31.造 園 施 工

1.性   格

(1) 「造園施工」は,造園の諸工事にあたって,それぞれの工事が短期間に安全で経済的におこなわれるよう計画・立案し,かつ運営することを学ぶ科目である。

(2) 「造園施工」は,「造園材料」を基礎とし,主として実習および調査・見学を通じて学習するものである。

2.目   標 (1) 造園の諸工事についてのいろいろな施工方法を理解させる。

(2) 工事現場に適した施工法を選ぶ能力を養う。

(3) 工事用材料を生かした施工ができる能力を養う。

(4) 材料を節約しかつ工事を美しく仕上げるために努力する態度と習慣を養う。

(5) 互に協力して工事を円滑に運営する態度を養う。

3.具体的な到達目標
〔技   能〕
〔一般的な知識・理解〕
1.諸資材を使って工事の計画ができること。 

2.土の切取盛土・運搬の作業に使われる器具・機械が選べること。 

3.土坪の計算および土工の平均ができること。 

4.土工の準備作業として,くい打・やりかたなどができること。 

5.土工の労力計算・見積りができること。 

6.土地の状況に応じた排水の計画をたて,工事ができること。 

  

  

7.えん路の選定および設定ができること。 

8.えん路のこう配・幅員などが決められること。 

  

  

  

9.簡単な池・プールなどの工事ができること。 

10.簡単な土橋・木橋などができること。 

11.張芝工の準備と作業がじょうずにできること。 

12.張芝の計画と見積りができること。 

13.庭石の運搬とすえ付ができること。 

14.簡単な擁壁の工事ができること。 

15.れんが積み工事の設計・見積りができること。 

16.簡単なコンクリート工事の設計ができること。 

17.コンクリート工事の材料および型わくを準備するとともに,その配合ができること。 

18.かき・日陰だななどの工事ができること。 

19.簡単な岩組工事ができること。

1.造園が完成するまでにはいろいろな工事がある。 

2.工事は,労力と資材などの経費を少なく,確実にしかも短期間に完成するように計画され,運営することが必要である。 

3.土工の作業は,土の切取・運搬および盛土の三つに分けられる。 

4.一般に土工の計画は,切取と盛土の量が同一になるように設計される。 

5.地形や移動の距離などによって,それぞれ適した切取・運搬の方法が選ばれる。 

6.排水工では,降雨量・地形および排水の目的などによって,それぞれ適した方法が選ばれる。 

7.えん路は,距離・こう配・幅員・横断面などの条件を考慮して設置される。 

8.えん路工には,えん路の使用目的および地形・地質などの条件に応じた構造や構成材料が選ばれる。 

9.階段は,昇降につごうのよい構造にすることがたいせつである。 

10.池・プールなどの工事では,漏水の防止,給排水の設備,護岸などがたいせつである。 

11.橋の構造や材料は,交通の状況,架橋の位置,周囲との調和,費用などによって決まる。 

12.基礎工事は,工作物の規模や土質などに応じておこなわれるが,安全さには特に注意しなければならない。 

13.張芝工は,土地の状態・経済的条件などによっていろいろな方法が選ばれる。 

14.庭石の運搬とすえ付には,周到な準備と慎重な取扱とが必要である。 

15.土地のこう配を土の静止角以上に急傾斜にするときは,土の崩壊を防ぐために擁壁がいる。 

16.れんが積みには,イギリス積み・フランス積み・オランダ積みなどがあって,擁壁・壁体などに用いられる。 

17.コンクリート・モルタルは,耐久力に富み,使用に便利であるから,基礎工事をはじめ.擁壁・舗装などに用いられる。 

18.鉄筋コンクリートは,コンクリートと鉄筋を組み合わせて,それぞれの欠点を補い,長所を発揮させたもので,特に堅固な構造物に用いられる。 

19.造園の設備として,かき・日陰だな・庭門・あずまや・壁泉・プールなどの建設物の工事がおこなわれる。

4.教 育 内 容 1.土の切取・運搬・盛土および土工の平均

2.土工の労力計算と見積り

3.排水の計画および施工

4.えん路および階段の設計と施工

5.池およびプールの設計と施工

6.橋の意匠や構造の設計

7.基礎工事の設計と施工

8.張芝の施工と見積り

9.庭石の運搬・すえ付と岩組工

10.擁壁・壁体の設計および施工

11.れんが積み・石積みの施工

12.コンクリート工事の施工

13.かき・日陰だななど造園設備の設計と施工

14.いろいろな造園工事の施工順序と運営

15.工事の見積りのしかたと仕様書

5.指導上の留意事項 (1) 「具体的な到達目標」および「教育内容」は,その一例を示したものであるから,各学校は,地域や生徒の必要を考慮して,具体的な教育計画をたてられたい。

