第1 目 標
1 聴覚の障害を克服し,各種の運動を適切に行なわせることによって,基礎的な運動能力を養い,心身の健全な発達を促し,活動力を高める。
2 各種の運動に親しませ,運動のしかたや技能を身につけ,生活を豊かにする態度を育てる。
3 運動やゲームを通して,公正な態度を育て,進んで約束やきまりを守り,互いに協力して自己の責任を果たすなどの社会生活に必要な態度を養う。
4 健康・安全に留意して運勤を行なう態度や能力を養い,さらに保健の初歩的知識を理解させ,健康な生活を営む態度や能力を育てる。
上に掲げた目標は,相互に密接な関連をもつものである。目標2,3および4は,主として運動を中心とする具体的な学習を通して達成されるものであるが,目標1は,これらの目標を目ざして継続的な学習を行なうことによって,はじめて達成しうるものであるから,目標2,3および4の指導の根底には,常に目標1が考慮されなければならない。
なお,目標4については,各学年を通じて,各種の運動の実践にあたって必要な健康・安全に関する態度や能力の育成に努めるとともに,特に,第5学年以上において,健康な生活を営むために必要な保健に関する初歩的な知識を得させることを目ざしている。
次に示す各学年の目標は,児童の発達段階に応じ,上記の目標を達成するために必要なことがらを具体的に示したものである。
第2 各学年の目標および内容
〔第1学年〕
1 目 標
(2) 各種の簡単な運動を行なわせることによって,基礎的な運動能力を養い,身体諸機能の調和的な発達を図る。
(3) だれとでも仲よくし,また,きまりを守って楽しく運動を行なう態度を育てる。
(4) 運動と関連した健康・安全についてのきまりを守る態度や習慣を養う。
A 徒手体操
イ 足を大きく開いたり,片足または両足でとんだりする。
ウ 両手で押したり,引いたりする動作をする。
エ 腕をいろいろな方向に振り上げたり,振り回したりする。
オ 片手をすり上げながら,体を左右に曲げる。
カ 開脚で,足首を握って体を前に深く曲げ,両脚の間から後ろを見たり,手を腰にあて体を後ろにそらせ,後ろを見るようにしたりする。
キ 体を左右に回して,体側で手をたたく。
イ 鉄棒遊び……腕立てとび上がり,足かけ振り,後ろおり,足ぬき回りをする。
ウ とび箱遊び……またぎ越し,踏み越し,腕立てとび上がり,とびおりをする。
エ マット遊び……横回り,ゆりかごをする。
イ 待つときの順番を守る。
ウ 運動をしている者に近寄らない。
イ 置き換えリレー……決まった方法で置き換えや引き継ぎをする。
ウ 並びっこ……位置を移動して早く並ぶ。
エ 川とび……片足や両足でとび越す。
オ ゴムとび……ひざの高さぐらいをとび越す。
イ 走るとき,他人を押したり突いたりしない。
ウ 用具の準備を手伝う。
イ ころがしドッジボール……ボールをころがし,中の者に当てる。ボールを当てられないように身をかわす。
ウ たま入れ……高い所につったかごに紅(白)球を投げ入れる。腕やからだを調子よく使って投げる。
エ 対列ボールけり……止まっているボールをける。ころがってくるボールを止めてける。
イ 合い図や約束を守る。
ウ 逃がしたボールを進んで取りにいく。
エ ボールを避けたり取ったりするとき,他人を押したり突いたりしない。
イ 模倣遊び
(ア) 動物,乗り物,遊びなどの簡単な模倣をする。
(イ) ひとりないし3人で,はう,ころがる,歩・走,跳躍,屈伸などの1,2拍動作を速度を変えて行なう。
イ 役を代わりあって遊ぶ。
イ 鬼遊び………ひとり鬼,場所とり鬼,けん鬼をする。
ウ なわとび……短なわで片足前とび,両足とび,1回旋2跳躍とびをする。長なわで大波小波をする。
エ 水遊び……水中を歩いたり,走ったりするなどの遊びによって水に慣れる。
イ なわを代わりあって持ち,順番を守ってとぶ。
ウ 用具を仲よく使う
イ プールにはいる前には,必ず用便をすませ,水遊び後は,きれいな水でからだや目を洗う。耳を清潔にしておく。
ウ ひざぐらいの深さで遊ぶ。
エ 決してひとりだけで水遊びに行かない。
オ あぶない場所で水遊びをしない。
カ あぶないときやおぼれた人を見たときは,大声で近くの人の助けを求める。
イ 運動後,手足を洗い,汗をふく。
(2) 健康・安全に関する指導においては,運動の服装を整える,つめを短く切るなどについても適切に行なうようにする。
