第1 目 標
1 日常生活に必要な国語の能力を養い,思考力を伸ばし,心情を豊かにして,言語生活の向上を図る。
2 経験を広め,知識や情報を求め,また,楽しみを得るために,正しく読話し,文章を読む態度や技能を養う。
3 日常生活で使われる話しことばの能力を養い,さらに経験したこと,感じたこと,考えたことをまとめ,また,人に伝えるために,正しくわかりやすく話をし,文章を書く態度や技能を養う。
4 読話し話し読み書く能力をいっそう確実にするために,国語に対する関心や自覚をもつようにする。
上に掲げた国語科の目標1は,国語科において指導すべき総括的な目標である。目標2および3は,国語科において具体的に指導すべき読話すること,読むこと,話すことおよび書くことの活動について,その目標を掲げたものであるが,これらの指導にあたっては,常に目標1の達成を目ざすとともに,目標4との関連を考慮して行なわなければならない。
次に示す各学年の日標は,教科の目標を根底におき,内容において示した指導すべき事項と合わせ,それぞれの学年の具体的な指導のねらいとなる。
国語の指導は,国語科だけでなく,学校における教育活動の全体を通じて行なわれるものである。したがって,国語科の指導においては,他の各教科,道徳,特別教育活動および学校行事等における指導と密接に関連させて,国語の学習に関する基本的な事項を取り扱い,言語生活の向上を図るように努めなければならない。
なお,聴覚の障害の状態に応じ,聴覚その他の感覚を利用して,国語の能力の発達をじゅうぶん図るように務めなければならない。
第2 各学年の目標および内容
〔第1学年〕
1 目 標
(2) 読話するために必要で身近なやさしい語句や文を身につけるようにする。
(3) 言いたいことを表わすために,ことばを使おうとする態度を育てる。
(4) 話すことの必要を感じ,話すことに興味をもつようにする。
(5) 話すために必要な身近な語句や文を身につけるようにする。
(6) 文字に関心をもち,語句や文を意味と結びつけるようにする。
(7) 絵本などを読むことに興味をもつようにする。
(8) 書くことに興味をもつようにする。
(9) 話しことばが文字・文で現わされていることがわかるようにする。
(10) 文字に慣れ,また,書くことができるようにする。
A 読話すること,話すこと,読むこと,書くこと。
(読話すること)
イ 口の動きに興味をもって読話しようとする気持ちをもつこと。
ウ お互いに話し手の口を見て読話し合うこと。
エ みんなといっしょに読話すること。
オ 簡単な語句や文を意味のまとまりごとに読話すること。
イ 読話して指示に従う。
ウ 簡単な対話を読話する。
エ やさしい絵物語などを読話する。
イ 話すことの必要を感ずること。
ウ 言いたいことを簡単な語句や文の形で言えること。
エ 発音のやさしい簡単な語句や文が言えること。
イ 擬音語・擬態語などを使って発音遊びをする。
ウ 訴えたいことを簡単な語句や文で言う。
エ 問いかけに対して答える。
上に示す「読話すること」「話すこと」の各活動のほか,「こども向けのテレビ学校放送を見る」「動作化をする」なども望ましい。
イ 文字に親しむこと。
ウ 語句や文に意味のあることがわかること。
エ やさしい文字や語句や文を読むこと。
イ 身近な生活経験などを書いた簡単な文を読む。
ウ やさしい絵本などを読む。
イ 身近な生活経験などを簡単な語句や文で書くこと。
ウ やさしい文字や語句や文を書くこと。
エ 文字の形に注意し,筆順に従って書くこと。
イ かいた絵に添えて簡単な語句や文を書く。
ウ 語句や簡単な文を見て書く。
(2) 聴覚の障害の状態等に応じ,国語の音節については,それを構成する母音・子音(破裂音,通鼻音,摩擦音,破擦音,はじき音等)の調音要領にそって指導し,正しく発音できるようにすること。
(3) 経験し,理解したことがらについて,ひらがなで書かれたことがだいたい読め,その一部が書けること。
(4) 聴能訓練
イ 音・音声を聞き分けること。
ウ 聴覚を利用して理解する話しことばを増すこと。
