第3章 中学部の教育課程とその編成

 

1. 中学部の教育の目標と教育課程の性格

 

 中学部においては,小学部における教育の基礎の上に,心身の発達に応じて,中等普通教育を施し,その教育の目標は,中学校における教育の目標に準ずるものとする。

 中学校における教育の目標は学校教育法第三十六条において次のように定められている。

一 小学校における教育の目標を、なお充分に達成して、国家及び社会の形成者として必要な資質を養うこと。

二 社会に必要な職業についての基礎的な知識と技能、勤労を重んずる態度及び個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと。

三 学校内外における社会的活動を促進し、その感情を正しく導き、公正な判断を養うこと。

 中学部の教育課程は,この目標の達成を目ざし,この時期におけるろう生徒の成長と発達に即し第一章に示すところに留意して編成されなければならない。

 この時期の生徒は,小学部の教育において,ようやく基礎的な言語力が身につき,各教科の学習においては理解もかなり深まり,特別教育活動もしだいに活発となって,経験領域はいっそう拡充されてくる。したがって,中学部の教育課程は,小学部と同様になお言語に関する学習に綿密な配慮を重ねつつ,これに加うるに多くの学習経験を豊富に与えて各教科および特別教育活動の諸目標が調和を保って達成されるよう特に注意して編成されなければならない。なお,この時期の生徒に対する目標としては,将来の職業を選捉したり,職業についての基礎的な能力を習得させたりすることを重視し,教育課程の編成に当っては,この点にじゅうぶん留意しなければならない。

 また,この時期の生徒は,しだいに自分の聴力の欠陥や,その影響を強く意識し始め,その結果,情緒的,社会的な面において不安な状態に陥りやすいから,その指導には適切な配慮を必要とする。

 

2.教科と特別教育活動

 

(1) 教 科

 中学部の教科は,これを必修教科と選択教科に分ける。

 必修教科は、国語、社会、数学、理科、図画工作、保健体育および職業・家庭を基準とし選択教科は、律唱、外国語及び職業・家庭を基準とする。

 ろう学校中学部におけろ各教科の目標は中学校における各教科の目標に準ずるものであるが,この目標を達成するためにはろう生徒の特性にかんがみて留意すべき点が多い。以下,中学校の各教科の目標およびろう学校中学部における留意事項を示す。

 

国 語 科

 

 中学部における国語科は小学部教育の基礎の上に立って,生徒の発達に応じて国語科の一般目標をさらに高い程度に,達成するようにしなくてはならない。

 この時期の生徒は,すべての方面において,その学習の範囲が拡大し,内容も豊富になり,文学についての理解もましてくる。したがって,国語科においては生徒の持つ基礎的な言語力をさらに伸ばすことに努めるとともに,これを広く生かして,いろいろな図書や,書かれた資料を効果的に利用して,進んで自分の学習を行う態度や技能を養うことがたいせつである。そのため,図書館の利用や,辞書の用い方などについても,他教科の内容と関連させて適切に指導することが必要である。

 また,このころの生徒は,青年期の段階に入り,心身の発達にも変化をきたす時であるから,言語指導のすべての面において,悪いくせがつかないよう,特に発語の面にも適切な指導が必要であり,基礎的な文型や語いにも習熟して正しく使用できるよう綿密な配慮が必要である。

特に集団の話合いに参加したり学校や家庭の身近かな人以外の人々と話し合ったりする必要が多くなって来るので,いろいろな場面に即応して,相手の話の内容の要点を整理したり,自分の考えを要領よく効果的に伝えることができるように指導しなければならない。

 

社 会 科

 

 中学部における社会科では小学部における社会科の基礎の上に立って,次の目標の達成に努めなければならない。

 中学校における社会科の目標は次のとおりである。

1.国家・地方公共団体,その他さまざまの社会集団における人間の相互関係についての理解を深め,これらの集団の機構や機能について,小学校よりも,より広い見地から,系統だてて理解させる。そして歴史的背景や世界的視野の裏付けのもとに,現代日本において,政治・経済・社会・国際関係などにおいて,どのような問題があるかについて目を開かせ,日常生活を通して民主主義を現代のわが国の政治的・経済的・社会的活動に具体的に生かしていく能力や態度を養う。

