第3章 職業・家庭科の内容

 

 第2章の群や項目について適当と考えられる内容ならびに留意点を示すと次のとおりである。

 これらは,職業・家庭科の性格・目標に照して広く選ばれたものであるから,各学校では,性別や環境などを考慮して,これらの素材の中から適切なものを取り上げるものとする。

 なお,一般には,これらの素材でじゅうぶんと考えられるが,特に必要な場合には,これらのほかに適切なものをけ加えるものとする。
第   1   群

 第1群は作物や家畜のような生命体を愛育すること,および農産物に加工することを通して栽培・飼育や農産加工の基礎的な技術を習得させ,それらを手がかりとして,広く生産と科学との関係や生産と経済との関係を理解させることをねらいとし,また,持久的に作物・家畜を愛育する態度,およびそれを基調とする正しい観察力や判断力を養おうとするものである。

 

留 意 点

1.今日行われている栽培・飼育や加工の技術の中には幾多の科学性が含まれているが,なお不合理な点も少なくない。各地の技術を比較したり,歴史的な発展のあとをたどったり,それらの背景となる科学的な根拠を調べたりさせて,改善のきっかけを発見し,それを実践に移すように導くことがたいせつである。そのためには,理論と実際とを一体とした指導が望まれる。

2.教師の指導のもとに生徒の自主性を生かして,作物の栽培や飼育の計画に参加させたり,分担させたり,当番制を取り入れたり,あるいは家庭における経験を活用したりして,生徒が作物・家畜を愛育するように指導することがたいせつである。

3.各項目に掲げた繁材の取扱にあたっては,「技能」,「技術的な知識・理解」,「社会的,経済的な知識・理解」などについて具体的な目標を設定し,それを意識して指導する必要がある。

4.第1群の内容は,どの仕事を取り上げても,さまざまの事項が有機的に入り組んでいるから,注意しないととりとめもない学習に終るおそれがある。したがって,どの仕事で何を取り上げるかを重点的に決めて,能率的な指導ができるような体系をつくる必要がある。

5.栽培や飼育は季節に伴う継続的な仕事であるから,一つの仕事が終ってから次の仕事に移るというようなことは困難であって,いくつかの仕事が並行する場合が考えられる。この場合は特に相互の関係を考慮し,指導する事項が,順序正しく,発展的に取り上げられるようにくふうする必要がある。

6.栽培や飼育は天候に支配されることが多いから,それに応じるため,事前に弾力性のある計画を立てておくことが必要である。

7.第2章の「内容の組織」の表の備考欄に,「農耕」と「園芸」の項目をかっこでくくって○印がつけてあるのは,その両方または一方という意味である。

 

1.栽培——農耕
 農耕では,農耕の基礎的な技術を学び,生産と科学との関係を理解し,作物を持久的に愛育するように導く。また他の項目とじゅうぶんな関連を図って,農業の経営や,国民経済における農業生産・農業人口の位置や特徴についても理解を深めさせる。 (1) 食糧事情        (10) 雑草とその対策

(2) 農耕と気象       (11) 作物の病気とその対策

(3) 農耕と土の性質     (12) 作物の害虫とその対策

(4) 肥料とその施し方    (13) 作物の性質と手入れ

(5) 耕作のしかた      (14) 取り入れ

(6) 農作物の品種      (15) 種とり

(7) 土地利用と作付計画   (16) 貯蔵

(8) 種苗の選択と準備    (17) 農具とその使い方

(9) 苗の育成        (18) 農業経営の特色

 

〔仕事の例〕  いね・むぎ・雑穀・まめ・いも・肥料飼料作物・工芸作物などの1種もしくは数種の栽培

 取り上げる作物の種類は,国およびその地域における重要性と,その学校においてこの教科の目標を達成する上の可能性とをにらみ合わせて決める。

〔留意点〕 (1) 各地の農耕技術に目を向けたり,歴史的な発展を調べたり,その背景となる科学的な根拠をさぐったりして,伝統的な生産方法や生活様式を科学的に改善する方向を見いだすようにしむける。

(2) 数種の作物を取り上げる場合,各作物について上の内容を平面的にまんべんなく取り上げることはむだが多い。どの作物のどういうところで何を取り上げるかを,農耕の全体はもちろん,栽培の全体,この教科の全体についてあらかじめ考えておき,計画的,組織的な指導体系をつくる必要がある。

(3) この項目は全国の男女生徒が学ぶことが望ましいが,不可能なときは「園芸」にこの項目のねらいを加味して指導する。

(4) 農業経営の特色は第3群,国民経済に関する事項は第6群,食糧事情は第5群・第6群との関連を図って指導する。

(5) 社会科・理科との関連を図って無益な重複を避ける。

 

2.栽培——園芸
 園芸では,園芸の基礎的な技術を学び,生産と科学との関係を理解し,野菜や草花などを,くふうしながら持久的に愛育するように導く。また他の項目との関連を保ちながら,園芸生産物の需給の推移や,特産地の発達についても理解させる。 (1) 園芸生産物と栄養      (12) 園芸作物の害虫とその対策

(2) 園芸と気温・日照時間    (13) 園芸作物の性質と手入れ

(3) 園芸と土の性質       (14) 取り入れ

(4) 肥料とその施し方      (15) 促成栽培・抑制栽培

(5) 耕作のしかた        (16) 種とり

(6) 園芸作物の品種       (17) 生ものの貯蔵

(7) 園芸作物の地域性      (18) 造園

(8) 球根や苗の繁殖       (19) 庭木の植付・手入れ

(9) 種による苗の育成      (20) 園芸用具とその使い方

(10) 雑草とその対策       (21) 農業経営の特色

(11) 園芸作物の病気とその対策

 

〔仕事の例〕 野菜…なす・トマト・きゅうり・ほうれんそう・けっきゅうはくさい・だいこんなど

果樹…かき・もも・なし・ぶどうなど

花…1,2年草・宿根草・球根・花木など

造園

 これらのうちから,経済的な立場や生活改善の立場などからみて,教育的に重要であると考えられるものを選ぶ。また学校農園の作付順序なども考慮する。

〔留意点〕 (1) 各地の園芸技術に目を向けたり,歴史的な発展を調べたり,その背景となる科学的な根拠をさぐったりして,伝統的な生産方法や生活様式を科学的に改善する方向を見いだすようにしむける。

(2) 数種の作物を取り上げる場合,各作物について上の内容を平面的にまんべんなく取り上げることはむだが多い。どの作物のどういうところで何を取り上げるかを,園芸の全体はもちろん,栽培の全体,この教科の全体についてあらかじめ考えておき,計画的,組織的な指導体系をつくる必要がある。

(3) 農場の得られない都市の学校でも,校地のあいた場所を利用したり,植木ばちを使ったりなどして,草花などを作り,生物愛育の体験を得させるようにする。また種苗を分けてやって家庭で作らせるようにするのもよい。

(4) 農業経営の特色は第3群,園芸生産物と栄養は第5群とじゅうぶんな関連を図って指導する。

 

3.栽培——造林
 造林では,林木の植付や手入れを中心として,造林や利用の基礎的な技術を学ばせ,長期の見通しのもとに,樹木を愛育させ,森林を愛護する態度を養う。また他の項目との関連を図りながら,森林の社会的,経済的な意義の理解を深めさせる。 (1) 環境と樹種       (7) 林木の病気や害虫とその対策

