第1 目 標
1 自然の事物や現象についての関心を高め,真理を探究しようとする態度を養う。
2 自然の環境から問題をとらえ,事物に基づき,筋道をたてて考えたり処理したりする能力を養い,また,実験や観察に必要な機械器具を目的に応じて取り扱う技能を高める。
3 生活や産業の基礎となる自然科学的な事実や原理の理解を深め,これを活用する能力を伸ばし,さらに,新しいものをつくり出そうとする態度を養う。
4 自然科学の進歩が生活を豊かにするのに役だつことを認識させ,自然科学の成果や方法を生活の中に取り入れ,生活を合理化しようとする態度を養う。
5 自然と人間生活との関係を認識させるとともに,自然の保護利用に対する関心を高める。
上に掲げた目標は,各項目相互に密接な関連をもって理科の目標をなすものである。
指導にあたっては,特定の項目にのみ重点をおくことなく,目標が全体として達成されるように考慮しなければならない。
また各学年の目標は,教科の目標を,学年に発展させ,明らかにしたものである。
第2 各学年の目標および内容
〔第1学年〕
1 目 標
(2) 自然の環境の中にある問題を見いだし,解決の方法をいろいろ考えて事実に即して確かめ,処理できるようにする。
(3) 日常生活の中で経験できる事実をもとにして,自然科学的な基礎的原理を理解し,これを生活にあてはめてみるように導く。
(4) 自然の事物や現象についての理解をもとにして,自然と人間の生活との関係に気づくようにし,自然を愛護しようとする気持ちを養う。
(ア) もみのつくりを調べ,イネをよく育てるのには,充実しているもみを選ぶ必要のあることがわかり,選種のしかたを知る。
(イ) もみをまき,発芽したときの様子を観察し,芽の出方の特徴に気づく。
(ウ) イネの育ち方を観察して,株の分かれ方,花の咲く時期,花のつくりや開閉などを知る。
(エ) イネ,ムギのほかにもマツ,トウモロコシなどのように,コン虫のなかだちによらないで受粉するもののあることを知る。
(オ) 除草,施肥,水温や気温などが,イネの生育に関することを知る。
(カ) イネは,ズイムシなどの害虫や病気におかされる場合のあることに気づくとともに,これらの害を防ぐ方法を知る。
イ 種子のつくり,発芽,伸び方を調べる。
(ア) ダイズ等の豆を発芽させ,子葉が開きかけたとき,これをつみとると発育がおくれることから,子葉には養分がたくわえられていて,それが芽を出すのに役だつことを知る。
(イ) 発芽には適当な水分や温度が必要なことを知る。
(ウ) カキ,ソラマメのように,つくりの見やすい種子を観察して,種皮,子葉,はい乳などがあることやそれぞれのはたらきを知る。
(エ) 種子をはちにまき,明るい所や暗い所で育て,茎の伸び方や色,茎や根の伸びる方向などが,光に関係することに気づく。
ウ 花と虫との関係や花のつくりを調べる。
(ア) チョウ,ハチなどが花のみつを吸い,花粉を集める様子を観察し,チョウやハチが,その際に受粉のなかだちをすることを知るとともに花のつくりと虫のからだのつくりとの関係を理解する。
(イ) 花には,カボチャのように雄花・雌花の別のあるものもあることを知るとともに,カボチャなどで人工受粉をしたり,受粉をさまたげたりして,花は受粉すると,めしべのもとがふくらみ,実となり,その中に種子ができることを知る。
(ウ) アブラナ,ツツジ,タンポポなどの花びらの数,形,並び方などを観察して,それらには,それぞれよく似た花があることに気づく。
エ 魚のからだのつくり,習性,ふえ方を調べる。
(ア) 魚のからだの外形や,ひれの形やつくり,泳ぎ方を観察したり,えら,うきぶくろなどの内部のつくりを観察したりして,からだのつくりが水中の生活に適しているところの多いことを知る。
(イ) 海や池などの水を顕微鏡で,観察することにより,水中には,ミジンコ,ゾウリムシ,ケイソウなどの小さな微生物がすんでいることに気づき,これらが魚のえさとなることを知る。
(ウ) いろいろな魚の種類や生活のしかたを調べて,魚には海にすむもの,川にすむものがあり,また生育の時期によって生活の場所を変えるものがあることを知る。
(エ) メダカなどのふやしやすい魚を飼育して,魚が卵から生まれて育っていく様子を観察するとともに,魚の養殖のしかたを知る。
オ 病原体と寄生虫の種類や,人体にはいるまでの経路を知る。
(ア) 伝染病には結核,赤痢などがあり,病原体によって伝染すること,ならびにその経路を知る。
(イ) 病原体が体内にはいっても,必ず発病するものではないが,栄養の不足や,過労,不節生などのためにからだが弱っているときは,発病しやすいことを知る。
(ウ)人体の寄生虫には,回虫,ギョウ虫,十二指腸虫などがあり,健康に影響することに関心をもつ。
(エ) 回虫や十二指腸虫の寄生経路を知り,検便の必要や,これの駆除子防についての理解を深める。
(オ) 病原体は日光,熱,薬品などによって殺すことができることを知る。
(ア) 樹木の動きや,波,煙などの様子で,風の強さの程度をいくつかに分けることができることを知る。
(イ) 簡単な風向計を作って,風の向きを測り,風向は一日のうちでも変化することに気づくとともに,風の向きや速さを正確に測るには,風向計,風速計を使うことを知る。
(ウ) 季節や場所(海岸,山あい)などによって,風が吹く向きやその変わり方に特徴があることに気づくとともに,風の向きや強さが日常生活と関係のあることを知る。
(エ) 風は空気の動きであることに気づくとともに,局地風の起こるわけを実験によって理解する。
(ア) 地層を観察して,地層にはしま模様があることに気づくとともに,地層は岩石や砂や粘土からできていることを知る。