2.日本の各時代の概念を明確につかませ,歴史の発達過程を総合的に理解させ,国家の伝統と文化について,正しい理解をもたせる。また,日本の歴史ばかりでなく,世界史的な内容を通して,日本史に関するものを主体としながらも,それとの関連において世界史の流れをとらえ,結果においては,その時代系列のあらましがつかめるようにする。そして現代のわが国における政治的,経済的,社会的な諸問題が,どのような歴史的背景を持っているかを理解し,国家の伝統と課題について,歴史的考察力を養う。さらにまた,歴史は,人間の自然環境に対するはたらきかけや,社会をよくしていこうとする人々のたゆまない努力によって発展するものであること,歴史的発展には地域や民族によって特殊性があること,また各時代,各社会の人々の活動には共通な人間性が見られることなどについても理解させ,それによって,社会生活の発達に対する自己の責任感や,人間相互の関係における協調の精神を養う。

3.政治的,経済的,社会的,国際的観点を小学校よりも強化して,日本や世界の各地域の生活の特色を,他地域との比較・関連において明確につかませ,その地域の生産その他の諸事象が相互に関連性をもつことや,各地域が日本や世界の中で占めている地位について理解させる,なお世界の中でも,特に,アジア=太平洋地域における諸問題についての関心を深めること,これからのわが国では国民が自然環境に対して積極的に働きかけること,国際的協調に対して努力することなどがたいせつであることについても,理解を深める。

そして,地域相互間の関係,人間と自然との関係を考察し,人々の生活は土地によって特色があるが,その底には共通な人間性が流れていることを理解して,わが国が当面している問題について地理的に考察する態度や能力を養い,国家や郷土に対する愛情を育てる。

4.小学校よりもさらに広く深い領域を学習させることにより,民主主義の諸原則についての理解をいっそう深め,それがわれわれの幸福にどのような関係をもっているかについて理解させ,これを実際の生活に生かしていく態度を養う。また,それぞれの具体的事象についての学習を通して,国を愛する心情や他国や他国民を敬愛する態度を養う。

 

 生徒は言語力の基礎がようやく身についたときであり,経験領域もまだじゅうぶん豊かではない。しかし個人的・社会的な必要や要求も小学部の頃に比べて一そう高くなっている。

 したがって,生徒の発達に即して用語の点においても,内容の面においても困難や抵抗のないよう正しく理解させるように努めなければならない。

 特に社会集団における人間関係を理解させるにとどまらず,積極的な生活意欲をもち,望ましい人間形成に向って努力する態度が養われるよう指導上の配慮が必要である。

 特に小学部におけると同様,視覚教材の使用や実地見学をいっそう効果的に行うことがたいせつである。

 

数 学 科

 

 中学部における数学科は小学部における算数料の基礎の上に立って次の目標の達成に努めなければならない。

 中学校における数学科は次のことを生徒の身につけさせることを目標とする。

1.数学の有用性と美しさを知って,真理を愛し,これを求めていく態度を養う。

2.明るく正しい生活をするために,数学の果している役割の大きいことを知り,正義に基いて自分の行為を律していく態度を養う。

3.労力や時間などを節約したり,活用したりする上に,数学が果している役割が大きいことを知り,これを勤労に生かしていく態度を養う。

4.自主的に考えたり行ったりする上に,数学が果している役割の大きいことを知り,数学を用いて自主的に考えたり行ったりする態度を養う。

5.数学がどのようにして生れてきたかを理解し,その意義を知る。

6.数学についての基礎となる概念や原則を理解する。

7.数量的な処置によって,自分の行為や思考をいっそう正確に,的確に,しかも能率をあげるようにする能力を養う。

8.自分の行為や思考をいっそう正確に的確に,しかも能率をあげるようにすることが,どんなに重要なものであるかを知り,これを日常生活に生かして行く習慣を養う。

9.社会で有為な人間となるための資質として,数学についてのいろいろな能力が重要なものであることを知り,数学を生かして社会に貢献していく習慣と能力とを養う。

10.職業生活をしていくための資質として,数学についてのいろいろな能力が重要なものであることを知り,いろいろな職業の分野で,数学を生かして用いていく習慣と能力を養う。

 

 算数科におけると同様に,この時期の生徒には特に文章で示された事実問題の学習にはまだ困難が多い。したがって,実際の場面における具体的な経験を通して,いろいろな数や計算の意味をじゅうぶんに理解させるとともに,問題場面を理解し,その中における数量的な関係を考えた上で,そこで用いられる数や計算を適切に判断させることをじゅうぶん指導することが大切である。

 特にこの時期の生徒はまだ言語による推理,判断力が不足しているので,視覚教材をじゅうぶん活用して,数学的思考を伸ばすとともに,言語指導にも適切な配慮をしなければならない。

 

理   科

 

