」ことを示している。

(2)具体的な目標において「わが国および諸外国のすぐれた音楽に親しませる」こと,「わが国および諸外国の音楽文化を理解させる」こととしている。

(3)自主的,創造的な音楽活動の基礎的な能力を伸ばすための目標を示している。

2 内容について

(1)内容の再構成

 A基礎,B歌唱,C器楽,D創作,E鑑賞として内容の再構成を行っている。

(2)基礎指導の充実

 「A基礎」において,読譜,記譜,聴取および身体的表現を通してリズム,旋律,和声のはたらきや特質を感得し理解させるとともに,それらの読譜力を身につけさせるようにしている。

(3)日本の音楽の指導の強化

 日本の音楽について,歌唱の共通教材に日本の民謡を加えるとともに,鑑賞の共通教材で筝曲,三曲合奏,長唄,雅楽,尺八曲,義太夫節を入れ替えて,これらの指導の観点を明示し,日本の音楽の特質がとらえやすいようにしている。

(4)内容の精選

 表現,鑑賞に共通する基礎指導に関する内容は,「A基礎」の中に統合するとともに,歌唱,器楽,創作および鑑賞のそれぞれの内容においては,基礎となる事項のみを取り上げ,知識や技術に関する細かい事項は省略している。

 また,学年が進むにつれて新出事項を減じ,深化し習熟するようにしている。

(5)教材の選択

 歴史的には,古典の歌曲や楽曲から現代の歌曲や楽曲までのうちから,また,地域的にはわが国や諸外国のもののうちから生徒の心情に訴え,親しみのある音楽的なものを選ぶようにしている。

(6)共通教材の選択

 ア 歌唱の共通教材は,11曲とし,次のように示している。

  第1学年 4曲(新曲3,現行1)

   日本民謡1,外国民謡1

   日本歌曲1,外国歌曲1

  第2学年 4曲(新曲3,現行1)

   日本民謡1,外国民謡1

   日本歌曲1,外国歌曲1

  第3学年 3曲(新曲2,現行1)

   日本民謡1,日本歌曲1

   外国民謡・外国歌曲1

 イ 鑑賞の共通教材は,17曲とし,次のように示している。

  第1学年 6曲(新曲3,現行3)

   日本2曲,外国4曲

  第2学年 6曲(新曲3,現行3)

   日本2曲,外国4曲

  第3学年 5曲(新曲4,現行1)

   日本2曲,外国3曲

(7) 合唱や合奏の充実

 合唱や合奏を通して,秩序や調和を保つ喜びを味わうように内容を示している。また,少人数でも合唱や合奏ができるようにし,器楽においては,特に,楽器の種類を指定していない。

1 目標について

○五つの項目に分けて示している。

 

 

 

 

○規定がない。

2 内容について

 

○A表現,B鑑賞の2領域とし,表現の中に歌唱,器楽,創作を含めている。

 

○基礎指導に関する事項は,表現と鑑賞の中に分散して示してあり,また,基礎的能力をつちかう上に必要な事項が欠けている。

 

 

○日本の音楽については,歌唱の共通教材のうちに日本人の作曲によるもののほか,鑑賞教材に箏曲,日本古謡,民謡,長唄,雅楽を取り上げてあるが,指導の観点は特に示していない。

 

○内容のうち,知識や技術に関するもので,細部にわたるものも示してある。

 

 

 

 

 

○地域的には「わが国や世界の親しみやすい歌曲」というように示してあるが,歴史的な面からの選択については,第3学年の「鑑賞」以外にはふれていない。

 

○歌唱の共通教材は,9曲で,次のようになっている。

  第1学年 3曲

   外国民謡1,日本歌曲1

   外国歌曲1

  第2学年 3曲

   外国民謡2,日本歌曲1

 

  第3学年 3曲

   外国歌曲1,日本歌曲2

 

○鑑賞の教材は,21曲で,次のようになっている。

  第1学年 7曲

   日本2曲,外国5曲

  第2学年 7曲

   日本2曲,外国5曲

  第3学年 7曲

   日本1曲,外国6曲

 

