第6節 芸 術
第1款 目 標
1 芸術の学習経験を通して,創造性に富む個性豊かな人間の形成を目ざす。
2 芸術の学習経験を通して,美的感覚を洗練し,芸術的な表現力と鑑賞力とを養うとともに,情操の純化を図る。
3 芸術の学習経験を通して,個人生活や社会生活を明るく豊かにする実践的な態度や能力を養う。
4 芸術が,人間性の円満な発達や文化の調和的発展に欠くことのできないものであることを理解させるとともに,国際間の理解や親善に,芸術の果たす役割についても認識させる。
以上の目標の各項目は,相互に密接な関連をもって,全体として「芸術」の目標をなすものであり,「芸術」の各科目の目標のもととなるものである。指導にあたっては,各科目の目標とともに,教科の目標の達成に努めなければならない。
第2款 各 科 目
第1 音 楽 Ⅰ
1 目 標
(2) わが国および諸外国のすぐれた音楽に親しませ,美的感動を得させるとともに,鑑賞する能力を養う。
(3) わが国および諸外国の音楽の動向を概観し,音楽が文化の中に占める地位を理解させる。
(4) 音楽の学習経験を通して得た音楽的教養によって,うるおいのある生活を営む態度や習慣を養う。
2 内 容
以下に示す「音楽Ⅰ」の内容は,2単位を標準とし,音楽に関する科目をはじめて履修する際に取り扱うことを前提として作成したものである。
A 表 現
(歌 唱)
イ 各声部の特色を生かして,均衡のとれた表現をする。
ウ 各自の声種や声質を生かして,音楽的な表現をする。
エ 曲想や歌詞の意味を理解して,それにふさわしい表現をする。
オ 芸術的な愛唱曲を増す。
(2) 歌唱の能力を高めるために,次のような基礎的な技術や態度を身につけさせる。
イ 声部の融合や統一を図り,美しいハーモニーを保った歌い方
ウ 視唱力
エ いろいろな記号や標語に適応した歌い方
オ 曲の感じやクライマックスのとらえ方
カ 指揮を理解し,それに順応する態度や習慣
(3) 歌唱表現に必要な,次の事項を理解させる。
イ リズム,旋律,和声など各要素の機能やそれらの相互関係
ウ 和声的ならびに対位的な音楽の構成
エ 声楽曲のおもな種類および形態
(4) 教材の範囲や程度は,次のとおりとする
イ わが国や世界の,芸術的にかおりの高い民謡
ウ 合唱曲を主体とし,せい唱や輪唱などの曲を加える。
エ 外国の曲は,原語によってもよい。
(器 楽)
イ 各楽器の特色を生かし,かつ均衡のとれた表現をする。
ウ 歌唱と結合した器楽の効果を経験する。
エ 器楽の持ち味を生かし,曲想にふさわしい表現をする。
(2) 合奏の能力を高めるために,次のような基礎的な技術や態度を身につけさせる。
イ リズムや速さを合わせる技術
ウ 声部の役割にふさわしい演奏技術
エ 視奏力
オ 指揮に順応する態度
(3) 合奏に必要な,次の事項を理解させる。
イ 器楽に用いる記譜法
ウ 合奏の編成と楽器の配置
(4) 教材の範囲や程度は,次のとおりとする。
イ 器楽に適した歌唱教材
ウ 歌唱と結合したもの
(創 作)
イ 速度,調,拍子などを選定する。
ウ 簡単な伴奏を作ったり,合唱の編曲をしたりする。
(2) 創作能力を伸ばすために,次のような基礎的な知識や技術を身につけさせる。
イ 楽節,楽段などの構成の理解
ウ 楽曲内の変化と統一の図り方
エ 記譜力
B 鑑 賞
イ 音楽の芸術的価値を感得する力を高め,すすんでよい音楽を聞く。
ウ 音楽を文化的背景との関連において理解する。
(2) 音楽鑑賞の能力を高めるために,次のような基礎的な聴取力を身につけさせる。
イ 種々の演奏形態の効果の聴取力
ウ 人声や楽器の音色の聴取力
エ 音楽の流れの中における多様性と統一性の聴取力
(3) 音楽鑑賞に必要な,次の事項を理解させる。
イ 演奏形態の種類
ウ 声や楽器の特徴
エ 基本的な楽式
オ それぞれの時代における文化的背景に基づいた音楽の変遷の概要
カ 各地域・民族の音楽の特徴
(4) 教材の範囲や程度は,次のとおりとする。
イ 形式,演奏形態,楽器の特徴などがわかりやすいもの
ウ 音楽の変遷を概観する上に必要とする代表的なもの
エ 民族的な特徴を備えたもの
オ 日本音楽の代表的なもの
3 指導計画作成および指導上の留意事項
