第5節 保 健 体 育
第1款 目 標
運動の合理的実践を通して,心身の調和的な発達を促すとともに,個人および集団の生活における健康や運動についての理解を深め,これらに関する問題を自主的に解決する能力や態度を養い,国民生活を健全にし,豊かにしようとする意欲を高める。
この目標は,「保健体育」の「体育」と「保健」の両科目のもととなるものである。指導にあたっては,両科目の目標とともに教科の目標の達成に努めななければならない。
第2款 各 科 目
第1 体 育
1 目 標
(2) 運動についての科学的な理解に基づき,合理的な練習によって,運動技能を高めるとともに,生活における運動の意義についての理解を深め,生活を健全にし,豊かにする能力や態度を養う。
(3) 運動における競争や協同の経験を通して公正な態度を養い,自己の最善を尽くし,相互に協力して,個人や集団の目標の実現に向かって努力する能力や態度を養い,社会生活における望ましい行動のしかたを身につけさせる。
2 内 容
以下に示す「体育」の内容は,男子にあっては9単位,女子にあっては7単位を標準として,毎学年継続して履修させることを前提として作成したものである。
A 徒手体操
1 身体各部の運動を確実に行ない,身体の柔軟性を高めるとともに,他の運動の準備,整理,補強などに活用できるようにする。
イ 上肢(し)の運動(屈仲,挙振,回旋)
ウ くびの運動(屈,転,回旋)
エ 胸の運動(伸展)
オ 体側の運動(屈,倒)
カ 背腹の運動(屈,倒)
キ 胴体の運動(転,回旋)
(2) 徒手体操を準備,整理,補強,きょう正などの目的に応じて適切な運動を選び,強度や速度などを変化させて行なえるようにする。
2 運動のねらいや効果を理解し,互いに批判し合って行なう能力や態度を養う。
〔取り扱い上の留意点〕
イ 各部位の運動は,その方法や形のみにとらわれず,リズミカルな動きを重視する。
(2) 女子については,女子向きの運動を選ぶとともに,特に手具(棒,輪,ボールなど)を利用した運動を取り入れるととも考慮する。
(3) 定時制の課程および職業教育を主とする学科においては,特に疲労の回復,固癖の予防きょう正に活用させるようにする。
B 器械運動
1 次の運動によって,基礎的な運動能力を高めるとともに,それぞれの運動が正しく美しくできるようにする。
男子——次の懸垂運動,跳躍運動,転回運動のうちから,それぞれ2種目以上を選択する。
両足中かけ上がり
振り上がり
け上がり
ともえ
腕立て前(後)転
振りとび
横とび越しおり
開(閉)脚とび越しおり
2〜3種目の連続
(2) 跳躍運動
とび上がりおり(各種姿勢)
腕立てとび越し(斜め,水平,垂直,あおむけ)
なわとび(短なわ,長なわ)
(3) 転回運動
前転(開脚,伸膝(しつ)とび込み,台上)
後転(開脚,伸膝(しつ))
腕立て前(側)転,倒立前転
2〜3種目の連続
女子——次の懸垂運動,跳躍運動,転回運動および平均運動のうちから,それぞれ1種目以上を選択する。
懸垂移行
懸垂振り
さか上がり
前回りおり
腕立て前(後)転
(2) 跳曜運動
腕立てとび上がりおり
腕立てとび越し(開,閉脚)
腕立て横とび越し(正面,あおむけ)
なわとび(短なわ,長なわ)
(3) 転回運動
横転,前(後)転(屈膝(しつ),台上)
補助倒立前転
2種目程度の連続
(4) 平均運動
歩−前(後)進
跳−片足とび,両足とび
回転−1/2回転,1回転
支持姿勢−片足支持,腕と足との支持
上がり方−腕立て懸垂の姿勢から上がる,腕立てとび上がり
おり方−とびおり,腕支持でおりる。
2 練習計画を立て,互いに協力して安全に運動を行なう能力や態度を養う。
(2) 正しい補助の方法を理解し,互いに協力し合って行なう。