○現行においては,少人数で合唱や合奏をすることを示していない。また,楽器については,リード楽器または笛を中心とした編成で行なうことになっている。

(美 術)
新学習指導要領
現行学習指導要領
1 目標について

 総括的な目標を,「美術の表現と鑑賞の能力を高め,情操を豊かにするとともに,創造活動の基礎的な能力を養う。」として,美術科の性恪に基づく目標の大綱を示し,さらにその内容を指導する際の具体的な目標を,4項目示している。

2 内容について

(1)内容の再構成

 小学校図画工作科の内容の構成と関連を図り,内容を,絵画,彫塑,デザイン,工芸および鑑賞として,高等学校芸術科工芸との関連も図っている。

 

 

 

 

(2)内容の整理,統合

 現行の「色や形などの基礎練習」は,整理してデザインの内容に位置づけ,指導の効果があがるように示している。

(3)工芸の導入

 生徒が身近なところに製作題材を見出し,作る喜びや使う喜びを得させることを中心としている。

 工芸製作の計画については,デザインの内容に,使うためのデザインの項目を設け,計画と製作との一貫性を図っている。

(4)鑑賞の観点の明確化

 鑑賞は,心情を養うための指指導内容として,名作品を対象にして扱うことと,美術文化への関心を高めることの二つに分けて内容を示し,それぞれについて,扱う目標を明確にし,鑑賞対象の選択についても,観点を明確にしている。

(5)指導すべき基礎項目の明確化

 特に絵画,彫塑,デザインおよび工芸については,それぞれの末尾に1項目を設け,美術における感覚や基礎的な技術について,指導すべき具体的な内容を示している。

(6)内容の弾力的な取り扱い

 絵画および彫塑は,表現活動において,相互に近い関係にあり,また,デザインと工芸とは,相互に密接な関連があるので,それぞれ相互に,弾力的に内容を扱うことができるようにしている。ただし,極端なかたよりとならないために,年間授業時数に対する内容の扱いのおよその割合を示している。

1 目標について

○四つの項目にわけて示してあるが,美術科の基本的な性格を示すには弱い点がある。

 

 

2 内容について

 

○内容の構成は,下記の通りとなっている。

  A表現

  (印象や構成などの表現)

  (色や形などの基礎練習)

  (美術的デザイン)

  B鑑賞

 

○「色や形などの基礎練習」は,表現の重要な内容として位置づけられているが,必ずしもその成果をあげていない。

 

○規定がない。

 

 

 

 

○鑑賞については,表現の内容に比べ,その扱う対象やねらいの示し方が,簡潔に過ぎる。

 

 

○指導すべき基礎的な事項については,内容を示すためのねらいの中や,3の指導上の留意事項の中に含まれた形となっており,必ずしも明確に示されていない。

 

 

○原則的には同様な立場をとっている。

 

(保健体育)
新学習指導要領
現行学習指導要領
1 目標について

 総括的な目標を「心身の健康についての理解と合理的な運動の実践を通して,健康の保持増進と体力の向上を図り,心身ともに健康な生活を営む態度を養う。」とし,さらに体育分野の目標の(1)を「各種の運動を適切に行なわせることによって,強健な身体を養うとともに,旺盛(おうせい)な気力を育て,体力の向上を図る。」として特に体力の向上を強調している。

2 内容について

 内容の再構成

 体育と保健の両分野別に目標,内容を示している。

 [体育分野]

(1)運動領域の再構成

 各領城にわたって,体力向上の観点から運動教材を精選し,その指導方針を明確に示している。また,「徒手体操」は名称を「体操」に改め,現行の徒手体操に全身的運動を含めた内容に改善している。

(2)内容の精選

 各運動領域の内容は,それぞれの領域の特性に基づいて基礎的なものに精選している。(たとえば,陸上競技の三段とび,球技のソフトボールなどは最低必要なものから除いている。)

(3)運動種目の選択

 球技において,バスケットボールとハンドボールはいずれかを選択するものとし,また,第3学年ではソフトボール,テニス,卓球,バドミントンに代替できるようにしている。

(4)格技の指導の充実

 格技の内容を精選するとともに,指導の効果をあげるため指導時数の割合を増加してしめしている(10%〜20%)。

(5)集団行動の徹底

 体操の内容として,集合,列の増減,方向変換などの行動様式を示し,適切に指導できるようにしている。

 

