第1 目 標
1 生活に必要な基礎的技術を習得させ,創造し生産するよろこびを味わわせ,近代技術に関する理解を与え,生活に処する基本的な態度を養う。
2 考案・計画・製作などの学習経験を通して,表現・創造の能力を養い,ものごとを合理的に処理する態度を養う。
3 製作・操作などの学習経験を通して,技術と生活との密接な関連を理解させ,生活の向上と技術の発展に努める態度を養う。
4 生活に必要な基礎的技術についての学習経験を通して,協同と責任と安全を重んじしる実践的な態度を養う。
以上の目標の各項日は,相互に密接な関連をもって,全体として技術・家庭科の目標をなすものである。1は,基礎的技術について主として実践的活動を通して学習させ,必要な知識,技能,態度を身につけさせるという技術・家庭科の総括的目標であり,2,3または4のいずれかにかかわる指導においても,常に1が根底にならなければならない。
第2 各学年の目標およひ内容
生徒の現在および将来の生活が男女によって異なる点があることを考慮して,「各学年の目標およひ内容」を男子を対象とするものと女子を対象とするものに分ける。
A 男子向き
〔第1学年〕
1 目 標
(2) 木材加工・金属加工では,木材製品や金属製品の製作に関する基礎的技術を習得させ,造形的な表現能力を発展させるとともに,作業を安全かつ協同的に進める態度を養う。
(3) 栽培では,栽培に関する基礎的技術を習得させ,栽培技術と自然環境との関係を理解させるとともに,作物を合理的に育成する態度を養う。
木材加工では主として板材,金属加工では主として針金を加工するのに必要な技術の基礎的事項を,「( 実習例)」にあげたものの製作に即して指導するとともに,考案・計画・製作・評価の各段階を追って一貫した指導を行なうようにする。特に考案計画の段階においては,製作目的に応じた機能,構造,材料などの研究を行なうように指導する。なお,加工法については特殊な工芸技法にわたらないこととする。
模型,型紙,展開図,計画書などによる表示。
イ 木材・金属材料
(木材加工)スギ,マツ,ヒノキ,カツラ,ホオ,合板など。
(金属加工)針金,アルミニウム板など。
ウ 接合材料
(木材加工)くぎ,木ねじ,接着剤など。
エ 塗 料
ワニスペイントなど。
オ 木工具・金工具の使用法
(木材加工)のこぎり,かんな,きり,つち,けびき.やすり,木工万力,ねじ回し,盲人用ものさし,定規など。
(金属加工)ベンチ,金切りばさみ,やっとこ,やすり,金工万力,弓のこ,つち,盲人用ものさし,定規など。
カ 工作法
(木材加工)木取り,のこぎりびき,かんなけずり,穴あけ,くぎ打ち,ねじしめ,接着,組み立て,塗装など。
(金属加工)切断,折り曲げ,打ち出し,やすりかけ,接合,組み立て,塗装など。
(実習例)木材加工……壁かけ,花びん敷き,家庭用品など。
金属加工……衣紋かけ,もちあみ,さら類など。
草花類や果菜類などを栽培するのに必要な技術の基礎的技術を,「(実習例)」にあけた作物の栽培に即して指導するとともに,栽培目的に応じた計画・栽培・評価の各段階を追って一貫した指導を行なうようにする。
花だん,野菜園などの計画,目的に基づく作物の選定,作付け計画など。
イ 気温,水分,風,日照などの諸条件と作物の栽培
種まき・さし木・株分け,自然環境を調整するためのかこい作り・水かけ・うねたて・日おおい・しきわらなどの時期と方法。
ウ 土や肥料などと作物の栽培
作物の根や茎葉などの発育を調整するための中耕・土寄せ・施肥・摘心,枝の仕立て,取り入れなどの時期と方法方。
エ 作物の病気や害虫とその対策
普通の花だんや野菜園に発生しやすい病気,害虫,雑草などとその簡単な対策。
(実習例)草花類……一,二年草,宿根草,球根など。
果菜類……ナス,カボチャ,ピーマン,豆類など。
