第1 目 標
2 設計・製作などの学習経験を通して,表現・創造の能力を養い,ものごとを合理的に処理する態度を養う。
3 製作・操作などの学習経験を通して,技術と生活との密接な関連を理解させ,生活の向上と技術の発展に努める態度を養う。
4 生活に必要な基礎的技術についての学習経験を通して,近代技術に対する自信を与え,協同と責任と安全を重んじる実践的な態度を養う。
以上の目標の各項目は,相互に密接な関連をもって,全体として技術・家庭科の目標をなすものである。1は,基礎的技術について主として実践的活動を通して学習させ,必要な知識,技能,態度を身につけさせるという技術・家庭科の総括的目標であり,2,3,または4のいずれかにかかわる指導においても常に1が根底にならなければならない。
第2 各学年の目標および内容
生徒の現在および将来の生活が男女によって異なる点のあることを考慮して,「各学年の目標および内容」を男子を対象とするものと女子を対象とするものとに分ける。
A 男子向き
〔第1学年〕
1 目 標
(2) 設計・製図では,簡単な図面を正しく読んだり描いたりするのに必要な基礎的技術を習得させ,ものごとを計画的に進め,精密,確実に処理する態度を養う。
(3) 木材加工・金属加工では,木材製品や金属製品の製作に関する基礎的技術を習得させ,造形的な表現能力を発展させるとともに,作業を安全かつ協同的に進める態度を養う。
(4) 栽培では,栽培に関する基礎的技術を習得させ,栽培技術と自然環境との関係を理解させることともに,作物を合理的に育成する態度を養う。
木材製品や金属製品の考案を表示するのに必要な技術の基礎的事項を,主として「日本工業規格製図通則」に基いて指導し,これらがある程度習得された後は,「(2)木材加工・金属加工」の「(実習例)」にあげた製作学習と合わせて指導する。
ア 表示の方法
図面の種類,スケッチによる表示,模型による表示など。
イ 製図用具の使用法
製図板・丁定規・三角定規・ものさし・コンパス・ディバイダ・鉛筆などの使用法および用具の配置など。
ウ 線と文字の使用法
実線・破線・鎖線・アラビア数字・漢字・かな・ローマ字など。
エ 平面図法
線分の二等分,垂線,平行線,線分の任意等分,角の二等分,正三角形,正方形,正五角形,正六角形など。
オ 展開図
三角柱,三角すい,四角柱,四角すい,円柱,円すいなど。
カ 投影法
第一角法,第三角法など。
キ 寸法の記入法
寸法線,寸法補助線,矢印,寸法数字,各種記号,寸法基準線,角度の寸法,円孤の寸法,細部寸法,関連寸法,対弥寸法など。
ク 工作図
用紙の大きさ,尺度,図面の形式,図面の配置,作図の順序など。
ケ 図面と生活との関係
日常生活と図面,日常生活と日本工業規格など。
(2) 木材加工・金属加工
木材加工では主として板材,金属加工では主として薄板金を加工するのに必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげたものの製作に即して指導するとともに,考案設計・製図・製作・評価の各段階を追って一貫した指導を行うようにする。特に考案設計の段階においては,製作目的に応じた機能,構造,材料などの研究を行うように指導する。なお,加工法については特殊な工芸技法にわたらないこととする。
ア 木材・金属材料
(木材加工)スギ,マツ,ヒノキ,サクラ,カツラ,ホウ,セン,合板など。
(金属加工)スズめっき鋼板,亜鉛めっき鋼板,黄銅板,銅板,アルミニウム板など。
イ 接合材料
(木材加工)くぎ,木ねじ,カゼイン,合成樹脂接着剤など。
(金属加工)リべット,はんだなど。
ウ 塗 料
ワニス,ペイント,エナメルなど。
エ 木工具・金工具の使用法
(木材加工)のこぎり,かんな,きり,つち,けびき,ねじ回しなど。
(金属加工)けがき針,けがき用コンパス,金切ばさみ,押切,ハンドドリル,折り台,打ち木,ペンチ,はんだごて,鋼尺,直角定規,つち,ねじ回しなど。
