第1 目 標
1 心身の発達について理解させるとともに,各種の運動を適切に行なわせることによって,身心の健全な発達を促し,活動力を高める。
2 合理的な練習によって,各種の運動技能を高めるとともに,生活における運動の意味を理解させ,生活を健全にし豊かにする態度や能力を養う。
3 運動における競争や協同の経験を通して,公正な態度を養い,進んで規則を守り,互いに協力して責任を果たすなどの社会生活に必要な態度や能力を向上させる。
4 個人生活や社会生活における健康・安全について理解させ,自己や他人を病気や傷害から守り,心身ともに健康な生活を営む態度や能力を養う。
以上の目標の各項目は,相互に密接な関連をもって,全体として保健体育科の目標をなすものであるから,指導にあたってはこの点を常に考慮しなければならない。
第2 各学年の目標および内容
〔第1学年〕
1 目 標
(2) チームやグループにおける自己の役割を自覚して責任を果たすとともに,共通の目標に向かって,互いに協力して運動を行なう態度を養う。
(3) 運動を行なうときのきまりや方法をくふうし,計画をもって行なう態度や能力を養う。
(4) 競技における規則や審判や相手の果たす機能を理解し,勝敗に対して公正な態度がとれるようにする。
(5) 運動の練習に関する必要な事項を理解させ,運動を合理的に行ない,生活を豊かにする態度や能力を養う。
(6) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や能力を養う。
(徒手体操)
(ア) 屈伸(半屈膝(しつ)・全屈膝(しつ))
(イ) 挙振(側・前・後)
(ウ) 跳躍(片足・両足)
イ 上肢(し)の運動
(ア) 挙振(側・前・上・斜上)
(イ) 屈伸(側・前・上・下)
(ウ) 回旋(内外・前後・側方)
ウ くびの運動
(ア) 屈(前・後・側)
(イ) 転(側)
(ウ) 回 旋
エ 胸の運動
伸 展
オ 体側の運動
(ア) 屈(側)
(イ) 倒(側)
カ 背腹の運動
(ア) 屈(前・後・斜前・斜後)
(イ) 倒(前・後)
キ 胴体の運動
(ア) 転(側)
(イ) 回 旋
イ 徒手体操を準備運動,整理運動および不良姿勢の予防・きょう正などに役だたせる方法を理解する。
ウ 互いに批判しあって行なう。
(ア) 上がり方
a 片足外かけ上がり
b さか上がり
(イ) おり方
a うしろおり
b 前回おり
c 踏み越しおり
(ウ) 回 転
a 足かけ後転
b 足かけ前転
c 腕立て後転
d 腕立て前転
(エ) 連 続
上がり方−おり方(2種目ないし3種目)
イ とび箱運動
(ア) 腕立てとび越し
a 腕立てとび上がりおり(横)(女子)(主として女子が行なう。以下単に「女子」という。)
b 腕立て横とび(伏臥(が))
c 腕立て開脚とび
d 腕立て閉脚とび
(イ) 転 回
a 前 転
b 腕立て前転(男子)(主として男子が行なう。以下単に「男子」という。)
ウ マット運動
(ア) 転 回
a 横転(女子)
b 前 転
c 後 転
d 開脚前転
e 開脚後転
f 倒立前転(男子)
(イ) 腕立て転回
a 腕立て側転
b 腕立て前転(男子)
(ウ) 倒 立
a 倒立(補助)
イ 互いに技能を批判しあう。
ウ 場所や用具の準備,あとしまつをする。
イ 準備運動や整理運動をする。
(ア) 発 走 法
スタンディングスタート
(イ) 疾 走 法
腕の振り方,体の前傾のしかた,パイプの持ち方などを知って走る。
(ウ) 60mを走り通す。
イ 円周リレー
引きつぎ(引きつぎの合い図を確かめて,速く引きつぐ。)
ウ 幅 と び
そりとびまたははさみとび(踏み切り線で踏み切る。)
エ 高 と び
正面とびまたはベリーロール(着地などに注意してとぶ。)
オ 持 久 走
走法およびベースのとり方(男子は1,000m程度,女子は持久走として500m程度とする。)
イ 記録や順位の決定をする。
ウ 必要な規則について知る。
イ 跳躍順を決める。
ウ 準備運動や整理運動をする。
《すもう》
四股(こ),伸脚,構え,しきり,運び足,攻め,防ぎなどの基本動作をする。
イ 簡易なすもう
(ア) 押しあいずもう
(イ) 寄りあいずもう