イ 形・粗滑・振動などの識別による触覚などの訓練。
(2) 発音指導については,およそ次のことに留意する。
イ 口声模倣をすること。自然な話しことばの調子で言うこと。
ウ 正しい息使いをすること。
なお,音節については,直音・よう音の別が言えるようにし,母音についてはその長短が言えるようにする。また子音については,はねる音(撥(はつ)音),つまる音(促音)が言えるようにし,特に語句の中で指導する。
なお,第4学年以降については,その基礎の上に継続して計画的に,聴能訓練の効果をあげるようにする。
(4) 感覚訓練は,入学初期において,言語の発達を図るための助けとなるものであるから,他教科との関連を図り,児童の実態と必要に応じて,適切に指導する。
(5) 話しことばの学習は,具体的な経験の場に即して行なうようにし,自発的な表現を重視する。
(6) 適切な口形で言うようにする。
(7) 学習したことばは,絵カードや文字カードなど,視聴覚教材を豊富に利用して,話しことばとの関連を図りながら,反復練習をするようにする。
(8) 特に興味のあること,必要なことを中心にして,読話すること,話すことの基礎的な態度や技能を養いながら,読むこと,書くことの学習に進むようにする。
〔第2学年〕
1 目 標
(2) 読話するために必要で身近な語句や文を身につけるようにする。
(3) 学校生活に慣れ,友だちと親しくするために簡単な話ができるようにする。
(4) 訴えるため,伝えるために,ことばを使うことができるようにする。
(5) 話そうとする態度を身につけるようにする。
(6) 話すために必要な語句や文を身につけるようにする。
(7) 読むことにいっそう興味をもつようにする。
(8) 日常の行動や経験を表わした文や文章を理解することができるようにする。
(9) 絵本などを進んで読むようにする。
(10) 書くことにいっそう興味をもつようにする。
(11) 簡単な文を書くために必要な文字や語句を身につけるようにする。
(12) 言いたいことを簡単な文や文章に書くことができるようにする。
(13) 文字をていねいに書くことができるようにする。
A 読話すること,話すこと,読むこと,書くこと。
(読話すること)
イ 中心となることばに特に注意し,語句や文として読話することに慣れること。
ウ 語句や文の中で口形の類似するものの識別をすること。
エ 読話に必要な基礎的な語句や文を身につけること。
イ 簡単な会話の中で読話する。
ウ 簡単な説朋を読話する。
エ 読話したことを,そのまま言ったり,書いたりする。
オ 簡単な絵物語を読話する。
イ 口声模倣に慣れること。
ウ 言いたいととを簡単な文の形で話すこと。
エ 進んで話そうとすること。
オ 話す習慣がつくこと。
イ 問に答える。
ウ 訴えたいことを話す。
エ あいさつをする。
オ 絵を見て話す。
カ 身近な経験を話す。
上に示す「読話すること」「話すこと」の各活動のほか,「こども向けのテレビ学校放送を見る」「動作化をする」ことなども望ましい。
イ 身近な語句や文や文章を読んで,何が書いてあるかがわかること。
ウ 拾い読みでなく,語句や文として読むこと。
イ 身近なことを説明した簡単な文や文章を読む。
ウ やさしい絵本や短い童話などを読む。
イ 簡単な文や文章を書くこと。
ウ 見たこと,したことなどの順序をたどって書くこと。
エ 文字の形や筆順に注意して書くこと。
イ 身近なことで興味をもったことを簡単な文や文章で書く。
ウ 簡単な手紙やはがきを書く。
エ 文や短い文章を見て書く。
(2) 発音のめいりょう度を高めるとともに,やや困難な音が言えること。
(3) 母音・子音のだいたいが言えること。
(4) ひらがなを読み,また書くこと。
(5) かたかなの一部を読み,また,書くこと。
(6) 別に示す漢字配当表の(A)に配当されている漢字の中で,比較的やさしいものを読んだり書いたりすること。
(7) 「。」(まる)をうつようにすること。
(2) 発音のめいりょう度を高めるためには,諸感覚をしゅうぶんに活用するとともに,文字または記号などと結びつけて指導することがたいせつである。