(2) 学習の効果を高めるために,学習に必要な実習材料,学習方法などについては,つとめて創意くふうされたい。

32.都 市 計 画

1.性   格

(1) 「都市計画」は,都市の性格や発達の状態を認識し,理想的な都市の建設に必要な施設・手段などを理解し,適切に計画することを学ぶ科目である。

(2) 「都市計画」は,都市と農村を一体とする地方計画や,国土全体についての国土計画と関連して,はじめて完全な効果を発揮することができるものである。

2.目   標 (1) 理想的な都市はどうあるべきかを理解させる。

(2) 都市の健全な発達を妨げる諸条件を理解させる。

(3) 都市に必要な施設について理解させる。

(4) 公園緑地計画の基礎的資料を調査し,計画しうる能力を養う。

(5) 都市と農村および国土全体の計画との関連性について理解させる。

(6) 健全で幸福な都市生活を営みうるよう,都市を合理的に発展させ,文化の向上に貢献する喜びと楽しみを見いだす態度を養う。

3.具体的な到達目標
〔技   能〕
〔一般的な知識・理解〕
1.都市計画の基礎的調査資料として,土地利用現況図,学校の分布図,公園および運動場の分布図などができること。 

2.風致地区の指定に関する調査資料が集められること。 

3.広場の計画ができること。 

4.公園の配置計画ができること。 

5.公園候補地の選定ができること。 

6.公園の施設の計画ができること。 

7.一団地の住居地域の計画ができること。

1.都市計画とは,それぞれの地方で経済・政治・文化の中心となっている都市を,理想的に建設するための総合計画である。 

2.内外都市の発生と発達には,いろいろな条件と特徴が見られる。 

3.都市計画には,道路・広場・河川・港湾・公園などのほか,公共施設・建築物などの計画が含まれる。 

4.都市計画は,市域拡張,田園都市の創設,都市中心と公園系統など,それぞれの都市で最も必要な主目的について特に力を入れておこなわれることが多い。 

5.都市計画が最も理想的におこなわれるためには,市勢調査・自然的環境調査・社会的環境調査・経済的状態調査などが必要である。 

6.都市計画区域は,都市発展の情勢に応じて,都市計画の施設をされる区域として指定される。 

7.都市の発展が秩序正しく整然と合理的におこなわれるために,地域および地区の制度がある。 

8.人口の都市集中と商工業の発達は,都市を急速に発展させ,交通の増加を伴って,交通施設の必要度はますます増加している。 

9.広場は,交通施設としての広場のほか,式典広場・建築広場・小公園広場などがある。 

10.緑地には,普通緑地として広場・公園・運動場および動植物・遊園地・ゴルフ場・水泳場・社寺境内・墓えん・史蹟名勝地などがあるほか,生産緑地として農林業用地および庭園・保存地など準緑地が含まれる。 

11.公園は,大公園・近隣公園・児童公園など,機能・用途の異なった公園が,それぞれ有効に利用できるように配置され,しかも全公園がじゅうぶんに価値を発揮できるように,有機的に組織される公園系統として計画されることが必要である。 

12.土地区画整理は,宅地としての利用を増進するためにおこなわれる土地の整理事業である。 

13.田園都市は,大都市の欠陥を除いて,自然の恩恵を受けた健康的で,かつ都市生活の便益と経済的,社会的利益を受けられる住居と産業のために設計された都市である。 

14.過密住宅地および過密居住の問題は,人口の都市集中と急激な増加の結果として必然的に起ってくるので,住居地および健全住宅の建設が,都市計画の基本として計画的におこなう必要がある。 

15.都市計画遂行のためには,都市と農村とを一体とする,地方計画が必要である。 

16.地方計画は,国土全体の計画(国土計画)のもとにたてられて,はじめて健全な効果を発揮する。 

17.都市計画の法制は,都市計画事業に対しいろいろな便宜と手段を与えるとともに,都市計画に対して法律上の権限を与えている。 

18.多くの都市計画事業は,多額の経費を要し,しかも収入の伴わない公共施設であるので,健全な財政計画をたてる必要がある。

4.教 育 内 容 1.都市計画の必要

2.都市計画の内容

3.都市の発達と都市計画運動

4.都市計画の基本的要素

5.都市計画の基礎的調査

6.都市計画区域および地域・地区

7.交通施設

8.広場および公園緑地

9.都市計画としておこなわれる公共的施設

10.土地区画整理

11.田園都市

12.住居地および住宅問題

13.都市計画の法制

14.都市計画の財政

5.指導上の留意事項 (1) 「具体的な到達目標」および「教育内容」は,その一例を示したものであるから,各学校は,地域や生徒の必要を考慮して,具体的な教育計画をたてられたい。