 

 

 [保健分野]

(1)内容の再構成

 「健康な生活の設計と栄養」で栄養を,「健康と身体の発達」で体格を,「病気とその予防」で結核などの国民病や健康診断,予防接種をそれぞれまとめて扱うよう集約している。また,「健康と身体の発達」に「健康のなりたち」を移して保健の学習全体の導入として扱う。

 「精神の健康」で,精神に関する内容を集約し,系統的に扱うようにしている。

 「健康な生活の設計と栄養」に,薬品,嗜好品に関する中項目を設けて,関連する内容をまとめ,あらたに農薬,毒物,劇物などを加えている。

 

 

(2)内容の精選

 「病気とその予防」で,病気の種類を生活に即して分類し,その数も代表的なもの16種類にへらしている。

 その他,具体的な内容に乏しいものや,内容の程度が適当でないものは削除または軽減している。

(3)内容の充実と現代化

 「生活の安全」に自然災害,火災,急病人の取り扱い,救急用品および交通事故の被害状況の分祈などを加えている。

 また,公害,食中毒を加え,さらに薬品,嗜好品の内容を充実して現代化を図っている。

(4)実習の徹底

 「内容の取り扱い」で,実験,実習を必修とするとともに,「健康と身体の発達」における測定法,「環境の衛生」における検査法,「生活の安全」における救急処置などその範囲も限定している。

(5)他教科との関連

 「内容の取り扱い」において,理科社会科との関連を図ることについて明記し,「環境の衛生」にある気温,気流の測定については,理科の内容と考えられるので削除している。

(6)学年配当

 「内容の取り扱い」で各学年にわたって履修するように示している。

1 目標について

○教科目標の1として「心身の発達について理解させるとともに,各種の運動を適切に行なわせることによって,心身の発達を促し,活動力を高める。」と示している。

 

 

 

2 内容について

 

○体育,保健とも学年別に目標,内容を示している。

 [A 体育]

 

○「徒手体操」は心身の部位的運動をおもな内容としている。

 

 

 

 

 

 

○規定がない。

 

 

 

○格技に対する指導時数の割合は5%〜10%と示されている。

 

 

○指導計画作成および指導の方針の項に「集団行動については,各運動の指導と関連させ,小学校における学習の上に,いっそうの能力を高めるよう適切に指導する」と示されている。

 

 

[B保健]

 

○「国民の健康」に栄養,体格,結核などの国民病や健康診断,予防接種,健康成立の条件などがある。

 

 

 

○「心身の発達と栄養」,「病気の予防」,「精神衛生」などの大項目に精神に関する内容が散在している。

○「病気の予防」,「精神衛生」などの大項目に薬品,嗜好品の内容が含まれている。

 

○「病気の予防」で,病気を循環器系など器官系統別に取り上げ,その種類もおよそ30種類に及んでいる。

○心身の発達に影響する条件,環境と心身との関係などがある。また,職業病,精神障害などは程度が高い。

 

○「傷害の防止」で欠けている。

 

 

○「環境の衛生」,「病気の予防」,「国民の健康」で欠けている。

 

○「指導計画の作成および学習指導の方針」の中で,適宜に実習,調査,見学などを加えて…とあり,実習の範囲も明らかでない。

 

○「指導上の留意事項」に「栄養」と「病気の予防」についてのみ理科との関連を図るように示してある。

 

 

○第2学年と第3学年で履修することになっている。

(技術・家庭)
 
新学習指導要領
現行学習指導要領
1 目標について

 総括的な目標を「生活に必要な技術を習得させ,それを通して生活を明るく豊かにするためのくふう創造の能力および実践的な態度を養う」として,実践的活動を通して,必要な理解と能力を養うというこの教科の基本的な性格を強調している。

2 内容について

(1)内容の再構成

 学年別の内容は,次のように再構成して示している。

 (男子向き)

  [第1学年]

   A 製図

   B 木材加工

   C金属加工

  [第2学年]