(2) 生徒のこれまでの音楽の学習経験や能力にそれぞれ差異のあることを考え,生徒の実態に基づいた指導計画を考慮する。
(3)「音楽Ⅰ」においては,音楽的一般教養を身につけさせるという見地から,その指導が表現技術を偏重したり知的理解のみに終わったりしないようにする。
(4) 学習が片寄ったり狭くなったりしないようにし,表現と鑑賞の二つの領域の関連性を考慮するとともに,学習量を適正にして,充実した音楽的経験を得させるようにする。
(5) 各領域の第3項に示した理解事項は,常に演奏や聴取などを通して,これを取り扱う。
(6) 現代のさまざまな音楽にもふれ,適正な指導をする。
(7) 合唱や合奏などの集団的な演奏活動にあっては,演奏上の技術的効果を高めることもたいせつであるが,さらに,よい演奏は,規律ある協調的態度によって得られることにも留意して指導する。
(8) 合奏は,中学で経験したものを基礎とし,さらにこの段階における生徒の興味や関心に応じた編成をする。
(9) 指導の効果をあげるため,放送,録音機,レコードなどを精選し,これを活用することが望ましい。
第2 音 楽 Ⅱ
1 目 標
(2) 種々のすぐれた音楽に親しませ,それらがもつ豊かな美的内容を認識させ,鑑賞する能力を高める。
(3) わが国および諸外国の音楽文化の伝統や動向を理解させ,わが国音楽文化の,発展に寄与しようとする態度を養う。
(4) 音楽的教養を個人生活や社会生活に生かし,積極的に好ましい生活環境を作ろうとする態度や習慣を養う。
2 内 容
以下に示す「音楽Ⅱ」の内容は,4単位を標準とし,「音楽Ⅰ」を履修した後に履修させることを前提として作成したものである。
A 表 現
イ レガート,スタカート,マルカートなど芸術的表現に必要な各種の唱法に慣れる。
ウ 全体の中に融合し,均衡がとれた合わせ方に習熟する。
エ 指揮に順応する力を伸ばし,また指揮の経験をする。
オ 曲にふさわしい解釈をして,個性的な表現をする。
カ 個人の能力に応じて,独唱あるいは重唱を行なう。
(2) 合奏,独奏および重奏による芸術的な表現をさせる。
イ 視奏力を伸ばす。
ウ 合奏の技術に習熟し,均衡や統一のとれた演奏をする。
エ 指揮に順応する力を伸ばす。
オ 曲の表情にふさわしい演奏に慣れる。
カ 歌唱と結合した器楽の経験をする。
キ 個人の能力に応じて,独奏,重奏および指揮の経験をする。
(3) 自己の創作意図によった表現をさせる。
イ 楽曲全体の変化と統一を図る。
ウ 声楽的旋律,器楽的旋律などを作る。
エ 旋律にふさわしい伴奏を作る。
オ 合唱や合奏のための編曲をする。
B 鑑 賞
イ リズム,旋律,和声,速度,強弱,音色などの特徴やそれらの相互関係を感得理解する。
ウ 種々の演奏形態の音楽的効果を感得する。
エ 変化,統一,発展,均衡など楽曲の構成原理を理解する。
(2) 音楽における表現意図と楽曲との関係について考察させる。
イ 演奏と楽曲の解釈との関係を考察する。
(3) 音楽のいろいろな種類や様式の特質をはあくさせる。
イ ポリフォニーとホモフォニー
ウ 調性音楽と無調音楽
エ 標題楽と絶対楽
オ 宗教音楽と世俗音楽
カ 民俗音楽と芸術音楽
キ 劇音楽,舞踊音楽
ク 時代的様式,国民的様式,人格的様式
(4) 音楽が文化の中で果たしている役割を理解させる。
イ 音楽を各国および各民族の生活,風俗,習慣などとの関連から考察する。
ウ 各国,各民族間の文化の交流と音楽との関係を知る。
エ 音楽と文学,美術,建築,映画など他の芸術との関係を知る。
オ 音楽の変遷に大きな影響を与えた音楽家の業績を知る。
3 指導計画作成および指導上の留意事項
(2) 指導にあたっては,表現技術を偏重したり知的理解のみに終わったりしないようにする。
(3)「A表現」のうちの器楽や創作については,生徒や学校の事情などに応じてこれを指導するものとする。
(4)「音楽Ⅱ」にあっては,表現および鑑賞の両領域にわたって,均衡のとれた指導計画をたてるようにする。
(5) 表現ならびに鑑賞の学習で取り扱う教材については,西洋のものにとどまらず,広い視野にたち,東洋や日本のものにもわたるように配慮する。
なお,現代や古い時代のさまざまな音楽をも含めて取り扱い,適正な指導がなされるようにする。