(ア) 受け身
(イ) 姿勢と組み方
(ウ) くずしと体さばき
イ 応用技能
(ア) ひざ車,つりこみ足
(イ) 大腰,つりこみ腰
(ウ) けさ固め
ウ 試 合
簡易な規則による試合
イ 礼儀正しく行なう。
イ のどわ,指取り,けん突き,頭突き,さばおりなどの禁じわざを守る。
ウ すもうのしきりのときは互いに額または頭をつけ,審判者が背をたたく合い図で始める。
エ 柔道の試合は自然体の姿勢で組み合い,審判者が背をたたく合い図で始める。
オ 準備運動や整理運動をする。
《バレーボール》(盲生徒むき)
(ア) パ ス
(イ) サーブ
イ ゲーム
簡易な規則によるゲーム
(ア) パスとキャッチ
(イ) ドリブル
(ウ) ショット
イ ゲーム
簡易な規則によるゲーム
(ア) 投 球
(イ) 捕 球
(ウ) 打 撃
イ ゲーム
簡易な規則によるゲーム
イ 互いに技能を批判しあう。
ウ 各自の位置を守り責任を果たす。
エ 味方の失敗を許す。
イ 用具(バットなど)の取り扱いに注意する。
ウ 乱暴なプレーをしない。
エ 準備運動や整理運動をする。
イ 平泳ぎ
ウ 横泳ぎ
エ 潜 水
オ さか飛び込み
イ 互いに技能を批判しあう。
イ 健康を害しているとき,空腹のとき,疲労しているときなどは泳がない。
ウ ひとりだけで泳がない。
エ あぶないときは大声で助けを求める。
オ 安全で清潔な水泳場の選び方を理解する。
カ 準備運動や整理運動をする。
(ア) ナポレオン,オクラホマミクサー,さくら踊りなどをする。
(イ) 1重円や2重円で,ツーステップ,ヒールエンドトウポルカ,ミクサー,日本民踊の手ぶり・足どりなどをする。
(ウ) それぞれの国の踊りの特徴を知って踊れるようにする。
イ 表 現
(ア) 植物,自然現象,日常生活事象などから題を選んで表現し,ひとつのまとまりをもつようにまとめる。
(イ) 2人ないし4人で歩・走,跳躍,屈伸,回旋,回転,振動,平均,倒などの1,2,3,4,拍動作を強度や連続を変え,また相手と対応して行なう。前後・左右・斜めに移動したり,回ったりする。
(ウ) 題や内容の選び方,表わし方,まとめ方などについてよい表現を見分ける。
(エ) 内容にふさわしい伴奏音楽(リズム楽器,旋律楽器,歌を歌うなど。)を選ぶ。
イ 発表会を計画し,運営する。
ウ グループの中で,互いに長所,短所を知って直しあう。
徒手体操,器械運動,陸上競技,格技,球技,水泳,ダンス,野外活動などの特性を身体の発達や生活との関係において理解させる。
イ 運動種目の選択
自己の身体の状態・運動能力,季節,施設および将来の職業などと運動種目の特性との関係について知らせ,適切な運動種目を選んで実践することが必要であることを理解させる。
運動の練習と技能の上達との関係について知らせ,練習のもつ意味とその重要性を理解させる。
イ 練習に関する諸条件
練習と意志,協力などの関係ならびに運動と栄養,疲労,休養,疾病,傷害などの関係について知らせ,合理的に練習を行なうことの必要を理解させる。
準備運動や整理運動などのもつ意味,分習法や全習法の適用などについて理解させる。
イ 練習の計画
練習の日数,時間,強さなどと練習の能率および生活との関係について知らせ,計画的に練習することの必要を理解させる。
校内競技,運動のクラブ活動,対外運動競技,野外活動などの意味や家庭における運動の意味を理解させ,学校や家庭における自己の運動生活を設計するように努めさせる。
(2) 「(陸上競技)」の(1)のエにおいて,ベリーロールを指導する場合には,指導の方法ならびに砂場の整地など特に安全に注意する。このことについては第2学年においても同様である。
(3) 「(格技)」については,「《すもう》」または「《柔道》)」のうちいずれか1種目を指導するものとする。このことについては第2学年および第3学年においても同様である。
(4) 「(球技)」については前記のほかソフトボール,ハンドボール,ピンポン,ネットボール,テニスなどを行なってもよい。しかし,この場合,次の各グループから1種目以上行なうのを原則とする。このことについては.第2学年および第3学年においても同様である。
○ ソフトボール,ベースボール
