第2章 各 教 科
各教科の目標,内容ならびに指導計画作成および学習指導の方針は,小学校学習指導要領に示されたものに準ずるほか,下記の事項によるものとする。
1.各教科の指導計画は,児童の病弱の状態に応じ,基礎的内容を中心とする指導計画から,順次内容を豊富にして,小学校における指導計画に近いものに至るまで,段階的に作成すること。
2.小学校学習指導要領に示された各教科の学年別内容やその系統についてじゅうぶん理解し,児童の病弱の状態に応ずる授業時数を考慮し,基礎的内容に欠けないように指導すること。
3.長期欠席等による学業遅進の状態をじゅうぶんはあくし,これに即応する指導計画を作成するとともに,個別指導を心がけること。
4.保健に関する理解,態度,習慣等の指導は,各教科の学習を通じて行なわれなければならないが,特に養護・体育においてこれを重視して指導すること。
5.病弱の状態によってじゅうぶん学習することの困難な内容については,健康回復の程度に応じ,教材配当の変更,教具のくふう,指導法の研究等によって,指導の完全を図るように努めること。
6.各教科の指導にあたっては,常に児童の心身の疲労,疾病の状態に留意し,特に必要のある場合は,学習の軽減,休息時間の設定等適切な処置をとること。
7.学校図書館,学校園その他視聴覚教材を整備するほか,動植物の飼育・栽培を行ない,児童が容易に学習できるように努めること。
8.各教科の指導計画の作成ならびに指導にあたっては,特に養護・体育との関連をじゅうぶん考慮すること。
9.養護・体育の目標,内容ならびに指導計画作成および指導上の留意事項については,次によるものとする。
(1) 養 護
(ア) 各児童に適した生活規制を行なわせて健康回復を図る。
(イ) 養護の意義を埋解させ,健康回復に必要な知識,技能を養う。
(ウ) 自己の病弱の状態を自覚させ,健康回復に必要な生活規制を実践する習慣,態度を養う。
イ 内 容
(ア) 主として安静に関する内容
病弱の状態に応じた絶対安静,安静,休養,午睡などを中心とする諸活動。
(イ) 主として運動に関する内容
病弱の状態に応じた歩行,運動,皮膚摩擦などを中心とする諸活動
(ウ) 主として,レクリエーションに関する内容
病弱の状態に応じた散歩、遊戯,読書,飼育,栽培,娯楽などの諸活動
上記の内容を実施するにあたっては,次の事項を指導するものとする。
・ 安静,運動およびレクリエーシヨンについて,その意味と方法を理解させ,これを実践する習慣と態度を養う。
・ 自己の病弱の状態について関心をもたせ,健康の回復に必要な知識,技能を養う。
ウ 指導計画作成および指導上の留意事項
(ア) 指導計画は各教科,道徳,特別教育活動,学校行事等,寄宿舎生活などの指導と密接な関連をもたせるような組織的,総合的なものであることが必要である。
(イ) 指導計画は学校生活の全体を通じて行なう保健に関する事項の指導を充実し,いっそう効果をあげるよう発展的なものであることが必要である。
(ウ) 指導計画の作成にあたっては健康診断の結果に基づき,個々の児童に最も適した内容,方法,時間等を具体的に定めなければならない。
(エ) 指導計画は定期的に行なわれる健康診断に基づき,必要がある場合には専門医の指導を求め,児童の健康回復に応じて修正を加えるようにしなければならない。
(オ) 指導にあたっては,病弱の状態に応じて作成された指導計画の意味を児童に理解させ,健康回復に希望をもたせて,積極的に参加させるようにしなければならない。
(カ) 「主として運動に関する内容」の指導にあたっては,体育における指導との関連を密にするとともに,児童の負担過重にならないように配慮しなければならない。
(キ) 指導にあたっては,特に下記の事項に留意する必要がある。
A 主として安静に関する内容の指導
(a) 安静は治療や疲労回復の重要な条件であるから,指示された内容を確実に実践するように指導すること。
(b) 肉体的安静とともに精神的安静を図るように指導すること。
(c) 児童が指示された安静を確実に実践できるように環境を整備するとともに,事前指導をじゅうぶん行なうこと。
B 主として運動に関する内容の指導
(a) 運動は健康回復に必要な条件であるから,指示された内容を確実に実践するように指導すること。
(b) 運動量を増加することは,健康回復に大きな影響を与えるから,健康診断の結果に基づき,必要がある場合には専門医の指導を求め,慎重に行なうこと。
(c) 運動は漸進的,系統的に行なわせること。
(d) 児童が指示された運動を確実に実践できるように,施設設備の充実を図るとともに,具体的な指導を行なうこと。
C 主としてレクリエーションに関する内容の指導
(a) 児童の生活全体が健康回復に適したものでなければならないから,レクリエーションの時間であっても,目標にそうような内容について指導すること。
(b) 児童が各自の病弱の状態を理解して,レクリエーションの時間を有効に過ごすように指導すること。
(c) 児童がレクリエーションを正しく行なうことができるように,環境を整備し,施設設備を充実するとともに,具体的な指導を行なうこと。
(2) 体 育
イ 指導する内容は,児童の病弱の状態に応じて,指導可能なものおよび健康回復に必要なものを選定するようにすること。
ウ 指導にあたっては,児童の疲労しやすいことを考慮して,状況によっては必要な休息をとらせる等適切な処置をとるようにすること。
エ 指導にあたっては,特に児童の負担過重にならないように配慮しなければならないこと。