(6) 指導の効果をあげるため,放送,録音機,レコードなどを精選し,これを活用することが望ましい。
第3 美 術 Ⅰ
1 目 標
(2) すぐれた美術作品に親しませて,美術的な鑑賞能力を養う。
(3) 美術の学習経験を通して,情操を豊かにするとともに,美術的な能力を生活に生かす態度や習慣を養う。
(4) わが国および諸外国の美術の伝統や動向を理解させ,美術文化を愛好し尊重する態度を養う。
2 内 容
以下に示す「美術Ⅰ」の内容は,2単位を標準とし,美術に関する科目をはじめて履修する際に取り扱うことを前提として作成したものである。
A 表 現
(絵 画)
個性に基づく美的な表現の体験を積み,楽しく芸術的に創造する能力を養う。
対象に美しさを見いだし,その感動に基づいて対象を率直に表現させたり,また,構想に基づいて具象的に表現させたりする。
イ 表現材料は,素描材料,彩画材料その他から適宜選ぶものとする。
ウ 表現方法は,題材や表現の意図に応じて表現材料を活用し,表現の効果が得られるようにくふうさせる。
(2) 非具象的絵画
自己の心象を,非具象的に色や形などによって自由に表現させる。
表現は,抽象的な表現を主体とし,表現材料は,素描材料,彩画材料その他から適宜選ぶものとする。
(3) 上記(1)および(2)の絵画の制作にあたっては,形体,色彩,材質などを平面的に処理することに慣れ,これによって自己の感情や考えを表現できるようにするため,特に次の事項を指導する。
イ 色彩——外界に見られる色,絵に表わす色などについて理解すること。
ウ 材質——材質感の相違を描き出すこと。
エ 技法——描画材料の特質を生かすこと。
(彫 刻)
個性に基づく創造的な表現能力を養い,制作を通して立体についての表現の楽しさを味わわせ理解を得させる。
身近な自然の対象に立体的な美しさを見いだし,その感動を率直に表現させる。
イ 表現材料は,粘土,木,石,紙その他から適宜選ぶものとする。
ウ 表現方法は,モデルを使ったり,スチッチまたは記憶により,対象をすなおにまる彫り,浮き彫りなどの形式によって写実的に表現する。
粘土を使用した場合は,素焼きや,石こうどりするのもよい。
(2) 非具象的彫刻
抽象形体による立体や構成などの基礎的な表現を主とする。
表現は,抽象形体を基礎にし,表現材料は,粘土,木,石,金属,紙その他から適宜選ぶものとする。
(3) 上記(1)および(2)の彫刻の制作にあたっては,かたまり,面,量,質などについて,次の事項を指導する。
イ 面——面によって,かたまりの形にまとまりを与えること。
ウ 量——かたまりを量感でとらえること。
エ 質——表現に滴した材質を撰ぶこと。
(デザイン)
用に関するいろいろな条件を考えて,構想を美的かつ創造的に表現する能力を養うとともに,その基礎としての形体,色彩,材質などによる構成により,造形的感覚を訓練する。
適切な方法と材料などにより,次の基礎的な学習を通して,形体,色彩,材質などの構成力を養う。
色相,明度および彩度をもとにした配色を通して,調和の感覚を高めるとともに,配色効果を自由に表現できるようにさせる。
イ 形の構成
自然や人工の形の観察や抽象形をもとにした学習を通して,形や形の構成の美しさを経験させる。
ウ 技法や材料についての研究
いろいろな表現の技法をくふうし,また,材料の持つそれぞれの特質を研究し,これを用いて各種の表現を試みさせる。
(2) デザイン
視覚的な効果を主とする物の中から適宜選んで,次の事項を指導する。
デザインする物の諸条件を考えて,創造的な構想をまとめるようにさせる。
イ 制 作
構想を的確に表わす能力を得させるようにする。
B 鑑 賞
作品に接して,その作品の美しさをすなおに味わわせる。また,作者の精神にふれさせたり,造形的にも考察させる。
イ 彫 刻
ウ 建築,工芸など
(2) 美術常識
美術の人生に対する意義や価値に関心をもたせるとともに,美術の表現や鑑賞の活動を進めるのに必要な美的構成などについて理解させる。
(ア) 個人生活と美術
(イ) 美術鑑賞の態度
(ウ) 美術品の保護活用
イ 美的構成
(ア) 色 彩
(イ) 形 体
(ウ) 材 料