(2) 学習の効果を高めるために,学習に必要な資料,学習方法などについては,つとめて創意くふうされたい。

(3) 資料収集その他については,つとめて都市計画,公園の関係機関などとの連絡を図られたい。

33.作  物

1.性   格

(1) 「作物」は,作物の性状と栽培に関する環境因子との有機的な関係を理解し,農業経営にどのように取り入れ,どのように栽培するかを学ぶ科目である。

(2) 「作物」は,「総合農業」を課さない場合の農業課程およびその他の課程において履修されるものである。

(3) 「作物」は,「生物」や「土・肥料」・「作物保護」・「農業工作」・「農業経営」などの科目と緊密な関連をとって学習するものである。

2.目   標 (1) 郷土の自然的,社会的,経済的環境と作物の種類・品種との関係を理解させる。

(2) 栽培技術の根拠となる科学的知識およびこれを改善するために必要な知識・理解を養う。

(3) 作物の種類・品種の経営的特性を理解させる。

(4) 郷土に適した作付を計画する能力を養う。

(5) 環境や経営に応じて作物を栽培する技能を養う。

(6) 土の管理と施肥の技能を養う。

(7) 作物に対する災害を防除する技能を養う。

(8) 生産物を経済的に処理する能力を養う。

(9) 作物栽培にあたり労力を合理的に使用する能力を養う。

3.具体的な到達目標
〔技   能〕
〔一般的な知識・理解〕
  (作物の生育と特性) 

1.作物の生育調査ができること。 

2.根群の調査ができること。 

3.幼穂の観察ができること。 

  

  

  

  

  

  

  

  

  (作物の経営的特性) 

4.作付計画ができること。 

  

  

  

  (環境と作物の種類・品種の選択) 

5.品種の特性調査ができること。 

6.おもな作物の種類・品種および新しい品種の鑑別ができること。 

7.郷土に適する作物の種類・品種の選択ができること。 

  

  

  

  

  (栽培管理) 

8.種ものの選別・消毒ができること。 

9.種の発芽の良否が調べられること。 

10.種苗の良否の判別ができること。 

11.苗しろ,苗床の設計と設置ができること。 

12.種まきと栽植の密度が決定できること。 

13.種まきや苗の植付ができること。 

14.育苗の管理ができること。 

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

15.作物の生育状態によって,肥料三要素の過不足を判断することができること。 

16.穂肥の要否と時期を決めることができること。 

17.緑肥の栽培と合理的利用ができること。 

18.かん・排水の管理ができること。 

  

  

  

  

  

19.おもな作物の病害虫が見分けられること。 

20.おもな作物の病害虫の防除剤の調製と使用ができること。 

21.除草剤を使って,除草ができること。 

22.めくら除草ができること。 

  

  

  

23.栽培設計ができること。 

  

  

  

  (収穫・調製・荷造) 

24.収穫期の判断と収穫ができること。 

25.収穫物の調製ができること。 

26.俵装・荷造ができること。 

  (生産物の処理) 

27.生産物の経済的処理ができること。 

  

  

28.おもな生産物の品質鑑定ができること。 

  

  (生産物の貯蔵) 

29.穀類・豆類の貯蔵ができること。 

30.いも類の貯蔵ができること。 

31.おもな貯穀害虫の判別ができること。 

32.種のくん蒸ができること。 

33.種ものの貯蔵ができること。 

  

  (収穫予想) 

34.坪刈・坪掘ができること。 

35.もみずり歩合,玄米一升重,千粒重などの測定ができること。 

  

  

  

  

  

  (農作業技術の改善) 

36.おもな作物栽培の作業を合理化することができること。 

37.畜力・機械力を用いて,整地その他の作業ができること。 

38.共同育苗,災害の共同防除などの計画ができること。 

  

  (特殊栽培) 

39.普通栽培と特殊栽培の比較ができること。 

  (種採りと種採り栽培) 

40.採種地の選定にあたって,環境の選定ができること。 

41.抜穂による選抜ができること。 

42.おもな作物の自家受精性と他家受精性の観察ができること。 

43.一代雑種がつくれること。 

44.交配した種の次代鑑定ができること。

  

1.作物の生育状態は,土の肥よく度や施肥量によって違う。 

2.作物の生育に適する温度は,作物の種類によって違う。 

3.作物の生育や成熟は,生育中の温度や日照の長さに影響される。 

4.作物のうちには,その生育中に一定期間低温にあわなければ成熟しないものがある。 

5.作物の地上部を発育させるためには,地下部を発育させなければならない。 

6.作物の地下部がよく発育するには,土中に空気の存在することが必要である。さつまいも・じゃがいものように地下部の肥大するものには,特に多くの空気がいる。 

7.いもや根などの地下部を肥大させるためには,地上部の発育を調節しなければならない。 

  