(3) この学年の発音指導においては,誤音が固定化してしまわないように,特に配慮して指導することが必要である。
(4) 前学年に引き続き読話することや話すことの生活を土台にして,読む,書く生活へと導いていくようにする。
(5) かたかなの指導は,ひらがなの読み書きがだいたいできるようになってから後,日常生活に用いられているかたかな書きのことばを中心として行なうようにする。
〔第3学年〕
1 目 標
(2) 読話するために必要で身近な語句や文を増すようにする。
(3) やや長い話ができるようにする。
(4) 進んで話す態度を身につけるようにする。
(5) 話すために必要で基礎的な語句や文を確実に身につけるようにする。
(6) 文や文章を読む方法の初歩かわかるようにする。
(7) 文や文章を読むために必要な文字や語句を身につけるようにする。
(8) やさしい読み物に興味をもつようにする。
(9) 進んで文や文章を書こうとする態度を育てる。
(10) 文や文章を習くために必要な文字や語句を身につけるようにする。
(11) 言いたいことを文や文章に書くことができるようにする。
(12) 文字をいっそうていねいに書くことができるようにする。
A 読話すること,話すこと,読むこと,書くこと。
(読話すること)
イ 話のあらすじがだいたいわかること。
ウ 類推によって読話する態度を育てること。
エ 話す相手をできるだけ広くして,多くの人の口形に慣れること。
オ 短い童話や物語などを読話して楽しむこと。
カ 話の中のわからない語句を尋ねること。
キ 文の終わりまで読話すること。
ク 読話に必要な基礎的な語句や文を確実に身につけるようにすること。
イ 指示を読話する。
ウ 短い童話や物語を読話する。
エ 説明を読話する。
オ 読話したことを,そのとおり言ったり書いたりする。
イ 適当な大きさの声で話すこと。
ウ 仲間にはいって話すこと。
エ よくわかるように順序だてて話すこと。
オ わからないことを進んで質問すること。
イ 絵を見て話す。
ウ 会話や話し合いをする。
エ 問に答える。
オ 短い童話や物語などを話す。
上に示す「読話すること」「話すこと」の各活動のほか,「テレビ学校放送を見る」「動作化をする」なども望ましい。
イ 声を出さないで目で読むこと。
ウ 拾い読みでなく,語句や文として読むこと。
エ 何が書いてあるか考えて読むこと。
イ 児童の日常生活に取材した簡単な文や文章を読む。
ウ 知識や情報を与える簡単な文や文章を読む。
エ 経験を広め心情を豊かにする簡単な童話,説話などのいろいろな文章を読む。
イ 何を言おうとしているかがわかるように書くこと。
ウ ことがらの順序に従って書くこと。
エ 書いたものを読みなおすこと。
オ 文字の形や筆順にいっそう注意して書くこと。
イ 身近なことで興味をもったことを文や文章で書く。
ウ 話し合いによって共同で文や文章を作る。
エ 家庭への伝言,簡単なメモなどを書く。
オ 身近なできごとを知らせるために書く。
カ 文や短い文章を見て書く。
(2) 国語の発音がひととおりできること。
(3) ひらがなの読み書きに習熟し,かたかなのだいたいを読み,また書くこと。
(4) 別に示す漢字配当表の(A)に配当されている漢字を中心としだ40〜50字ぐらいの漢字を読み,そのだいたいを書くこと。
(5) 「、」(てん)や「。」まる)に注意して,読んだり,書いたりすること。
(2) 第1・2学年に引き続き補聴器の操作にいっそう習熟するとともに,その使用と利用が身につくように留意する。
(3) 誤音をきょう正したり,発音をめいりょうにするよう,特に留意して指導の徹底を図ることが必要である。
〔第4学年〕
1 目 標
(2) 読話するために必要な語句や文をいっそう増すようにする。
(3) 日常の生活に適応するために話すことができるようにする。
(4) 進んで話すことを楽しむ態度を身につけるようにする。
(5) 話すために必要な語句や文の範囲を広げるようにする。
(6) 読むことの初歩的な能方をいっそう身につけるようにする。
