第7節 外 国 語

 

第1款 目 標

1 外国語の基本的な語法に習熟させ,読むことおよび書くことができるようにさせる。

2 外国語の音声,聞くことおよび話すことを理解させる基礎を養う。

3 外国語を通して,その外国語を日常使用している国民の日常生活,風俗習慣,ものの見方などについて基礎的な理解を得させる。

 以上の目標の各項目は,相互に密接な関連をもって,全体として外国語の目標をなすものであるから,指導にあたっては,この点を常に考慮しなければならない。

第2款 英 語

1 目 標

(1) 英語の発音,アクセント,初歩的な抑揚ならびに,聞くことおよび話すことについて理解させる。

(2) 英語の基礎的な語,句,文に親しませ,読むことや書くことができるようにさせる。

2 内 容

(1) 言語材料

 言語材料および題材は,次の程度および範囲のものを扱う。

ア 言語材料は,現代の標準的な英語とする。

イ 文は,単文,重文および複文ならびに平叙文,疑問文,命令文,感嘆文などとする。

 文型は,基本的なものとする。

ウ 語および連語

(ア) 新語の数は,中学部における学習の基礎の上に,1学年間におよそ400語程度とし,聾(ろう)学校学習指導要領中学部編第2章第9節第2の別表1に示した語の中から運用度の高いものを選ぶものとする。

(イ) 連語は,基本的なものとし,聾(ろう)学校学習指導要領中学部編第2章第9節第2の別表2に示したもののうちから選択したものを含める。

エ 文法事項は,およそ次の程度および範囲とする。

(ア) 名 詞

 種類,変化および基本的用法。

(イ) 代名調

 種類,変化および関係代名詞の基本的な用法。

(ウ) 冠 詞

 種類,および基本的用法。

(エ) 形容詞

 比較,および基本的用法。

(オ) 動 詞

 時制,活用,受動,不定詞,分詞,動名詞などの用法のうちもっとも基本的なものを主とする。

(カ) 助動詞,副詞,前置詞,接続詞についても,もっとも基本的なものを主とする。

オ 文字および符号は,中学部の場合と同じ取り扱いとする。

カ 題材は,主として英語国民の日常生活,風俗習慣,物語,地理,歴史などに関するもののうちから変化をもたせて選択し,特定のものに片寄らないものとする。なお,題材の形式は,主として対話文および説明文形式および少数の物語形式のものを加える。

3 学習活動

 学習活動には,次のものを含めるものとする。

ア 聞くこと,話すこと。

(ア) 英語を聞き取らせる。

(イ) 英語を聞かせ,これにならって言わせる。

(ウ) 英語を聞かせ,これに動作で答えさせる。

(エ) 英語を暗記し,暗唱させる。*

(オ) 実物,絵画,動作などについて英語で言わせる。

(カ) 文の一部を置き換えて言わせる。

(キ) 文を転換して言わせる。*

(ク) 英語で問答させる。

イ 読むこと

(ア) 範読にならって音読させる。

(イ) ひとりで音読させたり,集団で暗読させたりする。

(ウ) 対話の登場人物を分坦して読ませる。

ウ 書くこと

(ア) 習字をさせる。

(イ) 英語を見て書き写させる。

(ウ) 語のつづりを言わせたり,書かせたりする。

(エ) 英語を書き取らせる。

(オ) 暗記した文を書かせる。

(カ) 文の一部を置き換えて書かせる。

(キ) 文を転換して書かせる。

〔備考〕 *印を付した学習活動は,4単位時間以上実施する場合に,深めるものとする。

3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) 1単位時間の学習指導においては,聞くこと,話すこと,読むことおよび書くことの領域にわたって,つりあいのとれた形で進めることが必要である。

(2) 第1学年生徒の入学当初に,テスト,調査,面接などによって生徒の学力を診断し,その結果に基づいて指導計画を立てるとともに,中学部における学習をまとめさせながら,しだいに高等部の内容を指導するようにする。

(3) 言語材料は,既習のもののうち運用度の高いものについては,反復練習してじゅうぶん習熟させながら,少しずつ新しいものを加えていくように配列する。

(4) 第1学年,第2学年および第3学年の指導計画は,2の内容に示す学習活動を生徒の実態に即し,3学年間に配分して各学年の計画を立てるようにする。

(5) 英語をはじめて履修させる場合,聾(ろう)学校学習指導要領中学部編の内容に示されている事項および指導上の留意事項を参考にして取り扱うものとする。

(6) 上記の文法事項に関する用語は文法事項の程度および範囲を示すもので,扱い方を示すものではないから,指導にあたっては用語の掲示は最少限にとどめるようにする。

(7) 指導にあたっては,特定の指導法に片寄ることなく,生徒の心理,特性,特に聴覚障害の程度・経験などに即し,視聴覚教材を活用して平易にしかも楽しく習わさせるようにくふうする。

(8) 音声の指導にあたっては,補聴器,レコード,録音機,テレビ放送を活用するとともに,その補助的な手段として万国音標文字のうち必要なものを掲示してもよい。なお,発音の正確さについて過度の要求をしないようにする。

(9) 読むことの領域においては,文の組み立てや語句の使い方に注意させ日本語との相違に気づかせ,暗唱および書き取りをできるだけ回数を重ねて行ない,学習を確実に積み重ねていくように指導する。

(10) 英語の学習にかなり個人差が現われてくる段階であるが,学習のおくれている生徒には基本的事項を徹底させるとともに,学習の進んでいる生徒には,いっそう能力を伸ばさせるようにくふうする。