第10節 工   業

 

第1款 目   標

1 工業の各分野における必要な知識と技術を習得させ技術者としての資質の向上を図る。

2 工業技術の基礎を理解させ,これを実際に活用する能力を養う。

3 工業技術の性格や工業の社会的意義を理解させ,共同して責任ある行動をする態度と勤労に対する正しい信念をつちかい,工業人としての自覚を養う。

第2款 各 科 目

第1 機 械 実 習

 1 目 標

 実際の作業を通して,各科目と有械的関連を保ちながら,総合的に機械に関する必要な技術を科学的に体得させるとともに応用と創造の能力,望ましい態度と習慣を養う。

 2 内 容

(1) 原型・鋳造   (2) 鍛造  (3) 熱処理

(4) 板金・プレス  (5) 溶接  (6) 工作機械

(7) 仕上・組立   (8) 検査  (9) その他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) 内容には機械工業全般に関連するものをあげてあるが,地域社会の要求,教育課程編成目標その他の事情により適切な取捨選択を行ない,濃淡の度合いをおいてもよい。ただし技能者養成の傾向に陥らないように考慮する。

(2) 指導段階の過程においては,個々の作業等の指導に重点をおく場合もありうる。しかしこの場合,ただその熟達を図ることだけに終わらず,技術者として備えなければならない総合された技術的教養の一分野であるという認識のもとに指導するとともに,他の科目での学習事項を活用し,密接な関連を保って事象を科学的に考察させ,作業を合理的に処理するように指導する。

(3) 作業にあたっては,所要時間,経費等にも関心をもたせてさらに合理的な生産方法を考え,実践しうる能力および態度を養うように留意する。

(4) 設備・装置等には完全な安全装置を施し,実際の作業に即して危険予防法を理解させ,その実行の徹底を図る。

第2 機 械 製 図

 1 目 標

 製図通則や機械製図に関する規格を理解させ,機械の図面を読むことや設計どおりに生産に直結した製作図およびその他の図面をかくことができまた図面の管理ができる能力を養う。

 2 内 容

(1) 製図の基礎 (2) 機械製図などに関する日本工業規格 (3) 機械要素

(4) 工 具   (5) 機械のスケッチ (6) 機械の製図

(7) すえ付け図・配置図  (8) その他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

 製図の基礎では,中学部の技術・家庭科における設計,製図の学習を考慮の上,内容を選んで指導し,機械製図などを取り上げるのもよい。

第3 機 械 工 作

 1 目 標

 各種の機械工作および生産に関する技術を,科学的根拠に基づいて,理解させ,合理的な工作,生産方法を考え,実践する能力と態度を養う。

 2 内 容

(1) 鋳造   (2) 溶接     (3) 塑性加工

(4) 熱処理  (5) 切削・加工  (6) その他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

 機械工作および生産技術の進歩に応じて指導内容を適宜改善するように留意する。

第4 機 械 材 料

 1 目 標

 機械工業に使用されるおもな材料の製造法,組成,性質などを理解させ,使用目的に応じて適切に材料を選定し,計画的,経済的に材料を活用できる能力を養う。

 2 内 容

(1) 金属と合金  (2) 金属材料の試験・検査  (3) 鉄合金

(4) 非鉄合金   (5) 粉末合金        (6) 非金属材料

(7) その他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) この科目では,単に各種材料の記述的な講議に終わらず,実験・実習・調査・見学などにより,材料の組成による性質の変化や特性などを習得させ,正しい材料の選択,使用ができるようにする。

