6.草 花 園 芸

1.性   格

 草花園芸」は,主として園芸課程で履修される科目で,草花に関する専門的な知識・技能を体得し,他の園芸科目および「土・肥料」・「作物保護」・「農業工作」・「農業経営」などと緊密な関連をとって学習するものである。

2.目   標

(1) 郷土の自然的,社会的,経済的環境と草花園芸との関係を理解させる。

(2) 環境に応じ,草花を合理的に栽培する技能を養う。

(3) 草花の栽培技術の根拠となる科学的な知識・理解を養う。

(4) 草花園芸の経営に関する社会的,経済的な知識・理解を養う。

(5) 豊かな情操をつちかい,草花を愛育する態度を養う。

3.具体的な到達目標
 
〔技   能〕
〔一般的な知識・理解〕
(草 花) 1.おもな草花の種類と品種の見分けができること。

2.地域社会に適した優良な種類・品種の選択ができること。

3.合理的な栽培設計ができること。

 

(栽培管理) 4.種ものや苗ものの良否の見分けができること。

5.種ものの消毒ができること。

6.種ものの発芽試験や催芽ができること。

7.種ものをじょうずにまくことができること。

8.苗床や温床がつくれること。

9.植えかえ・はちかえができること。

10.球根の植付がじょうずにできること。

11.はちもののかん水がじょうずにできること。

12.整地・うね立てがじょうずにできること。

13.土性・土層の見分けができること。

14.土の酸性の度合が測定でき,石灰の必要量がわかること。

15.つみ肥や培用土がつくれること。

16.おもな肥料の見分けができること。

17.合理的に肥料の施用ができること。

18.温床・温室などの作付計画ができること。

19.苗床・温床・温室などの管理ができること。

20.草取・中耕・土寄せ・敷きわらなどがじょうずにできること。

21.ネット張り・支柱立て・誘引ができること。

22.整枝・摘心・せん定・つぼみ摘みができること。

23.さし木・さし芽・つぎ木・とり木・株分け・分球などができること。

24.草花の栄養状態が正しく見分けられること。

25.花芽分化の見分けができること。

26.おもな病害虫の見分けができその防除ができること。

27.おもな農薬の使用ができること。

28.寒害などが防げること。

29.電照・しゃ(遮)光による促成・抑制栽培ができること。

30.高温・低温処理による促成・抑制栽培ができること。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

31.四季の花壇の設計および管理ができること。

32.適期に草花の収穫ができること。

33.切花の水揚げができること。

34.草花の品質の見分けができること。

35.種ものの貯蔵ができること。

36.草花の調製・荷造・輸送・販売ができること。

 

 

 

 

 

(品種改良と種採り) 37.種採りとその調製ができること。

38.草花の倍数体をつくることや栽培ができること。

39.品種改良ができること。

 

1.草花は,自然環境や栽培条件のわずかな変化によっても,収量・品質に大きな違いを生ずる。

2.ある土地に適する草花の種類・品種は,その土地の環境・栽培目的・栽培方法によって違う。

3.草花園芸の経営向上は,合理的な栽培設計によることが多い。

 

