第8節 体  育

第1 目  標

1 各種の運動を適切に行なわせることによって,基礎的な運動能力を養い心身の健全な発達を促し,活動力を高める。

2 各種の運動に親しませ,運動のしかたや技能を身につけ,生活を豊かにする態度を育てる。

3 運動やゲームを通して,公正な態度を育て,進んで約束やきまりを守り,互いに協力して自己の責任を果たすなどの社会生活に必要な態度を養う。

4 健康・安全に留意して運動を行なう態度や能力を養い,さらに保健の初歩的知識を理解させ,健康な生活を営む態度や能力を育てる。

 上に掲げた目標は,相互に密接な関連をもつものである。目標2,3および4は,主として運動を中心とする具体的な学習を通して達成されるものであるが,目標1は,これらの目標を目ざして継続的な学習を行なうことによって,はじめて達成しうるものであるから,目標2,3および4の指導の根底には,常に目標1が考慮されなければならない。

 なお,目標4については,各学年を通じて.各種の運動の実践にあたって必要な健康・安全に関する態度や能力の育成に努めるとともに,特に第5学年以上において,健康な生活を営むために必要な保健に関する初歩的な知識を得させることを目ざしている。

 次に示す各学年の目標は,児童の発達段階に応じ,上記の目標を達成するために必要なことがらを具体的に示したものである。
 
 

第2 各学年の目標および内容 〔第1学年〕

 1 目  標

(1) 各種の簡単な運動を行なわせることによって,基礎的な運動能力を養う。

(2) だれとでも仲よくし,また,きまりを守って楽しく運動を行なう態度を育てる。

(3) 運動と関連した健康・安全についてのきまりを守る態度や習慣を養う。

 2 内  容 A 徒 手 体 操 (1) 次のような運動によって,身体を全身的,総合的に動かすことができるようにする。 ア しゃがんだり,立ったりする。

イ 足を大きく開いたり,片足または両足でとんだりする。

ウ 両手で押したり,引いたりする動作をする。

エ 腕をいろいろな方向に振り上げたり,振り回したりする。

オ 片手をすり上げながら体を左右に曲げる。

カ 開脚で,足首を握って体を前に深く曲げたり,手を腰にあて体を後ろにそらせたりする。

キ 体を左右に回して,体側で手をたたく。

(2) 楽しくきまりよく運動を行なう態度を育てる。
B 器 械 運 動 (1) 次の運動によって,器械・器具の取り扱いに慣れさせ,いろいろな,器械遊びができるようにする。 ア 固定施設による遊び……固定施設(たとえば,ぶらんこ,シーソー,すべり台,登り棒,雲梯(てい),ジャングルジム,平均台など)を使って運動する。

イ 鉄棒遊び……腕立てとび上がり,足かけ振り.後ろおり,足ぬき回りをする。

ウ とび箱遊び……またぎ越し,踏み越し,腕立てとび上がり,とびおりをする。

エ マット遊び……横回り,ゆりかごをする。

(2) だれとでも仲よくし,きまりを守って運動を行なう態度を育てる。 ア 友だちの運動をよく知る。

イ まつときの順番を守る。

ウ 運動をしているものに近寄らない。

C 陸 上 運 動 (1) 次の運動によって,走・跳の能力を高める。 ア かけっこ……約20m走る。

イ 並びっこ……位置を移動して早く並ぶ。

ウ 円周走………ロープをもってひとりで回る(半径約5m)。

エ 川とび………片足や両足でとぶ。

オ ゴムとび……ひざの高さぐらいをとび越す。

(2) だれとでも仲よくし,きまりを守って運動を行なう態度を育てる。 ア 並んで順番を守る。

イ 走るとき,他人を押したり突いたりしない。

ウ 用具の準備を手伝う。

D ボール運動 (1) 次の運動によって,ボールの取り扱いに慣れさせ,簡単なゲームができるようにする。 ア 手渡し順送球……ボールを上・横から手渡しする。指を開いて両手でールを捕える。

イ ころがしドッジボール……ボールをころがし,中の者にふれないようにする。中の者は,できるだけールにふれるようにする。

ウ ボール投げ……音のする方向ヘボールを投げる。

エ ボールけり……とまっているールをける。

(2) だれとでも仲よくし,きまりを守って運動を行なう態度を育てる。 ア 並んで順番を守る。

イ 合い図や約束を守る。

ウ 逃がしたボールを進んで取りにいく。

エ ボールを避けたり取ったりするとき他人を押したり突いたりしない。

E リズム運動 (1) 次の歌を伴う遊びや模倣遊びを行なわせ,楽しくリズム運動ができるようにする。 ア 簡単な歌を伴う遊び (ア) 夕やけこやけ,かごめかごめ,あわぶくたった,おしくらまんじゅうなどをする。

(イ) 1重円や1列横隊で,スキップ,ランニング,ウォーキングなどをする。

イ 模倣遊び (ア) 動物,乗り物,遊びなどを理解し簡単な模倣をする。

(イ) ひとりないしふたりで,はう,ころがる,歩・走,跳躍,屈伸などの1,2拍動作を速度を変えて行なう。

(2) だれとでも仲よく運動を行なう態度を育てる。 ア だれとでも組んで遊ぶ。

イ 役を代わりあって遊ぶ。

F その他の運動 (1) 次の運動ができるようにする。 ア すもう………押し出し遊び,片足ずもうをする。

イ 鬼遊び………ひとり鬼,けん鬼などをする。

ウ なわとび……短なわで片足前とび,両足とび,1回旋2跳躍とびをする。

エ 水遊び………水中を歩いたり,とんだりするなどの遊びによって水に慣れる。

(2) だれとでも仲よくし,きまりを守って運動を行なう態度を育てる。 ア すもう,鬼遊びなどの遊び方の約束を守る。

イ 用具を仲よく使う。

(3) 水遊びの心得を知らせ,日常生活に生かされるようにする。 ア 水遊びの前後には,必ず人員点呼を受ける。

イ プールにはしる前には,必らず用便をすませ,水遊び後は,きれいな水でからだや目を洗う。

ウ ひざぐらいの深さで遊ぶ。

エ 決してひとりだけで水遊びにいかない。

オ あぶない場所,知らない場所で水遊びをしない。

カ あぶないときやおぼれた人がいたときは,大声で近くの人の助けを求める。

G 以上のAからFまでの各領域を通じて,次の事項を指導する。 (1) 運動でけがをしないようにし,からだの情潔に気をつける態度や習慣を養う。 ア 運動する場所の小石や危険物を確かめて取り除く。

イ 運動後,手足を洗い,汗をふく。

 3 指導上の留意事項 (1) 各運動の指導において,必要に応じて,教師の合い図で縦隊に早く並べるようにする。また押したり突いたりしないで,静かに早く(歩いて)自由隊形に集合できるようにする。

