第1 目 標
1 農業(林業を含む)に関する基礎的な知識と技能を習得させる。
2 農業技術の科学的な根拠を理解させ,これを実際に活用する能力を養う。
3 協同と責任を重んじる態度を養う。
第2 内 容
A 養 畜
1 家畜・家きんなどの飼育を通して,養畜の基礎的な知識と技能を習得させ,それらを合理的,能率的に育成する態度を養う。
(2) 家畜・家きんの飼育
品種・繁殖・育成,日常の管理,飼料とその調理法・与え方・貯蔵法,病気・害虫とその対策,搾乳・肥育・せん毛,生産物の処理,家畜舎・家きん舎の施設設備など。
(実習例)ニワトリ,ヤギ,ブタなど。
(2) 「養畜」の授業時数は70単位時間を標準とする。
1 主要食用作物の栽培を通して,農耕の基礎的な知識と技能を習得させ,それらを合理的,能率的に育成する態度を養う。
(2) 作物の栽培
自然環境と農耕との関係,品種,種物の選択と準備,育苗,耕作のしかた,作物の性質と日常の手入れ,土と肥料,病気・害虫とその対策,取り入れ,貯蔵など。
(3) 作付け計画
輪作と連作,間作と混作,作付け計画の立て方など。
(4) 農耕に用いる農具や機械とその使い方
(実習例)食用作物………イネ,ムギ,マメ,イモ類など。
(2) 「農耕」の授業時数は70単位時間を標準とし,地域の事情によって,「C造林」を学習させることができる。
1 苗木の育成,林木の植え付けや手入れを通して,造林の基礎的な知識と技能を習得させ,林木を合理的,能率的に育成する態度を養う。
(2) 造 林
自然環境と造林との関係,樹種,種物の選択と準備,育苗,植え付け,植え付け後の手入れ,林木の病気,害虫,山火事,風雪害などとその対策など。
(3) 植樹計画
植樹計画の立て方など。
(実習例)スギ,ヒノキ,アカマツ,クロマツ,カラマツ,エゾマツ,クヌギ,モウソウチク,マダケ,など。
(4) 林産物の利用
すみやき,きのこの栽培など
(2) 「造林」の授業時数は35単位時間を標準とする。
1 主として野菜類の栽培を通して,園芸の基礎的な知識と技能を習得させ,それらを合理的,能率的に育成する態度を養う。
(2) 野菜類の栽培
自然環境と園芸との関係,品種,種物の選択と準備,育苗,耕作のしかた,作物の性質と日常の手入れ,土と肥料,病気・害虫とその対策,取り入れなど。
(3) 作付け計画
作付け計画の立て方など。
(4) 促成栽培,抑制栽培,育苗などに必要な施設設備とその作り方や管理
防風防寒用のかこいの作り方,簡易温床やビニールハウスの作り方,ガラス室や固定フレームの温室・温床としての使い方とその管理,園芸用農具など。
(実習例)葉菜類,根莱類,果莱類など。
(2) 「園芸」の授業時数は35単位時間を標準とする。
1 農産物の加工・貯蔵を通して,加工・貯蔵の基礎的な知識と技能を習得させ,合理的,能率的に作業する態度を養う。
(2) 農産物の加工・貯蔵
原料の選定と調整,加工の用具とその準備,調味料・香料・着色料などの選定と配合,加工の種類に応じた各種の操作,製品検査,加工と食品衛生,加工・貯蔵の施設設備とその管理など。
(実習例)乾燥野菜,つけ物,果じゅう,乳酸飲料,ジャム,ゼリー,かんづめ,びんづめなど。
(2) 特に食品の衛生と清潔に留意して事故の防止に努める。
(3) 「農産加工」の授業時数は35単位時間を標準とする。
第3 指導計画作成および学習指導の方針
1 この教科の授業時数を140単位時間とする場合は,内容のA,B(C),D,Eの順に指導する。この場合,飼育と栽培に関する学習は年間を通して行なうことが適切である。
2 この教科は,将来農業およびこれに関係のある職業に従事しようとする者の必要に応じて設けられたものであるから,農業に従事する者に必要な心構えを養うことがたいせつである。このためには,実習や実験を重視した学習指導を行なうように留意する。
3 生徒の既有の学習成果や生活経験を有効に利用するとともに,それぞれの項目の基礎的な知識,技能,態度を含むもので,生徒の興味や関心の深い具体的なものから始めて,応用的,総合的なものに及ぶようにその内容を配列する。また自然環境の影響を受けやすい生物を対象とする学習が多いので,季節や天候などを考慮して弾力性のある指導計画を立てる。
4 指導計画の作成にあたっては,生徒の学習のための集団の作り方や時間割りなどをくふうして,指導が円滑に行なわれるようにする。また,家庭実習を行なう場合は,精密な計画を立てて効果的に行なうようにする。
5 家畜や作物の日常の管理作業を行なうために,休業日,時間割に示された以外の時間に農場当番などを設ける場合は,特別教育活動,学校行事等との関連において計画し,実施する。
6 実習のために服装を整えさせ,作業規律を励行させ,農具などの正しい取り扱いに慣れさせ,清潔や安全に留意させて,事故の防止に努める。