4.充実して栄養に富んでいる種ものからは,よい苗ができる。

5.種ものの消毒は,その病害虫の防除に役だつ。

6.種ものの催芽は,発芽を早め,発芽をそろえる。

7.種まきの時期や方法は,生育・品質・収量に影響を及ぼすことが多い。

8.苗ものの良否には,苗床の材料・構造,地温・日照,有機物の使用量,苗の疎密,草取・病害虫などが影響する。

9.植えかえは,草花の植えいたみを少なくすることが多い。

10.じょうずに植えつけられた苗ものは,その後の生育が良好である。

11.草花の生育には,適当な水分・空気・温度・日照・養分などの要因が影響を及ぼす。

12.整地・うね立ての良否は,土の性質や草花の生育に影響する。

13.土は,その種類によって,組織や性質が違う。

14.土の酸性の度合は,草花の生育や病害虫と深い関係がある。

15.つみ肥や床土の良否は,草花の生育に影響を与えることが大きい。

16.肥料は,種類によって,主成分の種類・含有量・性質・使用法などが違う。

17.適切な施肥量と施肥法は,土の性質と草花の種類・生育状態・栽培法などによって違う。

18.草花を普通と違った時期に生産するには,特別な資材・技術・管理を必要とする。

19.草取・中耕・かん水・土寄せ・敷きわらなどは,土の性質を変え,草花の生育に影響することが大きい。

20.ネット張り・支柱立て・誘引は,日照・通風をよくし,倒伏を防ぎ,生育をよくするために役だつ。

21.整枝・摘心・せん定・つぼみ摘みをおこなうには,開花の習性を理解する必要がある。

22.合理的な繁殖をするには,草花の生理を理解することがたいせつである。

23.ある種の草花の繁殖には,茎・芽・葉・根などの部分を用いることがある。

24.日照・温度・養分・水分,生育の程度などは,花芽分化や開花に影響することが多い。

25.草花栽培の難易は,病害虫に支配されることが大きい。

26.おもな病害虫の加害は,生育の時期によって,その種類・程度が違う。

27.病害虫の生活の様子は,種類によって違う。

28.病害虫の種類により,防除する薬剤の種類・使用法が違う。

29.ホルモン剤は,草花の栽培上有効に使われる場合がある。

30.草花は,種類・品種・栽培方法などによって,寒害の程度が違う。

31.特殊な資材・技術・管理などによって,普通と違った時期に栽培することができる。

 

32.花壇の管理には,草花の性質を理解することが必要である。

33.収穫の時期は,収量・品質に大きな関係がある。

34.切花の水揚げの良否は,切花の保存に影響する。

35.草花の特性を知り,栽培技術を理解することが,草花の品質鑑定に役だつ。

36.種ものや球根の貯蔵は,その方法・温度・湿度,その性伏などによって影饗されることが大きい。

37.市場や需要関係の状況により,作付計画をたて,土地を高度に利用する必要がある。

38.生産物の商品価値を高め,純益を多くするには,調製・荷造・輸送・販売などを考慮する必要がある。

 

39.種採りや調製の良否は,発芽に影響する。

40.品種改良には,遺伝の法則がたいへん役だち,系統とうたをおこなう場合と,雑種や倍数性や突然変異などを利用して,新しい品種をつくる場合とがある。

41.よい種苗を供給するため,品種の登録制度が設けられている。

4.教 育 内 容

1.草  花  草花の意義,草花の分類,草花の種類と特性。 2.草花園芸  草花園芸の特質と現状,農業経営と草花園芸。 3.普通栽培  一.二年性草花の栽培,宿根草花の栽培,球根草花の栽培,花木の栽培,らん(蘭)科植物・観葉植物・多肉植物・盆栽の栽培。 4.特殊栽培  ビニール・温床・温室。

  草花の生理,種類と特徴,構造と材料,加温,作付,市場性等。

 促成栽培。

 不時栽培。

5.草花の品種改良と採種栽培  品種改良の目的と方法,種の扱い方,育種。 6.草花の利用と観賞  切花,庭と花壇,はち植,草花装飾,観賞のしかた。 7.草花園芸の経営  環境と草花園芸,市場園芸・輸送園芸,作付計画と収支決算。
5.指導上の留意事項 (1) 各学校が,「草花園芸」の教育計画をたてる場合には,特に実態調査をおこない,教育内容を重点的に選ぶことがたいせつである。

(2) 「草花園芸」の教育内容は,履修の目的・地域社会の状況および生徒の必要ならびに学校の施設・設備などにより,特色をもたせることがたいせつである。

(3) 学習の効果を高めるために,できるだけ機会をとらえて,現地調査および市場・研究機関の見学,関係機関との連絡などを図られたい。
 
 

7.家   畜

1.性   格

(1) 「家畜」は,農業経営に家畜を取り入れて,豊業の収益を増すために,どのような家畜を,どのように飼育し,どのように利用するかについて学ぶ科目である。

(2) 「家畜」は,主として畜産課程で履修されるものある。

(3) 「家畜」は,「生物」や「家畜飼養」・「家畜衛生・診療」・「飼料作物」・「畜産加工」・「農業工作」・「農業経営」などと緊密な関連をとって学習するものである。