オ 工作機械の使用法
のこ盤,かんな盤,糸のこ盤など。
カ 工作法
(木材加工)木取り,のこぎりびき,かんなけずり,穴あけ,くぎ打ち,ねじしめ,接着,組立,塗装など。
(金属加工)けがき,切断,穴あけ,折り曲げ,縁まき,ひずみとり,接合,組立,塗装など。
(実習例)木材加工……本立,庭いす,学校備品など。
金属加工……ちりとり,筆洗,角形容器など。
(3) 栽 培
普通の草花類や果菜類などを栽培するのに必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげた作物の栽培に即して指導するとともに,栽培目的に応じた計画・栽培・評価の各段階を追って一貫した指導を行うようにする。
ア 栽培の計画
花だん,野菜園などの設計,目的に基く作物の選定,作付計画など。
イ 気温,水分,風,日照などの諸条件と作物の栽培
種まき・さし木・株分け,自然環境を調整するためのかこい作り・水かけ・うね立て・日おおい・しきわらなどの時期と方法。
ウ 土や肥料などと作物の栽培
作物の根や茎葉などの発育を調整するための中耕・土寄せ・施肥・摘心,枝の仕立,取り入れなどの時期と方法。
エ 作物の病気や害虫とその対策
普通の花だんや野菜園に発生しやすい病気,害虫,雑草などとその簡単な対策。
(実習例)草花類……一,二年草,宿根草,球根など。
果菜類……ナス,トマト・カボチャなど。
また工具の使用と保管,材料の購入と配分などについては製作の段階において,その管理に関する基礎的な理解を得させるようにする。
(2) 「(3)栽培」の学習に用いる立札,さくの柱,簡単な栽培用具などの製作を行う場合は,「(2)木材加工・金属加工」の学習において行うようにする。
(3) この学年における授業時数は,「(1)設計・製図」25単位時間,「(2)木材加工・金属加工」60単位時間(木材加工40単位時間,金属加工20単位時間),「(3)栽培」20単位時間を標準とする。
〔第2学年〕
1 目 標
(2) 設計・製図では,第1学年の「設計・製図」の学習を発展させるとともに,簡単な機械製図に関する基礎的技術を習得させ,工業規格の意義や図面と生産との関係を理解させ,製作意図を正確に表現する能力を養う。
(3) 木材加工・金属加工では,第1学年の「木材加工・金属加工」の学習を発展させるとともに,主として工作機械の基礎的な取扱法を習得させ,作業を精密,確実に進める態度を養う。
(4) 機械では,機械の整備に関する基礎的技術を習得させ,機械の材料と要素に関する理解を深め,それらを活用する能力と態度を養う。
第1学年の「(1)設計・製図」の学習を基礎にし,その応用発展として,主として実際に用いられている簡単な機械製図の基礎的事項を指導し,これらがある程度習得された後は,「(2)木材加工・金属加工」「(3)機械」の「(実習例)」にあげたものの製作や整備の学習と合わせて指導する。なお,製図はすべて鉛筆による製図とし,からす口による墨入れは行わない。
ア 工作図
組立図と部分図,工作方法の表示法,図面の整理法など。
イ 断面図
全断面図,半断面図,部分断面図など。
ウ 複写図,見取図
(複写図)トレースの方法,トレースの順序,青写真など。
(見取図)フリーハンド・プリント・型取りによるスケッチの方法,スケッチの順序など。
エ 製図用具の使用法
第1学年にあげたもののほか,パス,ノギスなど。
オ 機械要素の略画法
小ねじ,ボルト,ナット,ばね,歯車など。
カ 図面と生産との関係
生産工程と図面,工業製品の標準化など。
(2) 木材加工・金属加工