(2) 「(2)栽培」の学習に用いる立て札,さくの柱,かこいなどの製作を行なう場合は,「(1)木材加工・金属加工」の学習において行なうようにする。
(3) 内容については,一部に偏することのないように留意する。
1 目 標
(2) 木材加工・金属加工では,第1学年の「木材加工・金属加工」の学習を発展させるとともに,主として工作用具の基礎的取扱法を習得させ,作業を確実に進める態度を養う。
(3) 機械では,機械の整備に関する基礎的技術を習得させ,それらを活用する能力と態度を養う。
第1学小の「(1)木材加工・金属加工」の学習を基礎にし,それを発展させ,それに必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげたものの製作に即して指導するとともに,考案・計画・製作・評価の各段階を追って一貫した指導を行なうようにする。特に考案計画の段階においては,製作目的に応じて機能,構造,材料などの研究を行なうように指導する。なお,加工法については特殊な工芸技法にわたらないこととする。
第1学年にあげたもののほか,角材,軟鋼板,軟鋼棒など。
イ 荷重と構造
材料の強さ,構造の強さなど。
ウ 接合材料
第1学年にあげたもののほか,次のものを加える。
補強金具,ボルト,ナット,リベット,はんだなど。
エ 塗 料
第1学年にあげたもののほか,ラッカー,合成樹脂塗料など。
オ 木工具・金工具の使用法
第1学年ににあげたもののほか,次のものを加える。
(木材加工)のみ
(金属加工)けがき針,押し切り,ハンドドリル,折り台,打ち木,はんだごて,鋼尺,直角定規など。
カ 工作法
第1学年にあげたもののほか,次のものを加える。
(木材加工)のみきざみ,ほぞつぎ,組みつぎなど。
(金属加工)けがき,切断,穴あけ,ひずみとりなど。
(実習例) 木材加工……本立て,花台,庭いすなど。
金属伽工……角形容器.ちりとりなど。
自転車,裁縫ミシン,点字印刷機などの取り扱いや整備に必要な技術の基礎的事項について指導する。
イ 機械の取り扱い
ウ 故障の点検・調整
(実習例) 自転車,裁縫ミシン,点字印刷機など。
(2) 内容については,一部に偏することのないように留意する。
1 目 標
(2) 機械では,第2学年の「機械」の学習を発展させるとともに,主として原動機の取り扱いに関する基礎的技術を習得させ,機械技術の特性およびそれと生活や産業との関係を理解させ,安全に留意する態度を養う。
(3) 電気では,簡単な電気器具の取り扱いや製作に関する基礎的技術を習得させ,電気技術の特性およびそれと生活や産業との関係を理解させ,安全に留意する態度を養う。
第2学年の「(2)機械」の学習を基礎とし,その発展として,エンジンなどの取り扱いに必要な技術の基礎的事項を,取り上げる機械に即して指導するとともに,機械の要素や機構は取り上げる機械と関連させて指導する。
運動の方向を変える機構,運動の速度を変える機構,直線運動を回転運動に変える機構,回転運動を直線運動に変える機構,回転運動を動揺運動に変える機構,間断的な運動をさせる機構など。
イ 原動機の種類
2サイクル機関
ウ 潤滑油
モービル油,グリースなど。
エ 故障の点検
起動前の点検,運転中の留意事項,停止後の点検,故障の原因など。
オ 起動・運動・停止
起動,速度の調節,停止,停止後の処置など。
カ 洗浄・給油
日常の手入れ,洗浄法,給油 箇所,給油の時期と量,給油法など。
キ 燃 料
燃料の選定,補給の時期,補給上の注意,補給法など。
ク 機械と生活や産業との関係
生活の能率化と機械の利用,機械技術の進歩が各種産業に及ぼす影響など。
(実習例)オートバイ,スクーター,石油発動機など。