(エ) 美の構成要素
(3) 美術変遷の概要
近代美術の動向に関心をもたせ,また,この観点から日本美術,および西洋美術の変遷の概要についても指導する。
3 指導計画作成および指導上の留意事項
(2) 絵画,彫刻およびデザインの指導においては,造形の美的な基礎となる要素を,表現の指導と関連づけて扱い,効果があがるようにする。
(3) 鑑賞の指導における造形的な考察を,表現に役だたせるようにする。
(4) 必要に応じて共同制作なども課し,学習効果をあげるようにする。
(5) 指導する事項や指導法については,教師の興味に片寄ることなく,多面的な生徒の必要や要求に応ずるようにくふうする。
(6) 指導を有効に進めるためには,美術に関する各種の立体的造形品,図版,スライドなどの資料を精選し,これらを効果的に活用することが望ましい。
(7) 美術館,博物館,美術展覧会などを適宜利用するようにすることが望ましい。
第4 美 術 Ⅱ
1 目 標
(2) すぐれた美術作品を鑑賞させて,美術的な鑑賞能力を高める。
(3) 美術の学習経験を通して,情操を豊かにするとともに,美的感覚を洗練し,造形能力や美的批判力を養い,これを生活に生かすとともに,社会の美的向上に寄与する態度や習慣を養う。
(4) わが国および諸外国の美術文化の伝統や動向を理解させ,美術文化を愛好し尊重する態度を養う。
2 内 容
以下に示す「美術Ⅱ」の内容は,4単位を標準とし,「美術Ⅰ」を履修させた後に履修させることを前提として作成したものである。
A 表 現
(絵 画)
自己の思考と感情との統一により,美的な要素に留意して,感動に基づいて芸術的に創作する能力を高める。
対象に美しさを見いだし,その感動に基づいて対象を率直に表現させたり,また,構想に基づいて具象的に表現させたりして,秩序のある個性的表現ができるようにする。
イ 表現材料は,素描材料,彩画材料その他から適宜選ぶものとする。
ウ 表現方法は,題材や表現の意図に応じて表現材料を活用し,表現の効果が得られるようにくふうさせる。
(2) 非具象的絵画
自己の心象を,非具象的に色や形などによって自由に表現させる。
表現は抽象的な表現を主体とし,表現材料は,素描材料,彩画材料その他から適宜選ぶものとする。
(3)上記(1)および(2)の絵画の制作にあたっては,創造的な表現能力を高めるために必要な,次の事項を指導する。
イ 均衡,安定,比例,強調,律動,動勢,調和など
ウ 部分と全体との関係など
(彫 刻)
創造的な表現能力を深めるとともに,立体についての理解を得させる。
自然の対象に見いだされた立体の美に対する感動の表現を,彫刻的に深める。
イ 表現材料は,粘土,木,石その他から適宜選ぶものとする。
ウ 表現方法は,単純化し強調することなどによって表現を深め,まる彫り,浮き彫りなどの形式により写実的に表現する。
粘土を使用した場合は素焼きや,石こうどりするのもよい。
(2) 非具象的彫刻
自己の心象を非具象的な形や構成によって表現するものとする。
表現材料は,粘土,木,石,金属,紙その他から適宜選ぶものとする。
(3) 上記(1)および(2)の彫刻の制作にあたっては,空間,大きさ,かたまり,面,質,動勢などを彫刻的に処理する技法に慣れ,これによって自己の感情や考えを表現できるように,次の事項を指導する。
イ 大きさ——作品の大きさと表現材料および表現形式の関係に留意すること。
ウ かたまり——かたまりの密度と量感との関係に留意すること。
エ 面——個々のかたまりに大きな面としての統一を与えること。
オ 質——質感の表現に留意すること。
カ 動勢——かたまりのつながる方向と面の傾斜に留意すること。
(デザイン)
用に関するいろいろな条件を考えて,構想を美的かつ創造的に表現する能力を高めるとともに,その基礎としての形体,色彩,材質などによる構成により造形的感覚を訓練する。
適切な方法と材料などにより,次の基礎的な学習を通して,形体,色彩,材質などの構成力を高める。
色の面積や配置および色の機能などをもとにした配色を通して,配色効果を表現できるようにさせる。
イ 形の構成
自然や人工の形の観察をもとにした形や,抽象形をもとにした形により,集成や分割などの組み合わせの構成を通して,形や形の構成の美しさを研究させる。