 中学部における理科は小学部における理科の基礎の上に立って次の目標を達成させるように努めなければならない。

 中学校における理科の目標は次のとおりである。

1.われわれの生活を改善するのに役だつような,科学的な事実や原理に関する知識を得る。

2.人と自然界との関係を理解し,さらに,人は他の人々,いろいろな生物,自然力の恩恵を受けていることを理解する。

3.人体や個人および公衆衛生についての,基礎的な知識や理解を得,健康的な習慣を形成しようとする気持ちを起し,さらにその実現に努める。

4.自然の事物や自然現象を観察し,実際のものごとから直接に知識を得る能力を養う。

5.自然の偉大さ,美しさおよび調和を感得する。

6.自然科学の業蹟について,社会に貢献するものと有害なものとを明らかに区別し,さらにすべての人類に最大の福祉をもたらすように,科学を用いなければならないという責任感を持つ。

7.科学の原理や法則を日常生活に応用する能力を高める。

8.一定の目的のために,原料や自然力を効果的に,また安全に使う能力を高める。

9.科学的な態度とはどのようなものであるかを理解する。たとえばいろいろな事実に基いて一応の結論が得られても,偏見を捨てて,さらに多くの事実を探究し,じゅうぶんな証拠が得られるまでは,判定をさしひかえる。

さらに,こうして得られた結論でも,別の事実にあてはめてみて深く吟味する。

10.問題を解決するために,科学的な方法を用いる能力を高める。

11.現代の産業および商業生活において,科学に関する知識や科学的習慣が重要であることを認識し,また,それらを習得して,職業の選択に役だたせる。

12.正確に観察し,測定し,記録する習慣を形成する。

13.道具をたくみに使いこなしたり,機械その他,科学的に作られたものを正しく取り扱ったりする技能や習慣を養う。

14.人類の福祉に対する科学者の貢献,科学がどのようにして現在の文明を築くのに役だったかを理解する。

15.科学のいろいろな分野における専門家を尊敬する態度を養う。

16.他の人と協力して,科学上の問題を解決しようとする心がまえをもつ。

 

 この時期の生徒は,経験の範囲がかなり拡大し,具体的な事物や現象に会うことが多くなっている。

 しかし,まだ言語による論理的な思考力が不十分であるから,実験観察の能力をさらに進めるとともに視覚教材の利用などにより因果関係の理解を進めることがたいせつである。

 

図画工作科

 

 中学部における図画工作科は小学部における図画工作の基礎の上に立って,次の目標の達成につとめなければならない。

 中学校における図画工作科の目標は,次のとおりである。

1.生徒を個人としてできるだけ完成する助けとして, (1) 絵や図をかいた,意匠を創案したり,物を作ったりする創造活動を通して,生徒の興味・適性・能力をできるだけ発展させる。

(2) 日常生活を営むに必要な,造形品の実用価値や美的価値を判断し,有効なものを選択する能力を発展させること。

(3) 造形品を有効に使用する技能を発展させる。

(4) 美術品および自然のよさを鑑賞する能力を発展させる。

(5) 前の各項と関連して,余暇を有効に過ごすための多くの興味技能を発展させる。

2.生徒を社会人および公民としての完成の助けとして。 (1) 創造的な表現力を社会生活に活用する技能を発展する。

(2) 人間の造形活動の意味を理解し,その価値を理解する能力を発展する。

(3) 造形の用具材料および造形品の使用を通して,公民として必要な態度を発展させる。

(4) 生徒の職業的な興味・適性・技能と,経済的生活の能力を発展させるために必要な理解と技能を養う。

 

 ろう学校中学部における図画工作科は,小学部における図画工作科にひき続いて,生徒の情操の発達にいっそう留意し,また知的な面や,手先の器用さの発達を考慮して,単に,創造的個性の発展のみでなく,その基礎となる各種の表現や鑑賞活動の基本的知識や技能を重視しなければならない。

 

保健体育科

 

 保健体育は,体育学習と保健学習とじゅうぶんな関連をもって指導する。

体育学習は,小学部における体育科の基礎の上に立って,次の目標の達成につとめなければならない。

 中学校の体育の目標は次のとおりである。

1.身体的発達を助長し,よい姿勢・習慣を確立する。

2.身体活動に対する経験を広げ,基礎的技能を発達させる。

3.情緒の安定を高める。

4.社会的態度を発達させる。

5.余暇活動の基礎を養う。

 

 ろう学校中学部における体育学習は,小学部における体育科の留意事項にもとづきさらにすすんだ程度において十分な指導ができるよう配意する。

 健全な余暇利用の基礎を培うことに留意しなければならない。

 特にこのころの生徒は心身の発育に変化をきたす時期であるから,身体活動を通して均衡のとれた発達が促されるように留意し,またリズミカルな動作にもいっそう習熟するように指導しなくてはならない。保健学習は小学部教育の基礎の上に立って,次の目標の達成に努めなければならない。