   A 木材加工

   B 金属加工

   C 機械

   D 電気

  [第3学年]

   A 機械

   B 電気

   C 栽培

 (女子向き)

  [第1学年]

   A 被服

   B 食物

   C 住居

 

  [第2学年]

   A 被服

   B 食物

   C 家庭機械

  [第3学年]

   A 被服

   B 食物

   C 保育

   D 家庭電気

 

(2)内容の精選

 各領域の内容を,たとえば,(1)設計,(2)材料,(3)用具,(4)測定,(5)安全,(6)消費知識,(7)技術と生活との関係のように区分して学習が発展的,系統的に行なわれるようにするとともに,内容の範囲と程度を明示している。

(3)弾力的な運営

 各学校の指導計画に特色をもたせるため,各領域ごとの標準授業時数や実習例は示されていない。また,各学年の内容の取り扱いにおいて,生徒の能力や設備等に応じた配慮も行なっている。特に第3学年においては,各領域の内容の一部の指導を取りやめたり,いずれかの領域を,他の内容で代替したりすることもできるように配慮している。

(4)他教科との関連

 理科,社会科等と重複や間隙が起きないように配慮するとともに,小学校の図画工作科や家庭科の学習が発展的に結びつくようにしている。

1 目標について

O目標が4項目にわたっており,目標の重点がつかみにくい。また「近代技術に関する理解」など,誤解を生む表現がある。

 

 

2 内容について

 

O学年別の内容は,次のとおりとなっている。

 (男子向き)

  [第1学年]

   (1)設計・製図

   (2)木材・金属加工

   (3)栽培

  [第2学年]

   (1)設計・製図

   (2)木材加工・金属加工

   (3)機械

 

  [第3学年]

   (1)機械

   (2)電気

   (3)総合実習

 (女子向き)

  [第1学年]

   (1)調理

   (2)被服製作

   (3)設計・製図

   (4)家庭機械・家庭工作

  [第2学年]

   (1)調理

   (2)被服製作

   (3)家庭機械・家庭工作

  [第3学年]

   (1)調理

   (2)被服製作

   (3)保育

   (4)家庭機械・家庭工作

 

 

O各項目における内容の範囲と程度が明示されていない。

 

 

 

O各項目ごとに標準授業時数や実習例が示されているので,各学校が指導計画を作成する場合の自由裁量の余地が乏しい。また,生徒の能力や設備等の面で画一的に取り扱うことが無理な場合がある。

 

 

O理科・社会科の指導との間に,必ずしも適切でない面がみらる。また,小学佼の図画工作科や家庭科との関連は,必ずしもじゅうんではない。

(外国語)
新学習指導要領
現行学習指導要領
1 目標について

 総括的な目標において,外国語を理解し表現する能力の基礎を養い,言語に対する意識を深めるとともに,国際理解の基礎をつちかう」としている。

2 内容について

  −英語−

(1)内容の精選

 ア 学習活動を基本的な言語活動に改め,各領域で次の数の言語活動を示している。

   (ア)聞くこと,話すこと 8

   (イ)読むこと      5

   (ウ)書くこと      7

 イ 言語材料を次のとおり精選している。

   (ア)文型の種類 5種28類

   (イ)新語の数 950〜1,100語

   (ウ)文法事項の数は,分詞構文,仮定法および話法の3項を削除し,再編成して20項としている。

(2)学年配当の改善

 ア 第1学年の文型のうち4類を削除している。

 イ 第2学年の文型のうち2類を削除し,4類を第3学年に移し,文法事項の1項を第3学年に移している。

 ウ 第3学年の文型のうち4類を,文法事項のうち3項を削除している。

(3)語数の改善

 ア 新語の総数 950〜1,100語

 イ 必修語の数 610語

 

(4)聞くこと,話すことの徹底

 ア 学習活動に改め,運用力を高めるようにしている。

 イ 言語材料に文のくぎりと強めを加えている。

(5)能力に対する配慮

 ア 第3学年の内容のうち程度の高い事項に※印を付し,軽く取り扱ってもよいこととしている。

 イ 第3の「指導計画の作成および各学年にわたる内容の取り扱い」において,能力差に対する配慮についての指針を示している。

1 目標について

O三つの項目に分けて示している。

 