(イ) 地層は水や風などのはたらきによって,粘土や砂などが積もり,長い年月かかってできたことを考えることができる。
(ウ) 地層の傾きなどを観察して,地層はできてから後にもち上がったり,傾いたりすることを知る。
イ 泉や井戸を観察し,地下水に関心をもつ。
(ア) 粘土の上に盛った砂に水をかけ,粘土の層が水を通しにくいことから泉や井戸水は,雨水が地中にしみこみ地中の岩石や粘土の上にある砂などの中にたまった水であることを理解する。
ウ 化石を観察して,そのでき方に関心をもつ。
(ア) 化石を観察して,化石には貝や木の葉などがあることに気づくとともに,化石が地層に含まれていることを知る。
(イ) 化石が過去の生物であることや,出てきた化石によって,その化石を含んでいた地層のできた当時の様子が,現在の様子と違っていたことを知る。
エ 地表の歴史と生物の進化について関心をもつ。
(ア) 太古代から新生代までのおおまかな自然の様子や主な生物について知り,生物の移り変わってきた大要を理解する。
(イ) 生物進化の事実を,化石,発生,分布,形態の比較などから理解する。
(ウ) ラマルク,ダーウィンなどの進化についての考えを知る。
オ 石炭と石油のでき方を知る。
(ア) 石炭・石油は地層の中にあって,これらが過去の生物から変化してできたものであることを知る。
(ア) 太陽・月の表面を比較観察して,太陽・月の光り方,表面の様子などに違いのあることを知る。
(イ) 月は太陽の光を反射して光っていることを知る。
(ウ) 太陽は月とほぼ同じ大きさに見えるが月より大きくて,遠くにあることを知る。
(エ) 北の空の星は,北極星のまわりを回っているように見えることや,そのほかの星も時間がたつにつれて,位置が変わっていくことを観察して,星も太陽や月と同じように1日たつとだいたいもとの位置に見えることを知る。
(オ) 太陽・月・星の1日の見かけの運行の事実から,地球は自転していることを知る。
(カ) 海岸に近づく船が帆柱から見え始めることなどから,地球が球形であることを知る。
(キ) 太陽は自転している地球の半分を照すために,昼夜ができることを理解する。
(ア) 机の上に置いた本やいろいろな物を押したり引いたりして動かし,物が運動している時には,接触している面にその運動をさまたげる力がはたらくことを知る。
(イ) 同じ物を木やガラスなどの板の上で動かし,面のなめらかさによって摩擦に大小のあることに気づく。
(ウ) 物を動かすとき,接触面にろうや油を塗ったり,ころや車を使ったりすると,運動をさまたげる力が小さくなることをぜんまいばかりなどを使って確かめる。
(エ) 身のまわりの道具や機械には,ベアリングやブレーキなどのように,使う目的によって摩擦を小さくしたり,大きくしたりするくふうがされていることを理解する。
イ 物のすわりのよしあしを調べる。
(ア) おきあがりこぼしを作り,それにつけるおもりの位置や重さを変えてその動きを観察しおもりの位置や重さによって,起き上がり方に違いのあることに気づく。
(イ) あき箱(直方体)などの内部につけたおもりの位置を変えたり,また底の広さの違う箱を使ったりして,箱を少しずつ傾けて,その倒れ方を調べ,すわりのよしあしが,おもりの位置や重さ,底の広さに関係のあることを理解し,いろいろな物のすわりに関心をもつ。
ウ 音の高低と強弱を調べる。
(ア) 音が弦,膜,棒などの振動によって出ることを,実験によって,理解する。
(イ) 簡単な琴を使って,弦の長さ,太さ,張る強さの違いによって,音の高低の違いができることを理解する。
(ウ) 琴の弦をはじいたり,太鼓をたたいたりなどして,音の強弱は,振幅の大小に関係することを理解する。
エ 音の伝わり方や進み方を調べる。
(ア) 真空の中では,音が伝わらない事実などから,空気が音を伝えることを理解する。
(イ) 水や金属なども,音を伝えることを知る。
(ウ) 音は物に当たってはねかえったり,まわりのものに吸収されることを知る。
オ 光の直進,反射,屈折のしかたを調べる。
(ア) 光はふつう水や空気の中ではまっすぐに進むことを理解する。
(イ) 針穴写真機を使っていろいろな物の像を写し,それが光の直進によることを理解する。
(ウ) 鏡に当った光は入射した方向によって反射する方向が決まることを確かめる。
(エ) 光を出さないものが見えるのは,他から来た光を反射しているからであることを理解する。
(オ) 光が空気中から水中にはいるとき,また水中から空気中に出るときなどには,その境で屈折したり反射したりすることを理解し,光の屈折によって起こる日常の現像に関心をもつ。
(カ) 太陽光線はプリズムによっていろいろな色の光に分けられることを確かめる。
カ 熱の移り方にはいろいろあることを調べる。
(ア) 温度の高い物と低い物を触れさせると両方の温度が変わることから,熱が温度の高いところから低いところへ移ることを知る。
(イ) 金物などの一部を熱して熱が物を伝わって移ることに気づき,物によって熱をよく伝えるものと,伝えにくいものとがあることを理解する。
(ウ) 水や空気の一部を熱してその動きを調べ,熱が水や空気の動きに伴って移ることを理解する。
(エ) 太陽からの熱やストーブなどのそばで受ける熱は,中間の空気を暖めないで直接物に移ることを知り,黒い物は白い物よりも暖まりやすい事実に気づく。
(オ) 日常生活には熱の移り方をうまく利用しているもののあることに気づき保温のしかたを知る。
キ モーターのしくみとはたらきを調べる。
(ア) 電磁石は巻き線に流れる電流の向きによって極が変わることを確かめる。