第1学年の「(2)木材加工・金属加工」の学習を基礎にし,その応用発展として,木材加工では主として角材,金属加工では主として厚板金および棒材を加工するのに必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげたものの製作に即して指導するとともに,考案設計・製図・製作・評価の各段階を追って一貫した指導を行うようにする。特に考案設計の段階においては,製作目的に応じた機能,構造,材料などの研究を行うように指導する。なお,加工法については特殊な工芸技法にわたらないこととする。
ア 木材・金属材料
第1学年にあげたもののほか,軟鋼板,軟鋼棒,黄銅棒などの金属材料。
イ 荷重と構造
材料の強さ,構造の強さなど。
ウ 接合材料
第1学年にあげたもののほか,次のものを加える。
(木材加工)にかわ,補強金具,ボルト,ナットなど。
(金属加工)ねじなど。
エ 切削油
植物油,鉱油,乳化油など。
オ 塗 料
第1学年にあげたもののほか,ラッカー,合成樹脂塗料など。
カ 木工具・金工具の使用法
第1学年にあげたもののほか次のものを加える。
(木材加工)のみなど。
(金属加工)弓のこ,たがね,やすり,タップ,ダイス,バイト,ドリル,といしなど。
キ 測定具の使用法
パス,ノギス,ゲージ,トースカン,Vブロックなど。
ク 工作機械の使用法
第1学年にあげたもののほか,卓上ボール盤,卓上旋盤,両頭型研削盤など。
ケ 工作法
第1学年にあげたもののほか,次のものを加える。
(木材加工)そりの修正,のみきざみ,相欠きつぎ,組つぎ.ほぞつぎなど。
(金属加工)切断,穴あけ,やすりかけ,旋削,研削,ねじ切りなど。
(実習例)木材加工……簡単な机や腰掛など。
金属加工……補強金具,ブックエンド,ぶんちん,学校備品など。
(3) 機 械
自転車,裁縫ミシン,農業機械などを整備するのに必要な技術の基礎的事項を,取り上げる機械に即して指導するとともに,機械の材料や要素は,取り上げる機械と関連させて重点的に指導する。
ア 機械材料
鋼,合金鋼,鋳鉄,軽合金,潤滑油など。
イ 機械要素
締結用(ねじ,リべット,キー,ピンなど。)
軸 用(軸,クラッチ,軸受など。)
管 用(管,弁,コックなど。)
伝導用(べルト,ロープ,鎖,歯車,カム,リンクなど。)
緩衝用(ばね,ブレーキなど。)
ウ 故障の点検
日常の点検,使用中の留意事項,点検の順序,故障の原因など。
エ 分解・組立・調整
工具の使用法,分解・組立の順序,部品の手入れと交換,調整の要領など。
オ 洗浄・給油
日常の手入れ,洗剤の選定,洗浄法,給油の箇所,給油の時期と量,給油法など。
(実習例)自転車,裁縫ミシン,農業機械など。
この学年の授業時数は,「(1)設計・製図」30単位時間,「(2)木材加工・金属加工」55単位時間(木材加工25単位時間,金属加工30単位時間),「(3)機械」20単位時間を標準とする。
〔第3学年〕
1 目 標
(2) 機械では,第2学年の「機械」の学習を発展させるとともに,主として原動機の取扱に関する基礎的技術を習得させ,機械技術の特性およびそれと生活や産業との関係を理解させ,作業を精密・確実に進め,安全に留意する態度を養う。
(3) 電気では,簡単な電気器具の取扱や製作に関する基礎的技術を習得させ,電気技術の特性およびそれと生活や産業との関係を理解させ,作業を精密,確実に進め,安全に留意する態度を養う。
(4) 総合実習では,機械,電気その他の既習事項と有機的な関連を図りながら,製作または育成に関する総合的な実習を行い,近代技術を活用する能力を養うとともに,目的に応じて最も適切な方法を選択し,企画し,実践し,さらにそれらをくふう改善する態度を養う。
第2学年の「(3)機械」の学習を基礎にし,その応用発展として,モーターバイク,スクーター,石油発動機,農業機械などの整備や操作に必要な技術の基礎的事項を,取り上げる機械に即して指導するとともに,機械の要素や機構は,取り上げる機械と関連させて重点的に指導する。
ア 機械の要素と機構
運動の方向を変える機構,運動の速度を変える機構,直線運動を回転運動に変える機構,回転運動を直線運動に変える機構,回転運動を動揺運動に変える機構,間断的な運動をさせる機構など。