○ バスケットボール,サッカー,ハンドボール
○ バレー,ピンポン,ネットボール,テニス
(5) 「(水泳)」において,初心者には,面かぶり,沈み方,浮き方,立ち方などの練習によって,水に慣れさせ,泳ぎや飛び込みの練習にはいれるようにする。このことについては,第2学年および第3学年においても同様である。
(6) この時期は姿勢が悪くなりやすいので,姿勢の指導には,特に留意する。
(7) 各運動の指導にあたっては,各生徒の歩行能力の向上を図って,安全歩行や日常の正しい歩き方についても適切に行なうようにする。
このことについては第2学年および第3学年においても同様である。
〔第2学年〕
1 目 標
(2) チームやグループにおける自己の役割を自覚して責任を果たすとともに,チームやグループが互いに協力して運動を行なう態度を養う。
(3) 運動を行なうときのきまりや方法をくふうし,計画をもって行なう能力を育て,校内競技などの計画や運営に参加できるようにする。
(4) 競技における規則や審判や相手の果たす機能を理解し,勝敗に関する問題を適切に処理する態度や能力を養う。
(5) 運動の身体的・精神的効果を理解させ,進んで運動を行ない,生活を豊かにする態度や能力を養う。
(6) 傷害とその防止について理解させ,傷害の防止や救急処置に必要な態度,能力および技能を養う。
(7) 環境の衛生について理解させ,これに基づいて適切な環境の衛生的な処置を行なう態度,能力および技能を養う。
(8) 心身の発達の状態を正しく理解させ,これに基づいて心身の健全な発達を図ろうとする態度や能力を養う。
(9) 栄養について理解させ,望ましい食生活を営む態度や能力を養う。
(10) 疲労と学習や仕事の能率との関係について理解させ,これに基づいて学習や仕事を健康的に行なう態度や能力を養う。
A 体 育
(徒手体操)
(ア) 屈伸(半屈膝(しつ)・全屈膝(しつ))
(イ) 挙振(側・前・後)
(ウ) 跳躍(片足・両足)
イ 上肢(し)の運動
(ア) 挙振(側・前・上・斜上)
(イ) 屈伸(側・前・上・下)
(ウ) 回旋(内外・前後・側方)
ウ くびの運動
(ア) 屈(前・後・側)
(イ) 転(側)
(ウ) 回 旋
エ 胸の運動
伸 展
オ 体側の運動
(ア) 屈(側)
(イ) 倒(側)
カ 背腹の運動
(ア) 屈(前・後・斜前・斜後)
(イ) 倒(前・後)
キ 胴体の運動
(ア) 転(側)
(イ) 回 旋
イ 運動の組み合わせの順序をくふうする。
(ア) 上がり方
a 片足中かけ上がり
b さか上がり
c 背面さか上がり(男子)
d け上がり(男子)
(イ) おり方
a 前おり(背面)
b 踏み越しおり
c 振りとび
(ウ) 回 転
a 足かけ後転
b 足かけ前転
c 腕立て後転
d 腕立て前転
e ともえ(男子)
(エ) 連 続
回転−おり方(2種目ないし3種目)(男子)
イ とび箱運動
(ア) 腕立てとび越し
a 腕立てとび上がりおり(縦)(女子)
b 腕立て横とび
c 腕立て閉脚とび
d 腕立て開脚とび
(イ) 転 回
a 前 転
b 腕立て前転(男子)
ウ マット運動
(ア) 転 回
a 横転(女子)
b とび込み前転(男子)
c 伸膝前転
d 開脚後転
(イ) 腕立て転回
a 腕立て側転
b 腕立て前転(男子)
(ウ) 倒 立
倒立歩行(男子)
イ 場所や用具の使用について協定する。
ウ 互いに技能を批判しあう。
イ 準備運動や整理運動をする。
(ア) 発走法
スタンディングスタート
(イ) 疾 走 法
腕の振り方,体の前傾のしかた,パイプの持ち方などを知って走る。
イ 円周リレー
引きつぎ(引きつぎの合い図を確かめて速く引きつぐ)
ウ 幅 と び
そりとびまたははさみとび
エ 高 と び
正面とびまたはベリーロール
オ 持 久 走
自分の能力に応じて調子よく走る。(男子は1,000m程度,女子は持久走として500m程度とする。
イ 規則に従って競技をする。
イ 砂場やハードルの安全を確かめる。
ウ 準備運動や整理運動をする。
《すもう》
四股(こ),伸脚,構え,しきり,運び足,攻め,防ぎ,前さばきなどの基本動作をする。
イ 簡易なすもう