(3) 歩行,かけ足の訓練を,徒手体操,陸上運動,リズム運動などの学習に関連して考慮する。
(4) 体育の学習に関連して,特に危害予防についての態度・習慣を身につけさせ,安全に生活を営むことができるようにする。
また,危害予防に関する指導は,社会科の指導との関連を図り,理解させるようにする。
このことについては,各学年においても同様である。
(5) Aの(1)の内容は,運動の範囲や方法の例を示したものである。指導にあたっては,事物や動作の模倣などを取り入れるとともに,座臥(が)姿勢で行なうことも考慮する。また,Aの(2)については,手具や太鼓等の使用をくふうし,動作を大きく調子よく行なうように指導する。
このことについては,第2学年および第3学年においても同様である。
(6) リズム運動は律唱科と関連して指導する。特に太鼓等の打楽器を使用して学習させることが望ましい。
このことについては,各学年においても同様である。
(7) 水遊びの指導にあたっては,あらかじめ学校医の診断を受けて,必要に応じて耳せんをするなど適切な注意を払い,耳鼻の疾病を予防することが望ましい。また,水遊びのときは,赤色等の水泳帽子を着用することが必要である。
このことについては,各学年においても同様である。
1 目 標
(2) 運動をするときの簡単なきまりをつくり,みんなで同じ運動を仲よく楽しく行なう態度を育てる。
(3) 競争やゲームにおいて,規則を守り,負けてもすなおに認める態度を育てる。
(4) 運動と関連した健康・安全についてのきまりを守る態度や習慣を養う。
A 徒手体操
イ 足を大きく開く。
ウ 両足または片足で,移動したり,向きを変えたりしてとぶ。
エ 両手で押したり,引いたりする動作をする。
オ 腕をいろいろな方向に振り上げたり,振り回したりする。
カ 片手をすり上げながら,体を左右に曲げる。
キ 指先が,地面や足先につくまで体を前に深く曲げる。
ク 開脚で,腕を下げたまま体を後ろにそらせ,後ろのものを見る。
ケ 開脚で,体を前に深く振り曲げ,両脚の間から後ろに物を投げたり,体を後ろにそらせ,頭の上から後ろに物を投げたりする動作をする。
コ 体を左(右)に回して,両手で左(右)から後ろに物を投げる動作をする。
イ 鉄捧遊び……腕立てとび上がり,足かけ振り,前回りおり,足ぬき回り(前後連続)をする。
ウ とび箱遊び……またぎ越し,踏み越し,腕立てとび上がり,とびおりをする。
エ マット遊び……ふたり組み横回り,前回りをする。
イ 器具の使い方のきまりを守る。
ウ 順番を守って運動をする。
イ 回旋リレー……じょうずに回って走る。
ウ かけ足……約1分間同じ調子でかけ足をする。
エ 川とび……片足や両足で踏み切ってとぶ。
オ ゴムとび……腰の高さぐらいを走っていってとぶ。
イ 決められた約束を守る。
ウ だれとでも楽しく行なう。
イ 円形ドッジボール……相手をねらって投げる。ボールをよく見て身をかわす。
ウ ボール投げ……ボールを目標に当てる。ボールを遠くへ投げる。ボールを両手で捕える。
エ 対列ボールけり……ボールを手・体・足で止め,けり返す。
イ 乱暴やじゃまをしないで遊ぶ。
ウ ゲームで負けても,すなおにそれを認める。
エ ボールをたいせつに取り扱い,決められた場所に返す。
イ 模倣遊び
(ア) 動物・乗り物・遊び・手伝いなどの簡単な模倣をする。
(イ) ひとりないし3人で,はう,ころがる,歩・走,跳躍,屈伸などの1,2拍動作を速度を変えて行なう。前後に移動したり,回ったりする。
イ 役を代わりあって遊ぶ。
イ 鬼遊び……子ふやし鬼,場所とり鬼,けん鬼をする。
ウ なわとび……短なわでかけ足とび,1回旋1跳曜とびをする。長なわで回旋とびをする。
エ 水遊び……水中を歩いたり,走ったり,水をかけあったりして水に慣れる。
イ 鬼の交代のしかた,場所の範囲などを決め,それを守る。
ウ とぶ順番,なわをもつ順番などのきまりをつくり,それを守る。
エ なわをよく見て,とぶ調子,はいるタイミングなどをしゅうぶん学習する。
イ プールにはいる前には,用便をすませ,からだをよく洗い,水遊び後は,きれいな水でからだや目を洗い,耳の中の水をとり,耳を清潔にしておく。
ウ ひざから腰ぐらいの深さで遊ぶ。
エ 決してひとりだけで水遊びに行かない。
オ あぶない場所で水遊びをしない。
カ あぶないときやおほれた人を見たときは,大声で近くの人の助けを求める。
イ 運動後,手足を洗い,汗をふく。