イ 原動機の種類
2サイクル機関,4サイクル機関など。
ウ 内燃機関の構造と作用
機関主部,燃料装置,点火装置,排気装置,冷却装置,潤滑装置,その他の付属装置など。
エ 潤滑油
モビール油,グリースなど。
オ 故障の点検
日常の点検,起動前の点検,運転中の留意事項,停止後の点検,故障の原因など。
カ 分解・組立・調整
工具の使用法,分解・組立の順序,部品の手入れ,調整の要領など。
キ 起動・運転・停止
起動準備,起動法,速度の調節,停止法,停止後の処置など。
ク 洗浄・給油
日常の手入れ,洗浄の選定,洗浄法,給油の箇所,給油の時期と量,給油法など。
ケ 燃 料
燃料の選定,補給の時期,補給上の注意,補給法など。
コ 機械と生活や産業との関係
生活の能率化と機械の利用,機械技術の進歩が各種産業に及ぼす影響など。
(実習例)モーターバイク,スクーター,石油発動機,農業機械など。
(2) 電 気
照明器具,電熱器具,電動機,受信機などの製作や修理に必要な技術の基礎的事項を,取り上げる製品に即して指導するとともに,電気回路要素や電気計器の取扱法は,取り上げる製品と関連させて重点的に指導する。特に製作学習を行う場合は,計画・準備・材料加工・部品検査・組立・配線・試験・調整について一貫した指導を行うようにする。
ア 電気配線図
一般電気用記号,電気通信用記号など。
イ 電気回路要素
真空管,コイル,コンデンサー,抵抗,電源など。
ウ 電気計器の取扱法
回路計による電流・電圧・抵抗の測定,部品検査法,導通試験など。
エ 電気工作法
電線の接続・分岐,絶縁法,配線工作,部品交換法など。
オ 配線器具の点検と修理
屋内配線の方式,許容電流・定格値,電線・コード,開閉器・接続器・点滅器など。
カ 照明器具,電熱器具の製作・点検・修理
(実習例)けい光燈,電気スタンド,電気こんろ,電気アイロンなど。
キ 電動機の保守と管理
(実習例)単相誘導電動機,三相誘導電動機など。
ク 受信機の製作・調整・修理
(実習例)交流式3球または4球ラジオなど。
ケ 電気と生活や産業との関係
生活の能率化と電気の利用,電気技術の進歩が各種産業に及ぼす影響など。
(3) 総合実習
次にあげてあるア,イおよびウの実習のうち,いずれか一つを取り上げて指導することとし,近代技術を総合的に理解し,活用するように指導する。また,それぞれの実習においては,必要な資材の購入法,必要経費の計算法,記帳,保管などに関する事項についてもあわせて指導するようにする。
ア おもな機械要素をもつ機械模型などの製作実習
おもな機械要素を含む機構模型や構造模型などの製作を取り上げて,機構の研究を中心にして製作技術を習得させる。なお,ここでは市販の半完成模型教材の使用は避けることとする。
イ 基本的な電気回路をもつ通信機器などの製作実習
基本的な電気回路を含む拡声装置,交流式3球または4球ラジオなどの製作を取り上げて,電気回路の研究を中心にして電気工作技術,試験・調整の技術を習得させる。
ウ 農業機械の操作・運転などを含む作物の育成実習
石油機関や電動機を装備した耕うん機,揚水ポンプその他の農耕用機械を使用したり,電熱温床などを設けたりして,栽培法の機械化や電化を中心にして実習させる。
(2) 電動機,受信機の学習を「(3)総合実習」で取り上げる揚合は,「(2)電気」では省くこととする。
(3) この学年における授業時数は,「(1)機械」25単位時間,「(2)電気」45単位時間,「(3)総合実習」35単位時間を標準とする。
B 女子向き
〔第1学年〕
1 目 標
(2) 調理では,日常食の調理に関する基礎的技術を習得させ,青少年期の日常食の献立作成の能力を養うとともに,食生活を合理的に営む態度を養う。
(3) 被服製作では,日常着の製作,被服の整理および簡単な編物に関する基礎的技術を習得させ,衣生活を合理的に営む態度を養う。