(2) 植樹計画        (8) まき作り

(3) 林木の種        (9) 炭焼き

(4) 苗木の育成       (10) きのこの栽培

(5) 植付          (11) 用具とその使い方

(6) 植付後の手入れ

〔仕事の例〕 針葉樹…すぎ・ひのき・ひば・あかまつ・くろまつ・からまつ・えぞまつなど

広葉樹…なら・くぬぎ・くり・けやき・かし・きりなど

竹類…もうそうちく・まだけなど

きのこ類…しいたけなど

〔留意点〕 (1) 学校林のない場合でも,校地の緑化をかねて,植林の体験を得させることが望ましい。

(2) 他の項目との関連を図って,益鳥保護のため巣箱を作り,適当な所に掛けるとよい。

 

4.飼育——養畜
 養畜では,養畜の基礎的な技術を習得し,その根拠になる科学的な法則を理解し,家畜や家きんなどに趣味をもって,くふうしながら愛育するように導く。また他の項目とじゅうぶんな関連を図って,農業経営や国民生活における養畜の重要性について理解させる。 (1) 畜産物の需給状況     (8) 肥育

(2) 飼料の種類と調理・貯蔵  (9) せん毛

(3) 家畜家きんの品種    (10) 病気とその簡単な対策

(4) 家畜家きんの繁殖    (11) 害虫とその簡単な対策

(5) 家畜家きんの育成    (12) 家畜・家きん舎の施設設備

(6) 家畜家きんの手入れ   (13) 養畜と農業経営

(7) 搾乳

〔仕事の例〕 家畜…うさぎ・やぎ・ぶた・うし・うまなど

家きん…にわとり・あひるなど

〔留意点〕 (1) 地域や学校の事情により実際の飼育の不可能な場合も,家庭における養畜を考慮して指導計画を立てる。

(2) 畜産物が,わが国の食生活の改善に役だつことを考慮して,養畜の進展に努力しようとする意欲を起させる。

 

5.飼育——養蚕
 養蚕では,わが国養蚕業の経済的,技術的な推移を理解させ,養蚕の基礎的な技術を習得させ,また化学繊維の発達に伴い,今後の養蚕業はどんな点について改善くふうしたらよいかを学ばせる。 (1) 農業経営と養蚕     (7) 飼育法の変遷

(2) かいこの品種とその改良 (8) 上ぞく

(3) 飼育の設備       (9) まゆかき 

(4) 催青とはきたて     (10) かいこの病気とその対策

(5) 採桑と給桑       (11) 蚕種の製造

(6) 蚕齢と温度・湿度    (12) 養蚕経営の改善

〔仕事の例〕 かいこの飼育 〔留意点〕 (1) 地域や学校の事情により,実際に飼育することのできない場合は,見学その他の視聴覚的方法で知識・理解を深めさせる。

(2) 「農耕」のくわの栽培とじゅうぶんな関連を図って指導する。

(3) かいこの飼育は相当長期にわたり,継続的な努力を要する仕事であるから,飼育の時期や生徒の分担,実習の時間,安全などについて,綿密な計画を立てて実施する必要がある。

 

6.農産加工——加工
 加工では,農産物を経済的,栄養的な面から効果的に利用することの必要を理解させ,加工の基礎的な技術を習得させ,科学的にくふう改善する態度を養う。 (1) 加工の必要   (5) 調味料・香料・着色料などの選定・配合

(2) 原料の選定   (6) 加工の種類に応じた各種の操作

(3) 用具の準備   (7) 製品検査

(4) 原料の調製   (8) 加工と食品衛生

 

〔仕事の例〕  精穀・製粉・製パン・製めん・豆腐製造・でんぷん製造・乾燥野菜・つけ物・干がき・ジャム・ゼリー・果じゅう・かんづめ・びんづめ・製茶・搾油・製麻・くん製・ソーセージ・紡毛・皮なめし・わら加工・くずまゆ加工などのうち1種もしくは数種 〔留意点〕 (1) なるべく学校で生産した農産物を原料にして加工する。

(2) 食品加工においては,器具・原料はもちろん,作業の進行中においても清潔で衛生的あるようにじゅうぶん注意する。

(3) 農産加工を通して,伝統的な生産方式や生活様式をいっそう科学的,合理的に改善しようとするようにしむける。

 

7.農産加工——醸造
 醸造では,醸造の科学的な根拠と基礎的な技術を習得し,くふう改善する態度を養う。 (1) 発酵と酵母        (5) 発酵中の手入れ

(2) こうじの作り方      (6) 製品の検査

(3) こうじ室の構造      (7) 食品衛生

(4) 原料の選定・配合     (8) 醸造と産業や生活との関係

〔仕事の例〕  甘酒・水あめ・みそ・しょうゆ・納豆など 〔留意点〕 (1) 理科や第5群との関連を図る。

(2) 施設設備のない場合は,季節を選んで学習するよう計画する。

 

第   2   群

 

 第2群の分野・項目は,主要な工業生産技術を一般教養の観点から技術的活動を中核として類型化し,中学校教育の段階では不適当なもの,特珠な条件でだけ可能なものを除いて組織したものである。

 したがってこの群では,各項目の代表的な仕事を選定し,それを計画的,系統的に学習させることにより,基礎的な技術を習得し,その社会的,経済的な意義を理解するとともに技術的,実践的な態度・習慣を養うのが一般的なねらいである。

 

留 意 点

1.各項目に掲げた内容の素材を,「技能」,「技術的な知識・理解」,「社会的,経済的な知識・理解」別に分析して,それぞれの具体的な目標を設定し,その目標を達成するのにふさわしい少数の代表的な仕事を選定して,計画的,系統的に指導することが必要である。

2.理科・図画工作科との関連にじゅうぶん留意し,それらの学習を基礎として無益な重複を避けるとともに,妥当な年次計画を立てることが望ましい。したがって○印をつけてある項目の学習を,いたずらに第1学年に集中するようなことは適当ではない。

3.各項目の学習と結びつけて生産管理についても指導することが必要である。

4.指導計画にあたっては,各項目の無理な融合は避け,系統的,組織的な学習ができるように計画するこが望ましい。

 

8.製図——機械製図
 機械製図では,生産における図面の重要性と工業規格の社会的,経済的な意義を理解させ,各種の図面を正しく読みかつ描くことによって,他の分野の学習をいっそう計画的,能率的に進めるようにし,日常生活を科学的に処理する基礎的な能力を養う。 (1) 製図用具の使用法    (6) 工作図

(2) 線の用法        (7) 複写図

(3) 文字の種類       (8) 見取図

(4) 形体の図示法      (9) 製図と産業や生活との関係

(5) 寸法の記入法

〔仕事の例〕 (1) 線・文字の練習,各種図面の読図

(2) 「金属加工」・「木材加工」に関する工作図の製図

(3) ねじ・ボルト・ナット・ばね・歯車・調車・軸受などの機械要素の略画

〔留意点〕 (1) 図画工作科の「製図」の学習と密接な関連を保って,日本工業規格製図通則(JIS Z8302)を中心に内容を厳選し,無益な重複を避ける。

(2) 第2群の他の分野に先行して学習させるほうが望ましいもの〔仕事の例の(1)〕,融合して学習させるほうが望ましいもの〔仕事の例の(2)〕,単独に学習させるほうが望ましいもの〔仕事の例の(3)〕を区別し,効果的な指導計画を立てる。

 

9.製図——電気製図
 電気製図では,電気機器の製作や保守修理における配線図の重要性を理解させ,各種の配線図を正しく読みかつ描くのに必要な基礎的な技術を習得させる。  (1) 配線図用記号      (3) 記号配線図の読み方

 (2) 実体図と記号配線図   (4) 記号配線図の描き方

〔仕事の例〕 屋内配線図・信号配線図・ラジオ配線図などの読図・製図 〔留意点〕 (1) 「機械製図」の学習を基礎として内容を厳選し,無益な重複を避ける。

(2) 第2群の「機器製作」・「保守修理」の項目と融合して学習させるほうが望ましい。

 