 中学校における保健学習の目標は次のとおりである。

1.個人の健康成立の基礎的な諸条件ならびに健康についての科学的な考え方について理解し,これに基いて身近な生活における保健問題を解決する態度・能力を養う。

2.自己の健康について理解し,これに基いて適切な保健活動を行う習慣・態度・能力を養う。

3.病気やけがとその予防について理解し,病気やけがの予防や救急処置に必要な保健活動を行う態度・能力・技能を養う。

4.健康と学習や仕事との関係について理解し,これに基いて学習や仕事を健康的に行う能力・態度を養う。

5.健康な精神について理解し,これに基いて生活を楽しく進める習慣・態度を養う。

6.集団の健康について理解し,進んでその健康を高めることに協力する態度を養う。

 

 ろう学校中学部における保健体育学習では特に聴力障害からおこる危険の防止は,小学部と同様特に留意して取り扱い,自分の障害について正しい認識をもって,日常生活における不測の災害を防止し,事故に対処する能力と習慣が養われるようにしなくてはならない。

 なお,この時期の生徒は,身体の発育は,普通の生徒とほとんど差異はなく,性に関する指導が必要となる。ところが,家庭から離れている生徒が多く,正しい知識を得ることが困難であるから,性教育についても,保健の内容として適切な指導を行わなければならない。

 

職業・家庭科

 

 中学校における職業家庭科は,われわれの生活に必要な知識・技能・態度を身につけ,家庭および社会の一員として,その家族や社会の発展のために力を合わせることの意義を自覚し,みずからの能力に応じた分野を受けもって,その力をじゅうぶんに発揮し,職業生活・家庭生活の改善向上を図るようにさせることを目ざす教科である。

 この趣旨に基いて具体的に考えてみると,次のような目標をあげることができる。

1.基礎的な技術を習得させ,基本的な生活活動を経験させる。

2.産業ならびに職業生活・家庭生活についての社会的・経済的な知識・理解を得させる。

3.科学的,能率的に実践する態度・習慣およびくふう創造の能力を養う。

4.勤労と責任を重んずる態度を養う。

5.将来の進路を選択する能力を養う。

 一般に,ろう生徒に対しては,狭い範囲について職業の技能の習得を偏重しがちであるが,中学部の職業・家庭科においては,家庭および職業生活について,一般的教養として基礎的な理解や態度を養うことを重視しなければならない。

 多くの生徒は,この時期に将来の進路を選択し決定する必要があるので,その指導にあたっては個性の発見と,進路の指導に努めなければならない。

 なお,生徒の年令や,地域の事情によっては,選択教科として課す場合には,特定の職業について専門的な技能の基礎になるものについて指導することができる。

 

律 唱 科

 

 中学部における律唱科は,小学部における律唱科の基礎の上に,いっそう進んだ身体運動や,歌唱,器楽演奏などの活動を通して,リズムやあるいはさらに進んで音楽についての簡単な知識を得させ,生活により高いうるおいを持たせることを目標とする。

 

リズムを中心とした歌唱や身体活動は,小学部と同様に国語科や保健体育科と関連させて取り扱い,また各種の教具の利用についても,なお周到な注意を払わなければならない。

 この時期の生徒は,言語力の基礎もようやく身についた時であるから,小学部よりもさらに進んだ程度において,自然な話し方のリズムと身体の均衡や,つりあいを,楽器の振動の触覚などによって,一そう確実に感知させるとともに,聴力の程度によっては,器楽の演奏や鑑賞の領域においても,しだいに高い程度の素材を生徒に無理のないように留意して取り扱わせて指導しなくてならない。

 

外国語科

 

 中学校における外国語科は,外国語の聞き方,話し方,読み方および書き方の知識および技能を伸ばし,それを通してその外国語を常用語としている人々の生活や文化について理解を深め,望ましい態度を養うことを目標とする。

 この目標を達成するために,ろう学校では次の点に留意しなければならない。

 

 外国語の読話や発語の面に無理な要求をすることなく,読み方,書き方およびその基礎になる外国語の理解に重点をおき,社会人としての生活に必要な日常の外国語の知識を習得させるよう留意しなくてはならない。

 

(2) 特別教育活動

 

 特別教育活動は,教科としては組織されないが,中学部における教育の目標の達成に寄与する有効な学習活動で,教育課程の一部として,教科の指導以外に時間を設け,すべての生徒に対して指導を行うものである。