(4) 設計・製図では,簡単な図面を正しく読んだり描いたりするのに必要な基礎的技術を習得させ,ものごとを計画的に進め,精密,確実に処理する態度を養う。
(5) 家庭機械・家庭工作では,調理,被服の製作と整理に用いられる機械の正しい取扱および簡単な木材加工に関する基礎的技術を習得させ,生活を合理的に営む態度を養う。
日常食を調理するのに必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげた食物の調理に即して指導するとともに,青少年向きのものを中心にして,その献立・調理・評価などの各段階を追って一貫した指導を行うようにする。
また,青少年期の日常食の献立に必要な知識は,取り上げる献立に即して重点的に指導する。
ア 献 立
青少年期の栄養,食品の栄養的特質,性別・年齢別・食品群別摂取量のめやす,青少年向きの献立作成。
イ 調理材料
米,うどん,パン,粉類,いも類,食用油脂,豆製品,魚,貝,肉,卵,乳,海そう,緑黄色野菜,淡色野菜,くだもの,調味料など。
ウ 調理用具・食器
計量器,炊飯器,フライパン,その他普通用いられる調理用具・食器。
エ 調理用熱源
木炭,石油,ガス類など。
オ 調理法
はかり方,洗い方,切り方,ゆで方,煮方,焼き方,いため方,調味のしかたなど。
カ 食物と生活
青少年期の好みと食生活,食習慣の改善など。
(実習例)米食(カレーライス)・粉食の調理,魚の煮付と油焼,野菜の油いためなどの日常食の調理。
(2) 被服製作
青少年期における女子の活動的な日常着を作ったり,簡単な編物をしたり,被服を整理するのに必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげたものの製作や製理に即して指導するとともに,計画・製作・評価の各段階を追って一貫した指導を行うようにする。特に繊維の性能,布地の用途,用具,洗剤などは,計画の段階において,取り上げる「(実習例)」に関連させて重点的に指導する。
また,編物は基礎的な編み方について指導し,それらを適当に組み合わせることによって各種の模様編ができることを理解させて,「(実習例)」にあげたもののうち一つを取り上げて,その考案設計を行わせ,それに基いて製作させるようにする。
ア 繊維・布地と編物用糸
天然繊維(もめん,羊毛),再生繊維,合成繊維の性能と,それらで織られた布地の用途,編物用糸の規格。
イ 被服製作・被服整理の用具,機械,施設
ピンキングはさみ,たらいとその台,乾操用具,その他普通に用いられるもの,干場など。
ウ 被服整理用剤
せっけん,中性洗剤,けい光増白剤,のり類,普通に用いられる防虫剤・しみぬき剤など。
エ 被服製作・被服整理・編物の方法
(ア) 被服製作
洋服構成の基本,採寸,製作計画,型紙の選択とその補正のしかた,用布の積り方,裁ち方,仮り縫い,補正,本縫い,仕上げのしかた。
(イ) 被服整理
予洗,本洗,すすぎ,脱水,乾燥,仕上げのしかた,つくろい方。
b しみぬき
日常つきやすいしみの除去法。
c 保管
乾燥,ブラシのかけ方,アイロンのかけ方,防虫剤の使用法,しまい方,容器と保管のしかた。
かぎ針および棒針を用いる基礎編とその編目の記号,基礎編応用の簡単な模様編,ゲージの決め方。
オ 被服と衣生活
整容,被服と活動との関係,繊維や被服整理用剤の進歩と衣生活。
(実習例)被服製作……ブラウス,スカート類。
被服整理……スリップ,ブラウス,ソックスなどの洗たく。
編 物……こども帽子,手袋.ソックスなど。
(3) 設計・製図
家庭機械や家庭工作に必要な製図の基礎的事項を,主として「日本工業規格製図通則」に基いて指導し,これらがある程度習得された後は,「(4)家庭機械・家庭工作」の学習と合わせて指導する。
ア 表示の方法
図面の種類,スケッチによる表示など。
イ 製図用具の使用法