10.製図——建築製図
 建築製図では,建築物の設計・施工の大要を理解させ,各種の図面を正しく読みかつ描くのに必要な基礎的な技術を習得させる。 (1) 平面図       (5) 建築製図記号

(2) 立面図       (6) 材料と構造

(3) 断面図       (7) 設計の諸条件

(4) 透視図       (8) 仕様書・見積書

〔仕事の例〕  小住宅・物置・畜舎・温室・温床などの読図・製図 〔留意点〕 (1) 「機械製図」の学習を基礎として内容を厳選し,無益な重複を避ける。

(2) 理科の「家」の学習と密接な関連を保って,効果的な指導計画を立てる。

(3) 取り上げる仕事によっては,第2群の「建設」に含まれる各項目と融合して学習させるほうが望ましい。

 また,第5群の「住生活」と結びつけて,住生活の改善の方向を理解するように導く。

 

11.機械——金属加工
 金属加工では,工業生産における機械技術の社会的,経済的な意義を理解させ,各種の金属製品を計画的,能率的に製作するのに必要な基礎的な技術を習得させる。 (1) 工作機械の構造・機能  (9) 旋削

(2) 治具・工具の使用法   (10) 研削

(3) 測定器具の取扱法    (11) 仕上

(4) 金属材料の種類・用途  (12) 塗装

(5) けがき・切断      (13) 火造

(6) 穴あけ・ねじ立て    (14) 熱処理

(7) 変形          (15) 災害と安全

(8) 接合          (16) 機械技術と産業や生活との関係

〔仕事の例〕 ろうと・角形容器・補強金具・ぶんちん・ポンチ・小刀・ボルト・ナットなど 〔留意点〕 (1) 図画工作科の「金工」の学習密接な関連を図って内容を厳選し,無益な重複を避ける。

(2) 第2群の「機械製図」の項目と融合して効果的な指導計画を立てる。

(3) 取り上げる仕事によっては,第2群の「整備修理」の項目と融合して学習させるほうが望ましい。

 

12.機械——操作運転
 操作運転では,主として原動機の構造と機能を理解させ,それらを操作したり,運転したりするのに必要な基礎的な技術を習得させ,さらに進んで,日常生活において原動機を装備した各種の機械を正しく取り扱うことによって,生活を科学的に高めるようにする。 (1) 原動機の種類・構造   (6) すえつけ

(2) 動力の伝達       (7) 補給・注油

(3) 負荷の速度       (8) 起動・運転・停止

(4) 液体燃料・潤滑油    (9) 清掃・整備

(5) 点検・調整       (10) 災害と安全

〔仕事の例〕 石油発動機・バイクエンジンなど 〔留意点〕 (1) 理科の「交通機関」の学習と密接な関連を保って,効果的な指導計画を立てる。

(2) 取り上げる仕事によっては,第2群の「整備修理」の項目と融合して学習させるほうが望ましい。

(3) この教科の選択の時間の学習において,オートバイやモーターバイクなどの操縦を取り上げる場合には,交通規則にじゅうぶん留意し,事故防止に万全を期するように指導する。

 

13.機械——整備修理
 整備修理では,機械器具の構造と機能を理解させ,それらを整備したり,修理したりするのに必要な基礎的な技術を習得させ,くふう創造の能力を養い,さらに進んで日常生活において各種の機械器具を正しく取り扱うことによって,生活を科学的に高めるようにする。 (1) 機械材料        (6) 洗浄・給油

(2) 機械要素        (7) 変形修理

(3) 機械と機構       (8) 部品交換

(4) 故障の点検       (9) 災害と安全

(5) 分解・組立・調整    (10) 機械と産業や生活との関係

〔仕事の例〕 自転車・裁縫ミシン・ポンプ・モーターバイク・石油発動機・農業機械など 〔留意点〕 (1) 理科の「機械と道具」・「交通機関」の学習と密接な関連を保って,効果的な指導計画を立てる。

(2) 取り上げる仕事によっては,第2群の「操作運転」の項目と融合して学習させるほが望ましい。

 

14.電気——機器製作
 機器製作では,工業生産における電気技術の社会的,経済的な意義を理解させ,各種の電気機械器具を計画的,能率的に製作するのに必要な基礎的な技術を習得させる。 (1) 電気機器の種類    (6) 巻線工作

(2) 通信機器の種類    (7) 配線工作

(3) 部品の種類・用途   (8) 試験・調整

(4) 部品検査       (9) 災害と安全

(5) 部品配置       (10) 電気技術と産業や生活との関係

〔仕事の例〕 電鈴・変圧器・電動機・ラジオ・テスターなど 〔留意点〕 (1) 理科の「電気」・「通信」の学習と密接な関連を保って,効果的な指導計画を立てる。

(2) 取り上げる仕事によっては,第2群の「電気製図」・「金属加工」・「保守修理」の項目と融合して学習させるほうが望ましい。

 

15.電気——保守修理
 保守修理では,電気機械器具の構造と機能を理解させ,それらを保守したり,修理したりするのに必要な基礎的な技術を習得させ,安全に留意する習慣を養い,さらに進んで日常生活において各種の電気機械器具を正しく取り扱うことによって,生活を科学的に高めるようにする。 (1) 電気材料        (7) 電気計器の使用法

(2) 電気機械器具の種類   (8) 分解・組立

(3) 電気工事        (9) 結線・接触・絶縁

(4) 許容電流        (10) 部品交換

(5) 電力・電熱の計算    (11) 電気事故防止

(6) 故障の診断       (12) 電気と産業や生活との関係

〔仕事の例〕 電燈配線器具・電熱器具・電動機・変圧器・ラジオなど 〔留意点〕 (1) 理科の「電気」・「通信」の学習と密接な関連を保って,効果的な指導計画をたてる。

(2) 取り上げる仕事によっては,第2群の「電気製図」・「整備修理」・「機器製作」の項目と融合して学習させるほうが望ましい。

 

16.建設——測量
 測量では,測量技術の社会的,経済的な意義を理解させ,農地・道路・建物など各種の施設の測量に必要な基礎的な技術を習得させる。 (1) 測量の種類      (7) 野帳の記入法

(2) チェーン測量法    (8) 測量製図記号

(3) 平板測量法      (9) 測量図の作製

(4) 骨組測量・細部測量  (10) 面積の計算法

(5) 測点設定       (11) 測量技術と産業や生活との関係

(6) 誤差と精度

〔仕事の例〕 農地・校地・道路などの距離・面積測量 〔留意点〕 (1) 数学科の「測量」の学習と密接な関連を保って内容を厳選し,無益な重複を避ける。

(2) 測量図の作製については,第2群「機械製図」の共通に学習する内容を基礎とする。

 

17.建設——木材加工
 木材加工では,工業生産における木工技術の社会的,経済的な意義を理解させ,各種の建造物ならびに木材製品を計画的,能率的に製作したり,修理したりするのに必要な基礎的な技術を習得させる。 (1) 木工機械の構造と機能  (8) かんなけずり

(2) 工具の使用法      (9) 穴あけ

(3) 木材の種類・用途    (10) 接合・組手

(4) 荷重と構造       (11) 緊結・接着

(5) 変形・乾燥       (12) 塗装

(6) 墨付け・木どり     (13) 災害と安全

(7) のこぎりびき      (14) 木工技術と産業や生活との関係

〔仕事の例〕 箱類・机・腰掛・温床・屋外掲示板など 〔留意点〕 (1) 図画工作科の「木工」の学習と密接な関連を図って内容を厳選し,無益な重複を避ける。

(2) 第2群の「機械製図」・「建築製図」の項目と融合して効果的な指導計画を立てる。

 