(2) 健康・安全に関する指導においては,運動の服装を整える。つめを短く切るなどについても適切に行なうようにする。
(3) リズム運動については,かかとをつけずに,つまさきで軽快にスキップ,ランニングを行ない,また,ウォーキングは正常な歩き方などを,みんなと足並みをそろえて歩くことができるようにする。
〔第3学年〕
1 目 標
(2) 運動するときの簡単なきまりをつくり,決められた役割を果たし,励ましあって運動を行なう態度を育てる。
(3) 競争やゲームにおいて,規則を守り,最後まで努力し,負けてもすなおに認める態度を育てる。
(4) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。
A 徒手体操
イ 足を前後に広く開いたり,足を交互に前に振って脚の下で手をたたいたりする。
ウ 足を前後・左右に開閉してとぶ。
エ 腕で,上下を突く動作をする。
オ 腕を,前と上に振ったり,前後に回旋したりする。
カ 首を前後・左右に曲げたり,左右に回したりする。
キ 片腕を横から,上に上げながら体を左右に曲げる。
ク 体を前に曲げて頭を両脚の間に入れるようにしたり,後ろの物が見えるまで体を後ろに曲げだりする。
ケ 腕立て伏臥(が)の姿勢で,足を手の位置までひきつけて進む。
コ あお向けで,両手と両足を床につけて前後に歩く。
サ 両腕を左(右)から後ろに振り上げながら,体を左(右)に回す。
シ 体を回旋して,両手で空間にできるだけ大きなまるや横8の字をかく。
イ とび箱運動……踏みとび(とび箱,横,高さ約30cm,腕立てとびのり(とび箱,縦,高さ約50cm),腕立てとび上がりおり(とび箱,縦,高さ約50cm)をする。
ウ マット運動……前回り(連続)をする。
イ よくできない人を励ましたり助けたりする。
ウ 器具の出し入れには,きまりを守り,みんなで協力する。
イ 折返しリレー……走りながらバトンの受け渡しをする。
ウ かけ足……約2分間みんなで調子をあわせてかけ足をする。
エ 走り幅とび……片足踏み切りでとぶ。
オ 走り高とび……片足踏み切りで横木をとび越す。
イ グループで計測の係りなどを代わりあって行なう。
ウ 負けた者の悪口を言わない。
イ ハンドベースボール……片手でもったボールを他の手で打つ。ゴロやフライボールを捕えてベースに投げる。投げられたボールを捕える。走塁する。
ウ フットベースボール……置いてあるボールを走っていってける。方向や強さを考えてボールをける。ボールはからだの正面で取るように,ボールの飛んでくるほうへ移動する。走塁をする。
エ ラインサッカー……ボールをけって進める。方向を決めて,ボールをける。
イ 審判の判定によく従う。
ウ 失敗したり負けたりしても,気を落とさないでがんばる。
エ へたな者も仲間はずれにしないで助けあう。
オ 決められたボールやコートの準備,あとしまつなどの係りをじょうずに果たす。
イ 模倣遊び
(ア) こん虫・草花・乗り物・行事・お話などから特徴をとらえて摸倣し,それらを組み合わせる。
(イ) ふたりないし6人で,歩・走,眺躍,屈伸,回旋などの1,2,3,4拍動作を速度を変えて行なう。前後・左右に移動したり,回ったりする。
イ 決められた用具,準備などの係りをじょうずに果たす。
ウ みんながじょうずになるように教えあう。
イ 鬼遊び……子とり鬼,ともえ鬼,手つなぎ鬼,組み鬼をする。
ウ なわとび……短なわで連続してとぶ。長なわでいろいろの回旋とびをする。
エ 水遊び……顔を水につけ,目を開き,鼻または口から息をはく。水中じゃんけん,石拾いなどを行ない,からだの浮くことを知る。
イ 鬼遊びのきまりをつくり,それを守る。
ウ グループできまりをつくり,互いにとびくらべをする。
イ プールにはいる前には,用便をすませ,からだを洗い,水遊び後は,きれいな水でからだや目を洗う。
ウ ひざから腰ぐらいの深さで遊ぶ。
エ あぶない場所で水遊びをしない。
オ 決してひとりだけで水遊びに行かない。
カ あぶないときやおほれている人を見たときは,大声で近くの人の助けを求める。
イ 用具の破損に注意する。
ウ 軽い服装で運動をする。
エ つめをいつも短く切っておく。
オ 運動・整理運動をする。
(2) 健康・安全に関する指導においては,運動後の手足の清潔,汗のしまつなどの習慣の育成についても適切に行なうようにする。
〔第4学年〕
1 目 標