(ア) 寄りあいずもう
(イ) 押しあいずもう
(ア) 受け身
(イ) くずしと体さばき
イ 応用技能
(ア) 大外刈り,大内刈り
(イ) 体落し
(ウ) かみ四方固め
ウ 試 合
簡易な規則による試合
イ 体格や能力のあう者で組み合わせを作る。
ウ すもうでは交代で審判をする。
イ のどわ,指取り,けん突き,頭突き,さばおりなどの禁じわざを守る。
ウ すもうのしきりのときは,互いに額または頭をつけ,審判者が背をたたく合い図で始める。
エ 柔道の試合は自然体の姿勢で組み合い審判者が背をたたく合い図で始める。
オ 準備運動や整理運動をする。
《バレーボール》(盲生徒向き)
(ア) パ ス
(イ) ト ス
(ウ) タッチ
(エ) サーブ
イ ゲーム
簡易な規則によるゲーム
(ア) パスとキャッチ
(イ) ショット
(ウ) ガード
イ ゲーム
簡易な規則によるゲーム
(ア) 投 球
(イ) 捕 球
(ウ) 打 撃
イ ゲーム
簡単な規則によるゲーム
イ 練習やゲームのしかたをくふうをする。
ウ 審判の判定に従う。
エ 失敗の原因を考える。
オ チームとチームで練習の場所や用具を協定する。
イ 場所や用具を清潔にし,安全を確かめる。
ウ 準備運動や整理運動をする。
イ 平泳ぎ(スタート,ターンも含む。)
ウ 横泳ぎ
エ 潜 水
オ さか飛び込み
イ 練習に必要な規則を決め,順序よく泳ぐ。
ウ 互いに技能を批判しあう。
イ 健康を害しているとき,空腹のとき,疲労しているときは泳がない。
ウ 安全な水泳場の選び方について理解する。
エ おぼれている者に,さお,綱,板などを与えて助ける方法を知る。
オ 準備運動や整理運動をする。
(ア) ドードレプスカポルカ,トトウール,若きつどいなどをする。
(イ) 1重円や2重円またはひとりで自由に,ウォーキング,ポルカ,ツーステップターン,グランドチェーン,日本民謡の手ぶり・足どりなどをする。
(ウ) それぞれの国の踊りの特徴を知って踊れるようにする。
イ 表 現
(ア) 植物,自然現象,音楽や生活感情などから題を選んで表現し,変化のあるまとまりをつける。
(イ) 2人ないし4人または他のグループと関係をもって,歩・走,跳躍,屈伸,回旋,回転,振動,平均,倒,波動などの1,2,3,4,6拍動作を強度や連続を変え,また相手と対応して行なう。前後・左右・斜めに移動したり,回ったりする。
(ウ) 題や内容の選び方,表わし方,まとめ方などについて美しい表現のしかたを知り,くふうする。
(エ) 内容にふさわしい伴奏音楽(リズム楽器,旋律楽器,歌を歌うなど。)をくふうする。
イ 発表会を計画し,運営する。
ウ グループの中で長所,短所を知って直しあう。
運動の身長,体重,胸囲などの発達や体型に及ぼす効果を理解させる。
イ 運動と生理機能の発達
運動の呼吸・循環機能などの発選に及ぼす効果を理解させる。
ウ 運動と運動能力の発達
運動の走・跳・投・懸垂などの基礎的運動能力,運動技能および筋力,敏しょう性,柔軟性などに及ぼす効果を理解させる。
エ 運動と姿勢
正しい姿勢の意義と重要性,不良姿勢や職業固癖の予防ときょう正の方法などについて理解させるとともに,常に正しい姿勢を保つように努めさせる。
オ 運動能力の測定
各種の運動能力の測定法を理解させ,各自の運動能力の現状を知って運動することの必要を理解させる。
運動が活動の喜びや情緒の安定をもたらし,身体の美的表現などによって美的情操が高められることを理解させる。
イ 運動と社会性の発達
運動が自主,責任,協力,公正などの社会性を養うのに貢献することを理解させる。
骨折,脱きゅう,ねんざ,創傷,火傷などの傷害の種類や原因について理解させ,傷害の発生の防止に努めさせる。
イ 事故災害とその防止
交通事故,労働災害などの現状や原因について理解させ,事故災害の発生の防止に努め,また,事故災害の発生した際の応急措置が適切に行なえるような態度や能力を養う。
ウ 救急処置
傷病者のでたときの取り扱いや傷の処置,止血法,包帯法,人工呼吸法などの救急処置のしかたを理解させ,また救急処置の目的や限界を知り,救急の場合に,適切な処置ができるようにする。