18.建設——コンクリート
 コンクリートでは,コンクリート施工技術の社会的,経済的な意義を理解させ,各種の構造物やコンクリート製品を計画的,能率的に製作したり,修理したりするのに必要な基礎的な技術を習得させる。 (1) コンクリート材料の種類・性能

(2) コンクリート材料の見積り・配合

(3) 用具の使用法

(4) 荷重と構造

(5) 基礎工事

(6) わく組み・打込み

(7) 養生

(8) 仕上

(9) 補修

(10) セメントの貯蔵法

(11) コンクリート施工技術と産業や生活との関係

〔仕事の例〕 ブロック・貯蔵槽・温床・畜舎・水路など 〔留意点〕 (1) 図画工作科の「セメント工」の学習と密接な関連を図って内容を厳選し,無益な重複を避ける。

(2) 第2群の「機械製図」・「建築製図」の項目と融合して効果的な指導計画を立てる。

(3) 取り上げる仕事によっては,第2群の「建設」に含まれる各項目と融合して学習させるほうが望ましい。

 

第   3   群

 

 第3群は,われわれの生活における経営管理的な面,および事務的な面についての知識・技能を習得させ,それらを通じて生活を能率的,合理的に営む能力と態度とを養うことを目標とするものである。この群の内容はいわゆる第3次産業に関するものだけではなく,その他の産業分野や家庭生活における経営・管理・事務の面にも用いられるものである。そうしてそれは専門的な職業教育としてではなく,一般の社会生活を送る上に必要とされる内容を取り扱うものであり,事業に従事する者としての立場よりも,個人の立場,消費者の立場に重点をおいて学ばれることが適当である。同時にそれは,将来の職業の選択にあたって適性を判断するためにも役だち,さらに進んだ程度におけるこの種の教育を受ける場合の基礎としても役だつものである。

 

留 意 点

1.この群に属する各分野・各項目は互に密接な関連をもつものであるから,個々に指導するよりも一連のものとして指導することが適当である場合が多い。しかし,その場合にも,各項目についての知識・技能・能力・態度を養成することが目標であり,その目標達成のためには,系統的,組織的な指導計画を立てる必要があり,必ずしも常に融合を図ることは必要ではない。要するに全体の計画の中において,各項目の性格に応じて効果的に指導することがたいせつである。

2.この群は広い内容を包含しているので,その全部を学習するためには多くの時間を必要とする。しかし,少ない時間で学習の効果を高めるためには,内容を限定して重点的に指導するのがよい。

3.なるべく生徒のすでにもっている知識から導入していき,だんだんと社会における商業の機能を理解させるように指導することがたいせつである。

4.社会科や数学科などとの関達にじゅうぶんに留意し,無益な重複を避けることが必要である。一般的に,他の教科よりも,実務的,具体的な面を主眼とするところにこの群の特色がある。

 

19.経営——売買
 売買では,物品の購入・販売についての基礎的な知識・理解を得させるとともに,経済活動における商業の機能や使命を理解して,合理的な経済生活を営む態度を養う。 (1) 物の流れと商業のはたらき        (5) 物品の受渡し

(2) 物品の購入               (6) 代金決済

(3) 物品の販売               (7) 物品の保管・運送と保険の利用

(4) 売買の手続と取引関係の書類       (8) 事務用器具

〔留意点〕 (1) この項目では知識・理解の習得を主とし,常に第3群の他の各分野・項目の学習と密接な関連を保って効果的な計画を立てるようにする。

(2) 書類作成・記帳・計算などの技能的な実習と金融・経営についての知識・理解は他の分野・項目に属するので,これらと重複しないように注意する。

 

20.経営——金融
 金融では日常生活において一般に必要とされる金融についての知識を習得させ,生活を合理的に営む態度を養う。 (1) 銀行や信用組合のはたらき  (8) 信用と売買に伴って生じる貸借

(2) 貯蓄の価値         (9) 保険のはたらき

(3) 預金の種類と利用      (10) 生命保険

(4) 小切手・手形        (11) 有価証券(株式・公社債)と投資

(5) 銀行から金融を受ける方法

(6) 送金の方法

(7) 一般の金銭貸借とその決済

〔留意点〕 (1) この項目は第3群のすべての項目と密接な関連があるから,なるべくそれらと融合して効果的な指導計画を立てるようにする。

(2) なるべく具体的な知識から導入していき,だんだんと現代社会における金融の機能の理解を得させるようにする。

 

21.経営——経営組織
 経営組織では,事業体のいろいろな形態や組織についての基本的な知識を習得させ,日常生活においてそれらに関する問題に当面するときに,正しく判断できる基礎的な能力を養う。 (1) 株式会社       (7) 民法上の組合

(2) 有限会社       (8) 協同組合

(3) 合名会社       (9) 大企業と中小企業

(4) 合資会社       (10) 事業体の内部組織

(5) 個人企業と集団企業  (11) 経営従事者の心構えと事務分掌

(6) 公企業

〔留意点〕 (1) 経営においては人の問題が重要な意味をもつこと,したがって将来経営に従事する場合に必要とされる望ましい人間関係についての理解を深めるように指導する。

(2) 応対・接客の心構えも,人間関係として共通するものがあるから,この項目で取り扱うのもよい。

 

22.簿記——記帳
 記帳では,日常生活における経理の合理化のために必要な帳簿の重要性を理解させ,主としてそれらの帳簿に正確に記入する技能と態度とを身につけさせる。 (1) 記帳の必要性        (4) 売買の記帳

(2) 記帳の原則         (5) 簡単な決算

(3) 現金収支の記帳

〔仕事の例〕 (1) 家計簿           (4) 買掛金元帳・売掛金元帳

(2) 現金出納帳         (5) 伝票

(3) 仕入帳・売上帳・商品有高帳 (6) 簡単な決算表

〔留意点〕 (1) 第3群の他の分野はもちろん,第5群ならびに他の各群とも密接な連絡を図り,有効に学習させるように計画する。

(2) 仕事の例の(6)では,収支計算表・費用明細表,原価の算出法なども取り扱う。

 

23.簿記——財務諸表
 財務諸表では,簿記の機構と原理の基本を理解させ,財務諸表を作成し,それに現れた傾向や特色を読み取る能力を養う。 (1) 財産と資本        (5) たな卸し表

(2) 取引と仕訳        (6) 決算と帳簿の締切

(3) 元帳と勘定        (7) 財務諸表

(4) 試算表

〔仕事の例〕 (1) 仕訳帳          (4) たな卸し表

(2) 総勘定元帳        (5) 財務諸表

(3) 試算表

〔留意点〕 (1) 第3群の他の項目はもちろん,他の各群と密接な連絡のもとに,有効適切に学習させるように計画する。

(2) 財務諸表の読み取り方を取り扱うにあたっては,生徒の発達段階を考慮して,理解に無理のない程度にする。

 

24.簿記——税務
 税務では,一般的な税についてその大要を理解させるとともに,その計算に関する知識を得させる。 (1) 事業所得に対する所得税と青色申告  (2) 給与所得に対する所得税

                     (3) 法人税

〔留意点〕 (1) 税金については社会科などで学習するので,ここでは事業経営に関するものにつき,その大要を学習させるにとどめ,生徒の発達段階を考慮して深入りしないように指導する。

(2) 第3群の他の項目,特に経営や簿記の他の項目と関連して有効に学習させるように計画する。

 

25.計算事務——珠算
 珠算では,そろばんによる計算の技能を習得させるとともに,社会生活・家庭生活の改善向上にたいせつな,計数的に判断する習慣を身につけ,合理的な経済生活を営む態度を養う。 (1) そろばんの構造と用い方  (5) 諸等数の計算

