第1 教育課程の編成
1 一般方針
各養護学校においては、教育基本法、学校教育法、学校教育法施行規則(以下「規則」という。)、養護学校中学部学習指導要領肢(し)体不自由教育編、教育委員会規則等に示すところに従って教育課程を編成するものとする。この場合、各養護学校においては、地域や学枚の実態を考慮し、生徒の発達段階、経験および肢(し)体不自由の状態に即応するように留意しなければならない。
区 分 |
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必 修 教 科
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国 語 |
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社 会 |
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数 学 |
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理 科 |
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音 楽 |
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美 術 |
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保健体育・機能訓練 |
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技術・家庭 |
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選 択 教 科
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外 国 語 |
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農 業 |
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工 業 |
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商 業 |
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水 産 |
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家 庭 |
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薬 業 |
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数 学 |
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音 楽 |
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美 術 |
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道 徳 |
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学級活動 |
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(2) 上掲(1)の表においては、授業時数の1単位時間は50分とし、かっこ内の授業時数は年間授業日数を35週とした場合における週当たりの平均授業時数である。なお、授業の1単位時間には、教室を移動したり、休憩したりするのに要する時間を含まないものとする。
(3) 各教科、道徳、特別教育活動および学校行事等に授業時数を配当するにあたっては、下記の事項に注意することが必要である。
イ 保健体育・機能訓練については、生徒の肢(し)体不自由の状態に応じて、それぞれ適切な授業時数を配当しなければならないこと。
ウ 道徳の授業時数については、各学年35単位時間以上でなければならないこと。
エ 特別教育活勤のうちの生徒会活動、クラブ活動などや学校行事等については、それらに充てる授業時数は上掲(1)の表には示していないが、生徒の肢(し)体不自由の状態に応じて、年間、学期、月または週ごとに適切な授業時数を配当することが望ましいこと。
オ 各教科、道徳および学級活動についての各学年の授業は、年間35週以上にわたって行なうように計画すること。
カ 各教科、道徳および学級活動の授業の1単位時間は、50分とすることが望ましいが、生徒の肢(し)体不自由の状態、季節およびその他の事情により50分未満とすることができる。
キ 各教科、道徳および学級活動についての1週間の時間割を作成するにあたっては、上掲(1)の表のうち、かっこ内に示した週当たりの平均授業時数を参考として、調和的、能率的な指導ができるように配慮すること。
ク 各学年における各教科、道徳および学級活動の授業時数の計は1,190単位時間を標準とすること。
3 選択教科の運営
(1) 選択教科の授業時数については、次によるものとする。
イ 上記アによって70単位時間を標準とする選択教科のほかに、農業、工業、商業、水産、家庭または薬業(以下「職業に関する教科」という。)のうち1以上の教科を履修させる場合における当該職業に関する教科についての授業時数は、上掲2の(1)の表に示されている授業時数にかかわらず、それぞれ35単位時間を標準とすることができること。
(3) 選択教科のうち外国語については、英語、ドイツ語、フランス語その他の現代の外国語のうちいずれか1か国語を履修させることを原則とし、第1学年から履修させることが望ましい。
なお、進路、特性等により外国語を深く学習しようとする生徒に対しては、第3学年において、これを175単位時間を標準として履修させることが望ましい。