(2) 運動するときのきまりをつくり,必要に応じてそれを改めたり,また役割を決めたりして,リーダーを中心に助けあって運動を行なう態度を育てる。
(3) 競争やゲームにおいて規則を守り,最後まで努力し,負けてもすなおに認める態度を伸ばす。
(4) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。
A 徒手体操
イ 腕の運動……腕を前・左右・上下に突く動作をする。腕を横と斜め上に振る。腕を内外に回旋する。
ウ 首の運動……首を前後・左右に曲げる。首を左右に回す。首を回旋する。
エ 胴体の運動……片腕を横から上に振り上げて,体を左右に曲げる。ひざを伸ばしたまま足首を握り,体を前に曲げ,頭を脚につけるようにする。手を腰にあて,体を反動的に深く後ろに曲げる。ひざつきですわり,体を後ろに曲げる(補助をする)。あお向けで両手,両足を床につけて前後・左右に歩く。腕立て伏臥(が)の姿勢で足を中心に手を使って円をかく。開脚で腕を前に上げ,左(右)に振りながら体を左(右)に回す。開脚で体を回旋する。
イ とび箱運動……開脚の腕立てとび越し(とび箱,縦,高さ約50cm),閉脚の腕立てとび越し(とび箱,横,高さ約40cm),前回り(とび箱,縦,高さ約30cm)をする。
ウ マット運動……前回り(連続),後ろ回りをする。
イ よくできない人を励ましたり助けたりする。
ウ 器械・器具の使い方のきまりをくふうする。
エ 器具をたいせつにし,器具の出し入れに協力する。
イ 円形リレー……走りながらバトンの受け渡しをする。追い越すときは外側から追い越す。
ウ 持久走……約3分間みんなでそろってかけ足をする。
エ 走り幅とび……助走に速度をつけてとぶ。
オ 走り高とび……片足で踏み切り,横木をとび越す。
イ おくれても途中で競走をやめない。
ウ グループで走り方,とび方などを互いに注意しあう。
イ ハンドベースボール……投手の投げたボールを手で打つ。ゴロやフライのボールを早くその位置にいってじょうずに取る。走塁をする。審判をする。
ウ フットベースボール……ころがされた,または置かれたボールを走っていって,足の甲でける。けられたボールをいろいろの場合に応じて正確に早く処理する。走塁をする。審判をする。
エ ラインサッカー……相手や味方の位置に応じて,方向・強さを考えてボールをける。パスされたボールをすばやく移動して取る。相手がボールをけるのを足でじゃまをする。
イ へたなことや失敗を許しあい,互いに励ましあう。
ウ リーダーを中心に計画に従って活動する。
(ア) 簡単なフォークダンスなどをする。
(イ) 1重円・2重円・1列縦隊で,ツーステップ,ポルカステップ,ホップバランスなどをする。
イ 表 現
(ア) 鳥・植物・行事・物語などから特徴をとらえて簡単な表現をし,よい組み合わせをつくる。
(イ) 4人ないし6人で,歩・走,跳躍,屈伸,回旋,回転などの1,2,3,4拍動作を強度をかえて行なう。前後・左右に移動したり,回ったりする。
イ 表現の内容や順序などを話しあって決める。
イ なわとび……短なわであやとび,ふたりとびをする。長なわでいろいろな回旋とびを行ない,どちらからもはいれるようにする。
ウ 水 泳
(ア) 面かぶり……顔を水につけ,目を開き,鼻または口から息をはく。
(イ) 浮くこと……沈み方,浮き方,立ち方をする
(ウ) 泳ぎ……ばた足,平体の泳ぎ(犬かき)をする。
(エ) 立ち飛び込み……低い台からとび,足から水にはいる。
イ グループで互いに審判を交代して行なうなど協力してすもうを行なう。
ウ きまりをつくってグループ対抗のとびくらべをする。
イ プールの清潔に注意する。
ウ ふたり組みをつくって泳ぐ。
エ 水にはいるときは,すぐ飛び込まないで徐々にはいる。
オ からだの調子の悪いときは泳がない。
カ 腰から腹ぐらいの深さで泳ぐ。
キ 水泳に安全な場所と危険な場所を知る。
ク 必ず水泳に自信のあるおとなと同行する。
ケ あまり長時間水にはいらない。
コ けいれんを起こしたとき,あぶないとき,おほれた人を見たときは大声で知らせ,近くの人の助けを求める。
イ 用具の破損に注意する。
ウ 軽い服装で運動する。
エ つめをいつも短く切っておく。
オ 準備運動・整理運動をする。
(2) 常によい姿勢を保つように留意するとともに,日常の正しい歩き方についても適切な指導をする。
