第2節 社 会
第1款 目 標
1 自他の人格や個性を尊重して,基本的人権や公共の福祉を重んずることが,社会生活の基本であることについての認識を深め,民主主義の諸原則を人間生活に実現しようとする態度とそれに必要な能力を養う。
2 人間の存在や価値についての思索を通して,人間としての自覚を深め,人間生活の向上を図ろうとする自主的な態度を養う。
3 社会生活の歴史的発展過程や地理的条件に関する理解を深めるとともに,現代社会の諸問題に関する基本的事項を理解させて,社会生活の諸問題を正しく判断する能力を育て,健全な批判力をもってこれらに対処しようとする態度を養う。
4 国際関係と世界におけるわが国の地位を理解させ,国民としての自覚を高め,民主的で文化的な国家を建設して,世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする態度を養う。
5 社会に関する問題について,科学的,合理的に研究して自主的に解決していこうとする態度とそれに必要な能力を養う。
以上の目標の各項目は,相互に密接な関連をもって全体として「社会」の目標をなすものであり,「社会」の各科目の目標のもととなるものである。指導にあたっては,各科目の目標とともに教科の目標の達成に努めなければならない。
第2款 各 科 目
第1 倫理・社会
1 目 標
(2) 人間の心理や行動を社会や文化との関連において理解させるとともに,青年期における身近な問題を通して,人間としての自覚を深める。
(3) 人生観・世界観の確立に資するために,先哲の人間や社会に対する基本的な考え方を理解させ,これをみずからの問題に結びつけて考察する能力と態度を養う。
(4) 現代社会について科学的,合理的に理解させるとともに,そこにおける人間関係のあり方について考えさせ,人間や社会や文化の問題について,これを建設的に解決していこうとする態度とそれに必要な能力を養う。
2 内 容
以下に示す「倫理・社会」の内容は,2単位を標準とし,全日制の課程にあっては第2学年,定時制の課程にあってはこれに相応する学年において履修させることを前提として作成したものである。
人間のあり方についての理解と自覚を得させるための基礎として,人間性と青年期に関する諸問題を取り扱い,人生観・世界観への関心をもたせる。
人間と文化
人間と生活や行動の様式としての文化との関係を基礎として,人間存在について考えさせる。
人間形成の条件
行動の機制にもふれ,人格の発達について主として社会的,心理的な観点から考えさせる。
青年期の問題
自我の発達を中心として,青年期における心理的,社会的諸問題を取り扱い,人生における青年期の意義について考えさせる。
(2) 人生観・世界観
先哲の考え方について,その時代的背景との結びつきにもふれながらこれを取り扱い,また,現代思想のおもなものについて考えさせ,どのように現代社会に生きるべきかを自主的に考えていこうとする意欲を高める。
西洋の考え方
西洋思想の源流(ギリシアの思想,キリスト教の考え方などを取り扱う)
近代の思想(人間の尊重,合理的・実証的精神,市民社会の倫理などの観点から取り上げる。)
東洋の考え方
東洋思想(たとえば,仏教,儒学など)の基本的な考え方を取り扱う。
日本の考え方
日本の古来の考え方や,外来思想を受容し発展させたものを取り上げて,日本的なものの考え方について考えさせる。
現代の思想
上記の三つの考え方と関連させながら,現代の思想(たとえば,社会主義,プラグマチズム,実存主義,その他)のおもないくつかを取り扱い,自主的,批判的な思考力を養う。
なお,「(2) 人生観・世界観」の場合,たとえば幸福,人間の尊重,個と全体,自由と平等,正義と平和など,適当な主題を取り上げて,上記の事項を学習させることも考えられる。
(3) 現代社会と人間関係
現代社会を客観的に理解させるとともに,そこにおける人間関係のあり方について考えさせ,民主主義の倫理をおのおのの集団生活において具体的に実践することが,われわれの課題であることを理解させる。
現代社会と文化
社会集団の構造と機能(社会集団の類型や社会規範を含めて取り扱う。)
現代社会の特質と文化(中間層の拡大,組織の巨大化,マスコミュニケーションなど,大衆社会の諸問題を含めて取り扱う。)
社会集団における人間関係
家族(家族法にもふれ,家族関係のあり方を考えさせる。)
地域社会・職域社会(人間関係の改善や職業の倫理を含めて取り扱う。)
国家と国際社会(国民としての自覚や人類愛の精神を含めて取り扱う。)
民主社会と民主主義の倫理
民主社会をささえている精神(たとえば,人格の尊厳と個性の尊重,自由と平等,社会的連帯性,公共の福祉など)を理解させるとともに,倫理と政治や経済との密接な関連にもふれる。
3 指導計画作成および指導上の留意事項
中学校「社会」の政治・経済・社会的分野の内容とのむだな重複を避けまた,それと同じ事項を取り扱う場合にも,より広い視野に立って,程度を深めて考察させる。
中学校「道徳」の内容に関連する事項を取り扱う場合にも,理論的考察に重点をおき,さらに高等学校ホームルームにおける指導とも関連させて,自己形成の必要なことを認識させ,倫理的関心を高める。
「倫理・社会」の学習は,「政治・経済」の学習と密接な関連をもつことによって,より具体化されるものであることに留意して指導する。
(2) 内容に掲げた事項の組織・配列は,そのまま指導の順序やまとまりを示すものではない。各学校においては,教科および科目の目標に基づいて,各事項のまとめ方や順序をくふうし,適切な指導計画を作成することが望ましい。また,特定の事項だけに片寄ることなく,内容の全般にわたって指導する。