(7) 読むために必要な文字や語句や文章を確実に身につけるようにする。
(8) やさしい読み物を自分から進んで読むようにする。
(9) 進んで文章を書こうとする態度を育てる。
(10) 文章を書くために必要な文字や語句や文を確実に身につけるようにする。
(11) 訴えたいことや知らせたいことを文草に書くことができるようにする。
(12) 文字を正しく書くことができるようにする。
A 読話すること,話すこと,読むこと,書くこと。
(読話すること)
イ 話されていることの順序に従って読話すること。
ウ 中心となる語句以外の語句にもよく注意して読話すること。
エ 話の内容をただしながら読話すること。
オ 知るため楽しむために読話すること。
カ 読話に必要な語句や文を増すこと。
イ 話し合いをする。
ウ 会話をする。
エ 童話や物語を読話する。
オ いろいろな説明を読話する。
カ 読話した要点を言ったり書いたりする。
イ 落ち着いて話すこと。
ウ 話の順序に注意して話すこと。
エ 大事なことを落とさずに話すこと。
オ 身近なことがらを正確に話すこと。
イ 話し合いをする。
ウ 簡単な童話などを話す。
エ 見たことなどの説明をする。
オ 経験したことなどを話す。
上に示す「読話すること」「話すこと」の各活動のほか,「テレビ学校放送を見る」「劇化をする」なども望ましい。
イ 書いてあることのだいたいを読み取ること。
ウ 語句や文として読むことに慣れること。
エ 文章に即して,書いてあるとおり読み取ること。
オ 順序をたどって意味を取ること。
カ 好きなところやおもしろいところを抜き出すこと。
キ 読み取ったことについて話すこと。
ク 読むために必要な文字や語句を増すこと。
上に示す指導事項のほか,「本や雑誌の読み方がわかること」「学級文庫の利用のしかたがわかること」などについて指導することも望ましい。
イ 児童の日常生活に取材した文章を読む。
ウ 知識や情報を与える文章を読む。
エ 経験を広め心情を豊かにする童話,説話,詩などを読む。
イ 書こうとするものをよく見て書くこと。
ウ 知らせたいことが相手にわかるように書くこと。
エ 生活経験の中から,ひとつのものを選んで書くこと。
オ 書こうとすることがよくわかるようにかなり詳しく書くこと。
カ 書いたものを読みなおすこと。
キ 文字の形や筆順を考えて正しく書くこと。
イ 会話を入れて書く。
ウ はがきや手紙を書く。
エ 書いたものを読みあう。
上に示す活動のほか,「語句を組み合わせて文を作る」「簡単な文集を作る」なども望ましい。
(2) いろいろな場合に応ずる言い方の読話に慣れること。
(3) 国語の発音に慣れ,発音をいっそう明確にすること。
(4) 文の中の意味の切れ目や,ことばのかかり方に注意すること。
(5) ていねいなことばと普通のことばの違いを知ること。
(6) かたかなをひととおり読み,また,書くこと。
(7) かなづかいに注意すること。
(8) 別に示す漢字配当表(B)までに配当されている漢字を中心とした140〜160字ぐらいの漢字を読み,そのだいたいを書くこと。
(2) 文の長さや文の組み立ても複雑になり,語句の数も増してくるので,構文の力をじゅうぶん養うようにする。
(3) 文や文章による表現の機会をできるだけ多く与え,文章表現に慣れさせるようにする。
1 目 標
(2) 読話するために必要な語句や文の範囲を広げ,その量を増すようにする。
(3) 日常の坐活に役だてるために話すことができるようにする。
(4) 話す量を増し,話題の範囲を広げるようにする。
(5) ある程度すらすら読むことができるようにする。
(6) 読むために必要な文字や語句を増すようにする。
(7) いろいろな読み物を読もうとする態度を育てる。
(8) かなり長い文章を書くことかできるようにする。
(9) 文章を書くために必要な文字や語句をいっそう確実に身につけるようにする。
(10) 自分の考えや感じを文章に書こうとする態度を育てる。
(11) 文字をいっそう正しく書くことができるようにする。
A 読話すること,話すこと,読むこと,書くこと。
(読話すること)