(2) 健康・安全に関する指導においては,運動の服装を整える。つめを短く切るなどについて適切に行なうようにする。

(3) Aの(1)の内容は,運動の範囲や方法の例を示したものである。指導にあたっては,事物や動作の模倣などを取り入れるとともに座臥(が)姿勢で行なうことも考慮する。このことについては,第2学年および第3学年においても同様である。

(4) Dの運動を行なうにあたっては,ボールをもらうほうも渡すほうも,必ず合い図をさせるようにする。このことについては,第2学年から第6学年までの各学年においても同様である。

(5) 内容の各領域における指導にあたっては,「第3 指導計画作成および学習指導の方針」に示す歩行に関する事項を参考にして,各児童の歩行能力の向上を図るよう配慮する。このことについては,第2学年から第6学年までの各学年においても同様である。

〔第2学年〕

 1 目  標

(1) 各種の簡単な運動を行なわせることによって,基礎的な運動能力を養う。

(2) 運動をするときの簡単なきまりをつくり,みんなで同じ運動を仲よく楽しく行なう態度を育てる。

(3) 競争やゲームにおいて,規則を守り,負けてもすなおに認める態度を育てる。

(4) 運動と関連した健康・安全についてのきまりを守る態度や習慣を養う。

 2 内  容 A 徒 手 体 操 (1) 次のような運動によって,身体を全身的,総合的に動かすことができるようにする。 ア しゃがんだり,背伸びしたりする。

イ 足を大きく開く。

ウ 両足または片足で,移動したり,むきを変えたりしてとぶ。

エ 両手で押したり,引いたりする動作をする。

オ 腕をいろいろな方向に振り上げたり,振り回したりする。

カ 片手をすり上げながら,体を左右に曲げる。

キ 指先が,地面や足先につくまで体を前に深く曲げる。

ク 開脚で,腕を下げたまま体を後ろにそらせる。

ケ 開脚で,体を前に深く振り曲げ,両脚の間から後ろに物を投げたり,体を後ろにそらせ,頭の上から後ろに物を投げたりする動作をする。

コ 体を左(右)に回して,両手で左(右)から後ろに物を投げる動作をする。

(2) 楽しくきまりよく運動を行なう態度を育てる。
B 器 械 運 動 (1) 次の運動によって,器械・器具の取り扱いに慣れさせ,いろいろな器械遊びができるようにする。 ア 固定施設による遊び……固定施設(たとえば,ぶらんこ,シーソー,登り棒,雲梯(てい),ジャングルジム,平均台など)を使って運動する。

イ 鉄棒遊び……腕立てとび上がり,足かけ振り,前回りおり,足ぬき回り(前後連続)をする。

ウ とび箱遊び……またぎ越し,踏み越し,腕立てとび上がり,とびおりをする。

エ マット遊び……ふたり組み横回り,前回りをする。

(2) 友だちと仲よくし,きまりを守って運動を行なう態度を育てる。 ア 気づいたことを進んで話し合い注意しあう。

イ 器具の使い方のきまりを守る。

ウ 順番を守って運動をする。

C 陸 上 運 動 (1) 次の運動によって,走・跳の能力を高める。 ア かけっこ(約30m)……合い図に従ってスタートする。

イ 円周走……ロープをたるませないで回る(半径約5m)。

ウ かけ足……約1分間同じ調子でかけ足あしぶみをする。

エ 川とび……片足や両足で踏み切ってとぶ。

オ ゴムとび……腰の高さぐらいをとぶ。

(2) 友だちと仲よくし,きまりを守って運動を行なう態度を育てる。 ア 途中でやめないで最後まで走る。

イ 決められた約束を守る。

ウ だれとでも楽しく行なう。

D ボール運動 (1) 次の運動によって,ボールの取り扱いに慣れさせ,簡単なゲームができるようにする。 ア ころがし順送球……両手で相手の取りやすい所にボールをころがす。それたボールは移動して捕える。

イ 円形ドッヂボール……外側の味方をねらってころがす。中の者は,ボールにふれたり捕えたりする。

ウ ボール投げ……ボールを音のある目標に当てる。ボールを遠くへ投げる。

エ 対列ボールけり……ボールを手・体でとめ,けり返す。

(2) 友だちと仲よくし,きまりを守って運動を行なう態度を育てる。 ア ボールの奪いあいをしないなどの簡単なきまりをつくって遊ぶ。

イ 乱暴やじゃまをしないで遊ぶ。

ウ ゲームで負けてもすなおにそれを認める。

エ ボールをたいせつに取り扱い,決められた場所に返す。

E リズム運動 (1) 次の歌を伴う遊びや模倣遊びを行なわせ,楽しくリズム運動ができるようにする。 ア 簡単な歌を伴う遊び (ア) 花いちもんめ,かりにいきましょう,のぞきっこ,ぴょんぴょんとんで,などをする。

(イ) 1重円や1列横隊で,スキップ,ランニング,ウォーキングなどをする。

イ 模倣遊び (ア) 動物,乗り物,遊び,手伝いなどを理解し簡単な模倣をする。

(イ) ひとりないしふたりで,はう,ころがる,歩・走,跳躍,屈伸などの1,2拍動作を速度を変えて行なう。前後に移動したり回ったりする。

(2) だれとでも組みになって,同じ遊びができるような態度を育てる。 ア だれとでも組んで遊ぶ。

イ 役を代わりあって遊ぶ。

F その他の運動 (1) 次の運動ができるようにする。 ア すもう……押し出し遊び,片足ずもうをする。

イ 鬼遊び……簡単な鬼遊びをする。

ウ なわとび……短なわでかけ足とび,1回旋1跳躍とびをする。長なわで大波小波をする。

エ 水遊び……水中を歩いたり,しゃがんだり,水をかけあったりして水に慣れる。

(2) 友だちと仲よくし,簡単なきまりを作り,それを守って運動を行なう態度を育てる。 ア すもうでは乱暴にならないようにきまりをつくり,それを守る。

イ 鬼の交代のしかた,いろいろなきまりなどを決め,それを守る。

ウ とぶ順番,とぶ場所などのきまりをつくり,それを守る。

(3) 水遊びの心得を知らせ,日常生活に生かされるようにする。 ア 水遊びの前後には,必ず人員点呼を受ける。

イ プールにはいる前には,用便をすませ,からだをよく洗い,水遊び後は,きれいな水でからだや目を洗う。

ウ ひざから腰ぐらいの深さで遊ぶ。

エ 決してひとりで水遊びにいかない。

オ あぶない場所,知らない場所で水遊びをしない。

カ あぶないときやおぼれた人がいたときは,大声で近くの人に助けを求める。

G 以上のAからFまでの各領域を通じて,次の事項を指導する。 (1) 運動でけがをしないようにし,からだの清潔に気をつける態度や習慣を養う。 ア 運動をする場所の小石や危険物を確かめて取り除く。

イ 運動後,手足を洗い,汗をふく。

 3 指導上の留意事項 (1) 各運動の指導において,必要に応じて,教師の合い図で縦隊に早く,整列できるようにする。また押したり突いたりしないで,静かに早く自由隊形に集合できるようにする。