8.作物の種類・品種によって,労働投下の様相,資本財投下の必要量,土の物理的,化学的性質に対する適否が違う。 

9.作物の中には地力消耗度の大きいものとそうでないものがある。 

  

10.郷土に適する作物の種類・品種は,その土地の環境や輪作関係・栽培目的・栽培方法によって違う。 

11.作物の種類・品種の感光性・感温性によって,種まき・植付・成熟の時期が違い,また栽培適地も異なる。 

12.作物の種類によって,単位面積当り,あるいは,一定期間当りの熱量生産量が違う。 

13.農業事情の推移によって,品種選択の対象となる形質が違う。 

14.工芸作物の栽培は,海外事情によって左右されるものが多い。 

  

15.種まき前に,種ものを処理することによって,発芽や生育を促進することができる。 

16.病原菌や害虫卵には,種苗についてひろがるものがある。 

17.充実した種からは,強い芽が出る。 

18.種の新古・発芽歩合などを知ることは,種まき量を決めるのに役だつ。 

19.苗しろ・苗床の面積は,苗の必要数,種の一定量当り粒数,苗減り歩合,育苗技術からの妥当な苗密度などによって決める。 

20.作物の中には,栄養体の一部を繁殖に供するものと,種を使うものとある。 

21.種まきおよび移植の深さは,作物の種類・品種によって違うが,一般に深すぎたときは,発芽と生育はよくない。 

22.種まきおよび栽植の密度は,作物の種類・品種・栽培方法,土地の肥よく度,その他の条件の総合によって決まる。 

23.苗の良否には,苗しろや苗床の地温・水温・土中水分,日照・有機物施用量,苗の密度,病虫害,雑草の害などが影響する。 

24.栽培技術の改善には,農業実態調査がたいへん役だつ。 

  

25.適当な施肥を実施するには,気候・土質や栽培の目的などを考慮することが必要である。 

26.作物の種類や品種によって,養分吸収の様相が違う。 

27.緑肥作物を輪作に取り入れることによって,土の肥よく度を高めることができる。 

28.緑肥作物には,家畜に与えて利用したほうがよいものが多い。 

29.かん・排水の合理的管理は,かん・排水の効果を高め,作物の生育を盛んにする。 

30.適期の中耕や土寄せは,作物の生育や雑草の発生防止に役だつ。 

31.作物の種類・品種および栽培法によって,災害の影響が違う。 

32.病害虫の発生は,気象などの条件によって消長する。 

33.栽培の時期を変えることによって,災害を避けることができる。 

34.病原体や害虫の種類によって,農薬の種類が違う。 

35.雑草の種類や生育のしかたは,土地や季節,作物の生育伏態などによって違う。 

36.薬剤を使って,雑草を駆除する場合がある。 

37.作物と雑草の種子の発芽速度の差異を利用して,雑草を防止することができる。 

38.栽培のしかたによって,土の浸食を防ぐことができる。 

  

39.収穫の適期がはずれると,生産物の品質や作業能率などに影響するところが大きい。 

40.調製や俵装・荷造は,作物の種類によって異なる。 

  

41.食用作物といわれるものも,飼料として利用するほうが有利な場合がある。 

42.生産物の処理は,経営事情や市場の事情によって違う。 

43.生産物の検査には,適格検査と格付検査とがあり,品質の格付は,格付決定に関係する要素の総合によって決められる。 

  

44.貯蔵中の生産物の変化は,温度・湿度が高く,その変化の多い場合に著しい。 

45.いも類の貯蔵中の損耗は,水分の発散,病菌による腐敗,温度の過降による腐敗などによる。 

46.穀類・豆類などの貯蔵中につく害虫は,倉庫内のくん蒸によって容易に殺すことができる。 

47.種ものは貯蔵のしかたや貯蔵期間によつて,発芽や生育が違う。 

  

48.花芽の分化や結実のおこなわれるころの気象状態や栄養の良否などは,収量に大きく影響する。 

49.品質のよい収穫物を多量に取り入れるには,均等な発育が必要である。 

50.坪刈・坪掘には,いろいろの方法があるが,調査箇所は,生育その他の条件が中位で全体を代表していなければならない。 

51.穀類の収量を組み立てる要素は,一粒重・一穂粒数・穂数である。 

52.栽培の様式を変えることによって,必要な労働の量や時期を変えることができる。 

  