(2) 加減算          (6) 度量衡・貨幣の換算

(3) 暗算           (7) 歩合算・利息算

(4) 乗除算と定位法      (8) その他の応用計算

〔留意点〕 (1) 中学生は心身発達の段階上,珠算の技能の習熱に有利な条件下にあるので,有効適切な指導が望ましい。

(2) 小学校の算数における珠算の学習の基礎の上に,その能力を伸長するように指導する。

 

26.計算事務——計算器操作
 計算器操作では,主として乗法・除法の計算について,そろばんと異なった利用価値のある計算器の操作を習得させるとともに,進歩した事務用器具を利用する態度を養う。 (1) 計算器の構造   (4) 乗算

(2) 計算器の操作   (5) 除算

(3) 加減算

〔留意点〕 (1) 計算器はそろばんに比べて現在はまだ普及度が低いが,将来普及度が高まると思われるので,進んだ事務用器具利用の一例として取り上げるのに適当である。

(2) 主として乗除法における利用と,器械のひととおりの操作を主眼として指導するのがよい。

 

27.文書事務——文書作成・処理
 文書作成・処理では,文書事務のうちで比較的基礎的な文書の作成・処理法についての技術を習得させるとともに,文書事務の果す役割の重要性を理解させる。 (1) 事務通信文の種類と作成法  (3) 文書の処理のしかた

(2) 取引関係文書の種類と作成法

〔仕事の例〕 (1) 事務通信文…あいさつ文・案内文・照会文・回答文・広告文・電報文

(2) 取引関係文書…見積依頼書・見積書・注文書・注文請書・送り状・納品書・請求書・領収書・小切手・約束手形・かわせ手形・借用証書・契約証書

〔留意点〕 (1) 第3群のすべての項目と関連があるが,特に売買・金融とは密接な関連をもたせて計画的に指導し,商業活動についての知識・理解を得させる。

(2) 文書の処理のしかたでは受付・発送・整理・保管などを取り扱う。

(3) 速記について適宜指導することもよい。

 

28.文書事務——印刷事務
 印刷事務では,印刷事務についての知識を得させ,基礎的な技術を習得させる。 (1) 複写         (3) タイプライティング

(2) 謄写印刷       (4) 活版印刷

〔留意点〕 (1) 第3群の他の項目と密接な関連を保ちながら学習させる。

(2) 活版印刷では,それに関する知識を得させることを主眼とする。

(3) 器具を愛護する態度を養うように指導する。

 

第   4   群

 

 第4群は,国民の食生活に関係の深い魚貝類・海そう類などを対象にして,これらの水産生物を採捕することや,加工の方法,あるいは繁殖させることなどについて科学的,経済的な知識・理解を深め,基礎的な技術を習得させることをねらいとする。

 またこれらの学習を通して,正しい観察力や判断力を養い,他に応用できる能力を身につけさせるとともに,日常生活に実践し,家庭生活の改善向上を図る態度を養おうとするものである。

 

留 意 点

1.第4群は,漁業の盛んな地域,あるいは半農半漁の地域で,その実情に応じ,いずれかの分野に重点をおいて指導計画を立てる。

 また山間の地域においても増殖について学習させることは,水産物の自給や栄養改善の意味で望ましい。

2.水産業の実態に即してみると実技の経験が重んじられている。しかし,この群の学習においては,常にそれらの技術について科学的な根拠を見いだすように導き,理解を早めるため,理科その他の基礎知識を発展させて,他の群と有機的な関連を保たせ,理論と実際を一体とした指導計画を立てることがたいせつである。

 また,第4群のそれぞれの分野の相互の関係や心身の発達を考慮して,継続的に学習することが効果的である。

3.第4群は,広い分野で構成されているので,少ない学習時間で効果をあげるためには,何を取り上げるかを重点的に決めて,能率的に指導できる指導計画を立てる必要がある。

 

29.漁業——漁
 漁では,その地域で行われているおもな漁業を中心にして,漁具の構造や使用法などについて知識・理解を深め,各地の漁業の発達や漁具・漁法などについて学ばせる。また,漁具の製作や保存などに必要な基礎的技術を習得させながら,漁業に対して常に科学的に考える態度・習慣を養うようにする。 (1) 漁業の発達           (5) 漁具の製作

(2) 漁具の種類           (6) 防腐染料の種類と扱い方

(3) おもな水産生物のとり方     (7) 漁具の保存・手入れ

(4) 漁具材料の選び方と扱い方

〔仕事の例〕 網の製作…たも網など簡単なもの

染網…カッチその他

網地の修理…本修理・渡り修理

網漁業実習…地域の網漁業について

〔留意点〕 (1) 社会科および第5群・第6群などと密接な関連を保たせ,水産業の社会的,経済的な意義と,日本および世界の漁業の現状を理解させる。

(2) 理科および第4群の他の項目の内容と関連を保たせ,漁具・漁法・漁船の進歩や,水産増殖の必要ならびに漁業経営の特徴などを理解させる。

(3) 漁業の特異性から,学習が単に漁に関する知識・理解だけに終ることのないよう,できるだけ見学や実習を取り入れながら,内容を地域の漁業と結びつけ,効果のある指導計画を立てるようにする。

(4) 海上の作業については,危険防止にじゅうぶん注意する。

 

30.漁業——操船
 操船では,地域の漁船を中心にして,漁船の構造や運航の方法などについて知識・理解を深め,結索の方法や機関の扱い方,船の保存・手入れなどについて,操船に関する基礎的技術を学ばせるとともに,安全な航法に対する科学的態度を養う。 (1) 漁船の種類       (6) 荒天における操法

(2) 船体の構造と設備    (7) 衝突予防の規則

(3) 漁船機関の構造と操作  (8) 結索の方法

(4) 航海計器の種類     (9) 船体の保存・手入れ

(5) 航法の種類

〔仕事の例〕 操ろ・操だ・操帆,機関の操作,船位の測り方,結索の方法,船の保存・手入れ 〔留意点〕 (1) 理科および第2群における諸分野と密接な連絡を図り,重複を避ける。

(2) 航法では,沿岸航法を主として扱い,コンパスや海図の見方に慣れさせる。

 

31.漁業——漁場調査
 漁場調査では,水産生物の生活が,海洋や陸水の性質,気象の状況などに深い関係のあることを理解させ,漁場を調査・観測する基礎的技術を得させるとともに,科学的に考察し処理する態度を養う。 (1) 漁場の意義と現況   (3) 漁業と気象

(2) 漁期と漁場      (4) 実験観測器具の構造と取扱

〔仕事の例〕 海洋調査・気象観測,水産生物の調査 〔留意点〕 (1) 理科との重複を避ける。

(2) 漁具・漁法の改善や.漁獲の適正に関心を深めるように指導する。

(3) 実習にあたっては,「漁」・「操船」などと密接な関連を保たせて指導する。

(4) 漁場の現況では,地域の漁場調査を基として,日本および世界の漁場の大要を知らせるようにする。

 

32.水産製造——貯蔵
 貯蔵では,水産物の特性を理解させ,貯蔵についての知識を得させるとともに,その科学的な原理を見いだすように努め,改良くふうする態度を養う。 (1) 貯蔵の意義       (4) 水産物と微生物