証明器具,電熱器具,電動機,受信機などを点検・修理するのに必要な技術の基礎的事項を,取り上げる製品に即して指導するとともに,電気回路要素や電気計器の取扱法は,取り上げる製品と関連させて指導する。
一般電気用記号
イ 電気回路要素
電源など。
ウ 電気計器の取扱法
回路計による電流・電圧・抵抗の測定,部品検査法,導通試験など。
エ 電気工作法
電線の接続・分岐・絶縁法・配線工作・部品交換法など。
オ 配線器具の点検と修理
屋内配線の方式,許容電流・定格値,電線・コード,開閉器・接続器・点滅器など。
カ 照明器具,電熱器具の点検と修理
(実習例)けい光灯,電気スタンド,電気こんろ,電気アイロンなど。
キ 電動機をつけた家庭用機器の取り扱いと点検
(実習例)電気洗濯機
ク 電気と生活や産業との関係
生活の能率化と電気の利用,電気技術の進歩が各種産業に及ぼす影響など。
(2) 内容については,一部に偏することのないように留意する。
〔第1学年〕
1 目 標
(2) 調理では,日常食の調理に関する基礎的技術を習得させ,青少年期の日常食の献立作成の能力を養うとともに,食生活を合理的に営む態度を養う。
(3) 被服製作では,簡単な被服の製作,被服の整理および簡単な編み物に関する基礎的技術を習得させ,衣生活を合理的に営む態度を養う。
(4) 家庭機械・家庭工作では,調理,被服の製作と整理に用いられる機械の正しい取り扱いおよび簡単な木材加工に関する基礎的技術を習得させ,生活を合理的に営む態度を養う。
日常食を調理するのに必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげた食物の調理に即して指導するとともに,青少年向きのものを中心にして,その献立・調理・評価などの各段階を追って一貫した指導を行なうようにする。
また,青少年期の日常食の献立に必要な知識は,取り上げる献立に即して重点的に指導する。
青少年期の栄養,食品の栄養的特質,性別・年齢別・食品群別摂取量のめやす,青少年向きの献立作成。
イ 調理材料
米,うどん,パン,粉類,いも類,食用油脂,豆製品,魚,貝,肉,卯,乳,海そう,緑黄色野菜,淡色野菜,くだもの,調味料など。
ウ 調理用具・食器
計量器,炊飯器, フライパン, その他普通用いられる調理用具・食器。
エ 調理用熱源
木炭,石抽.ガス類など。
オ 調理法
はかり方,洗い方,切り方,ゆで方,煮方,焼き方,いため方,調味のしかたなど。
カ 食物と生活
青少年期の好みと食生活,食習慣の改善など。
(実習例)米食(カレーライス)・粉食の調理,魚の煮付けと油焼き,野菜の油いためなどの日常食の調理。
青少年期における女子の日常生活に必要な被服を製作したり,簡単な編物をしたり,被服を整理するのに必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげたものの製作や整理に即して指導するとともに,計画・製作・評価の各段階を追って一貫した指導を行なうようにする。特に繊維の性能,布地の用途,用具,洗剤などは,計画の段階において,取り上げる「(実習例)」に関連させて重点的に指導する。
また,編み物は基礎的な編み方について指導し,それらを適当に組み合わせることによって各種の模様編みができることを理解させる。
天然繊維(もめん,羊毛),再生繊維,合成繊維の性能と,それらで織られたれた布地の用途,編み物用糸の規格。
イ 被服製作・被服整理の用具,機械,施設
ピンキングはさみ,たらいとその台,乾燥用具,その他普通に用いられるもの,干し場など。
ウ 被服整理用剤
せっけん,中性洗剤,けい光増白剤,のり類,普通に用いられる防虫剤・しみぬき剤など。
エ 被服製作・被服整理・編み物の方法
(ア) 被服製作
製作計画,型紙の選択,用布の積もり方,裁ち方,しつけのしかた,本縫い,仕上げのしかた。
(イ) 被服整理
a 洗たく