(3) 適切な準備運動を行ない,安全に注意して練習する。
〔取り扱い上の留意点〕
(2) 懸垂,跳躍,転回,平均の各運動のうちからそれぞれ数種目を選択し,簡易な規則で競技を行なわせてもよい。
(3) 懸垂,跳躍,転回,平均の各運動のうちから2種目以上を選択する場合には,異なった種類のものを選び同じ種類のものに片寄らないようにする。
(4) 指導にあたっては,用具の整備,点検を行なうとともに,生徒の能力および技能の発展段階などを考慮し,特に安全に注意する。
C 陸上競技
1 次の運動によって走,跳,投の技能や基礎的運動能力を高め,正規の規則に準じて,競技や審判ができるようにする。
次の走と跳の運動のらちから,男子はそれぞれ2種目以上,女子はそれぞれ1種目以上,投の運動のうちから1種目以上を選択する。
短距離走と中・長距離走のスタート,疾走フォーム,中・長距離走のペース,持久走の走り方,障害走のインターバルの走り方,障害の越し方,リレーにおけるバトンの受け渡し方
イ 規 則
競走する場合のスタート,順位の決定,計時やリレーゾーン,バトンタッチなどについての規則
(2) 跳の運動−走り幅とび(男・女),走り高とび(男・女),三段とび(男子のみ),棒高とび(男子のみ)
助走と踏み切り,空間のフォーム,着地のしかた
イ 規 則
跳躍競技をする場合の試技,計測,順位の判定についての規則
(3) 投の運動−砲丸投げ,ソフトボール投げ
持ち方,ステップまたはホップのしかた,突き出し方や投げ方
イ 規 則
投てき競技をする場合のファール,計測などの規則
2 目標を決め,練習の計画を立てて自主的に練習する能力や態度を養う。
(2) 準備,計測,審判のための役割を決め,責任をもってそれをなしとげる。
(3) 互いに協力し合って練習する。
(4) 投てきでは,特に他の入に傷害を与えないようにする。
〔取り扱い上の留意点〕
イ 投の運動では,男子は主として砲丸投げ,女子は主としてソフトボール投げを取り扱うようにする。
ウ 中・長距離走や持久走を道路や山野で行なう場合には,適切なコースを選択するとともに必要な手続きをし,交通規則を守って安全に行なわせる。
エ 障害走に用いる障害物は,正規のハードルに限らないで,適当なものを用いてもよい。その高さは60cm〜80cm程度が適当である。
オ 投てき種目を指導する場合には,特に安全に関する練習上の約束を決め,それを厳守させる。
(2) 女子の持久走は,競走的な取り扱いを避け,体力に応じた指導の方法をくふうし,漸次持久力を高めるようにする。
(3) 定時制の課程においては,生徒の実態や学習環境を考慮して,それにふさわしい種目を選び,季節,運動量,傷害予防などに注意して指導する。
D 格 技(男子のみ)
すもう,柔道,剣道のうちから1種目以上を選択する。
1 次の運動の技能や規則を習得し,正規の規則に準じた試合や審判ができるようにする。
(すもう)
(2) 前さばきの技能(あてがい,しぼり込み,巻きあげ,はねあげ,巻き返しなど)
(3) 押し,突き,寄りの技能
(4) 投げの技能(すくい投げ,巻き落とし,突き落とし,うわ手投げ,出し投げなど)
(5) 試合およびそれに必要な規則と審判
(柔 道)
(2) 投げわざ
イ 浮き腰,大腰,つり込み腰,払い腰,はね腰
ウ ひざ車,ささえつり込み足,大内刈り,大外刈り,小内刈り,出足払い,送り足払い
(3) 固めわざ
イ 横四方固め,かみ四方固め
(4) 試合およびそれに必要な規則と審判
(剣 道)
(2) 打つ,突くわざ
小手——面 小手——胴 面——胴
突き——面 突き——小手 面——面
小手——面——胴
イ 払いわざ
払い面,払い小手,払い胴