イ ことばを通して話し手の意図をとらえること。
ウ いろいろな人の口形や話の速度に慣れること。
エ いろいろな角度からの読話に慣れること。
オ すなおな態度で読話すること。
カ 相手の話を自分の考えと比べながら理解すること。
キ 読話に必要な語句や文をいっそう増すこと。
イ 話し合いをする。
ウ 会話をする。
エ 童話や物語を読話する。
オ 説朋をする。
カ 学習発表や報告をする。
キ 読話した要点を言ったり書いたりする。
イ 自然な態度で話すこと。
ウ 要点を落とさずに話すこと。
エ まとまりをつけて話すこと。
オ 話題を広げること。
カ 順序に従って話すこと。
イ 日常の生活やできごとをなるべく詳しく話す。
ウ 会話をする。
エ 身近な問題について話し合いをする。
オ 経験したことや物語,童話などを話す。
上に示す「読話すること」「話すこと」の各活動のほか,「テレビ学校放送を見る」「劇化をする」なども望ましい。
イ 長い文章を終わりまで読むこと。
ウ 横書きの文章の読みに慣れること。
エ 要点をおさえて読むこと。
オ 読み取ったことについて感想をもつこと。
カ 読み取ったことを他人に伝えて楽しむこと。
上に示す指導事項のほか,「学級文庫の利用のしかたがわかること」などについて指導することも望ましい。
イ 知識や情報を与える説朋,解説などを読む。
ウ 経験を広め心情を豊かにする童話,物語,伝記,詩,脚本などを読む。
イ 書こうとすることがらをはっきりさせてから書くこと。
ウ かなり長い文章を書くこと。
エ 必要に応じて継続して書くこと。
オ 大事なことを落とさず書くこと。
カ 文字の組み立て方の基本に注意して,形を整えて書くこと。
上に示す指導事項のほか,「横書きに慣れること」などについて指導することも望ましい。
イ 観察したことや学級のできごとなどを書く。
ウ いろいろな行事やできごとを書く。
エ 簡単な記録や報告を書く。
オ 手紙を書く。
カ 書いた文章を読みあう。
上に示す活動のほか,「壁新聞や簡単な文集を作る」なども望ましい。
(2) 語句や文の組み立てに注意して話すこと。
(3) いろいろな言いまわしに慣れること。
(4) 文の中の意味の切れ目や,ことばのかかり方に注意すること。
(5) 語句への関心を増すこと。
(6) 漢字で重く部分と,かなで重く部分の区別をすることにより,送りがなについての初歩的な意識をもつこと。
(7) かたかな全部を確実に読み,また,書くこと。
(8) 別に示す漢字配当表の(C)までに配当されている漢字を中心とした310〜350字ぐらいの漢字を読み,そのだいたいを書くこと。
語句の数と範囲を増し,書きことばの能力をいっそう伸ばすこと。
なお,かなり長い文や複雑な文の組み立ての読み書きの能力が要求されるから,この点に関して指導上の配慮をすること。
〔第6学年〕
1 目 標
(2) 読話するために必要な語句や文の範囲を広げ,用法によく注意して読話するようにする。
(3) 生活に役だてるために話すことができるようにする。
(4) 話題を広げ,話す内容を豊かに深くするようにする。
(5) 正確に読むとともに,読む速さを増すことができるようにする。
(6) 読むために必要な語句や文をいっそう増すようにする。
(7) 読む量を増し,読み物の範囲を広げるようにする。
(8) ある程度整った文章を書くことができるようにする。
(9) 文章を書くために必要な文字や語句を増すようにする。
(10) 文章を書く意欲を高め,目的をはっきりさせて書くことができるようにする。
A 読話すること,話すこと,読むこと,書くこと。
(読話すること)
イ ややこみいった話の要点をまとめたり要約したりすること。
ウ 相手の考えを判断して読話すること。
エ 話の中のおもしろさを感じとること。
オ いろいろな人の口形や話の速度や角度からの読話にいっそう慣れること。
カ 読話に必要な語句や文の範囲を広げること。
イ 話し合いをする。
ウ 説明を読話する。
エ 報告を読話する。
オ 読話した要点を言ったり書いたりする。
イ 必要に応じて詳しく話すこと。