(4) 進路、特性等により数学をさらに深く学習しようとする生徒に対しては、第3学年において、選択教科の数学を履修させることが望ましい。
(5) 第3学年において、進路、特性等により職業に関する教科を学習しようとする生徒に対しては、生徒の必要や肢(し)体不自由の状態、地域や学校の実態等に応じ、職業に関する教科について、140単位時間を標準として履修させることが望ましい。
(6) 選択教科の音楽または美術については、生徒の進路、特性等に応じて履修できるようにすることが望ましい。
4 特 例
また、宗教の時間と道徳の時間とをあわせて設けている養護学校にあっては、宗教の授業時数をもって道徳の授業時数の一部に代えることがてきる。
(2) 複式学級において、特に必要がある場合は、各教科の目標の達成に支障のない範囲において、各教科についての学年別の順序によらないことができる。
(3) 肢(し)体不自由の程度の重い生徒または肢(し)体不自由児施設等に入院治療中の生徒については、実情に応じた教育課程を編成し実施することができる。
(4) 肢(し)体不じゆう以外に他の心身の故障をあわせ有する生徒に係る教育課程については、特に必要がある場合は、特別の教育課程によることができることとなっている(規則第73条の11第1項)
(5) 非常変災、伝染病等により、臨時に授業を行なわない場合で、その年間にあらかじめ定められた授業時数を補うことができないような、やむを得ない事情があるときは、その定められた授業時数を下ることができる。
第2 指導計画作成および指導の一般方針
(2) 中学校学習指導要領第2章に示された各教科(職業に関する教科は除く)の内容に関する事項は、特に示す場合を除き、いずれの学校においても原則として取り扱うことを必要とするものである。各養護学校においては特に必要と認められる場合には、生徒の肢(し)体不自由の状態に応じて指導する事項を軽減したり、または第2章に示されていない事項を加えたりして指導することができること。ただしこの場合、学年別の目標や内容の趣旨を逸脱し、または生徒の負担過重とならないよう慎重に配慮すること。
(3) 職業に関する教科については、下記の事項に留意して指導計画を作成し、職業生活または家庭生活に関する基礎的な知識と技能を習得させるようにするものとすること。
イ 生徒の肢(し)体不自由の状態、土地の状況や学校の事情などに即応し、中学校学習指導要領第2章に示されていない内容についても指導することができること。
ウ 生徒の肢(し)体不自由の状態、授業時数や土地の状況、学校の事情などに即応して、中学校学習指導要領第2章に示された当該教科の内容のいずれかに重点をおいて指導することもできること。
エ 2以上の教科を履修させる場合においては、その指導する事項について相互に密接な関連を図るようにすること。
(5) 指導にあたっては、各教科、道徳、特別教育活動および学校行事等の教育活動の全体を通し、適切な機会を利用して、個々の生徒の機能障害の改善に資するように配慮しなければならないこと。
(6) 政治および宗教に関する事項の取り扱いについては、それぞれ教育基本法第8条および第9条の規定に基づき、適切に行なうように配慮しなければならないこと。
(7) 生徒が心身の状況によって履修することが困難な各教科は、その生徒の心身の状況に適合するように課さなければならないこととなっている(規則第73条の12第2項で準用する第26条)。各養護学校においては指導の実際にあたって、個々の生徒について特別な配慮をしなければならないこと。
(8) 中学校学習指導要領第2章第2節社会「第3 指導計画作成および学習指導の方針」の7に示された特例については、これを実施しようとする場合は、公立の養護学校にあっては教育委員会に、私立の養護学校にあっては都道府県知事に、国立の養護学校にあっては文部大臣にあらかじめ屈け出るものとすること。
(2) 肢(し)体不自由者の心身の状態をよく理解すること。
(3) 学習の目標を生徒にじゆうぶんはあくさせること。
(4) 生徒の興味や関心を重んじ、自主的、自発的な学習をするように導くこと。
(5) 生徒の個人差に留意して、個別指導を重んじ、それぞれの生徒の個性や能力をできるだけ伸ばすようにすること。
(6) 学校における好ましい人間関係を育て、身のまわりの美化や整とんに努めるなど、学習環境を整えるようにすること。
(7) 教科書その他の教材、教具などについて常に研究し、その活用に努めること。特に教具については生徒の使用を容易にするよう改善を図るようにすること。また、生徒の経験の不足を補うためにも、学校図書館の資料や視聴覚教材等をじゆうぶん活用すること。
(8) 学校医との連絡を密にし、教育活勤全体を通じて医学的配慮を加えること。
(9) 指導の成果を絶えず評価し、指導の改善に努めること。
第3 道徳教育
道徳教育の目標は、教育基本法および学校教育法に定められた教育の根本精神に基づく。すなわち、人間尊重の精伸を一貫して失わず、この精神を、家庭、学校その他各自がその一員であるそれぞれの社会の具体的な生活の中に生かし、個性豊かな文化の創造、民主的な国家および社会の発展に努め、進んで平和的な国際社会に貢献てきる日本人を育成することを目標とする。
道徳の時間においては、各教科、特別教育活動および学校行事等における道徳教育と密接な関連を保ちながら、これを補充し、深化し、統合し、またはこれとの交流を図り、生徒の望ましい道徳的習慣、心情、判断力を養い、社会における個人のあり方についての自覚を主体的に深め、道徳的実践力の向上を図るように指導するものとする。
道徳の時間における指導は、学級担任の教師が担当することを原則とする。
第4 機能訓練
機能訓練の目標は、個々の児童のもっている機能の障害を改善させるとともに、みずから進んで障害を克服しようとする態度を養い、健康な生活ができるようにすることにある。
機能訓練の時間においては、特別な技能を有する教職員が、学校医の処方に基づき、生徒のもっている残存能力、代償能力および回復能力を利用し、各種の機械器具をも活用して、生徒の積極的な参加のもとに、個々の生徒の障害の改善を図るように指導するものとする。