(3) 各事項の指導にあたっては,社会や文化や人間の見方には異なったものがあることを考慮するとともに,広い視野に立って,人間のあり方についての総合的理解を得させることができるように留意する。
(4) 各事項の指導にあたっては,それが民主主義の倫理についての理解と実践につらなるものであることに留意する。
(5) 「(2) 人世観・世界観」の指導においては,東西の先哲の著作や言行の一部などを取り上げることも考えながら,具体的に理解させるように指導する。
(6) 「西洋の考え方」の指導については,たとえばソクラテス・プラトン,ロック,ルソー,カント,ヘーゲル,ジョン=スチュアート=ミル,マルクス,ダーウィンなど,西洋の先哲の思想を適宜選んで,その基本的な考え方を理解させる。なお,「キリスト教の考え方」では,たとえば聖書によって,その基本的な考え方を理解させるとともに,近代の思想との関連にも気づかせる。
「東洋の考え方」の指導については,たとえば仏陀(ぶつだ),孔・孟(もう),老・荘など,東洋の先哲の思想を適宜選んで,その基本的な考え方を理解させる。
「日本の考え方」の指導については,日本の代表的な宗教思想家や学者などを適宜選んで,その基本的な考え方を理解させる。
(7) 「現代の思想」のうち,社会主義には考え方や立場の異なったものがあるので,指導にあたっては,これらの相違についても理解させる。
(8)「(3) 現代社会と人間関係」の指導にあたっては,できれば,その内容に即して,社会科学の研究方法(たとえば,数量的取り扱いなど)にもふれさせることが望ましい。
(9) 政治および宗教に関する事項の取り扱いについては,教育基本法第8条および第9条の規定に基づき,適切に行なうよう特に慎重な配慮をしなければならない。
(10) 生徒の手記や作文などの利用,年鑑,新聞などの資料や統計の検討・利用,討議,読書,社会調査,見学などを適宜実施することにより,学習効果をあげるように努める。また,教材として適切なスライド,放送,映画などを精選して,これらを効果的に活用することが望ましい。
第2 政治・経済
1 目 標(2) 民主主義の本質を認識させ,日本の政治の基本的事項を理解させて,民主政治のよりよい実現のために努力しようとする態度を養う。
(3) 国民経済に関する基本的事項を総合的に理解させ,日本経済の特質と問題点とを明らかにして,日本経済の民主化とその発展に貢献しようとする態度とそれに必要な能力を養う。
(4) わが国の近代化と社会生活の向上を図る上に,労働関係の改善や社会福祉の増進が重要な意義をもつことを認識させるとともに,それらに必要な方策を政治や経済との関連において考察させ,健康で文化的な生活を実現しようとする態度を養う。
(5) 国際関係の基本問題を理解させ,国際社会におけるわが国の政治的,経済的および文化的地位の認識とその使命の自覚を得させ,国際協力を進め,世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする態度を養う。
(6) 客観的な資料を選び,これを正しく利用して,現実の諸問題を科学的,合理的に研究し,公正に判断しようとする態度を養い,それに必要な能力を高める。
2 内 容
以下に示す「政治・経済」の内容は,2単位を標準とし,全日制の課程にあっては第3学年,定時制の課程にあってはこれに相応する学年において履修させることを前提として作成したものである。
民主政治の本質
独裁政治との比較関連において取り扱う。
政治の機能
政治と法および道徳
権力分立と地方自治
議会政治(代議制,多数決原理を含めて取り扱う。)
議会と政府(議院内閣制を中心にし,大統領制をも取り扱い,それらに関連して社会主義政治体制にもふれる。)
日本国憲法の基本問題
日本国憲法制定の意義(特にその基本的性格について帝国憲法と比較する。)
基本的人権の保障(自由権的基本権と生存権的基本権,公共の福祉などを取り扱う。)
権力分立とその運営上の諸問題(国会と内閣との関係,司法権の独立などを取り扱う。)
法の支配(憲法の最高法規性,違憲立法審査権などを取り扱う。)
日本の政治の諸問題
政党政治
民主政治と行政(行政の民主化,公務員制度などを取り扱う。)
地方自治
世論と政治(圧力団体;政治的無関心を含めて取り扱う。)
(2) 日本の経済
国民経済の循環と発展
経済主体と経済体制(社会主義経済にもふれる。)
国民所得の動き
価格機構
金融・財政
貿易・国際収支
日本経済の構造
国民所得と経済の成長
産業構造の特色
日本経済の諸問題
労働・雇用問題
生産性向上・技術革新
農業と農村問題(日本経済に占める農業の地位,農村生活向上の課題などを取り扱う。)
中小企業の現状とその対策
長期経済計画と日本経済の発展(日本経済の安定的発展という観点に立って,資本蓄積,貿易などの問題を含めて取り扱う。)
(3) 労働関係・社会福祉
労働関係の改善
社会政策や労働法規を中心として取り扱う。
労働者の地位と生活の向上
労使関係の安定
社会福祉の増進
社会生活の向上(現代社会における生活不安の解決を取り扱い,福祉国家の理念にもふれる。)
社会保障(社会保険,公的扶助などを取り扱い,おもな国々の祉会保障制度にもふれる。)
(4) 国際関係と国際協力
国際社会と国家
国際関係の基本的要因(政治的,経済的,思想的要因などを取り扱う。)
国際政治と国家(国際法,国際連合などを取り扱う。)
国際経済と国民経済(国際貿易,国際為替(かわせ),国際投資,国際経済機構などを取り扱う。)
国際政治・経済の動向
国際政治の現状と課題(集団安全保障,民族問題,軍縮問題,原子力問題を含めて取り扱う。)
国際経済の現状と課題(資本主義経済圏と社会主義経済圏,地域的経済統合,貿易の自由化,低開発国の開発などを取り扱う。)