(2) 健康・安全に関する指導においては,運動の服装を整える,つめを短く切るなどについても適切に行なうようにする。

(3) Fの(1)のウ「なわとび」の内容は,むりにかけ足とびをさせず,その場とびを行なってもよい。

〔第3学年〕

 1 目  標

(1) 各種のやや形の整った運動を行なわせ,初歩的な運動技能とともに基礎的な運動能力を養う。

(2) 運動するときの簡単なきまりをつくり,決められた役割を果たし,励ましあって運動を行なう態度を育てる。

(3) 競争やゲームにおいて,規則を守り最後まで努力し,負けてもすなおに認める態度を育てる。

(4) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。

 2 内  容 A 徒 手 体 操 (1) 次のような運動によって,身体を全身的,総合的に動かすことができるようにする。 ア 開脚で手をひざにあて,または腕を前に振ってひざを屈伸する。

イ 足を前後に広く開いたり,足を交互に前に振って脚の下で手をたたいたりする。

ウ 足を前後,左右に開閉してとぶ。

エ 腕で,上下を突く動作をする。

オ 腕を,前と上に振ったり,前後に回旋したりする。

カ 首を前後・左右に曲げたり,左右に回したりする。

キ 片腕を横から上に上げながら体を左右に曲げる。

ク 体を前に曲げて頭を両脚の間に入れるようにしたり,できるだけ体を後ろに曲げたりする。

ケ 腕立て伏臥(が)の姿勢で,足を手の位置までひきつけて進む。

コ あおむけで,両手と両足を床につけて前後に歩く。

サ 両腕を左(右)から後ろに振り上げながら,体を左(右)に回す。

シ 体を回旋して,両手で空間にできるだけ大きなまるをかく。また,左右に連続して大きなまるをかく(横8の字)。

(2) 互いに仲よくし,きまりを守って運動を行なう態度を養う。 ア 気づいたことは進んで注意しあう。
B 器 械 運 動 (1) 次の運動によって,器械運動の初歩的な技能を育てる。 ア 鉄棒運動……さか上がり,前回りおり,足かけ振りをする。

イ とび箱運動……踏みとび(とび箱,横,高さ約30cm),腕立てとびのり(とび箱,縦,高さ約50cm),腕立てとび上がりおり(とび箱,横,高さ約50cm)をする。

ウ マット運動……前回り(連続)をする。

(2) 互いに助けあい,きまりを守って運動を行なう態度を育てる。 ア 気づいたことを進んで注意しあう。

イ よくできない人を励ましたり助けたりする。

ウ 器具の整とんと出し入れには,きまりを守り,みんなで協力する。

C 陸 上 運 動 (1) 次の運動によって,走,跳の能力を高める。 ア 短距離走(約50m)……スタンディングスタートで腕を調子よく振って走る。

イ 円周リレー……円周リレーのきまりを理解する。

ウ かけ足……約2分間みんなで調子を合わせてかけ足あしぶみをする。

エ 立ち幅とび……両足踏み切りでとぶ。

オ ゴムとび……両足踏み切りでとぶ。

(2) 互いに協力する態度や勝負に対する正しい態度を育てる。 ア 円周リレーのしかたなどを互いに話し合う。

イ グループで係りなどを代わりあって行なう。

ウ 負けた者や記録の悪いものの悪口を言わない。

D ボール運動 (1) 次のボール運動の技能を養い,ゲームができるようにする。 ア 方形ドッジボール……ねらいをつけて中の者に取られないようにころがす。ボールは両手で捕える。中の者はきまりを守ってすばやく動いてボールを捕える。

イ ハンドべースボール……地面に置いたボールを手で打つ。ゴロやバウンドボールを捕える。

ウ フットべースボール……置いてあるボールをける。方向や強さを考えてボールをける。ボールはからだの正面で捕えるようにボールの音のするほうへ移動する。

エ ラインサッカー……方向を決めてボールをける。

(2) ゲームに対する好ましい態度ならびに仲間と協力して運動を行なう態度や能力を育てる。 ア ゲームに必要なきまりを決め,それを守る。

イ 審判の判定によく従う。

ウ 失敗したり負けたりしても気を落とさないでがんばる。

エ へたな者も仲間はずれにしないで助けあう。

オ 決められたボールやコートの準備,あとしまつなどの係りをじょうずに果たす。

E リズム運動 (1) 次の歌を伴う遊び,フォークダンスや模倣遊びなどについて理解し,それらができるようにする。 ア 歌を伴う遊びや簡単なフォークダンス (ア) らかんさん,パウパウパッチ,ロンドンブリッジ,グスタフスコールなどをする。

(イ) 1重円や1列横隊でスキップ,ランニング,ウォーキングをする。

イ 模倣遊び (ア) こん虫,草花,乗り物,行事,お話などから特徴をとらえて模倣し,それらを組み合わせる。

(イ) ひとりないしふたりで歩・走,跳躍,屈伸,回旋などの1,2,3,4拍動作を速度を変えて行なう。前後・左右に移動したり,回ったりする。

(2) 役割を分相して協力する態度を育てる。 ア 役を受け持ち,また代わりあって行なう。

イ 決められた用具,準備などの係りをじょうずに果たす。

ウ みんながじょうずになるように教えあう。

F その他の運動 (1) 次の運動ができるようにする。 ア すもう………中腰の構えで押しあいずもうをする。

イ 鬼遊び………簡単な鬼遊びをする。

ウ なわとび……短なわで連続してとぶ。長なわで回旋とびをする。

エ 水遊び……顔を水につけ,目を開き,鼻または口から息をはく。足首をさわったり,石拾いなどを行ない,からだの浮くことを知る。

(2) きまりをつくり,それを守って仲よく運動を行なう態度を育てる。 ア 押しだけですもうを行なうなどの規則をつくってそれを守る。

イ 鬼遊びのきまりをつくり,それを守る。

ウ グループできまりをつくり,互いにとびくらべをする。

(3) 水遊びの心得を知らせ,日常生活に生かされるようにする。 ア 水遊びの前後には,必ず人員点呼を受ける。

イ プールにはしる前には,用便をすませ,からだを洗い,水遊び後は,きれいな水でからだや目を洗う。

ウ ひざから腰ぐらいの深さで遊ぶ。

エ あぶない場所,知らない場所で水遊びをしない。

オ 決してひとりだけで水遊びにいかない。

カ あぶないときやおぼれている人がいたときは,大声で近くの人の助けを求める。

G 以上のAからFまでの各領域を通じて,次の事項を指導する。 (1) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。 ア 運動をする場所の危険物を確かめて取り除き,安全に整備する。