2.目   標 (1) 飼育環境に適した家畜の種類および品種を選び,経営規模を決めうる能力を養う。

(2) 家畜の飼育管理に関する基礎的な知識ならびに技能を養う。

(3) 家畜を合理的に農業経営に役だたせるために必要な基礎的能力を養う。

(4) 家畜を愛し,郷土の実態に応じて,畜産を改善しようとする態度を養う。

(5) 家畜に関する作業を科学的,能率的に進める能力を養う。

3.具体的な到達
 
〔技   能〕
〔一般的な知識・理解〕
(品種の選択と飼育の規模) 1.家畜のおもな種類と品種の見分けがつくこと。

2.郷土における家畜飼養や家畜利用の沿革・現況などの調査ができること。

3.飼育する目的・土地・品種の特徴などから,取り入れる家畜の品種および頭羽数を決めることができること。

(購 入) 4.家畜の個体について審査ができること。

5.外形・歯がなどから年齢の鑑定ができること。

6.家畜の輸送ができること。

7.購入の手続ができること。

 

 

(繁 殖) 8.家畜の繁殖計画ができること。

9.徴候によって発情の鑑定ができること。

10.家畜の交配ができること。

11.牛・豚・羊・やぎなどの人工授精ができること。

12.初期の妊娠鑑定ができること。

13.妊娠中の管理ができること。

14.徴候によって出産時期の予察ができること。

15.家畜の出産の準備と手当ができること。

16.種卵を採ることができること。

17.人工ふ化ができること。

 

 

 

 

(育 成) 18.生後の日数に応じて,ほ乳・離乳ができること。

l9.人工ほ乳ができること。

20.幼畜の育成ができること。

21.家きんの育すうができること。

22.幼畜の選択とうたができること。

23.雌雄鑑別ができること。

24.成畜化の時期の判定ができること。

 

 

 

 

(飼養・管理) 25.飼料の調理・配合ができること。

26.飼料の給与が合理的・能率的にできること。

27.飼料の貯蔵ができること。

28.給飼用器がつくれること。

29.家畜の種類・用途・環境に応じて畜舎や舎内設備の設計ができること。

30.簡単な畜舎や育すう器がつくれること。

31.舎内設備の調達や製作ができること。

32.畜舎の整理や清掃が能率よくできること。

33.家畜の標識や鼻輪をつけることができること。

34.搾乳や泌乳調査ができること。

35.豚・羊・鶏などの去勢ができること。

36.断尾・除角・つめ切・毛刈・薬浴などができること。

37.家畜の肥育計画ができること。

38.家畜の肥育と,肥育試験ができること。

39.産卵調査ができること。

40.だ(駄)鶏のとうたができること。

41.畜舎における毎日の管理作業が能率よくできること。

42.季節の家畜管理作業ができること。

(家畜の利用) 43.役畜の調教ができること。

44.役畜に装具をつけることができること。

45.畜力による耕起・中耕・土入れ・草取・運搬などの諸作業ができること。

46.豚・羊・やぎ・うさぎ・鶏などの,と(屠)殺・解体ができること。

 

(経 営) 47.経営簿の記帳ができること。

48.生産費や所得の計算ができること。

49.生産物の品質鑑定ができること。

50.生産物や廃畜を有利に販売できること。

51.わが家の合理的な畜産計画,また営農計画がたてられること。

52.郷土の畜産計画がたてられること。

 

1.飼育する家畜の種類・品種は,気候・土地・用途などによって決まる。

2.飼育する家畜の頭羽数は,農地の大きさ,飼料の見通し,労力・販路,飼育者の能力などによって決まる。

3.家畜の飼育によって農業経営や生活の改善が推進される。

 

4.正しい年齢の鑑定は,不正な売買と無益な損失を防ぐことができる。

5.家畜の血統から,ある程度までその能力を判断することができる。

6.輸送方法の適否は,家畜の消耗に関係する。

7.信用ある家畜販売者からは,よい家畜を買うことができる。

 