国際関係と日本
国際社会における日本の地位
世界の平和と人類の福祉への寄与
3 指導計画作成および指導上の留意事項
中学校「社会」の政治・経済・社会的分野の内容とのむだな重複を避けまた,それと同じ事項を取り扱う場合にも,生徒の発達段階に応じていっそう深めて考察させるように指導する。
(2) 内容に掲げた事項の組織・配列は,そのまま指導の順序やまとまりを示すものではない。各学校においては,教科および科目の目標に基づいて,各事項のまとめ方や順序をくふうし,適切な指導計画を作成することが望ましい。また 特定の事項だけに片寄ることなく内容の全般にわたって指導する。
(3) 現実の諸問題に深い関心をもたせるとともに,その解決の基礎となる基本的事項についての理解を,その歴史的背景にも留意しながら,いっそう深めて,公正な判断力や健全な批判力を養うように指導する。
(4) 指導にあたっては,社会生活の理想や価値が政治的,経済的,社会的な事象を通して具体化されるものであることに留意する。
(5) 政治に関する事項の取り扱いについては,教育基本法第8条の規定に基づき適切に行なうよう特に慎重な配慮をしなければならない。
(6) 「政治と法および道徳」の指導にあたっては,法の尊重の意義を理解させるようにし,その理解を基礎として「法の支配」を取り扱うように留意する。
(7) 各種の白書,年鑑,新聞などの資料や統計などの検討・利用,討議,社会調査,見学などを適宜実施することにより,学習効果をあげるように努める。また,教材として適切なスライド,放送,映画などを精選して,これらを効果的に活用することが望ましい。
第3 日 本 史
1 目 標(2) 日本史における各時代の政治,経済,社会,文化などの動向を総合的にとらえさせて,時代の性格を明らかにし,その歴史的意義を考察させる。
(3) わが国の社会と文化が,われわれの祖先の努力の集積によって発展してきたことを理解させ,また,それにともなって国民の生活が,しだいに向上してきたことを考えさせる。
(4) わが国の学問,思想,宗教,芸術などの文化遺産についてその理解を深め,親しみ尊重する態度を育て,さらに新しい文化を創造し発展させようとする意欲を高める。
(5) 日本史の発展を常に世界史的視野に立って考察させ,世界におけるわが国の地位や,文化の伝統とその特質を理解させることによって,国際社会において日本人の果たすべき役割について自覚させる。
(6) 史料なども利用し,史実を実証的,科学的に理解する能力を育て,史実をもとにして歴史の動向を考察する態度を養う。
2 内 容
以下に示す日本史の内容は,3単位を標準とし,全日制の課程にあっては第3学年,定時制の課程にあってはこれに相応する学年において履修させることを前提として作成したものである。
石器時代の生活と文化
農耕文化の発生
原始社会の生活と文化が,農耕の開始によって発展したことに着目させ,また,原始信仰にもふれる。その際,世界の諸民族の原始社会に関する知識なども活用することが望ましい。
(2) 古代国家の形成と大陸文化の摂取
国家の成立
大陸文化の摂取と律令(りつりょう)体制の成立
律令政治の推移と文化の展開
小国家分立の状態から統一国家の形成に至る過程を,アジア大陸の情勢とも関連させて理解させる。大陸文化の摂取については,帰化人や留学生の活動にも着目させる。律令体制については,政治機構ばかりでなく,農民生活活などにもふれ,また,奈良(なら)時代から平安時代初期にかけて,それに修正を加える必要が生じた事情を明らかにする。
(3) 貴族の政治と文化
荘園(しょうえん)の発達
摂関政治と院政
国風文化の成立
律令体制の動揺から摂関政治,院政に至る過程を理解させる。その際,貴族の経済的基盤である荘園の所有関係,その内部構造の変化,武士の発生・成長などに留意する。また,その間に大陸文化が消化されて,日本人の生活や思想と融合し,宗教,文学,美術などに特色のあるものが生じてきたことを理解させる。
(4) 武家社会の形成と文化の動向
武家政権の成立
武家政治と社会の動き
文化の新傾向
平氏政権をへて幕府政治が出現した過程,公武対立の社会経済的な原因について理解させる。文化については,伝統的なものや外来文化との関連に留意する。なお,新仏教の展開については,それがこの時代のどのような要求に基づいて生まれてきたかを考えさせる。
(5) 武家社会の展開と文化の普及
南北朝の争乱
幕府の政治と社会の動揺
文化の庶民化の傾向
鎌倉時代末期から南北朝・室町時代をへて,戦国時代に至る過程については,荘園制の崩壊,大名領国制の形成,庶民の動き,郷村制の成立などを中心として取り扱い,産業の発達や対外関係にも着目させる。文化については,その特色を明らかにし,地方への普及や庶民化の傾向に留意する。
(6) 封建社会の確立と文化の興隆
国内の統一と新文化の形成
幕藩体制の成立と鎖国
産業経済の進展
文化の興隆
織豊政権による国内統一から,江戸幕府が幕藩体制を確立するまでの過程を,そのころの世界の情勢とも関連させながら理解させる。また,儒学を中心とする学問や文学・美術の興隆については,経済の発達,社会の安定などとあわせて考えさせる。
(7) 封建社会の動揺と文化の成熟
社会の動揺と幕政の推移
町人文化の成熟
新しい学問と思想
商品経済や貨幣経済の発展にともない,封建社会の基礎が動揺して,町人や農民の間に反封建的な動きが現われてきたことに着目させ,それに対処するために幕府や諸藩が行なった政治の改革を理解させる。また,町人社会を中心とする文学・美術・芸能の発達普及,旧来の学問・思想に対るる批判を含む国学,洋学などの発達,およびそれらが後の政治や社会に与えた影響について考えさせる。