イ 用具の破損に注意する。

ウ 軽い服装で運動をする。

エ つめをいつも短く切っておく。

オ 準備運動・整理運動をする。

 3 指導上の留意事項 (1) 各運動の指導において,必要に応じて,縦隊の整列ができるようにする。

(2) 健康・安全に関する指導においては,運動後の手足の清潔,汗のしまつなどの習慣の育成についても適切に行なうようにする。

(3) Cの(1)アの内容は鉄線走で行なうことが望ましい。また短距離走は個人差に応じて考慮する。このことについては,第4学年においても同様である。

〔第4学年〕

 1 目  標

(1) 各種のやや形の整った運動を行なわせ,初歩的な運動技能を養うとともに基礎的な運動能力を高める。

(2) 運動するときのきまりをつくり,必要に応じてそれを改めたり,また役割を決めたりして,リーダーを中心に助けあって運動を行なう態度を育てる。

(3) 競争やゲームにおいて規則を守り,最後まで努力し,負けてもすなおに認める態度を伸ばす。

(4) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。

 2 内  容 A 徒 手 体 操 (1) 次のような運動によって,身体を部分的,総合的に動かすことができるようにする。 ア あしの運動……閉脚または開脚で手をひざにあて,ひざを屈伸する。腕を前と上に振ってひざを屈伸する。足を左右に広く開く。足を前に振り上げる。腕を横と上に振りながら足を左右に開閉してとぶ。

イ 腕の運動……腕を前・左右・上下に突く動作をする。腕を横と斜め上に振る。腕を内外に回旋する。

ウ 首の運動……首を前後・左右に曲げる。首を左右に回す。首を回旋する。

エ 胴体の運動……片腕を横から上に振り上げて,体を左右に曲げる。ひざを伸ばしたまま足首を握り,体を前に曲げ,頭を脚につけるようにする。手を腰にあて体を反動的に深く後ろに曲げる。ひざつきですわり,体を後ろに曲げる(補助をする)。あおむけで両手,両足を床につけて前後・左右に歩く。腕立て伏臥(が)の姿勢で足を中心に手を使って円をかく。開脚で腕を前に上げ,左(右)に振りながら体を左(右)に回す。開脚で体を回旋する。

(2) 互いに仲よく,きまりを守って運動を行なう態度を養う。 ア グループの中で互いに教えあい,助けあって練習する。
B 器 械 運 動 (1) 次の運動によって,器械運動の初歩的技能を養う。 ア 鉄棒運動……さか上がり(連続),足かけ上がり(振って上がる),踏み越しおり,腕立て後ろ回り,足かけ後ろ回りをする。

イ とび箱運動……開脚の腕立てとび越し(とび箱,縦,高さ約50cm),閉脚の腕立てとび越し(とび箱,横,高さ約40cm),前回り(とび箱,縦,高さ約30cm)をする。

ウ マット運動……前回り(連続),後ろ回りをする。

(2) 互いに協力して運動を行なう態度を育てる。 ア グループの中で互いに教えあい,助けあって行なう。

イ よくできない人を励ましたり,助けたりする。

ウ 器械・器具の使い方のきまりをくふうする。

エ 器具の出し入れに協力する。

C 陸 上 運 動 (1) 次の運動によって,走・跳の能力を高める。 ア 短距離走(約50m)……むだな緊張をといて走る。

イ 円周リレー……ひきつぎをスムーズにする。

ウ 持久走……「円周」を使って約3分間走る。

エ 立ち幅とび……遠くへとぶ。

オ ゴムとび……両足や片足で踏み切る。

(2) グループで協力して練習する態度や勝敗に対する正しい態度を育てる。 ア 出発合い図などの係りを代わりあってする。

イ 遅れても途中で競争をやめない。

ウ グループで走り方,とび方などを互いに話し合う。

D ボール運動 (1) 次のボール運動の技能を養い,ゲームができるようにする。 ア 対列ハンドボール……パスやドリブルでボールを進める。ボールを取ったらパスやシュートをする。相手のパスやシュートを防ぐ。

イ べースボール(盲児童むき)……地面に置いたボールをバットで打ちまたは足でける。そのボールをいろいろの場合に応じて正確に早く処理する。

ウ ラインサッカー……相手や味方の位置に応じて方向・強さを考えてボールをける。けられたボールをすばやく移動して取る。

(2) チームで協力して練習やゲームを行なう態度や能力ならびにゲームに対する好ましい態度を育てる。 ア 自分のポジションの責任を果たす。

イ へたなことや失敗を許しあい,互いに励ましあう。

ウ リーダーを中心に計画に従って活動する。

E リズム運動 (1) 次のリズム運動の技能を養い,フォークダンスや美しい表現について理解し,それらができるようにする。 ア 簡単なフォークダンス (ア) エースオブダイヤモンド,きつねとがちょう,あんたがたどこさなどをする。

(イ) 1重円や1列横隊で,ツーステップ,ポルカステップ,ホップ,バランスなどをする。

イ 表  現 (ア) 鳥,植物,行事,物語などから特徴をとらえて簡単な表現をし,よい組み合わせをつくる。

(イ) ふたりないし3人で歩・走,跳躍,屈伸,回旋,回転などの1,2,3,4拍動作を強度を変えて行なう。前後・左右に移動したり,回ったりする。必要に応じて手をつないで行なう。

(2) グループで役割を分担し,協力して運動を行なう態度や能力を育てる。 ア 役割や配役を決めてじょうずに果たす。

イ 表現の内容や順序などを話し合って決める。

F その他の運動 (1) 次の運動の技能を養い,すもう,なわとび,初歩の水泳ができるようにする。 ア すもう……押しを用いてすもうをする。

イ なわとび……短なわであやとび,ふたりとびをする。長なわでいろいろな回旋とびを行なう。

ウ 水  泳

(ア) 面かぶり……顔を水につけ,目を開き,鼻または口から息をはく。

(イ) 浮くこと……沈み方,浮き方,立ち方をする。

(ウ) 泳 ぎ……ばた足,平体の泳ぎ(犬かき)をする。

(エ) 立ち飛び込み……低い台からとび,足から水にはいる。

(2) グループで協力して練習や競技を行なう態度や能力を育てる。 ア 危険のないように規則を決める。

イ グループで係りを決めて互いに交代して行なうなど協力してすもうを行なう。

ウ きまりをつくってグループ対抗のとびくらべをする。

(3) 水泳の心得を理解させ,日常生活に生かされるようにする。 ア 水泳の前後には,必ず人員点呼を受ける。

イ プールの清潔に注意する。

ウ ふたり組みをつくって泳ぐ。

エ 水にはいるときは,すぐ飛び込まないで徐々にはいる。

オ 立ち飛び込みのときは,常に安全を確かめる。

カ からだの調子の悪いときは泳がない。

キ 腰から腹ぐらいの深さで泳ぐ。

ク 水泳に安全な場所と危険な場所を知る。

ケ 必ず水泳に自信のあるおとなと同行する。

コ あまり長時間水にはいらない。

サ けいれんを起こしたとき,あぶないとき,おぼれた人がいたときは,大声で知らせ,近くの人の助けを求める。

G 以上のAからFまでの各領域を通じて,次の事項を指導する。 (1) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。 ア 運動をする場所の危険物を確かめて,安全に整備する。