(2) 技術の進歩に応じて,新しい材料を取り上げるように考慮して指導する。

第5 窯 業 実 習

 1 目 標

 窯業の各部門における製造技術に関する技術や態度を実験的・体験的かつ総合的に習得させる。

 2 内 容

(1) 基礎実習

ア 化学分析 イ 顕微鏡試験 ウ 性質の測定 エ 温度の測定 オ 調合試験 カ その他

(2) 製造実習

ア 陶磁器 イ 耐火物 ウ ガラス エ ほうろう オ セメント

カ その他の窯業製品

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) 基礎実習と製造実習との有機的関連を図って指導する。

(2) 製造実習の指導は,学校の特色や実情をじゅうぶん考慮して重点をおいた学習となるよう配慮する。

(3) 各科目との関連に留意し,発展応用の能力を養うように指導する。

第6 窯 業 原 料

 1 目 標

 各種窯業原料の組成・性質および処理方法を理解させ,窯業の各部門における原料の選定・利用改善など応用の能力を養う。

 2 内 容

(1) 鉱物と岩石  (2) けい酸質原料   (3) ばん土質原料

(4) ばん土けい酸質原料  (5) 苦土質原料  (6) 苦土けい酸質原料

(7) 石灰質原料  (8) アルカリ原料   (9) その他の原料

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) 窯業原料の各種について一般岩石・鉱物との関係を知らせ産出状態を理解させる。

(2) それそれの原料の採掘および精製その他の処理について,基礎的な知識を得させる。

(3) 各原料について,鑑識・品質判断の能力を養い,その用途を理解させる。

第7 陶 磁 器

 1 目 標

 陶磁器製造に必要な原料の性質・選定および陶磁器の製造法や製品の性能を理解させ,これを実際の製造に応用できる能力を養う。

 2 内 容

(1) 陶磁器の概要    (2) 原 料    (3) 原料の採掘と精製

(4) 素地土の調製    (5) 成 形    (6) 乾 燥

(7) うわぐすり     (8) 焼 成    (9) 装 飾

(10) 陶磁器の各種    (11) その他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) 原料の選定・成形と乾燥の方法を理解させ,製品に適したものを選定できるようにする。

(2) 素地とうわぐすりの調製や陶磁器装飾法を理解させ,これを応用できるようにする。

(3) 各種陶磁器の特徴についても学ばせる。

第8 耐 火 物

 1 目 標

 各種耐火物の性質および製造法を理解させて,耐火物についての基礎的な知識を習得させ,これを正しく選定使用できる能力を養う。

 2 内 容

(1) 耐火物の概要  (2) 耐火原料    (3) 耐火物製造法

(4) 各種耐火物   (5) 耐火物試験法  (6) 耐火モルタル

(7) 断熱材     (8) その他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) 金属酸化物の高温における化学性の大要を理解させる。

(2) 各種の耐火物や断熱材の製法と性質を理解させ,あわせてその用途や規格についても学習させる。

第9 ガラス・ほうろう

 1 目 標

 ガラスおよびほうろうの性質や製法を理解させ,それを合理的に取り扱う能力を養う。

 2 内 容

A ガ ラ ス

(1) ガラスの概要           (2) 原  料

(3) 窯                (4) 溶融と溶融素地

(5) 成形と保冷            (6) ガラスの性質と試験法

(7) ガラスの加工           (8) 特殊ガラス

(9) その他

B ほうろう

(1) ほうろうの概要          (2) ほうろううわぐすり

(3) ほうろううわぐすりの製造     (4) ほうろう用素地

(5) 素地の成形            (6) ほうろう加工

(7) ほうろうの性質と試験法      (8) 特殊ほうろう製品

(9) その他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) ガラスについては,ガラス状態の特質とガラス物質の生成を理解させ,ガラスの一般的性状と試験法を習得させて,品質改善の能力を養うようにする。

(2) ほうろうでは,ほうろうわぐすりと金属素地の特性を理解させ,ほうろうの一般的性状と試験法を習得させて,品質改善の能力を養うようにする。

第10 セ メ ン ト

 1 目 標

 セメントの意義と用途を明らかにし,各種セメントについてその原料,製造工程,性質などを理解させ,それを試験する能力や合理的な選定,処理の能力を養う。

 2 内 容

(1) セメントの概要

(2) ポルトランドセメント(早強ポルトランドセメント,特殊ポルトランドセメントなどを含む)

(3) 混合ポルトランドセメント      (4) アルミナセメント

(5) マグネシアセメント         (6) その他のセメント

(7) セメントの性質と試験法       (8) モルタルとコンクリート

(9) セメント製品            (10) その他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) セメントの意味と各種構造用材料としての重要性を認識させる。