(イ) 界磁に永久磁石を使った簡単なモーターを作り,電機子は電磁石の一種であって,整流子は電機子に流れる電流の向きを変えるはたらきをすることを理解する。
(ウ) モーターの回るわけを磁石の性質によって理解する。
(ア) こんろで火を起こし,物が燃えるには空気が必要なことに気づき,じょうずな火の起こし方をくふうする。
(イ) 燃えているまきや木炭を火消しつぼに入れたり,水をかけたりすると火が消えることから,火を消すには空気を断ったり,温度を下げたりすることが必要であることを理解する。
イ 酸素と二酸化炭素をつくり,その性質を調べる。
(ア) 酸素を発生させ,その中に燃えているものを入れると空気中より,はげしく燃えることに気づく。
(イ) 空気の中には酸素のほかに窒素が含まれていることを知る。
(ウ) 口の広いびんの中でロウソクや炭火を燃やし,消えたあとに石灰水を入れて振ると,白濁する事実に気づく。
(エ) 石灰石,炭酸水素ナトリウム(重そう)または貝がらなどに塩酸を作用させて,二酸化炭素を捕集し,空気より重い気体であること,その中では物が燃えないこと,石灰水を白濁することに気づき,二酸化炭素の検出法がわかる。
(オ) 二酸化炭素は水に溶け,その液は青色リトマス紙を赤く変えることに気づく。
ウ 燃料の種類と燃え方を調べる。
(ア) 燃料にはいろいろな種類があり,燃料によって燃え方に違いのあることに気づく。
(イ) 木片を試験管でむし焼きにすると,燃える気体が出て,あとに木炭ができることに気づく。
(ウ) 木炭,れん炭などが燃えるとき,一酸化炭素ができることがあり,この気体は有毒であることを知る。
(エ) アルコールランプとロウソクなどで,炎の様子を比較観察して,色,温度,すすのつき方は,燃える物や炎の部分によって違うことに気づき,炎は気体が燃えていることを知る。
エ セッケンのはたらきを調べる。
(ア) ま水,食塩水などにセッケンを入れてよく振ると,食塩水のほうにはセッケンが溶けにくく,あわだちの悪いことに気づく。
(イ) セッケン水とま水に油を落してよく振り,その変わり方を比較し,セッケン水は油を細かい粒に分けることを知る。
(ウ) セッケン水とま水に,すすを加えてよく振り,その変化を比べ,セッケン水はすすを細かく分ける性質のあることを知る。
(エ) セッケン水とま水の液面に毛糸や毛織物を浮かべ,セッケン水のほうが毛糸や毛織物の間に早くしみこむ性質のあることに気づく。
オ 酸性,アルカリ性の物質と,中和について調べる。
(ア) ミカンのしる,酢,うすい塩酸などは酸味があり,青色リトマス紙を赤く変えることに気づき,これらのものは酸性であることを知る。
(イ) 木灰の上澄み液,アンモニア水,石灰水や,水酸化ナトリウム,セッケンの水溶液などは赤色リトマス紙を青く変えることに気づき,これらのものは,アルカリ性であることを知る。
(ウ) 蒸留水,砂糖水,食塩水などは中性であることに気づく。
(エ) 水酸化ナトリウムの水溶液と塩酸を適当な割合で混ぜると,中和して中性になり,その水分を蒸発させると食塩ができることを知る。
(2) 内容の(1)オ〔病原体と寄生虫〕については,保健体育科との関連を,(6)のア〔火の起こし方〕ウ〔燃料〕エ〔セッケン〕については,技術・家庭科との関連をじゅうぶんに図る必要がある。これらについては,理科では,保健体育科や技術・家庭科の学習の基礎となる事項を取り上げることをたてまえとしている。
(3) 内容(3)のオ〔石炭と石油〕は,炭田,油田地方以外の一般の地域では,(6)のウ〔燃料〕と合わせて学習する程度に考えてよい。
(4) 内容(5)のウ〔音の高低と強弱〕に関する学習においては,残聴力などを活用するとともに,視覚化することによって理解を助けたり深めるようにする。
(5) 内容(6)のキ〔モーターのしくみとはたらき〕は,小学部第6学年(3)のク〔電磁石のはたらき〕と関連して扱うこと。
(6) 内容(6)のエ〔セッケンのはたらき〕に関する学習において,セッケン以外の洗剤をも取り上げることは望ましいが,ここではセッケンのはたらきを主として理解させることがたいせつである。
(7) 内容の文中「理解する」とあるのは,児童の活動と教師の指導によりじゅうぶん納得し,さらにこうして得られた知識が他の場合にもはたらくようになることをさしている。このことは第2,3学年においても同様である。
〔第2学年〕
1 目 標
(2) 自然の環境の中にある問題を見いだし,これを分析したり総合したりして考察することに慣れさせ,筋通の通った考え方でくふう,処理することができるようにする。
(3) 日常生活の中で経験できる事実をもとにして,自然科学的な基礎的原理を理解し,これを生活の上にあてはめ,合理的な生活を営もうとする態度を養う。
(4) 自然と人間の生活との関係についての理解を深め,自然の資源を保護する方法を考え,さらに進んでこれを利用することに関心をもたせる。
また,人のからだのしくみとはたらきについて知らせ,からだの各部が互いに関連してはたらいていることを理解させる。
(ア) 植物には主根,枝根やひげ根などのあることに気づき,根のはたらきを知る。
(イ) 発芽したダイコンなどの根を観察して,根毛のあることに気づき,根毛のはたらきを知る。
(ウ) 赤インクの中にホウセンカなどの茎をさし,その染まった茎を薄く横切りにして,水分の通り道を知る。
(エ) 実験によって,植物は葉から水を蒸散している事実に気づき,顕微鏡によって気孔を観察し,そのはたらきを知る。
(オ) 葉の表面の薄い皮を顕微鏡で観察し,これがいくつかのくぎりからできていて,その一つ一つが細胞であることを知る。
(カ) 実験によって,緑の葉にはデンプンのできること,その場合に日光が関係することを知る。