(8) 近代国家の成立と近代文化の発達
幕府の衰亡と国際環境
明治維新
自由民権辺動と議会政治の開始
対外政策と資木主義の発達
西洋文化の摂取と近代文化の発達
幕末から明治維新に至る過程を,19世紀の世界の動向の中で理解させる。特にわが国が明治維新を実現し,欧米諸国に対する立ちおくれを克服して,近代国家に成長していく過程を明らかにし,対外政策や日本資本主義の特色,社会問題などについて考えさせる。また,西洋文化が急速に摂取され,国民生活に大きな変化が生じてきたことに着目させる。
(9) 国際情勢の推移と日本
第一次世界大戦と日本
国民生活と文化の進展
経済界の不況と軍部の台頭
第二次世界大戦と日本
第一次世界大戦から第二次世界大戦の終結に至る過程については,国際情勢の推移,日本の対外政策,国内の政治の動き,経済問題,社会問題などの相互の関連に着目させて取り扱う。またこの間における国民生活の変化と文化の特色について理解させる。なお,戦争のもたらす人類の不幸や損失について深く考えさせる。
(10) 現代の日本と世界
国内体制の変革
世界の動向と日本
国民生活の変化
日本の課題
第二次世界大戦後の国内の民主的な諸改革,科学・技術の進歩国民生活の変化について理解させ,また,世界における日本の地位を,世界の動向,特に最近のアジア・アフリカ諸国の動きなどと関連させて考えさせる。
また,日本史全般にわたる歴史的発展や日本の文化の特性を顧みさせ,わが国の社会や文化をさらに発展させて,世界人類に寄与すべき方途について考えさせる。
3 指導計画作成および指導上の留意事項
(2) 内容に掲げた事項の組織・配列は,そのまま指導の順序やまとまりを示すものではない。各学校においては,教科および科目の目標に基づいて,各事項のまとめ方や順序をくふうし,適切な指導計画を作成することが望ましい。
(3) 日本史の発展をいくつかの時代に区分して,それぞれの時代の性格,一つの時代から次の時代への推移,時代相互の関連などを明らかにすることがたいせつである。指導計画の作成にあたっては,指導上の観点によって時代区分を考慮することが必要である。
(4) 文化の取り扱いにおいては,それらを生み出した社会との関連,前代文化とのつながりや後世文化への影響,外国文化の受容や摂取の過程などに着目させ,その時代の文化の性格を形づくったさまざまな要因について考えさせる必要がある。なお,時代の文化の性格を一面的に規定することがないように留意する。
(5) 近・現代史の学習においては,世界史との関連を特に密にするとともに,適切な時間をあてることが望ましい。なお,職業教育を主とする学科において,世界史を学習できない場合の指導にあたっては,近・現代史において,できるだけ共通の理解に達するることができるように配慮する。
(6) 学習を史実の単なる列挙や暗記に終わらせないために,指導にあたっては,次の諸点に留意する必要がある。
イ 教科書の図版,図表,その他の身近な資料などを活用して歴史的事象の具体化に努め,また,教材として適切なスライド,放送,映画などを精選して,これらを効果的に活用することが望ましいこと。なお,史料については,特に生徒の理解力に適合したものを選ぶこと。
ウ 見学・調査の実施,読書,討議などによる生徒の自発的な学習の展開など,さまざまな学習活動をくふうすること。
第4 世 界 史 A
1 目 標
(2) 世界史の発展を理解させ,各時代の性格を明らかにし,その歴史的意義を考察させる。
(3) 人類の歴史の発展には,民族,国家祖織,地域などによるそれぞれの特殊性やそれらを通ずる普遍性があり,また,その底には共通な人間性のあることを理解させる。
(4) 各時代における社会と文化は,それぞれの時代における人々の努力の集積によって発展してきたことを理解させ,歴史の発展における個人や集団の役割について認識させる。
(5) 世界の学問,思想,宗教,芸術などの文化遺産を,それらが生み出された社会の背景や文化の交流の史実を通して理解させ,これを尊重して,新しい文化を創造し発展させようとする意欲を高める。
(6) 国際社会において日本人の果たすべき役割について認識させ,国民的自覚を高め,国際協力を進め,世界の平和を確立し,人類の福祉を増進しようとする態度を養う。
(7) 資料なども利用し,史実を科学的に理解する能力を育て,また,現代社会の諸問題を世界史的視野から客観的に判断する能力と態度を養う。
2 内 容
以下に示す世界史Aの内容は,3単位を標準とし,全日制の課程にあっては第2学年,定時制の課程にあってはこれに相応する学年において履修させることを前提として作成したものである。
原始社会と文明の発生
ギリシアの民主政治と文化
ローマ帝国とキリスト教
古代インド文化の発展
中国古典文化の成立
最初の文明が生まれた後,それが各地域ごとに独特な発展をとげたことを理解させる。その際,アジアとヨーロッパの古代社会の比較,古代と近代の民主政治の相違などにも着目させる。
(2) 中国社会の展開とイスラム世界の形成
北アジア諸民族の活動
中国の貴族的文化の発展と東西文化の交流
イスラム世界の発展とその文化
中国における官僚国家の成立と征服王朝
漢帝国が崩壊してから,宋(そう)・元(げん)に至るまで,中国の文化が日本およびアジアの諸民族に与えた影響を理解させる。同時に海陸両路による東西の文化交流にも目を向けさせる。中国の歴史については,唐(とう)から宋にかけては,社会的な変化のあったことに留意する。イスラム文化については,それが世界の広範な地域にわたって,今日まで大きな影響を与えてきたことに着目させる。
(3) 中世ヨーロッパの社会
ヨーロッバ封建社会の成立
カトリック教会の発展と中世文化
都市の発達と中央集権国家への動き
