第3章 特別教育活動および学校行事等

 

第1節 特別教育活動

 

第1款 目  標

 生徒の自発的な活動を通して,個性の伸長を図り,民主的な生活のあり方を身につけさせ,人間としての望ましい態度を養う。

第2款 ホームルーム,生徒会活動およびクラブ活動

第1 ホームルーム

 1 目 標

(1) 人間としての望ましい生き方を自覚させるとともに,民主的な人間関係を育てる。

(2) 生活を楽しく豊かなものにするとともに,日常生活における自律的な態度を養う。

(3) 心身の健康の助長を図るとともに,自主的に進路を選択決定する能力を養う。

 2 内 容  ホームルームは,学校における基礎的な生活の場であって,そこでは,主として次のことがらを取り扱う。

(1) ホームルームとして共同生活の問題

(2) 人間としての望ましい生き方,積極的な意欲をもって障害を克服していこうとする生き方に関する問題

(3) 進路の選択決定やその後の適応に関する問題

(4) 心身の健康の保持や安全に関する問題

(5) レクリェーション

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項 (1) 生徒の自発的な活動を助長することがたてまえてあるが,常に教師の適切な指導が必要である。

(2) 指導計画の作成および実施にあたっては,生徒会活動やクラブ活動との関連および各教科・科目や学校行事等との関連に図意することが必要である。なお,「人間としての望ましい生き方に関する問題」などの取り扱いにあたっては,特に「社会」の「倫理・社会」との関連を図ることが必要である。

(3) 指導計画の作成および実施にあたっては,なるべく生徒がみずから活動の計画を作り,自主的に活動するのを奨励し,援助するように図ることが望ましい。

(4) ホームルームに充てる時間のうち,毎週少なくとも1回は,長時間(教科・科目に通常充てる1単位時間)のものとして実施しなければならない。

(5) 教師相互の共通理解を深めるとともに,常に生徒の理解に努め,青年期の特性に即した指導を行なうように留意することがたいせつである。

(6) 教師が積極的な指導を行なう場合にも,生徒の自主的な活動を促すとともに,できるだけ具体的な事例に即して指導を行なうなど,効果的な方法をくふうする必要がある。この場合,視聴覚教材等を利用するにあたっては,特に事前や事後の指導を怠らないように留意することがたいせつである。

 なお,個々の生徒に対する指導を徹底するためには,適当な機会をとらえて,面接相談などによる指導を行なうことが望ましい。

(7) ホームルームの指導は,ホームルーム担任の教師が担当することを原則とするが,その内容によっては,適当な他の教師の協力を受けることが望ましい。

(8) 「進路の選択決定やその後の適応に関する問題」については,最終学年のみでなく,毎学年計画的に指導することが必要である。

(9) ホームルームにおける生徒相互の話し合いが正しく活発に行なえるよう助言することが望ましい。

第2 生徒会活動

 1 目 標

(1) 学校生活を楽しく規律正しいものにし,よい校風を作る態度を養う。

(2) 学校生活における集団の活動に積極的に参加し,民主的に行動する態度を養う。

(3) 学校生活において自治的な能力を養うとともに,公民としての資質を向上させる。

 2 内 容  生徒会は,全校の生徒を会員として,主として次のような活動を行なう。

(1) 学校における生徒の生活の改善や福祉の向上を図る活動

(2) ホームルーム・クラブ活動などにおける生徒活動の連絡調整に関する活動

(3) 学校行事等への協力に関する活動

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項 (1) 生徒の自発的な活動を助長することがたてまえであるが,常に教師の適切な指導が必要である。

(2) 指導計画の作成および実施にあたっては,ホームルームやクラブ活動との関連および各教科・科目や学校行事等との関連に留意することが必要である。

(3) 指導計画の作成および実施にあたっては,なるべく生徒がみずから活動の計画を作り,自主的に活動するのを奨励し,援助するように図ることが望ましい。

(4) 学校の事情に応じ,適当な時間を設けて,計画的に実施するように配慮する必要がある。

(5) 教師相互の共通理解を深めるとともに,常に生徒の理解に努め,青年期の特性に即した指導を行なうように留意することがたいせつである。

(6) 全校の生徒が生徒会の活動に対する関心をもち,その運営が民主的に行なわれるように配慮することがたいせつである。

(7) 必要により高等部全体または学年の集会活動を計画し,実施するものとするが,小学部・中学部や地域社会との関係において奉仕活動を行なう場合も考えられるが,この場合には,特に学校行事等との関連をじゅうぶん図るように指導するとともに,その教育的価値についても配慮する必要がある。