ウ ひきわざ
ひき面,ひき小手,ひき胴
エ 突きわざ
片手突き,払い突き
(3) かわすわざ
面すり上げ面,面すり上げ胴,面すり上げ小手
小手すり上げ小手,小手すり上げ面,突きすり上げ面
イ 返しわざ
面返し胴,面返し面
小手返し小手,胴返し胴
ウ 抜きわざ
面抜き胴,面抜き小手,面抜き面,小手抜き面
エ 打ち落としわざ
胴打ち落とし面,突き打ち落とし面
(4) 試合およびそれに必要な規則と審判
2 相手を尊重し,互いに協力して練習や試合をする能力や態度を養う。
(2) 礼儀正しく,常に自己の最善を尽くして練習や試合をする。
(3) 服装や練習場所を清潔にし,安全に留意して行なう。
〔取り扱い上の留意点〕
イ 押し,突き,寄りの技能は個々に取り扱うだけてなく,これらの技能を適宜組み合わせて練習させる。
ウ 投げの技能は安全なものを選び,押し,突き,寄りの変化として指導する。
エ 練習や試合において,手刀,けん突き,向こうげり,頭髪をつかむ,頭突き,のどわ,指取り,張り手,さばおりなどの禁じわざを用いないようにさせる。
オ 中学校ですもうを履修しなかった生徒には,基本動作,前さばき,押し,突き,寄りの技能などをじゅうぶん身につけさせてから,投げの技能を指導するようにする。
(2) 柔道では次の点に留意する。
イ 投げわざの指導にあたっては,既習のわざを利用した連絡わざも取り扱うようにする。
ウ 投げわざと関節わざについては,技能の上達した者についてのみ指導するようにする。
エ 中学校で柔道を履修しなかった生徒には,受け身およびくずしと体さばきなどの技能をじゅうぶんに身につけさせてから,投げわざや固めわざを指導するようにする。
(3) 剣道では次の点に留意する。
イ 打つ,突くわざに重点をおいて指導する。
ウ 中学校で剣道を履修しなかった生徒には,構え,足さばき,打突のしかたなどの技能をじゅうぶんに身につけさせてから,打つ,突くわざおよびかわすわざを指導するようにする。
E 球 技
課程別および男女別の運動種目とその選択は次のとおりとする。
全日制の課程
男 子
ハンドボール
バレーボール
テニス(または卓球,バドミントン,ソフトボール)
サッカー
ラグビー
以上の各群からそれぞれ1種目以上
女 子
ハンドボール
バレーボール
テニス(または卓球,バドミントン,ソフトボール)
以上の各群からそれぞれ1種目以上
定時制の課程
男 子
ハンドボール
バレーボール
テニス
卓 球
バドミントン
サッカー
ラグビー
ソフトボール
以上の運動種目から3種目以上
女 子
ハンドボール
バレーボール
テニス
卓 球
バドミントン
ソフトボール
以上の運動種目から2種目以上
1 次の運動の技能や規則を習得して,正規の規則に準じたゲームとその審判ができるようにする。
(バスケットボール)
パス,ドリブル,ショット,ガーディング
(2) 集団技能
イ スクリーンプレーとその防御
ウ セットオフェンスとその防御
エ ファーストブレークとその防御
オ マンツーマンディフェンスとその攻撃
カ ゾーンディフェンスとその攻撃
(3) ゲーム
作戦,規則および審判
(ハンドボール)
パス,ドリブル,シューティング,ガーディング
(2) 集団技能
イ スクリーンプレーとその防御
ウ W型およびV型攻撃とその防御
エ マンツーマンディフェンスとその攻撃
オ ゾーンディフェンスとその攻撃
(3) ゲーム
作戦,規則および審判
(バレーボール)
パス,タッチ,キル,サーブ,レシーブ
(2) 集団技能
イ キルを中心とした送球と攻撃
ウ 2段攻撃と3段攻撃を交えた攻撃法
エ 前衛,中衛,後衛間の守備の連繋(ストップとカバーを含む。)