8.遺伝の法則を知ることは,家畜の繁殖や改良の上にたいせつである。

9.すぐれた種畜からは,よい子孫が得られる。

10.家畜には,季節発情するものと周年発情するものとがある。

11.交配の時期は,乳・肉などの販売・出荷および育成の時期,幼畜生産の目的などから決まる。

12.発情期間中の種付時期と,受胎率には,深い関係がある。

13.家畜の妊娠期間は,家畜の種類によって,だいたい決まっている。

14.妊娠中の管理は,流産や,出産の難易や幼畜の健康に関係する。

15.出産前後には,特別な注意がいる。

16.種卵のよしあしは,ふ化率やひなのよしあしに関係する。

17.種卵をじょうずにふ化するためには,ふ卵器の温度・湿度・換気や卵の回転などに注意しなければならない。

 

18.ほ乳する幼畜の数は,親のほ乳能力と乳の出ぐあいによって決まる。

19.人工ほ乳をする場合は,母乳の成分に近いものを与えなければならない。

20.離乳の時期は,幼畜の発育状態とその後の飼育計画によって決まる。

21.幼畜育成の良否は,将来の能力に影響する。

22.育すう器には,いろいろの形式のものがある。

23.育すうをじょうずにおこなうためには,温度や飼料に注意しなければならない。

24.家畜の種類によって一定の水準に達しない幼畜は,早くとうたすることが有利な場合が多い。

25.幼畜の雌雄鑑別は,鶏では特に熟練がいる。

26.幼畜を繁殖に用いる時期は,その発育状態と生後日数とから決められる。

 

27.飼料の調理・調製のよしあしは,家畜の栄養に影響する。

28.飼料の給与は,その家畜の採食の難易,生理的条件などを考慮しておこなうことが必要である。

29.飼料は,乾燥したり,サイロに詰めたりして貯蔵することができる。

30.給飼用器の構造は,採食の難易や飼料の浪費に関係する。

31.畜舎の構造や設備は家畜の健否,管理の能率,家畜の能力の発揮などに関係する。

32.畜舎を清潔にし,畜体の手入れをよくすることは,病気を予防し,能力をじゅうぶんに発揮させるのに役だつ。

33.じゅうぶんな運動や放牧は,家畜を強健にする。

34.雄は,去勢すると,性質が温和になり,肉の質もよくなる。

35.良質の肉を得るためには,肥育するとよいが,与える飼料の種類や方法によって,成果に差異ができる。

36.家畜の種類によって,季節の管理のしかたが違う。

 

 

 

 

37.畜力利用の効果は,調教や管理の良否などによって決まる。

38.畜力利用の能率は,地勢・土質,使用する農器具の種類,役用のしかたなどによって決まる。

39.正しく装具をつけることによって,家畜の疲労を少なくし,危害を防止することができる。

40.規則的な使役と,適時の休息および作業後のじゅうぶんな手入れは,家畜の消耗を少なくする。

 

41.経営はあらかじめ,精密な設計をしておく必要がある。

42.正しい記帳によって経営の実情を知り,また経営の欠陥を見いだすことができる。

43.生産費や収益を正しくはあくすることによって,経営を有利に導く方法を知ることができる。

44.生産物の品質の良否は,販売価格に関係する。

45.生産物を有利に販売するためには,市場の動きを知ることが必要である。

46.家畜は計画的に更新しなければならない。

47.家畜はその種類が多いが,それらをどのように農業経営に取り入れるかは,自然環境および経済環境,その経営に属する生産手段,労働力の量と質などの関係によって決められる。

4.教 育 内 容

 1.家畜の種類と品種

 2.農業経営と家畜

 3.家畜の導入

 4.家畜の審査

 5.人工授精

 6.妊娠の鑑定

 7.出産と助産

 8.人工ふ化

 9.人工育すう

 10.人工ほ乳

 11.発育調査

 12.飼料の調理と配合

 13.畜舎および舎内設備

 14.去勢・断尾・除角・つめ切・毛刈・薬浴

 15.肥育とその管理

 16.産卵調査とだ鶏とうた

 17.搾乳と泌乳調査

 18.鶏・豚・やぎの解体

 19.家畜の飼育管理

 20.調教と畜力利用

 21.飼育の設計

 22.経営簿の記録と整理

 23.生産費と所得

 24.生産物の販売

 25.わが家の畜産の診断

 26.郷土の畜産計画

5.指導上の留意事項 (1) 「家畜」は,学校農場や家庭における家畜の飼育管理を通じて学習させ,家畜に関する生徒の興味を喚起するとともに,自発的に学習を進めることがたいせつである。