三角定規,ものさし,コンパス,ディバイダ,鉛筆など。
ウ 線と文字の使用法
実線・破線・鎖線,アラビア数字など。
エ 投影法
第一角法,第三角法など。
オ 寸法の記入法
寸法線,寸法補助線,矢印,寸法数字,寸法基準線,角度の寸法,円孤の寸法など。
カ 工作図
尺度,図面の形式,作図の順序など。
キ 図面と生活との関係
日常生活と図面、日常生活と日本工業規格など。
(4) 家庭機械・家庭工作
家庭機械の取扱および実用品や装飾品の製作に必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげたものの取扱や製作に即して指導する。この場合,家庭機械の取扱は調理や被服製作の学習と関連させて指導するようにし,家庭工作は考案設計・製図・製作・評価の各段階を追って一貫した指導を行うようにする。
ア 家庭機械の取扱
操作法,使用中の留意事項,日常の手入れなど。
イ 家具用木材
スギ,マツ,ヒノキ,サクラ,カツラ,ホウ,セン,キリ,合板など。
ウ 接合材料と塗料
くぎ,木ねじ,合成樹脂接着剤などの接合材料。
ペイント,ラッカーなどの塗料。
エ 木工具の使用法と工作法
のこぎり,かんな,きり,つち,ねじ回しなどの工具。
木取り,のこぎりびき,穴あけ,くぎ打ち,ねじしめ,接着,組立,塗装などの工作法。
(実習例)家庭機械……裁縫ミシン,洗たく機,電気アイロン,はかり,こんろ類など。
家庭工作……花びん敷,壁掛,整理箱など。
(2) この学年における授業時数は,「(1)調理」25単位時間,「(2)被服製作」45単位時間(被服製作・被服整理35単位時間,編物10単位時間),「(3)設計・製図」15単位時間,「(4)家庭機械・家庭工作」20単位時間(家庭機械10単位時間,家庭工作10単位時間)を標準とする。
〔第2学年〕
1 目 標
(2) 調理では,第1学年の「調理」の学習を発展させるとともに,日常食および常備食の調理に関する基礎的技術を習得させ,家族の日常食の献立作成の能力を得させ,生活を明るく営む態度を養う。
(3) 被服製作では,第1学年の「被服製作」の学習を発展させるとともに,休養着の製作および簡単なししゅうに関する基礎的技術を習得させ,生活を快適に営む態度を養う。
(4) 家庭機械・家庭工作では,第1学年の「家庭機械・家庭工作」の学習を発展させるとともに,家庭機械の整備や家具の修理に関する基礎的技術を習得させ,それらを活用する能力および生活を能率的に営む態度を養う。
日常食の調理および家族の日常食の献立に必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげた食物の調理に即して指導するとともに,成人向きのものを中心にして,その献立・調理・評価の各段階を追って一貫した指導を行うようにする。また,家族の日常食の献立に必要な知識は,取り上げる献立に即して重点的に指導する。
ア 献立
家族の栄養,性別・年齢別・労作別による食品群別摂取量のめやす,食品と季節,家族の献立作成。
イ 調理材料
第1学年にあげたもののほか,乾物,かんづめなど。
ウ 調理用具・食器
第1学年に準じる。
エ 台所の施設設備
流し,調理台,こんろ台,食卓,戸だななどとその配置。
オ 調理用熱源
第1学年にあげたもののほか,まき,練炭,電熱など。
カ 調理法
第1学年にあげたもののほか,乾物のもどし方,かんづめ・びんづめを用いる調理のしかた,ジャム・つくだ煮・つけものなどの作り方など。
キ 食物と生活
家事労働の能率化と調理法および台所の施設設備,食物費と家庭経済。
(実習例)米食(すし)・粉食の調理,しるもの・あえもの・よせもの・酢のものなどの日常食の調理,ジャム・つくだ煮などの常備食の調理など。
(2) 被服製作
青少年期の女子の休養着を製作したり,簡単なししゅうを行うのに必要な技術の基礎的事項を、「(実習例)」にあげたもののうちからそれぞれ一つを選んで,製作に即して指導するとともに,計画・製作・評価の各段階を追って一貫した指導を行うようにする。