予洗,本洗,すすぎ,脱水,乾燥,仕上げのしかた.つくろい方。
b しみぬき
日常つきやすいしみの除去法。
c 保 管
乾燥,ブラシのかけ方,アイロンのかけ方,防虫剤の使用法,しまい方,容器と保管のしかた。
(ウ) 編み物
かぎ針および棒針を用いる基礎編みとその編み目の記号,基礎編み応用の簡単な模様編み,ゲージの決め方。
オ 被服と衣生活
整容,被服と活動との関係,繊維や被服整理用剤の進歩と衣生活。
(実習例)被服製作……エプロン,三角布など。
被服整理……スリップ,ブラウス,ソックスなどの洗たく。
編み物………こども帽子,マフラーなど。
家庭機械の取り扱いおよび実用品や装飾品の製作に必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげたものの取り扱いや製作に即して指導する。この場合,家庭機械の取り扱いは,調理や被服製作の学習と関連させて指導するようにし,家庭工作は考案設計・製図・製作・評価の各段階を追って一貫した指導を行なうようにする。
操作法,使用中の留意事項,日常の手入れなど。
イ 家具用木材
スギ,マツ,ヒノキ,サクラ,カツラ,ホウ,セン,キリ,合板など。
ウ 接合材料と塗料
くぎ,木ねじ,合成樹脂接着剤などの接合材料。
ペイント,ラッカーなどの塗料。
エ 木工具の使用法と工作法
のこぎり,かんな,きり,つち,ねし回しなどの工具。
木取り,のこぎりびき,穴あけ,くぎ打ち,ねじしめ,接着,組み立て,塗装などの工作法。
(実習例)家庭機械……裁縫ミシン,洗たく機,電気アイロン,はかり,こんろ類など。
家庭工作……花びん敷き,壁掛け,整理箱など。
(2) 盲人の体位や生活の実態から,青少年期の食事の重要性をじゅうぶん指導する。
このことについては,第2学年および第3学年においても同様である。
(3) 各内容の指導においては,基礎的技術の向上に重点をおき,いたずらに高度,広範囲の作品に及ばないこと。
このことについては,第2学年および第3学年においても同様である。
(4) 内容については,一部に偏することのないように留意する。
1 目 標
(2) 調理では,第1学年の「調理」の学習を発展させるとともに,日常食および常備食の調理に関する基礎的技術を習得させ,家族の日常食の献立作成の能力を得させ,生活を明るく営む態度を養う。
(3) 被服製作では,第1学年の「被服製作」の学習を発展させるとともに,休養着に必要な知識を理解させ,簡単な日常着の製作および簡単なししゅうに関する基礎的技術を習得させ,生活を快適に営む態度を養う。
(4) 家庭機械・家庭工作では,第1学年の「家庭機械・家庭工作」の学習を発展させるとともに,家庭機械の整備や家具の修理に関する基礎的技術を習得させ,それらを活用する能力および生活を能率的に営む態度を養う。
日常食の調理および家族の日常食の献立に必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげた食物の調理に即して指導するとともに,成人向きのものを中心にして,その献立・調理・評価の各段階を追って一貫した指導を行なうようにする。また,家族の日常食の献立に必要な知識は,取り上げる献立に即して重点的に指導する。
家族の栄養,性別・年齢別・労作別による食品群別摂取量のめやす,食品と季節,家族の献立作成。
イ 調理材料
第1学年にあげたもののほか,乾物,かんづめなど。
ウ 調理用具・食器
第1学年に準じる。
エ 台所の施設設備
流し,調理台,こんろ台,食卓,戸だななどとその配置。
オ 調理用熱源
第1学年にあげたもののほか,まき,練炭,電熱など。
カ 調理法
第1学年にあげたもののほか,乾物のもどし方,かんづめ・びんづめを用いる調理のしかた,ジャム・つくだ煮・つけものなどの作り方など。