イ 森林の生物について相互の関係を調べ,森林の保護に関心をもつ。
(ア) 森林には,日なたに育つ高木や,日かげにも育つ低木のあることに気づく。
(イ) 樹木の切り口を観察して年輸のある事実に気づき,樹木は,春,夏ころよく育ち,秋,冬にかけて育ちの悪くなることを知る。
(ウ) 森林の中では,スギ,ヒノキなどが,まっすぐ上に伸びている様子を観察するとともに,フジなどのような草木のつるが樹木に巻きつくと樹木の生長をさまたげることがあることを知る。
(エ) 繁茂した樹木の陰には,日かげに育つシダなどの植物がはえていることや,下草やコケと森林の樹木とは互いに関係しあって育っていることを理解する。
(オ) 森林は鳥・獣などのよいすみかとなること,樹木を食害する虫を鳥が捕食することなどを理解して,生物の間のつながりを知るとともに,野鳥の保護に関心をもつ。
(カ) 森林が大水,風,土砂くずれ,雪の害などを防ぐのに役だつことから,植林や森林保護の必要を知る。
ウ キノコやカビの種類やふえ方を調べる。
(ア) キノコの種類やはえている場所を調べ,キノコには,食用になるものや毒があって食用にならないものがあることを知る。
(イ) マツタケ・シイタケなどのようなキノコには,柄とかさがあり,かさの裏面には,ひだのあることに気づく。
(ウ) シイタケのようなキノコの栽培のしかたから,キノコの育つ様子を知る。
(エ) カビにはいろいろな種類があり,コウジカビなどのように利用できるものや,クロカビのように腐敗の原因となるものなどがあることを知る。
エ 人体のつくりやはたらきを調べ健康に関心を深める。
(ア) からだを動かしたり,模型,標本などで調べたりして,筋肉や骨のしくみとはたらきを知る。
(イ) 食物は口・胃・腸を通る間に細かく砕かれたり,消化液がまじったりして消化吸収されることを知る。
(ウ) 血液は心臓から押し出され血管を通ってからだの各部に養分と酸素を送り,そこから不用なものを取り去ることを知る。
(エ) 肺は空気中から酸素を取り,二酸化炭素を山して血をきれいにするはたらきをすることを知る。
(オ) 尿や汗は,体内の不用になったものが体外に出されるものであることや汗には体温を調節するはたらきもあることを知る。
(カ) 目,耳のつくりやはたらきを知る。
(ア) 器に入れた水が自然になくなることなどから,川,池,海などの水面や地面から,絶えず水が蒸発していることを知る。
(イ) 冷たい水を入れたコップの表面に,綱かい水滴がつくことから,空気中には,水蒸気のあることに気づく。
(ウ) 空気の湿りけは,空気に含まれる水蒸気の量に関係があることを知る。
(エ) セロハンなどで湿りけを測る道具を作り,湿りけが量的に測れることを知るとともに,湿りけを測って,それが天気によって違いがあり日常生活にも関係があることに気づく。
イ 雨量や積雪量を調べる。
(ア) 霧は水滴の集まりであり,雲は水滴や氷片の集まりであることを知るとともに,雲の発生は降雨・降雪の原因となることがわかる。
(イ) 雲の高さや形を観察し,その変化は天気の変化に関係があることを知る。
(ウ) 雨量は,たまった水の深さで測ることを知り,簡単な雨量計を作って雨量を測るとともに,雨量は日常生活や産業に関係があることに気づく。
(エ) 積雪量の測り方を知るとともに,積雪量の多少が人の生活に関係深いことを理解する。
(オ) 降雨や降雪の量は,季節や土地によって違いのあることを知る。
(ア) 日の出,日の入りの方位や時刻南中の太陽の高度などを調べ,太陽の運行を正しくとらえることができる。
(イ) 棒のかげを時刻を変えて調べ太陽の高度や方位を知ることができる。
(ウ) 春分・夏至(げし)・秋分・冬至の日の日の出・日の入りの方位,時劾,南中の太陽の高度,昼夜の長さなどを調べ,これらの違いに気づくとともに,季節による移り変わりを知る。
(エ) 季節の変化の起こる理由に関心を深め,その理由について考え,地球は自転しながら太陽のまわりを回っていることを知る。
(ア) ぶらんこの振れ方を観察したり,振り子の実験をしたりして,振り子の振動する時間は,振り子の長さに関係するが,振幅やおもりの重さには,ほとんど関係しないことに気づく。
(イ) 振り子はとけいに利用され,正しい時をきざむのに役だつことを知る。
イ ばねのはたらきを調べる。
(ア) ゴムひもや,つるまきばねの伸び方は,それにはたらく力の大きさに,関係することを数量的に調べて理解する。
(イ) ぜんまいばかりで物の重さを測ったり,そのぜんまいを手で引いてみたりして,物の重さを力の大小で考えることができる。
(ウ) ばねやゴムは,これをおし縮めたり引き伸したりすると,もとにもどろうとする力がはたらき,また,急に力かかかるとき,ばねやゴムを間に置くと力が弱められることを理解するとともに,身のまわりには,これを利用した道具や機械があることに気づく。
ウ 歯車やベルトのはたらきを調べる。
(ア) 自転車やとけいなどの機械について,歯車によって力が伝えられていることを理解する。
(イ) かみ合っている二つの歯車の回転の向き,回転数などについて理解する。
(ウ) ベルトは,二つの車をつないで力を伝え,車の大きさが違うとその回転数が違い,ベルトのかけかたによって回転の向きが変わることを理解する。
(エ) チェーンは,二つの歯車をつないで力を伝え歯車の大きさが違うと,その回転数が違うことを理解する。
エ てこ・輪軸・滑車のはたらきを調べる。
(ア) てこについて,三点間の距離と,はたらく力の関係を数量的に調べ,力の大小や方向について理解する。
(イ) 輪軸のはたらきを,てこの原理によって理解する。
(ウ) 滑車を使うと,力の方向や,大きさを変えてはたらかせることができることを理解する。
