第13節 歯 科 技 工
第1款 目 標
1 歯科技工士としての一般的教養を高め,また歯科技工の社会的重要性を理解させ,その使命を認識させる。
2 歯科技工の科学的根拠を理解させ,基本的技術を習得させ,応用能力を伸展させる。
3 一般的な巧ち性をたかめ,研究態度と創意くふうの習慣を養う。
4 経営管理に関する基礎的知識を習得させ,合理的能率的に処理する能力を養う。
第2款 各 科 目
第1 歯 が 解 剖
1 目 標
歯がの形態を肉眼解剖的な見地から,正しく理解させるために,歯がの一般的知識を習得させると共に,個々の歯がについて,天然歯の観察を行なってその形態を学ばせさらに歯群として歯がが,口こうの総合的機能に参与する重要性を認識させる。
2 内 容
(1) 口こう解剖および歯が解剖概況 (2) 歯の発生と萠(ほう)出
(3) 切 歯 (4) 犬 歯
(5) 小きゅう歯 (6) 大きゅう歯
(7) 乳 歯 (8) 歯群(歯列号)
(9) 歯形彫刻実習 (10) そ の 他
3 指導計画の作成および指導上の留意事項
(1) 歯科技工に直接必要な,目でみた歯がの形態と構造ならびに歯がに関係のある付近の解剖的事項について理解させるように留意する。
(2) 理論的な画を習得させるだけにとどまらず,歯科彫刻実習を行なわせることにより,歯がの形態を実感をとおして理解させる。
第2 有 床 義 歯
1 目 標
歯科技工士として必要な有床義歯の理論と応用について,適正な知識と基礎的な技術を習得させる。
2 内 容
A 全部床義歯
(1) 全部床義歯概論 (2) 義歯の構成
(3) 印象採得 (4) 模 型
(5) 咬合採得 (6) 咬(こう)合器
(7) 人 工 歯 (8) 歯肉形成
(9) 歯型採得,埋没,重合 (10) 研 磨
(11) 義歯の修理 (12) 金属床による全部床義歯
(13) 基礎実習 (14) その他
B 部分床義歯
(1) 部分床義歯概論 (2) 維持装置
(3) 鈎 (4) アタッチメント
(5) バー (6) 金属床による部分床義歯
(7) 基礎実習 (8) その他
3 指導計画の作成および指導上の留意事項
(1) 全部床義歯は有床義歯の基礎となるものであるから,その目的等について理解をさせるとともに,技工室内における有床義歯取り扱い上の手技をじゅうぶんに習得させるよう留意する。
(2) 部分床義歯では,この種の義歯の技工室内における取り扱い上の理論とその実技についてじゅうぶんに理解させ,その専門的技術を適用できる能力を養う。
(3) 基礎実習では,実習を行なわせることを通して,基礎的な技術,態度,能力を身につけるよう指導する。
第3 継 続 架 工
1 目 標
歯冠補綴(てつ)と橋義歯について,その意義と目的,にその種類と構成等について理解させ,個々の補綴(てつ)物の作成にあたっての理論的な裏付けを行なうとともに,基礎的な技術を習得させる。
2 内 容
(1) 継続架工概説 (2) 金 属 冠
(3) ジャケット冠 (4) 継 続 歯
(5) 橋 義 歯 (6) 基礎実習
(7) そ の 他
3 指導計画の作成および指導上の留意事項
(1) 金属冠,継続歯,橋義歯等の応用目的とそれらの構造的,機能的な諸理論を理解させ,技工室内における取り扱い上の技術を習得させるようにさせる。
(2) この科目は,実習によって技術的な能力を身につけることが必要であるから,基礎的な技術についての実習を重点的に行なう。
第4 充 て ん
1 目 標
充てんの意義ならびに目的および分類について理解させ,インレー体調整法とその理論を習得させる。
2 内 容
(1) 充てん概説 (2) セメント
(3) アマルガム (4) メタルインレー
(5) ワックス原型調整 (6) 埋没,鋳造,研磨
(7) 基礎実習 (8) そ の 他
3 指導計画の作成および指導上の留意事項
(1) 充てんの目的等についてじゅうぶん理解させ,充てん物の製作にあたっては,技工室内の作業について習得させる。
(2) 基本的な手技についての基礎実習を行なわせる。
第5 きょう正
1 目 標
きょう正治療の基礎的概念およびその実績について理解させ,一般に使用されているきょう正装置の製作法について習得させる。
2 内 容
(1) きょう正概説 (2) 線屈曲の基本
(3) 自在鑞(ろう)着法 (4) きょう正装置の製作と器械
(5) 基礎実習 (6) その他
3 指導計画の作成および指導上の留意事項
(1) きょう正治療の目的等についてじゅうぶん理解させ,きょう正装置の技工室内での取り扱い上の手技について習得させる。
(2) 基本的な手技についての基礎実習を行なわせる。
第6 歯 科 理 工
1 目 標
歯科技工士として必要な歯科材料,機械器具についての基礎的知識を理解させ,その取り扱いと応用について習得させる。
2 内 容
(1) 歯科理工概説 (2) 材料力学
(3) 歯料材料の種類と特性 (4) 歯科材料の取り扱い
(5) 歯科用機械 (6) 技工用器具
(7) 基礎実習 (8) その他
3 指導計画の作成および指導上の留意事項
(1) この科目は,歯科材料や機械器具の取り扱いの基礎となるものであるから,いろいろの具体的な事象を取り上げて理解させるようにすること。
(2) 単に各種材料や器械の記述的な講義に終わることなく,実験,実習,調査,見学等により,正しく材料や器械を選択,使用できるようにする。
(3) 技術の進歩に応じて,新しい材料や器械を取り上げて指導するように考慮すること。
第7 歯科技工関係法規
1 目 標
(1) 歯科技工土として必要な歯科技工法ならびに関係法規について理解させ,その業務を遂行できるよう適正な知識を与える。
(2) 法を守る態度を養う。
2 内 容
(1) 法に関する一般的知識 (2) 衛生行政
(3) 歯科技工制度の沿革 (4) 歯科技工法とその関係法令
(5) 歯科医師法概要 (6) 歯科衛生士法概要
(7) 歯科医療の概況 (8) その他
3 指導計画の作成および指導上の留意事項
(1) 単に条文を暗記させるような指導に陥らないよう,必要な関係法規の適正な解釈,適用のできるような考察力,判断力を養うようにつとめる。
(2) 内容に応じて,関連の深い社会科学的な科目において指導してよい。
第8 歯科技工実習
1 目 標
歯科技工士として必要な歯科技工に関するすべての科目の学習を基礎として,歯科技工の技術について実験的,体験的かつ総合的に習得させる。
2 内 容
(1) 全部床義歯 (2) 部分床談歯
(3) 金 属 冠 (4) ジャケット冠
(5) 継 続 歯 (6) 橋 義 歯
(7) メタルインレー (8) きょう正装置
(9) そ の 他
3 指導計画の作成および指導上の留意事項
(1) 指導の過程においては,その他の科目との関連に注意しなければならない。また個々の作業等の指導に重点をおく場合もありうるが,それだけに熟達するだけに終わらず,基礎実習の上に立った総合的な技術を習得させるという認識のもとに指導を行なうこと。
(2) 原価計算や安全管理についてじゅうぶん理解させるようにすること。
(3) 実習は原則として校内の施設で行なうが,特殊な機械器具を使用するものなどについては,校外における実習や見学等によってその操作法を習得させること。