(2) 原料の成分       (5) 貯蔵方法の種類

(3) 魚貝類の死後変化    (6) 貯蔵中における変化と予防

〔仕事の例〕 冷蔵・冷凍・製氷工場の見学調査 〔留意点〕 (1) わが国の重要食糧としての水産物の価値を認識させる。

(2) 漁獲物の特性に伴う魚価の調整と,われわれの生活に必要なたんぱく質を平均に供給するという観点に重点をおいて,貯蔵の重要性を理解させる。

(3) 低温貯蔵法の普及および利用についてじゅうぶんな理解をもたせる。

(4) 水産物の衛生的な取扱について指導する。

(5) 貯蔵は「加工」と密接に関連させる。

 

33.水産製造——加工
 加工では,その地域で行われている加工業を中心にして,加工方法や製品について知識・理解を深め,加工に必要な材料や機械などについて基礎的技術を習得させ,製品の価値向上や資源を高度に利用する方向を見いだす態度を養うようにする。 (1) 加工の意義       (4) 非食用品

(2) 原材料の選定      (5) 製品の良否鑑別

(3) 食用品         (6) 加工と食品衛生

〔仕事の例〕 塩干・煮干・くん製・のりすき・つくだに・塩辛・かんづめ,びんづめなどの製造実習の1種または 〔留意点〕 (1) 水産製品の海外進出状況を理解させる。

(2) 技術の習得にあたっては,その科学的根拠を見いだすことのたいせつなことを注意して指導する。

(3) 衛生的な優良品を製造することに留意する。

(4) 従来むだに廃棄されていたものを有効に利用するようにしむける。

 

34.増殖——魚類増殖
 魚類増殖では,地域の増殖を中心にして,増殖の一般を理解させ,おもな魚類の増殖について基礎的技術を習得させる。また養魚によって水産資源の管理・育成の必要を理解させ,生物愛護の態度を養う。 (1) 増殖の必要        (6) えさの種類

(2) 養殖魚の種類と習性    (7) 水温と水質

(3) 魚類増殖法の種類     (8) 養魚の害敵

(4) 養魚池の構造       (9) 池の広さと魚の数

(5) 親魚の選び方と採卵方法  (10) 魚の生長

〔仕事の例〕  魚の飼育,池水の調査,産卵・ふ化,魚体の検査,みじんこの増殖 〔留意点〕 (1) 社会科と関連を保たせ,増殖による資源の維持・増産の必要を理解させる。

(2) 理科の「生物」に関連を保たせ,増殖技術に応用するよう指導する。

 

35.増殖——貝・そう類増殖
 貝・そう類の増殖では,地域の貝類やそう類の増殖の現状について理解させ,沿岸生物資源の維持・増産を目標として,増殖に必要な基礎的技術を習得させ,生物愛護の態度を養う。 (1) 貝の種類と習性     (5) 海そうの種類と分布

(2) 貝類のえさ       (6) 海そうの繁殖方法

(3) 親貝と稚貝       (7) 海そうの病害と繁殖保護

(4) 種まきと放し飼い    (8) その他の増殖生物

〔仕事の例〕  いその生物の調査,いそそうじ,貝の飼育,投石,貝の生長の調査,海そうの採取 〔留意点〕 (1) 社会科と関連を保たせ,増殖による資源の維持・増産の必要を理解させる。

(2) 理科の「生物」に関連を保たせ,増殖技術に応用するよう指導する。

 

第   5   群

 

 第5群は現在の家庭における自己の生活および家族生活のあり方を中心として,家庭生活における基本的な生活活動の経験とこれに必要な知識や技能を習得させ,家庭生活を科学的,能率的に営み,日常生活にこれらを実践して,家庭生活の改善向上を図る能力と態度を養う。以上の学習の間に,家庭生活が衣・食・住・育児などの総合されたもので,いずれの生活も家族関係・家庭経営につらなるものであることを理解させ,ついで経済循環における家庭生活の位置と責任を自覚し,国民生活・国民経済の向上に貢献しようとする態度を養おうとするものである。

 

留 意 点

1.第5群においては,学習したことを日常生活に実践し,個人・家庭・社会の生活の向上を図るように導くことがたいせつである。

2.調理・被服製作の技術は3年間継続的に学習するほうが効果があがることに留意して指導計画を立てる。

3.理論と実習とが離れないように計画する。

4.個々の家庭や地域・国の事情に即応して指導する。

 

36.食物——食生活
 食生活では,地域や国の食糧事情との関連における栄養改善,食品・食物に関する衛生の向上,食生活の簡素化について理解させ,これを実践する能力と態度を養う。 (1) 食品群別摂取量の基準   (2) 1日の食糧配分・献立 (ア) 栄養所要量       (3) 食品衛生,衛生的な食生活

(イ) 食品の栄養的特質    (4) 食品の鑑別・購入

(ウ) 食糧事情        (5) 食生活の簡素化

(エ) 食品群別摂取量の基準  (6) 家族の必要の充足

(オ) 食物費

〔仕事の例〕  食糧および食物費の見積り,献立作成・食品購入 〔留意点〕 (1) 栄養改善・食品衛生については,消費生活の立場からばかりでなく,広く生産・加工・運搬・販売などの立場からも指導する。

(2) 食生活の簡素化は,各家庭内だけの問題でなく,社会的な問題をも含むものであることに注意する。

(3) 食生活の経済面については,家庭経済の立場で扱うばかりでなく,個人の食生活と国の経済や産業との相関関係についても扱うこととする。

(4) 食生活に関する知識・理解は,調理実習に関連して指導し,さらに日常生活に実践するように導く。

(5) 栄養は理科と,食糧事情は第1群・第4群・第6群と,購入は第3群と緊密な関連を保って指導する。

 

37.食物——調理
 調理では,調理技術の習得と,食生活の改善を実践する能力と態度を養い,特に男子の場合は後者に重きをおく。また,調理技術の科学的,経済的な基礎や,調味その他の技術の望ましい基礎を養い,調理作業の能率向上の見地から台所改善に進める。

A.共通に学習する内容

(1) 衛生的,科学的な調理  (ア) 主食の調理,米食依存の改善

 (イ) 副食の調理,主食偏重の改善,各栄養素の摂取

(2) 調理作業の能率と台所改善

(3) 調理・食生活改善・食事作法

〔実習の例〕  飯(米・麦・雑穀・いも・豆)のたき方,めん類・パン食の調理,卵・魚・肉の調理,いもの調理,豆や豆製品の調理,乳や乳製品の調理,緑黄野菜の調理,脂肪を用いる調理,淡色野菜の調理,一品で多くの栄養素を含む調理 B.その他の内容 (1) 調理と経済(材料・燃料)

(2) 調理の鑑賞(味・香・色・形・舌ざわり)

(3) 調理・食生活改善・食事作法

〔実習の例〕 変り飯・めん類・パン食の調理

しる物・煮物・焼物・揚げ物・いため物・あえ物・浸し物・酢の物・蒸し物・よせ物・ねり物の調理(乾物の調理を含む)

菓子類・飲み物の調理

食物の保存・貯蔵など

〔留意点〕 (1) 調理理論・食事作法は調理実習とあわせて指導する。

(2) 進歩した調理の手法と食生活の改善,台所の改善は家庭において実践するように導く。

(3) 台所の施設・設備は第2群と,調理実習は第1群・第4群と緊密な関連をもって指導する。

(4) 実習の例に示す調理手法については,必修の時間に指導するように計画する。

 

38.被服——衣生活
 衣生活では,身だしなみをよくするとともに堅実な衣生活は日常着に重点をおくことを理解させ,わが国の衣料事情を考えて,社会的,経済的また科学的,能率的観点から被服計画を立て,実践する能力と態度を養う。 (1) 身だしなみ