(2) 教材としての家畜は,単に標本的,理科的にのみ取り扱わず,むしろ生産的意味をもつものであることをじゅうぶんに考慮されたい。

(3) 家畜の取扱については,常に災害防止と,生徒の安全を図ることが必要である。

(4) 「家畜」の指導にあたっては、「社会」・「生物」・「家畜飼養」・「家畜衛生・診療」・「畜産加工」・「農業工作」・「農業経営」、およびその他の農業科目などとの関連を図り、学習の効果を高めるようにされたい。

(5) 夜間・放課後・早朝などに実施しなければならない実習については,家庭実習または宿泊当番の機会を活用して指導されたい。
 
 

8.家 畜 飼 養

1.性   格

(1) 「家畜飼養」は,栄養と飼料についての基礎的知識と理解を深め,合理的な家畜飼養をおこなうためには,どのような飼料を,どのくらい,どのようにして与えればよいか,また摂取された飼料は,どのように利用されるかなどについて学習する科目である。

(2) 「家畜飼養」は,主として畜産課程で履修される科目である。

2.目   標 (1) 栄養の原理を理解し,家畜に適合した飼料給与ができる能力を養う。

(2) 飼料の特性を理解し,合理的な飼料配合できる能力を養う。

(3) 飼料を鑑別する能力ならびに飼料に関する経済観念を養う。

3.具体的な到達目標
 
〔技   能〕
〔一般的な知識・理解〕
(栄養素と飼料成分) 1.飼料成分表を読むことができること。

2.おもな家畜について,各種の飼料の効果を調べる試験ができること。

 

 

 

 

(消化と吸収) 3.おもな家畜の消化器官の各部の名称と,その所在がわかること。

4.ふんの伏態によって,飼料の消化の程度がわかること。

 

 

 

 

 

 

(飼料の効果) 5.飼料の科学的鑑定ができること。

6.飼料の可消化養分・TDN(全可消化養分)・栄養比・でんぷん価・乾草価などの算出ができること。

7.可消化養分によって,飼料の栄養価の判定ができること。

 

 

(飼料配合) 8.飼養標準によって,飼料の給与計画ができること。

 

 

 

 

(飼 料) 9.おもな飼料の鑑別ができること。

10.飼料の良否の見分けがつけられること。

11.飼料の特性により,配合・給与すべき飼料の種類や,その量を決めることができること。

12.おもな飼料用野草の見分けがつくこと。

(飼料給与と処理) 13.効果的な飼料給与ができること。

14.飼料の発酵・乾燥,その他の調製が,じょうずにできること。

 

 

 

 

(購 入) 15.飼料の有利な購入ができること。
 

1.家畜の生命を維持し,生産能力を発揮させるためには,栄養素を供給しなければならない。

2.栄養素は,たんぱく質・脂肪・炭水化物,その他の無機物およびビタミンに大別される。

3.栄養素は,それぞれ家畜体に対する作用上の特性をもっている。

4.飼料は,その種類によって,栄養素の含有率が違う。

 

5.飼料は,消化作用によって,家畜体内に取り入れられる状態に変る。

6.家畜の種類によって消化器の構造が違う。

7.消化作用は,物理的消化・化学的消化・生物的消化などが組み合わされておこなわれる。

8.吸収された栄養素は,代謝作用によって,家畜体に利用される。

9.飼料の種類によって,消化・吸収の程度が違う。

10.同一飼料であっても,家畜の種類・品種・個体・年齢・摂取量・添加物などによって,消化の程度が違う。

 

11.飼料のもつ化学的エネルギーが家畜体を維持する。

12.飼料成分の中には,可消化のものと,不消化のものがある。

13.飼料の効果は,可消化養分・TDN・栄養比・でんぷん価・乾草価などで表わされる。

14.普通の飼料は,粗繊維の多少によって,粗飼料・濃厚飼料に分けられ,そのほかに特殊飼料がある。

 