環境衛生の意義と必要性や環境の条件の心身に及ぼす影響などについて知らせ,環境と心身との関係について理解させる。
イ 環境の衛生検査
水質検査,気温・気湿・気流の測定,換気の測定,じんあい・ばい煙・一酸化炭素・炭酸ガスの測定の方法とそれぞれの衛生基準について理解させる。
ウ 環境の衛生的な処理
水の簡易ろ過,保温,防暑,採光照明などの衛生的な維持改善や汚物・廃棄物の処理,ねずみ族・こん虫の駆除,消毒法について理解させ,家庭生活などにおける環境の衛生的な処理が適切にできるようにする。
心身の発達の年齢差および男女差,中学部生徒の身体的発達・精神的発達・行動の特性および身体的発達と精神的発達との関係について理解させるとともに,身体の発達の測定方法を知らせ,自己の心身の発達の理解に努めさせる。
イ 心身の発達に影響する条件
心身の発達は,遺伝,内分泌,病気,栄養,運動,労働,環境などにより影響を受けることを理解させ,自己の心身の発達を図ろうとする態度を養う。
ウ 栄養の基準と食品の栄養価
年齢別,性別,労作別の栄養基準量や食品の栄養価を理解させ,健康の保持増進の立場から,食品の選択や栄養障害と食生活との関係について考えさせ,食生活の改善に努める。
疲労と学習や仕事の能率との関係,疲労の自覚や判断のしかた,疲労による心身の状態の変化などについて理解させる。
イ 疲労の回復
疲労の回復に必要な休養・栄養の取り方や環境の整え方および疲労の回復を図ることによって,学習や仕事の能率が向上することを理解させる。
ウ 学習や仕事の能率と生活の調和
学習や仕事,余暇利用,睡眠などの1日の時間的組み立てを,疲労の回復や能率向上の立場から,効果的にする方法を理解させ,これを日常生活に実践しようとする態度を養う。
(2) この時期の生徒は,相当組織だった運動を求めるようになり,また男女の特性もかなりはっきりしてくるので,各運動の指導においては,この点をじゅうぶんに考慮する。
(3) B「(2)環境の衛生」については,学校および地域における実情を考慮して指導する。
(4) B「(3)心身の発達と栄養」特に栄養については,理科,技術・家庭などとの関連を考慮して指導する。
(5) B「(4)疲労と作業の能率」については,生徒の家庭や学校における日常生活の状態を考慮し,これと密接な関連をもって指導する。
〔第3学年〕
1 目 標
(2) チームやグループにおける自己の役割を自覚して責任を果たすとともに,チームやグループが互いに協力して運動を行なう態度を養う。
(3) 運動を行なうときのきまりや方法をくふうし,計画を立てて行なう能力を高め,校内競技などを計画し,運営できるようにする。
(4) 競技における規則や審判や相手の果たす機能を理解し,勝敗に関する問題を適切に処理する態度や能力を伸ばす。
(5) 生活におけるスポーツやレクリェーションの意味を理解させ,それらを日常生活に取り入れて,生活を豊かにする態度や能力を高める。
(6) 病気とその予防について理解させ,病気の予防に必要な態度や能力を養う。
(7) 精神の健康について理解させ,これに基づいて生活を楽しく営む習慣や態度を養う。
(8) 集団の健康について理解させ,進んでその健康を高めることに協力する態度を養う。
(9) 個人の健康成立の条件や健康の考え方について理解させ,これに基づいて心身ともに健康な生活を営む態度や能力を養う。
A 体 育
(徒手体操)
(ア) 屈伸(半屈膝(しつ)・全屈膝(しつ))
(イ) 挙振(側・前・後)
(ウ) 跳躍(片足・両足)
イ 上肢(し)の運動
(ア) 挙振(側・前・上・斜上)
(イ) 屈伸(側・前・上・下)
(ウ) 回旋(内外・前後・側方)
ウ くびの運動
(ア) 屈(前・後・側)
(イ) 転(側)
(ウ) 回 旋
エ 胸の運動
伸 展
オ 体側の運動
(ア) 屈(側)
(イ) 倒(側)
カ 背腹の運動
(ア) 屈(前・後・斜前・斜後)
(イ) 倒(前・後)
キ 胴体の運動
(ア) 転(側)
(イ) 回 旋
イ 自己の行なうスポーツに応ずる補強運動をくふうする。
ウ 健康の保持僧進を目的とした日常生活で行なう徒手体操をくふうする。
(ア) 上がり方
a さか上がり(女子)
b け上がり(男子)
(イ) おり方