オ レンズのはたらきを調べる。
(ア) とつレンズでは光を集め,おうレンズでは光を広げるはたらきがあることを知る。
(イ) とつレンズでは,軸に平行に来た光はその焦点に集まり,焦点の位置はレンズによって違うことを理解する。
(ウ) とつレンズでは,焦点の外に物を置くと,反対がわにさかさまの実像ができ焦点内に置くと,実像ができないことを理解する。
(エ) 写真機・幻燈機・望遠鏡・顕微鏡などには,組み合わせたレンズを使っていることを知る。
カ 摩擦電気を調べる。
(ア) 正の電気と負の電気があることを調べる。
キ 電流の発熱作用を調べる。
(ア) 同じ長さ,同じ太さの質の違う針金を直列につなぎ,電流を通ずると,電気が流れにくい線の部分に発熱しやすいことを確かめる。
(イ) 電熱器では電熱線によって,電球ではタングステン線によって,電流を熱や光に変えていることを理解する。
(ウ) 電熱器や電球では,電熱線やタングステン線の太さや長さを変えて,それに流れる電流の強さを変え,熱や光の出方が違うようにくふうされていることを理解する。
ク 家庭の電気の配線や,電気器具の安全な扱い方を理解する。
(ア) スイッチ・コード・ソケットなどのしくみ,はたらきを理解して,これらを回路に正しくつなぐことができるようになる。
(イ) 屋内配線のしかたを知り,安全器・ヒューズなどのはたらきを理解する。
(ウ) 家庭の電気器具を安全に扱えるようになる。
(ア) 鉄・銅・アルミニウムなど日常多く使われる金属の色の違いを観祭したり,小刀やガラスなどでこすってかたさを比べたり,同じ体積の重さを比べたりして,それぞれ性質が違うことに気づく。
(イ) いろいろな金属の針金やはくを観察して,それは金属の伸びたり,広がったりする性質を利用したものであることを知る。
(ウ) 縫い針を使って,焼き入れや焼きもどしをし,かたさが変わることに気づき,その性質が刃物などに利用されていることを知る。
(エ) よくみがいたくぎを,空気中や水気のあるところに置いたり,これを熱したりして,それらの表面のさびる様子に違いのあることに気づき,鉄のさびに赤さびと黒さびのあることを知る。
(オ) ロクショウを観察し,このさびは銅を水分の多い所に長く置くとできることやロクショウは有毒であることを知る。
(カ) 鉄を酸性の液に入れたり,アルミニウムを酸性・アルカリ性の液に入れたりすると溶けることに気づき,そのとき出てくる気体が水素であることを知る。
(キ) 鉄や銅に電気めっきしたものや,油・塗料を塗ったものを,そのままの鉄や銅などといっしょに水けの多い所に置き,さびる様子を比較観察して,さびを防ぐ方法に気づく。
イ はんだを作り,合金の性質を調べる。
(ア) 鉛とスズを混ぜて熱すると,溶け合うことに気づき,それがはんだであることを知る。
(イ) はんだはもとの鉛やスズよりも,溶けやすいことに気づき,はんだづけをすることができるようになる。
(ウ) 合金の中には,黄銅のように色を美しくしたり,ジュラルミンのようにかたくしたり,ステンレススチールのようにさびにくくしたりしたものがあることを知る。
ウ いろいろな繊維について,その性質を調べる。
(ア) いろいろな糸や布を調べて,それらには動物から取ったもの,植物から取ったもの,合成したものなどがあることを知る。
(イ) いろいろな糸や日本紙を顕微鏡で調べて,それらが繊維からできていることや,それらの繊維は形状に違いのあることに気づく。
(ウ) 毛織物や,綿織物・ナイロン製品など,またはそれらの糸を熱したり,酸性,アルカリ性の液に入れたりして,繊維には,熱や薬品によって変化を受けやすいものと,受けにくいものがあることに気づき,正しい扱い方を考える。
(エ) 紙は植物の繊維を加工して作ったものであることを知る。
(2) 内容(4)のア〔振り子〕・イ〔ばね〕・ウ〔歯車〕・エ〔てこ〕については,数量的に実験して理解させる必要がある。ことに,イ〔ばね〕・エ〔てこ〕については,数学科で得た知識・技能をじゅうぶんに活用し,また,この学習を通して,比例についての理解を深めることがたいせつである。
(3) 内容(4)のカ〔摩擦電気〕の学習では,生徒の能力に応じ,放電についてふれてもよい。
(4) 内容(5)のア〔金属の性質〕の学習にあたっては,既習の小学部第5学年(3)のケ〔豆電球の点灯〕・中学部第1学年(5)のカ〔熱の移り方〕で学習した金属の性質を思い起こさせ,この学習と相まって金属の性質がまとまるように導く。
(5) 内容(1)のエ〔人体〕については,保健体育科との関連を,(5)のウ〔繊維〕については,技術・家庭科との関連をじゅうぶん図ることがたいせつである。
〔第3学年〕
1 目 標
(2) 自然の環境の中から問題をとらえ,事実に基づき,これを分析したりして筋道をたてて考えたり処理したりする能力を養う。
(3) 生活や産業の基礎になる自然科学的な事実や基礎的原理を理解し,これを生活の上にあてはめ,生活を合理化しようとする態度を養う。
(4) 自然と人間生活との関係について理解を深め,自然の保護利用に対する関心を高める。
(ア) サクラ・アブラナ・キク・エンドウ・イネ・アヤメのそれぞれの仲間の花の構造を調べ,それぞれの特徴やそれらの間の違いを理解する。
(イ) マツの花の構造を観察し,サクラ・アブラナ・キクなどの花との違いを理解する。
(ウ) 果実の構造を観察し,子房は果実になり,はい珠は種子になることを理解する。
(エ) 植物には種類によって,主根か発達するものと,ひげ根が発達するものとがあることを理解する。
(オ) 茎には,草本,木本の別,地上茎,地下茎の別などがあることを理解する。