 特別教育活動における目標については,小学部における教科以外の活動の発展として,なおいっそう生徒の自主性・協同性を重視する。

 なお,将来の進路を選択決定するのに必要な能力を養い個性の伸長を図ることは,この時期の生徒の重要な目標となる。

 その活動の領域は,広範囲にわたるが,年間を通じて計画的継続的に指導すべき活動としてはホームルーム活動,生徒会活動およびクラブ活動がある。

 これらの活動については,学校は,生徒の自発的な活動が健全に行われるように,周到な計画のもとに,指導をしなければならない。

 特にこの時期の生徒には,将来の進路の選択や,その他いろいろな問題や困難が多いので,個々の場合に即した,適確な指導のための資料を準備し,特別教育活動を通じて,生徒の健全な成長がはかられるよう常に適切な指導と助言を行うようにつとめなくてはならない。

 

(3) 指導時間数

 

中学部各学年における教科と特別教育活動の指導時間数および総指導時間数は次の表のとおりに定める。

 

 教科と特別教育活動の指導時間数および総指導時間数
\学年
必 須 教 科
国  語
228〜304

(6〜8)

228〜304

(6〜8)

228〜304

(6〜8)

社  会
152〜228

(4〜6)

152〜228

(4〜6)

152〜228

(4〜6)

数  学
114〜190

(3〜5)

114〜190

(3〜5)

114〜190

(3〜5)

理  科
114〜190

(3〜5)

114〜190

(3〜5)

114〜190

(3〜5)

図画工作
114〜190

(3〜5)

114〜190

(3〜5)

114〜190

(3〜5)

保健体育
114〜152

(3〜4)

114〜152

(3〜4)

114〜152

(3〜4)

職業・家庭
114〜152

(3〜4)

114〜152

(3〜4)

114〜152

(3〜4)

特別教育活動
76〜114

(2〜3)

76〜114

(2〜3)

76〜114

(2〜3)

小  計
1026〜1216

(27〜32)

1026〜1216

(27〜32)

1026〜1216

(27〜32)

選択教科
律  唱
38〜76

(1〜2)

38〜76

(1〜2)

38〜76

(1〜2)

外国語
76〜152

(2〜4)

76〜152

(2〜4

76〜152

(2〜4

職業・家庭
114〜304

(3〜8)

114〜304

(3〜8)

114〜304

(3〜8)

総指導時間数
1140〜1330

(30〜35)

1140〜1330

(30〜35)

1140〜1330

(30〜35)

 

備 考 (1) この表は,教科および特別教育活動に必要な年間の最低および最高の指導時間数ならびに総指導時間数を示す

 また併せて1年38週の指導を行ったとき,1週当りの平均指導時間数を()の中に示す。

(2) この表に示された時間数はすべて50分をもって1単位時間とする。ただし,これは指導を50分ごとに区切るべきであるという意味ではない。

(3) 各教科および特別教育活動指導時間の間に適当な休憩および昼食の時間を設ける必要があるが,これらの時間は,この表に示す時間数には含まれていない。

(4) 実際の指導にあたっては,教科の統合をはかるなど,実情に即して指導する場合においても,この表に示された時間数をもととしなければならない。

(5) 保健体育科の保健学習については,3年間のうちに合計76時間の指導を行うものとする。これはいずれかの学年にまとめて実施してもよく,二年間又は三年間に分けて実施してもよい。

(6) 私立学校においては,この表に示された教科および特別教育活動のほか,その必要によって宗教に関する教科を設けることができる。

 この場合,総指導時間数は,この表に示された時間数の範囲をこえてはならない。

 

3. 学校における教育課程の編成

 

 学校における教育課程は,上に示したところに従い,第2章で示した留意点にあわせて,次の点に留意して,具体的に編成しなければならない。 (1) 選択教科は,生徒の個性と進路に応じ,その個人的必要を満たすために設けられたものであるから,学校では事情の許すかりその目的を果すように,教育課程を編成しなけれはならない。

(2) 総指導時間数を週当り32時間以内で計画する場合にも,必修教科に合わせて選択教科を履修させることが望ましい。

(3) 学校は,個々の生徒の適性・環境・進路の希望等に関する適確な資料に基き,生徒に個々の自覚と社会への認識を深めさせ,選択教科の履修の決定その他進路について,適切な指導を行わなければならない。

 

ろう学校 小学部・中学部 学習指導要領 一般編

                            MEJ 2609

昭和32年3月10日印刷

昭和32年3月15日発行

     著作権所有    文   部   省

             東京都北区稲付町1-208

     発 行 者    二 葉 株 式 会 杜

                 代表者 大 野 治 輔

             東京都北区稲付町1-208

     印 刷 者    二 葉 株 式 会 社

                 代表者 大 野 治 輔

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