a 踏み越しおり
b 振りとび
(ウ) 回 転
a 腕立て後転
b 腕立て前転
c ともえ(男子)
(エ) 連 続
上がり一回転−おり方(2種目ないし3種目)(男子)
イ とび箱運動
(ア) 腕立てとび越し
a 腕立てとび上がりおり(女子)
b 腕立て横とび(あおむけ)
c 腕立て閉脚とび
d 腕立て開脚とび
(イ) 転 回
a 前 転
b 腕立て前転(男子)
ウ マット運動
(ア) 転 回
a 横転(女子)
b とび込み前転(男子)
c 伸膝(しつ)前転
d 伸膝(しつ)後転
(イ) 腕立て転回
a 腕立て側転
b 腕立て前転(男子)
(ウ) 倒 立
倒立(男子)
イ 競技の規則を決める。
ウ 発表会を計画し,運営する。
エ 互いに技能を批判しあう。
イ 準備運動や整理運動をする。
不必要な緊張を除いて走る。
イ 円周リレー
引きつぎ(引きつぎの合い図を確かめて引きつぐ。)
ウ 立ち三段とび(男子)
ホップ・ステップ・ジャンプを調子よくとぶ。
エ 持久走
自分の能力に応じて調子よく走る。(男子は1,000m程度,女子は持久走として500m程度とする。)
オ 砲丸投げ(男子)またはソフトボール投げ。
脚や腰の力を利用して正しく投げる。
イ 競技会を計画し運営する。
ウ グループが互いに場所の協定をする。
イ 砲丸投げやソフトボール投げを行なうときは特に安全に注意する。
ウ 準備運動や整理運動をする。
《すもう》
四股(こ),伸脚,しきり,運び足,攻め,防ぎ,前さばきなどの基本動作をする。
イ 簡易なすもう
(ア) 押しあいずもう
(イ) 寄りあいずもう
(ア) 受け身
(イ) くずしと体さばき
イ 応用技能
(ア) 出足払い,送り足払い
(イ) 浮き腰,払い腰
ウ 試 合
簡易な規則による試合
イ 競技に必要な規則を決める。
ウ 礼儀正しく行なう。
イ のどわ,指取り,頭突き,けん突き,さばおりなどの禁じわざを守る。
ウ すもうのしきりのときは互いに,額または頭をつけ審判者が背をたたく合い図で始める。
エ 柔道の試合は自然体の姿勢で組み合い,審判者が背をたたく合い図で始める。
オ 準備運動や整理運動をする。
《バレーボール》(盲生徒向き)
(ア) パ ス
(イ) キ ル
(ウ) タッチ
(エ) ストップ
(オ) サーブ
イ ゲーム
簡易な規則によるゲーム
(ア) パスとキャッチ
(イ) ドリブル
(ウ) ショット
(エ) ガード
イ ゲーム
簡易な規則によるゲーム
(ア) 投 球
(イ) 捕 球
(ウ) 打 撃
イ ゲーム
簡単な規則によるゲーム
イ 審判は明確な判定を下す。
ウ チームが相互に協力して練習する。
イ 場所や用具を清潔にし,安全を確かめる。
ウ 準備運動や整理運動をする。
イ 平泳ぎ(スタート,ターンも含む。)
ウ 背泳(スタート,ターンも含む。)
エ 横泳ぎ
オ 立ち泳ぎ
カ 潜水
キ さか飛び込み
イ 互いに技能を批判しあう。
イ 健康を害しているとき,空腹のとき,疲労しているときは泳がない。
ウ 人工呼吸法について習熟する。
エ おぼれている者を水にはいって助ける方法について理解する。
オ 準備運動や整理運動をする。
(ア) オスロワルツ,ネリーブライ,郷土民踊などをする。
(イ) 1重円・2重円・方形で,ワルツターン,ステップターン,スライド,スイング,日本民踊の手ぶり・足どりなどをする。
(ウ) それぞれの国の踊りの特徴を知って踊れるようにする。
イ 表 現
(ア) 自然,生活事象,生活感情などからの題を選んで表現し,変化のあるまとまりをつける。
(イ) 2人ないし6人または他のグループと関係をもって,歩・走,屈伸,回旋,回転,振動,平均,倒,波動などの1,2,3,4,6,8拍動作を強度や連続を変え,また相手と対応して行なう。前後・左右・斜めに移動したり,回ったりする。
(ウ) 題や内容の選び方,表わし方,まとめ方などについて,いろいろな美しい表現のしかたをくふうする。
(エ) 内容にふさわしい伴奏音楽(リズム楽器,旋律楽器,歌を歌うなど。)をくふうする。
イ 役割を決め,責任をもって分担する。
ウ 発表会を計画し,運営する。
エ グループの中で,互いに長所,短所を知って直しあう。