ウ 技法や材料についての研究
いろいろな表現の技法をくふうし,また,材料の持つそれぞれの特質を研究し,これを用いて各種の表現効果を試みさせる。
(2) デザイン
視覚的な効果を主とする物の中から適宜選んで,次の事項を指導する。
デザインする物の諸条件を研究し,創造的な構想を確立するようにさせる。
イ 制 作
構想を的確に表わす能力を高める。この際,必要に応じて,図法なども適宜活用するようにする。
B 鑑 賞
作品に接して,その作品の美しさをすなおに味わわせる。また,作者の精神にふれさせたり,造形的にも考察させる。
(2) 彫 刻
(3) 建築,工芸など
C 美術理論
美術に対する一般的な常識を高めるようにする。
美術の芸術における位置,美術の様式,形式などについて指導する。
イ 美術の様式と形式
(2) 美的構成
美術の表現や鑑賞を進めるのに必要な美的構成について指導する。
均衡,安定,比例,強調,律動,動勢,調和など
イ 色 彩
色彩調和
色彩の機能
色彩設計
ウ 形 体
形体と美
形体と用
エ 構造と機能
美と材料
美と構造
美と機能
(3) 美術と生活
● 社会生活における美術の意義と価値について関心を高める。
イ 美術と宗教
ウ 美術と政治
エ 美術と生産
オ 美術と科学
カ 美術の国際性と交流
(4) 美術変遷の概要
日本美術ならびにこれに関連のある東洋美術,および西洋美術の変遷の概要を指導する。
3 指導計画作成および指導上の留意事項
(2) 絵画,彫刻およびデザインの指導においては,造形の美的な基礎となる要素を関連づけて扱い,効果があがるようにする。
なお,具体的な制作過程において,作品がより芸術的に深まるように,絶えず考慮を払う態度や習慣を養うようにする。
(3) 鑑賞や美術理論の指導における造形的な考察を,表現に役だたせるようにする。
(4) 必要に応じて共同制作なども課し,学習効果をあげるようにする。
(5) 指導する事項や指導法については,教師の興味に片寄ることなく,多面的な生徒の必要や要求に応ずるようにくふうする。
(6) 指導を有効に進めるためには,美術に関する各種の立体的造形品,図版,スライドなどの資料を精選し,これらを効果的に活用することが望ましい。
(7) 美術館,博物館,美術展覧会などを適宜利用するようにすることが望ましい。
第5 工 芸 Ⅰ
1 目 標
(2) 造形的な思考力と感覚の統合によって,物をつくりあげる創造的な能力を養う。
(3) 工芸の学習経験を通して,工芸,建築などに対する批判,鑑賞の能力を養う。
(4) 工芸の学習経験を通して,生活を造形的な面からくふう改善し,明るく豊かにする実践的態度を養う。
(5) 工芸,建築文化の伝統や動向を理解し,これを愛好し尊重する態度を養う。
2 内 容
以下に示す「工芸Ⅰ」の内容は,2単位を標準とし,工芸に関する科目をはじめて履修する際に取り扱うことを前提として作成したものである。
A デザインの基礎練習
工芸的デザインの特質を考慮して,その要因と表示に関する基礎事項を計画的に学習させる。
美的構成に必要な形体,色彩,材質などの諸要素の感覚を訓練し,構成力を養う。
イ 美的構成
配 色
形の構成
材質の構成
(2) 材料と構造
材料の持つ特性を研究し,その造形的な可能性を見いだす態度を養う。
材料の形状や材質を生かした造形的可能性の発見
イ 構 造
材料の成形や組み合わせによる構造
(3) 表 示
構想を的確に表示する能力の基礎を養う。
イ 模型その他の立体など
B デザインと製作
創造的な構想に基づき,用途,材料,製作法,美感などの立場から,総合的に計画し,表示する能力と製作する能力を養う。
以下に示す物の中から適宜選んで,デザインして製作させる。
イ 器物,室内調度品,服飾品など
(2) 機能的効果を主とするもの
以下に示す物の中から適宜選んで,デザインさせ,またはデザインして製作させる。
イ 建造物
遊具,住宅など
ウ 機構的なもの
がん具,日用器具,交通機関など
(3) 上記(1)および(2)による製作に際しては,次の事項を指導する。
イ 加工法
ウ 用具,機械の扱い方
C 批判・鑑賞