イ 用具の破損に注意する。

ウ 軽い服装で運動する。

エ つめをいつも短く切っておく。

オ 準備運動・整理運動をする。

 3 指導上の留意事項 (1) 各運動の指導において,必要に応じて,2列ないし4列の横隊の整列や方向変換(左・右・後)ができるようにする。このことについては,第5学年および第6学年においても同様である。

(2) 常によい姿勢を保つように留意する。

(3) 男女が反発しあう時期であるから,男女仲よく助けあって運動を行なうように指導する。

(4) 健康・安全に関する指導においては,運動後の手足の清潔,汗のしまつなどの習慣の育成についても適切に行なうようにする。

(5) Aの(1)の内容は,運動の範囲や方法の例を示したものである。指導にあたっては,この例を参考とし各種の方法をくふうして行なうようにする。このことについては,第5学年および第6学年についても同様である。

(6) 特にF(3)のクの内容については,水深,水流,水温,その他危険物について,具体的に指導すること。このことについては,第5学年および第6学年についても同様である。

〔第5学年〕

 1 目  標

(1) 各種のやや組織だった運動を行なわせ,運動技能を養い,基礎的な運動能力を高める。

(2) 練習やゲームのきまりをくふうし,チームをつくりリーグーを選んで,共通の目標に向かって互いに協力して運動を行なう態度を育てる。

(3) 競争やゲームで,規則を守り,最後まで努力し,勝敗の原因を考え,さらに進歩向上を図ろうとする態度を育てる。

(4) 日常生活における運動の行ない方や心得を理解させ,学校や家庭における運動や遊びを健全に豊かにする態度や能力を養う。

(5) 自己のからだの発達や健康状態について関心をもたせるとともに,身近な日常生活における健康・安全についての初歩的な理解をもたせる。

 2 内  容 A 徒 手 体 操 (1) 次のような運動によって,身体を部分的,総合的に動かすことができるようにする。 ア あしの運動……閉脚または開脚で手をひざにあてひざを屈伸する。腕を前後に回しながらひざを屈伸する。足を前と斜め前に振り上げる。足を横と後ろに振り上げる。片足を前・後・左・右に上げ,片足で調子よくとぶ。

イ 腕の運動……腕を前・横・上下にゆっくりとまたは強く速く屈伸する。腕を前・横・上に振る。腕を横8の字形に回旋する。

ウ 首の運動……首を前後・左右に曲げる。首を左右に回す。首を回旋する。

エ 胴体の運動……腕を肩に曲げ胸を伸長する。腕を前に上げ,左右に開いて胸を伸展する。腕を横に上げ,片腕を横から上に上げながら,体を左右に曲げる。開脚で足首を握って,体を前や斜め前に曲げる。腕を上に上げ,体を後ろに深く曲げる。ひざつきですわり,体を後ろに曲げる。腕立て伏臥(が)の姿勢で脚をささえてもらい,両手で歩く。舟のろをこぐ動作をする。腕を前に上げ,左(右)に振り,体を左(右)に回す。開脚で体を回旋する。

(2) 互いに協力して運動を行なう態度を育てる。 ア グループでリーダーを決めて練習する。 (3) 各部位の効果を理解させ,他の運動の準備運動・整理運動として活用できるようにする。
B 器 械 運 動 (1) 次の運動によって,器械運動の初歩的技能を養う。 ア 鉄棒運動……さか上がり(伸膝(しつ)),足かけ上がり,腕立て後ろ回り(両足をそろえて),足かけ後ろ回りをする。

イ とび箱運動……開脚の腕立てとび越し(とび箱,縦,高さ約50cm〜60cm),閉脚の腕立てとび上がりおり(とび箱,横,高さ約50cm),前回り(とび箱,縦,高さ約40cm)をする。

ウ マット運動……とびこみ前転,前回り(開脚),後ろ回り(開脚),腕立て側転,背支持腕立て前転,倒立(補助)をする。

(2) 互いに協力して運動を行なう態度を養う。 ア グループで役割を決めて助けあう。

イ 器械・器具の使用についてのきまりをつくる。

(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。 ア 器械・器具の破損の有無に注意し,安全を確かめる。

イ 準備運動・整理運動をする。

ウ 自分の能力やからだの調子を知り,段階的に練習する。

C 陸 上 運 動 (1) 次の運動によって走・跳の能力を高める。 ア 鉄線走(60m)……体をやや前に傾けて走る。

イ 円周リレ……ロープをぴんと張って走る。

ウ 持久走……「円周」を使って,同じような調子で約3分半走る。

エ 幅とび……1,2歩の助走で片足踏み切りを行なう。

オ 高とび……50cmぐらいまでとぶ。

(2) グループごとに協力する態度や勝敗に対する正しい態度を養う。 ア グループごとにリーダーを中心に協力して練習する。

イ 記録などの係りを代わりあって行なう。

ウ グループ対抗のリレーを計画して実施する。

エ 勝敗にこだわらず最後までがんばる。

オ 個人やチームの力に応じてハンディキャップをつけて競争する方法のあることを知る。

(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。 ア 砂場をやわらかにしたり,危険物を確認して安全に行なう。

イ 高とびの横木,障害物などの用具の破損の有無に注意し,安全を確かめる。

ウ 準備運動・整理運動をする。

エ 持久走では,自分のからだの調子を考えて走る。

D ボール運動 (1) 次のボール運動の技能を養い,ゲームができるようにする。 ア 対列ハンドボール……2歩以内にパスする。ドリブルは定められた回数以内でパスかシュートをする。相手を決めてじゃまをする。

イ ベースボール(盲児童むき)……投手のころがしたボールを手またはラケットで打つ,ゴロやバウンドボールの音をよく聞いて移動して捕球する。

ウ ラインサッカー……手・足・脚・体を使ってボールを止め,ゴールにけり込む。ボールを手や足で止めてシュートボールを防ぐ。

(2) グループの協力によって練習やゲームの運営を計画的に進める能力を育てる。 ア 規則やきまりをつくり,必要に応じて改善する。

イ コート,用具係りなどの役割を分担し,それを果たす。

ウ チームのつくり方を知り,チームをつくって計画的に協力して練習する。

エ 勝敗の原因を考え,練習のしかたをくふうする。

オ グループが相互に協力して,ゲームに必要な係り,ゲームの方法,組み合せを決める。

(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。 ア 競技規則で禁じられた方法を用いない。

イ コートや用具の安全を確かめ,整備する。

ウ 準備運動・整理運動をする。

E リズム運動 (1) 次のリズム運動の技能を養い,フォークダンスや美しい表現について理解し,それができるにようする。 ア フォークダンス (ア) みんなで楽しく,アメリカンプロムナードをする。