(2) セメントのおもな性質,特にその硬化の機能を理解させ,セメントの利用法を学ばせる。

第11 窯 炉・燃 料

 1 目 標

 窯業における窯炉燥作の重要性を認識させ,各種窯炉の構造性能および設計,築窯上の基礎的な技術を習得させ,熱管理の概念を理解させる。

 2 内 容

(1) 燃焼理論       (2) 燃 料

(3) 燃焼装置       (4) 炉 材

(5) 窯炉の各種      (6) 窯炉設計および築窯

(7) 熱管理        (8) その他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) 燃料・燃焼装置・焼成操作に関して,理論的基礎を指導するとともに,諸計器の取り扱いも学習させる。

(2) 築窯法の基礎,窯炉各部の相関関係および築窯工事法について学習させるようにする。

第12 窯 業 図 案

 1 目 標

 窯業製品の製作に必要な創意と意匠の発想能力を養い,表現材料の特性や適否を理解させ,表現技術を習得させる。

 2 内 容

(1) 基礎図案            (2) 立体図案

(3) 窯業製品の図案         (4) その他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

 窯業製品の図案の基礎を学習させるとともに,その応用能力を養うものであるから,資料の収集に努め,実際に即して広い視野を得られるように指導すること。

第13 工 芸 実 習

 1 目 標

 工芸に関する各科目の学習を基礎とし,作業を通して総合的に技術を習得させ,あわせて生産に対する企画,運営,管理の能力を養う。

 2 内 容

(1) 木材加工            (2) 金属加工

(3) ガラス加工           (4) プラスチック加工

(5) そ の 他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) 「工芸材料」,「工芸工作」,「工芸製図」との関連に留意し,また地域性や生徒の進路によって,指導内容を決める必要がある。

(2) 各種の材料を総合した製品の組み立てについても実習を行なうようにする。

(3) 作業工程を分祈し,生産計画が立てられるように習慣づける。

第14 工 芸 製 図

 1 目 標

 製図の基礎を理解させ,工業・意匠および室内装備の計画に対する図示の能力を養う。

 2 内 容

(1) 製図の基礎             (2) 生活器具製図

(3) 家具製図              (4) 建築製図

(5) 室内製図              (6) その他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) 「デザイン」,「工芸計画」,「建築一般」との関連に留意する。また地域性や,生徒の進路により重点をおいて指導するのもよい。

(2) トレース・現寸・工作図などの図示は,機会あるごとに練習させる。

(3) グッドデザインについては常に関心をもたせて,スケッチ・レンダリング・実測・模写などはもちろん,材料の扱い方,構造についても研究させる。

第15 絵 画

 1 目 標

 美術の理解を深めるとともに,形と色に対する感覚を養い,描画の技法を設計製図に応用できる能力を養う。

 2 内 容

(1) 絵画概説   (2) 鉛筆画   (3) 木炭画

(4) 水彩画    (5) 油彩画   (6) その他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) 鉛筆,木炭によるデッサンには特に重点をおき,対象物をよく観察して正確に模写できるようにする。

(2) デザイン科では,コンテ・パステル・水彩画など必要な内容を含めて指導する。

(3) デザイン科では,抽象・非具象絵画なども取り扱う。

第16 造 形

 1 目 標

 造形の基本となる諸要素について感覚を養い,創造的な構成力を高める。

 2 内 容

(1) 平面構成

 平面構成に必要な形体・色彩・材質などの構成

ア 構成による色彩効果

イ 構成による感情効果

ウ 構成による空間感

(2) 立体構成

 立体や空間の感覚および材料,構造,技術の体験や理解

ア 材料と技術

イ 構造の機能

ウ 立体と空間

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) 「絵画」,「デザイン実習」,「デザイン」,「彫塑」などの科目との連関を図り,指導の効果があがるようにする。

(2) 指導する事項や指導法については,絶えず新しい科学技術や芸術の動向に留意して,研究し改善するようにする。

第17 工 芸 史

 1 目 標

 各国各時代における造形文化の推移を知らせ,おのおのの特色を理解させるとともに,現代工芸の正しいあり方の考察に資する能力を養う。

 2 内 容

(1) 原始の世界         (2) 日本・東洋

(3) 西 洋           (4) 現代の世界

(5) その他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

 単位数により,内容を適切に整理して指導計画を立てる必要がある。

第18 工 芸 計 画

 1 目 標

 家具・室内などについて基本的な要素を理解させ,これらを合理的,意匠的に計画し設計できる能力を養う。

 2 内 容

(1) 人体と計画          (2) 生活器具計画

(3) 家具計画           (4) 室内計画

(5) 展示計画           (6) その他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) 「工芸材料」,「工芸工作」,「工芸製図」との関連に留意する。