ウ 大事なことを落とさずに話すこと。
エ 考えをまとめながら話すこと。
オ 意味のまとまりごとにくぎりをつけて話すこと。
カ 自分の意見を言うように努めること。
イ 話し合いをする。
ウ 説明をする。
エ 報告をする。
オ 経験したことや物語,童話などを話す。
上に示す「読話すること」「話すこと」の各活動のほか,「テレビ学校放送を見る」「劇化をする」なども望ましい。
イ 文章を段落ごとにまとめて読むこと。
ウ 読み取ったことについて話し合うこと。
エ 必要なところを細かい点に注意して読むこと。
オ わからない文字や語句を文脈にそって考えること。
カ 知るため楽しむために本を読むこと。
キ 国語辞典などが使えること。
上に示す指導事項のほか,「学校図書館の利用のしかたがわかること」などについて指導することも望ましい。
イ 知識や情報を与える説明,解説,報道などを読む。
ウ 経験を広め心情を豊かにする童話,物語,伝記,詩,脚本などを読む。
イ 段落を考えて書くこと。
ウ 中心点をおさえて書くこと。
エ 書くことによって自分の考えを深めること。
オ すいこうすること。
カ 文字の大きさや配列に気をつけて書くこと。
キ 横書きに慣れること。
上に示す指導事項のほか「いろいろな種類の文章を書くこと」,「メモをもとにして書く習慣をつけること」などについて指導することも望ましい。
イ いろいろな行事やできごとを書く。
ウ 読書や研究などの記録を書く。
エ 簡単な感想や意見を書く。
オ 手紙を書く。
上に示す活動のほか,「学級の新聞や文集を作る」「詩などを書く」なども望ましい。
(2) 語句の組み立てについて注意を向けること。
(3) かなり複雑な組み立ての文を理解すること。
(4) 文の中の意味の切れ目やことばのかかり方にいっそう注意すること。
(5) 文章の常体と敬体の違いを理解すること。
(6) 全国に通用することばとその土地でしか使われないことばとの違いを理解すること。(7) 別に示す漢字配当表の(D)までに配当されている漢字を中心とした500〜543字ぐらいの漢字を読み,そのだいたいを書くこと。
(8) ロ一マ字については,次の事項を指導する。
イ ローマ字で語や簡単な文を書くこと。
(2) ローマ字の指導に充てる時間は年間20時間程度とする。
(3) この学年では小学部としての読話すること,話すこと,読むこと,書くことのすべてにわたって,指導にまとまりをつけることが必要である。
第3 指導計画作成および学習指導の方針
1 年間計画は,次のような点に留意して立てる。
(2) 各学年の内容に示す指導すべき事項および活動に基づき,学習活動を組織する。そのためには,国語科の目標を根底におき,各学年の目標,内容の相互関係をはっきりさせておくことが必要である。
(3) 各学年の内容に示す指導すべき事項や活動は,もし先にその指導の準備をしておくことが有効だと考えられる場合には,その前の学年で初歩的な形で取り上げ,また,その発展的指導をする必要があると考えられる場合には,そのあとのそれぞれの学年で程度を高めて取り上げてもよい。
(4) ことばに関する事項は,読話し,話し,読み,書く活動の中に含めて指導するのを原則とする。しかし,発音とか文字などのように,くり返して練習させることが必要なものについては,特にそれだけを取り上げて学習させることができるように計画を立ててもよい。
(5) 学習指導にあたっては,児童の必要と興味と能力に応じて話題や題材を選定し,読話し,話し,読み,書く活動が有機的総合的に展開されるように計画を立てる。その場合に,目標を明確にし,指導の中心をはっきりさせておくことが必要である。
(2) 人間性を豊かにし,他人とよく協力しあう態度を育てるのに役だつこと。
(3) 個性的,独創的精神を養うのに役だつこと。
(4) 道徳性を高め,教養を身につけるのに役だつこと。
(5) 想像や情緒を豊かにし,生活を明るく美しくするのに役だつこと。
(6) 自然や人生に対して正しい理解をもたせるのに役だつこと。
(7) 論理的思考力や科学的態度を養うのに役だつこと。