(カ) 葉の形を調べ,単葉,複葉の別,網状脈葉,平行脈葉の別などがあることを理解する。
イ 胞子でふえる植物について,おもな種類や,ふえ方を調べる。
(ア) スギナ・ワラビ・ゼニゴケなどには胞子ができることを調べる。
(イ) シダやコケのおもな種類を知る。
(ウ) 海ソウについて,緑ソウ類・カツソウ煩・コウソウ類の特徴を知る。
(エ) キノコやカビに胞子ができることを調べる。
(オ) キノコやカビは,菌糸からできていて,動物性または植物性の養分をとって生きていることを知る。
ウ 背骨のある動物の形態や生活のしかたについて調べる。
(ア) 身近なホ乳類,鳥類,ハ虫類について,形態を比較し,それらの間の違いや共通性を理解し,あわせてそれぞれの形態と生活との関係を考察する。
(イ) カエルと魚の形態を比較し,それらの間の違いや共通性を理解し,あわせて,それぞれの形態と生活との関係を考察する。
エ 背骨のない動物の形態や生活のしかたについて調べる。
(ア) コン虫とクモの外部形態を調べ,それぞれの特徴を理解する。
(イ) 二枚貝や巻き貝のからだを調べ,その特徴を理解する。
オ 微生物のおもな種類について調べる。
(ア) いろいろな微生物が水たまりにいることを調べ,おもな原生動物や糸状のソウ類について知る。
(イ) 細菌類には,球菌・カン菌・ラセン菌・放線菌などがあることを知る。
カ 植物や動物のからだが細胞からできていることを調べる。
(ア) ネギの表皮などを用いて,植物細胞の構造を調べる。
(イ) ほおの粘膜などを用いて,動物細胞の構造を調べる。
(ウ) 生物は単細胞生物と多細胞生物に分けられることを知る。
キ 気候の違いによって,すんでいる生物の種類や,生活のようすが違うことを調べる。
(ア) 生物が季節によってどのように変わるかを調べる。
(イ) 生物の冬越しや渡り,魚の移動などを理解する。
(ウ) 土地の気候によって生物の分布に違いがあることを知る。
ク 生物と環境の関係を調べる。
(ア) 生物の生活は,光,温度,水,土などの環境要素に支配されることを理解する。
(イ) 種子の発芽と環境条件との関係を調べる。
(ウ) 生物は環境に適応して生きていることを知る。
ケ 生物相互の関係を調べ,生物どうしのつながりを知る。
(ア) 植物が群落をつくることを知る。
(イ) 動物には家族生活や社会生活をするものがあることを知る。
(ウ) 寄生虫,寄生病原菌,寄生植物など生物に寄生生活するものがあることを理解する。
(エ) 根粒細菌や地衣類などのように共生生活をするものがあることを理解する。
(ア) 岩石は,風,水,温度の変化および生物などによる機械的な作用で風化することを理解する。
(イ) 岩石は空気や水の化学的な作用によって風化することを知る。
(ウ) 土は,岩石が風化してできたものであること,その成分や粒度などによって性質が連うことおよびその違いが植物の生育に影響することを理解する。
イ 川と海の作用について理解する。
(ア) 流水は,浸食,運搬,たい積の作用で地形を変えることを理解する。
(イ) V字形の谷,扇状地,三角州などのでき方を理解し,地形図の見方を習得する。
(ウ) 湖のでき方やはたらきについて知る。
(エ) 海水の浸食,運搬,たい積の作用と,海食がい,海食台,砂州などのでき方を理解する。
(オ) 地形は浸食によって,長い間に幼年期,壮年期,老年期の順に変わっていくことを理解する。
ウ 火山と地震について理解する。
(ア) 火山には,溶岩,火山灰,火山弾,火山ガスなどを噴出するものがあることを知る。
(イ) 火山の形は,溶岩の性質や噴火のしかたなどによって決まることを理解する。
(ウ) 火山の分布を調べ,また,火山活動の原因を考察する。
(エ) 温泉は,地下から熱い渇がわき山したもので火山地城に多いことを知る。
(オ) 地震計に振り子が利用されるわけを理解する。
(カ) 初期微動の継続時間から震源までの距離がわかることを知る。
(キ) 日本の震央分布から,地震の多い地域と少ない地域のあることを知る。また,世界の震央分布と比較する。
(ク) 地震のおもな災害とその防止の方法について知る。
エ 地かくの動きについて理解する。
(ア) 河岸段丘や海岸段丘などの地形は,土地の隆起によってできたものであることを理解する。
(イ) リアス式海岸やおぼれ谷などの地形は,土地の沈降によってできたものであることを理解する。
(ウ) 地層に見られるしゅう曲や断層を調べ,そのでき方を知る。
(エ) 山脈は,しゅう曲や断層が大がかりに起こってできたものであることを知る。
(ア) 花コウ岩,安山岩などを観察して,粒,色,かたさなどの特徴に気づくとともにこれらが火成岩であり,いくつかの種類にわけられることを知る。
(イ) おもな火成岩の組織から,そのでき方を考察する。
(ウ) 火成岩の節理の特徴を知る。
(エ) 浸食によるどろや砂が積もってできたデイ岩,砂岩,レキ岩,粘板岩などの特徴を理解する。
(オ) 生物体がもとになってできたたい積岩の特徴や種類を知る。
(カ) 火山の噴出物が積もってできたたい積岩の特徴や種類を理解する。
(キ) 変成岩のおもな種類と特徴を調べ,その成因を考察する。
(ク) 石材として利用されている岩石の性質と利用との関係を理解する。
(ケ) 岩石にはガラス,セメント,陶磁器などに利用されるものがあることを知る。
イ いくつかの鉱物の種類を調ベその利用に関心をもつ。
(ア) 花コウ岩は石英,長石,雲母などからできていることを知り,これらの鉱物には,形,色などに違いがあることに気づく。
(イ) 水晶や方解石などの鉱物の形を観察したり,ガラス,小刀などでかたさを比べたりして,その違いに気づく。