(2) 実験・演習・見学・模型製作などを加え,総合的にまとめるようにくふうさせる。

第19 工 芸 材 料

 1 目 標

 工芸材料の性質について理解させ,これらを適正に選択,応用できる能力を養う。

 2 内 容

(1) 木 材            (2) とう竹材

(3) 接着剤            (4) 金 属

(5) ガラス            (6) プラスチック

(7) その他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) 「工芸工作」,「工芸計画」などの科目の学習と密接な関連をもたせて指導する。

(2) 材料の強さや耐久性などについて考察させる。

(3) 新材料の性質や性質や取り扱いを理解させて,工芸に活用するように指導する。

第20 工 芸 工 作

 1 目 標

 工芸材料の基礎的な加工について理解させ,これを総合的工作技術に応用する能力を養う。

 2 内 容

(1) 工具・機械・設備        (2) 木材加工

(3) 木質材加工           (4) 金属加工

(5) ガラス加工           (6) プラスチック加工

(7) 機器構造            (8) 家具構造

(9) 室内構造            (10) 生産管理

(11) 安全管理            (12) 工場経理

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) 「工芸材料」,「工芸計画」などの科目の学習と密接な関連をもたせて指導する。

(2) 技術の進歩に応じて,新しい材料を取りあげるように考察して指導する。

(3) 安全管理の必要性を理解させ,実習と関連をもたせて指導する。

第21 塗 装

 1 目 標

 各種塗料の組成・性質・用途・塗装法を理解させるとともに,塗装の技術を習得させ,これらを科学的,技術的に考察して,適切に選択し応用する能力を養う。

 2 内 容

(1) 塗装概説            (2) 塗装原料

(3) 各種塗料            (4) 塗装補助材料

(5) 塗装用具・機器         (6) 木材塗装

(7) 金属塗装            (8) その他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) 講義と実習とを交互に行ない,あるいは実習中に講義を行なうなどして,理論と実際とを融合させる。

(2) 従来の塗装技術中心を避け,各種塗料の塗膜に理学的,機械的な考察を加えるように留意する。

第22 建 築 一 般

 1 目 標

 建築工業の大要とその基礎的事項について理解させ,簡単な建築物の設計・監理・施工に応用できる能力を養う。

 2 内 容

(1) 建築概要             (2) 建築材料

(3) 建築構造             (4) 建築計画

(5) 建築施工             (6) その他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

 建築工業の特質を理解させるとともに,建築材料・構造・建築計画・建築施工の概要について理解させ,見学・製図・実習など加味して実際的な知識,能力を養うようにする。

第23 デザイン実習

 1 目 標

 デザインの創意と構想に基づき,これを適確かつ実際的に表現する技術を体得させ,能力を養う。

 2 内 容

(1) デザインの基礎技法

ア デザイン用具と材料        イ 平面デザインの基礎技法

ウ 立体デザインの基礎技法      エ その他の関連技法

(2) 商業デザイン

ア 商業デザインの基礎技法      イ グラフィックデザイン

ウ パッケージングデザイン      エ ディスプレーデザイン

オ その他

(3) 工業デザイン

ア 工業デザインの基礎技法      イ 生活機器デザイン

ウ 視聴覚機器デザイン        エ 交通機体デザイン

オ その他のプロダクトデザイン

(4) 工芸デザイン

ア 工芸デザインの基礎技法

イ 木材・金属・陶磁・塗装・染織などの工芸デザイン

ウ 服飾・室内装飾などの総合意匠計画

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) この科目は,地域社会の実状と生徒の個性に応じて内容の調整を図り,特に高学年ではそれぞれ専門のコースを選定して履修させ,将来職場の業務に直結しうるような技術の習熟に努める。