 

2 内容について

  −英語−

 

O各領域における学習活動の数は,次のとおり示している。

   (ア)聞くこと,話すこと 8

   (イ)読むこと      4

   (ウ)書く        9

O言語材料は,次のとおり示している。

   (ア)文型の種類 5種36類

   (イ)新語の数 およそ1,300語

   (ウ)文法事項の数 20項

 

 

O文型および文法事項は,次のとおり示している。

       [文型]   [文法事項]

  第1学年 4種11類     5項

  第2学年 6種13類     8項

  第3学年 5種11類     7項

 

O語について,次のとおり示している。

  新語の総数 1,100または1,300語

  必修語の数 520語

 

O学習活動という形で示している。

O言語材料は,発音,アクセントおよび抑掲を示している。

 

 

O第3学年の内容のうち程度の高い事項に※印を付し,105時間の場合に軽く触れると定めている。

 

(農 業)
新学習指導要領
現行学習指導要領
1 目標について

 「農業の生産や経営に関する基礎的な知識と技術を習得させ,農業に対する関心を高め,職業生活に必要な能力と態度を養う。」としている。

2 内容について

 ア 地域や学校の必要性などを考慮して,内容を「A農耕」「B園芸」「C養畜」「D造林」で構成し現行の「農産加工」の分野を整理している。

 イ プロジェクト学習を考慮して,目標設定,計画立案実施の順序に項目を配列し,いっそう系統的な学習ができるようにしている。

  例 農耕

 (1)食用作物の栽培と農業経営

 (2)食用作物の栽培的特性

 (3)栽培計画

 (4)栽培

 (5)農業機械とその使い方

(2)内容の精選

 「農産加工」の分野を廃止し,作目,畜目の精選を図るようにしている。

(3)内容の弾力的な取り扱い

 分野の履修順序を示さないで自由に選択できるようにし,内容の一部履修もできるようにしている。また,授業時数も幅のある取り扱いができるように配慮している。

1 目標について

O農業に関する知識技能の習得,農業技術の科学的理解,実際に活用する能力の育成および協同と責任を重んじる態度の育成について示している。

2 内容について

O内容は,「A養畜」「B農耕」「C造林」「D園芸」および「E農産加工」の5分野で構成している。

 

O現行においてはたとえば次のような項目の配列となっている。

  例 農耕

 (1)主要食糧の需給と農業経営

 (2)作物の栽培

 (3)作付計画

 (4)農耕に用いる農具や機械とその使い方

 

 

 

 

 

O分野の履修順序を示し,また分野ごとの標準授業時数を示している。

 

(工 業)
新学習指導要領
現行学習指導要領
1 目標について

 「製作や操作に関する基礎的な技術を習得させ,工業に対する関心を高め,職業生活に必要な能力と態度を養う。としている。

 2 内容について

(1)内容の再構成と精選

 現行の3分野を精選し再構成して次のようにしている。

 A 金属加工

  現行の手仕上,機械仕上を平易に再構成している。

 B 機械

  実態に即して新設している。

 C 電気

  現行の電気工作を平易にし明確にしている。

(2)内容の弾力的な取り扱い

 分野の履修順序を示さないで自由に選択できるようにし,内容の一部履修もできるようにしている。また,授業時数も幅のある取り扱いができるようにしている。

(3)技術・家庭との関連の強化

 各分野の内容については,技術・家庭と密接な関連を図り,その内容を深めるように配慮している。

1 目標について

O工業に関する基礎的な知識と技能の習得,工業技術の科学的な根拠の理解,これを実際に活用する能力の育成および協同と責任を重んじる態度の育成について示している。

2 内容について

 

O「A手仕上」,「B機械仕上」,「C電気工作」の3分野で構成されている。

 Bの「機械仕上」の分野については,種々の事情から,やや履修困難と思われる事項が含まれている。

 

 

 

 

 

 

O分野の履修順序を示し,また,分野ごとの標準授業時数を示している。

(商 業)
 