53.作業体系の合理化によって,農作業を改善し,能率をあげることができる。 

54.整地をはじめ,農作業は,畜力・機械力を取り入れることによって,労働を軽くし,また能率を高めることができる。 

55.農作業には共同することによって,有利なものがある。 

  

56.特殊栽培には,作業体系の改善,低位生産地帯への応用などの目的に合致するものがある。 

  

57.よい種を多量に種採りするには,種採り組織をつくることがよい。 

58.種採り栽培は,収量本位の普通栽培と異なり,施肥・管理・収穫期・病虫対策などに特殊なところがある。 

59.同じ遺伝質を具備するものでも,健全な母体から採った種は,次代の生育がよい。 

60.自家受精するものと他家受精するものとでは,種採りのしかたが違う。 

61.品種改良は,生産力に大きな影響を及ぼしている。 

62.品種改良には,系統とうたによる場合と,雑種や倍数性・突然変異などを利用して新しい品種をつくる場合がある。 

63.一代雑種には,生育が盛んで,生産力の高いものがある。 

64.同じ系統の団体のみでくり返して種を採れば,品質・収量の落ちるものがある。 

65.主要作物の品種改良は,国や地方の試験場などでおこなわれるが,特殊なものは,民間でもおこなわれる。

4.教 育 内 容 1.作物の生育と特性

2.作物の経営的特性

3.環境に応じた作物の種類・品種の選択

4.種ものの良否鑑別

5.種ものの予措

6.種まきと植付

7.苗しろ・苗床の設計と設置

8.育苗技術

9.作物および品種の鑑別

10.本田・本畑の栽培技術

11.土の管理と施肥

12.災害とその対策

13.収穫・調製・荷造

14.生産物の処理

15.種ものの貯蔵

16.収量調査

17.作付計画・栽培設計

18.農作業の改善

19.特殊栽培

20.種採りと種採り栽培

5.指導上の留意事項 (1) 「具体的な到達目標」や「教育内容」は,課程や地域の違いにより,また,農業料の他の科目との関連を考慮して,重点的に取り上げるものとする。

(2) 「教育内容」は,学習の単元やその順序を示したものではないから,各学校は,地域や生徒の必要を考慮して,具体的な教育計画をたてられたい。

(3) 具体的な教育計画をたてるにあたっては,地域農業の実態を調査し,地域の農業環境・農業経営との有機的な関連を考慮し,作物栽培の理論と実際とが身につくようにされたい。

(4) 知識や技術の基礎を理解させるために,実験を取り入れ,学習の効果を高められたい。

(5) 学習の効果を高めるために,農業試験場や調査機関と緊密な連絡を図られたい。

34.園  芸

1.性   格

(1) 「園芸」は,園芸作物の性状と栽培に関する環境因子との有機的な関係を理解し,農業経営にどのように取り入れ,どのように栽培するかを学ぶ科目である。

(2) 「園芸」は,園芸課程以外の課程において履修されるものである。

(3) 「園芸」は,「生物」や「土・肥料」・「作物保護」・「農業工作」・「農業経営」などと緊密な関連をとって学習するものである。

2.目   標 (1) 郷土の自然的,社会的,経済的環境と園芸との関係を理解させる。

(2) 環境に応じ,園芸作物を合理的に栽培する技能を養う。

(3) 園芸作物の栽培技術の根拠となる科学的な知識・理解を養う。

(4) 園芸の経営に関する社会的,経済的な知識・理解を養う。

(5) 豊かな情操をつちかい,園芸作物を愛育する態度を養う。

3.具体的な到達目標
〔技   能〕
〔一般的な知識・理解〕
  (園芸作物) 

1.おもな野菜・果樹・草花の種類・品種の見分けができること。 

2.地域社会に適した優良な種類・品種の選択ができること。 

3.合理的な栽培設計がたてられること。 

  

  (栽培管理) 

4.種ものの選別ができること。 

5.種ものの催芽や発芽試験ができること。 

6.種ものと苗木の消毒ができること。 

7.種ものをじょうずにまくことができること。 

8.苗・苗木の良否の鑑別ができること。 

9.苗・苗木の植付がょうずにできること。 

10.温床の設定・管理ができること。 

11.苗ものの植えかえがじょうずにできること。 

12.はちものの管理ができること。 

13.つぎ木・さし芽・さし木・とり木・株分けができること。 

  

  

  

14.整地・うね立てがじょうずにできること。 

15.土性・土層の見分けができること。 

16.土の酸性の度合が測定でき,石灰の必要量がわかること。 

17.土の管理ができること。 

18.つみ肥と培養土がじょうずにつくれること。 

19.おもな肥料の見分けができること。 

20.合理的に肥料の施用ができること。 

  

  

  

21.間引がじょうずにできること。 

22.支柱立て・誘引ができること。 

  