(2) 関連科目との連けい,基本的実習はもとより,デザインアイデアの発想から完成に至るまでの業務実習を通して,特に創造の意欲とデザイン倫理観の養成に努める。

(3) 共同製作や作業を実施してチームワークの成果があげられるような学習指導に留意する。

第24 造 形・意 匠

 1 目 標

 造形の基礎理念を明らかにし,あらゆるデザインに応用できる美的原理と構成表現の技術を習得させ,独創的な態度と能力を養う。

 2 内 容

(1) 造形感覚             (2) 形体・色彩・材質

(3) 材料・加工技術          (4) 用途・機能・構造

(5) 意匠構成の諸元とその展開     (6) その他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) この科目は,デザイン技術の基盤となるものであるから,特に理解の適確を期し,種々の実験や試作を通して感覚表象と造形意匠に関する独創力を養うように指導する。

(2) 視覚的造形はいうまでもなく,他の感覚作用との関連についても考察させ,現代社会に適応する意匠の原則を体得させるように留意する。

第25 造形美術史

 1 目 標

 原始から現代に至る世界の造形文化発展の様相について理解させ,新時代の造形デザイナーとなるできものに必要な見識を養う。

 2 内 容

(1) 造形芸術の起源

(2) 原始時代の各民族造形

(3) 古代・中世・近代の造形美術

ア 東洋・日本  イ 西洋・アメリカ

(4) 現代世界の造形美術

(5) その他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) 各時代,各民族造形の様式的特質とその展開について適確な鑑識力と鑑賞力を養う。

(2) デザイン史的考察を促し,特に近代の美術運動の推移について関心をもたせる。

第26 デザイン

 1 目 標

 視覚的な効果を主とするデザインの学習を通して,デザインについての理解を深めるとともに,デザインにおける計画と表現の能力を高める。

 2 内 容

(1) ベーシックデザイン

(2) ビジュアルデザイン

(3) プロダクトデザイン

(4) クラフトデザイン

(5) テキスタイルデザイン

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) 地域社会の実状と生徒の個性に応じて内容の調整を図り,高学年ではそれぞれ専門のコースを選定して履修させ,将来職場の業務に直結し得るような技術の習熟に努める。

第27 意 匠 製 図

 1 目 標

 図学一般と製図の基本技法を習得させて,造形デザインの意図を,正確に表わせるような能力を養う。

 2 内 容

(1) 製図の基礎

(2) 平面図法

(3) 投影図法

(4) 透視図法

(5) 製図実習

(6) その他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) 関連科目,特に「デザイン実習」および「デザイン」との対応を考慮して,アイデアスケッチ・ラフスケッチ・レンダリングないし原型・模型製作を関連させ,実際的な意匠製図の実技に習熟させるようにする。

(2) 読図や透写ないし製図技術に付帯する図面処理の実務を習得させるようにする。

第28 彫 塑

 1 目 標

 美的感受性を陶やし,客観的・現実的表現や,主観的・抽象的表現の技術を体得させて,造形意匠技術者に必要な創造の能力・態度・習慣を養う。

 2 内 容

(1) 浮彫彫塑(木材・石材・粘土・石こう・鋳造その他)

(2) 丸彫彫塑(同上)

(3) 抽象・非具象彫塑その他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) モチーフ・テーマおよび各種表現材料・技法を適確に選択し,特に関係科目との関連を密にし,ゆるす限り鑑賞および模写・模造を課する。

(2) この科目の内容に版画(木版・石版・銅版など)を取り入れてもよい。

第29 写 真・印 刷

 1 目 標

 最近の科学および工業技術を応用する写真と製版,印刷の原理および技術一般について学習させ,グラフィックないし,各種生産デザインへの活用性に視野を広めて,それぞれに関する専門的技術・能力を養う。

 2 内 容

A 写 真

(1) 写真光化学と写真機器・材料

(2) 撮影・現像・印画・引き伸ばし

(3) 天然色写真

(4) 映画と動画・特殊撮影

(5) 写真作画と編集・構成技法(フォトモンタージュ技法その他)

(6) 特殊感光技法と特殊操作技法(フォトグラム技法その他)

(7) 写真応用と企画業務その他

(8) その他の付帯技法

B 印 刷

(1) 製版・印刷の原理と印刷機械一般

(2) 印刷材料と材料化学

(3) とっ版・平版・おう版その他の版式・技術

(4) 原色版印刷およびその他の特殊印刷

(5) 印刷原稿と編集および製本・出版・刊行

(6) 印刷応用と企画経営その他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) 写真・印刷の芸術的産業的意義はもとより公共社会における視覚広報的意義の重要性を認識させる。