ヨーロッパ世界の成立をキリスト教と関連させながら理解させる。封建社会の制度,経済,文化などを主として取り扱い,封建社会が十字軍の遠征や,王権による国土統一をへて,動揺・崩壊する過程をも明らかにする。なお,ビザンチン帝国の特色にもふれる。
(4) 市民社会の成立と近代文化
ルネサンスと宗教改革
地理上の発見とヨーロッパ人の植民活動
ヨーロッパの絶対主義国家
市民革命
産業革命と資本主義の発達
自由主義と国民主義
社会主義の運動
西洋近代文化の発展
日本やアジアの諸国に比べて,西ヨーロッパにおいては早くから近代化への歩みが行なわれていたことに着目させる。啓蒙(もう)思想や議会政治の確立,産業革命の影響,市民社会の人間像にもふれ,現代人の考え方や社会問題がこのころから生まれてきたことを理解させる。その際,アメリカ合衆国や東ヨーロッパ諸国についても取り扱い,ラテンアメリカ諸国の動きにもふれる。
(5) アジアにおける専制国家
中国社会の成熟とその文化
イスラム諸国家の盛衰
明(みん)・清(しん),ムガール帝国およびナスマン帝国の歴史を通して,ヨーロッパ諸国がアジアに進出する前後の,アジア専制国家の社会,文化などの特質を理解させる。また、それらが世界史上にもつ意義について,特にヨーロッパの社会や文化と比較しながら考えさせる。
(6) 列強の世界政策とアジアの近代化
列強の進出と帝国主義下のアジア,アフリカ
国際情勢の推移と日露戦争
中国社会の動揺と辛亥(しんがい)革命
イギリスのインド支配,アヘン戦争,太平天国の乱,帝国主義政策,アフリカ分割などを中心として取り扱う。一方では,ヨーロッパ列強の国際的な危機が助長された反面,植民地化されたアジア,アフリカでは,近代化への運動が開始された事実に着目させる。その際,単に個々の事実の経緯だけでなく,密接にからみあった東西諸国の情勢を総合的に判断させる。たとえば日露戦争についても,広く国際的な視野に立って考えさせる。
(7) 二つの世界大戦
第一次世界大戦
ロシア革命
ベルサイユ体制と民族独立運動
世界恐慌と全体主義の台頭
第二次世界大戦
第一次世界大戦後,民主主義への信頼がいちだんと高まり,また,ベルサイユ体制(ヴェルサイユ体制)のもとで,国際協力のための努力や軍縮会議などが行なわれたが,世界恐慌を境として,民主主義と全体主義の対立が深まり,ついに第二次世界大戦に至ったことを理解させる。戦争のもたらす人類の不幸については,特に考えさせる必要がある。
(8) 現代の世界
国際連合の成立と国際情勢の動き
アジア・アフリカ諸民族の独立と解放運動
現代の文化
国際連合の成立によって,国際協力が進められてきたが,国際関係はなお緊張を続けている現状にも気づかせる。この際,アジア・アフリカ諸国の独立と解放運動,特に最近の中国の動きなどにもふれる。また,現代の文化については,第一次世界大戦後のものも取り扱い,特に科学・技術を中心とする現代の文化の特色に着目させる。
3 指導計画作成および指導上の留意事項
(2) 内容に掲げた事項の組織・配列は,そのまま指導の順序やまとまりを示すものではない。各学校においては,教科および科目の目標に基づいて,各事項のまとめ方や順序をくふうし,適切な指導計画を作成することが望ましい。特に,東洋関係では19世紀中ごろ以後,欧米関係では18世紀以後の内容を詳しく取り扱い,それぞれの時代における日本やアジア,アフリカ諸国などの動向について,正しく位置づけて考察させることがたいせつである。
(3) 地理上の発見以前で,世界の諸地域が密接な関連をもたない時期,たとえばヨーロッパの古代・中世にあたる時期において,一つの例として,ヨーロッパ,インド・西アジア,東アジアなどの文化圏別に,ある程度の大きなまとまりをもたせて学習させることも考えられる。しかし,各地域の歴史をまったく分離して取り扱わないで,常に相互の関連を保ちながら,絶えず世界史の大勢と結びつけて正しく理解させることが望ましい。
(4) 近・現代史の学習においては,日本史との関連を特に密にするとともに,適切な時間をあてることが望ましい。なお,職業教育を主とする学科において,日本史を学習できない場合の指導にあたっては,近・現代史においてできるだけ共通の理解に達することができるように配慮する。
(5) 学習を史実の単なる列挙や暗記に終わらせないために,指導にあたっては,次の諸点に留意する必要がある。
イ 教科書の図版,図表その他の身近な資料などを活用して歴史的事象の具体化に努め,また,教材として適切なスライド,放送,映画などを精選して,これらを効果的に活用することが望ましいこと。
ウ 見学・調査の実施,読書,討議などによる生徒の自発的な学習の展開など,さまざまな学習活動をくふうすること。
第5 世 界 史 B
1 目 標
(2) 世界史の発展を理解させ,各時代の性格を明らかにし,その歴史的意義を考察させる。
(3) 人類の歴史の発展には,民族,国家組織,地域などによるそれぞれの特殊性やそれらを通する普遍性があり,またその底には共通な人間性のあることを理解させる。
(4) 各時代における社会と文化は,それぞれの時代における人々の努力の集積によって発展してきたことを理解させ,歴史の発展における個人や集団の役割について認識させる。
(5) 世界の学問,思想,宗教,芸術などの文化遺産を,それらが生み出された社会の背景や文化の交流の史実を通して理解させ,これを尊重して,新しい文化を創造し発展させようとする意欲を高める。
(6) 国際社会において日本人の果たすべき役割について認識させ,国民的自覚を高め,国際協力を進め,世界の平和を確立し,人類の福祉を増進しようとする態度を養う。