第3 クラブ活動

 1 目 標

(1) 健全な趣味や豊かな教養を養い,個性の伸長を図る。

(2) 心身の健康を助長し,余暇を活用する態度を養う。

(3) 自主性を育てるとともに,集団生活において協力していく態度を養う。

 2 内 容  クラブは,学年の所属を離れて同好の生徒をもって組織するものとし,それぞれ次のいずれかに属する活動を行なう。

(1) 文化的な活動

(2) 体育的な活動

(3) 生産的な活動

(4) その他の活動

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項 (1) 生徒の自発的な活動を助長することがたてまえであるが,常に教師の適切な指導が必要である。

(2) 指導計画の作成および実施にあたっては,ホームルームや生徒会活動との関連および各教科・科目や学校行事等との関連に留意することが必要である。

(3) 指導計画の作成および実施にあたっては,なるべく生徒がみずから活動の計画を作り,自主的に活動するのを奨励し,援助するように図ることが望ましい。

(4) 学校の事情に応じ,適当な時間を設けて,計画的に実施するように配慮する必要がある。

(5) 教師相互の共通理解を深めるとともに,常に生徒の理解に努め,青年期の特性に即した指導を行なうように留意することがたいせつである。

(6) 指導にあたっては,生徒の興味や欲求の充足に留意するとともに,熱心さのあまりゆきすぎの活動に陥ることのないように配慮する必要がある。

(7) クラブ活動に全校生徒が参加することは望ましいことであるが,生徒の自発的な参加によってそのような結果が生まれるように指導することがたいせつである。

(8) クラブ活動は教科の学習と深いつながりをもつ場合もあるが,そのような場合には,単に教科の補習を目ざすようなものとならないように注意する必要がある。

 

第2節 学校行事等

 

1 目 標

 学校行事等は,各教科・科目および特別教育活動のほかに,これらとあいまって聾(ろう)学校教育の目標を達成するために,学校が計画し実施する教育活動とし,生徒の心身の健全な発達を図り,あわせて学校生活の充実・発展に資する。 2 内 容  学校行事等においては,儀式,学芸的行事,保健体育的行事,遠足,修学旅行,その他上記の目標を達成する教育活動を適宜行なうものとする。 3 指導計画の作成および指導上の留意事項 (1) 学校行事等は,学校が計画し実施するものであるが,その計画や実施にあたっては,生徒に自主的,積極的に協力をさせるようにし,特に特別教育活動との関連において配慮することが必要である。

(2) 学校行事等の年間を通ずる計画の作成にあたっては,各教科・科目および特別教育活動との関連を考慮して,その種類,実施の時期・回数などを決定することが必要である。

 この際,生徒の発達段階に即応するよう留意するとともに小学校・中学部の諸行事との関連を考慮する必要がある。

(3) 学校行事等の計画や実施にあたっては,それぞれのねらいを明らかにするとともに,実施の時間,方法などを適切にするように配慮することがたいせつである。

(4) 地域社会の要請と関連して,学校行事等の計画を作成し,実施する場合には,その教育的価値をじゅうぶん検討し,学校全体の教育計画を乱すことのないように特に留意する必要がある。

(5) 学校行事等の計画や実施にあたっては,学校生活に変化を与え,生徒の生活を楽しく豊かなものにするとともに,集団行動における生徒の規律的な態度や障害を克服する積極的な意欲を育てることなどにじゅうぶん配慮する必要がある。

(6) 学校行事等の計画や実施にあたっては,生徒の負担過重に陥ることのないように考慮し,その健康や安全に特に留意しなければならない。

(7) 儀式を行なう場合には,それぞれの儀式の趣旨に添うように配慮することが必要である。なお,国民の祝日などにおいて儀式などを行なう場合には,生徒に対してこれらの祝日などの意義を理解させるとともに,国旗を掲揚し,君が代をせい唱させることが望ましい。

(8) 学芸的行事や保健体育的行事においては,平素の教育活動の成果を総合的に生かすようにし,それぞれの趣旨を逸脱することのないように考慮し,特に一部の生徒の活動に終始しないよう配慮することが必要である。

(9) 遠足や修学旅行においては,綿密な計画のもとに実施し,楽しく豊かな経験を得させるように配慮するとともに,特に安全その他の指導について細心の注意を払わなければならない。

(10) 「その他上記の目標を達成する教育活動」の一部として,学校給食を実施する場合には,給食時において,適切な指導を行なうようにすることが必要である。

施行期日

 この聾(ろう)学校学習指導要領高等部編は,昭和41年4月1日から施行し,同年同月同日以降聾(ろう)学校高等部の第1学年に入学した生徒に係る教育課程から適用する。