作品に即して,工芸,建築に対する批判,鑑賞をさせ,造形的な思考力と美的感受性を養う。
イ 量産による工芸品
ウ 機械や建造物
(2) 上記(1)の扱いにおいては,次の観点から指導する。
イ 工芸,建築と生活との関係
ウ 時代の動きと作品との関係
3 指導計画作成および指導上の留意事項
(2) 創作活動を主体にする指導においては,生徒の着想を尊重し,その構想を実現させるため,教師は適切な助言をする。
(3) デザインと製作は一貫して行なうことをたてまえとするが,内容によっては,デザインとその表示に終わるものがあってもよい。
なお,デザインと製作の指導に際しては,次の点に留意する。
イ 製作完成するものについては,材料は入手しやすく,加工のあまり困難でないものであること。
ウ 製作に際して使用する工具,機械などは,生徒の能力に応ずるものであること。
(4) 指導する事項や指導法については,次の点を考慮する。
イ 絶えず新しい科学技術や芸術の動向に留意して,研究し改善するようにすること。
(5) 必要に応じて共同製作なども課し,学習効果をあげるようにする。
(6) 環境を整備し,安全,清潔,あとかたづけなどに留意し,事故の防止に努めることが必要である。
(7) 指導を有効に進めるためには,工芸に関する各種の造形品,図版,スライドなどの資料を精選し,これらを効果的に活用することが望ましい。
(8) 環境に関心をもつように心がけ,また,工芸に関する施設,工場,展覧会,美術館などを適宜利用するようにすることが望ましい。
第6 工 芸 Ⅱ
1 目 標
(2) 工芸の学習経験を通して,工芸,建築などに対する批判,鑑賞の能力を高める。
(3) 工芸の学習経験を通して,生活を造形的な面からくふう改善し,明るく豊かにする実践的態度を養う。
(4) 工芸,建築文化の伝統や動向を理解し,これを愛好し尊重する態度を養う。
2 内 容
以下に示す「工芸Ⅱ」の内容は,4単位を標準とし,「工芸Ⅰ」を履修させた後に履修させることを前提として作成したものである。
A デザインの基礎練習
形体,色彩,材質など,美的構成に必要な感覚の訓練や材料,機能,構造に関する基礎訓棟と,図法や表示の学習を通して,平面,立体に対する総合的な構成力や,構想を的確に表示する能力の基礎を養う。
工芸的デザインの諸要因と表示に関する基礎事項を,計画的に学習させる。
自然形や抽象形をもとにして形体,色彩,材質などによる構成を通して,美的構成に必要な諸要素の感覚を高め,構成力を養う。
イ 用途と形体
用途により形体がどのようなや条件を満たさなければならないかを研究する。
(ア) 自然物の機能と形体
(イ) 人工物の機能と形体
(ウ) 機能,機構,材料などの関連による形体
ウ 材料,構造と形体
材料の持つ造形的可能性を生かし,機能的な形体や構造を考える創作的な態度や能力を養う。
(ア) 材料の特質
材料の形状,材質,力などとの関係
(イ) 材料と構造
材料の特性を生かした合理的な構造や形体
材料の結合
(ウ) 機構
簡単な機構を利用するもの
(2) 図 法
図法の学習によって,立体と空間と図面との関係を明確にし,構想の表示と読図の基礎能力を養う。
円すい曲線,うずまき線など
イ 投影図法
正射投影
切断,展開,相貫など
斜投影
ウ 透視図法
平行透視,成角透視など
(3) 表 示
スケッチ,製図,模型,写真その他の方法により,構想を効果的に表示する能力を養う。
イ スケッチ,想定図,組み立て図など
ウ 模型,写真など
B デザインと製作
創造的な構想に基づき,用途,材料,製作法,美感などの立場から総合的に計画し,表示する能力と製作する能力を高める。
粘土,セメント,紙,木,竹,糸,布,金属,合成樹脂などのうちから適切な材料を選びこれに適した技法を生かして,次のような物の中から手工芸品など適宜選ぶものとする。
イ 室内調度品,服飾品など
(2) 宣伝,展示など
生活環境の中から,視覚的な機能や美的効果を主とする物について,次のような物の中から適宜選ぶものとする。
イ 展示,舞台装置など
(3) 器具,機械など
量産や機構に関係のある次のような物の中から適宜選ぶものとする。
イ 機械,器具
ウ 交通機関など
(4) 家具,建造物など