オ 守備隊形の変形(3:4:2,2:4:3,4:3:2など)
カ 攻撃と守備の連繋とその変化
(3) ゲーム
作戦,規則および審判
(テニス)
ストローク,サービス,バレー,スマッシユ,ロビング,レシーブ
(2) ゲーム
イ ダブルスゲーム
ウ 作戦,規則および審判
(卓 球)
ストローク,サービス,ドライブ,ショート,カット,レシーブ
(2) ゲーム
イ ダブルスゲーム
ウ 作戦,規則および審判
(バドミントン)
ストローク,サービス,レシーブ
(2) ゲーム
イ ダブルスゲーム
ウ 作戦,規則および審判
(ソフトボール)
投球,捕球,投手の投球,打撃,走塁
(2) 集団技能
(ア) 短打の場合
(イ) 長打の場合
イ 走者がある場合の攻撃と防御
(ア) ヒッティング
(イ) バント
(ウ) スクイズ
(エ) ヒットエンドラン
(オ) 盗塁
(3) ゲーム
作戦,規則および審判
(サッカー)
キック,トラッピング,ドリブル,ヘッディング,タックル,シューティング
(2) 集団技能
イ 三角パスを用いる攻撃とその防御
ウ ショートパスによる攻撃とその防御
エ ロングパスによる攻撃とその防御
オ スリーバック型防御とその攻撃
カ ツーバック型防御とその攻撃
(3) ゲーム
作戦,規則および審判
(ラグビー)
キック,パス,キャッチ,ドリブル,タックル,セービング
(2) 集団技能
イ ラインアウト
ウ パスを主とする攻撃とその防御
エ キックを主とする攻撃とその防御
オ ドリブルを主とする攻撃とその防御
(3) ゲーム
作戦,規則および審判
2 計画を立て,互いに協力して,練習やゲームを公正に行なう能力や態度を養う。
(2) はげしく競う場合でも平静さを失わず,相手の立場を尊重して公正にプレーする。
(3) 審判は厳正に行ない,審判の判定に素直に従う。
(4) 急激なプレーに適応できるように準備運動をじゅうぶんに行ない,規則を守り,安全に運動を行なう。
〔取り扱い上の留意点〕
イ バレーボールの指導では,6人制バレーボールを行なってもよい。
ウ テニス,卓球,バドミントンなどは,できるだけ多数の者が活用できるようにコートや用具の使用および指導のしかたをくふうする。また,男女混合のチームをつくってゲームを行なうなどの方法も考慮するとよい。
(2) サッカーの指導にあたっては,競技場を狭くし,競技時間を短縮して,6人制または8人制のサッカーを行なってもよい。
(3) ラグビーの指導にあたっては,傷害防止の立場からも,特に基本になる技能をじゅうぶんに指導する。また生徒の能力や運動場の状態などを考慮して,タックルの代わりにタッチなどの方法を用いるようにする。
(4) 定時制の課程においては,生徒の実態や学習環境などを考慮して,それにふさわしい種目を選ぶようにすることが望ましい。
F 水 泳
1 次の運動によって,泳ぎや飛込の能力を高め,救助法を理解し,水中で安全に対処できるようにする。
クロール,平泳,背泳,横泳,立泳,潜水
イ 競 泳
スタート,ターン,リレーの引き継ぎ,泳ぎ方の規則
(2) 飛 込
立ち飛込,さか飛込
(3) 救助法
自分がけいれんを起こした場合,泳がないで助ける場合泳いで助ける場合(離脱法を含む)などの救助法
人工呼吸法
2 互いに協力して,能力に応じた計画をもって自主的に練習する。
(2) 予定した距離は泳ぎきるように努力する。
(3) 競泳を計画し,審判その他の役割を果たす。
(4) 水泳の一般心得や水泳場の遵守事項を守って安全に泳ぐ。
(5) 水から上がつて休んでいる時でも,泳いでいる人の様子を見て安全に注意する。
(6) 水の汚染を防止するように協力する。
(7) 自己の泳力を過信して無理な泳ぎをしない。