(7) 資料なども利用し,史実を科学的に理解する能力を育て,また,現代社会の諸問題を世界史的視野から客観的に判断する能力と態度を養う。
2 内 容
世界史Bは,世界史Aの場合よりも深めて取り扱うものとするが,その際たとえばシルクロードと東西交渉,イギリスの議会政治の発達,西部開拓と南北戦争,露土戦争と列強の世界政策,ワイマール体制とその崩壊などのような適当な主題を選び,政治的,経済的,社会的な観点から総合的に学習させる。それによって,歴史的思考力をいっそうつちかうことをあわせ考慮するものとする。なお,以下に示す世界史Bの内容は,4単位を標準とし,全日制の課程にあっては,第2学年および第3学年,定時制の課程にあってはこれに相応する学年において履修させることを前提として作成したものである。
原始社会と文明の発生
ギリシアの民主政治と文化
ローマ帝国とキリスト教
古代インド文化の発展
中国古典文化の成立
最初の文明が生まれた後,それが各地域ごとに独特な発展をとげたことを理解させる。その際,アジアとヨーロッパの古代社会の比較,古代と近代の民主政治の相違などにも着目させる。
(2) 中国社会の展開とイスラム世界の形成
北アジア諸民族の活動
中国の貴族的文化の発展と東西文化の交流
イスラム世界の発展とその文化
中国における官僚国家の成立と征服王朝
漢帝国が崩壊してから,宋(そう),元(げん)に至るまで,中国の文化が日本およびアジアの諸民族に与えた影響を理解させる。同時に海陸両路による東西の文化交流にも目を向けさせる。中国の歴史については,唐(とう)から宋にかけては,社会的な変化のあったことに留意する。イスラム文化については,それが世界の広範な地域にわたって,今日まで大きな影響を与えてきたことに着目させる。
(3) 中世ヨーロッパの社会
ヨーロッパ封建社会の成立
カトリック教会の発展と中世文化
都市の発達と中央集権国家への動き
ヨーロッパ世界の成立をキリスト教と関連させながら理解させる。封建社会の制度,経済,文化などを主として取り扱い,封建社会が十字軍の遠征や,王権による国土統一をへて,動揺・崩壊する過程をも明らかにする。なお,ビザンチン帝国の特色にもふれる。
(4) 市民社会の成立と近代文化
ルネサンスと宗教改革
地理との発見とヨーロッパ人の植民活動
ヨーロッパの絶対主義国家
市民革命
産業革命と資本主義の発達
自由主義と国民主義
社会主義の運動
西洋近代文化の発展
日本やアジアの諸国に比べて,西ヨーロッパにおいては早くから近代化への歩みが行なわれていたことに着目させる。啓蒙(もう)思想や議会政治の確立,産業革命の影響,市民社会の人間像にもふれ,現代人の考え方や社会問題がこのころから生まれてきたことを理解させる。その際,アメリカ合衆国や東ヨーロッパ諸国についても取り扱い,ラテンアメリカ諸国の動きにもふれる。
(5) アジアにおける専制国家
中国社会の成熟とその文化
イスラム諸国に家の盛衰
明(みん)・清(しん),ムガール帝国およびオスマン帝国の歴史を通して,ヨーロッパ諸国がアジアに進出する前後の,アジア専制国家の社会,文化などの特質を理解させる。また,それらが世界史上にもつ意義について,特にヨーロッパの社会や文化と比較しながら考えさせる。
(6) 列強の世界政策とアジアの近代化
列強の進出と帝国主義下のアジア,アフリカ
国際情勢の推移と日露戦争
中国社会の動揺と辛亥(しんがい)革命
イギリスのインド支配,アヘン戦争,太平天国の乱,帝国主義政策,アフリカ分割などを中心として取り扱う。一方では,ヨーロッパ列強の国際的な危機が助長された反面植民地化されたアジア,アフリカでは,近代化への運動が開始された事実に着目させる。その際,単に個々の事実の経緯だけでなく,密接にからみあった東西諸国の情勢を総合的に判断させる。たとえば日露戦争についても広く国際的な視野に立って考えさせる。
(7) 二つの世界大戦
第一次世界大戦
ロシア革命
ベルサイユ体制と民族独立運動
世界恐慌と全体主義の台頭
第二次世界大戦
第一次世界大戦後,民主主義への信頼がいちだんと高まり,また,べルサイユ体制(ヴェルサイユ体制)のもとで,国際協力のための努力や軍縮会議などが行なわれたが,世界恐慌を境として,民主主義と全体主義の対立が深まり,ついに第二次世界大戦に至ったことを理解させる。戦争のもたらす人類の不幸については,特に考えさせる必要がある。
(8) 現代の世界
国際連合の成立と国際情勢の動き
アジア・アフリカ諸民族の独立と解放運動
現代の文化
国際連合の成立によって,国際協力が進められてきたが,国際関係はなお緊張を続けている現状にも気づかせる。この際,アジア・アフリカ諸国の独立と解放運動,特に最近の中国の動きなどにもふれる。また,現代の文化については,第一次世界大戦後のものも取り扱い,特に科学・技術を中心とする現代の文化の特色に着目させる。
3 指導計画作成および指導上の留意事項
(2) 内容に掲げた事項の組織・配列はそのまま指導の順序やまとまりを示すものではない。各学校においては,教科および科目の目標に基づいて,各事項のまとめ方や順序をくふうし,適切な指導計画を作成することが望ましい。特に,東洋関係では19世紀中ごろ以後,欧米関係では18世紀以後の内容を詳しく取り扱い,それぞれの時代における日本やアジア,アフリカ諸国などの動向について,正しく位置づけて考察させることがたいせつである。
(3) 地理上の発見以前で,世界の諸地域が密接な関連をもたない時期,たとえばヨーロッパの古代・中世にあたる時期において,一つの例として,ヨーロッパ,インド・西アジア,東アジアなどの文化圏別に,ある程度の大きなまとまりをもたせて学習させることも考えられる。しかし,各地域の歴史をまったく分離して取り扱わないで,常に相互の関連を保ちながら,絶えず世界史の大勢と結びつけて正しく理解させることが望ましい。