日用家具その他簡易な建造物の材料,構造,生活空間などを考慮し,次のような物の中から適宜選ぶものとする。
イ テント,住宅その他の建造物
ウ 造園,都市計画
(5) 上記(1),(2),(3)および(4)による製作に際しては,次の事項を指導する。
イ 加工法
ウ 用具,機械の扱い方
C 工芸理論
生徒作品,身近な造形品,量産による工芸品,機械,建造物などの作品に即して,工芸,建築の特質,変遷に関する理解を得させるとともに,造形的な思考力や批判力と美的感受性の向上を図るものとする。
人間の創造する工芸,建築の中で,知性と感性の統合によって形くふうる生活造形の意味,特質を,現代生活の場で理解する能力を養う。
(ア) 現代の生活造形として創造する意味
(イ) 科学技術と芸術との融合形体としての特質
イ デザインにおける諸要因
(ア) 用途と形体
人間工学から考えられる構造,形体,寸法
(イ) 材料,構造と形体
工芸材料の種類とその活用形体
(ウ) 生産技術と形体
材料加工や工程から生じる形体
(エ) 工芸,建築と審美性
作品に表われる美的形体
ウ 純粋表現の作品と工芸,建築との相違
エ 工芸,建築の分野
伝達,使用,居住などの生活目的から考える広い分野
(2) 工芸の動向
工芸の発生,各時代の変遷についての大要を理解させる。特に19世紀以後における科学技術の発達とデザイン思潮の展開を中心として,現代および将来の工芸についての思考力を養う。
生活造形と総合性
イ 時代の動きと工芸の変遷
各時代の思潮,生活感情と工芸,建築
ウ デザイン思潮の展開
産業革命以後における生産形態の特質とデザイン
(3) 現代の工芸
工芸,建築における伝統と創造などの意味を理解し,工芸,建築の健全な発達に寄与する態度を養う。
イ 民族性と世界性
生活の中の共通性と独自性
ウ 機械生産と手工芸
量産と一品製作
3 指導計画作成および指導上の留意事項
(2) 創作活動を主体にする指導においては,生徒の着想を尊重し,その構想を実現させるため,教師は適切な助言をする。
(3) デザインと製作の指導においては,内容によって,デザインして製作させるものや,デザインのみに終わるものもあるが,必要に応じて適切に扱うようにする。
なお,デザインと製作の指導に際して,次の点に留意する。
イ 製作完成するものについては,材料は入手しやすく,加工のあまり困難でないものであること。
ウ 製作に際して使用する工具,機械などは,生徒の能力に応ずるものであること。
(4) 指導する事項や指導法については,次の点を考慮する。
イ 絶えず新しい科学技術や芸術の動向に留意して,研究し改善するようにすること。
(5) 必要に応じて共同製作なども課し,学習効果をあげるようにする。
(6) 環境を整備し,安全,清潔,あとかたづけなどに留意し,事故の防止に努めることが必要である。
(7) 指導を有効に進めるためには,工芸に関する各種の造形品,図版,スライドなどの資料を精選し,これらを効果的に活用することが望ましい。
(8) 環境に関心をもつように心がけ,また,工芸に関する施設,工場,展覧会,美術館などを適宜利用するようにすることが望ましい。
第7 書 道 Ⅰ
1 目 標
(2) すぐれた書に親しませ,書の鑑賞力を養う。
(3) 書の理論および伝統や動向を理解し,書を愛好するとともに,その発展に努めようとする態度を養う。
(4) 書の表現,鑑賞および理解を通して,美的感覚を洗練し,芸術文化に対する理解を深め,うるおいのある生活を営む態度や能力を養う。
2 内 容
似下に示す「書道Ⅰ」の内容は,2単位を標準とし,書道に関する科目をはじめて履修する際に取り扱うことを前提として作成したものである。
A 表 現
(2) 表現を容易にし,より効果的にするため,創作や臨書をさせる。
(3) 次の事項について,表現の理法や技術を習得させる。
(ア) 文字の選び方
(イ) 文字の大きさ,太さ
(ウ) 字くばり
(エ) 字間,行間,紙面などの余白
(オ) 墨の濃淡,墨の潤渇
(カ) 律 動
(キ) 調 和
(ク) 統 一
イ 字形のとり方
(ア) 均 斉(せい)
(イ) 均 衡
(ウ) 墨の濃淡,墨の潤渇
(エ) 脈 絡
(オ) 律 動
ウ 点や線の書き方