このことについては,第5学年および第6学年においても同様である。
(3) 男女が反発しあう時期であるから,男女仲よく助けあって運動を行なうように指導する。
(4) 健康・安全に関する指導においては,運動後の手足の清潔,汗のしまつなどの習慣の育成についても適切に行なうようにする。
(5) Aの(1)の内容は,運動の範囲や方法の例を示したものである。指導にあたっては,この例を参考として,各種の方法をくふうして行なうようにする。
このことについては,第5学年および第6学年においても同様である。
(6) 危険な場所で遊ばないようにじゅうぶんな指導をする。
〔第5学年〕
1 目 標
(2) 練習やゲームのきまりをくふうし,チームをつくり,リーダーを選んで,共通の目標に向かって互いに協力して運動を行なう態度を育てる。
(3) 競争やゲームで,規則を守り,最後まで努力し,勝敗の原因を考え,さらに進歩向上を図ろうとする態度を育てる。
(4) 日常生活における運動の行ない方や心得を理解させ,学校や家庭における運動や遊びを健全に豊かにする態度や能力を養う。
(5) 自己のからだの発達や健康状態について関心をもたせるとともに,身近な日常生活における健康・安全についての初歩的な理解をもたせる。
A 徒手体操
イ 腕の運動……腕を前・横・上下にゆっくりと,または強く速く屈伸する。腕を前・横・上に振る。腕を横8の字形に回旋する。
ウ 首の運動……首を前後・左右に曲げる。首を左右に回す。首を回旋する。
エ 胴体の運動……腕を肩に曲げ,胸を伸展する。腕を前に上げ,左右に開いて胸を伸展する。腕を横に上げ,片腕を横から上に上げながら,体を左右に曲げる。開脚で足首を握って,体を前や斜め前に曲げる。腕を上に上げ,体を後ろに深く曲げる。ひざつきですわり,体を後ろに曲げる。腕立て伏臥(が)の姿勢で脚をささえてもらい,両手で歩く。舟のろをこぐ動作をする。腕を前に上げ左(右)に振り,体を左(右)に回す。開脚で体を回旋する。
イ とび箱運動……開脚の腕立てとび越し(とび箱,縦,高さ約60cm),閉脚の腕立てとび越し(とび箱,横,高さ約50cm),前回り(とび箱,縦,高さ約40cm)をする。
ウ マット運動……とびこみ前転,前回り(開脚),後ろ回り(開脚),腕立て側転,背支持腕立て前転,倒立(補助)をする。
イ 器械・器具の使用についてのきまりをつくる。
イ 準備運動・整理運動をする。
ウ 自分の能力やからだの調子を知り,段階的に練習する。
イ リレー……約5歩ないし6歩走りながら,バトンを受け取る。
ウ 障害走……障害物をいくつか置いて越す。
エ 持久走……同じような調子で約600m走る。
オ 走り幅とび……踏み切り線を決めてとぶ。
カ 走り高とび……助走や踏み切りを考えてとぶ。
イ 記録,計測などの係りを代わりあって行なう。
ウ グループ対抗のリレーを計画し実施する。
エ 勝敗にこだわらず最後までがんばる。
オ 個人やチームの力に応じて,ハンディキャップをつけて競走する方法のあることを知る。
イ 高とびの横木,障害物などの用具の破損の有無に注意し,安全を確かめる。
ウ 準備運動・整理運動をする。
エ 持久走では,自分のからだの調子を考えて走る。
イ ハンドベースボール……投手の投げたボールを,手またはラケットで打つ。ゴロやフライボールを早く移動して取り、適切な塁にすぐ投げる。捕球のとき,近くの者がバックアップする,走塁をする。審判をする。
ウ 簡易サッカー……ドリブルやパスでボールを進め,ゴールにけり込む。足・脚・体を使って止める。頭の上からスローインする。相手のボールを前や横からじゃまをする。ゴールキーパーは,ボールを手や足で止めて防ぐ。審判をする。
イ 審判,コート・用具係りなどの役割を分担し,それを果たす。
ウ チームのつくり方を知り,チームをつくって計画的に協力して練習する。
エ 勝敗の原因を考え,練習のしかたをくふうする。
オ グループが相互に協力して,ゲームに必要な係り,ゲームの方法,組み合わせを決める。
イ コートや用具の安全を確かめ,整備する。
ウ 準備運動・整理運動をする。
(ア) みんなで楽しくフォークダンスをする。
(イ) 2重円・対列・放射形で,スキップ,ギャロップ,ウォーキング,ミクサーなどをする。相手と調子を合わせて踊る。
イ 表 現
(ア) 自然現象・日常生活事象・物語などから,やさしい題を選んで表現し,簡単なまとまりをつける。