キ 食物と生活
家事労働の能率化と調理法および台所の施設設備,食物費と家庭経済。
(実習例)米食(すし)・粉食の調理,しるもの・あえもの・よせもの・酢のものなどの日常食の調理,ジャム・つくだ煮などの常備食の調理など。
青少年期の女子に必要な被服に対する知識を総合的に理解させたり,簡単なししゅうを行なうのに必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあけたもののうちからそれぞれ一つを選んで,製作に即して指導するとともに,計画・製作・評価の各段階を追って一貫した指導を行なうようにする。
また,被服の修理・更生・新調などの計画の立て方についても指導する。
ゆかた地,タオル地,ネル,ブロード,ギンガム,ポプリンなど。
イ 被服製作・ししゅうの方法
(ア) 被服製作
a 和 服
和服構成の基本,寸法,製作計画,用布の積り方,着方,たたみ方,しまい方。
b 洋 服
洋服構成の基本,採寸,製作計画,型紙の選択,用布の積もり方,裁ち方,仮り縫,補正,本縫い,仕上げのしかた,たたみ方,着方,しまい方。
(イ) ししゅう
基礎的なししゅうのしかた。
ウ 被服と生活
被服と休養との関係,被服の修理・更生・新調の計画,被服費と家庭経済。
(実習例)被服製作……スカート。
ししゅう……手さげ袋など。
家庭機械の整備や家具の修理に必要な技術の基礎的事項を「(実習例)」にあげたものに即して指導するとともに,機械の材料や要素は,取り上げる機械と関連させて重点的に指導する。
アルミニウム,鋳鉄,鋼,合金鋼,軽合金など。
イ 機械要素
締結用(ねじ,リベット,キー,ビンなど。)
軸用(軸,クラッチ,軸受けなど。)
伝導用(ベルト,歯車,カム,リンクなど。)
緩衝用(ばねなど。)
ウ 家庭機械の整備
工具の使用法,故障の原因と点検,分解・組み立ての順序,部品の手入れと交換,調整の要領,給油の箇所と方法など。
エ 家具の取り扱い法と簡単な修理
日常の点検,接着剤,補強金具による修理など。
オ 刃物のとぎ方と手入
といしによる方法など。
カ 機械と生活
生活の能率化と機械の利用,機械技術の進歩が家庭生活や産業に及ぼす影響など。
(実習例)家庭機械……裁縫ミシンなど。
家庭工作……家具類の修理,刃物の手入れなど。
(2) 内容については一部に偏することのないように留意する。
1 目 標
(2) 調理では,第2学年の「調理」の学習を発展させるとともに,老人・病人などの食物の調理,客ぜん調理および行事食の調理に関する基礎的技術を習得させ,食生活を改善する態度を養う。
(3) 被服製作では,第2学年の「被服製作」の学習を発展させるとともに,日常着の製作,被服整理および簡単な染色に関する基礎的技術を習得させ,衣生活を改善する態度を養う。
(4) 保育では,幼児の衣食住に関する技術を総合的に習得させ,こどもを愛育する態度を養う。
(5) 家庭機械・家庭工作では,一般に使われている家庭用電気器具の取り扱いおよび室内整備に必要な家具の修理に関する基礎的技術を習得させ,それらを活用する能力および生活を能率的に営む態度を養う。
既習事項と有機的な関連を図りながら,消化しやすい食物,客ぜん調理や行事食などの調理に必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげた食物の調理に即して総合的に指導する。また,客ぜん調理や行事食の調理はそれぞれの地域における生活習慣との関連において,それらを合理的,能率的に改善する態度を養うように指導する。
幼児・老人・病人などの栄養,幼児・老人・病人などの食事,行事食・客ぜん調理などの献立作成。
イ 調理材料
第2学年に準ずる。
ウ 調理用具・食器
第2学年にあげたもののほか,蒸し器,天火,電気調理器具などの調理用具。