(ア) 用筆,運筆
(イ) 用具用材と線質との関係
(ウ) 方向,長短,曲直,細太,律動
(エ) 墨の濃淡,墨の潤渇
(4) 主として表現の学習を通して,書の特質と現代的意義など,書についての基礎的な理解を得させる。
B 鑑 賞
イ 全体の構成美を,調和,変化と統一,律動などの着眼点から味わう。
ウ 文字の形体美を,均斉,均衡,律動などの着眼点から味わう。
エ 線美を,強さ,深さ,曲直,細太,律動などの着眼点から味わう。
オ 墨色美を,濃淡,潤渇などの着眼点から味わう。
カ 書の美を,制作の意図,作者の個性,時代的社会的背景などの着用点から味わう。
(2) 書の美について,上記(1)の着販点などから,総合的に味わうようにする。
(3) 主として鑑賞の学習を通して,次の事項について,理解を得させる。
イ おもな書風とその現代的意義
ウ かなの成立と特性
3 指導計画作成および指導上の留意事項
(2) 教材は,現代の書あるいは古名跡のいずれにも片寄ることなく,目的に応じて精選して,利用するようにする。
(3) 臨書の教材は,現代の書ならびに古名跡の代表的な楷(かい)書,行書,草書およびかなとし,平易な隷(れい)書を加えてもよい。
(4) 用具は,毛筆だけに限ることなく,目的や用途に応じて広く硬筆その他を取り上げるように考慮する。
(5) 臨書と創作,現代の書と古名跡,芸術作品と実用文書などの指導の比重は,目的に応じて適切にする。
第8 書 道 Ⅱ
1 目 標
(2) すぐれた書に親しませ,書の鑑賞力を高める。
(3) 書の理論および伝統や動向を理解し,書を愛好するとともに,その発展に努めようとする態度を養う。
(4) 書の表現,鑑賞および理解を通して,美的感覚を洗練し,芸術文化に対する理解を深め,うるおいのある生活を営む態度や能力を養う。
2 内 容
以下に示す「書道Ⅱ」の内容は,4単位を標準とし,「書道Ⅰ」を履修した後に履修させることを前提として作成したものである。
A 表 現
(2) 表現力を高め,表現をより効果的にするために,創作や臨書をさせる。
(3) 次の事項について,表現の理法や技術に習熟させる。
(ア) 文字の選び方
(イ) 文字の大きさ,太さ
(ウ) 字くばり
(エ) 文字の連綿
(オ) 字間,行間,紙面などの余白
(カ) 墨の濃淡,墨の潤渇
(キ) 律 動
(ク) 調 和
(ケ) 統 一
イ 字形のとり方
(ア) 均 斉(せい)
(イ) 均 衡
(ウ) 墨の濃淡,墨の潤渇
(エ) 脈 絡
(オ) 律 動
ウ 点や線の書き方
(ア) 用筆,運筆
(イ) 線質と用具用材との関係
(ウ) 方向,長短,曲直,細太,律動
(エ) 墨の濃淡,墨の潤渇
B 鑑 賞
イ 全体の構成美を,調和,変化と統一,律動などの着眼点から味わう。
ウ 文字の形態美を,均斉,均衡,律動などの着眼点から味わう。
エ 線美を,強さ,深さ,曲直,細太,律動などの着眼点から味わう。
オ 墨色美を,濃淡,潤渇,用具用材との関係,色彩効果などの着限点から味わう。
カ 書の美を,制作の意図,作者の個性,時代的社会的背景,民族性,風土性などの着眼点から味わう。
(2) 書の美について,上記(1)の着眼点などから,総合的,批判的に味わうようにする。
C 理 解
イ 書と現代生活
(2) 書の変遷と動向を理解させる。
イ 日本の書の変遷
ウ 現代の書の動向
(3) 表現に関する理論を理解させる。
イ 臨書と創作
ウ 全体のまとめ方
エ 字形のとり方
オ 点や線の書き方
(4) 鑑賞に関する理論を理解させる。
イ 鑑賞の対象
ウ 鑑賞の方法
(5) 用具用材を理解させる。
イ 用具用材の特性と表現効果
3 指導計画作成および指導上の留意事項
(2) 教材は,現代の書あるいは古名跡のいずれにも片寄ることなく,目的に応じて精選して,利用するようにする。
(3) 臨書の教材は,現代の書ならびに古名跡の代表的な楷(かい)書,行書,草書,かなおよび平易な隷(れい)書とし,なお,平易な篆(てん)書を加えてもよい。
(4) 用具は,毛筆だけに限ることなく,目的や用途に応じて広く硬筆その他を取り上げるように考慮する。
(5) 臨書と創作,現代の書と古名跡,芸術作品と実用文書などの指導の比重は,目的に応じて適切にする。