(2) 特に実験・演習を重んじ,操作作業・管理・応用の技術・態度・能力を身につけるように指導する。

(3) 教育目標によっては,内容のAまたはBのいずれか一つを学習させてもよい。

第30 印 刷 実 習

 1 目 標

 印刷技術に関する諸科目の学習を基礎として,とっ版・平版・おう版のそれぞれの製版印刷の基本を体験し,将来現場での作業の研究・計画・管理・改善などの印刷技術者として必要な資質をつちかうことを目標とする。

 2 内 容

(1) 活版実習

(2) 平版実習

(3) 写真製版実習

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) 実習は総合的な体験学習であるから,印刷に関する他の科目とじゅうぶんな連けいを持ちながら指導を行なうこと。

(2) 器具,機械などの取り扱いについて,じゅうぶんな管理方法を指導するとともに,安全作業について指導を行なうこと。

(3) 協調的な作業態度,作業計画,研究心を進める習慣をつけさせること。

(4) 将来の進路に応じて専門的な技術訓練を行なう場合は,初め基礎的な広い分野の実習を行ない,高学年になるに従い,漸次専門分野の技術にはいり,これに習熱するように配慮すること。

(5) とっ版(活版を含む)平版,おう版,写真製版などの各版式について実習を行なうことができない場合は,主たる実習をその一つまたは二つにとどめ,他は実験的な指導によってその版式による印刷の実地生産を体験させるようにすること。

第31 製 版 印 刷

 1 目 標

 印刷様式の発生,印刷の文化的使命の重要性を認識させ,印刷技術の各基礎方法とその応用とを理解させ,印刷技術者としての能力を養う。

 2 内 容

(1) 製版印刷の原理と沿革

(2) とっ版・平版・おう版およびその他の版式の技術

(3) 印刷原稿と編集および製本・出版・刊行

(4) 印刷応用と企画経営その他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) この科目の学習指導にあたっては,自発的に学習の活発化を図るために努めて実験・実習によって具体的な学習を行なわせるとともに参考資料の展示や工場見学を利用すること。

(2) 内容(1)に関しては,印刷方式の分類と成立および特徴を理解させること。

(3) 内容(2)に関しては

 とっ版製版法のうち特に活版法,平版印刷法のうち特にオフセット印刷法についてその製版工程と方法およびこれに使われる製版用諸材料・諸器具類などの知識・理解を得るよう指導すること。

(4) 製版印刷用器具・機械・材料の科学的整備の習慣を身につけさせ,工程手順の計画,着実な作業の進行,作業の合理化を図る能力を養成するように指導すること。

第32 写 真 製 版

 1 目 標

 写真の発達歴史を知るとともに写真応用製版印刷の技術と応用能力を養成する。

 2 内 容

(1) 写真の原理と沿革

(2) 製版写真法

(3) 写真製版法

(4) 原色版製版法

(5) 写真おう版製版法

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) この科目は写真応用の製版技術を養成するものであるから,写真の基礎的技能・知識を身につけさせるとともに,製版印刷との関連をじゅうぶん理製させるように指導すること。

(2) 写真植字機は写真製版法の中に含むものとする。

第33 印刷機械・材料

 1 目 標

 製版印刷に使われる機械・器具・材料などの基礎的理解を得させ・その適切な選択と使用・保守・管理の知識・技能を養成する。

 2 内 容

A 印刷機械については

(1) 印刷機械の原理・構造・分類

(2) とっ版印刷機械

(3) 平版印刷機械

(4) おう版印刷機械

(5) 特殊印刷機械・その他の印刷機械

(6) その他の製版印刷用機器類

B 印刷材料については

(1) 印刷用紙

(2) 印刷インキ

(3) 印刷写真用材料・薬品

(4) その他の製版印刷用材料

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) 印刷機械についてはその構造・機能をじゅうぶんに理解させ,その機械を使用するにあたって,適切な運転と保守・管理および安全を保持する能力を身につけさせるよう指導すること。