(8) からだの調子が悪くなったときは,指導者に告げてから休む。
〔取り扱い上の留意点〕
(2) 足の動作その他の基本動作の練習は,授業の初めや終わりなどに適宜行なわせる。
(3) 初心者に対しては,別に計画を立てて指導する。
(4) 近くの海などを使用して泳法を実施する場合は,競泳的な種目に代えて遠泳に適する泳法を選び,その泳法に習熟させ,長く泳ぐような練習計画を立ててもい。
(5) クロール,平泳,横泳のうち,いずれか一つに習熟させることが望ましい。
(6) 泳いで行って救助する方法の指導にあたっては,未熱者には困難な方法であることを理解させる。
G ダ ン ス
男子にあっては,フォークダンスのみとする。
1 次のダンスの技能を習得し,フォークダンスを楽しく踊れたり,美しい作品がつくれるようにする。
(フォークダンス)
(2) それぞれの民踊に応じ,ステップや動作を相手に合わせてリズミカルにできるようにする。
〔舞踊創作〕
題 材 例
流れ,四季,動きのデザイン
労働のリズム,音楽によせて,人間の感情
(2) 個人や集団(2〜8人)で歩走,屈伸,回旋,回転,振動,平均,倒,波動などのリズミカルな動きや場所の使い方をくふうし,対比,均衡などの美的原理を活用した表わし方をする。
2 グループごとに計画を立て,互いに協力して,練習や発表をする能力や態度を養う。
(2) 役割や配役を分担し,責任をもって果たす。
(3) 題材および内容や表わし方についてグループで決定し,協力してひとつのものを完成する。
(4) 創作の手順を理解し,グループ内または他のグループと協力して練習する。
(5) 目標を知り,計画をもって学習を進め,また発表会を計画して,じょうずに運営する。
(6) 互いに作品を批判し合って美意識を高める。
〔取り扱い上の留意点〕
(2) フォークダンスは,現在および将来のレクリエーションとして,生活に活用されるように内容や指導の方法をくふうする。
(3) フォークダンスは,できるだけ男女いっしょに学習させるようにする。
(4) フォークダンスと舞踊創作の指導時数の割合は,各学校の実情に応じて適宜配分する。
(5) 舞踊創作は,美的原理の理解に基づいてよい作品ができるようにする。
また,広く社会の舞踊に対しても鑑賞力を高めるように指導する。
H 体育理論
1 発達と運動
高等学校期における男女の身体の形態機能,運動能力の発達の特徴とそれらと関連する精神的特性および生活時間や生活環境の特性と運動との関係を取り扱う。
(2) 運動の類型と特性
体育・レクリエーションとして行なわれている運動の類型や構造および発達や生活における運動の意義を取り扱う。
なお,登山,キャンプ,スキーなどの野外活動に関しては,特に安全のために必要な自然に対する知識,計画の立て方なども取り扱う。
2 運動の練習
運動の練習と筋肉,神経,呼吸,循環,内分泌などとの関係および疲労や栄養との関係についても取り扱う。
イ 運動の力学
運動技能に関連した力,速度,重力などの原理を取り扱う。
ウ 運動の心理
運動技能の上達と運動の欲求,練習過程における進歩や停滞,競争の場における精神的緊張およびリーダーシップやチームワークなどを取り扱う。
(2) 運動の練習方法
運動技能の上達と身体の柔軟性,敏しょう性,筋力,持久性などとの関係およびこれらを高めるための各種の練習法を取り扱う。
イ 運動技能の練習法
運動技能の特性に応じた練習の方法を取り扱い,また練習の配分,練習量および練習の順序など練習計画についても取り扱う。
(3) 運動の練習と健康・安全
運動の練習と傷害予防,疾病などとの関係を取り扱う。また,身体虚弱者や肢(し)体不自由者と運動との関係についても取り扱う。
(4) 練習効果の測定