また,被服の修理・更生・新調などの計画の立て方についても指導する。
ししゅうは,基礎的なししゅうのしかたの概要を知らせて,「(実習例)」にあげたもののうちから一つを選んで,その考案設計を行わせ,それに必要なししゅうの基礎的なしかたを指導し,これに基いて製作させるようにする。
ア 布 地
ゆかた地,タオル地,ネル,ブロード,ギンガム,ポプリンなど。
イ 被服製作・ししゅうの方法
(ア) 被服製作
和服構成の基本,寸法,製作計画,用布の積り方,裁ち方,しるしつけのしかた,縫い方,仕上げのしかた。
b 洋 服
第1学年「(2)被服製作エ,(ア)」に準ずる。
基礎的なししゅうのしかた。
ウ 被服と生活
被服と休養との関係,被服の修理・更生・新調の計画,被服費と家庭経済。
(実習例)被服製作……休養着(ひとえ長着女物またはパジャマなど。)
ししゅう……手さげ袋,テーブルクロス,エプロンなど。
(3) 家庭機械・家庭工作
家庭機械の整備や家具の修理に必要な技術の基礎的事項を「(実習例)」にあげたものに即して指導するとともに,機械の材料や要素は,取り上げる機械と関連させて重点的に指導する。
ア 家庭機械の材料
スズめっき鋼板,亜鉛めっき鋼板,軟鋼板,黄銅板,アルミニウム板,鋳鉄,鋼,合金鋼,軽合金など。
イ 機械要素
締結用(ねじ,リべット,キー,ビンなど。)
軸 用(軸,クラッチ,軸受など。)
管 用(管,弁,コックなど。)
伝導用(べルト,ロープ,鎖,歯車,カム,リンクなど。)
緩衝用(ばね,ブレーキなど。)
ウ 家庭機械の整備
工具の使用法,故障の原因と点検,分解・組立の順序,部品の手入れと交換,調整の要領,給油の箇所と方法など。
エ 家具の取扱法と簡単な修理
日常の点検,にかわ・補強金具・リべット・はんだ・ねじによる修理など。
オ 刃物のとぎ方と手入れ
といしややすりによる方法など。
カ 機械と生活
生活の能率化と機械の利用,機械技術の進歩が家庭生活や産業に及ぼす影響など。
(実習例)家庭機械……裁縫ミシンなど。
家庭工作……家具類の修理,刃物の手入れなど。
(2) この学年の授業時数は,「(1)調理」30単位時数,「(2)被服製作」45単位時間(被服製作35単位時間,ししゅう10単位時間),「(3)家庭機械・家庭工作」30単位時間(家庭機械20単位時間,家庭工作10単位時間)を標準とする。
〔第3学年〕
1 目 標
(2) 調理では,第2学年の「調理」の学習を発展させるとともに,老人・病人などの食物の調理,客ぜん調理および行事食の調理に関する基礎的技術を習得させ,食生活を改善する態度を養う。
(3) 被服製作では,第2学年の「被服製作」の学習を発展させるとともに,日常着の製作,被服整理および簡単な染色に関する基礎的技術を習得させ,衣生活を改善する態度を養う。
(4) 保育では,幼児の衣食住に関する技術を総合的に習得させ,こどもを愛育する態度を養う。
(5) 家庭機械・家庭工作では,一般に使われている家庭用電気器具の取扱および室内整備に必要な家具の修理に関する基礎的技術を習得させ,それらを活用する能力および生活を能率的に営む態度を養う。
既習事項と有機的な関連を図りながら,消化しやすい食物,客ぜん調理や行事食などの調理に必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげた食物の調理に即して総合的に指導する。また,客ぜん調理や行事食の調理はそれぞれの地域における生活習慣との関連において,それらを合理的,能率的に改善する態度を養うように指導する。
ア 献 立
幼児・老人・病人などの栄養,幼児・老人・病人などの食事,行事食・客ぜん調理などの献立作成。
イ 調理材料
第2学年に準ずる。
ウ 調理用具・食器
第2学年にあげたもののほか,蒸し器,天火,電気調理器具などの調理用具。