(2) 印刷材料については,その製造工程・種類・特性および検査に関する知識を理解させ,その適切な選択と使用についての基礎的能力を得るよう指導すること。

第34 図 案・製 図

 1 目 標

 この科目は,基礎的製図学習を基盤として印刷図案・レイアウトの知識を理解させるとともに,その技能を習熟させて,印刷技術者としての能力をつちかう。

 2 内 容

(1) 用器画法             (2) 描画・彩色

(3) 印刷図案・包装図案        (4) 広告と広告業務

(5) その他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) 形状・色彩など配色効果の知識と商業意匠・包装意匠の実際知識を理解して,これらと印刷との関連を理解させるようにすること。

(2) 原稿の模写能力・図案文字の描画力・配色表現能力・配色の効果的技法または印刷効果への利用技能を体得させるようにすること。

(3) 各種図案とその印刷による複製との関連性の考察力および判別力を養成し,印刷効果を深く推理する能力・習慣をつちかうように配慮すること。

第35 写真化学・写真光学

 1 目 標

 写真および写真製版に使用される材料・薬品の化学変化ならびに,これに使用される光学機器の光学的機能・性質を理論的にまた実験的に理解・体得させて,これらの適切な選択と使用の能力をつちかう。

 2 内 容

A 写真化学

(1) 光化学・写真感光理論

(2) 写真感光物質

(3) 現像理論・現像薬品

(4) その他

B 写真光学

(1) 写真光学理論

(2) レンズ・プリズム・フィルターなどの写真・印刷用光学機器

(3) その他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

 写真法ならびに写真製版法に用いられる感光物質の光化学的反応ならびに光学機器の性能を原理的に理解して,これらを選択・使用する場合にじゆうぶん役だつように配慮すること。

第36 工 業 経 営

 1 目 標

 企業と生産との合理化を図るために,科学的工場管理法を理解させ,能率的な生産手段を計画・実践できる生産担当者としての能力を養い,それぞれの工業の発展に寄与する素地を養う。

 2 内 容

(1) 生産と経営           (2) 生産管理

(3) 安全管理            (4) 人事管理

(5) 工場経理            (6) 工業関係法規

(7) 原価計算            (8) その他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) 生産管理では,生産担当者としての活動に必要な技術・態度を習得させるために,特に実習と密接な関連を保って,学科の目標を達成するのにふさわしい内容を選定して指導し,特に品質管理に重点をおくこともよい。

(2) 人事管理では,賃金制度を含めて理解させ,近代的,生産的性格をもつ監督者としての技術や態度を習得させる。

(3) 工場経理では,簿記・会計・原価計算などについて指導する。

第37 工 業 概 説

 1 目 標

 現代の産業機構,工業各業種の概要,工業の経営形態と管理方式などを理解させ,工業人としての使命の自覚を深め,かつ広い視野から事を処理する能力を養う。

 2 内 容

(1) 産業の発達と現代の産業機構

(2) 工業の発達とその現代

(3) 工業の経営形態

(4) 国民経済と工業人の使命

(5) その他

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) この科目は,これを履修する学科によって,取り扱う内容の重点のおきどころが異なるし,また「工業経営」などの科目とあわせて履修する場合には,この科目で取り扱う内容は変わってくる。

(2) 産業の発達と現代の産業機構では,産業の発達と現代産業の経済機構と各種産業の相互の関連などを取り扱う,工業の発達と現状では,わが国の工業の発達の概要,工業の成立する要素,現代工業諸分野の概要などを取り扱う。工業の経営形態では,工業経営の諸形態と現代工業に採用されている各種の管理方式の概要を取り扱う。国民経済と工業人の使命では,工業政策などにもふれる。

第38 機 械・電 気

 1 目 標

 機械および電気の基礎的技術を習得させ,それぞれの学科の技術に応用できる能力を養う。

 2 内 容

A 機 械

(1) 機械の要素            (2) 材料力学

(3) 機械工作             (4) 各種機械

(5) 原動機              (6) その他

B 電 気

(1) 電気理論             (2) 電気機器

(3) 電力設備             (4) 電気応用

(5) その他 

 3 指導計画の作成および指導上の留意事項

(1) この科目の指導にあたっては,その学科の必要に応じて,機械と電気のいずれかの分野,および内容に,重みを考慮すること。

(2) その学科の必要に応じて,機械と電気を有機的に関連させて指導するように配慮すること。

(3) 普通科で履修する場合は,理科の発展学習の見地から関連を図り,つとめて実験実習による指導をすること。