(8) 国語に対する関心や自覚を深めるのに役だつこと。
(9) 国土や文化などについて理解と愛情を育て,国民的自覚を養うのに役だつこと。
(10) 世界の風土や文化などに理解をもたせ,国際協調の精神や世界的視野を養うのに役だつこと。
(2) 日常生活に必要であること。
(3) 使われる回数が多いこと。
(4) 使われる範囲が広いこと。
(5) 発音指導に適切なこと。
(6) その他学習上特に必要であること。
5 聴能訓練は,律唱科の指導との関連を図るとともに,特に,読話すること,話すこと,読むこと,書くことの各活動の中で効果的に指導することが必要である。
なお,学習計画を立てるにあたっては,あらかじめ学校医等と適切な連絡を図り,児童の聴覚の障害および精神発達の状態などをはあくすることが必要である。
6 聾学校においては,必要に応じて第5学年以上の適宜の学年で,毛筆による書写を課することができる。ただし,その指導に充てる時間は年間35時間をこえてはならない。
目標 毛筆に慣れ親しんで興味をもって文字が書けるようにする。
内容 字画の簡単な文字による短いことばを書く。
この段階では,点画の長短,始筆,終筆,はね,払いなどを指導する。
イ 進んだ段階
目標 漢字のかい書やかなか正しく書けるようにする。
内容 短いことばを書く。
この段階では,文字のへん,つくり,かんむり,にょうなどの組み立て方や点画の接し方を指導する。
(3) 毛筆による書写の学習は,書くことの指導の一環として行なうものであるから,その学習によって文字や筆順や字形をよく記憶するのに役だち,文字や文を硬筆で書写するときにも,正しく美しく書けるようにすることがたいせつである。
(A) 一二三四五六七八九十日月火水木金土左右上下大中小目耳口手足人子女先生赤青白山川田森雨花石本正 (46字)
(B) 雲円王音何夏家会海外学間気汽休牛京玉空犬見元戸古工光行考校高合谷国黒今作糸思紙字時車秋出春書少色心西声夕切雪千前組早走草村多男池地知竹虫町長鳥朝天冬東道読南入年馬麦半百父風分文米歩母方北名明毛門夜友用来力立林話 (105字)
(C) 悪安暗意引運駅園遠屋温化科荷歌画回貝界開絵角活寒感岸岩顔記起帰期客究急級球去魚教強橋局近銀苦君兄形計決県研原庫午後語公広交向黄号根才細算止仕市死使始指次寺自事持室実社者弱主取首受終週集住重所暑助昭勝乗場食申身新神深進親図数世星晴船全送太体待台第炭茶着注柱昼追通弟鉄店点電都度刀当投島答頭同動肉波配買売畑発坂板番皮美表病品負物聞平返勉毎妹万鳴面野役由遊葉様曜落楽里理流旅両礼和 (187字)
(D) 愛案衣以囲位医委育印員院飲泳英塩横加貨芽改械階害覚官関館観願季喜旗器機宮挙共協鋭競業曲極具郡係景軽芸血結建言固湖幸航港告差祭菜最材昨刷察散産残士史司姉歯詩試式失写借守酒種州拾習順初消唱商章照焼植臣信真成清勢静整席積節線戦選然争相速息族続卒孫他打対隊代題達短談治置帳調直丁定底停庭的転徒努湯登等燈堂童働内熱農反飛悲費鼻必氷秒不夫付府部服福粉別変便包放法望末味脈民命問薬油有勇予洋陽利陸良料緑輪類冷歴列連練路老労録 (205字)
(E) 圧易胃移因栄永衛液演央往応億恩仮果河過価課賀快解各格確完漢管慣希寄規紀技義議久求救給居許漁興均区句軍群型経欠件健験限現個護功厚候康講鉱査際在殺雑参蚕酸賛氏支示志師似辞識質舎謝収周修宿祝術準序承省賞常情織性政精製責績折接設説浅銭祖素倉想総造象像増則側測帯貸単団築貯張腸低敵適典伝統銅導特毒独任念燃能破敗倍博飯比非肥備筆俵票標貧布婦武副復仏兵辺編弁保報防貿牧満務無迷綿約輸余要容養浴留量領令例 (194字)
(F) 異遺壱営益延可我革拡額株刊幹勧勧峡基貴疑逆旧供境勤禁訓系敬潔券兼険検絹憲権減厳己故誤后孝効皇耕構穀混再災妻採済財罪策至私視詞資児釈授需宗衆就従述純処諸除招称証条状職仁推是制聖誠税舌絶宣専善創蔵俗属存損尊退態断忠著賃提程展党討得徳届難弐認納派拝犯判版否評富複奮陛補基豊暴未盟訳預欲律率略臨論 (144字)
指導上のつごうによっては,各学年の2 内容Bで示した学年配当区分によらず,若干字を,前後の学年で指導してもよい。
なお,児童の個人差に応じ,(E),(F)に配当された漢字を適当に指導する。