(イ) 4人ないし6人で,歩・走,跳躍,屈伸,回旋,回転,振動,平均などの1,2,3,4拍動作を,強度を変え,相手と対応して行なう。前後・左右・斜めに移動したり,回ったりする。
(ウ) 表現の特徴やよい組み合わせを感じとる。
イ グループの中で長所,短所を見つけて直しあう。
ウ 役割を分担して発表会を行なう。
イ 水 泳
(ア) クロール……伏し浮きで,ばた足を用いてひと息だけ泳ぐ。
(イ) 平泳ぎ……顔を水面に出し,かえる足またはあおり足で泳ぐ。
(ウ) さか飛び込み‥…踏み切って頭から水にはいる。
イ のどを攻める,けんつき,胸に頭を突き当てるなどの禁じわさを守る。
ウ リーダーを中心に練習のしかたを決める。
エ 水泳の前後には,必ず人員点呼を受ける。
オ ふたり組みをつくって練習する。
カ 水泳の前後には,準備運動・整理運動をする。
キ プールでのきまりを知り,それを守ってプールの清潔に注意する。
ク さおや手つなぎて救助する方法を知る。
イ 水泳に安全な場所と危険な場所を知る。
ウ 必ず水泳に自信のあるおとなと同行する。
エ 飛び込むときは,水深,水中の危険物の有無を確かめる。
オ あまり長時間水にはいらない。
カ ひとりだけ離れて泳がない。
キ 水泳中は絶対に悪ふざけをしない。
ク けいれんを起こしたとき,あぶないとき,おぼれた人を見たときは大声で知らせ,近くの人の助けを求める。
イ 立位,座位,歩行などの姿勢について相互に比較しながら,よい姿勢と悪い姿勢に気づくとともに,悪い姿勢のきょう正のしかたを理解する。
ウ 激しい運動や長時間の作業などの疲労の状態,各自の睡眠時間などについての経験を通して,休養・唾眠の必要を理解する。
エ 運動が健康上必要なこと,自己の健康状態に応じた運動のしかたなどについて理解する。
イ 健康診断の結果に基づいて,自己の視力・聴力の状態,疾病異常の有無などの健康状態について知り,進んで治療を受けたり,健康をそこなわないように注意したりすることの必要に気づく。
ウ 肺活量・背筋力・握力・基礎的運勤能力などの測定の結果に基づいて,自己のからだの機能の現状を知り,運動がこれらの機能の向上に役だつことに気づく。
エ 健康異常の状態にあるときは,顔色が悪くなったり,気分が悪くなったり,食欲がなくなったり,頭痛がしたりすることなどを知り,また,その場合には,体温・脈はく・呼吸などに変化が起こることもあることについての理解を深める。さらに健康異常の場合は,進んで処置を受けるようにする。
(2) 女子は,この学年ごろから身体の発達が急速になるので,女子の特性を考慮して指導する。
(3) 健康・安全に関する指導においては,運動の服装を整える。運動後からだを清潔にするなどの習慣の育成についても適切に行なうようにする。
(4) さか飛び込みについては,児童の心身の状態に応じ,強制することなく,特に危害予防については,じゅうぶん留意する。このことについては,第6学年においても同様である。
(5) D(1)のウ「簡易サッカー」の指導では,男女別に練習の方法やチームの編成などを考慮する。このことについては,第6学年においても同様である。
(6) F(1)のア「すもう」は,女子の場合,欠くことができる。このことについては第6学年についても同様である。
(7) Gの指導においては,理科,家庭科などとの関連を図り,また,掛け図等の視聴覚教材を利用するなどして,適切な計画を立て,学習効果のあがるように指導する。
〔第6学年〕
1 目 標
(2) チームやグループにおける自己の役割を自覚し,共通の目標に向かって互いに協力して練習やゲームを行なう態度を伸ばす。
(3) 練習やゲームのしかたをくふうし,討画的に行なう能力を育て,校内競技などの計画や運営に参加できるようにする。
(4) 競争やゲームで,規則を守り,最後まで努力し,勝敗の原因を考え,さらに進歩向上を図ろうとする態度を伸ばす。
(5) 運動やスポーツなどに関する初歩的知識をもたせ,日常生活における運動や遊びを健全に豊かにする態度や能力を養う。
(6) 日常かかりやすい病気やけがの予防,簡単な処置について理解させ,健康・安全な生活ができる態度を養う。
A 徒手体操
イ 腕の運動……腕を前・横・上下に強弱・遅速をつけて屈伸する。腕を下からうしろに振り,上に上げる。腕を横8の字形に回旋する。
ウ 首の運動……首を前後・左右に曲げる。首を左右に回す。首を回旋する。