(イ) 1重円,対列,放射形で,スキップ,ギャロップ,ウォーキング,ミクサーなどをする。相手と調子を合わせて踊る。

イ 表 現 (ア) 自然現象,日常生活事象,音楽,物語などから題を選んで表現し,簡単なまとまりをつける。

(イ) ふたりないし3人で歩・走,跳躍,屈伸,回旋,回転,振動,平均などの1,2,3,4拍動作を強度を変え,相手に対応して行なう。前後,左右,斜めに移動したり,回ったりする。必要に応じて手をつないで行なう。

(ウ) 表現の特徴やよい組み合わせを互いに話し合う。

(2) グループごとに計画に従って,役割を分担して練習や発表会を行なう態度を養う。 ア 役割や配役を決めてじょうずに果たす。

イ グループの中で長所,短所について話し合う。

ウ 役割を分担して発表会を行なう。

F その他の運動 (1) 次の運動の技能を養い,すもうや初歩的な水泳ができるにようする。 ア すもう……しこ,伸脚,運び足攻めなどの基本動作をする。押しを用いたすもうをする。

イ 水泳

(ア) クロール……伏し浮きでばた足を用いてひと息だけ泳ぐ。

(イ) 平泳ぎ……顔を水面に出し,かえる足またはあおり足で泳ぐ。

(ウ) さか飛び込み……踏み切って頭から水にはいる。

(2) 健康・安全に注意し,役割を分担し,互いに協力して運動を行なう態度や能力を養う。 ア あらかじめ,攻め手,防ぎ手を決めて,押しの練習をする。

イ のどを攻める,けんつき,胸に頭を突き当てるなどの禁じわざを守る。

ウ リーダーを中心に練習のしかたを決める。

エ 水泳の前後には,必ず人員点呼を受ける。

オ ふたり組みをつくって練習する。

カ 水泳の前後には,準備運動・整理運動をする。

キ プールでのきまりを知り,それを守ってプールの清潔に注意する。

(3) 水泳の心得を理解させ,日常生活に生かされるようにする。 ア 健康を害しているとき,空腹時,疲労時,食事や激動の直後には泳がない。

イ 水泳に安全な場所と危険な場所を知る。

ウ 必ず水泳に自信のあるおとなと同行する。

エ 飛び込むときは,水深,水中の危険の有無を確かめる。

オ あまり長時間水にはいらない。

カ ひとりだけ離れて泳がない。

キ 水泳中には絶対に悪ふざけをしない。

ク けいれんを起こしたとき,あぶないとき,方向がわからなくなったとき,おぼれた人がいたときは,大声で知らせ,近くの人に助けを求める。

G 体育や保健に関する知識 (1) 健康な生活  身近な日常生活における健康・安全について基礎的な事項を理解させ,これを日常生活において実践する態度や習慣を養う。 ア からだや身の回りを常に清潔にすることの必要を知る。

イ 立位,座位,歩行などの姿勢について話し合ってよい姿勢と悪い姿勢に気づくとともに,悪い姿勢のきょう正のしかたを理解する。

ウ 激しい運動や長時間の作業の疲労の状態,各自の睡眠時間などについての経験を通して,休養,睡眠の必要を理解する。

エ 運動が健康上必要なこと,自己の健康状態に応じた運動のしかたについて理解する。

(2) 身体の発達状態や健康状態  自己のからだの発達状態や健康状態について理解させるとともに,日常生活における健康異常の状態について理解させ,健康異常に注意する態度を養う。 ア 健康診断の結果に基づいて,自己の身長・体重・胸囲・座高を知り,また,他人や同年齢の者と比較し,自己のからだの形態的な発達状態を知る。

イ 健康診断の結果に基づいて,自己の視力・聴力の状態,疾病異常の有無などの健康状態について知り,進んで治療を受けたり健康をそこなわないように注意したりすることの必要に気づく。

ウ 肺活量・背筋力・握力・基礎的運動能力などの測定の結果に基づいて,自己のからだの機能の現状を知り,運動がこれらの機能の向上に役だつことに気づく。

エ 健康異常の状態にあるときは,顔色が悪くなったり,気分が悪くなったり,食欲がなくなったり,頭痛がしたりすることなどを知り,また,その場合には,体温・脈はく・呼吸などに変化が起こることについての理解を深める。さらに健康異常の場合は,進んで処置を受けるようにする。

 3 指導上の留意事項 (1) 各運動の指導において,必要に応じて,縦隊や横隊の整列,列の増減ができるようにする。

(2) 女子は,この学年ごろから身体の発達が急速になるので,女子の特性を考慮して指導する。

(3) 健康・安全に関する指導においては,運動の服装を整える。運動後からだを清潔にするなどの習慣の育成についても適切に行なうようにする。

(4) D(1)のウ「ラインサッカー」の指導では,男女別に練習の方法やチームの編成などを考慮する。このことについては第6学年においても同様である。

(5) Fのア「すもう」は,女子の場合,欠くことができる。このことについては第6学年についても同様である。

(6) Gの指導においては,理科,家庭科などの関連を図り,適切な計画を立て,学習効果のあがるように指導する。

〔第6学年〕

 1 目  標

(1) 各種のやや組織だった運動を行なわせ運動技能や基礎的な運動能力を高める。

(2) チームやグループにおける自己の役割を自覚し,共通の目標に向かって互いに協力して練習やゲームを行なう態度を伸ばす。

(3) 練習やゲームのしかたをくふうし,計画的に行なう能力を育て,校内競技などの計画や運営に参加できるようにする。

(4) 競争やゲームで規則を守り最後まで努力し,勝敗の原因を考え,さらに進歩向上を図ろうとする態度を伸ばす。

(5) 運動やスボーツなどに関する初歩的知識をもたせ,日常生活における運動や遊びを健全に豊かにする態度や能力を養う。

(6) 日常かかりやすい病気やけがの予防,簡単な処置について理解させ,健康・安全な生活ができる態度を養う。

 2 内  容 A 徒手体操 (1) 次のような運動によって身体を部分的,総合的に動かすことができるようにする。 ア あしの運動……閉脚または開脚で手をひざにあて,ひざを屈伸する。腕を内外に回しながらひざを屈伸する。足を前−横−前に振り上げる。両腕を曲げ,前上方に振り上げながら,その場でまたは移動して上方に強くとぶ。

イ 腕の運動……腕を前・横・上下に強弱・遅速をつけて屈伸する。腕を下から後ろに振り,上に上げる。腕を横8の字形に回旋する。

ウ 首の運動……首を前後・左右に曲げる。首を左右に回す。首を回旋する。

エ 胴体の運動……腕を斜め上に上げ,胸を伸展する。腕を前に上げ,左右に開いて,胸を伸展する。腕を横に上げ,片腕を横から上に上げながら体を左右に曲げる。閉脚で,体を前に曲げ,ひざを曲げてしゃがみ,ひざを伸ばして体を前に曲げ,体を起こして腕を斜めに上げ,胸を後ろにそらす。腕を上に上げ,体を後ろに深く曲げる。ひざつきですわり,体を後ろに曲げる。腕立て伏臥(が)の姿勢でとびながらひざを屈伸する。舟のろをこぐ動作をする。腕を前に上げ,左(右)に振り体を左(右)に回す。開脚で体を回旋する。