オ 他のグループと互いに長所,短所を知って直しあう。
国際競技の発展の大要やその役割について理解させる。
イ 国内競技
国内のおもな競技会の特徴を国民生活との関連において理解させる。
ウ アマチュアスポーツと職業スポーツ
アマチュアスポーツと職業スポーツの特徴について理解させる。
世界のおもな国のレクリェーションにふれて,現代生活におけるレクリェーションの意味を理解させる。
イ レクリェーション生活の設計
地域社会の生活や職場の生活においてレクリェーションの必要なことを理解させ,生活にレクリェーションを計画的に取り入れようとする態度や能力を養う。
赤痢,腸チフスなどの消化器系伝染病,結核などの呼吸器系伝染病,その他の伝染病および寄生虫病の病原体,感染経路,症状およびその予防などの大要について理解させ,伝染病および寄生虫病の予防に必要な生活を実践する態度を養う。
イ 循環器系の疾患とその予防
高血圧,狭心症,慢性リューマチ性心臓疾患などの循環器系の疾患の原因,症状およびその予防などの大要について理解させ,循環器系の疾患の予防に努めさせる。
ウ 呼吸器系の疾患とその予防
気管支炎,肺炎,気管支ぜんそくなどの呼吸器系の疾患の原因,症状およびその予防などの大要について理解させ,呼吸器系の疾患の予防に努めさせる。
エ 消化器系の疾患とその予防
胃炎,腸炎,胃かいよう,胃拡張症,十二指腸かいよう,虫垂炎などの消化器系の疾患の原因,症状およびその予防などの大要について理解させ,消化器系の疾患の予防に努めさせる。
オ その他の病気とその予防
精神神経症その他の精神障害,神経痛その他の神経系の疾患,職業病,じん臓病.中耳炎・アデノイド・慢性副鼻腔(くう)炎などの耳鼻咽喉(いんこう)疾患やおもな眼疾患などの原因,症状およびその予防などの大要について理解させ,これらの病気の予防に努めさせる。
カ 病気の処置と病後の注意
病後の看護のしかたや病後の生活のしかたなどについて理解させ,病気をすみやかに回復させ,また再発しないように努めさせる。また医薬品の正しい利用のしかたについて理解させ,医薬品の誤った使用によって事故を起こさないようにさせる。
精神の健康は,身体の健康,家庭生活,社会生活と密接な関係があることや酒,たばこ,麻薬などの乱用によって精神の健康がそこなわれることおよび精神の健康がそこなわれると望ましくない行動をしがちになることを知らせ,精神の健康の意義や精神を健康に保つ必要を理解させる。
イ 精神の健康を守るための生活
精神の健康を守るには,自己や他人をよく理解し,気分の転換や不満の解消を適切にし,また望ましくない生活態度や習慣を改めることなどが必要であることを理解させ,これを日常生活で守るように努めさせる。
国民の平均余命,死因とおもな病気,栄養,体格体力などの現状および推移の大要について知らせ,国民の健康状態の大要を理解させる。
イ 健康とその重要性ならびに社会との関係
既習の内容を総合して,結核などの主要な国民病から自己の健康を守るため,日常生活の実践をどのようにすればよいか,また健康診断,予防接種を積極的に受ける必要を理解させ,その実践に努めさせる。
以上のことから,さらに健康と日常生活や社会との関係,個人の健康成立の条件,健康の考え方,保健活動の必要性を理解させる。
ウ 健康な国民生活
国民の健康のための制度,組織,施設についてその大要を理解させ,進んでその健康を高めることに協力するように努めさせる。
(2) B「(1)病気の予防」については,理科および小学部における体育科との関連を図り,人体の構造・機能に関する指導も考慮する。なお,性病についても適宜指導する。
(3) B「(3)国民の健康」については,公衆衛生における個人の立場に重点をおき,また既習の理解に立って健康および健康生活について正しい考え方をもたせて,進んで保健活動を推進させるように指導する。
第3 指導計画作成およひ学習指導の方針
1 各学年の体育の分野の標準授業時数は,次のとおりである。
学年
分野 |
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体 育 |
105単位時間