(2) 日常の被服の手入れ

(3) 被服計画とそのめやす

(ア) 被服の種類と数

(イ) 被服の修理・更生・新調の計画

(ウ) 被服費

(4) 被服の選択と購入

(5) 衣料事情

(6) 材料と洗剤

(7) 被服整理の機械・器具とその使用法

〔仕事の例〕  靴下・シャツ・ブラウスのまる洗い(湿式) 〔留意点〕 (1) 身だしなみは実践によって身につけさせるようにする。

(2) 被服計画や被服費その他については,個人や家庭の立場からばかりでなく,常に国の衣料事情に関連づけて指導する。

(3) 内容の(1),(2),(3)の(ア),(5),(6)・(7)の一部は共通に学習させるものとする。

(4) 仕事の例は,内容の(6),(7)を実習によって理解させるためのものある。

(5) 整理・保存およびその機械・器具に関する原理は,理科や第2群,洗剤などについては理科と関連づけて指導する。

 

39.被服——被服製作
 被服製作では,日常生活に最も必要な働き着と休養着を中心として,能率的,経済的,美的に被服を製作する技術を習得させ,なお手芸を利用した服飾品・室内装飾品などを製作することにより,手芸の基礎的技術を習得させる。

A.裁縫

(1) 形・材料の選択,簡単なもののデザイン

(2) 採寸

(3) 型紙の選択・補正

(4) 用布の見積り

(5) 裁ち方

(6) 仮縫と補正

(7) 縫い方

(8) ミシンの使用法

(9) 仕上げ・たたみ方

(10) 着方

B.編物 (1) 編物の形や材料の選択,デザイン

(2) 採寸と型紙

(3) 基礎編み

(4) 編み方

(5) 仕上げ

(6) 編物機の種類とその特色

C.手芸・染色 (1) 手芸 (ア) 手芸の種類・材料・用具・デザイン

(イ) 各種手芸の方法と仕上げ

(ウ) 簡単なフランスししゅう・ビニール細工

(エ) カットワーク・ドロンワーク

(オ) ぬいぐるみ細工など

(2) 染色 (ア) 染色法の種類(ろうけつ染・絞り染・なっ染)

(イ) 繊維の種類と染料,染色用具

(ウ) 染め方・仕上げ

〔仕事の例〕 裁縫…ブラウス・スカート・ワンピース・スラックス・ボレロ・ひとえ長着・あわせ長着・羽織,こどもの衣類など

編物…手袋・ソックス・セーター,こどもの帽子・花ぐつ・ケープなど

手芸・染色…テーブルかけ・かびんしき・さらしき・のれん・ふろしき・手さげ袋・カラー・ぬいぐるみおもちゃなど

〔留意点〕 (1) 必修の時間には,一般的な日常衣類の製作に重点をおき,熟練を要する衣類や装飾品などは選択の時間に指導することとする。

(2) 第2群の「整備修理」・「保守修理」で学習したことをじゅうぶんに活用するように導く。

 

40.被服——被服整理
 被服整理では,被服整理のよしあしが,身だしなみや被服の寿命に関係することを理解させ,科学的,能率的,経済的な整理保存に関する技術を習得させる。 (1) 被服の種類と洗たく法  (4) しまい方と防虫剤

(2) 洗い方・干し方     (5) しみ抜き

(3) 仕上げ         (6) つくろい

〔仕事の例〕  まる洗い・とき洗い・部分洗い・干し方・アイロン仕上げ・板張仕上げ・しまい方・しみ抜き・つくろい 〔留意点〕  材料と洗剤,被服整理の機械・器具については共通に学習する。

「衣生活」の内容を基礎として,さらに深く広く学習させる。

 

41.住居——住生活
 住生活では,地域の住居の実態や職業とすまいとの関係を知らせ,住みごこちよい住居にするため,衛生的,能率的,経済的に,また安全・快適にくふう改善することを理解させて,これを実践する態度を養い,あわせて住宅について社会的な関心をもたせる。 (1) 家庭生活の場としてのすまい (ア) 各室の機能と配置

(イ) 家事労働とすまい

(ウ) 休養とすまい

(エ) 家族生活を中心とするすまい

(2) 職業とすまい (ア) 農家のすまい

(イ) 商工業自営者などのすまい

(ウ) 通勤者のすまい

(3) 地域とすまいの特色

(4) 近代の住居ならびに施設の傾向

(5) すまい方のくふうと住居の改善 台所・給水・排水・浴室・便所・押入れ・居間・寝室・勉強場など

(6) 近隣との関係

(7) わが国の住宅事情と住宅水準

〔仕事の例〕  台所の施設,浴室・押入れなどの設計 〔留意点〕 (1) 社会科・図画工作科や第2群の学習と密接な関連を保ち,効果的に計画して指導する。

(2) 理科の学習と密接な関連を保って,無益な重複を避けるようにする。

(3) 住居のくふう改善については,身近なもの,簡単なものから実践するように導く。

 

42.住居——設備
 設備では,住居に関する設備が生活を快適,衛生的,能率的にする上に重要な関係をもつことを理解させ,さらによい設備をしようとする態度を養う。 (1) 各室の設備 (ア) 台所

(イ) 浴室

(ウ) 便所

(エ) 居間

(オ) 寝室

(カ) 勉強場

(キ) 室内装飾

(2) 屋外の設備 (ア) 物干場

(イ) こどもの遊び場

(ウ) 庭園・かこい

(エ) 菜園・飼育場

〔仕事の例〕  設備の設計と改善 〔留意点〕 (1) 住生活と密接な関連を保ちながら指導する。

(2) 設備は理科や第2群と,室内装飾は図画工作と,(2)の(ウ),(エ)は特に第1群と関連を図る。

(3) 設備の設計は,模型などの立体的なもので実習させ,あるいは見学により実際の指導をするように計画する。

 

43.家族——保育・家族
 保育・家族では,保育と家族を一連のものとして,家族を理解し,家族の一員としての自己の立場を認識して望ましい家族関係にし,幸福な家庭の建設に協力する態度を養う。特に保育に関しては,乳幼児の心身の発達と生活の特色およびその発達を助ける扱い方や,生活指導についての知識・技能を習得させる。また乳幼児に影響する自己の責任を自覚し,なお広く社会的視野に立ってこどもを見る態度を養う。これによってこどもや青年の発達に関心をもたせ,自己の心身の発達変化とその衛生および純潔な生活について知らせる。 (1) 家族の一員       (11) 生活指導と環境

(2) 家族相互の理解     (12) 児童福祉とこどもに関する行事

(3) 家族相互の協力     (13) 乳幼児に多い病気と看護

(4) 家族相互の満足な生活  (14) こどもの発育に影響するもの

(5) 家庭生活の意義     (15) 育児法の改善

(6) 家庭と社会       (16) こどもや青年の発達の特色

(7) 乳幼児心身の正常な発達 (17) こどもからおとなへの生活の変化(婦人衛生,純

(8) 乳幼児の生活         潔な生活を含む)

(9) 乳児の世話・扱い方

(10) 乳幼児の遊ばせ方

〔実習の例〕  調乳,離乳食・間食の調理 〔留意点〕 (1) 保育については,必修の時間において幼児の保育と乳児の扱い方に重点をおき,内容の(7),(8),(10)の乳児に関する指導は選択の時間に行う。

(2) 弟妹または近隣のこどもを観察し,理論と実際との緊密な関係において学ぶようにする。

(3) こどもの世話や家族関係については,家庭において実践するように導く。

 

44.家族——家庭看護
 家庭看護では,家族の保健衛生のうち,特に家庭における看護の技術を習得させ,病人に対する正しい態度を養う。 (1) 病気に関する知識および病気に対する抵抗