呼吸,循環機能の簡易な検査法や柔軟性,敏しょう性,筋力などの測定方法,運動技能の測定方法およびこれらの結果の評価法などを取り扱う。
3 社会生活と体育
都市の発達,職業の分化,交通通信の発達および自由時間の増加などによる社会生活の変遷と体育・レクリエーションの関係を概観する。
(2) 職業生活と体育
職業生活の特性と運動との関係および職場における体育・レクリエーションの現状や問題などを取り扱う。
(3) 地域社会の生活と体育
現代における家庭生活や地域社会の生活の特性と運動との関係および地域社会における体育・レクリエーションの現状や問題などを取り扱う。
(4) わが国の体育
わが国における体育・レクリエーションに関する制度,施設などの現状や問題を取り扱い,社会における体育・レクリエーションの意義について考えさせる。
3 指導計画作成および指導上の留意事項
全日制の課程
領域 |
男 |
% |
女 |
% |
徒手体操 |
||||
器械運動 |
懸垂運動 跳躍運動 転回運動 懸垂,跳躍,転回の各運動のうちからそれぞれ2種目以上 |
15〜20 |
懸垂運動 跳躍運動 転回運動 平均運動 懸垂,跳躍,転回,平均の各運動のうちからそれぞれ1種目以上 |
10〜20 |
陸上競技 |
走−短距離走,中・長距離走,障害走,リレー 跳−走り幅とび,三段とび,走り高とび,棒高とび 走,跳の運動のうちからそれぞれ2種目以上 投−砲丸投げ,ソフトボール投げのうちからそれぞれ1種目以上 |
15〜20 |
走−短距離走,持久走,障害走,リレー 跳−走り幅とび,走り高とび 走,跳の運動のうちからそれぞれ1種目以上 投−ソフトボール投げ,砲丸投げのうちからそれぞれ1種目以上
|
15〜10 |
格 技 |
相撲,柔道,剣道のうちからそれぞれ1種目以上 |
5〜15 |
||
球 技 |
バスケットボール,ハンドボール バレーボール,テニス(または卓球,バドミントン,ソフトボール) サッカー,ラグビー 上の各群のうちからそれぞれ1種目以上 |
25〜35 |
バスケットボール,ハンドボール バレーボール,テニス(または卓球,バドミントン,ソフトボール) 上の各群のうちからそれぞれ1種目以上 |
25〜35 |
水 泳 |
泳ぎ,飛込,救助法 |
5〜15 |
泳ぎ,飛込,救助法 |
5〜15 |
ダンス |
フォークダンス (上学年のみ) |
5〜10 |
フォークダンス舞踊創作 |
20〜30 |
理論 |
5〜10 |
5〜10 |
定時制の課程
領域 |
男 |
% |
女 |
% |
徒手体操 |
||||
器械運動 |
懸垂運動 跳躍運動 転回運動 懸垂,跳躍,転回のうちからそれぞれ2種目以上 |
15〜25 |
懸垂運動 跳躍運動 転回運動 平均運動 懸垂,跳躍,転回平均の各運動のうちからそれぞれ1種目以上 |
10〜25 |
陸上競技 |
走−短距離走,中・長距離走,障害走,リレー 跳−走り幅とび,三段とび,走り高とび,棒高とび 走,跳の運動のうちからそれぞれ2種目以上 投−砲丸投げ,ソフトボール投げのうちからそれぞれ1種目以上
|
10〜20 |
走−短距離走,持久走,障害走,リレー 跳−走り幅とび,走り高とび 走,跳の運動のうちからそれぞれ1種目以上 投−ソフトボール投げ,砲丸投げのうちからそれぞれ1種目以上
|
10〜15 |
格 技 |
相撲,柔道,剣道のうちからそれぞれ1種目以上 |
10〜15 |
||
球 技 |
バスケットボール ハンドボール バレーボール テニス 卓球 バドミントン ソフトボール サッカー ラグビー 上記の種目のうちから3種目以上 |
25〜35 |