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70単位時間
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70単位時間
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保 健 |
35単位時間
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35単位時間
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105単位時間
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105単位時間
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105単位時間
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2 指導計画の作成にあたっては,生徒の視力およびその他の視機能の障害の状態や運動能力などに留意して,体育の分野の各領域の指導が適切に行なわれるよう配慮しなければならない。
3 第2に示す体育の分野の内容は,特に示す場合を除き,いずれの学校においても原則として取り扱うことを必要とするものであるが,地域や学校の実態を考慮し,特に必要と認められる場合は,これに示していない運動種目を加えて指導してもさしつかえない。しかし,いたずらに指導する種目を多くしたり,程度の高い項目を取り扱ったりして,示された目標や内容の趣旨を逸脱したり,負担過重にならないよう慎重に配慮しなければならない。
4 適切な水泳場がないなどで,水泳を指導できない学校では,これを欠くことができる。
ただし,上記の場合でも,人工呼吸法については,保健学習との関連を図って指導する。
5 積雪地,寒冷地の学校ては,スキー,スケートを指導することができる。この場合,特に安全についてはじゅうぶん留意する。
6 体育において指導計画を作成するにあたっては,それぞれの運動の特牲,生徒の健康状態,視力およびその他の視機能の障害の状態,生徒の運動の経験,男女の特性などを考慮しなければならない。その場合には,運動種目を組み合わせたり,基礎的運動能力の測定を行なうなども含めて,学習の効果をあげるように配慮する。
また,保健においては,学校における保健管理と密接な関連を図り,能率的な指導ができるようにする。
7 歩行に関する指導は,小学部の基礎の上に立ち,基本的事項を体育の分野で行なうほか,保健の分野や他の各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等の指導とも関連を図って,各生徒が安全歩行,ひとり歩きの自信と能力が養われるよう配慮する。なお,歩行に対する指導計画を立てる際は,各生徒の視力およびその他の視機能の障害の状態や個人差などに即応するよう留意する。
8 指導する事項の配列にあたっては,特別教育活動,学校行事等,季節および施設用具などを考慮する。
9 各学年に示した「(体育に関する知識)」についての指導は,体育の全体計画の中に位置づけて,できるだけ各運動の指導と密接な関連を図るとともに保健との関連にも留意する。
10 体育学習においては,指導のねらいや運動の特性に応じ,単に運動技能の指導のみに陥ることなく必要な内容が,片寄りなく学習されるように考慮する。
11 集団行動については,各運動の指導と関連させ,小学部における学習の基礎の上に,いっそうその能力を高めるよう適切に指導する。
12 各運動の指導においては,生徒の健康状態や運動能力および男女の特生などに応じて指導する事項の程度や取り扱いを考慮する。
13 各運動の指導にあたっては,病弱者,身体虚弱者および肢(し)体不自由者などに対しては,学校医と連絡をとり,その程度に応じて適切な指導をする。
14 心身の発達,病気の予防,精神衛生などの学習においては,性教育を考慮して指導する。
15 保健学習では,適宜に実習,調査,見学なども加え,学習の効果があがるようにする。