(2) 互いに協力して運動を行なう態度や能力を養う。 ア グループで計画を立てて練習する。
B 器 械 運 動 (1) 次の運動によって,器械運動の初歩的な技能を養う。 ア 鉄棒運動……さか上がり(伸膝(しつ)),腕立て後ろ回り(連続),足かけ後ろ回り,足かけ前回り,足かけ上がり−足かけ後ろ回りをする。

イ とび箱運動……開脚の腕立てとび越し(とび箱,縦,高さ約50〜70cm),閉脚の腕立てとび上りおり(とび箱,横,高さ約60cm)腕立て横とび越し(とび箱,横,高さ約50cm,伏臥(が)の姿勢),前回り(とび箱,縦,高さ約50cm)をする。

ウ マット運動……前回り−後ろ回り,とびこみ前転,腕立て側転,背支持腕立て前転,倒立(補助)をする。

(2) 互いに協力して安全に運動を行なう態度や能力を養う。 ア グループで計画を立てて練習する。 (3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。 ア 器械・器具の破損の有無に注意し,安全を確かめる。

イ 準備運動・整理運動をする。

C 陸 上 運 動 (1) 次の運動によって,走・跳の能力を高める。 ア 鉄線走(60cm)……体をやや前に傾けて,手足の調和を保って走る。

イ 円周リレー……引きつぎをじょうずに行ないその後の動作を機敏にする。

ウ 持久走……「円周」を使って同じような調子で約4分間走る。

エ 幅とび……そりとびのような形でとぶ。

オ 高とび……とび越し方や着地を考えてとぶ。

カ 立ち三段とび……腕を大きく振ってとぶ。

(2) グループごとに目標をもち,協力して練習する態度や勝敗に対する正しい態度を養う。 ア グループごとに計画を立てて協力して練習する。

イ 記録などの係りを代わりあってする。

ウ 勝敗にこだわらず最後までがんばる。

(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。 ア 砂場,走路,用具などの安全を確かめ整備する。

イ 準備運動・整理運動をする。

ウ 持久走では,自分のからだの調子をよく考えて走る。

D ボール運動 (1) 次のボール運動の技能を高め,ゲームができるようにする。 ア 対列ハンドボール……片手のパスをする。ボールだけでなくまわりも考えてドリブルをする。ボールを得たら速く攻める。相手を決めてじゃまをする。攻撃と防御に決めて行なう。

イ 盲人野球……すばやく移動してゴロやバウンドボールを捕える。

ウ ラインサッカー……右足も左足も使ってける。ジションを守って攻めたり守ったりする。

(2) 練習やゲームを計画的に進める能力を高める。 ア 互いに能力を考えてチームを編成し,規則をつくり,計画的に練習やゲームを行なう。

イ 相手の立場を考えながら,意見を交換し,目標に協力する。

ウ 用具・コート係りの役割を分担し,それを果たす。

(3) 健康・安全に注意して運動を行なう態度や習慣を養う。 ア 競技規則で禁じられた方法を用いない。

イ コートや用具の安全を確かめ,整備する。

ウ バットの取り扱いに注意し,危険のないようにする。

エ 準備運動・整理運動をする。

E リズム運動 (1) 次のリズム運動の技能を高め,フォークダンスや美しい表現について理解し,それらができるようにする。 ア フォークダンス (ア) 郷土の民踊,トロイカ,ージニアリールなどをする。

(イ) 1重円,対列,方射形でスキップ,ランニング,ウォーキング,ギャロップ,スタンプ,日本民踊の手ぶり,足どりなどをする。それぞれの国の踊りの特徴について理解する。

イ 表 現 (ア) 自然,日常生活事象,音楽,物語などから題を選んで表現し,中心をもつようにまとめる。

(イ) ふたりないし3人で歩・走,跳躍,屈伸,回旋,回転,振動,平均,倒など1,2,3,4拍動作を強度や連続を変えて相手と対応して行なう。前後,左右,斜めに移動したり,回ったりする。必要に応じて手をつないで行なう。

ウ 題や内容の選び方,表わし方,まとめ方などについてよい表現を話し合う。

エ 内容にふさわしい伴奏音楽をくふうする(リズム楽器,旋律楽器,歌を歌うなど)。

(2) グループで相互に協力して練習や発表会を計画し,運営する能力を養う。 ア グループごとに簡単な練習計画を立てる。

イ 役割や配役を決めてじょうずに果たす。

ウ グループの中で,また,グループ相互に,長所・短所について話し合う。

エ 発表会を計画し,プログラム係り,進行係りなどの役割を決め運営できるようにする。

F その他の運動 (1) 次の運動技能を養い,すもうや水泳ができるようにする。 ア すもう……しこ・伸脚・運び足・攻めなどの基本動作を行なう。押しあい,寄りあいの練習をする。押し,寄りを用いたすもうをする。

イ 水 泳

(ア) クロール……腕と足の動作を調和的にする。腕で水をかいたときに息を吸う。

(イ) 平泳ぎ……主として脚の力で泳ぎ,腕は浮きをとる。

(ウ) 潜水……平泳ぎの要領で潜水する。

(エ) さか飛び込み……低い台から飛び込む。

(2) 健康・安全に注意し,グループで計画をもって協力して運動を行なう態度や能力を養う。 ア リーダーを中心に練習のしかたを決める。

イ チームをつくり,チーム対抗のすもうの競技会を計画し運営する。

ウ 頭の毛をつかむ,すねをける,つねる,さばおりなどの禁じわざを守る。

エ 水泳の前後には,必ず人員点呼を受ける。

オ 水泳ではふたり組みをつくって練習する。

カ 水泳の前後には,準備運動・整理運動をする。

キ プールでのきまりを守り,プールの清潔に注意する。

ク 浮き具を投げて救助する方法を知る。

(3) 水泳の心得を理解させ,日常生活に生かされるようにする。 ア 健康を害しているとき,空腹時,疲労時,食事や激動の直後には泳がない。

イ 水泳に安全な場所と危険な場所を知る。

ウ 必ず水泳に自信のあるおとなと同行する。

エ 飛び込むときは,水深,水中の危験の有無を確かめる。

オ あまり長時間水にはいらない。

カ 沖に向かつて泳がないで岸に平行に泳ぐ。

キ 水泳中は絶対にわるふざけをしない。

ク けいれんを起こしたとき,あぶないとき,方向がわからなくなったとき,おぼれた人がいたときは,大声で知らせ,近くの人の助けを求める。

G 体育や保健に関する知識 (1) 病気の予防  日常かかりやすい病気の症状とその予防のしかたについて理解させる。 ア かぜの症状や原因について知り,その予防に努める。