普通に用いられる幼児・病人の食事,行事食,客ぜん調理などの食器・容器。
エ 調理法
第2学年にあげたもののほか,消化しやすい食物の調理のしかた,蒸し方,あわたてのしかた,うらごしのしかたなど。
オ 食物と生活
食生活の習慣や年中行事などとそれらの改善。
(実習例)米飯(たきこみ飯)・茶わん蒸し・卵焼き・つけ焼き・吸い物・サラダなどの調理,消化しやすい食物の調理など。
青少年期における女子の日常着の製作,被服の選び方,被服整理および簡単な染色を行なうのに必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげたものの製作や整理に即して指導する。
また,染色は基礎的な染め方を簡単に指導し,これに基づいて「(実習例)」にあげたもののうちから一つを選んで,その考案設計を行なわせ,これに基づいて製作させるように指導する。
第1学年にあげたもののほか,麻,絹およびそれらの交織物など。
イ 被服の付属品
装飾用ボタン,バックルなど。
ウ 被服製作・被服整理・染色の方法
(ア) 被服製作
第2学年にあげたもののほか被服の選択と購入など。
(イ) 被服整理
絹や毛の洗たく法。
(ウ) 染 色
絞り染の基礎。
エ 被服と生活
衣生活の改善。
(実習例)被服製作……ブラウス類。
洗 た く……絹物,毛糸編み物など。
染 色……ふろしきなど。
幼児の生活を中心に,その衣食住について総合的に指導する。
幼児食,間食,幼児服,おもちゃ,遊び場。
イ 保育と家庭生活
幼児の心身の発達と衣食住。
(実習例)間食などの調理,幼児服の考案設計,おもちゃの製作,遊び場の設計など。
配線器具,照明器具,電熱器具,電動機などを点検・修理するのに必要な技術の基礎的事項を,取り上げる製品に即して指導する。また家庭工作では,家具の手入れを中心に,すまいについて研究させる。
建築記号,一般電気用記号など。
イ 電気計器の取扱法
回路計による電流・電圧・抵抗の測定,導通試験など。
ウ 配線器具の点検・修理
屋内配線の方式,許容電流・定格値,電線・コード,開閉器・接続器・点滅器など。
エ 証明器具,電熱器具の点検・修理
(実習例)けい光灯,電気こんろ,電気アイロンなど。
オ 電動機をつけた家庭用機器の取り扱い・点検
(実習例)単相誘導電動機など。
カ すまいのくふう
換気,採光,照明,清潔などの条件とすまい,家具の配置・配合,塗料の選定と使用法など。
(実習例)間取りの設計,家具の塗装など。
キ 電気と生活
生活の能率化と電気の利用,電気技術の進歩が家庭生活や産業に及ぼす影響など。
(2) 内容については,一部に偏することのないように留意する。
第3 指導計画作成および学習指導の方針
1 技術・家庭科は主として実践的活動を通して学習させる教科であるから,実習を中心にして計画し,指導する。この場合単なる技能の習熟に片寄らないように留意する。
2 各学年の内容の各項目の組織や配列は,必ずしもそのまとめ方や指導の順序を示すものではないから,「第1目標」および各学年の目標や指導上の留意事項をじゅうぶん考慮し,適切な組織順序をもった指導計画を作成して指導することが望ましい。
3 内容の項目に示してある「(実習例)」は,その項目に示してある基礎的な事項を学習させるのに適当と思われるものを例示したものである。指導計画を作成する場合,学校の事情や生徒の必要や視力およびその他の視機能の障害の状態などを考慮して,この例にならって適切なものを取り上げるようにする。
4 指導計画の作成にあたっては,生徒の学習のための集団の作り方や時間割りなどをくふうして,指導が円滑に行なわれるようにする。
5 学習の環境を整備し,実習のために服装を整えさせ,各種の規定を守らせ,安全・清潔・あとかたづけなどに留意させて,事故防止に努める。