23.整枝・せん定ができること。 

24.花芽分化の見分けができること。 

  

  

  

25.おもな病害虫の見分けと防除ができること。 

26.おもな農薬が使用できること。 

  

  

  

  

  

27.野菜・草花の促成・抑制ができること。 

  

28.野菜の軟化ができること。 

29.摘果・摘房がじょうずにできること。 

  

30.袋掛けがじょうずにできること。 

31.くだものの落果を防ぐことができること。 

32.根群の分布状態を知ることができること。 

  

33.庭木の簡単な手入れができること。 

34.庭木の根まわし,植えかえができること。 

35.芝ふがつくれること。 

36.花壇の管理ができること。 

37.収穫の適期を見分けることができること。 

38.生産物の品質鑑定ができること。 

39.生産物の貯蔵ができること。 

40.種ものの貯蔵ができること。 

  

  

  

41.生産物の調製・荷造・輸送・販売ができること。 

  

  (品種改良と種採り) 

42.人工交配や種採りができること。

  

1.園芸作物は,自然環境や栽培条件のわずかな変化によっても収量・品質に大きな違いが生ずる。 

2.ある土地に適する園芸作物の種類・品種は,その土地の環境・栽培目的・栽培方法によって違う。 

3.園芸経営の向上は,合理的な栽培設計によることが多い。 

  

4.充実して栄養に富んでいる種ものからはよい苗ができる。 

5.種ものの催芽は,発芽を早め発芽をそろえる。 

6.消毒することは,種ものや苗木の病害虫の防除に役だつ。 

7.種まきの時期や方法は,生育・品質・収量に影響を及ぼすことが多い。 

8.生産を向上させるためには,よい苗や苗木を選択する必要がある。 

9.園芸作物の生育には,水分・空気・温度・日照・肥料などの要因が影響を及ぼす。 

10.園芸作物を普通と違った時期に生産するには,特別の資材・技術・管理を必要とする。 

11.植えかえは,園芸作物の植えいたみを少なくすることが多い。 

12.はちものは,植えかえやかん水の影響を受けることが大きい。 

13.園芸作物の生理・形態を理解することによって,合理的な繁殖ができる。 

14.整地やうね立ての良否は,土の性質や作物の生育に影響する。 

15.土は,その種類によって組織や性質が違う。 

16.土の酸性の程度は,作物の生育や病害虫と深い関係がある。 

17.草取・中耕・深耕・かん水・敷きわらなどは,土の性質を変え,園芸作物の生育に影響することが大きい。 

18.つみ肥や床土の良否は,作物の生育に影響を与えることが大きい。 

19.肥料は種類によって,主成分の種類・含有量,性質・使用法などが違う。 

20.適切な施肥量や施肥法は,土地の性質と作物の種類・生育・栽培などによって違う。 

21.苗の生育には,適当な水分・空気・温度・日照・養分などの要因が必要である。 

22.支柱立て・誘引は,日照・通風をよくし,倒伏を防ぎ,生育をよくするために役だつ。 

23.整枝・せん定を行うには,結果の習性を理解する必要がある。 

24.おもな園芸作物の花芽分化は,水分・養分・温度・日照,生育の程度,手入れの良否などによって影響される。 

25.枝の生長,花芽の着生は,枝の扱い方によって,大きな影響を受ける。 

26.園芸作物の栽培の難易は,病害虫に支配されることが大きい。 

27.おもな病害虫の加害は,生育の時期によって,その種類と程度が違う。 

28.病害虫の生活の様子は,種類によって違う。 

29.病害虫の種類により,防除する薬剤の種類・使用法が異なる。 

30.ホルモン剤は園芸作物の栽培上有効に使われる場合がある。 

31.特殊な資材・技術・管理などによって,普通と違った時期に栽培することができる。 

32.野菜の軟化の時期と方法は,品質に大きな関係がある。 

33.結果を制限することにより,品質を向上させ,安定した収量をあげることができる。 

34.ある種の果実では,袋掛けは病害虫を防ぎ,外観をよくするのに役だつ。 

35.落果は,天候や栄養状態の不良,病害虫などによって起ることが多い。 

36.根群の分布・活動の状態は,園芸作物の種類や土の性質によって違うので,合理的な土の管理が必要である。 

37.庭木の手入れは,生活環境を美化するのに役だつ。 

38.庭木の植えかえには,根まわしが大事な役目をもつことが多い。 

39.花壇の管理には,草花の性質を理解することが必要である。 

40.収穫の時期は,収量や品質に大きな関係がある。 

41.作物の特性を知り,栽培技術を理解することが,生産物の品質鑑定に役だつ。 

42.おもな園芸作物の貯蔵には,生産物の性状,温度・湿度などによって影響されることが大きい。 

43.種ものの性状・貯蔵法・貯蔵期間によって,作物の発芽や生育の状態が違う。 

44.生産物の商品価値を高め,純益を多くするには,調製・荷造・輸送・販売などを考慮する必要がある。 

  