15.家畜の飼育にあたっては,あらかじめ年間の飼料給与計画をたてておくことが必要である。

16.家畜の種類・用途・能力によって,与えるべき栄養の量や質が違う。

17.飼養標準によって飼料を配合することは,家畜を経済的に飼う上に役だつ。

18.飼料の自給率を高めると,有利な経営ができる。

 

19.同種の飼料でも,調製・貯蔵などの違いにより,質的にはなはだしい差異ができる。

20.飼料はその種類により,それぞれ栄養上の特性をもっている。

21.野草はその種類・刈取時期・刈取後の処理などによって,栄養価にはなはだしい差異がある。

 

22.粗飼料と濃厚飼料の配合割合は,採食や消化の難易に関係する。

23.飼料の調理にあたっては,採食や消化の難易を考慮しなければならない。

24.エンシレージや乾草は,そのつくり方によって,栄養分に違いができる。

25.飼料に処理・加工を施すことによって,栄養の効率を高め,貯蔵性を増し,作業能率を向上することができる。

 

26.飼料の価格は,比較的変動が激しい。

27.飼料の市価と飼料的価値は,必ずしも並行していない。

28.飼料は共同購入または,数か月分を一括購入すれば,比較的安価に入手することができる。

4.教 育 内 容

 1.飼料の栄養素

 2.飼料の種類

 3.飼料成分の分析

 4.飼料の消化と吸収

 5.畜体解剖実習

 6.飼料の効果を調べる飼育試験

 7.飼料の単位の計算

 8.飼料配合量の計算

 9.飼料の鑑別

 10.飼料配合と給与実習

 11.飼料の貯蔵と加工実習

 12.飼料原料および製品の鑑定

 13.野草の飼料的鑑別

 14.飼料の購入

 15.飼料の市販価格と飼料的価値の判定

5.指導上の留意事項 (1) 「家畜飼養」は,実験・実習を通じて学習させ,生徒の興味を喚起し,自発的に学習を進めることがたいせつである。

(2) 「家畜飼養」の指導にあたっては,「生物」・「化学」・「家畜」・「家畜衛生・診療」・「飼料作物」,その他の農業科目などの関連を図り,学習の効果を高めるようにされたい。

(3) 学習の効果を高めるために,学習に必要な実験材料・実験器具・学習方法などについては,つとめて創意くふうされたい。
 
 

9.家畜衛生・診療

1.性   格

(1) 「家畜衛生・診療」は,家畜体の生活機能を理解し,病気の予防に努め,また病気に対して,どのような応急処置を講ずるかを体得し,家畜の病気による経営上の損失を,どのようにして最少限にとどめるかを学習する科目である。

(2) 「家畜衛生・診療」は,主として実験・実習を通じて学習するものである。

(3) 「家畜衛生・診療」は主として,畜産課程で履修されるものである。

2.目   標 (1) 家畜体の構造と生活作用を理解し,病気を予知する能力を養う。

(2) 病気の原因・症状を理解し,病気を判断する能力を養う。

(3) 予防は最良の治療であることを理解し,これを合理的におこなう能力を養う。

(4) 病気の処置やその手当についての技能を養う。

(5) 伝染病予防に関する知識を体得し,地域社会の公益を尊重する態度を養う。

3.具体的な到達目標
 
〔技   能〕
〔一般的な知識・理解〕
(家畜体の構造と作用) 1.家畜のおもな組織・器官・系統の名称がわかること。

2.家畜のおもな骨の部位と名称がわかること。

3.家畜のおもな筋肉の部位と名称がわかること。

4.家畜のおもな脈管・神経などの部位と名称がわかること。

5.各家畜体の部位と,その名称がわかること。

6.家畜の健否のだいたいの判別ができること。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(病気とその発見) 7.家畜の病気が早期に発見できること。