バスケットボール ハンドボール バレーボール テニス 卓球 バドミントン ソフトボール 上記の種目のうちから2種目以上 |
25〜35 |
水 泳 |
泳ぎ,飛込,救助法 |
5〜15 |
泳ぎ,飛込,救助法 |
5〜15 |
ダンス |
フォークダンス (上学年のみ) |
5〜10 |
フォークダンス 舞踊創作 |
15〜30 |
理 論 |
5〜10 |
5〜10 |
(2) 全日制の課程の職業教育を主とする学科および定時制の課程の男子において,8単位あるいは7単位に減じて指導する場合は,基本的事項の学習がおろそかにならないように各領域の内容を重点的に取り扱うようにする。
(3) 各領域の内容については,示された事項に基づき,地域や学校および生徒の実態などを考慮して選択するとともに,これに示していない運動種目(たとえばスキー,スケートなど)を加えて指導してもよい。この場合においても,示された目標や内容の趣旨を逸脱しないようにするとともに,各領域の授業時数の割合をあまり変更しない程度に各領域の授業時数をさいてこれに充てる。
(4) 各領域の運動種目の選択にあたっては,学年の発達段階を考え,低学年では身体の発達を促進させるような種目,高学年では将来の生活に取り入れやすい種目に重点をおくようにする。
(5) 適当な水泳場がなく,水泳を実施することができない場合には,これを欠くことができる。
(6) 格技は,定時制の課程にあっては,生徒の生活の実態や学習環境などの条件からみて取り扱うことが適当でないと思われる場合には,欠くことができる。
(7) 水泳や格技を欠く場合には,これらに割り当てられた授業時数を他の運動種目の指導に充てるか,または示されていない運動種目を加えて指導する場合に,これを充ててもよい。
(8) 指導計画の作成や指導にあたっては,それぞれの運動の特性,生徒の健康状態,体力,運動の経験,男女の特性を考慮するとともに,施設,用具なども考慮する。また特別教育活動や学校行事等と関連させて自発的,積極的な学習が行なわれるようにすることが望ましい。
(9) 身体機能や基礎的運動能力などの測定を行ない,生徒に自己の体力の現状をはあくさせるとともに,これらを指導のための資料として活用し,学習効果を高めるようにする。
(10) 各運動の指導にあたっては,指導のねらいや運動の特性に応じ,単に運動技能の指導のみに陥ることなく,必要な内容が片寄りなく学習されるように考慮する。
(11) 職業教育を主とする学科および定時制の課程については,生徒の日常生活や学習環境などをじゅうぶん考慮し,運動の片寄りを防ぎ,職業による固癖を予防するなど,生活との調和を考えて,計画し指導する。
(12) 体育理論の指導は,体育の全体計画の中に位置づけ,できるだけ各運動の指導と関連を図るとともに,保健や他教科との関連を図り,それらの学習成果を有効に利用して指導する。
(13) 各運動の指導にあたっては,病弱者,身体虚弱者および肢(し)体不自由者などに対しては,学校医と連絡をとり,その程度に応じて適切な指導をする。
(14) 各運動の指導と関連させ,日常の正しい歩き方や姿勢についても適宜取り扱うようにする。
(15) 集団行動については,各運動の指導と関連させ,その必要性を理解させて適切に指導する。
第2 保 健
1 目 標
(2) 労働について保健の立場から理解させ,これに基づいて健康生活を計画し実践する能力と態度を養う。
(3) 公衆衛生について系統的に理解させ,集団の健康を増進し,国民保健の発展に寄与する態度と能力を養う。
2 内 容
以下に示す「保健」の内容は,2単位を標準とし,全日制の課程にあっては第2学年および第3学年,定時制の課程にあってはそれに相応する学年において履修させることを前提として作成したものである。
