第1 目 標
1 家庭生活に必要な衣食住,保育・看護および家庭径営について理解させ,家事その他の実務に役だつ基礎的技術を習得させる。
2 家庭生活を合理的,能率的にし,明るく快適にする態度を養う。
第2 内 容
A 被 服
1 日常の衣生活について理解させ,これに必要な洋裁,和裁,手芸に関する基礎的技術を習得させて,それらの製作能力を高めるとともに,衣生活を改善する態度を養う。
イ 衣生活の計画,衣生活と家庭経済・家事労働
ウ 衣生活の改善,最近のわが国における和洋裁・手芸併用の傾向と被服の推移,わが国の衣料事情
イ 洋 裁
「技術・家庭科B女子向き〔第1学年〕にあげたことのほか,用途による形の選び方。
ウ 和 裁
「技術・家庭科B女子向き〔第2学年〕」にあげたことのほか,用途による形の選び方。
エ 手 芸
機械編み,手編み,簡単な織物,ししゅうなどの方法。
(実習例)
洋裁………エプロン,スカート,ボレロ,スラックスなど。
和裁………大裁ちひとえ長着男物,中裁ち,小裁ちのひとえ長着など。
手芸………セーター,カーディガン,下ばき,羽織下,テーブルクロス,袋類など。
(2) 将来被服製作関係の職業に従事しようとする者の必要に応じ,裁縫ミシン,編み物機などの操作に慣れさせるように留意する。
(3)「被服」の授業時数は105単位時間を標準とし,地域の事情によって洋裁70単位時間,手芸35単位時間とするか,または和洋裁70単位時間,手芸35単位時間とする。
1 日常の食生活について理解させ,これに必要な献立・調理に関する基礎的技術を習得させて,それらの能力を高めるとともに,食生活の改善を図る態度を養う。
イ 地域の家庭や自分の家族の栄養の実態,わが国の食糧事情
ウ 食物と衛生
エ 食生活の改善
イ 食物の味に関する感覚
ウ 献立作成の練習
エ 調理法
飯類・パン類・めん類の調理,蒸し物・しるもの・煮物・焼き物の調理,菓子の作り方,郷土料理の作り方など。
(実習例)どんぶり物・ホットケーキ・めん類の調理,赤飯,スープ・煮こみ・含め煮の調理,なべ料理・姿焼き・蒸し焼きなど。
(2) 「食物」の授業時数は70単位時間を標準とする。
1 保 育
乳幼児の心身の発達に応じた扱い方やその衣食住について理解させ,それに必要な技術を習得させて,こどもを愛育する態度を養う。
(2) 乳幼児の栄養,妊産婦および授乳婦の栄養,離乳期および幼児期の食物,乳児の被服
(3) 乳幼児の精神の発達,幼児理解の方法,こどもの絵,おもちゃ,遊び,環境
(実習例)流動食・半流動食その他消化しやすい食物の調理,紙しばい,人形しばい,自然物のおもちゃのくふうなど。
日常かかりやすい病気について,家庭における看護法を理解させ,それに必要な看護技術を習得させる。
(2) 病状の観察とその記録
(3) 病人の衣食住に関する世話のしかた,簡単な手当法,排せつ物の処置など。
(4) こどもに多い病気の予防とその看護法
(5) 家庭常備薬と家庭看護用品の整備
(実習例)体温・脈はく・呼吸の測り方とその記録,病室・病床の整え方,病衣の換え方,食事の与え方,薬の用い方と与え方,かん腸,便器の扱い方など。
(2) 「保育・看護」の授業時数は,18単位時間を標準とする。
1 住 居
すまいの機能について理解させ,すまいを衛生的,能率的に,また安全,快適にくふう改善するのに必要な能力と態度を養う。
排水・給水,防そ・防虫など。
(2) 家族の生活の場としてのすまい
家族生活を中心とするすまい,職業の場とすまいの分離,家事労働と休養の場としてのすまい,各室の機能と配置,すまいの広さ。
(3) 地域や職業とすまい
(4) 住居とその施設設備のくふう改善
(実習例)勉強の場所や押し入れなどの考案設計。
家庭生活における衣食住,保育などの総合的な運営について理解させ,それに必要な経営の能力と態度を養う。
物の選択,購入,使い方,家庭における経済生活のめやす,支出と収入,記帳,予算,決算,剰余・不足の処置,家族の協力,家庭経済に影響を与えるもの。
(2) 家事労働
家事労働と休養・余暇,家族の協力と分担,生活時間の計画と実行,年中行事その他の風習の反省と改善。
(3) 家庭生活
これからの家庭生活,家族の一員としての望ましい生活,衣食住・保育・看護・家庭経営と家族関係。
(実習例)記帳(家計簿),生活時間の計画。
(2) 「2 家庭経営」は,衣食住などと緊密に関連させて取り扱う。
(3) 「住居・家庭経営」の授業時数は17単位時間を漂準とする。
第3 指導計画作成および学習指導の方針
1 この教科の授業時数を210単位時間とする場合は,内容のA,B,C,Dの順に指導する。
2 この教科は,将来家事その他の実務に従事しようとする者の必要に応じて設けられたものであるから,実践的活動を重視して指導する。
3 この教科は,特に「技術・家庭科B女子向き」の各学年の指導と密接な関連を図り,その応用発展としてじゅうぶん効果をあげるようにするとともに,その地域の行事,風俗,習慣などの社会環境や季節その他の自然環境を考慮して計画し,指導する。
4 指導計画の作成にあたっては,生徒の学習のための集団の作り方や時間割りなどをくふうして,指導が円滑に行なわれるようにする。また家庭実習を行なう場合は,精密な計画を立てて効果的に行なうようにする。
5 実習のために服装を整えさせ,規定を守らせ,用具の正しい取り扱いに慣れさせ,清潔や衛生に留意させて,事故の防止に努める。