普通に用いられる幼児・病人の食事,行事食,客ぜん調理などの食器・容器。
エ 調理法
第2学年にあげたもののほか,消化しやすい食物の調理のしかた,蒸し方,揚げ方,あわたてのしかた,うらごしのしかたなど。
オ 食物と生活
食生活の習慣や年中行事などとそれらの改善。
(実習例)米飯(たきこみ飯)・茶わん蒸し・卵焼・つけ焼・吸物・揚げ物・サラダなどの調理,消化しやすい食物の調理など。
(2) 被服製作
青少年期における女子の日常着・外出着の製作,被服整理および簡単な染色を行うのに必要な技術の基礎的事項を,「(実習例)」にあげたものの製作や整理に即して指導する。
また,染色は基礎的な染め方を簡単に指導し,これに基いて「(実習例)」にあげたもののうちから一つを選んで,その考案設計を行わせ,これに基いて製作させるように指導する。
ア 繊維・布地
第1学年にあげたもののほか,麻,絹およびそれらの交織物など。
イ 被服の付属品
装飾用ボタン,バックルなど。
ウ 被服製作・被服整理・染色の方法
(ア) 被服製作
第2学年の洋服に準ずる。
(イ) 被服整理
絹や毛の洗たく法。
(ウ) 染色
ろうけつ染や絞り染の基礎。
エ 被服と生活
衣生活の改善。
(実習例)被服製作……ワンピースドレス類。
洗たく……絹物,毛糸編物など。
染 色……手さげ袋,のれん,デーブルクロス,ふろしきなど。
(3) 保 育
幼児の生活を中心に,その衣食住について総合的に指導する。
ア 幼児の衣食住
幼児食,間食,幼児服,おもちゃ,遊び場。
イ 保育と家庭生活
幼児の心身の発達と衣食住。
(実習例)間食などの調理,幼児服の考案設計,おもちゃの製作,遊び場の設計など。
(4) 家庭機械・家庭工作
配線器具,照明器具,電熱器具,電動機などを点検・修理するのに必要な技術の基礎的事項を,取り上げる製品に即して指導する。また家庭工作では,家具の手入れを中心に,すまいについて研究させる。
ア 間取り図と屋内配線図
建築記号,一般電気用記号など。
イ 電気計器の取扱法
回路計による電流・電圧・抵抗の測定,導通試験など。
ウ 配線器具の点検・修理
屋内配線の方式,許容電流・定格値,電線・コード,開閉器・接続器・点滅器など。
エ 照明器具,電熱器具の点検・修理
(実習例)けい光燈,電気スタンド,電気こんろ,電気アイロンなど。
オ 電動機をつけた家庭用機器の取扱・点検
カ すまいのくふう
換気,採光,照明,清潔などの条件とすまい,家具の配置・配合,清掃・洗浄,塗料の選定と使用法など。
(実習例)間取りの設計,家具の塗装など。
キ 電気と生活
生活の能率化と電気の利用,電気技術の進歩が家庭生活や産業に及ぼす影饗など。
(2) この学年における授業時数は,「(1)調理」25単位時間,「(2)被服製作」40単位時間(被服製作・被服整理30単位時間,染色10単位時間」,「(3)保育」10単位時間,「(4)家庭機械・家庭工作」30単位時間(家庭機械20単位時間,家庭工作10単位時間)を標準とする。
第3 指導計画作成および学習指導の方針
2 各学年の内容の各項目の組織や配列は,必ずしもそのまとめ方や指導の順序を示すものではないから,「第1目標」および各学年の目標や指導上の留意事項をじゅうぶん考慮に,適切な組織順序をもった指導計画を作成して指導することが望ましい。
3 内容の項目に示してある「(実習例)」は,その項目に示してある基礎的な事項を学習させるのに適当と思われるものを例示したものである。指導計画を作成する場合,学校の事情や生徒の必要などを考慮して,この例にならって適切なものを取り上げるようにする。
4 指導計画の作成にあたっては,生徒の学習のための集団の作り方や時間割などをくふうして,指導が円滑に行われるようにする。
5 学習の環境を整備し,実習のために服装を整えさせ,各種の規定を守らせ,安全・清潔・あとかたづけなどに留意させて,事故防止に努める。