(ア) 恒常性の内容
(イ) 恒常性の維持
(ウ) 神経調節,化学調節
(エ) 桔(きつ)抗作用
イ 適応作用
(ア) 適応作用の内容
(イ) 馴 化
(ウ) 限度と至適条件
ウ 余裕と物質貯蔵
(ア) 余裕と器官の機能
(イ) 貯蔵物質と貯蔵器官
エ 年令等による身体の変化
(ア) 成 熟
(イ) 老 化
オ 全体性とその維持
(ア) 全体性の内容
(イ) 全体性の維持と生活
(ウ) 生活の構造と調和統一
(2) 人体の病理
(ア) 主因と誘因
(イ) 内因と外因
イ 疾病による身体の変化
(ア) 病 変
(イ) 症 状
ウ 疾病の転帰・治療
(ア) 治 癒(ゆ)
(イ) 治 療
(ウ) 後遺症
(エ) 死
(3) 精神衛生
(ア) 生活時間と生活空間の拡大
(イ) 対人関係の複雑化
(ウ) 自我の確立
イ 精神と身体の関連
(ア) 脳の構造と機能
(イ) 行動の生理学的基礎
(ウ) 青年期における身体と精神との関係
ウ 欲求と行動
(ア) 欲求の種類
(イ) 適応の機制
(ウ) 不安と葛藤(かっとう)
(エ) 欲求の充足と不満
エ 個人差と適応
(ア) 知能と性格の個人差
(イ) 適応の個人差
(ウ) 個人差の判定
(エ) 家族関係と社会的適応
オ 適応異常と精神障害
(ア) 適応異常
(イ) 神経症・精神病・精神薄弱
(4) 労働と健康・安全
(ア) 日本人の基礎代謝
(イ) エネルギー代謝
(ウ) 疲労と作業の合理化
(エ) 労働適性
イ 労働疾病
(ア) 疾病と労働力損失
(イ) 職業病
ウ 労働衛生
(ア) 作業環境条件と健康
(イ) 婦人と労働
(ウ) 農業と労働
エ 労働災害
(ア) 作業諸条件と災害
(イ) 災害による損失
(ウ) 機能欠損とその後措置
(エ) 災害防止
オ 労働者の生活と健康
(ア) 労働寿命
(イ) 作業条件と休養・睡眠
(ウ) 作業条件・作業環境と栄養
(エ) 家事労働の合理化
(5) 公衆衛生
(ア) 衛生統計
(イ) 保健管理
イ 公衆衛生の内容と機構
(ア) 疾病予防・医療・社会復帰
(イ) 母子衛生・家族計画・国民優生
(ウ) 栄養改善
(エ) 環境改善
(オ) 公衆衛生と社会保障・社会福祉
ウ 公衆衛生と健康の本質
(ア) 健康観の変遷と公衆衛生道徳
(イ) 公衆衛生の発展
3 指導計画および指導上の留意事項
(2) 特別教育活動,学校行事等との関連を密にし,自発的,積極的な学習が行なわれるようにする。
(3) 学校における保健管理との関連を考慮して,これを学習に取り入れるとともに,学習の効果のあがるようにする。
(4) 家庭や地域社会における保健問題の解決に資するようにする。
(5) 人体の生理,精神衛生,公衆衛生などの学習においては,性教育を考慮し,成熟と男女の性別,月経・妊娠・出産の生理,結婚と健康などについて指導する。この学習にあたっては,性の純潔に関する道徳を高めることをねらいとして,男女の性別を考慮して指導する。
(6) 人体の病理,労働と健康・安全,公衆衛生などの学習においては,中毒とその予防の指導を考慮する。
(7) 精神衛生については,主として精神的健康の立場から取り扱うようにする。
(8) 労働と健康・安全,公衆衛生などの学習においては,法令の指導におわらぬよう考慮する。
(9) 労働と健康・安全の学習においては,特に定時制の課程では,生徒の日常の生活経験をもとにして,学習の効果のあがるようにする。
(10) 学習指導に際しては,次のような実習・調査・見学などを活用し,学習の効果のあがるようにする。
イ 生理的機能測定の実習
ウ 環境衛生の調査
エ 保健関係施設の見学および調査
オ 食品製造・加工施設の見学および調査