(4) 近・現代史の学習においては,日本史との関連を特に密にするとともに,適切な時間をあてることが望ましい。なお,職業教育を主とする学科において,日本史を学習できない場合の指導にあたっては,近・現代史においてできるだけ共通の理解に達することができるように配慮する。
(5) 学習を史実の単なる列挙や暗記に終わらせないために,指導にあたっては,次の諸点に留意する必要がある。
イ 教科書の図版,図表その他の身近な資料などを活用して歴史的事象の具体化に努め,また,教材として適切なスライド,放送,映画などを精選して,これらを効果的に活用することが望ましいこと。
ウ 見学・調査の実施,読書,討議などによる生徒の自発的な学習の展開など,さまざまな学習活動をくふうすること。
第6 地 理 A
1 目 標
(2) 人間生活と自然環境との関係について考察させ,自然環境のもつ意義は,科学・技術の進歩,生活様式の変化などの社会的,歴史的条件によって変えられていくとともに,地域的に相違することを理解させて,自然環境を有効に利用し,国土や天然資源を愛護し保全する態度を養う。
(3) 現代社会では,世界の各地域の生活が互いに深いつながりをもって営まれ,世界の各地域はそれぞれの特性に応じてその機能を果たそうとしていることを理解させるとともに,各地域の生活の底に流れている共通な人間性をも意識させて,国際理解に基づく国際協力の精神と態度を基う。
(4) 現実の社会の諸問題,特に経済に関する諸問題を理解し判断するために必要な地理的知識を得させ,これらの問題を科学的,合理的に考察し,これに正しく対処していこうとする態度とそれに必要な能力を養う。
(5) 地図,統計その他の資料を有効適切に利用する能力と習慣を養うとともに,野外調査,見学などによって具体的な事象にふれ,これを地理的に探究していこうとする態度と,それに必要な観察力,思考力および判断力を養う。
2 内 容
以下に示す「地理A」の内容は,3単位を標準とし,全日制の課程にあっては第1学年,定時制の課程にあってはこれに相応する学年において履修させることを前提として作成したものである。
地理的視野の拡大と地図の発達
地図の種類と用途
統計地図を含めて取り扱う。
読図と作図
大縮尺の地図の読図では,集落立地,土地利用と地形との関係などを取り扱う。
(2) 環境としての自然
自然環境と社会環境
世界の陸地
世界の海洋
世界の気候区と植物分布
日本の自然環境の特色
(3) 人類の諸集団
世界のおもな言語および宗教と民族
世界および日本の人口分布
世界および日本の人口増加・人口移動
(4) 農牧業・林業・水産業
世界の農牧地域
日本の農業の性格とその地域的特色
世界の林産資源の分布と開発
日本の林業の特色
世界の水産資源の分布と開発
日本の水産業と漁場に関する諸問題
日本の農山漁村
農地,山林,水域などの生産の場との関係に重点をおいて取り扱う。
(5) 鉱 工 業
世界および日本の動力資源と動力問題
世界および日本の鉱産資源の分布と開発
世界の主要工業と工業地域
日本の工業の性格とその地域的特色
(6) 国土の開発と保全
生産にともなう諸問題とその対策という観点に立って,国土の開発と保全を取り扱い,産業立地の適正化,社会生活の各分野における地域的不均衡の是正,日本の人口問題などにもふれる。
資源の計画的利用と防災
水の利用と統制
日本における水利用面の競合関係,水利用の高度化と再編成の重要性を含めて取り扱う。
世界および日本のおもな総合開発地域
(7) 交通・商業
世界および日本の交通の地域的特色
日本の輪送問題を含めて取り扱う。
国内の物資の需給と流通
国際間の物資の需給と流通
日本の貿易の特色と課題
世界および日本の消費の地域的特色
物資消費量の地域的差異は,人口分布だけでなく生活水準の地域的相違に基づいている事実を取り扱う。
世界および日本の都市とその機能
(8) 国家と国際関係
国家の領域と国境
民族と国家
おもな国家・国家群
国家と国家との間,国家と国家群との間および国家群と国家群との間における政治的,経済的関係のおもなものについては,地理的位置,天然資源,産業の発達程度,生活水準,民族構成などの諸条件がどのように働いているかを考察させて,現代の世界における国家群形成への動向などを理解させる。
アジア諸国
ヨーロッパ諸国
アフリカ諸国
アメリカ諸国
オセアニア諸国
世界の動向と日本の立場
3 指導計画作成および指導上の留憲事項
(2) 内容に掲げた事項の組織・配列は,そのまま指導の順序やまとまりを示すものではない。各学校においては,教科および科目の目標に基づいて,各事項のまとめ方や順序をくふうし,適切な指導計画を作成することが望ましい。その際,指導する事項が相互に関連づけられ,生徒の思考がしだいに発展していくように構成することが必要である。
(3) 内容の各事項の指導を通して,常に日本の問題に関連させて考察する態度を育てるとともに,世界および日本の地誌的理解をも深める。
(4) 内容に掲げた各事項と関連させて,たとえば,土地改良,資源開発,国土計画,地方計画,都市計画,市場調査,産業立地計画などの具体例を適宜選んで指導し,地理の応用面についての興味と関心を高めることが望ましい。
(5) 「おもな国家・国家群」に示した地域区分は一例であって,必ずしもこの地域区分による必要はない。
(6) 指導計画の一部として野外調査のための時間を設けてこれを実施する。その場合,形式的な取り扱いに流れたり,また,過大な計画に陥ったりすることのないように,じゅうぶん留意する。
(7) 地図については,独立の事項として指導するだけでなく,内容の各事項に関連させ,その取り扱いに習熟させる。