45.品種改良には,遺伝の法則がたいへん役だち,系統とうたをおこなう場合と,雑種や倍数性・突然変異を利用して,新しい品種をつくる場合とがある。

4.教 育 内 容 1.園芸  園芸の意義,園芸の分類,園芸の特質と現状。 2.野菜の栽培  野菜栽培の特質,野菜栽培の環境,育苗,各種の野菜栽培,種採り,野菜栽培の経営。 3.果樹の栽培  果樹栽培の特質,果樹栽培の環境,果樹の一生,各種の果樹栽培,果樹園の管理,果樹栽培の経営。 4.草花の栽培  草花栽培の特質,草花栽培の環境,一・二年性草花の栽培,宿根草花の栽培,球根草花の栽培,花木の栽培,草花栽培の経営。 5.指導上の留意事項 (1) 各学校が,「園芸」の教育計画をたてる場合には,特に実態調査をおこない,教育内容を重点的に選ぶことがたいせつである。

(2) 「園芸」の教育内容は,社会の状況および生徒の必要ならびに学校の施設・設備などにより特色をもたせることがたいせつである。

(3) 学習の効果を高めるために,できるだけ機会をとらえて,現地調査および市場・研究機関の見学,関係機関との連絡などを図られたい。

35.畜  産

1.性   格

(1) 「畜産」は,農業経営に家畜を取り入れて,農業の収益を増すために,どのような家畜を,どのように飼育し,どのように利用して,経営の合理化をはかるかについて学習する科目である。

(2) 「畜産」は,畜産課程以外の課程において履修されるものである。

2.目   標 (1) 飼育環境に適した家畜の種類および品種を選び,経営状態に適した飼育規模を決める能力を養う。

(2) 家畜の飼育管理・利用に関する基礎的な知識ならびに技能を養う。

(3) 家畜のおもな病気を見分け,これを予防する能力を養う。

(4) 飼料の計画的生産と合理的給与ができる能力を養う。

3.具体的な到達目標
〔技   能〕
〔一般的な知識・理解〕
  (飼 育) 

1.おもな家畜の種類と品種の見分けができること。 

2.人工ふ化ができること。 

3.育すうができること。 

4.幼畜の育成ができること。 

5.家畜の発情の見分けがつくこと。 

6.交配が適期を誤らずにおこなえること。 

7.豚や牛の人工授精ができること。 

8.家畜の妊娠を外形によって見分けられること。 

9.家畜の出産に対する処置ができること。 

  

  

  

  

  

  

  

  

10.鶏・豚などの去勢ができること。 

11.羊の断尾・つめ切・毛刈・薬浴ができること。 

12.やぎ・牛の除角・つめ切ができること。 

13.家畜の肥育ができること。 

  (飼 料) 

14.飼養標準によって飼料の給与計画がたてられ,合理的な配合ができること。 

15.粗飼料の輪作をうまくおこなうことができること。 

16.おもな牧草と,飼料に適する野草の見分けができること。 

17.野草地の改良ができること。 

18.乾草やエンシレージをうまくつくれること。 

19.成分や価格によって飼料を適当に選ぶことができること。 

  

  (管 理) 

20.簡単な畜舎や舎内設備の設計ができること。 

21.畜舎の管理がよくできること。 

  (病 気) 

22.家畜の健否の見分けができること。 

23.家畜の保定・投薬・かん腸・注射・子宮洗浄ができること。 

24.家畜の伝染病に対する予防と応急措置ができること。 

  

  (加工と利用) 

25.小家畜の解体ができること。 

26.搾乳ができること。 

27.牛乳の取扱がうまくできること。 

28.牛乳の簡単な検査ができること。 

29.バター乳酸飲料などがじょうずにつくれること。 

30.ハム・ベーコン・ソーセージなどが,じょうずにつくれること。 

31.簡単な皮なめしができること。 

32.役畜の扱い方と手入れができること。 

  (経 営) 

33.農家の経営規模や飼料の供給源によって,家畜の頭羽数を決定することができること。 

34.家畜の出荷時期によって,繁殖の計画がたてられること。 

35.だ鶏のとうたができること。 

36.能力の高い家畜を外形から選ぶことができること。 

37.生産物を有利に販売できること。 

38.生産費を算出して,経営の検討ができること。

  