(ウ) 黄鉄鉱,黄銅鉱または方鉛鉱などの金属鉱物を観察して,色,形,かたさ,素焼きのものにこすったときの粉の色など,これらの鉱物にはそれぞれ特徴があることを知るとともに,鉱物には金属を取り出すことができるものがあることを知る。
(ア) 液量計で水の体積を測り,その測れるわけと方法を理解する。
(イ) はかりで水の重さを測り,水1cm3の重さが,ほぼ1gであることを確かめ,あわせて水の重さの測り方を習得する。
(ウ) 力の大きさを重さで表わすことを理解する。
イ 圧力について調べる。
(ア) 圧力は面に垂直にはたらく力であることを理解する。
(イ) 圧力の強さは単位面積当たりの力の大きさで表わすことを理解する。
ウ 水の圧力について調べる。
(ア) 水の中にある物が,水の圧力を受けることを調べ,水の深さと圧力の強さとの関係を理解する。
(イ) パスカルの原理を理解し,これの水圧機への応用を知る。
エ 水による浮力について調べる。
(ア) アルキメデスの原理を理解し,船が浮くわけを考察する。
オ 比重について調べる。
(ア) 比重の意味を知り,固体の比重の測り方を理解する。
(イ) 物の浮き沈みと比重との関係を調べ,浮きばかりで液体の比重が測定できるわけを考察する。
カ 水平面について調べる。
(ア) 水は静止すると水平面をつくることを知る。
(イ) 水平面と鉛直線とが直交することを調ペる。
キ 表面張力について調べる。
(ア) 水の表面には表面張力がはたらくことを確かめ,表面張力によって起こる諸現象を調べる。
ク 毛管現象について調べる。
(ア) 毛管現象がいろいろな場合に起こっていることを調べる。
(イ) 管が細いほど水が高くまで上がることを確かめる。
ケ 空気の重さについて調べる。
(ア) 空気に重さがあることを調べる。
コ 大気の圧力について調べる。
(ア) 大気の圧力が存在することを確かめる。
(イ) トリチェリーの実験によって,大気の圧力と真空とを理解する。
(ウ) 気圧の単位を知る。
(エ) サイホンのはたらきを調べる。
サ 空気の圧力の体積について調ペる。
(ア) 容器中の空気の体積と圧力の関係を調べ,ボイルの法則を理解する。
(イ) 圧搾空気の利用について知る。
シ 空気による浮力について調べる。
(ア) 気球が空気中に上がるわけを知る。
ス 水の三態について調べる。
(ア) 水の三態の変化と温度との関係を調べ,沸点,氷点が温度の定点になることを理解する。
(イ) 水の三態の違いが水の分子の集まり方の違いから説明できることを知る。
(ウ) 水は4°Cのとき比重が最も大きいことを知る。
セ 沸点と氷点を調べる。
(ア) 沸点と氷点と測り方および温度の目もりの決め方を理解する。
ソ 飲料水について調べる。
(ア) 色,臭,濁り,溶解物,細菌などの有無について良い水と悪い水との違いを知る。
(イ) 上水道における浄水のしかたを知る。
(ウ) ろ過のしかたを習得する。
タ 純粋な水について調べる。
(ア) 蒸留水と天然水との違いを知る。
(イ) 蒸留の方法を理解する。
チ 溶液について調べる。
(ア) 濁った液と溶液とを比べる。
(イ) 溶液の概念を確かにする。
(ウ) 食塩,硫酸銅などの溶け方が違うことや,同じ物質でも溶け方が温度によって違うことを理解する。
(エ) 濃度とその表わし方(重量パーセント)を理解する。
(オ) 物を速く溶かす方法を調べる。
ツ 海水について知る。
(ア) 海水には,食塩や塩化マグネシウムか溶けていることを知る。
(イ) 食塩の溶け方,結晶などその性質と日常生活におけるおもな用途を知る。
テ 結晶について調べる。
(ア) 食塩,ミョウバンなどの水溶液から結晶を作り,結晶の形が物質によって特有であることを理解する。
ト 水の成分について調べる。
(ア) 水を電気分解して,その成分を調べる。
(イ) 酸素と水素とで水が合成さることから化合の概念を理解する。
(ウ) 化学変化と物理変化の追いを知る。
ナ 水素について調べる。
(ア) 希酸と金属の反応などで水素が発生することを調べる。
(イ) 水素のおもな性質を理解する。
ニ 元素と原子とについて知る。
(ア) 純粋な物質と混合物とがあることを知る。
(イ) 化合物と単体とがあることを知る。
(ウ) 水などについて原子と分子の概念を理解する。
(エ) いくつかの元素と元素記号を知る。
(オ) 水などについて,成分元素の種類と成分元素の原子数の割合を,化学式で表わすことを理解する。
ヌ 空気の組成について調べる。
(ア) 空気中はその体積のおよそ1/5が酸素であることを調べ,空気の組成の大要を知る。
ネ 酸素について調べる。
(ア) 過酸化水素と二酸化マンガンによって酸秦が発生することを調ベ,二酸化マンガンが触媒としてはたらいていることを知る。
(イ) 酸素のおもな性質を理解する。
(ア) 水素や木炭を燃やし水素が撚えてできるもの,木炭が燃えてできるものを確かめ,それらの調べ方を理解する。
(イ) 石油,ロウ,砂糖などが燃えてできるものから,もとの物質に水素と炭素があることを理解する。
(ウ) すすのできる燃え方を調べ,あわせて炎が朋るいのは炭素粒によることを知る。
(エ) マグネシウムを燃やして,その燃え方や燃えてできるものを調べる。
(オ) 水素,炭素,マグネシウムが燃える反応を化学反応式で表わすことを理解する。
(カ) 酸化と酸化物について理解する。
イ 爆発について知る。
(ア) 水素と空気の混合物の爆発について知る。
(イ) 紙火薬,花火など身近なものの爆発の危険を知り,土木工事,内燃機関などの利用について知る。
(ウ) 黒色火薬の成分のはたらきを知る。
ウ 燃焼の条件と消火について調べる。