エ 胴体の運動……腕を斜め上に上げ,胸を伸展する。腕を前に上げ,左右に開いて,胸を伸展する。腕を横に上げ,片腕を横から上に上げながら体を左右に曲げる。閉脚で,体を前に曲げ,ひざを曲げてしゃがみ,ひざを伸ばして体を前に曲げ,体を起こして腕を斜め上に上げ,胸を後ろにそらす。腕を上に上げ,体を後ろに深く曲げる。ひざつきですわり体を後ろに曲げる。腕立て伏臥(が)の姿勢でとびながらひざを屈伸する。舟のろをこぐ動作をする。腕を前に上げ,左(右)に振り,体を左(右)に回す。開脚で体を回旋する。
イ とび箱運動……開脚の腕立てとび越し(とび箱,縦,高さ約70cm),閉脚の腕立てとび越し(とび箱,横,高さ約60cm),腕立て横とび越し(とび箱,横,高さ約70cm。伏臥(が)の姿勢),前回り(とび箱,縦,高さ約50cm)をする。
ウ マット運動……前回り−後ろ回り,とびこみ前転,腕立て側転,背支持腕立て前転,倒立(補助)をする。
イ 準備運動・整理運動をする。
イ リレー……リレーゾーンがじょうずに使える。
ウ 障害走……きき足で踏み切れるように足を合わせる。
エ 特久走……同じような調子で約1,000 m走る。
オ 走り幅とび……そりとびのような形でとぶ。
カ 走り高とび……とび越し方や到着地点を考えてとぶ。
キ 立ち三段とび……腕を大きく振ってとぶ。
イ 記録・計測などの係りを代わりあって行なう。
ウ 勝敗にこだわらず最後までがんばる。
イ 準備運動・整理運動をする。
ウ 持久走では,自分のからだの調子を考えて走る。
イ ソフトボール……正しい構えでスイングしてボールを打つ。走塁・盗塁・帰塁をする。バックアップやベースカバーをする。審判をする。
ウ 簡易サッカー……右足も左足も使ってける。ヘッディングをする。ドリブルからパスやシュートをする。相手のボールを前や横からじゃまをする。ポジションを守って攻めたり守ったりする。審判をする。
イ 相手の立場を考えながら,意見を交換し,目標に協力する。
ウ 用具・コート係りの役割を分担し,それを果たす。
エ なるべく多くの者が交代して審判をする。
イ コートや用具の安全を確かめ,整備する。
ウ バットの取り扱いに注意し,危険のないようにする。
エ 準備運動・整理運動をする。
(ア) やさしい郷土の民踊,その他前学年よりやや進んだ程度のフォークダンスなどをする。
(イ) 方射形・対列・1重円でスキップ,ランニング,ウォーキング,ギャロップ,スタンプ,日本民踊の手ぶり・足どりなどをする。
それぞれの国の踊りの特徴にふさわしく踊る。
イ 表 現
(ア) 自然・日常生活事象・音楽・物語などからやさしい題を選んで表現し,中心をもつようにまとめる。
(イ) 4人ないし6人で,歩・走,跳躍,屈伸,回旋,回転,振動,平均,倒などの1,2,3,4拍動作を強度や連続を変えて相手と対応して行なう。前後・左右・斜めに移動したり,回ったりする。
(ウ) 題や内容の選び方,表わし方,まとめ方などについてよい表現を見分ける。
イ 役割や配役を決めてじょうずに果たす。
ウ グループの中で,またグループ相互に長所,短所を見つけて直しあう。
エ 発表会を計画し,プログラム係り,進行係りなどの役割を決め、運営する。
イ 水 泳
(ア) クロール……腕と足の動作を調和的にする。腕で水をかいたときに息を吸う。
(イ) 平泳ぎ……主として脚の力で泳ぎ,腕は浮きをとる。
(ウ) 潜水……平泳ぎの要領で潜水する。
(エ) さか飛び込み……低い台から飛び込む。
イ チームをつくり,チーム対抗のすもうの競技会を計画し,運営する。
ウ 頭の毛をつかむ,すねをける,つねる,さばおりなどの禁じわざを守る。
エ 水泳の前後には,必ず人員点呼を受ける。
オ 水泳ではふたり組みをつくって練習する。
カ 水泳の前後には,準備運動・整理運動をする。
キ プールでのきまりを守り,プールの清潔に注意する。
ク 浮き具を投げて救助する方法を知る。
イ 水泳に安全な場所と危険な場所を知る。
ウ 必ず水泳に自信のあるおとなと同行する。
エ 飛び込むときは,水深,水中の危険物の有無を確かめる。
オ あまり長時間水にはいらない。
カ 沖に向かって泳がないで岸に平行に泳ぐ。
キ 水泳中は絶対に悪ふざけをしない。
ク けいれんを起こしたとき,あぶないとき,おぼれた人を見たときは,大声で知らせ,近くの人の助けを求める。
イ インフルエンザの症状や感染経路を知るとともに,その予防には,うがいをしたり,患者に近づかないことなどが必要であることを知る。