(2) 病気の予防

(3) 家庭看護

(ア) 医師を招くまでの処置

(イ) 病室・病床・病衣

(ウ) 病人の観察・記録

(エ) 病気の手当

(オ) 病人の食事

(4) 社会施設の利用

〔実習の例〕  (3)の(イ),(ウ),(エ),(オ)に関する実習,消化しやすい食物の調理,常備薬・看護用品の整理箱の製作 〔留意点〕 (1) 衛生室を利用するなどして,実習あるいは実演により指導する。

(2) 消化しやすい食物の調理は,離乳期の食物調理とあわせて実習させてもよい。

(3) 保健衛生は保健体育科で一般的な学習をするので,ここでは特に家庭看護について指導する。

 

45.家庭経営——家庭経済
 家庭経済では,家庭において物資や貨幣を有効に使って,衣・食・住などを計画的,経済的に運営する方法を理解させるとともに,これを実践する能力・態度を養い,あわせて家庭経済と国民経済との関係,消費者としての位置と責任を理解させる。 (1) 家族の経済生活のめやす

(2) 支出と収入の実態

(3) 予算生活

(4) 物価の変動と家計

(5) 消費生活の合理化(物の選択・購入・使用)

(6) 記帳(家計簿)

〔仕事の例〕  家計簿 〔留意点〕 (1) 物の選択・購入・使用は,衣・食・住などに関する実習に結びつけて取り扱う。

(2) 第3群・第6群との関連を考慮して指導する。

 

46.家庭経営——家事労働
 家事労働では,家庭における労力・時間の合理的な使い方,家事労働を能率的に行う方法,休養・余暇のたいせつなことを理解させて,生活の向上を図る態度を養う。 (1) 家事労働の現状

(2) 家事労働の価値

(3) 家庭生活における物・金・労力・時間の関係

(4) 生活時間の計画

(5) 能率的な家事作業

(6) 施設の利用

(7) 疲労と休養・睡眠

(8) 余暇の利用

〔仕事の例〕  生活時間の計画,仕事の計画 〔留意点〕 (1) 第6群の「能率と安全」との関連を図る。

(2) 能率的な作業のしかたについては,衣・食・住その他の実習と結びつけて指導する。

(3) 従来,経験やかんで行われていた家事労働を科学的な方法で行うように指導する。

(4) 家庭経済と密接な関連をもたせて指導する。

 

第   6   群

 

 第6群は主として産業ならびに職業生活についての社会的,経済的な知識・理解を深めさせることを目標とするものである。なおこれを具体的にいえば,産業や職業についての基礎的な知識や理解をもとにして,産業と職業の相互関係や,産業ならびに職業が国民経済や国民生活にどのように関連をもっているかについて理解を与えるとともに,学校と職業や個性と職業の関係についての理解を与え,将来進むべき方向を考えさせ,現在および将来の生活の計画や心構えを養う。さらに進んで職業生活と能率・健康・安全・適応などについて学ばせ,その心構えを養おうとするものである。

 

留 意 点

1.この群の学習はとかく抽象的になりやすいから,各項目に記載されている留意点を参照し,できるだけ具体的な学習となるようにくふうする。

2.他の群における仕事や実習と関連づけて取り上げられるものは,その関連のさせ方を研究し,内容の学習順序を考えて効果を高めるようにくふうする。

3.社会科においても,近代産業の発達の大要や,これをめぐる社会問題などについて学習するから,それらとの関連についてもくふうする。

 

47.産業と職業——産業とその特色
 おもな産業について,基礎的な知識・理解を得させるとともに,国民経済・国民生活との関連について理解させる。 (1) 産業分類               (3) 各種産業相互の関係

(2) おもな産業の内容とその特色      (4) 産業と国民生活

〔留意点〕

(1) 社会科と密接な関連を保ち,重複を避ける。

(2) これらの内容は,なるべく実際の仕事と関連させて取り扱うようにくふうする。

(3) 日常生活や卒業生の職場における具体的な事実や資料などを活用して,観念的な学習にならないようにくふうする。

(4) 「産業分類」は主として大分類について取り扱うが,製造業中の必要なものについては,中分類中の産業(たとえば紡織業・化学工業・金属製品製造業など)についても理解させる。

(5) おもな産業の「特色」においては,その産業の国民経済における役割および動向についても理解させる。

 

48.産業と職業——職業とその特色
 おもな職業について,基礎的な知識・理解を得させるとともに,産業と職業との関連について理解させる。 (1) 職業分類

(2) 産業と職業との関係

(3) おもな職業の内容とその特色

〔留意点〕 (1) 社会科と密接な関連を保ち,重複を避ける。

(2) これらの内容は,なるべく実際の仕事と関連させて取り扱うようにくふうする。

(3) 日常生活や卒業生の職場における具体的な事実や資料などを活用して,観念的な学習にならないようにくふうする。

(4) 「職業分類」は主として大分類について取り扱うが,特殊技能工・生産工程従業者中の必要なものについては,中分類中の職業についても理解させる。

(5) おもな職業の「特色」においては,その職業の動向についても理解させる。

 

49.職業と進路——学校と職業
 学校ならびにその他の教育施設の内容と特色,およびそれらと職業との関係について理解させる。 (1) 学校の体系とその特色      (3) 教育と職業との関係

(2) 学校以外の教育施設とその特色  (4) 資格・免許と職業

〔留意点〕 (1) 卒業生の学校ならびにその他の教育施設に学んでいる具体的な事実や資料などを活用して,観念的な学習にならないようにくふうする。

(2) 「学校の体系とその特色」においては,学資・育英制度についてもふれる。

(3) 社会には学校以外にも自己を高めるためのいろいろな教育施設があることを理解させるとともに,適切な学校やその他の教育施設を選択する態度も養う。

(4) 各種学校についての理解は,その取扱を適正にする。

 

50.職業と進路——個性と職業
 職業ならびに職業選択における個性や環境の意義について理解させる。 (1) 職業の意義   (3) 環境と職業

(2) 個性と職業   (4) 職業選択のめやす

〔留意点〕 (1) 個性や環境をあまり固定的に取り扱わないようにする。

(2) 実際の仕事との関連において,自己の個性を考察する態度も養う。

(3) 各学校における「職業指導」との関連についてもふれる。

(4) 「環境」は家庭環境のみでなく,職場の環境にもふれる。

(5) 「職業選択のめやす」においては,卒業生の適切な事例を取り上げ,学習効果を高めるようにする。

 

51.趣業と生活——能率と安全
 職業生活における能率・健康・安全・保険について理解させるとともに,日常生活に実践する態度を養う。 (1) 職業生活と能率    (3) 職業生活と安全

(2) 職業生活と健康    (4) 職業生活と社会保険

〔留意点〕 (1) これらの内容は,なるべく実際の仕事と関連させて取り扱うようにくふうする。

(2) 日常生活や職場における具体的な事実や資料などを活用して,学習効果を高めるようにくふうする。

(3) 他の群でも「健康」・「安全」などが取り扱われるから,その関連に注意する。

(4) 社会科との関連(特に労働法規)についても考慮する。

 

52.職業と生活——職業生活と適応
 職業生活におけるおもな問題とその解決について理解させるとともに,職業生活を充実する態度を養う。 (1) 職業生活の悩みとその解決   (3) 職業生活の充実

(2) 転職と失業

〔留意点〕 (1) 「職業生活の悩みとその解決」においては,職業生活と修学の両立の問題についても取り扱う。

(2) 「職業生活の充実」においては,職業道徳についても取り扱う。

(3) 職業生活におけるおもな問題の事例を整理し,学習を生徒の身近なものとして取り扱う。

 

中学校 学 習 指 導 要 領 職業・家庭科編

                          MEJ 2462

昭和31年5月25日 印 刷

昭和31年5月28日 発 行

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