(ア) 発火点と引火点を理解する。
(イ) 燃焼が続く条件を調べ,消火の原理と応用を理解する。
エ 温度と熱量について調べる。
(ア) 温度の違うものを接しておくと,それらの物の温度が等しくなることに気づく。
(イ) 冷水と温水を混ぜたりして,熱の移動による温度の変化を知り熱量の概念を理解する。
(ウ) 同じ熱量を与えても,物によって温度の上がり方が違うことを知る。
(エ) 水の比熱は,他の物質に比べて特に大きいことを知る。
オ 熱膨張について調べる。
(ア) 鉄鋼などは熱によって膨張し,固体の膨張の割合は,物質によって違うことを理解する。
(イ) 液体の膨脹の割合は,一般に固体に比べて大きいことを理解する。
(ウ) 気体の熱膨張の割合は,固体や液体に比べて大きく,また気体によって,ほとんど違わないことを知る。
(エ) 液体温度計,バイメタルなどから,熱膨張が温度の測定などに利用されていることに気づく。
カ 融解と擬固について調べる。
(ア) 物がとけるときは,一定の融点があり,また融解熱を要することを理解する。
(イ) 物が凝固するときには,その体積が変化することを知る。
キ 気化と液化について調べる。
(ア) 沸勝は気化が液体の内部から起こることに気づく。
(イ) 水,アルコールなどの沸点を測ることにより,物質によって沸点が違うことに気づき,純粋な物質はそれぞれ沸点が決まっていることを知る。
(ウ) 圧力によって沸点が変化することを知る。
(エ) 気化の様子を調ベ,気化には気化熱を要することを理解する。
(オ) 水が液体から気体になると,その体積が増すことを知る。
(カ) 空気中の飽和水蒸気の量は,温度によって変わることを知り,また,湿度の意味と表わし方を理解する。
(キ) 冷凍機の原理を知る。
(ク) 液体空気の性質を知る。
(ケ) ヨウ素,ドライアイスなどを使って,昇華の現象を調べる。
(2) 内容で(1)で扱う生物や内容(2)で扱う地かくの変化や構造,および内容(3)で扱う岩石と鉱物については,できるだけ野外観察や野外調査をさせ,自然を直接に観察して,そこから系統や原因を帰納させるように指導する。
(3) 内容(4)トの(ア)〔水を電気分解して,その成分を調べる〕の項では,イオンについての考え方に触れて,指導することが望ましい。
(4) 内容(4)ネ(ア)(イ)については第1学年の内容(6)イ(ア)との関連を考えて扱う。
(5) 内容(4)および内容(5)の指導においては,比例,反比例などの数量関係があることを取り扱うが,この学年ではこれらの関係を文字を用いた式で表わすことはできるだけ避ける。
(6) 内容(4)および内容(5)で取り扱う元素記号,化学式および化学反応式の種類は,内容で触れたものの程度にとどめる。また構造式は取り扱わない。
第3 指導計画作成および学習指導の方針
1 各学年の内容にあげた事項は,いずれも学校の指導計画に含まれ指導されるべきものであるが,各事項のまとめ方や順序については,これによる必要はない。学校において適切な組織順序をもった指導計画を立てて指導する。
2 指導計画作成にあたっては,基本的事項の指導をじゅうぶんに行なうことができるように配慮する。このために,指導計画の中に取り入れて指導する事項は,特に精選することがたいせつである。最低授業時数より多くの時数を充てて指導する場合においても,各学年の内容にあげた各項目の学習をさらに深めることを方針とし,いたずらに多くの事項を取り扱うことは避ける。
3 内容中(ア)(イ)(ウ)などの事項は,内容の程度や望ましい学習活動を示してある。
学習指導にあたっては,その地域の実情や学校の施設設備などに応じ,適切な方法によってそのねらいを達成するように努めることがたいせつである。
4 内容中にあげた生物の種名や岩石名などは,その例を示したものであるから,地域の生物や地質などを考慮して,それを学習に生かすようにし,また,季節や地域の気象,行事などの関連に留意し,適切な時期に観察,実験,飼育,栽培などができるように計画する必要がある。
5 生徒の発達段階に応じ,その興味関心を発展させ,生徒の経験や実生活との結びつきを重んじ,つとめて具体的な事物,現象からはいり実証的,研究的な態度で学習させるようにすることがたいせつである。なお,この場合生徒の個人差にも適切に対処できるように考慮する必要があるが,学習可能なことはつとめて扱うようにし,能力や態度については,同じことがらについて反復して積み上げていくようにする。
6 生徒は経験領域が狭いからできるだけ広く観察実験を行なうことが必要であって,実験観察を行なわないで,単に知識のみに偏することは厳に避けなければならない。そのためには,平素から学習の環境を整傭し,自然の事物や現象に接する機会を多くしたり,観察実験がたやすくできるようにし,生徒の学習態度を助長するように指導することが望ましい。
7 学習活動を展開するにあたっては,生徒の特質をじゅうぶんに考慮し,常に生徒とともに学ぶという態度がたいせつで,特に観点を指示することによって,目標を見あやまらないようにすることがたいせつである。
8 基礎的な実験法や計量器,機械,器具などの取り扱いの技能を高めることがたいせつであるが,これらが機械的操作に陥らないように,指導する事項との関連をじゅうぶんに図り,操作の意味を考えさせるように指導する。
9 野外観察,実験などにあたり,事故の防止を特に留意すること,不注意あるいは無意識な動作,好奇心による行動,扱い方を理解しないで操作することなどから,けがをしたり,機械器具を破損したりすることを理解させ,理科の時間ばかりでなく,日常生活においても科学的な考え深い行動をとる習慣をつけるように指導する。