1.家畜の飼育は,農業経営や農家生活の衣食の改善に寄与する。 

2.飼育する家畜の種類・品種は,気候・土地・用途などによって決まる。 

3.飼育する家畜の頭羽数は,農地の大きさ,飼料の見通し,労力・販路,飼育者の能力などによって決まる。 

4.鶏のふ化には,ふ卵器の温度・湿度・換気,卵の回転などの条件のよいことがたいせつである。 

5.ひなの雌雄鑑別は,こう(肛)門の反転と,チックテスターによって,生殖器官の違いによりおこなわれている。 

6.ひなの生育には,温度・湿度・光線・栄養などの条件のよいことがたいせつである。 

7.幼畜は特別な保護・管理を必要とし,育成の良否は将来の能力に影響がある。 

8.家畜には周年発情するものと,季節発情するものとがある。 

9.交配の適期を誤らず,計画的な繁殖をおこなうことが,経営上重要なことである。 

10.家畜によって,精液の取扱や人工授精の方法に違いがある。 

11.妊娠を早期に鑑定することは,飼育管理の上から,また経営の面からたいせつなことである。 

12.雄を肥育の目的で飼養するときは去勢をおこなう。 

13.家畜を取り扱いやすくするために,鼻輪をつけ,断尾・除角・つめ切などをする。 

14.家畜の肥育の時期は,販売の時期によって決まる。 

15.家畜の種類・用途・能力によって与えるべき栄養の質や量が違う。 

16.飼料の自給度を高め,青刈飼料を周年利用するために,じょうずな輪作をおこなうことが必要である。 

17.野草の中には,飼料に好適なものが少なくない。 

18.飼料作物は,刈取時期によって,成分に相当の違いがある。 

19.飼料は乾爆したり,サイロに詰めたりして貯蔵する。 

20.飼料的価値と市場価格とは,必ずしも並行していない。 

  

21.畜舎の構造や設備は,家畜の健康,管理の能率に関係する。 

22.飼養管理の良否は,家畜の能力に影響する。 

  

23.家畜の病気に対しては,予防と早期発見がいちばんたいせつである。 

24.家畜によっていくらかの違いがあるが,寄生虫の駆除・かん腸・予防注射は簡単にできる。 

25.おもな伝染病の症状と取扱を心得ておくことはたいせつである。 

  

26.小・中家畜の骨格,内臓の位置を知ることによって,解体の順序がわかる。 

27.牛乳は取扱の不備や,飼養管理の良否によって,2等乳になることがある。 

28.役畜の扱い方や手入れの良否は能率や健康に影響する。 

29.よい加工品をつくるためには,一定の工程に従って作業を進めなければならない。 

  

  

  

  

30.副業としての家畜飼育は,自分の家や付近から入手できる飼料などを考え合わせて,飼養する頭羽数を決定する。 

31.家畜の出荷状況と市場価格の関係を調べ,繁殖の計画をたてることは,経営上重要なことである。 

32.能力の劣る鶏や病鶏は,とうたすることが必要である。 

33.家畜の能力は外形と密接な関係がある。 

34.同規格の生産物も,取引の方法や,時期によって,価格に違いがある。 

35.各家畜を収入,支出の品目別に集計して,生産費を算出し,経営合理化の資料とすることは,たいせつなことである。

4.教 育 内 容 1.家畜の種類と品種

2.農業経営と家畜

3.人工ふ化と育すう

4.家畜の育成

5.人工授精

6.妊娠鑑定

7.出産と助産

8.去勢・断尾・除角・つめ切・毛刈・薬浴

9.飼料の調理と配合

10.飼料作物の栽培

11.飼料の貯蔵と加工

12.家畜の飼養管理と衛生

13.畜舎および舎内設備

14.肥育

15.小・中家畜の解体

16.産卵調査とだ鶏とうた

17.搾乳と泌乳調査

18.牛乳の検査

19.乳・肉の加工

20.畜力利用

21.審査

22.飼育の設計

23.経営簿の記録と整理

24.生産費と所得

25.生産物の販売

26.わが家の畜産の診断

5.指導上の留意事項 (1) 「畜産」は,学校農場や家庭における家畜の飼養管理を通じて学習させ,畜産に関する生徒の興味を喚起するとともに,自発的に学習を進めることがたいせつである。

(2) 「畜産」の指導にあたっては「生物」・「社会」・「農業工作」・「農業経営」およびその他の農業関係科目との関連を図り,学習の効果を高めるようにされたい。

(3) 家畜の取扱については,常に災害防止と,生徒の安全を図ることがたいせつである。

(4) 学習の効果を高めるために,学習に必要な材料・器具,学習方法などについては,つとめて創意くふうされたい。

(5) 夜間・放課後・早朝などに実施しなければならない実習については,家庭実習または宿泊当番の機会を活用されたい。