新学習指導要領
現行学習指導要領
1 目標について

 「商業や事務に関する基礎的実務的な知識と技術を習得させ,日常生活や職業生活に必要な実務を能率的,合理的に処理する能力と態度を養う。」としている。

 2 内容について

(1)分野の再構成

 内容を「A商業の機関と機能」,「B経理」,「C計算」,「D文書作成」の四つの分野に再構成している。

(2)内容の精選

 A,Bの分野においては,専門的な事項を整理し,またCDの分野においては,暗算や文書整理などを整理している。

(3)内容の弾力的な扱い

 分野の履修順序を示さないで自由に選択できるようにし,内容の一部履修もできるようにしている。また授業時数も幅のある取り扱いができるように配慮している。

1 目標について

O商業に関する知識,技能の習得実務を能率的に行ない,経済生活を合理的に営む態度の養成を目標とし,専門的な商業教育をも含んでいる。

2 内容について

O「A商事活動」,「B経理」,「C計算事務」,「D文書事務」の四つの分野で構成されている。

 

 

 

 

 

O各分野の履修の順序を示し,また,分野ごとの標準授業時数を示している。

(水 産)
 
新学習指導要領
現行学習指導要領
1 目標について

 「漁業生産や食品製造に関する基礎的な知識と技術を習得させ,水産業に対する関心を高め,職業生活に必要な能力と態度を養う。」としている。

 2 内容について

(1)分野の再構成

 内容を「A漁業」,「B漁船漁業」「C栽培漁業」,「D食品製造」の四つの分野に再構成している。

(2)内容の精選

基本的事項を示して生産のしくみを総合的にとらえることができるように配慮している。

 

(3)内容の弾力的な取り扱い

 分野の履修順序を示さないで自由に選択できるようにし,内容の一部履修もできるようにしている。また,授業時数も幅のある取り扱いができるように配慮している。

1 目標について

O水産業に関する知識と技能の習得,水産技術の科学的な根拠の理解とこれを実際に活用する能力の育成およひ協同と責任を重んじる態度の育成について示している。

2 内容について

 

O「A漁」,「B操船」,「C増殖」,「D水産加工」の4分野で構成されている。

 

O内容においては,技術的な面が強調されており,産業としての包括的な理解を深めるうえに欠陥があった。

 

 

O分野の履修順序を示し,また,分野ごとの標準授業時数を示している。

 

(家 庭)
 
新学習指導要領
現行学習指導要領
1 目標について

 「衣食住保育など家庭生活に関する基礎的な知識と技術を習得させ,家庭生活を合理的にし,明るく快適にする能力と態度を養う。」としている。

 2 内容について

(1)分野の再構成

 内容は「A被服」,「B食物」,「C住居」,「D保育」の四つの分野に再構成している。

(2)内容の精選

 現行の看護は,「保育」の内容に,家庭経営は各分野の内容に含めるなどして全般に精選を図っている。まだ,内容は,実践的活動を中核として,まとまりのある学習ができるように組織されている。

(3)内容の弾力的な取り扱い

 分野の履修順序を示さないで自由に選択できるようにし,内容の一部履修もできるようにしている。また,授業時数も幅のある取り扱いができるように配慮している。

(4)技術・家庭との関連の強化

 分野の構成を技術・家庭の家庭的領域の区分と同一にして,その内容と密接な関連を図っている。その内容を深めることや,範囲を広めることができるように配慮している。また,技術・家庭と同様に,実践的活動を中核として,家庭生活の指導が行なわれるように各分野の内容が組織されている。

1 目標について

O目標が2項目にわたっており,目標の重点がつかみにくい。

 

2 内容について

 

O「A被服」,「B食物」,「C保育・看護」,「D住居・家庭経営」の4分野で構成されている。

 

 

 

 

 

O分野の履修順序を示し,また,分野ごとの標準授業時数を示している。

 

 

O内容については,現行においても技術・家庭との関連を配慮している。しかし,分野の組織および各分野の内容の組織については,技術・家庭との関連がじゅうぶんでない。

 

(道 徳)
 