8.家畜の健康診断が手順よくできること。

9.簡単な尿の検査ができること。

10.ふんの検査ができること。

11.おもな寄生虫の鑑別ができること。

12.病変の部位とその程度の見当がつけられること。

13.病気の経過が正確に述べられること。

(予防衛生と手当) 14.家畜の飼養・管理にあたって,病気の予防措置がじょうずにできること。

15.畜舎・家畜の消毒ができること。

16.寄生虫の駆除ができること。

17.毒草の見分けがつくこと。

18.病気の原因と対策の大要がわかること。

19.常備薬品の整備と使用ができること。

20.発病に際しての応急処置ができること。

21.簡単な病気の手当ができること。

22.獣医師による診療の,じょうずな補助ができること。

23.家畜の保定ができること。

24.伝染病の予防措置ができること。

25.獣医師の指示によって伝染病にかかった家畜の衛生的処置ができること。

26.経済的な立場から,予後不良の家畜についての処理ができること。

 

1.家畜体の構造と作用を知ることは,適切な管理と,病気を予防する上に役だつ。

2.家畜体の構造を知ることによって,病変の部位を正しく判断することができる。

3.家畜体は官能的に分化した細胞を基礎とするもので,組織・器官・系統によって構成されている。

4.骨は家畜体の支柱となっている。

5.筋肉の収縮によって運動がおこなわれる。

6.血液やリンパによって栄養の代謝がおこなわれる。

7.呼吸によって組織に必要な酸素が吸収される。

8.健康を維持するために必要な栄養素は口から摂取される。

9.神経の作用によって感覚や運動が保たれる。

10.生活現象の結果生じた老廃物は体外に排出される。

11.ホルモンは生理的機能の調節をおこなう。

12.家畜の健康なときの状態をよく知ることによって、病気をたやすく発見することができる。

 

13.病気の早期発見によって,被害を最少限度とどめることができる。

14.家畜の健康状態は,手順のよい観察・検査によって,正しく判断することができる。

15.家畜の病気はきわめて多種であり,同じ原因によって,同じ部位に起る病気であっても,家畜の種類や個体によって,その現れ方が違う。

16.家畜の病気は,内科病・外科病・産科病および伝染病に大別される。

 

 

17.家畜の病気には予防がいちばんたいせつであり,人体に有害なものもあるので,いろいろの法律や規則が定められている。

18.家畜の病気は,飼料・飲水・畜舎・管理などに注意することによって,予防できることが多い。

19.適切な消毒は家畜の病気から守るのに役だつ。

20.寄生虫駆除は,家畜を健康に保つために重要なことである。

21.野草には家畜に与えて有毒なものがある。

22.病気の原因には,飼養管理の失宜によるもの,病原体によるもの,および家畜の個性によるものなどがある。

23.病気の際の処置は,病気の原因・病変の部位とその程度によって決められる。

24.薬品には普通,劇薬・毒薬・麻薬の別がある。

25.薬用量は,病気の種類・程度・家畜の種類・年齢・体重などから決められる。

26.病気にかかったら,なるべく早めに適切な手当をすると,回復を容易にする。

27.飼育者の述べる家畜についての詳しい経過は,病気の診断に大いに役だつ。

28.微生物による伝染病の予防注射薬には,ワクチンと血清の2種がある。

29.予防注射は,家畜伝染病予防法によっておこなわれ,伝染病を防ぐのに役だつ。

30.伝染病にかかった家畜の処置を誤ると,病気がひろがる。

31.なおる見込みのない病気にかかった家畜は,適当な時期に,と殺することによって,損失を最少限にくいとめることができる。

4.教 育 内 容

 1.家畜の生活現象

 2.畜体解剖

 3.病気の原因

 4.尿・ふんの検査

 5.病気の予防

 6.消毒

 7.寄生虫の駆除

 8.症候

 9.常備薬

 10.保定実習

 11.簡単な病気の手当

 12.家畜と伝染病

5.指導上の留意事項 (1) 「家畜衛生・診療」の指導にあたっては,予防衛生と病気の発見に重点をおき,農業経営との関連を失わないことがたいせつである。

(2) 「家畜衛生・診療」の指導にあたって,「生物」・「化学」・「家畜」・「家畜飼養」などとの関連を図り,学習の効果を高めるようにされたい。

(3) 学習の効果を高めるために,学習に必要な実験材料・実験器具,学習方法などについては,つとめて創意くふうされたい。

(4) 家畜の取扱については,常に生徒の安全を図ることが必要である。
 
 