(8) 地図のほか,地球儀,空中写真などや,統計,新聞,紀行文その他の資料を有効に使用し,教材として適切なスライド,放送,映画などを精選し活用して,地理的事象を具体的に理解させる。また,討議,見学その他さまざまの学習活動を通して,学習をいっそう効果的にする。
第7 地 理 B
1 目 標
(2) 人間生活と自然環境との関係について考察させ,自然環境のもつ意義は,科学・技術の進歩,生活様式の変化などの社会的,歴史的条件によって変えられていくとともに,地域的に相違することを理解させて,自然環境を有効に利用し,国土や天然資源を愛護し保全する態度を養う。
(3) 現代社会では,世界の各地域の生活が互いに深いつながりをもって営まれ,世界の各地域はそれぞれの特性に応じてその機能を果たそうとしていることを理解させるとともに,各地域の生活の底に流れている共通な人間性をも意識させて,国際理解に基づく国際協力の精神と態度を養う。
(4) 現実の社会の諸問題を理解し判断するために必要な地理的知識を得させ,これらの問題を科学的,合理的に考察し,これに正しく対処していこうとする態度とそれに必要な能力を養う。
(5) 地図,統計その他の資料を有効適切に利用する能力と習慣を養うとともに,野外調査,見学などによって具体的な事象にふれ,これを地理的に探究していこうとする態度と,それに必要な観察力,思考力および判断力を養う。
2 内 容
以下に示す「地理B」の内容は,4単位を標準とし,全日制の課程にあっては第1学年,定時制の課程にあってはこれに相応する学年において履修させることを前提として作成したものである。
地理的視野の拡大と地理思想の発達
社会生活の地域的相違
自然環境と社会生活
(2) 地 図
地図の種類と用途
統計地図を含めて取り扱う。
読図と作図
大縮尺の地図の読図では,集落立地,土地利用と地形との関係などを取り扱う。
(3) 自然環境
陸地・海洋の位置と形状
世界の平地・山地
世界の海洋・陸水
世界の気候区と植物分布
日本の自然環境の特色
(4) 農 牧 業
世界の農牧生産様式の発達とその地域的特色
世界の農牧地域と農畜産物の需給
日本の農業の性格とその地域的特色
世界および日本の食料問題
(5) 林業・水産業
世界および日本の林産資源の分布と開発
世界の水産資源の分布と開発
日本の水産業と漁場に関する諸問題
(6) 鉱 工 業
世界および日本の動力資源と動力問題
世界および日本の鉱産資源の分布と需給
世界の主要工業と工業地域
日本の工業の性格とその地域的特色
(7) 国土の開発と保全
生産にともなう諸問題とその対策という観点に立って,国土の開発と保全を取り扱い,産業立地の適正化,社会生活の各分野における地域的不均衡の是正などにもふれる。
資源の計画的利用
防災と資源の保全
水の利用と統制
日本における水利用面の競合関係,水利用の高度化と再編成の重要性を含めて取り扱う。
世界および日本のおもな総合開発地域
(8) 村落・都市
村落および都市の形態的分類に終わるとことなく,それらの機能や相互の結合関係に重点をおく。農山漁村については,農地,山林,水域などの生産の場との関係,都市については,都市内部の地域的構造や都市圏についても取り扱う。
世界および日本の農山漁村
世界および日本の都市
都市と農山漁村との関係
都市問題と都市計画
(9) 交通・貿易
交通の発達と世界の政治・経済
世界および日本のおもな交通路とその地域的特色
日本の輸送問題を含めて取り扱う。
おもな国々の貿易の特色
日本の貿易の特色と課題
(10) 人 口
人口密度の地域的特色
世界および日本の人口増加・人口移動
おもな国々の人口構成
日本の人口問題
(11) 人種・民族
世界の人種
世界のおもな言語および宗教と民族
世界の文化圏
民族と国家
(12) 国家・国家群
国家と国家領域
おもな国家・国家群
国家と国家との間,国家と国家群との間および国家群と国家群との間における政治的,経済的関係のおもなものについては,地理的位置,天然資源,産業の発達程度,生活水準,民族構成などの諸条件がどのように働いているかを考察させて,現代の世界における国家群形成への動向などを理解させる。
西ヨーロッパ諸国
アメリカ合衆国・カナダ
ラテンアメリカ諸国
ソ連・東ヨーロッパ諸国
中国・朝鮮
インド・東南アジア諸国
アラブ諸国
アフリカ諸国
オセアニア諸国
その他
世界の動向と日本の立場
3 指導計画作成および指導上の留意事項
(2) 内容に掲げた事項の組織・配列は,そのまま指導の順序やまとまりを示すものではない。各学校においては,教科および科目の目標に基づいて,各事項のまとめ方や順序をくふうし,適切な指導計画を作成することが望ましい。その際,指導する事項が相互に関連づけられ,生徒の思考がしだいに発展していくように構成することが必要である。
(3) 内容の各事項の指導を通して,常に日本の問題に関連させて考察する態度を育てるとともに,他界および日本の地誌的理解をも深める。
(4)「おもな国家・国家群」に示した地城区分は一例であって,必ずしもこの地域区分による必要はない。
(5) 指導計画の一部として野外調査のための時間を設けてこれを実施する。その場合,形式的な取り扱いに流れたり,また過大な計画に陥ったりすることのないように,じゅうぶん留意する。
(6) 地図については,独立の事項として指導するだけでなく,内容の各事項に関連させ,その取り扱いに習熟させる。
(7) 地図のほか,地球儀,空中写真などや,統計,新聞,紀行文その他の資料を有効に使用し,教材として適切なスライド,放送,映画などを精選し活用して,地理的事象を具体的に理解させる。また,討議,見学その他さまざまの学習活動を通して,学習をいっそう効果的にする。