新学習指導要領
現行学習指導要領
 1 目標について

(1)道徳教育の目標については,道徳性を養うことを明確にし,道徳の時間の目標については,計画的,発展的な指導ということと,判断力,心情,態度,意欲を指導することを明らかにしている。

(2)人間性についての理解ということと,道徳的態度における自律性の確立ということを,小学校の目標に付加して強調している。

 2 内容について

(1)内容の区分

 三つの区分を廃止して通し番号でまとめている。

(2)内容の再構成

 現行の21項目を13項目に整理し,それぞれの項目に,さらに二つの観点を示している。

(3)内容の再構成の重点化

 「日常生活の基本的行動様式」にかかわるもの3,「道徳的な判断力と心情」にかかわるもの5,「社会および国家の成員として必要な道徳性」にかかわるも5で全体を13項目としている。

 1 目標について

O小・中同文で,道徳教育の目標と道徳の時間の目標の区分はされていない。

 教育の一般目標とみなされてもよいような表現になっている。

 

 

 

2 内容について

 

O三つに区分して合計21の項目を配している。

 

O項目のそれぞれに書き流しの説明文とみなしうるものをつけている。

 

O三つの区分に含まれる内容の項目数は5,10,6,となっている。

 

(特別活動)
 
新学習指導要領
現行学習指導要領
 1 特別活動の新設について

 特別教育活動と学校行事等を統合し,新たに特別活動を新設している。

 2 目標について

(1)「教師と生徒および生徒相互の人間的な接触を基盤とし,望ましい集団活動を通して豊かな充実した学校生活を経験させ」る教育活動であることを明確にし,その教育活動としての性格を明らかにすることとしている。

(2)究極的な目標としては,「人格の調和的な発達を図り,健全」な社会生活を営む上に必要な資質の基礎を養う。」こととしている。また,四つの具体目標を示すこととしている。

3 内容について

 生徒活動,学級指導および学校行事の三つの内容によって構成し,適切な教師の指導を必要とすることを明確にしている。

 

 

 

(1)生徒活動

 ア 生徒の自発的,自治的な活動に関して適切に教師が指導することとしている。なお,その活動内容は,生徒会活動,クラブ活動および学級会活動となっている。

 イ クラブ活動の全生徒必修を明確に示すこととしている。

(2)学級指導

 ア 適切な生徒理解に基づき,学級を単位として取り上げ指導する内容を15項目あげ,具体的に示すこととしている。

 イ 進路の指導の目標を明確にし,たとえば,「将来の生活において自己を正しく生かす能力を養う」ことや,「能力・適性等の発見と伸長を助ける」ことなどとしている。また,進路に関する具体的事項を示し充実を期している。

(3)学校行事

 ア 特別活動の内容として適切な行事的な活動としての性格を明らかにし,また,精選,明確化を図るとともに,弾力性を強調することとしている。

 イ 学校行事の内容を六つあげ,そのうち体育的行事の独立,保健・安全的行事,勤労・生産的行事の新設を行なうこととしている。

 また,それぞれの行事の指導上の着眼点を示すこととしている。

1 特別活動の新設について

O特別教育活動と学校行事等の二つのそれぞれ独立した領域となっている。

2 目標について

O「自発的・自治的な活動を通して」となっている。

 

 

O三つの目標から成っている。

 

 

3 内容について

O特別教育活動は,生徒会活動,クラブ活動,学級活動などから成っている。また,学校行事等は,儀式,学芸的行事,保健体育的行事,遠足,修学旅行,学校給食,その他上記の目標を達成する教育活動を適宜行なうこととなっている。

 

 

 

O規定はないが,おおむね特別教育活動に当たる。

 

Oクラブ活動に全校生徒が参加できることは望ましいとなっている。

 

O学級活動に,心身の健康の保持,将来の進路の選択が示されている。

 

 

 

 

 

O学校行事等として,「等」があるために,性格,目標に明確さを欠き,多種多様な内容が含められている。

 

中学校学習指導要領

昭和44年5月20日 発行

定価 200円

編集発行

大蔵省印刷局

東京都港区赤坂葵町2番地

郵便番号 107 (582)4411

(販売所裏面)

落丁,乱丁はおとりかえします。