イ インフルエンザの症状や感染経路を知るとともに,その予防にはうがいをしたり,患者に近づかないことなどが必要であることを知る。

ウ 回虫病,十二指腸虫病の症状について知るとともに,その感染経路についての理解を深め,その予防に注意し,定期的に検便を受け,虫卵があったときは,駆虫に努めるようにする。

エ 白せん,かいせんなどの皮膚病の症状や感染経路を知り,その予防には,からだや衣服の清潔がたいせつであることを知る。

オ トラホーム,流行性角結膜炎などの症状や感染経路について知り,その予防に努める。

カ 食中毒の症状やそのおもな原因について知るとともに その予防には,ねずみやごきぶり(あぶら虫)の駆除,食物の保存に注意すること,加熱して食べることなどが必要であることを知る。

キ 赤痢の症状を知るとともに,消化器系の伝染病の予防には,下水やふん便の完全な処理,なま水やなまものを飲食しないこと,はえの発生の防止や駆除などいろいろな方法があるが,日常生活において手をよく洗うことや食物の清潔に注意することが最もたいせつであることを知る。

ク 結核については,発病していても自覚症状のほとんどないことや,その予防には,定期的な健康診断を受け,その結果に従って適切な処置を受けることが必要であることを知る。なお,自然陽転者は,約1か年,日常生活において特に栄養や休養に注意しなければならないことを知る。

ケ 伝染病の発生状態などから,伝染病の予防のために,予防接種が必要であることを知るとともに,定期的に受けなければならない予防接種の種類を知る。

(2) 傷害の防止 けがややけどの原因とその防止について理解させ,簡単な応急手当ができるようにする。 ア 交通事故,遊びや運動の事故,その他日常生活における事故の原因と防止のしかたについて知り,また安全についての規則を理解し必要に応じて安全についてのきまりをつくる。

イ やけどの原因と防止のしかたを知る。

ウ すり傷,切り傷の手当てや簡単な止血法,ほうたいの簡単なしかたおよびやけどの簡単な手当てについて理解するとともに,それに必要な技能を養う。

(3) 各種の運動の特徴と運動競技会 運動の種類とその特徴,校内競技,運動会などの計画や運営についての基礎的事項について理解させるとともに,国民的な体育行事についても関心をもたせ,日常生活において進んで運動を実践する態度や習慣を養う。 ア いままで学習した運動について,その種類や特徴についての理解を深め,仲間や場所に応じた運動のしかたを知る。

イ 校内競技,運動会の計画や運営にあたって必要なチームの単位,競技会の形式,競技規則,役員などの決定,コートや用具の整備などの基礎的事項について知る。

ウ 広く国民の間に運動やスボーツを普及し,生活を明るく健全にするため,毎年,国民的体育行事として国民体育大会が設けられていることを知る。

 3 指導上の留意事項 (1) 各運動の指導において,必要に応じて,場所の広さに応じ縦隊や横隊に整列することができるようにする。

(2) 女子は,身長・体重の急速な発達に心臓の発達が伴わないことがあり,また,第二次性徴も現われはじめるので,その特性を考慮して指導する。

(3) 健康・安全に関する指導においては,運動の服装を整える。運動後からだを清潔にするなどの習慣の育成について適切に行なうようにする。

(4) Gの(1),(2)については,理科,家庭科などとの関連を図り,学習効果のあがるように指導する。(3)については,単なる知識の指導に終わることなく,AからFまでの各領域や特別教育活動などの関連を図り,適切に指導する。
 
 

第3 指導計画作成および学習指導の方針 1 指導計画の作成にあたっては,児童の視力およびその他の視機能の障害の状態や運動能力などに留意して各領域の指導が適切に行なわれるよう配慮しなければならない。

2 第2に示す内容は,特に示す場合を除き,いずれの学校においても原則として取り扱うことを必要とするものであるが,地域や学校または児童の実態を考慮し,特に必要と認められる場合は,ここに示していない運動種目を加えて指導してもさしつかえない。しかし,いたずらに指導する種目を多くしたり,程度の高い事項を取り扱ったりして,示された目標や内容の趣旨を悦脱したり,負担過重にならないよう慎重に配慮しなければならない。

3 地域の特性,施設,季節およびその他の条件を考慮して,各領域の内容やその授業時数について,次のような措置をとることができる。

(1) 適当な水泳場がなく,水泳を実施することができない場合は,水泳を欠くことができる。

(2) 寒冷地,積雪地では,スキー(雪遊びを含む。),スケートを指導することができる。この場合,特に安全についてはじゅうぶんに配慮する。

4 各学校において,指導計画を立てる際,内容を組織し,配列する場合には次のような点に留意する。 (1) それぞれの運動の特性,児童の健康状態,視力およびその他の視機能の障害の状態,運動の経験などの現状,地域の特性,施設用具などを考慮して内容を組織し,たとえば運動種目を組み合わせたり,基礎的な運動能力の測定の機会を設けたりすることなども配慮する。

(2) 内容の配列にあたっては,特別教育活動,学校行事等(たとえば,運動会など),季節および施設用具などを考慮する。

(3) 歩行に関する指導は,基本的事項を体育で行なうほか,他の教科や道徳,特別教育活動および学校行事等の指導とも関連を図って,各児童が安全歩行,ひとり歩きの自信と能力が養われるよう配慮する。なお,歩行に関する指導計画を立てる際は,各児童の視力およびその他の視機能の障害の状態や個人差などに即応し,次の事項等に留意する。

ア 歩行の重要性を知る。

イ 歩行に必要な感覚の訓練をし,それを活用できる能力を養う。

ウ 基本的な白いつえの使い方に慣れさせる。

エ 白いつえをもたない場合の歩行の能力を養う。

オ 歩行のくせをなおし,正しい姿勢で歩行できるようにする。

カ いろいろな道路を歩けるようにする。

キ いろいろな施設や建物内を歩けるようにする。

ク 他人といっしょに歩く際の態度や方法を身につける。

ケ 混雑・危険などに出合った場合の態度や行動の方法を身につける。

コ いろいろな乗り物を利用できるようにする。

サ 交通のきまりなどを知り,それを守る習慣を養う。

5 学習指導に際しては,次のような点を考慮する。 (1) 運動の特性や指導のわらいに応じ,単に技能の指導に陥ることなく,必要な内容が片寄りなく学習されるように各種の指導の方法を活用し,学習効果の上がるよう配慮する。

(2) 児童の個人差にじゅうぶん留意し,男女の特性や個人差に即した目標をもたせるなど,個人差に応ずる指導を考慮する。

(3) 毎時間の指導においては,常に児童の健康状態を観察し,健康に異常のある場合は,休養または見学させるなどの指導は当然であるが,また,病弱者,身体虚弱者,肢(し)体不自由者に対しては,学校医と密接な連絡をとり,その程度に応じて適切に指導する。