ウ 回虫病,十二指腸虫病の症状について知るとともに,その感染経路についての理解を深め,その予防に注意し,定期的に検便を受け,虫卵があったときは,駆虫に努めるようにする。
エ 白せん,かいせんなどの皮膚病の症状や感染経路を知り,その予防には,からだや衣服の清潔がたいせつであることを知る。
オ トラホーム,流行性角結膜炎などの症状や感染経路について知り,その予防について努める。
カ 食中毒の症状やおもな原因について知るとともに,その予防には,ねずみやごきぶり,(あぶら虫)の駆除,食物の保存に注意すること,加熱して食べることなどが必要であることを知る。
キ 赤痢の症状を知るとともに,消化器系の伝染病の予防には,下水やふん便の完全な処理,なま水やなまものを飲食しないこと,はえの発生の防止や駆除など,いろいろな方法があるが,日常生活において手をよく洗うことや,食物の清潔に注意することが最もたいせつであることを知る。
ク 結核については,発病していても自覚症状のほとんどないことや,その予防には,定期的な健康診断を受け,その結果に従って適切な処置を受けることが必要であることを知る。なお,自然陽転者は,約1か年,日常生活において特に栄養や休養に注意しなければならないことを知る。
ケ 伝染病の発生状態などから,伝染病の予防のために,予防接種が必要であることを知るとともに,定期的に受けなければならない予防接種の種類を知る。
イ やけどの原因と防止のしかたを知る。
ウ すり傷,切り傷の手当てや簡単な止血法,ほうたいの簡単なしかた,およびやけどの簡単な手当てについて理解するとともに,それに必要な技能を養う。
イ 校内競技,運動会の計画や運営にあたって必要なチームの単位,競技会の形式,競技規則,役員などの決定,コートや用具の整備などの基礎的事項について知る。
ウ 広く国民の間に運動やスポーツを普及し,生活を明るく健全にするため,毎年,国民的な体育行事として国民体育大会が設けられていることを知る。
(2) 女子は,身長,体重の急速な発達に心臓の発達が伴わないことがあり,また第二次性徴も現われはしめるので,その特性を考慮して指導する。
(3) 潜水については,児童の心身の状態に応じ,強制することなく,特に危害予防については,じゅうぶん留意する。
(4) 健康・安全に関する指導においては,運動の服装を整える,運動後からだを清潔にするなどの習慣の育成についても適切に行なうようにする。
(5) Gの(1),(2)については,理科,家庭科などとの関連を図り,学習効果のあがるように指導する。(2)については,単なる知識の指導に終わることなく,AからFまでの各領域や特別教育活動などとの関連を図り,適切に指導する。
1 次の表は,年間の授業時数に対する各領域の授業時数のおよその割合を示したものである。
学年
領域 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
3 地域の特性,施設,季節およびその他の条件を考慮して,各領域の内容やその授業時数について,次のような措置をとることができる。
(2) 寒冷地,積雪地では,スキー(雪遊びを含む。),スケートを指導することができる。この場合,1に示した内容の各領域についての授業時数の割合をあまりせばめないよう配慮する。
(2) 前後の学年をあわせて,複式による指導を行なうことが適当な場合においても,児童の年齢および心身の発達の程度を考慮して内容を選定し,適切な指導を行なうようにする。
(3) 内容の配列にあたっては,特別教育活動,学校行事等(たとえば,運動会など),季節および施設用具などを考慮する。
(2) 児童の聴覚の障害に伴う運動機能の不適応に,じゅうぶん留意し,男女の特性や個人差に即し,また心身の発達の程度に応じた目標をもたせるなど,個人差に応ずる指導を考慮する。
(3) 毎時間の指導においては,常に児童の健康状態を観察し,健康に異常のある場合は,休養または見学させるなどの指導は当然であるが,また,病弱者,身体虚弱者,その他心身の障害をあわせもつ児童に対しては,学校医と密接な連絡をとり,その障害の状態に即して適切に指導する。
(4) ボール運動などの審判法については,笛・太鼓・旗などの使用についてくふうする。
(5) 登校,下校の際には交通規則をよく守り,また,危険な場所で遊ばないように指導する。