10.飼 料 作 物

1.性   格

(1) 「飼料作物」は,飼料作物を経済的に生産利用して,よりよい農業経営をおこなうための基礎的な事項を学習する科目である。

(2) 「飼料作物」は,主として畜産課程で履修される科目である。

(3) 「飼料作物」は,主として「家畜飼養」や「作物」・「土・肥料」・「農業経営」などと緊密な関連をとって学習するものである。

2.目   標 (1) 飼料作物の必要性や栽培の各種条件などを理解させる。

(2) 飼料作物の取入れ方,栽培法および利用法の基礎的な技能を養う。

(3) 飼料作物を合理的に栽培利用して,よりよい農業経営を推進する態度を養う。

3.具体的な到達目標
 
〔技   能〕
〔一般的な知識・理解〕
1.飼料作物の生産計画がたてられること。

2.畑における飼料作物の作付(一般作との輪作,飼料専用畑,間混作など)および栽培利用ができること。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3.桑園・果樹園における飼料作物の栽培利用ができること。

4.水田裏作としての飼料作物の栽培利用ができること。

5.田畑輪換による飼料作物の栽培利用ができること。

6.野草地の改良と利用ができること。

7.野草地に対する牧草の追いまきおよび牧草地の造成利用ができること。

8.傾斜地や砂丘地における飼料木や牧草の栽培利用ができること。

1.飼料作物は,いろいろの理由から,農業経営合理化のために必要である。

2.飼料作物には多くの種類がある。

3.飼料作物の現況がわかることは,栽培上たいせつである。

4.飼料作物の生育には気象や土その他の自然条件が関係する。

5.飼料作物の取入れ方や利用法は,家畜や資本・土地・労力などの経営条件によって変る。

6.飼料作物の種まき・施肥,その後の管理,収穫・貯蔵および種採りなどについてその留意点がわかる。

7.畑における飼料作物の導入の現況とそのねらいがわかる。

8.畑に適する飼料作物の種類・品種がわかる。

9.桑園・果樹園に飼料作物を取り入れるねらいがわかる。

10.桑園・果樹園に適する飼料作物の種類がわかる。

11.水田における飼料作物導入の歴史・現状・種類およびその重要性がわかる。

12.草地利用の現況と改良の重要性がわかる。

13.傾斜地や砂丘地に飼料木や牧草を取り入れるねらいがわかる。

14.傾斜地や砂丘地に適する飼料木や牧草の種類がわかる。

15.おもな飼料作物の来歴・性状・適地・品種・栽培・病害虫防除・収穫・用途および貯蔵の概要がわかる。

4.教 育 内 容

 1.飼料作物の必要性

 2.飼料作物の現況

 3.家畜年間必要飼料量の算出

 4.耕地外から得られる飼料量の算出。

 5.農場副産物の飼料向け量の算出

 6.飼料作物の種類と時期別生産量

 7.飼料作物導入上の立地条件

 8.飼料作物栽培の土地・種類・品種および時期

 9.種の鑑別

 10.種の予措

 11.発芽試験

 12.耕起および整地

 13.施肥設計

 14.種まき

 15.中耕・草取

 16.牧草の導入

 17.草生阻害因子の除去

 18.飼料木の育苗と植付

 19.病害虫防除

 20.収穫適期の判定

 21.乾草の調製

 22.サイロの詰込

 23.根菜類の貯蔵

 24.種採りおよび種の貯蔵

 25.おもな飼料作物の場所別・時期別・品種別・施肥量別などの収量調査・実験実習

 26.おもな飼料作物の特性調査

5.指導上の留意事項 (1) 各学校が,「飼料作物」の教育計画をたてる場合には,地域に適切なものを重点的に取り上げることがたいせつである。

(2) わが国の飼料作物には,未知の分野が多く,その試験や実用化には学校教育を通じても寄与するところが大であるので,その栽培計画は地域的に適切であり,また実施記録・観察記録などは貴重な資料とすべきである。

(3) 学校農場における飼料生産の計画は,それが飼養する家畜の生産力に重要な影響があるので,総合的,合理的に土地を利用し生産を高めることがたいせつである。

(4) 農業クラブを通じて,家庭あるいは郷において実験実習をさせるのもよい。